
John Coltrane/Live at The Village Vanguard Again
(Impluse!)
はい、今日も暑いですね。
奄美はまだ気温30℃ちょいぐらいなんで、強烈な日差しを遮るものさえあればまぁ何とか・・・と思っておりますが、本土の皆さん、特に関東地方の皆さん、大丈夫でしょうか?皆様のご無事をお祈りしております。
さて、こんなクソ暑い中、うだるような熱気を退散させるべく日本国民が聴くべきは、やはりコルトレーンでありましょう(←こじつけ)。なかづく後期の「フリー、長時間」の演奏は、1種のトリップ効果で、暑気はおろか、日常のわずらわしいあれやこれやから、私達の気持ちを解き放ってくれるものと信じて止みません。
というわけで、今日は後期コルトレーン、つまりメンバーが「コルトレーン、ファラオ・サンダース、アリス・コルトレーン、ジミー・ギャリソン、ラシッド・アリ」というメンバーに固定されてから初めて公にリリースされたアルバム「ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」をご紹介します。先日ご紹介した「ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」から5年後の1966年に、同じ会場で収録されたアルバムなんですが、60年代初頭と比べて更にディープな所に到達したコルトレーン・ミュージックをドップリと聴くための一枚、と言って良いでしょう。
アタシにとってこのアルバムは、ジョン・コルトレーンという人のカッコ良さ、そしてジャズのカッコ良さに生まれて初めて気付かせてくれた大切な大切なアルバムなんですが、その”なれそめ”に関しては、雲さんとこの「カフェ・モンマルトル」にて書いた「私がコルトレーン者になった理由」をじっくりご覧ください。
はい、ご覧頂きましたね。では”つづき”を書きましょう。
「ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」は絶対レコードで買うのだ!
と決意したアタシ、中古でも何でもいいからと、とにかくレコード盤を探していました。
そしたら池袋のWAVEに、何と新品の「ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」がありました(!)
嬉しかったですねー
いや、もうあのぐっちゃんぐっちゃんの、ドロドロのヘヴィのハードコアの「マイ・フェイヴァリット・シングスが聴ける!!!」と、そっこー買ってA面から
・・・ん?
何か違う
こんな静かで荘厳な始まりじゃなかったような気がする・・・。
はい、そうなんです、実はあの時、職場で流れてた「マイ・フェイヴァリット・シングス」は、実はレコードのB面。
A面はコルトレーンの楽曲の中でも「美しい」バラードの「ナイーマ」。
実はコレに二度撃たれましたねー。
コルトレーンって、めっちゃくちゃのギットギトのドロッドロなはずで、もちろんこの「ナイーマ」もバラードではあるんだけれども、コルトレーンもファラオもソロではフリーキーな音ブチかましてくれてるんだけど、とにかく「うた」を感じました。
何ていえば善いんでしょうか、とにかく「フリー・ジャズ」、えぇ、アタシ今でも大好きなんですけど、ムチャクチャの中に「フツーに綺麗に演る以上の唄心がないとダメ」だと思うんです。単純にムチャクチャにやるための破調やフリーク・トーンなら、聴いてても意味わからんし、やっぱり疲れる。
そこへいくと後期コルトレーンって、やっぱり凄いなぁと思うのは、どんなにフリーキーに暴走しても、演奏が20分とかそんなでも「その根底にある唄心」があるから、そしてそれが表面のドロドロとは裏腹に、とても穏やかで優しいものだから惹かれるんだと思います。
【パーソネル】
ジョン・コルトレーン(ts,ss)
ファラオ・サンダース(ts)
アリス・コルトレーン(p)
ジミー・ギャリソン(b)
ラシッド・アリ(ds)
【収録曲】
1.Naima
2.Introduction To My Favorite Things
3.My Favorite Things
A面2曲目の「イントロダクション・トゥ・マイ・フェイヴァリット・シングス」は、ジミー・ギャリソンによる長いベース・ソロです。
正直”黄金のカルテット”の中でもジミー・ギャリソンのベースはよく埋もれちゃってて、どういうプレイやってるのか分からなかったんですが、このソロを聴けば「あぁ、やっぱりコルトレーンの世界の重要な”柱”なんだな」としみじみ思えます。
そして最後の長編「マイ・フェイヴァリット・シングス」これはもう言うことありませんね。
コルトレーンには色んな「マイ・フェイヴァリット・シングス」があるけど、このフリーキーな展開の中からしっかりと「うた」の部分を、衝撃と共に聴かせるプレイ、素晴らしいと思います。
今でも「ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」は、「私の好きなコルトレーン」ベスト10に常に入っております。
収録曲はたったの3曲ですが、この3曲の何と濃密で芳醇なことか・・・。聴く毎に別世界へと引きずり込んでくれますよ、えぇ。
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