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2015年07月01日

Sun Ra Singles

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SUN RA Singles
(Evidence)

サン・ラーという人は本当に素晴らしい人で、その素晴らしさは色々とありすぎてとてもいっぺんには書けませんので、これから小出しに書いて行きます。

まず、彼は伝統的なスウィング・ジャズの影響を強く受けた真っ当なジャズ・ピアニストでありました。

しかし、「人類を正しく導くために土星からやってきた古代エジプト人の子孫」であるサン・ラーのその表現の目的は「売れてスターになるため」ではなく「自分たちの音楽やパフォーマンスが注目を集めることによって地球人類を物欲や暴力といった正しくないものが支配する世界から一人でも多く救い出そう」というところにありました。

あ、皆さん笑っておるでしょうが、サン・ラーはマジですよ。だから1940年代末から土星に還る1993年まで、一貫して表現姿勢やパフォーマンスに一切の妥協をせず、また、変人扱いされようが音楽シーンから黙殺されようが「気付いてくれる地球人が一人でもいるなら」と、全身キラッキラの衣装とブッ飛んだパフォーマンス、それに時折ステージで深淵な宇宙哲学や社会問題についてマイクを持って語る「講義」に全身全霊とタップリのユーモアを注いでおりました。

だからサン・ラーの作品は、年代によってオーソドックスなビッグ・バンド・ジャズからかなり前衛でアナーキーなもの、ファンキーでカラフルなグルーヴがうねるもの、そしてまるでどこか異国の童謡を聴いているかのようなキャッチーな歌ものまで、本当に「何でもアリ」なんです。

サン・ラーは、音楽表現も「人類を正しく導くためのひとつの手段」と考えておりました。

だから、あくまで「ジャズ」というフォーマットに敬意を払いつつ、「それが必要」と思えばR&Bでもファンクでも何でも演奏の中に取り込んで、それをまた他の誰とも(要するに地球の音楽のどれとも)似ていない真にオリジナリティの溢れる音盤を次々と生み出していったのであります。

その初期に行ったのが、1950年代当時、黒人の若者の間で大流行していたヴォーカル・グループによるパフォーマンス、つまり「ドゥー・ワップ」のプロデュースとレコーディングでありました。

「Singles」と名付けられたこの2枚組アルバムは安直なベスト盤にあらず。

サン・ラーの50年代”ドゥー・ワップもの”を中心に、楽しくヒップにスウィングしている曲から、渋いモダン・シカゴ・ブルースな曲、オーケストラで小粋に聴かす曲を集めたコンピレーション作であります。

聞くところによると、サン・ラーは当時流行していたジューク・ボックスでヒットするポップ曲を作ろうと真剣に思っておったようです。1950年代といえば、ジャズの尺度で考えればモダン・ジャズが発生して、徐々に「ジャズ専業」のミュージシャン達が小人数のコンボでしのぎを削るようになってきた時代。

しかし、サン・ラーは自分とこの音楽を「ジャズ」という狭いカテゴリだけに縛りつけることはなく、彼が地球での年齢で幼少であった頃に深く感動した30年代の「歌あり踊りあり、コメディあり。もちろんジャズでもあってブルースでもある」のおおらかなビッグ・バンド・サウンドを発展させたいという意欲がありました。

もちろんその動機は「ステージに”ハレ”の空間を作り上げ、そこに人々を夢見心地で誘うことによって正しい方向に導くため」です。

この、サン・ラーの素晴らしい姿勢を私は敬意を込めて「宇宙神農道」と呼んで今後も啓蒙しつづけていきたいと思っております。

でもね、サン・ラーって今の感覚で言えば本当に「面白い」んですよ。もんのっすごいポップなことと、もんのっすごいアヴァンギャルドなことが同じ次元に存在しているし、真面目にカッコイイことと「なんじゃそりゃー!?」というサプライズが同じ表現の中に、しかも違和感なく同居してるんですよね。えぇ。なので、サン・ラーのCDやレコードは、中身とかタイトルとかジャケとか、もうそんな細かいのはどうでもいいんで、とりあえず全部聴きましょう。






【収録曲】
(Disc-1)
1.A Foggy Day
2.Daddy's Gonna Tell You No Lie
3.Dreaming
4.Daddy's Gonna Tell You No Lie
5.Bye Bye
6.Somebody's In Love
7.Medicine For A Nightmare
8.Saturn
9.Supersonic Jazz
10.Happy New Year To You
11.It's Christmas Time
12.Muck Muck
13.Hot Skillet Mama
14.Great Balls Of Fire
15.Hours After
16.Teenager's Letter Of Promises
17.I'm So Glad You Love Me
18.The Sun One
19.The Sun Man Speaks
20.The Sun Man Speaks
21.October
22.Adventure In Space
23.Message To Earthman
24.Message To Earthman
25.State Street

(Disc-2)
1.The Blue Set
2.Big City Blues
3.Tell Her To Come On Home
4.I'm Making Believe
5.The Bridge
6.Rocket # 9
7.Blues On Planet Mars
8.Saturn Moon
9.The Sky Is Crying
10.She's My Baby
11.I Am Gonna Unmask The Batman
12.I Want An Easy Woman
13.I'm Gonna Unmask The Batman
14.The Perfect Man
15.Journey To Saturn
16.Enlightenment
17.Love In Outer Space
18.Mayan Temple
19.Disco 2100
20.Sky Blues
21.Rough House Blues
22.Cosmo-Extensions
23.Quest
24.Outer Space Plateau



