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2016年01月08日

B.B.キング シンギン・ザ・ブルース

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B.B.キング/シンギン・ザ・ブルース

(CROWN/Pヴァイン)

昨年の秋から冬にかけて「ちょっとB.B.を改めてじっくり聴き込んでみようモード」に入っております。

もちろんきっかけは他界したから、っていうのもあるんですが、このトシになってどうやらモダン・ブルースというものが心の底からグッとくるようになりまして、特に1950年代の、あの独特の渇いたサウンドとか、エレキギター黎明期独特の埃っぽいサウンドの質感というのが何だか無性に恋しく思うことがありまして、そんな時にB.B.の初期50年代の音源を何気なく車の中で聴いてみたら、これまでになくB.B.がツボになっておりました。

個人的なことで大変にアレなんですが、実は引越しをしまして、荷物を梱包して運び出すまでの間、CDも数日間、段ボールの中に封印しておりまして、新居への運び込みが終わったら、もう欲求の限界だったんですね。でも、あれを聴こうこれを聴こうという気持ちが募りすぎて、考えてしまったらそこで迷いの袋小路に陥りそうな気がして怖かったので、何も考えずの状態で本能がどれを一番最初に手掴みするかと思っておりましたら、本能がコレを選んでおりました。




【収録曲】
1.Please Love Me
2.You Upset Me Baby
3.Everyday I Have The Blues
4.Bad Luck
5.3 O'Clock Blues
6.Blind Love
7.Woke Up This Morning
8.You Know I Love You
9.Sweet Little Angel
10.Ten Long Years
11.Did You Ever Love A Woman
12.Crying Won't Help

はい、1957年リリースのB.B.キング記念すべきファースト・アルバムですね〜♪

ファースト・アルバムとはいっても、B.B.自体のデビューは1949年、24歳の時であります。

デビュー当時からB.B.は多くのシングル・ヒットを放っていたB.B.ですが、50年代当初のブルースやR&B、の常識には「アルバム」という概念がなかったんですね。メーカーに言わせてみれば、ブルースの主な購買層である黒人の若者や労働者達は、わざわざ高いお金を出してアルバムまでは買わんだろうと思われていたんです。

ところが多くのアーティスト達が、次々とこの常識を塗り替えました。

ブルースやR&Bという音楽が「消費される大衆音楽」だけではなく「繰り返しの鑑賞に耐えうるグッドミュージック」だということに、多くの人々が気付いたんですね。

そんな時代の空気は、若き日のB.B.キングにとっては最高の追い風になります。

南部一帯では、ミュージシャンのとしてだけでなく、ラジオ番組のDJとしても名を馳せていたB.B.でしたが、デビュー曲の「3 O'Clock Blues」がヒットした時から「自分の演奏はホーン・セクション入りのフルバンドでやらなきゃいけない、メンバーも全員揃いの衣装でビシッとキメてね」という、音楽性も表現手法もかなり洗練された都会的なものを志向しておりました。

フルバンドを雇ってそのギャラから衣装代までの面倒を見るというのは、売れっ子とはいえ、まだぺーぺーだったB.B.には金銭的にかなり負担の大きいものでありましたが、時代を先取りしたそのサウンドは、レコードプレイヤーの普及と共に、あっという間に全米規模の人気と注目を集めることになったのでした。

フルバンド編成にこだわったB.B.の楽曲のクオリティはすこぶる高く、その真価は連続して聴けるフルLPとなって更に発揮されたと言って良いでしょう。

かくして1950年代後半に、時代はロックンロール全盛の頃にも関わらず「B.B.キングのブルースは最高にイカしてて新しい!」と、評判が評判を呼び、LPデビューからほどなくして、早くもB.B.はブルース界の不動の王としてその名を世界に轟かせたのでした。

