ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2015年06月30日

RCAブルースの古典

1.1.jpg
RCAブルースの古典〜THE BLUES:1927-1946
(RCA/アリオラ・ジャパン)


なまじっか知識があったり、ある分野の音楽に詳しくなってしまうと、あれやこれやと理屈を並べて「この音楽はイイですよ〜」と、まぁ職業柄でもありますが、つい熱弁してしまうのです。

それでもねー、なかなか相手にはこうとキッチリ伝わらんのですよ。

これはまぁ人の好みはそれぞれっちゅうことと、アタシの言葉の説得力とか説明の分かりやすさとかそういうもんがないと、ハイ、反省しとります。

そこで色々と考えて、逆に「何故自分はこの音楽が好きなのか?」ということをじっくり考えます。

これ、考えたらもう色々、それこそ実体験と夢想とがリンクしまくってお祭りのごとなっとる訳の分からん想いのアツいのが、ぐわーっとこみ上げてくるんですね。

それらをまた一旦冷静に整理して、最終的に辿り着いた結論というのが

「あぁ、俺は音楽を”心意気”で好きになって聴いてきたんだな」

というものであります。

それを掘り下げると、アタマの悪い中学生だった頃の自分の人生や物の考え方を決定付けたジョー・ストラマー先輩の

「パンクとは姿勢である」

という言葉に行き着きます。



で、ブルースです。


誤解を承知であえて言いますが、アタシにとって「ブルースはパンク」です。

何がパンクか?と疑問を持った方は、素直にブルース、特にまだ音楽としての様式として未完成で、ブルースマン達が、それぞれ思い思いのスタイルで自由にやっておった戦前のブルースを聴けばよく分かります。いや、きっと沁みると思います。


いや、でも、戦前ブルースの何を聴けばいいの?

そもそも戦前ブルースって何なの?普通のブルースと何か違うの?

というアナタの疑問には、アタシではなく、このCDが答えてくれます







【Disc-1】
(アーティスト/収録曲)
〜初期のカントリー・ブルース〜
1.トミー・ジョンスン/ビッグ・ロード・ブルース
2.トミー・ジョンスン/キャンド・ヒート・ブルース
3.イシュマン・ブレイシー/トラブル・ハーテッド・ブルース
4.ブラインド・ウィリー・マクテル/ダーク・ナイト・ブルース
5.ブラインド・ウィリー・マクテル/ラビング・トーキング・ブルース
6.クリフォード・ギブスン/ドレイマン・ブルース
7.クリフォード・ギブスン/シー・ロールズ・イット・スロー
8.ブッカ・ホワイト/パナマ・リミテッド
〜メンフィス・ブルース〜
9.ジム・ジャクスン/アイム・ワイルド・アバウト・マイ・ラビング
10.ファリー・ルイス/ドライ・ランド・ブルース
11.フランク・ストークス/テイント・ノーバディズ・ビジネス
12.フランク・ストークス/フランク・ストークスの夢
13.スリーピー・ジョン・エスティス/ガール・アイ・ラブ
14.スリーピー・ジョン・エスティス/ プア・ジョン・ブルース
15.スリーピー・ジョン・エスティス/ローヤー・クラーク・ブルース
16.サン・ボンズ/ハード・ピル・トゥ・スウォロー
17.メンフィス・ミニーとキャンザス・ジョー/ドント・ウォント・ノー・ウーマン
〜ジャグ・バンド〜
18.メンフィス・ジャグ・バンド/メンフィス・ジャグ・ブルース
19.メンフィス・ジャグ・バンド/ゴーイング・バック・トゥ・メンフィス
20.メンフィス・ジャグ・バンド/ジャグ・バンド・ワルツ
21.キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ/バイオラ・リー・ブルース
22.キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ/ゴーイング・トゥ・ジャーマニー
23.キャノンズ・ジャグ・ストンパーズ/ウォーク・ライト・イン
24.ダディ・ストーヴパイプとミシシッピー・サラ/ザ・スパズム
25.ウォッシュボード・サム/ゴナ・ヒット・ザ・ハイウェイ


