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2015年10月22日

リトル・ウォルター ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー

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リトル・ウォルター/ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー

(Chess/ユニバーサル)

関ジャニ∞ 渋谷すばる君の、愛に溢れた”リトル・ウォルター語りを聞いて、アタシもついつい興奮して、自宅にあるリトル・ウォルター「ヘイト・トゥー・シー・ユー・ゴー」のレコードを取り出して「あぁカッコイイわぁ・・・」と、ノリノリなりながらそのド迫力のジャケットをしげしげと眺めておりました。


これこれ、この「傷だらけの顔」LPで見ると凄まじい迫力なんですが、CDでも全然凄まじいです(汗)

リトル・ウォルター、本名マリオン・ウォルター・ジェイコブスJr.

ルイジアナのクレオールの家庭に生まれるも、10代の頃には既に家を飛び出して、17歳の頃にはもうシカゴの路上でブルース・ハープをブイブイ言わせていて、ついでに言うとその頃には、伝承で語られているように、常に銃やナイフを懐に忍ばせ、酒、博打、女絡みのトラブルも多かったそうです。

36歳の時、些細なことから酔っ払いに殴られた傷が元で死んだことから

「リトル・ウォルターといえば喧嘩っぱやいチンピラ」

というイメージもありますが、実は、彼の顔面の傷のほとんどは、同じ黒人のヤクザな連中に付けられたものではなく、彼に差別的な態度や一方的な暴力をふっかけてきたシカゴの白人警官に、果敢にも立ち向かって行ったことによって付けられた「返り討ち」の傷なんだとか。

当時はブルースマンといえど、白人警官には馬鹿を装って揉めるのをやり過ごすか、へりくだってご機嫌を取るかしかなかった時代。

「おい、そこの小僧(白人警官は大人の黒人にも差別的にこう呼んでいた)、何やってんだ!」

と、高圧的な態度を取ってくる警官に

「小僧だと?俺に言ってるのか、このクソヤロウ!!」

と、完全にブチ切れた顔で悪態を付くウォルターが、警官数人に袋叩きに遭っている光景というのは、相棒だったハニーボーイ・エドワーズをはじめ、マディ、ロバート・ジュニア・ロックウッド、ジミー・ロジャース、またはチェスのオーナー、レナード・チェスなど、数々の人が何度となく目にした「日常茶飯事」だったことでしょう。

そんなことを考えるとね、やぶれかぶれだったリトル・ウォルターの人生というものについて考えながら彼のブルースを聴く時、何とも言えない切ない感傷が心をふっとよぎるんですよね・・・。

彼は決して見境なく誰彼構わずつっかかるタイプではなく、どっちかと言えば「愛されたい」「好かれたい
」という気持ちが優先して突っ走るタイプだったんじゃなかろうか。

シカゴの白人警官などと言えば、当然黒人社会にとっては「自分らを差別して迫害する憎い敵」であり、その敵にへりくだることなく突っかかることでウォルターは仲間達から一種ヒーローのように思われたかったんじゃなかろうか・・・と。

まぁ、これは本人の言葉が残ってるわけじゃないので何とも言えませんが、彼のブルース、特にソロ・デビューして「どっちかというと泥臭いブルースよりもR&B調の曲でもって売れたいぜ!」という気概に溢れた楽曲を連発して、それがまた見事にヒットしたこと、師匠のマディには「お前の歌は軽いのよ。ブルースとしてはなっちゃいねぇな」と、よく注意されたという、その棄てばちで良い意味での軽薄さに溢れた歌声が、彼の破天荒な生き様と、もう見事すぎるぐらい見事に符号してしまうので、ついつい感情移入してしまいます。

で「ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー」であります。




【収録曲】
1.ノーバディ・バット・ユー
2.マイ・ベイビーズ・スウィーター
3.ローラー・コースター
4.アズ・ロング・アズ・アイ・ハヴ・ユー
5.オー・ベイビー
6.テイク・ミー・バック
7.エヴリシングズ・ゴーイング・トゥ・ビー・オールライト
8.メロウ・ダウン・イージー
9.ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー
10.アイ・ガット・トゥ・ファインド・マイ・ベイビー
11.エヴリバディ・ニーズ・サムバディ
12.ブルー・ミッドナイト
13.アイヴ・ハド・マイ・ファン
14.キー・トゥ・ザ・ハイウェイ
15.ブルー・アンド・ロンサム
16.アイ・ガット・トゥ・ファインド・マイ・ベイビー(別テイク)
17.アイヴ・ハド・マイ・ファン(別テイク)


1952年に「ジューク」「マイ・ベイブ」等の曲がR&Bのチャートに入り(いずれも「ベスト・オブ・リトル・ウォルター」に収録)、願望通り「R&Bのスター」になったウォルターですが、その絶頂期はほんの数年。

ロックンロールの台頭によって、従来の「ブルース」が苦戦を強いられるようになった1950年代半ば、ウォルター自身は「オレはR&Bのスターだぜ!」とは思ってはいたものの世間からみたら「ブルースハープ吹くヤツぁブルースマンだろうが」と思われていたのか、セールス的には非常に苦戦を強いられるようになってきます。

そんな中で作られた彼のこのアルバムは、セカンドになるわけなんですが、個人的には「ジューク」を凌駕するほどの必殺インスト・ナンバー「ローラー・コースター」とか、よりR&B/ロッキンなノリの良さが炸裂した名曲はこのアルバムの方が多くてお気に入りなんですが、残念ながらこのアルバムの中から、R&Bチャートを沸かせたヒット曲は出ませんでした。

しかし、本当に良いものというのは、必ず後世の評価というものががついてくるもんなんですね。

「このアルバムのジャケットに惹かれてリトル・ウォルターを知った。そしたら何てクールなんだ!ブッ飛んだよ。曲もヒップだし、ウォルターのアンプリファイド・ハープはもう神業だね。」

と、彼の死後その内容を多くの後輩ブルースマン、そしてロック・ミュージシャン達に大絶賛された「ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー」は、今では彼の代表作として、広く世界中で聴かれ、そして愛されております。

本当にどの曲もカッコ良くて、実に”ワルい”ですよ。

リトル・ウォルターが生涯残したオリジナル・アルバムはたった3枚で、どれも最高ですが聴く側の「思い入れ」をこんだけ集めたアルバムつったらないでしょう。歌の魅力、時代を先取りしまくったアンプリファイド・ハープの魅力共にどんだけ言葉を尽くしても、恐らくは尽くしきれないでしょう。

あとこのアルバム、個人的にどうしてもグッときてしょうがないが”一瞬”があります。

それはF「エヴリシングズ・ゴーイング・トゥ・ビー・オールライト 」で、曲終わった最後の最後に、アカペラでウォルターが「・・・エヴリシング、エヴィリシング、エヴリシング、イズ・ゴーイング・トゥ・ビー・オールライト・・」と、呟くように、自分自身に言い聞かせてるかのように唄ってるんですけど、このワン・フレーズに、彼の「全然” エヴリシングズ・ゴーイング・トゥ・ビー・オールライト ”じゃなかったブルースマン人生」が凝縮されてるようで、えぇ、いつも泣かされるんですよねぇ・・・。





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(必殺インスト「ローラー・コースター」まるでビッグ・バンドのサックス・ソロを聴いてるようです♪)


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 18:28| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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