
ジミー・クリフ ザ・ハーダー・ゼイ・カム〜オリジナル・サウンドトラック〜
(Island/ユニバーサル)
アタシが「レゲエ」という音楽を知ったのは、もちろんロック・サイドからのリスペクト、なかんづくジョー・ストラマー先輩があちこちで「レゲエはカッコイイぞ!あれこそ反骨の音楽だ」と言っておられたのを読んでという、まぁ王道といえば王道のパターンでした。
とりあえず「レゲエ」といえば、みんなが「カッコイイ」と言ってるボブ・マーリィーと、ボブ・マーリィーと・・・、えっと、あと何聴けばいいんだっけ?
と思った時、親父に「えっと、レゲエちボブ・マーリィー以外誰がおるわけぇ?」と相談したら即答で
「そらぁジミー・クリフよ、ボブ・マーリィーもいいがジミー・クリフを聴かんでレゲエは語れん!」
と、断言が飛んで来ました。
それから・・・と畳み掛けるように
「ジミー・クリフの”ハーダー・ゼイ・カムちゅう映画を観ればレゲエっちゅうもんがどんな音楽か分かる!」
と。
ほぉお、そこまでアンタ断言しますか。ならばジミー・クリフを聴いてみますか・・・。
と、購入したのが、その「ハーダー・ゼイ・カム」のサウンドトラック盤でありました。
当時アタシは高校1年、唯一持っていたレゲエのアルバムは、ボブ・マーリィーの「トーキン・ブルース」だけでして、まだあのレゲエ独特のゆったりした横ノリの快楽を全然しらなかったんで「う〜ん、レゲエち全部一緒にしか聞こえん・・・」としか思ってなかったんですね。
そこへいくとジミー・クリフはボブ・マーリィーよりもポップで、ロックやパンクに慣れた耳にも実に分かり易いポップさがありました。
その後カリスマになって夭折し、今や「神様」ぐらいに超リスペクトされまくっているボブ・マーリィは、確かに最初こそ分からなかったものの、一度「キたーーー!!」という体験をしてから(あるんですよ「ボブ・マーリィ体験」ってのは)、一時期もう凄いハマッたし、ライヴ映像なんかを見ても「あぁ、やっぱコノ人すげぇオーラ出まくってるわ・・・」と思うのですが、一方のジミー・クリフは、唄いっぷりもステージでのパフォーマンスも「街のあんちゃん」って感じで、違う意味での好感度がすっごい高いんです♪
で、ジミーの「ハーダー・ゼイ・カム」は、彼自身が主演する、半ばドキュメンタリーみたいな映画なんですけどね、コレはもう必見。
あらすじはイギリスの植民地から独立したけど、政治も経済も治安も最悪のジャマイカで、更に海千山千のイカガワシい音楽の世界で一発当ててスターを目指すジミーのストーリーなんですけど、コレ見ると、親父の言う通り「レゲエという音楽がどのようにして生まれていったか」がリアルに分かります。
【アーティスト/収録曲】
1.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
2.スコッティ/ドロウ・ユア・ブレイクス
3.メロディアンズ/バビロン川のほとりで
4.ジミー・クリフ/遥かなる河
5.メイタルズ/スウィート・アンド・ダンディ
6.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム
7.ザ・スリッカーズ/ジョニー・トゥ・バッド
8.デズモンド・デッカー/シャンティ・タウン
9.メイタルズ/プレッシャー・ドロップ
10.ジミー・クリフ/シッティング・イン・リンボ
11.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
12.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム
本作はそのサウンドトラックで、まだジャマイカの音楽が”ロックステディ”と呼ばれていた頃、アメリカから流れてくるR&Bやソウルをジャマイカン達が独自の解釈で唄い踊ってた音楽から”レゲエ”が如何にして生まれていったのかを、かなり突っ込んで知ることが出来ますし、そんな難しいことはよくわからんでも、心地良いルーツ・レゲエ・サウンドに、ただなーんも考えずにゆったりと浸ることも出来るんです。
モータウン系ソウルからの影響が色濃いレゲエ黎明期の典型的なスタイルの@正統派ロック・ステディならではのゆったりもっさりしたリズムのB、今でもイベントでかかれば大合唱になるレゲエの聖歌「Many Rivers To Cross」のCとか、楽曲も未だに世界中でカヴァーされている名曲も多いし、何より参加してるジミー・クリフやその仲間のミュージシャン達の、ハツラツとした人間臭さ最高の唄いっぷりが素敵です。
アルバム発売からもう40年以上経ちますけど、ぜんっぜん色あせない。例え、コレに入ってる曲が、最新のダンスホール・サウンドの途中でスッと入ってきてもぜんっぜんアリだし気持ち良く踊れます。つまり永遠のマスターピースです。いつまでもゴキゲンなアルバムなんです。
『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/