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2017年03月12日

ビッグ・ビル・ブルーンジィ ビッグ・ビルズ・ブルース

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ビッグ・ビル・ブルーンジィ/ビッグ・ビルズ・ブルース
(ソニー・ミュージック)

ソニーがリリースした、¥1080のグレイトな企画「ギター・レジェンド・シリーズ」から、本日もお届けしております。

さてみなさん、いよいよお待ちかね、シカゴ・ブルースの大物中の大物、落語でいえば真打の師匠の師匠ぐらいの凄い人の登場でございます。

はい、ビッグ・ビル・ブルーンジィですよ〜!!!!!


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え・・・?

今ちょっとモニターの向こうから、ブルースファンの拍手喝采の中に、かなりのボリュームで

「・・・誰?」

「知らん」

という声が混ざってましたが、ちょっとあーたがた本気ですか!?

・・・はい、そうなんですよ。戦前シカゴ・ブルースの王者とも言われるほどに、1930年代から40年代初頭にかけてのシティ・ブルースのスタイルの確立にはものすごーく貢献した人であり、バンド・サウンドにおけブルース・ギター(アコースティック)の集大成とも言える画期的な奏法を確立した凄腕のギター・レジェンドでありながら、ビッグ・ビル・ブルーンジィは実際ブルース好きの中でも

「うん、何かマディに影響与えた人らしいけど、実はあんま聴いたことないんだよね」

と、軽く扱われることが何故か多い。

その理由というのは、まぁ弟子のマディ・ウォーターズが作り上げた戦後の”電気ミシシッピ・ブルース”ともいえる”あの”シカゴ・ブルースのサウンドのインパクトが余りにも強すぎて、サラッとした都会流儀の戦前シカゴ・ブルースというのは、どうにも「あのシカゴ・ブルース」を期待して聴いた人にとってはアクやクセが思いのほか薄くてどうもガツンとこないとか、そもそも戦後シカゴ・ブルースの熱狂的なマニアであったストーンズやクラプトンの文脈からビッグ・ビル・ブルーンジィという人はちょっとだけ離れた孤高の存在なので、今のブルースファンの大体8割ぐらいを占める”ロック好きからブルースに目覚めたよ”な人達のストライクゾーンにはなかなかズバッと入ってこなかったという物理的な問題もあります。

実際我が国では、戦前モノまで聴いている重症なブルースファン以外に「ビッグ・ビル・ブルーンジィ」という名がようやく知られるようになったのは、エリック・クラプトンがアンプラグドで、ビッグ・ビルの「ヘイ・ヘイ」を演奏してようやく・・・といった感じでした。

でも、アタシは知っています。クラプトンの「ヘイ・ヘイ」でビッグ・ビルの存在を知った人が本人の演奏を聴いて

「いや素晴らしかった、あんな洗練されてるのにフィーリング豊かなギターを弾ける人はなかなかいない」

「ビッグ・ビルかっこいいね、戦前ブルースってロバート・ジョンソンだけじゃなかったんだね。いや凄いわ」

「1930年代だっけ?ブルースであんな風にジャジーなこと出来る人っていたんだ。ギターもいいけどコノ人のは雰囲気が凄くいい。酒が美味くなるブルースだ」

と、驚嘆の声と共に穏やかな顔で口々につぶやいていったのを。

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(マディとの仁義あるストーリーはコチラをご覧ください。)


そう、ビッグ・ビルはとにかくギターの名手です。

戦前ブルースのギターといえば、南部の泥臭くパーカッシブなもの、或いはナイフ・スライドやプリミティヴな単弦奏法で、歌のニュアンスをグッと奥深く表現するものが主でした。

これが都会に行くと、当時娯楽音楽の最先端だったジャズとほぼ二人三脚で、テクニカルでダンサンブルな”ラグタイム・ギター”を軸に発展させた、洒落たものとして、シカゴやセントスイスなんかで独自の発展を遂げていたんですね。

