2015年11月16日

モーターヘッド エース・オブ・スペーズ

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モーターヘッド/エース・オブ・スペーズ
(Hostess Entertainmen)

フィルシー“アニマル”テイラーの訃報を友人のFacebookで訃報を知りました。

フィルはモーターヘッド、の「1992年以降以外のほとんどの時期」(細かいことを言えば間に一時期抜けていた時期があったりと、色々とややこしいのですがそこは割愛)ドラマーとしてそのタフでラウドで荒々しい「モーターヘッド・サウンド」の中核を成しておりました。

とにかく私にとって「モーターヘッド」といえば「フィル・テイラーがドラム叩いてた頃のあのサウンド」なんです。

あの、ハードロックの粗さとメタルの激しさ、そしてパンクの衝動とロックンロールのスピリッツが渾然として重たい余韻を孕ませながら炸裂している、他のどのロックにもない、でも、彼ら以降のほとんどのロックに大きく影響を与えた”モーターヘッド・サウンド”というのは、レミーのドス効きまくりなキャラ(声もベースも見た目もね♪)とフィルのヘタウマなドラムが轟音の中でぶつかり合って初めて成立するものなんです。

モーターヘッド、それはアタシにとってはAC/DCと同じぐらい”ロックの代名詞”と呼べるバンドです。

「ジャーン!」と出だしのフレーズが鳴るだけで「うぉぉぉぉおお!!」と、無条件でテンションが上がる、頭よりも心よりも先に血が騒ぐ、そんなバンド。

中学の頃にパンクを好きになり、クラッシュ、ピストルズ、ダムド、ラモーンズと聴いて、中学校卒業祝いにレッド・ツェッペリンの2枚組ベストを買ってもらって「洋楽ロック」というものを、アタシは本格的に意識し出すようになりました。

そん時にヘヴィ・メタルに出会いました。

スキッド・ロウ、イングヴェイ、ミスター・ビッグ、オジー・オズボーン、ガンズ・アンド・ローゼス、メタリカ、モトリー・クルー、パンテラ、スレイヤー、アンスラックス、エクストリーム、メガデス・・・とにかく激しくて刺激に満ちた音を求めていたアタシにとっては、当時「バーン」とか「ヤングギター」とかで名前をチェックしたハードロック/ヘヴィ・メタルのバンドなら”何でも”ぐらいの勢いで、聴きまくってたんですが、その中でどこかに「パンクロックからの影響」を感じさせるバンドだなと、特に思ったのがスラッシュ・メタルの連中とガンズ、パンテラ、そしてスキッド・ロウで、アタシはこのバンドのインタビューとかは、食い入るように読んでました。

そんな”アタシの好きなメタル・バンドのミュージシャン達がインタビューで必ず名前を挙げるのが「モーターヘッド」だったんです。

記憶にある中でも、メタリカのジェイムズ・ヘッドフィールド、スキッド・ロウの確かレイチェルが「モーターヘッド大好き、最高、クール」みたいなことを言ってたと思います。

雑誌編集者の解説文でも「モーターヘッドはハードロックからヘヴィ・メタルへと音楽を発展させた恐らくその一番深いところにいるバンドだろう。そして今のアンダーグラウンド・シーンのパンク/ハードコアにも大きな影響を与えている」とあったと記憶しています。

アタシは根っからのミーハーです。

そして、メタルを聴いていてもどこか「パンクな姿勢」を音楽に求めていました(これは今でもどんな音楽聴く時も忘れちゃならん姿勢だなと思っとります)。

そんな時頼りになるのがウチの親父です。

学校の帰りにサウンズパルに寄って、親父に「モーターヘッドないか?」と尋ねました。

生憎在庫はなかったのですが「一番カッコイイ、オススメのやつを取り寄せてやる」と親父は言いました。

その数日後、届いたアルバムが彼らの代表的傑作、いや「ロックを語る時は絶対にハズせない金字塔」とも言われる名盤「エース・オブ・スペーズ」です。





【収録曲】
1.Ace Of Spades
2.Love Me Like A Reptile
3.Shoot You In The Back
4.Live To Win
5.Fast And Loose
6.(We Are)The Road Crew
7.Fire,Fire
8.Jailbait
9.Dance
10.Bite The Bullet
11.The Chase Is Better Than The Catch
12.The Hammer
13.Dirty Love (Bonus Tracks)
14.Please Don’t Touch (Bonus Tracks)
15.Emergency (Bonus Tracks)


