2015年04月06日

パウリーニョ・ダ・ヴィオラ&エルトン・マディロス 夜明けのサンバ

1.jpg

パウリーニョ・ダ・ヴィオラ&エルトン・マディロス 夜明けのサンバ

(RCE/ボンバ・レコード)

【収録曲】
1.アルヴォレート
2.大多数は持ってない
3.14歳
4.ひどい苦しみ
5.気弱になる時
6.告白
7.完璧な恋
8.マスカラーダ〜眠れぬ夜に〜インジューリア〜ことづけ〜日は昇る〜涙の誓い〜黄金のバラ
9.愛の終わり
10.サンバ・オリジナル
11.アロー・アロー〜涙の太陽


暖かくなってきてすっかり春

というよりも、奄美はムシ暑く強烈な陽射しが容赦なく降り注ぎ、すっかり「夏」です・・・。

個人的にはヒジョーにこれ憂鬱な季節です。

しかしこんな季節に聴いて「あぁいいなぁ〜・・・」と、落ち着けるのがブラジル音楽。

「ブラジル音楽」と聴いてほとんどの人が思い浮かべるのは、ユル〜く穏やかなボサ・ノヴァでございましょうが、そのボサ・ノヴァのルーツであるサンバにも、心地良く切ない風が吹いている名盤が多いのでご紹介いたしましょう。

え? 「サンバつったら、カーニバルで演奏されるあの賑やかな音楽じゃないの?何でそれが心地良く切ないの?」

はい、そんな疑問はあって当然ですよね。

実は、カーニバルで演奏されるあの”サンバ”は、サンバのひとつの形態です。

ブラジル音楽の歴史というのは、実に複雑で、一言でざっくりとは説明できないのですが、まず、ポルトガルから渡ってきた白人音楽をルーツに持つ”ショーロ”という音楽が生まれます。

これは「かなしみ」という意味で、文字通りギターやフルート、その他管弦楽器を主体とした哀愁溢れる旋律が特徴的です。

続いて、彼ら白人によって奴隷としてアフリカ大陸から連れてこられた黒人達の音楽があります。

これには元々これといった固有の名称はありませんでしたが、打楽器を中心とした、非常にリズミカルなものであり、世代を重ねるうちにこれがサンバの原型となりました。

これらの音楽には、原住民であるインディオ達の民俗音楽も少なからず影響を与えて、その風味がそれぞれに加えられて行き、それぞれに浸透して、いわゆるブラジルの「ポピュラー・ミュージック」というのが、19世紀から20世紀にかけて徐々に形作られて行くのです。

ポピュラー・ミュージックとしてのサンバは、白人のショーロと黒人のサンバが融合して生まれました(この過程も複雑なんですが、ここでは省きます)。

んで、戦後ブラジルで「メジャーな音楽」、つまりサンバはブラジルのポップスや歌謡曲のようなものになりました。

独特の哀愁を帯びたメロディーを、時にゆったりと、時に軽快なリズムに乗せて唄う歌手のことを「サンビスタ」と呼びます。

この「ポップスとしてのサンバ」が、アメリカのジャズの影響を受けて生まれたのがボサ・ノヴァなんです。つまり、ボサ・ノヴァ黎明期のスターであったアントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルト、ルイス・ボンファ、ナラ・レオンといった人たちは、そのキャリアの最初の頃から「サンバのアーティスト」を目指し、名声を得た人達なのであります。

そんな彼らの憧れの一人であった名サンビストが、本作の主役、パウリーニョ・ダ・ヴィオーラとエルトン・メディロス。

このアルバムは、サンバが洗練を極めた1960年代初頭に、若手サンビスタだったパウリーニョが、先輩であるベテラン、エルトンをレコーディングに迎える形で仕上げたアルバムで、聴いた感じは「ほとんどボサ・ノヴァ」といった感じで、全編心地良い静謐さと、こっそりと混ぜられた狂おしいほどの哀愁に満ちております。

専門書では「ショーロの哀愁をサンバに昇華させた名盤」「ボサ・ノヴァ時代に作られたホンモノのサンバ」と、多くの賞賛を得ております。実際ボサ・ノヴァ好きでブラジル音楽そのものに興味を持った人が、ホンモノのサンバに開眼するきっかけとなる登竜門的なアルバムでもあるようです。

優しくありながら、たっぷりの憂いを含んだパウリーニョの声も、作曲とギター、そしてフルートなどが心地良く響き合う見事なアレンジを手がけたエルトンの演奏も、どちらもこれからの季節にピッタリですね。

個人的にはサンバのリズムをマイナー調のメロディーで美しく練り上げたAやCなどが大好きで、よくリピートしております。








『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:21| Comment(0) | ラテン/ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: