2016年09月23日

ソニー・スティット パーソナル・アピアランス

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Sonny Stitt Quartet/Personal Appearance
(Verve)

ジャズという音楽のカッコ良さを、その凄腕&無尽蔵の唄心炸裂のサックス・プレイで、とってもとっても分かりやすくストレートに、聴く人に伝えてくれる職人、ソニー・スティットを、前回前々回と引き続き皆様に紹介しております。

まずはビ・バップ黄金期を代表する素晴らしいメンバー達と、テナーでもって白熱の激戦を繰り広げた若きスティットのアツい演奏が楽しめる初期の名盤、続いて最大のライバルであり、色んな意味で比較して語られていたチャーリー・パーカーの楽曲に敢えてアルトで挑み、彼の影響を軽やかに克服した60年代の名盤を立て続けにご紹介しましたが、アタシがこれだけ言ってもまだスティットに興味が沸かない、「んなこと言ってもどーせ大したことないんだろう?」と思っている人に、今日は

「アルトもテナーも吹いているワン・ホーン作、しかも楽曲はスティットのオリジナル2曲を除いてほとんどがおなじみのスタンダードでどうだ!これ以上分かり易く曲の良さとスティットの演奏がズバッとくるアルバムなんてそうはないぜぇ〜♪」

という、とっておき盤について書きます。

かく言うアタシも、実は「お、今日はちょっとスティットでも聴くべか」と軽く思った時は頻繁に取り出して聴いている愛聴盤です。

ソニー・スティットっていう人のカッコ良さは、つくづく「いつでもどこでも普段着で、気軽に、しかし確実に上質な”ジャズの快楽”」を、聴く人に感じさせてくれるところなんです。

ジャズっていうと、何だか敷居が高いとか、高いオーディオで聴かないとダメなんじゃないかとか思う人はいて、それはそれで否定はしません。逆にその敷居の高さ、高級なオーディオで聴いた時の「うぉー!何じゃこりゃー!!全然違うー!!」ってのも、後々十分に楽しめる音楽ですから。

でも、スティットの「いつでもジャズ、どこでもアドリブ」な、良く言えばサッパリした屈託のなさ、悪くいえばあっけらかんとした単細胞さは、やれ敷居が高いとかやれ音楽的に高度なうんちゃら、とか、そういうつーまらないウジウジをスコーンと飛ばしてくれます。

スティットの「とりあえず吹きまくってみる」という、実に明快で”ツボ”な演奏は、そのまんまロックとかの「エレキギターでジャーンとやるの聴いたら理屈抜きで興奮する」というアレとまったく一緒です。

もうホント、笑っちゃうぐらい”聴くだけ簡単”で、物凄い質量の”ジャズってかっけー!!”を、何の理屈もなく教えてくれるのがスティット、らいっつ、なう。ハッハッハー!なんですよ。




【パーソネル】
ソニー・スティット(as,ts)
ボビー・ティモンズ(p)
エドガー・ウィリス(b)
ケニー・デニス(ds)

【収録曲】
1.Easy To Love
2.Easy Living
3.Autumn In New York
4.You'd Be So Nice To Come Home To
5.For Some Friends
6.I Never Knew
7.Between The Devil And The Deep Blue Sea
8.East Of The Sun (And West Of The Moon)
9.Original?
10.Avalon
11.Blues Greasy


はい、アルバム「パーソナル・アピュアランス」は、そんなスティットの”かっけー!”が、それこそ目一杯詰まったアルバムです。

録音は1957年、丁度ジャズの世界ではビ・バップから進化して、より黒っぽいファンキーなノリを重視したハード・バップという新しいスタイルが、例えばマイルス・デイヴィスとかアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズなんかが演奏してて、世界的にジャズが盛り上がっていた時代です。

この頃多くの若いジャズマン達は「如何にして人と違うことをやるか」ということに頭を悩ましておったんですが、この頃既に中堅からベテランぐらいのところにおったスティットは

「何やるかだって?んなもん考える前に吹け、全力で吹け」

とばかりに、お得意のビ・バップ高速フレーズを、流行だのスタイルだの全然カンケーなく、湯水のように吹きまくっております。

とにかくスティットは、アルトだろうがテナーだろうが、楽器を操る抜群のテクニック、特に低音から高音まで、どの音も同じ強さとボリュームで完璧にコントロールする技を既に極めておりましたから、そのテクニックを一番カッコ良く披露するには、ややもっさりしたハード・バップよりも「スカカカカカカ!!」と軽めに疾走して行くビ・バップのスタイルが一番手っ取り早かったのでしょう。

とはいえ、彼の尋常ならざるテクニックは、やっぱり楽曲をアドリブで料理して、そのフレーズから、聴き手に”うた”を感じさせるためにあるものです。

アルトでもテナーでも、次々と美しく、スリルと力強さで料理されてゆくスタンダードの、極上の味わいはどうでしょう。

このアルバムは、基本的にリラックスしたミディアム・テンポのナンバーが多いのですが、それはそれ、ミディアムだろうがレアだろうがウェルダンだろうがアドリブではキッチリ全力疾走してくれるスティットプレイには、やはり”本気”がみなぎっております。

はい、内容については余り細かいこたぁグダグダ言いません。スティットどうのサックスどうのというよりも、聴いて2秒以内に「これがジャズのカッコ良さーーー!!」と、ここに収録されている気合いの演奏からビシバシくると思いますんで、まずは感じてください。考えるのはその後でよろしい。スティットかっこいいんだぜぇ♪






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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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