2015年10月02日

ガトー・バルビエリ El Pampero

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Gato Barbieri/El Pampero
(Flyng Duchman/BGP)

「ジャズにアルゼンチン音楽のエッセンスを見事に注入した」

とか

「元々フリー・ジャズの人だが、そこから独自すぎる進化を遂げた」

とか

うん、難しく言えば何とでも難しく言えますガトーさん。

「エロい」

「演歌サックス」

「叫んでるだけ」

と、簡単に言っても何とえも簡単に言えますガトーさん。

えっと

「難しい方の意見」も「簡単な方の意見」も、アタシは全面的に正しいと思っております。

ラテンのリズムに情感ムンムンにむせぶテナー

うん、デビュー作はESPでドロッドロのフリーやってるし、ご存知「チャプター・ワン」をはじめとする”インパルス4部作”では情念そのままにバックに民俗楽器使って「血」を全面に出した。そのままの勢いで続く契約先のフライング・ダッチマンというレーベルでは、周りのクロスオーバー路線もどこ吹く風、オレは知らんよとばかりに土臭さ全開のラティーナ全開で暴れまくったガトーさん。

80年代以降は穏やかなイージー・リスニングっぽいバックに上手に乗っかって「メロウに聴かせる路線」にちょいと流れてもみたけれど、やっぱり芸風はデビュー時から一切変わってないんですよね。

ガトーの何がどういいか、今、色々考えてるんですが、要するにアレです、音楽の難しい話とかじゃなくて、もっともっと凄くシンプルに、アレですよ、人間の感情が一番高ぶった時って「叫び」が出るじゃないですか、ガトーの魅力の全部は


「ギャアァァァーーーーー!!!!」

「キュルキュルキュルーーーーー!!!!」

という”叫び”に凝縮されておるんだとアタシ思います。

ガトーはこの”叫び”が実に上手いんですよ。

「叫びが上手いって!?」

て思われる方、いるかも知れませんが、楽曲はマイナー・チューンの、ちょい”泣き”の入ったメロディで、でもリズムはパーカッションとかがゴキゲンにチャカポコ鳴ってる時に、ガトーさんズ太い(そしてエロい)テナーの音で、”泣き”のフレーズをシンプルに吹いてる、というのが大体「いつものパターン」なんですけど、この時、急に感極まって超高音でテナーがいきなり、でも実に絶妙なタイミングで、そして絶妙な音色で”泣く”んですね。

この”泣き”が心にズキューンと当たったら、もう、ガトーのアルバムを何枚も買ってしまう立派なジャンキーになれるんですけれどもね、えぇ、どのアルバムも良い意味で”大体おなじ”。

でも、微妙に違うアレンジとかバック・サウンドの中で「さぁ、ガトー、いつものアレをやってよはやく」と、ドキドキしながら待っていると「ギャアァァァァァァアーーーーー!!!」と、願ったタイミングでいつもハートを打ち抜いてくれるんですよねー。あぁ、大好き。。。

そんなガトーさんの”叫び”聴きたい人は、やっぱりフライング・ダッチマン時代かなー






【パーソネル】
Gato Barbieri (ts)
Lonnie Liston Smith (p)
Chuck Rainey (b)
Bernard "Pretty" Purdie (ds)
Sonny Morgan (conga)
Nana Vasconcelos (perc)

【収録曲】
1.El Pampero
2.Mi Buenos Aires Querido
3.Brasil
4.El Arriero


メンツを見ると、ロニー・リストン・スミスにチャック・レイニー、バーナード・パーディという、70年代ソウル・ジャズど真ん中の顔ぶれに驚きますが、ガトーは「そんなん知らん、ワシ、叫ぶ」とばかりに、ラティーノ魂全開な演奏をバックにやらせて、好きなだけ叫びまくっております、特にこのアルバム、ライヴ盤なのでいつもより余計に叫んでおります。


この超高音は”フラジオ”という、ちょっと特種な技で息を吹き込まないと鳴らないサックスの技術を駆使した奏法なんですけど、コレ、決まらないと”ぷひゅー”っていう実に情けない音が出ちゃうんですよね。サックス吹きとして言わせてもらえば、ハズすことなくこんなに強い音で、一音もハズすことなく「ここ!」という場面でバンバンフラジオ決めるガトーさんすげぇなぁ・・・と思ってたりするんですが、それはまぁサックス吹く人らが勝手に感心すればいいことで、とにかくまだ聴いたことない人は、ズキュンと打ち抜かれてください。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 18:44| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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