正直音に関しては全くどんなものか想像すら出来てなかったんです。

でもまぁ彼らの見た目(皮ジャンに皮パン、イカツい髭)から「モトリー・クルーをゴツくしたよーなアメリカン・ハードロックなんだろうな」と思ってました。

レジで会計をする時、親父はこう言いました。

「モーターヘッドはアレよ、ドラムがヘタクソだけどカッコイイ。いいか、バンド・サウンドっちゅうのはドラムで決まるんじゃ。それがコレ聴けば分かる。とにかくドラム聴けドラム。あーそれと、ハンパな音量で聴いてもアレだから窓閉めてボリューム上げて聴け」

と。

「分かった」

と私は言い、自転車をいつもの倍のスピードで漕いで家に着くなり部屋に駆け込んで、部屋の窓がガッチリ閉まってるのを確認して、CDラジカセの音量をほとんど最大に近いぐらいに設定してCDをスタートさせました。

これね「爆音」で聴いたからよかったんですよね。

モータヘッドのサウンドは、とにかく「やかましい」。

この一言に尽きました。

あの頃のメタルみたいに極端に速い曲はないし、ヴォーカルもシャウトしないけどドス声で炸裂してる。一個一個の音を「ちゃんと聴こう」としても鼓膜にゴンゴン跳ね返って全然「ちゃんと聞こえないバンド・サウンド」ギャンギャンノイジーなギターとゴリゴリとズ太いベース、そしてやっぱり親父の言った通り「ひたすらやかましいだけのドラム」。

想像していた「ハードロックの破れ型」みたいな音ではあったんですが、そのへヴィでラウドで(物理的にはパンテラとかメタリカの方が全然ラウドなんだけど、気合いで音出して、楽器をとことん痛ぶってる感はモーターヘッドが明らかに上)粗削りなサウンドは、想像していた色んな音全部が生ぬるいものとしてすっとぶぐらいの「ハードロックより突き抜けたロックンロール」でした。

その時、アタシの中で、それまで何となく「近そうで遠いもの」だった大好きな音楽、つまり「パンクとメタル」が、混沌の中で「ピタッ」と、何の不自然もなく繋がったんです。

実際モーターヘッドは、G.B.Hやバッド・ブレインズといった、アメリカン・ハードコア・バンド達にも凄い影響を与えていたそうで、後になってパンク系雑誌のインタビューでも「モーターヘッド」という文字が出てくるのを見ては一人でニヤニヤしておりました。

あと、個人的に上京してニルヴァーナにハマり、アルバム「ブリーチ」を初めて聴いた時、カートのザラついた声と粗く破れたサウンドに「うぉ!モーターヘッドの魂(気合い)を初めてちゃんと継承したバンドがニルヴァーナのよーな気がする!!」と、一人勝手に興奮してたアタシはアホです(笑)。

「エース・オブ・スペーズ」

買ったその日の夜「どうだった?」とドヤ顔で訊く親父に「キチガイ!キチガイが3匹いる!!」と言って、さらに「ドラム、あんなバカみたいにバシャバシャしかやらんのに、何であんなにビシャっちキマるのよ?」て訊いたら親父は「頭オカシイからよ」と応えて缶ビールを美味そうにゴクゴク呑んでおりました。

ちなみにこの時買った「エース・オブ・スペーズ」数ヵ月後に友人に「お前、モーターヘッドやばいから聴け!」と無理矢理貸したまま、アタシの手元にはありません。フィルに哀悼の意を捧げ、買い直したいと思います。


更に追伸:フィルの「ハチャメチャなドラム」は、更に前のアルバム(ファースト、セカンド)で実に絶妙な「ヘタウマぶり」で楽しめます。そいでもって「モーターヘッドのもっとヤバいアルバム」は、この後に出されたライヴ「No Sleep Till Hammersmith」(邦題は「極悪ライヴ」)だったりるすんですけど、それらについてはまたゆっくりと書きたいと思います。パンク好きもメタル好きも、この際だからプログレ好きも「ロック」という言葉に何かアツいものをちょっとでも感じる人はみんなモーターヘッドを聴きましょう。



(R.I.P.フィルシー”アニマル”テイラー)


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:30| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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