2015年09月21日

アルバート・キング キング・オブ・ザ・ブルース・ギター

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アルバート・キング/キング・オブ・ザ・ブルース・ギター

(STAX/ワーナー)

B.B.キングのことについて書いてたらテンション上がって、いわゆる”3大キング”のことについてあれこれと考えました。

この3人、もちろんロックに与えた影響がズバ抜けているということもあるんでしょうが、アタシは”たまたまキング姓”というだけでひとくくりにされておるだけなんだーと思います。つまり「3人とも似たり寄ったりではない確固たる個性を確立したすげー人なんだよ」ということを言いたいのであります。

で、アルバート・キングです。

アルバート・キングの魅力については

「このキョーレツな、指先じゃなくて握力全部を使ってギュイーンと言わせてるチョーキングが全て」

の一言で説明できます。

はい、細かいこたぁどうだってよろしいのでございます。

そんなことを言ったらこのブログ、えぇと、すっごい短くて愛想のない文章でおわってしまう、どうしよう。

と困ります。えぇ、アタシ今とっても困っています。

そうだ、せっかくB.B.キングについアツく書いたので、アルバートとB.B.が、同じ「キング」でも何故違うのか?そいつをちょいとばかり説明いたしましょう。

二人が決定的に違うこと、それは「ブルース」というものに対するアティテュードでございます。

ロック側からの絶大な人気から、2人とも「オレがブルースを背負って立たねばな」という気持ち、ものすごく持っておりました。

B.B.はそれを強く意識して「一人でも多くの人にブルースを聴いてもらおう。好きになってくれるかどうかはわからんが、オレが演奏することで、知ってくれる人はいるだろう」と、それこそ時代の先端のサウンドをどんどん取り入れ、ロックやジャズ、フュージョン系のミュージシャン達もじゃんじゃんレコーディングに参加させ、また、自分のライヴにはゲスト出演してもらい、お呼びがかかればどんなに音楽性の違うアーティストとも共演も喜んで行って、自分自身のスタイルはしっかり守りつつも、共演者の個性を殺さないように、細心の気配りをしたし、それが出来た人です。バイクでいえばホンダ。



一方のアルバートはどうか?コレが良い意味でB.B.とは真逆の姿勢の、徹底した「オレ様主義」。

曲調が何だろうと、バックがどう変わろうと、若者の間で何が流行ろうと、ロック側からどうアプローチされようと

「んなもん知らねぇ、オレ流でやらしてもらう」

で、いつもの存分にタメの効いたチョーキング一発で、ことごとくその場を制圧する。

これはこれでカッコイイですよね、単車でいえばカワサキ。

面白かったのが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンとも共演番組の映像ですね〜。レイ・ヴォーンはもちろんアルバートの大ファンで、一説によるとあのガッチガチに張った太い弦も「アルバートみたいなズ太い音出したいからなんだ」とか言ったとか言わないとか、そんぐらいの人なんですが、この人がアルバートと共演することが出来て、もう嬉しくてたまんない!といった表情で「先輩、どうすか?どうすか?」とギャンギャンに弾きまくってるんだけど、アルバートは隣で「へぇ、おめぇヤルじゃねぇか」と余裕の、若干意地悪な顔してニヤニヤしてるんです。挙句には爪をヤスリで研いでる(笑)!!

あと、伝説のライヴとして知られるアメリカ南部の一大ソウルの祭典「ワッツタックス」では、そん時スタックスと契約していた唯一のブルースマンとしてステージに上がるんですが、他のアーティストは若者から絶大な支持を集めているソウル/ファンクの連中です。会場、物凄いノリノリイケイケの空気でブワーっと盛り上がってるところにフライングVを持ったアルバートがふてぶてしく登場「おめぇらブルースわかってんのか?教えてやるよガキども」みたいな顔で、思いっきりスローなマイナー・ブルースやって。若干引き気味のスタンドに「どうだ!」と得意げ!!

コレコレ



いや〜、カッコイイです!この「ついてこれるヤツだけついてこい!」な唯我独尊オレ様ブルース、もうたまらんですち。

アタシはこのワッツタックスの映像を見て「カ・ッ・コ・イ・イ!!」と惚れて、丁度そのスタックス時代の名盤だよと言われていた「ボーン・アンダー・ザ・バッド・サイン(悪い星の下に生まれて)」を買って、その強引な力技でねじ伏せるチョーキングにシビレ、実は甘く奥行きのあるヴォーカルの魅力と、あと、ソウル・バンドとして最強(無駄のないグルーヴィー・サウンドでアーティストをガッツリサポートできるという意味で)のブッカーT&ザMG'sのコシのあるファンキーなサウンドにすっかり夢中になりました。

えぇと、そんなアルバート・キングです。だから最初に聴くのはぶっちゃけどれからでもいいんですが、個人的に、最先端のソウル・サウンドの中で一切ブレずに”オレ様ブルース”貫いてるアルバートが、その姿勢もサウンドもいっちばんカッコイイと思うんで、60年代後半からのスタックス時代を強く推薦します。

「ボーン・アンダー・ザ・バッド・サイン」をとにかく・・・と思ったんですが、今はこのベストに「ボーン〜」の曲ほとんどと、スタックス時代の傑作が程よく聴きやすくまとめられてんのでコレオススメです↓





【収録曲】
1.ランドロマット・ブルース
2.オーヴァーオール・ジャンクション (MONO)
3.オー、プリティ・ウーマン
4.ファンクシャン
5.クロスカット・ソー
6.ダウン・ドント・バザー・ミー (オリジナルLP未収録曲)
7.悪い星の下に生まれて
8.パーソナル・メッセンジャー
9.カンザス・シティ (オリジナルLP未収録曲)
10.ヴェリー・ソート・オブ・ユー (オリジナルLP未収録曲)
11.ザ・ハンター (オリジナルLP未収録曲)
12.アイ・オルモスト・ロスト・マイ・マインド (オリジナルLP未収録曲)
13.アズ・ジ・イヤーズ・ゴー・パッシング・バイ (オリジナルLP未収録曲)
14.コールド・フィート
15.ユー・シュア・ドライヴ・ア・ハード・バーゲン
16.アイ・ラヴ・ルーシー
17.ユア・ゴナ・ニード・ミー


値段もリーズナブルだし、収録曲多いし、入門盤としては言うこたぁありません。

余談ですが、あの粘っこいチョーキングと、鬼のようにズ太いトーン、どうやったらあんなフィーリング出せるんだと、若い時分に結構研究したんですが、何かの本に

「アルバートはギター・アンプとかカンケーなくて、スタジオやステージにあるアンプのつまみを、あのデッカイ手で全部上からビャーってなでてフルテンにしてた」

と読んで「あ、真似しようとか思ってたオレがアホでした。すいませーん!」

となりました。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

posted by サウンズパル at 11:58| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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