ビッグ・ビルは、1890年代に深南部のミシシッピで生まれております。

サン・ハウスやチャーリー・パットンとは世代的にほぼ変わらない彼が幼い頃に影響を受けたのは、やはり深南部の泥臭くヘヴィなデルタ・スタイルのギターだったと思われますが、最初に手にした楽器がヴァイオリンだったことや、1920年代には早々にシカゴへ移り住んだことなどから、デルタ・スタイル”まんま”ではなく、根底に泥臭さを感じさせながらもどこか軽快な、シティボーイなプレイをレコーディング初期から身に付けておりました。

1920年代は”ラグタイムの名手”として大人気だったブラインド・ブレイク、”スライドの魔術師”タンパ・レッドなど、とにかく当時のシカゴで超一流と言われたギターの達人たちと親しくセッションを繰り返し、初レコーディングを行った1926年には、彼らと並び称される全米トップクラスのブルース・ギタリストになっておりました。

ここでビッグ・ビルが「戦前シカゴ・ブルースの立役者」と言われる1930年代がやってくるのですが、ビッグ・ビルの何がグレイトだったかといえば「バンド・サウンドを確立した」これに尽きます。

当時のシカゴ・ブルースのスタイルは、ソロかギター+ピアノのコンビが基本です。

もちろんこの編成があったからこそ、それぞれの個人技が磨かれた訳ではありますが、ちょいと目線を横に移せば、1930年代はジャズのビッグバンド黄金期でありました。人気といえば派手でゴージャス、ついでに躍れるビッグバンドが何といっても一番だったんですね。

そこに目を付けたビッグ・ビルは

「うん、ブルースでもバンド・スタイルでやればもっと人気が出るんじゃないか」

と、思い立ち、色々と試行錯誤を繰り返します。

いくらビッグバンドが人気とはいえ、ああいう編成をそのまんまやったらただの歌入りのジャズになってしまいますし、アンプのない時代、ギターの音が大編成のホーンやドラムの音に埋もれてしまうという問題がありました。

そこでビッグ・ビルが考えて編み出したのが「唄とギターを中心とした小編成バンドでの洗練されたブルース表現」です。

編成は大体ビッグ・ビルの唄とギター、そして腕のいいピアニストに、場合によってベースやドラム、必要最小限のホーン奏者が入るという3〜4,5人によるブルース・バンドで、少ない人数ではありますが、ビッグ・ビルならではのセンスの良さで、ブルースがグッとモダンで洗練された上質な音楽として、夜のシカゴで人気を盛り返すようになっていった訳であります。


(ギター・レジェンド・シリーズ)



【収録曲】
1.BIG BILL BLUES
2.YOU DO ME ANY OLD WAY
3.TRUCKING LITTLE WOMAN
4.BULL COW BLUES
5.SOUTHERN FLOOD BLUES
6.NEW SHAKE ’EM ON DOWN
7.NIGHT TIME IS THE RIGHT TIME
8.TROUBLE AND LYING WOMAN
9.BABY I DONE GOT WISE
10.JUST A DREAM
11.OH YES
12.MEDICINE MAN BLUES
13.LOOKING UP AT DOWN
14.WHEN I BEEN DRINKING
15.ALL BY MYSELF
16.NIGHT WATCHMAN BLUES

んで、そんなビッグ・ビルの全盛期、1932年から41年の音源を集めた、LP時代から親しまれている代表作がコチラ「ビッグ・ビルズ・ブルース」であります。

凄腕のギター・ピッカーとしてのビッグ・ビルを楽しみたいなら、Pヴァインから出ている「ファーザー・オブ・ザ・シカゴ・ブルース・ギター」がとにかく強烈ですが、コチラではトータルなブルース・アーティストとしてのビッグ・ビルを、極上の戦前シカゴ・ブルース・バンド・サウンドでとことん味わい深く楽しめます。

ギター、ピアノ、曲によってはドラムやコルネット、ウォッシュボードも入って(Aなんか華やかですよ〜♪)、その中でビルの「ちょろっと弾いてもカッコいいギター」と、カラッとしながら妙に深い余韻のあるヴォーカルがこれ、実に噛めば噛むほどに染みるんですよ。

どこまでもドロドロで荒々しいブルースはもちろん最高で、それなしでは生きて行けませんが、こういう最初から最後までとことん"粋"なブルースもいいもんです。本当にいいもんです。





ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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