2015年11月26日

チャールス・ミンガス 5ミンガス

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チャールス・ミンガス/5ミンガス

(Impulse!/ユニバーサル)

さて、本日ご紹介いたしますのは「黒い聖者と罪ある女」で「うわー、ミンガスってやべー、かっけー!」とまんまとなったアタシが「今度こそ”ドルフィー入りのミンガス”を聴きたい!!」という思いで購入した2枚目のアルバム「ファイヴ・ミンガス」であります。

原題は「MINGUS,MINGUS,MINGUS,MINGUS,MINGUS,」なのですが、長いですよね。

以下にミンガスが偉大なアーティストで、すこぶるつきにかっこいいベーシストであっても5回も名前言われると・・・

「ミンガス」

「ウイッス!」

「ミンガス」

「あ・・・はい」

「ミンガス」

「お、おぅ・・・」

「ミンガス」

「わかったわ!」

「ミンガス」

「もうええわ!!」


と、今のアタシでもなってしまいます。恐らくは全国のジャズファン、ミンガスファンの皆様もおんなじよーな気持ちだと思いますので、発売からほどなくして付いた通称の方がよく知られておる、というアルバムなんですが、いや、中身を聴いてみますれば、これは確かにある意味で当時最も「ミンガスらしいアルバム」というぐらいに、そのブルージーで、やさぐれで、かつ繊細で洗練もされた彼流の”ジャズ”が、凄まじい濃度で展開されているアルバムなんです。


アタシ個人にとってはフェイバリットであり「コレはもう一生モノだな」と思うのは、意外な幽玄美に彩られた「黒い聖者と罪ある女」ではあるんですが、もしお客さんかミンガス聴いたことない人に

「ミンガスのアルバムで何かオススメないですか?ライヴ盤以外で」

と聴かれたら、この「5ミンガス」を、かなりの高確率でオススメしたいと思ってはおります。

何つったってセレクトした楽曲の「静と動のバランス」が絶妙だし、「ミンガスといえば」の名曲「ハイチ人の戦闘の歌」(本作では1曲目に「II B.S.」として収録)と、あのジェフ・ベックもカヴァーした、泣ける名曲「グッドバイ・ポークパイ・ハット」(本作では6曲目「レスター・ヤングのテーマ」として収録)、ミンガスが心底敬愛するデューク・エリントンの代表曲のひとつ「ムード・インディゴ」など、選曲の妙もあります。

そして「ミンガスといえば」の最強リズム・セクションであるダニー・リッチモンドとジャッキー・バイアードがガッツリと土台を固めた”自在に躍動するリズム”のトラックと、堅実派ドラマーのウォルター・パーキンスがまた味のあるプレイでミンガスを盛り上げているトラックとの「聴き比べ」もできるし、ホーン・セクションも「黒い聖者〜」でも大活躍だったチャーリー・マリアーノ、ジェローム・リチャードソンの2サックスに加えて、超個性派のエリック・ドルフィーにブッカー・アーヴィンが実にいいし、ミンガスの重厚なサウンドに欠かせない「トロンボーンとチューバ」も、編成の中で活き活きと躍動しておりますし・・・と、いいところを上げればキリがないぐらいなんですね。

あ「ミンガスまだ聴いたことない、ジャズもあんまよくわからん」て人は、メンバー解説のところはすっ飛ばして読んで結構です。

これこそは「百聞は一見にしかず」であり、とにかく1曲目のイントロからズ太く走るミンガスのベース、そこに折り重なるオーケストラ・サウンドのド迫力、ソロイスト達の「クセ」が嫌味なくゴキゲンにブリブリ言ってるのを聴いて「あぁ、いいわあ・・・」と、誰しもがなれるとアタシは思っておりますから(んで、最初に聴いた衝撃と刺激が冷めてきたところでバラード・ナンバーが後からジワジワ沁みてきますから)。





【パーソネル】
チャールス・ミンガス(b)
エディ・プレストン (tp@CEF)
ロルフ・エリクソン(tp,ABD)
リチャード・ウィリアムズ(tp)
ブリット・ウッドマン(tb,@CEF)
クエンティン・ジャクソン(tb,ABD)
ドン・バターフィールド(tuba)
ジェローム・リチャードソン(ss,bs,fl)
ディック・ハファー(ts,cl,fl)
ブッカー・アーヴィン(ts@CEF)
エリック・ドルフィー(as,bcl,fl@CEF)
チャーリー・マリアーノ(as,ABD)
ジャッキー・バイアード(p)
ジェイ・ベルリン(g,ABD)
ウォルター・パーキンス(ds,@CE〜G)
ダニー・リッチモンド(ds,ABD)

【収録曲】
1.U B.S.
2.IX ラヴ
3.セリア
4.ムード・インディゴ
5.ベター・ゲット・ヒット・イン・ヨ・ソウル
6.レスター・ヤングのテーマ
7.ホラ・デクビタス


で、アタシの個人的な「何でミンガス2枚目をこのアルバムにしたか?」っつうことなんですが、ひとつはやっぱりサイドマンでエリック・ドルフィーが参加しているヤツが聴きたい!という気持ちが凄くあったというのと、その時(ジャズ聴き始めのとき)に、後期コルトレーン、アルバート・アイラー、アーチー・シェップと聴いてきて”ハズレ”がなかった「Impulse!」というレーベルの、何といいますか硬派なジャズ魂みたいなのに惚れてしまっていたので「インパルスなら間違いなかろう」という絶対的な信頼があったからです(その後も今までずっとImpulse!とアタシとの”男同士の信頼関係”は不変のまま続いております、カッコイイんだってインパルスってレーベルは♪

で「ドルフィーさぁこい!アグレッシブでエキセントリックでホピホピなソロでこのミンガスの重厚な世界に斬り込んだれ!」と思ってずーっと聴いていたのですが、実はドルフィーのドルフィーらしいソロが聴けるのはラストのFのみで、これはもう期待通りのキレッキレなんですが、他の曲はミンガスの「男ブルースと大人の官能美」がメイン。

「あれれ?ドルフィーこれで終わり?」とは思ったものの、やっぱりここでもドルフィー云々はカンケーなく「ミンガスはミンガスでカッコイイ、しかも圧倒的に」なので、不満はありませんでした。

むしろこのアルバムの、特に「U B.S.」でミンガスの「本領発揮の荒ぶる魂の燃焼」を衝撃と共に堪能することが出来て、ここでその後「もうたまんなく好きぃ♪」になるブッカー・アーヴィンというコテコテのアクのかたまりのよーなテナーマンと運命の出会いを果たして、ジャズの世界の更なる深淵に引きずり込まれたので、やっぱり「ファイヴ・ミンガス」はミンガス聴く上では絶対にハズせない名盤であります。


その後「色んなレーベルの色んな年代のミンガス」を聴いてきましたが、ミンガスが一番やりたがっていた小オーケストラで、じっくりと時間も予算もかけさせて、完成度の高いサウンドを聴かせてくれるという意味ではImpulse!での本作と「黒い聖者と罪ある女」に敵うアルバムはないなぁ・・・と、初めて聴いたその日から20年弱経った今聴いても全く飽きないどころか、ますます鮮烈で濃厚な「美」を感じさせてくれるサウンドにうっとりしながらしみじみと思うのであります。



(「U B.S.」コレはもうイントロのベース音だけでゾックゾクきます、アツいです!)



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:15| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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