【Disc-2】
(アーティスト/収録曲)
〜30年代のミシシッピー・ブルース〜
1.トミー・マックレナン/ウイスキー・ヘッド・ウーマン
2.トミー・マックレナン/ディーズ・マイ・ブルース
3.ビッグ・ジョー・ウィリアムス/ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー
4.ビッグ・ジョー・ウィリアムス/ハイウェイ49
5.ビッグ・ジョー・ウィリアムス/ピーチ・オーチャード・ママ
6.ロバート・ペットウェイ/キャットフィッシュ・ブルース
7.ロバート・ロックウッド/テイク・ア・リトル・ウォーク・ウィズ・ミー
〜ピアノ・ブルース〜
8.リロイ・カー/ロックス・イン・マイ・ベッド
9.リロイ・カー/シックス・コールド・フィート・イン・ザ・グラウンド
10.ピーティー・ウィートストロー/デビルズ・サン・イン・ロウ
11.ピーティー・ウィートストロー/ピート・ウィートストロー
12.リトル・ブラザー・モンゴメリー/ビックスバーグ・ブルース・パート3
13.ビッグ・メイシオ/ワリード・ライフ・ブルース
14.ビッグ・メイシオ/デトロイト・ジャンプ
15.ジョー・プラムとアンディ・ボーイ/ハード・ワーキング・マン・ブルース
〜シティ・ブルース〜
16.ビッグ・ビル・ブルーンジィ/フレンドレス・ブルース
17.ビッグ・ビル・ブルーンジィ/サザン・ブルース
18.タンパ・レッド/キングフィッシュ・ブルース
19.ロバート・リー・マッコイ/タフ・ラック
20.サニー・ボーイ・ウィリアムスンT世/グッド・モーニング・スクールガール
21.サニー・ボーイ・ウィリアムスンT世/エレベーター・ウーマン
22.サニー・ボーイ・ウィリアムスンT世/アーリー・イン・ザ・モーニング
23.ジャズ・ジラム/キー・トゥ・ザ・ハイウェイ
24.アーサー・クルーダップ/ザッツ・オールライト


内容については、あーだこーだぐじゃぐじゃは申しません。

ブルースにちょっと詳しい人なら、「戦前ブルース」といえばロバート・ジョンソンやサン・ハウス、チャーリー・パットン、ブラインド・レモン・ジェファソンといった大物の名前がポンと出てくると思いますが、このアルバムにはあえてそれらの超大物は入っておりません。

その代わり、彼らと同時代、同じように人気を博した名手達(ミシシッピの州都ジャクソンをシーンを代表するトミー・ジョンソンやイシュマン・ブレイシー、このブログでも何度か書いているブラインド・ウィリー・マクテル、戦前メンフィス代表フランク・ストークスやメンフィス・ジャグ・バンド等々・・・)や、ロバート・ジョンソンに影響を与えたピアノ・ブルースの名手達(リロイ・カー、”悪魔の養子”ピーティー・ウィートストロー)、そしてマディ・ウォーターズ登場前のシカゴで一時代を築いたビッグ・ビル・ブルーンジィ、サニー・ボーイ・ウィリアムスン(I世)、戦後になってようやくその存在が広く世界に知れ渡るロバート・ジュニア・ロックウッド、後に”ロバート・ナイトホーク”を名乗るロバート・リー・マッコイ、あ、9弦ギターの名手、ビッグ・ジョー・ウィリアムスの若き日の熱演や、”知る人ぞ知る”だけどすっげぇドス濃い喉を聴かせるトミー・マクレナンや、何故か奄美人の血が騒ぐビートをザクザク刻むロバート・ペットウェイの「キャットフィッシュ・ブルース」とか、コレはここでしか聴けないだろうなーと思うストーブパイプ吹きのオッサン、その名も”ダディ・ストーヴパイプ”の夫婦漫才小唄みたいな掛け合いとか。

