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2016年07月27日

ジョン・コルトレーン オレ

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ジョン・コルトレーン/オレ!(Atlantic/ワーナー)

このブログの「大コルトレーン祭」は、とりあえずコルトレーンの作品や参加作など、聴いた片っ端からレビューという形で書いてアップしておりますので、時系列でややこんがらがってしまうかも知れません。

すいませんなぁ・・・、アタシはどうしても順番通りに事務的に作業するのが苦手なので、とりあえずバーって書いてから、時系列整理した記事をアップしますんで、ホントすいません。。。

とりあえず、このブログではよく「初期コルトレーン」「中期コルトレーン」「後期コルトレーン」と、ざっくりした言い方をよくしますんで、軽く

・初期=1950年代(レーベルでいえばPrestige時代)

・中期=1950年代末から1960年代最初付近(レーベルでいえばAtlantic,Impulse!最初の方ぐらいまで)

・後期=1960年代(レーベルでいえばImpulse!コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルヴィンのカルテットの終わり頃以降)

こんな感じを頭に入れていただければと思います。

厳密には「中期」「後期」をどうしようかすごく悩んでおるのですが、このブログはマニアのためのブログではなく

「今からコルトレーンでもちょいと聴いてみよう」

というビギナーな皆さんのためのブログですので(?)細かいことはとりあえず置いといてざっくり、です。


そんなわけで本日もAtlantic時代「中期コルトレーン」のアルバムをご紹介。

「エリック・ドルフィー参加のコルトレーンのアルバムってばすっげぇヤバいんだぜ!」

ということは、今まで散々興奮気味で言っておりますが、コルトレーン・グループにドルフィーが参加したのはほんの一瞬。

ライヴ盤では公式/非公式で数枚出ておりますが、実はソロイストとして参加した公式なスタジオでの録音盤はたった一枚だけなんです。

それがこのアルバム「オレ!」です。




【パーソネル】
ジョン・コルトレーン(ts,ss)
フレディ・ハバード(tp
エリック・ドルフィー(as,fl)
レジー・ワークマン(b)
アート・デイヴィス(b,@A)
エルヴィン・ジョーンズ(ds)

【収録曲】
1.オレ
2.ダホメイ・ダンス
3.アイシャ


録音は1961年5月。

実はこの時コルトレーン、アトランティックで大成功を収めたのですが「君のオリジナルな表現をもっといい条件でレコーディングしたいんだ」と、あるレーベルからのヘッドハンティングを受けておりました。

このレーベルこそ、1960年代に颯爽とシーンに登場し、コルトレーンをはじめとする多くの先鋭的なミュージシャン達を世に送り出し、コルトレーンにとっては”終いの棲家”となるインパルス・レコードだったのです。

契約金はもちろんアトランティックよりもいい、でも、何より自分の音楽にこれまでにないぐらいの深い理解を示し「やりたいことがあったらどんどんスタジオ入ってやっちゃっていい」という破格の条件はコルトレーンにとっては魅力でした。

もちろんアトランティックもコルトレーンの音楽に、それまでのジャズにはない”新しさ”を感じ、色々とサポートはしてくれましたが、他にも多くのスターがキラ星の如く所属している大メジャーのアトランティックにあっては、多少なりとも「やりたいことより売れるものを」というプレッシャーは感じておったのでしょう。コルトレーンはメンバーを引き連れてImpulse!と契約します。

ほんでもってブラス・セクション入りの超大作「アフリカ/ブラス」というアルバムをレコーディングしたのですが、実はコルトレーンとアトランティックとの間には、あとアルバム一枚分の契約が残っておった。

「コルトレーン、まだ一枚分あるよ」

「あ・・・しまった・・・」

といった具合に、コルトレーンはバタバタと古巣のスタジオに戻って、アルバムをレコーディングします。

しかしそこはコルトレーン、いわば消化試合のようなレコーディングとはいえ、手抜きは一切致しません。

スタジオにはコルトレーン、マッコイ、レジー・ワークマン、アート・デイヴィス、エルヴィン・ジョーンズといったリズム・セクションに加え、コルトレーンのお気に入りで、新しく正式メンバーとなったドルフィーと、若手有望株のトランペッター、フレディ・ハバードも連れて行って、この時点で最も刺激的な編成&書き溜めておいたとっておきの楽曲を持ってアトランティックへの”最後のご奉公”をガチンコで行います。

