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2015年09月24日

ビッグ・ビル・ブルーンジィ ファーザー・オブ・ザ・シカゴ・ブルース・ギター

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ビッグ・ビル・ブルーンジィ/ファーザー・オブ・ザ・シカゴ・ブルース・ギター
(Pヴァイン)

戦前ブルースを聴いていると必ず「1本のギターなのに2本鳴ってるように聞こえる」

という不思議体験をします。

アタシの場合は最初にロバート・ジョンソンを聴いたとき

「コレは絶対ベース音担当のサイドギターがいるに違いない!にしてもすごいではないか、完全にロバートと息がピッタリだ!!」

という、お決まりのパターンにハマり(^^; あとでライナノーツを見て、あ、キース・リチャーズがおんなじこと言ってる。と気付くに至った次第。

そこで、これもお決まりのパターンなんですが

「えぇ!?」

となります。

いや、だってありえんでしょう。まだコードジャカジャカしか出来なかったギター初心者の十代には「親指でルートを弾いて他の指でメロディーを弾く」なんて、指弾きのアルペジオなんかよりも遥かに遠い、まるで異次元のよーな話でしかありませんでした。

必死で耳コピしようとしては何度も挫折し、それでも食らい付いて、何とか「それっぽいこと」が出来るようになるまでに、ようやく1年半ぐらいかかりました。

その頃はみんな早弾きの練習してて、アタシよりどんどん上手くなっていくのを「ちくしょー」と横目で見ておりましたが、アタシは正直早弾きよりも”そっち”を極めたくて、黙々と練習していました。

で、ロバート・ジョンソンは、まぁ何となく(上手く出来ないところははしょりつつ)弾けるようになった。

丁度運よく上京してすぐにステファン・グロスマンの「カントリー・ブルース・ギター奏法」みたいなビデオも購入して、ロバート・ジョンソンやサン・ハウスだけでなく、ミシシッピ・ジョン・ハートやマンス・リプスカムの奏法解説などを見ながら「なるほど、親指でルートをキープしつつ人差し指でオブリガードを合間に挟むのか・・・」と、一応理論的に納得のようなものをしたら、あの「何をどうやってるか全く分からなかったミシシッピ・フレッド・マクダウェルの弾き方もどきもなんとなく出来るような木がしてきました。

あの頃は「ビデオ」ってのが本当に貴重だったんですよ。

特に戦前の、ほとんど伝説の中にしかいないようなブルールマン達の「動く姿」というのは、拝めるだけでもう御の字だった。

というわけで、ある日ライノから出ていた「ストーリー・オブ・ザ・ブルース」というビデオを見つけます。

これはですね、何と!中学からの憧れのレッドベリーの貴重な映像が入ってるというので、即買いしました。

入っていたのは「Pick A pale of Cotton」の1曲だけ。

それでも「動くレッドベリー」がまさか観れるなんて、想像もしていなかったので(しかもカラー)、卒倒しました。

しかも、そのビデオにはサン・ハウスの映像や、ベッシー・スミスの「セント・ルイス・ブルース」なんかも入ってて、戦前ブルース好きにはもうたまらんだったんです。

で、をうをう言いながら観てたんですけどね、そん時に出会ったのがビッグ・ビル・ブルーンジィのこの映像でした↓




分かる人は分かりますよね、そう、エリック・クラプトンが「アンプラグド」でやってた「Hey Hey」の元ネタです(確かビデオのクレジットでは「Guitar Suffle」てなっていた)。

コレ!何じゃコレ!究極の2本同時弾きギターじゃん!!しかもリズムがぜんっぜん狂ってない、正確無比のこのピッキング。何このビッグ・ビル・ブルーンジィってオッサン、全然知らねぇけどカッコイイぞ!!

と「この曲絶対マスターしてやるわー、そしてこの曲入ってるCDも探したるわー」と思って、早速情報収集とCD探しを同時に行いました。

学校(短大)の図書館にブルースの本があって、それ読むと


「ビッグ・ビル・ブルーンジィこそが、戦前シカゴ・ブルースの大スターであり、あのマディ・ウ、ォーターズの才能を見出して育てたよーなもんであり、また、その抜群のギター・テクニックは1930年代シカゴでブルースを弾いている全てのギタリストの憧れの的であった。つーかとにかくすげぇ大物なんだよ」


みたいなことが、おぉ、書いてある書いてある(大分自分なりに語調は変えてますが・・・)!!

あとはおなじみのパターンで、埼玉から池袋へ「ビッグ・ビル探し」の旅の果てにようやく中古屋で国内エピックソニー盤「ビッグ・ビル・ブルース」という、今にして思えばビッグ・ビル全盛期を代表する名盤中の名盤を買ったのですが、残念ながらコレには例の「ヘイ・ヘイ」が入ってなかった(でも、内容は1930年代シカゴブルースのとびきりゴキゲンなシティ・サウンドなのよね♪)。

で、ガイドブックやら何やらを読みまくってようやく辿り着いたのが天下のPヴァインからリリースされていたこのアルバム↓



【収録曲】
1.Pig Meat Strut
2.I Can't Be Satisfied
3.Tadpole Blues
4.Saturday Night Rub
5.How You Want It Done
6.Milk Cow Blues
7.I'll Be Back Home Again
8.Serve It To Me Right
9.Mississippi River Blues
10.Something Good
11.Mountain Blues
12.I Can't Make You Satisfied
13.I.c. Blues
14.Messed Up In Love
15.Why Don't You Do Right?
16.I Want You By My Side
17.I'm Feeling Low Down
18.She Belongs To The Devil
19.What's Gettin' Wrong With You?
20.Come On Baby And Take A Walk
21.Hey, Hey


先のソニー盤「ビッグ・ビル・ブルース」が、ちょいちょいギターの凄いところを小出しにしつつも「トータルなアーティストとしてのビッグ・ビルの凄いところ」を記録した名作なら、このアルバムは強力無比だった鬼のギター・ピッカーとしてのビッグ・ビルが余すところなく収録されております。

とりあえず「そんな弾き方どーやったらできるんだよ!!」感満載の@やCのラグタイムでの凄まじいノリを体現してみてください。んで、もうこの際「クラプトンがカバーしたから」というミーハーな理由でも構いませんから、ラストの「ヘイ・ヘイ」のオリジナルの天才的リズム感にぶっ飛んでください。

あとはうん、実はスロー・ブルースも味わいがあって、ノリノリのラグだけじゃなくて唄の合間にちょろっと弾く単音チョーキングの凄さとか、流石はマディが”親父”と慕っただけはある豪快で気風のいいヴォーカルの中にある、クセになる哀愁とか、まぁ細かくじっくり聴いていけば、絶賛ポイントはいくつもあるんですが、とりあえず「アコースティックなブルースのギターでぶっ飛びたい」人は問答無用で購入をオススメします。

このアルバムにタイトル付けるとしたら「シカゴ・ブルース・ギターの父」以外ないよなぁと、いつ聴いてもアタシはしみじみ思います。。。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:07| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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