・・・・あ「内容についてはあーだこーだぐじゃぐじゃ書かん」と書いたのに、ついアツくなって書いてしもうた(汗


ちなみにアタシがこのCDを手にした時は、ちょうどようやく”超有名どころ”の名盤を一通り集めた時でした。

「オムニバス」と言われても、持ってるCDと曲被ってたらイヤだなぁと浅はかにも思ってたんですが、知らない演奏ばかり!うわ、この人聴いたことない!何これこんなヴァージョンもあるの!?てかストーブパイプ(笑)!!!とか、とにかくもう全てが新鮮で、そしてこれはぜひとも読んで頂きたいんですが、この天下の古典を作成/編集した中村とうよう、日暮泰文、鈴木啓志3氏の、実に丁寧かつ分かりやすく「戦前ブルースの歴史と魅力」について書かれたブックレット。もう、コレだけ読むだけで戦前ブルースの果てしない暗闇の中にドップリと浸かれます。とにかくもう「愛」ですよ、お三方のブルースに対する愛、そして心意気、音盤もライナーもホント、大変なことになっています。


最後に、やっぱり言うのよそうと思ったんですが、すっげぇベタな言葉でシメさせてください。


「コレは持っとらんとヤバいでしょう!」




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:09| Comment(4) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰してます<(_ _)>

このアルバムは残念ながら持ってないんですが…てか、ヤマハのCDプレイヤーのドアが開かなくなって、久しくCDが聴けない状態になっています(´・ω・`)

ちなみにパイオニアの3ヘッドカセットデッキは、もっと前に死にました(;_q)

こんな状態なので、久しくCDを購入してない私が云うのも僭越なんですが…

このアルバム、すごいですね♪
仰るとおり、超がつく有名ブルースマンを敢えて外し、やや有名どころにやや無名の人を織り交ぜたのがいいですね。

個人的には、メンフィス・ジャグ・バンドやキャノンズ・ジャグ・ストンパーズ、ブルース史上最も古い世代じゃないかと思われるダディ・ストーヴパイプといった、どちらかというとブルースの周辺音楽をやってたミュージシャンがたくさん収録されているのが嬉しかったりします。
Posted by 第四玉手箱 at 2015年07月09日 16:20
玉手箱さん!ようこそここまでおいでくださいました(嬉)

そうそう、そうなんですよ。このアルバムは仰るように戦前の“ちょいとマイナーどころ”と、ジャグ・バンド等のブルース周辺音楽(でも戦前はこっちの方が人気のスタイル)、そしてピアノものの充実ぶりがハンパないんですよね。

内容の素晴らしさはもちろんですが「日本に戦前ブルースの素晴らしさを広く伝えよう!」との志で、音源集めから選曲・編集・検証まで細かく情熱を注いだ中村、日暮、鈴木3氏の情熱も素晴らしいんです。

それとやっぱりダディ・ストーヴパイプですよね〜(^^)この何ともコミカルな夫婦漫才みたいな掛け合い、コレたまりませんわ。他の盤では確かDocumentのコンピぐらいでしか聴けないはずです。よくぞ収録してくれましたですよね。


玉手箱様のオーディオ環境が1日も早く復旧しますように…。
Posted by soundspal at 2015年07月10日 12:28
戦前のヤツらはとにかくギターが上手いですよね。「早回し」説もありますが、それにしても凄い。彼らにとってギターは命を繋ぐツールだったんでしょう。生きるためには自分なりのブルースを開発しなけりゃならない、そんな切迫感が名曲を創ったんだと思います。やたらエフェクターとか無かった分、創造性が高かったんだと思います。
Posted by k.m.joe at 2017年03月19日 18:56
そうそう、戦前のブルースやジャズを聴くと楽器を演ることが強烈に生活と繋がっている感じがします。「他にないんだ!」という物凄く切実な感じですよね。

アンプやエフェクターのない時代の人達、誤魔化が効かないシュールな現場で、凄まじいテクニックを感じます。何より音が凄くしっかり出てるんですよ。求められてたのはまず雑踏や客が大騒ぎするジュークジョイントでも掻き消えないボリュームだったんじゃないかとしみじみ思います。

> k.m.joeさん
>
> 戦前のヤツらはとにかくギターが上手いですよね。「早回し」説もありますが、それにしても凄い。彼らにとってギターは命を繋ぐツールだったんでしょう。生きるためには自分なりのブルースを開発しなけりゃならない、そんな切迫感が名曲を創ったんだと思います。やたらエフェクターとか無かった分、創造性が高かったんだと思います。
Posted by サウンズパル at 2017年03月20日 21:13
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