コルトレーンの気合いの入りようは、どの楽曲のどの瞬間からも炸裂しておるのですが、やっぱり一番カッコイイのはタイトルにもなっている最大の目玉曲「オレ」でしょう。

「オレ!」は、スペインの闘牛士の掛け声。文字通りスパニッシュ・モードの2コード進行で、エルヴィンのシンバルが気持ち良く8分の6拍子を刻む中、コルトレーンのソプラノ〜ドルフィーのフルート〜ハバードのトランペットが、それぞれに全く違う個性をアツく燃焼させながら大空に舞い上がり、実に濃厚な聴き応えでもって聴く人の五感に降り注ぎまする。

コルトレーンは軽くテーマを吹いて、すぐにソロをドルフィーに譲るんですよね。

恐らくコルトレーン、この若くて自分よりはるかにぶっ飛んだ感覚を持った天才ソロイストに、ちょいと花を持たせてあげよう的な感じで一番手を任せたと思うんですが、このドルフィーのソロがもう全然”あたりまえ”じゃなくてすこぶるカッコイイんですよ。

続くフレディ・ハバードは流石にオーソドックスなスタイルからちょい前衛なものまでこなせる実力派とあって、一番オーソドックスで、一番スペインな”カチッ”としたソロでじわじわ雰囲気盛り上げてくれてるんですけど、その後にたまんなくなって出てくる感じのコルトレーンのソプラノのソロがもー異次元!!

その後発掘されたライヴ音源でも

・コルトレーン、軽くソロを吹く→ドルフィーがそれよりブッ飛んだソロを吹く→頭に血が上ったコルトレーンが激しく吹きまくる

というパターンがよく出てきて、もうホントにコルトレーン、自分のバンドにとことん刺激を与えてくれる起爆剤としてドルフィーを雇ったんだなと、聴きながらほれぼれしつつ感動します。

続くモーダルなAはこっちはドルフィーのアルトもカッコイイけど、フレディ・ハバードのプレイがミソです。

曲だけ聴くとマイルス・デイヴィスが好んで吹きそーな感じなのですが、もちろんマイルスとは違う、ちょいと手数を増やしつつ知的さも感じさせるハバード、アブストラクトなドルフィー、その中間を悠々行くコルトレーンのテナーが楽しめます。

繊細なバラードのBでは、再び「コルトレーン=ソプラノ、ドルフィー=フルート」になりますが、主旋律からソロへと3人が美しくアドリブを繋げて行くのがたまらんですね。ただ単純にアツいだけじゃなく、アンサンブルの美しさも聴くべきでしょう。

ライヴ盤と違って、実はドルフィー、かなり「ぶっ飛び」をセーブしてるんですが、スタジオ盤ということと、作品としてのトータルな”出来”を考えたら、敢えて6割ぐらいで吹いてるドルフィーの判断は正解でしょう。

あと、重厚なリズムに奥行きを与えてるレジー・ワークマンとアート・デイヴィスの2ベースの官能的な絡みも、実はこのアルバム独特の空気を作ってる大事な要素です。

聴きどころはやっぱり@のベース・ソロ、2本でアルコ(弓弾き)してるところがあるんですけど、この2人のベースだけが描く幻想画のような世界、これがもうクセになってたまらんです。

コルトレーン好きとしては、それぞれの年代で「これ、いいよね!」というアルバムあるんですけど、アタシは特にAtlanticといったらこのアルバムに”好き”を通り越した特別なものを凄く感じます。

いや、コルトレーンはどれもいいんですけど、代表作と言われるものを既に持っている人「その次」にどうですか?これは本当に凄くいいですよ。


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
posted by サウンズパル at 19:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 大コルトレーン祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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