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2015年06月05日

ザ・ビル・エヴァンス・アルバム+3

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ザ・ビル・エヴァンス・アルバム+3
(CBS/ソニー・ミュージック)

今日は雨、一日中しとしとと雨が降っておりました。

南国奄美もすっかり梅雨でございますねぇ・・・とか何とか言いながら、垂れ落ちてくる雨を見ながら、こんな日はしみじみと物思いにふけりたくなってきます。

アタシの正業は「運び屋さん」なんで、カーステレオでCDを聴きながらの配達なんですが、今日はもう朝から「ビル・エヴァンス聴くしかないっしょ」と、決めておりました。

えぇ、こんな憂鬱な雨の日は、憂鬱を溶かすエヴァンスの”憂い”なピアノがよろしい具合なんでございますよ。

さて、ビル・エヴァンスといえば、星の数ほどおりまするピアニスト、特に「白人耽美派」の頂点におります。

「ピアノの詩人」とまで言われておりますエヴァンスのプレイ・スタイルは、とにかく美しい。

彼自身はクラシックの素養もあり、聴いていると確かにクラシック、特に「ロマン派」といわれるショパンやドビュッシーとかラヴェルとか、その辺の影響は、あぁ、確かに感じるねぇ・・・と、表面的には思わせるんですが、聴けば聴くほど彼のピアノは「どうしようもなくジャズ」なんですね。

どうジャズなのか?

まずはジャズ特有のシンコペーション、つまり「間」の取り方、9thだとかドミナントとか、音楽の専門用語で言えば非常に難しくややこしいんだけれども、ざっくり言えば「ジャズ独特のコード進行」、そして極め付け、これはもうジャズマンをジャズマンたらしめている絶対的な要素と言っていい「アドリブのキレ」。

エヴァンスは、とにかくアドリブが凄いんです。

余りにもメロディーとして端正なもんだから、知らない人が聴けは「作曲して譜面に書いてあるものを弾いておるだろう」と、思われるぐらいのアドリブをエヴァンスは出来るんです。

そのアドリブ能力の、余りの凄さに衝撃を受けたのがマイルス・デイヴィスです。

マイルスがエヴァンスの耽美で、でもしっかりと”ジャズしてる”演奏に惚れ込んでバンドに誘ったのは有名な話で、「何で白人のアイツなんか雇いやがって」という黒人ファンに「アイツよりセンスのいい黒人のピアニストがいるんだったら連れてきやがれ!」とマイルスが啖呵を切ったのも有名な話でありますな。

それはそうと、マイルスに見出されてからのエヴァンスの快進撃は、1960年代から、亡くなる1980年まで止まることはありませんでした。

特にエヴァンスは「ピアノ・トリオ」つまりピアノとベースとドラムスという、バンドとしては最小の編成に可能性を追い求め続け、トリオでの名盤をたくさん残しております。

さてさて、今日アタシがずーっと聴いていたこのアルバム「ザ・ビル・エヴァンス・アルバム」は、彼の表現が洗練の、ひとつのピークを迎えた1971年に録音された、トリオ編成のアルバムです。

メンバーは、エヴァンスとは最も長く活動した、技巧派ベーシストのエディ・ゴメスと、繊細で安定したリズムを刻ませたら実に素晴らしい職人肌のドラマー、マーティ・モレルです。

個人的にこの3人による演奏は、たくさんある”エヴァンス・トリオ”の中で、一番安心しつつも程よい緊張感も併せて聴かせてくれるトリオだと思っております。特にこのアルバムでは、エディ・ゴメスの”手数王”なベースが、エヴァンスのアドリブをジャズしないギリギリのラインで、エキサイティングにブンブン言っておるんですよね。こぉ〜れがもうカッコイイんですよね。

そしてそのゴメスに煽られるようにエヴァンスもどんどん盛り上がってくる。

あ、言い忘れておりましたが、このアルバムは、エヴァンスが初めてメジャー・レーベルので録音したリーダー作です。

だから「ザ・ビル・エヴァンス・アルバム」という”まんま”なタイトルでありますし、エヴァンスも相当ヤル気だったんでしょう。ひとつひとつのフレーズが、美しく飛翔しながらキラキラと飛び散ったり、また、たおやかに聴く人の心を包み込みながらゆったりと流れてったり、何というか、さっき言った「どうしようもなくジャズ」の部分、つまり聴いてる人の心を狂おしく締め付けてやまない哀感もみなぎっておるんです。

楽曲は全てエヴァンスのオリジナルです。

「ワルツ・フォー・デビィ」「リ・パーソン・アイ・ニュー」なんかは、もう彼の代表曲と言っていいでしょうね。いずれも美しい演奏が初期音源にも残されておりますが、コチラでは更に凄みと勢いを増してガンガン弾きながら内へ内へのめり込んでゆくヴァージョンに生まれ変わってます。

今日は知らないうちにこのアルバムを5周聴いていました。

普通はアルバムって「あ、この曲があってこの曲がきて、これが最後の曲だな」という構成があって、んで、ちょっとアレな曲は飛ばしちゃえ、何てケシカランこともしようもんですが、エヴァンスに関してはそれが一切ないんですよねー。延々ループでも全然いい、むしろアルバムを延々ループさせて、聴く毎に彼のやわらかな狂気にハマッてゆくという聴き方を、アタシは皆様に推薦します。

特に!

雨の日はエヴァンスです!!






【パーソネル】
ビル・エヴァンス(p,el-p)
エディ・ゴメス(b)
マーティ・モレル(b)

【収録曲】
1.ファンカレロ
2.トゥー・ロンリー・ピープル
3.シュガー・プラム
4.ワルツ・フォー・デビー
5.T.T.T.
6.リ・パーソン・アイ・ニュー
7.コムラード・コンラッド
8.ワルツ・フォー・デビー(別テイク)
9.リ・パーソン・アイ・ニュー(別テイク)
10.ファンカレロ(別テイク)


あと、このアルバムならではの鑑賞ポイントをふたつほど・・・。

エヴァンスは数曲で、当時の最新機材だったエレキ・ピアノ(フェンダーローズ)を弾いていて、エディ・ゴメスのベースもアンプ通したものなんですが、コレがとっても自然でとってもイイんです。

特に「ファンカレロ」での、甘く儚いエレピの余韻が、もう何とも言えません。

やっぱり夜も延々ループでこれ、聴く・・・。


うぅ・・・。




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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

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posted by サウンズパル at 19:22| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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