んで、楽曲なんですが、実はこのアルバムに収録されている曲のほとんどは、B.B.が敬愛するブルースマン達の往年のヒット・ナンバーなのです。

有名なのが初ヒットとなった「3 O'Clock Blues」そしてライヴのオープニング曲としてはもうおなじみの「Everyday I Have The Blues」というローウェル・フルスン御大の持ち歌なんですが、これは以前フルスン御大の「トランプ」のところで書きましたが、この曲を演奏したいB.B.が、律儀にも御大に「先輩、あの曲レコードにしたいんスけど・・・」と許可を得ようとしたところフルスン御大があっさり「いいよー♪」と言ったことでB.B.の曲みたいになったんですが、更にイイ話として御大が「なぁBよ、オレの”3 O'Clock Blues”をラジオでちゃんとかけてくれたDJはお前だけだった、だからあの曲はお前にやるよ」と、気前良く言ってくれたというエピソードがあります。

ちなみにこっからは想像ですが、太っ腹なフルスン御大は「あぁ、あとな”Everyday I Have The Blues”アレもお前にやる。まぁ、言ってもあの曲はオレが書いたんじゃないけどな、ハッハッハ」と更に気前のいいところを見せたことでありましょう。

さてさて、そんな感じで聴き応え満点、エピソード満載のB.B.キングのファースト・アルバム「シンギン・ザ・ブルース」なんですが、実はアタシ、このアルバムを買った時、何も知らずに買ったんですよ。

何つってもB.B.のアルバムは恐ろしい数のタイトルが出ていて、その全部から「これ!」と思って選んだという訳ではなく、ジャケを見て「何となく初期っぽい」という理由だけで選んで買ったのです。

アタシの中でのB.B.キングといえば、最初に聴いて感動した「ライヴ・アット・ザ・リーガル」の、あの余裕の歌声とギターで聴衆をグイグイと力強く引き込むあの圧倒的な存在感、或いは60年代の名盤「ザ・ジャングル」で聴けるようなハイ・テンションに叩き付けるかのような唄と、それに負けてないヴォーカル・ライクな(つまり”よぉ唄ってる”という意味ですな)ギターの流麗さ。コレに尽きると思っておったんですが、最初にこのアルバムでの若き日のB.B.を聴いたら、何か全然違う意味で感動して、同時に今までにないほどの親近感を覚えてしまい、ますますB.B.が好きになりました。

嬉しくてたまらない気持ちに一切ブレーキをかけることなくゴキゲンにブルースを唄い、自慢のギター”ルシール”でチョーキングする。

一言で言えばB.B.が終生変わらず持っていた持ち味が、この頃から既に炸裂しているといえばそのまんまですが、まだエルモア・ジェイムスやTボーン・ウォーカーといった先輩ギター・レジェンドから受けた影響を完全に消化しきっていないスタイルのギターや、南部メンフィスに住みながら、憧れだったロイ・ブラウンなどの洗練されたR&Bシンガー達の唄い方を目指して、声を甘く綺麗に響かせようと意識しているのなんかを聴くと「あぁ、本当に初々しくて、でも新鮮だなぁ・・・」と思ってしまうんです。

細かいことを言えばこの時代、まだ例のセミアコの”ルシール”ではなく、フルアコの”ルシール”のパキパキした硬質の音や、多分エルモアや当時の”メンフィス・アグレッシヴ・ギター”と呼ばれた周囲のブルースマン達からの影響だと思われる、意外にもギンギンに歪んだアグレッシヴなリフ(@のイントロなんか鳥肌よ)とか「ホーン入りのフル・バンド」にとことんこだわった、イナタいながらもどこかゴージャスなバンド・サウンドとか、もう聴きどころは無限に出てきますが、この文章をお読みになったブルース好きの方で、まだB.B.の初期音源というものを聴いたことのない方は特に「一生モノの相棒」として、ぜひ末永くお付き合いくださいね。聴けば聴くほど何というか”気持ち”に応えてくれる素晴らしく濃密なアルバムですので。






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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:31| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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