ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2016年05月04日

エド・ベル マムリッシュ・ブルース

5.jpg
エド・ベル/マムリッシュ・ブルース
(Pヴァイン)

音楽っていうのは、ある程度自分が得た知識があって、それを元にして好きなミュージシャンだったりバンドだったりの音を求めるもんでございます。

しかし、本当に「わぁ、音楽っていいもんだな〜」ってなるのはそこからで、それまで全然知らなかった人だったり音だったり、聴いたこともないジャンルの音楽に出会うと、一気に世界が広がるし、それまで自分が好きで聴いていたジャンルの音楽にも、ひときわ愛着が沸く、というか、音楽っていうものを自分の中で、本当に本当にかけがえのない大事なものなんだ。

って思えるようになってくるんですね。

よくヨガなんかやってる人が「チャクラが開く」とか言う言い方をしますわね。

アタシなんかはチャクラが何たらはよくわからん底辺もいいところなパンピーではありますが「ある日突然、聴いている音楽が”わかる状態”になる衝撃体験」は、何度もしました。

これは18からハタチぐらいの時に戦前ブルースにハマッて

「何これ、知らん」

「うぎゃー!ヤバい!カッコイイ!!」

の毎日でした。

シャー・・・シャー・・・というSP盤特有のスクラッチ・ノイズにまみれた空気の中から、ややこもり気味のブルースマン達の声やギターから、何ともいえない郷愁を孕んだ”うた”が心に突き刺さった時の感動といったらありません。

今でも色々と音楽を聴きますが

「何か得体の知れないものに、得体の知れない感動を覚えたい」

という時は、戦前ブルースを聴くようにしています。


はい、話を18,19の頃に戻します。

ボブ・ディランのつながりからレッドベリーを聴いたのが、確かアタシの「戦前ブルース初体験」だったのですが、そっから数年あってロバート・ジョンソン、サン・ハウス、ブラインド・レモン・ジェファソン、・・・などなど、戦前のブルースマンの「知らない名前の知らない音源」は、とにかく片っ端から入手して聴き狂っておりました。

ライナノーツとか色々と読んでおりますと、それなりに知識も溜まってきます。

そん時に覚えたのは

「戦前ブルースと一口に言っても、南部と都会では大きくスタイルが違うよ」

ということと

「ブルースの源流にはミシシッピ・デルタとテキサスという大きな2つの流れがあるよい」

ということでした。

そんでもって「源流」という言葉に弱いアタシは、それこそミシシッピだテキサスだっていうブルースのCDはとことん集めた。

そのうちに

「いや、実はテキサスとミシシッピの影響を受けつつ独自のスタイルが栄えたジョージア(アトランタ)ってところもある」

何それー、早く言いないなアンター!

と、思っておっても、実はブラインド・ウィリー・マクテルを既に持っていて

「なるほど、他のブルースマンにはない洗練された軽快なスタイルと12弦ギターという変わった楽器を使うのがアトランタ流儀か・・・」

とか、とにかくもう戦前ブルースを好きで聴くようになってからは、そんな感じの新しい発見と驚きと感動の連続だったんです。

アメリカ地図をきったなくノートに写して「ここがミシシッピ、ちょい北上するとメンフィスで、更にずーっとまーーーっつぐゆくとシカゴがあるんだねぇ」とか、そういう空想遊びも楽しくなってきた頃です。

アメリカ南部はミシシッピとアトランタのあるジョージアの間に、アラバマとかいうブルースの空白地帯を見付けました。

なんでじゃろう?

と思って「じゃあアラバマのブルースマンを探し出して聴いてやる!」と、レコードガイドブックを血眼になって探し出して掘り当てたのが、アラバマを代表する唯一無二のブルースマン、エド・ベルなのでありました。





【収録曲】
1.Mamlish Blues
2.Hambone Blues
3.Mean Conductor Blues
4.Frisco Whistle Blues
5.Shouting Baby Blues
6.She’s A Fool
7.Tooten’ Out Blues
8.Grab It And Run
9.Leaving Train Blues
10.House Top Blues
11.Rocky Road Moan
12.Rosca Mama Blues
13.My Crime Blues
14.Snigglin’ Blues
15.Big Rock Jail
16.From Now On
17.I Don’t Like That
18.She’s Got A Nice Line
19.Squabblin’ Blues
20.Barefoot Bill’s Hard Luck Blues
21.One More Time
22.Bad Boy
23.Carry It Right Back Home
24.She’s A Fool Gal
25.Brown Skin Woman (Pillie Bolling)
26.Shake Me Like A Dog (Pillie Bolling)



はい、実を言うとアラバマは、深南部の他の州と比べてブルースマンの少ない土地であります。

このエド・ベルを筆頭に、名がそれなりに知られているのといえば、ドロドロのハーモニカ大将のジェイバード・コールマン、マ・レイニーにちょいと似た泥臭いスタイルの女傑ルシール・ボーガンと、その相棒のピアニスト、ウォルター・ローランド、それから「RCAブルースの古典」にもちょろっと入ってるストーブパイプの名手(!)ダディ・ストーブパイプぐらいのもんです。

何でだろうなぁと思ってはおったんですが、これは音楽とは全く関係ない理由で、多分アラバマにはこれといった産業がなくて、労働者とかの流入が南部でもそんなになかったんじゃないかと推察されます。

で、エド・ベルですが、この人のスタイルも、チャーリー・パットンとかのデルタ勢のように「エモーショナルたぎる衝動」系でもなく、ブラインド・レモンのように「何かギターが凄すぎて何やってっかわからない」系のものでもないです。

歌もギターも、あくまで素朴な軽やかさがじわっときます。

のほほんとやっておるようで、ダラーっと流していると実に心地良いんですが、よくよく聴いてみるとギターで「シャラッ」と入れるオブリガードとか、ややもさっととしたリズムに、他では求め得ないこの人独特の味わいが効いていて、なかなかにワン・アンド・オンリーのツワモノぶりを感じます。

基本は弾き語りで、時折良い感じに入ってくる相棒のピリー・ボーリングとの歌とギターの掛け合いも洒落たもんです。お隣ジョージア・ブルースの軽妙なスタイルからの影響が多々うかがえますが、カラッと歌って軽快にギターを鳴らしても、どこか引きずるような陰があって、そこがクセになりますな。

レコーディングは「ベアフット・ビル」とか「スルーフット・ジョー」とか、色んな名前で行っており、同一人物じゃないか論争の末に、ようやく「これはエド・ベルで間違いない」と、生涯に残した全26曲が、今はまとまった形で聴けます。



アタシが持っている長年愛聴の輸入盤(中身まったく一緒)はコレ

10045094807_s.jpg

なんですが、Pヴァインのリイシュージャケは何かすごいお洒落ですなぁ。

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 15:45| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: