2016年07月18日

ジョン・コルトレーン コルトレーン・プレイズ・ブルース


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ジョン・コルトレーン/コルトレーン・プレイズ・ブルース
(Atlantic/ワーナー)

ジャズが好きです。

で、ブルースも大好きです。

そもそもアタシがジャズ好きになったのは、中学の頃から何かと聴いていたブルースという音楽に対する憧れとか、心底「ヤバイ!」と思う感動とか、そういったものがあったからで、もしもアタシがブルースを聴いていなかったら、きっとジャズを聴いても今ほどのめりこんではいなかったと思います。

ジャズの”ヤバさ”を教えてくれたのは、言うまでもなくコルトレーンです。

とは言ってもアタシが最初に惹かれた・・・というより持っていかれたのは、晩年のフリードロドロバッキンバッキンのカオスでアナーキーな演奏でしたが、これは今でも不思議に思うんですけど、何故かそういう演奏に、どうしようもないぐらいに濃厚なブルース・フィーリング”的”なものを感じたんですね。

ほら「ブルースは理屈じゃない、フィーリングだ」って言葉があるじゃないですか。

アタシも十代の頃なんか一丁前に、まだロクにブルースもよくわからんのに「フィーリングだ」とかほざいてはおったんですが、コルトレーンの「ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン」を初めて聴いて、そのグチャグチャにひしゃげたサウンドの中から、何とも美しい”うた”の美しさが胸にドーンと来た時に「あ、これ、ブルースだ」と、初めて理屈じゃなく思ったんです。

そんなこんなの”後期コルトレーン”に、勝手に理屈でないブルース・フィーリングを感じて吹き上がっておる時に「Coltrane Plays The Blues」に出会いました。

そん時はどの時期のがどんな音でーとか分かんなかったもんで、ただ「お、コルトレーンがブルースやってるー♪」ぐらいの軽〜いノリで買って、半分予想通り(奇をてらわないストレートなブルースをやってるという意味で)半分予想外(コルトレーンがフリーじゃなくて古典的な演奏してるという意味で)のその内容に嬉しくなって、このアルバムはすんなりと愛聴盤の仲間入りをしました。

どの曲も、心地良いテンポの、すんなりと聴ける”良い感じのブルース”。

「ふんふん、いいね〜♪」

と、午後の昼下がりなんかに聴いても、夜中に一杯やりながらも多分聴ける、コルトレーンのアルバムの中では珍しく「聴き手に姿勢を求めないアルバム」とでも言えばいいでしょうか。

資料によると、このアルバムはコルトレーンが

「スタジオに入って一気に行った”アルバム3枚分のレコーディング”のうち、ブルースのみを集めてアルバムにまとめたもの」

らしいです。

何でそんな一気にレコーディングしたかというと、コルトレーンにとっては後に良き相棒となるドラマーのエルヴィン・ジョーンズがバンドに参加して、彼の「フツーじゃない革新的なドラム・プレイ」に激しく刺激を受けて、嬉しくなってしまったコルトレーンが「おい、スタジオ入ってレコーディングしようぜ♪」と、ハイ・テンションのままスタジオ入りしたからなんだとか。

コルトレーンのそういうとこ、もう「音楽!」ってなったら脇目もふらずに突き進んでしまうとこ、大好きなんですが「おーし、やるか、エルヴィン、マッコイ、スティーヴ!」となって「で、何やるよ・・・?」「とりあえずブルースだ」(ジャズマンの間ではセッションの時にまずブルースをやるのがお約束)という具合に、和気藹々でやったんでしょうね。和やかな中にピリリと程よい緊張感が漂うこのアルバムの空気からは、そんなスタジオでの”嬉しい初顔合わせ”の様子まで、リアルに伝わってくるようであります。






【パーソネル】
ジョン・コルトレーン(ts,ss)
マッコイ・タイナー(p,@C〜F)
スティーヴ・デイヴィス(b)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)

【収録曲】
1.ブルース・トゥ・エルヴィン
2.ブルース・トゥ・ベシェ
3.ブルース・トゥ・ユー
4.ミスター・デイ
5.ミスター・シムス
6.ミスター・ナイト
7.アンタイトルド・オリジナル(エキゾチカ)


(録音:DEF1960年10月24日,@〜C10月26日)


リラックスした和やかな雰囲気に「お前、それテキトーに付けただろ!」とツッコミたくなる曲名、いつ、どんな時でも安心して「おーいぇ〜♪」な気分で聴けるブルース・アルバム。

なんですが

実は繰り返し聴いて「あ、すげっ・・・!」と、思ったところがいくつかあります。

一言で言えば「アドリブの斬新さ」なんですが、コルトレーンは古典的なブルースという素材でも、アドリブに入ると、それまでのジャズマンがやったような「お約束」にのっとったブルース・フレーズから、どうやって飛躍しようか?ありきたりにならないアドリブとは何だ?ということを実に真剣に考えながら、常に一歩先を見据えてテナーとソプラノを吹いているフシがある。

ともすればワン・パターン、聴いてすぐ飽きる感じになり易いブルース・セッションですが、コルトレーンのアドリブを真剣に聴いていると、実にソリッドで、しかもブルースの持ち味を損なわずに楽曲の中で出来る限り多彩なアドリブの限界をやっているんです。

何度も何度も聴いて飽きないのは、単に”味”だけでなく、コルトレーンの決して予定調和にならない、考え抜かれたアドリブのキレと、それに呼応してしっかりとリズムをキープしながらもグングンと独自の展開を見せるリズム・セクションの感覚の新しさが、このアルバムの肝でしょう。

エルヴィンはもちろん凄いんですが、実はマッコイのピアノにも耳を傾けて聴いて欲しいです。サラッと凄いことやってますから。






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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

posted by サウンズパル at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 大コルトレーン祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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