2015年03月05日

ジュゼッピ・ローガン Giuseppi Logan Quartet

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ジュゼッピ・ローガン Giuseppi Logan Quartet

(ESP)

【パーソネル】
ジュセッピ・ローガン(ts,as,b-cl.fl,oboe)
ドン・プーレン(p)
エディ・ゴメス(b)
ミルフォード・グレイヴス(ds,tabra)

【収録曲】
1.Table Suite
2.Dance of Satan
3.Dialogue
4.Taneous
5.Bleeker Partita


かのアルバート・アイラーの「スピリチュアル・ユニティ」を筆頭に、60年代の前衛的なジャズやサイケデリック・ミュージックなどを、まるで一手に引き受けるようにリリースしていた硬派な零細インディペンデント・レーベルに「ESP」というのがありました。

このレーベル、中身も相当に強烈なものが多いのですが、ジャケットも何やらおどろおどろしい強烈な印象を残すものが多いです。

しかもESP初期のレコードは、ほとんどのジャケがモノトーンで統一されてあり、それがまた作品の得体の知れなさ、レーベルの得体の知れなさをより深く印象付けます。

私はジャズ初心者のころ、アイラーにすっかりヤラれて、しばらくESPのレコードばかりを「ジャケ買い」していた時期がありまして、このジュゼッピ・ローガンも”名前も分からないまま買った一枚”でした。

まぁともかくこのジャケットを御覧なさい。沈鬱な黒人青年の顔が、どこか異世界に幽閉されているかのような、あるいは謎の薬品で溶解してるような、とにかく不気味なデザインです。

何の気なしに、ただ「ジャケ買い」したジュゼッピ・ローガンですが、彼の「絶叫しないフリー・ブローイング」には、それまでにない感動を覚えました。

彼はテナー・サックス、アルト・サックス、クラリネット、パキスタンのオーボエ、フルートなどをこなす、いわゆるマルチ・リード奏者です。

どの楽器を使ってもストイックに中音域をぐねぐねぐねぐねと徘徊する抽象的なフレーズで、聴き手を冥界へと誘います。

ドン・プーレンの「破壊的だけどメロディアスなピアノ」、普段はどっちかと言うと”弾きまくり系”のエディ・ゴメスのベースも、このアルバムに関して言えばどっちかというとフレーズが自由に動いている時よりも、他の楽器の音を息を潜めて待ちかまえてるような不気味な沈黙と”ちょっとした動き”が印象的です。

そしてリーダーのローガンと同じぐらいこのアルバムのイメージを決定付けてるのがミルフォード・グレイブスのドラム&パーカッション・プレイでしょう。

如何にフリーな演奏とはいえ、決して力まかせにガーっと叩いてフロントを煽ることはせず、一音一音(一打一打)を慎重に選んで”間”を活かし、その場に最も適した「叩きすぎないリズム」を積み上げて演奏全体に蠢きのような重々しい躍動感を与えています。

で、こんなに素晴らしく、そして個性的な演奏を残したジュゼッピ・ローガンという人は、その後も革新的なアルバムを出し続け、いろんな人に影響を与えたのか、それともアイラーのように突然謎の怪死を遂げ、伝説となったのかと思ったら、そのどちらでもなかったようで、このアルバムでデビューした1964年以後、僅か2年のうちにセカンド・アルバムの「More」をリリースし、女性歌手パティ・ウォーターズのアルバムや、トロンボーン奏者ラズウェル・ラッドのアルバムなど、ほんの僅かな作品に参加してから忽然と姿を消し、その後行方不明。

そういや最近「ホームレスみたいになりながらも演奏を続けている」という情報が流れたことがあったけど、本当かしらん?

「謎につつまれたミュージシャンの、謎に包まれた音楽」として、この作品は内容からジャケットまで実に得体の知れない不穏なの空気に包まれています。




でも、それはとても儚く無残で狂おしく、そして美しい「精神の荒野」。





『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

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posted by サウンズパル at 18:52| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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