2016年03月04日

アリ・ファルカ・トゥーレ Radio Mali

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Ali Farka Toure/Radio Mali
(Nonesuch/elektra)

西アフリカのマリ共和国、この国は非常に豊かな音楽の地であり、グリオーという吟遊詩人文化があり、コラ(竪琴)やンゴニ(三味線のような四弦楽器)といった、独自の弦楽器文化がある土地であります。

そんな中「マリのブルースマン」として世に現れ、世界中の多くの人々にその人間味溢れる唄と独特のギターの魅力と共にマリ音楽の素晴らしさを広く知らしめたのがアリ・ファルカ・トゥーレであります。

有名なのはアリが世に出るきっかけとなった1995年のライ・クーダーとの共演作なんですが、文字通り”ブルースマン”としての彼の表現のコアな部分に触れるアルバムとしては、弾き語り中心のシンプルな編成で深〜い味わいがたまんない「ラジオ・マリ」がオススメです。



レイディオ・マリ

【収録曲】
1.Njarka
2.Yer Mali Gakoyoyo
3.Soko
4.Bandalabourou
5.Machengoidi
6.Samariya
7.Hani
8.Gambari
9.(njarka) Gambari
10.Biennal
11.Arsani
12.Amadinin
13.Seygalare
14.Terei Kongo
15.Radio Mali
16.Njarka (excerpt)


1970年〜1978年、ラジオ放送用の音源です。

マリという国は実に音楽に力を入れている国で、1960年代に独立をしてから、何と政府が主体になって自国の伝統音楽も新しいポピュラー・ミュージックも「才能があるミュージシャンがいる」となればとにかくマーケティング、コンサートや作品制作などにも予算を惜しまずに「どんどんやれ!」と、ミュージシャン達を支援していたんです。

何でも当時の国の偉い人の思想には「我が国が欧米と肩を並べる一流の国になるには、経済やインフラなどはもちろんだが、それ以上に文化だろ!」というのがあったようで、特に新しいものに敏感な若者達が自分達で新しいマリの文化を作っていくことが出来るのならば、それは伝統音楽じゃなくても構わない。ポップスでもジャズでもロックでも何でもやりたいよーにやれば良い。と、文化的な一切にとても寛容であったといいます(何て素晴らしいんだ、どっかの国の偉い人達は爪の垢でも煎じて飲めばいい)。

その中から出てきたのがサリフ・ケイタです。言うまでもなくアフリカン・ポップスの頂点を極める偉人でありますが、その話は長くなるからまた今度ね(汗)

で、アリ・ファルカ・トゥーレです。

「アフリカのブルースマン」と言われているのにはちゃんと訳があって、彼は若い頃にラジオからジョン・リー・フッカーのブルースを聴いて「すっげぇ!俺、これになる!!」と決めて音楽の世界に入ったようで、その音楽は伝統的なマリ音楽独自のエッセンスを軸に、ジョン・リー・フッカーやロバート・ピート・ウィリアムス、スキップ・ジェイムス、ミシシッピ・フレッド・マクダウェルといったブルースの中でもとりわけクセやアクの強い、南部フィーリングを濃厚に持つカントリー・ブルースマン達からの影響が色濃く感じられます。アリの声をオクターブ低くしてドロッドロにしたら確かにジョン・リーみたいになるでしょう。

ただ「ブルースに影響を受けたからそれをまんまやる」というのではなく、ギターのアクセントやメジャーとマイナーの間を浮遊感たっぷりに自由に泳ぎながら、ワン・コード、或いは2コードの繰り返しが生み出すトリッピンなノリはアフリカそのものであり、いわゆる「ブルース」というよりも、この人にしかない「ブルースが一周して帰って来たらこうなっちゃった」な感じがたまらなくいいんです。




(これはブルースでしょう)







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

posted by サウンズパル at 19:37| Comment(0) | 世界の民族音楽など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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