【パーソネル】
(Disc-1,1)
Rolland Willisms and three Others(Vo)
Sun Ra(p)

(Disc-1,2)
Calvin Barron and three others (Vo)

(Disc-1,3,4)
Calvin Barron and three others (Vo)
Sun Ra(p)
Richard Evans(b)
Robert Barry(ds)

(Disc-1,5)
Calvin Barron and three others (Vo)
Sun Ra(p)
Unidentified(el-g)
Richard Evans(b)
Robert Barry(ds)

(Disc-1,6)
Calvin Barron and three others (Vo)
Sun Ra(p)
Unidentified(el-g)
Richard Evans(b)
Robert Barry(ds)
Jim Herndon(timbales)

(Disc-1,7,8)
Sun Ra(p)
Jullian Priester(tb)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
Wilburn Green(el-b)
Robert Barry(ds)

(Disc-1,9)
Sun Ra(p,wurlitzer electric piano)
Jullian Priester(tb)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
Wilburn Green(el-b)
Robert Barry(ds)
Jim Herndon(timbales)

(Disc-1,10,11)
For unknown males(vo)
Sun Ra(harmonium)
Unidentified(el-g)
Unidentified(bells)

(Disc-1,12,13)
Sun Ra(p)
Victor Sproles(b)*probably
Robert Barry(ds)*probably
Yochabnan(vo)

(Disc-1,14)
Sun Ra(p,wurlitzer electric piano)
Lucious Randolph(tp)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
"BeBop"Sam Thomas(el-g)
William"Bugs"Cohcran(ds)
Wilburn Green(el-b)
Robert Barry or Alvin Fielder(ds)
Jim Herndon(timbales)

(Disc-1,15)
Sun Ra(p,wurlitzer electric piano)
Everett(E.J.)(tp)*probably
Marshall Allen(as)
James Spaulding(as)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
Ronnie Boykins(b)
William"Bugs"Cohcran(ds)
Robert Barry or Alvin Fielder(ds)

(Disc-1,16,17)
Juanita Rogers(lead Vocal)
Lynn Hollings(narration,vo)
three undentified male vovalists
Unidentified(ts)
Mr.V=Sun Ra(p)
Unidentified(el-g)
Unidentified(ds)

(Disc-1,18)
Sun Ra(Hammond organ)
Lucious Randolph(tp)
Marshall Allen(as)
John Gilmore(ts)
Ronnie Boykins(b)
Unidentified(ds)
Yochanan(Space Age Vocalist)

(Disc-1,19,20)
Yochanan With Sun Ra and His Arkestra

(Disc-1,21)
Sun Ra(p)
Walter Stickland(tp)
Marshall Allen(as)
John Gilmore(ts)
Pat Patrick(bs)
Unidentified(tb)
Ronnie Boykins(b)
William"Bugs"Cohcran(ds)*probably

(Disc-1,22)
Sun Ra(p)
Jim Herndon(timbales)
Marshall Allen(bells&Scrapers)*probably
John Gilmore(bells&Scrapers)*probably
Ronnie Boykins(bells&Scrapers)*probably

(Disc-1,23,24)
Sun Ra(Hammond organ)
Marshall Allen(as)
John Gilmore(ts)
Ronnie Boykins(b)
Unidentified(ds)
Yochanan(Space Age Vocalist)


(Disc-2,)
1.Sun Ra and his Myth Science Arkestra
2.Sun Ra and his Myth Science Arkestra
3.Little Mack(Robert Lee Jr.)
4.Little Mack
5.Sun Ra & His Outer Space Arkestra
6.Sun Ra & His Outer Space Arkestra
7.Sun Ra and his Astro-Solar-Infinity Arkestra
8.Sun Ra and his Astro-Solar-Infinity Arkestra
9.Lacy Gibson
10.Lacy Gibson
11.Lacy Gibson
12.Lacy Gibson
13.Sun Ra and his Astro-Galactic Infinity Arkestra
14.Sun Ra and his Astro-Galactic Infinity Arkestra
15.Sun Ra and his Astro-Galactic Infinity Arkestra
16.Sun Ra and his Astro-Galactic Infinity Arkestra
17.Sun Ra
18.Sun Ra
19.Sun Ra & His Arkestra

サン・ラーが50年代に行った”ドゥー・ワップ・セッション”は、商業的には大きな成功を収めませんでしたが、リアルタイムに接してその姿勢と音楽的な自由さに共鳴したのが、後にP-FUNKの総帥となる若き日のジョージ・クリントンであります。あと、アース・ウィンド&ファイアーも「宇宙」や「古代エジプト」をモチーフにした作品を多く作っておりますので、これもサン・ラーからの影響であると断言して良いでしょう。

実は60年代〜70年代の「ブラック・ミュージックの本流」の源泉を、サン・ラーは早い段階から黙々と作っていたことになるんですね。

なのでこのアルバムは、もしパーラメントやEW&Fなどをお持ちの方がいらっしゃったら、それらのアルバムとこの「Singles」をぜひ併聴してみてください。双方の新たな”カッコ良さ”を、よりリアルに新しい体験として感じていただくことが出来るでしょう。



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:22| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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