
サンタナ/サンタナ3
(ソニー・ミュージック)
せっかく「ギター・レジェンド・シリーズ \1080」色々なジャンル出てるし、せっかく「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルの生みの親でありますフリートウッド・マックを紹介したので、今日はサンタナを紹介してしまいましょう。
サンタナは「ラテン・ロック」という音楽をアメリカで作り出した、そのジャンルの開拓者的バンドであります。
よく、ギター弾いてるカルロス・サンタナ個人のことを"サンタナ"だと誤解されますがちゃいます。ギターのカルロス・サンタナを中心としたバンドの事が「サンタナ」です。
エディ・ヴァン・ヘイレンを中心としたバンドの事を「ヴァン・ヘイレン」というのと一緒ですね。
はいはい、そんな訳で今もロックの大御所として現役バリバリのサンタナでありますが、デビューは1969年と早く、その年のウッドストック・フェスティバルに出演したことで一気に話題となり、翌年には先も申し上げたように、フリートウッド・マックの「ブラック・マジック・ウーマン」のラテン・ロックなカヴァーが全米4位というヒットとなって、不動の人気を誇るようになります。
ロックにラテン音楽の要素を取り入れたサンタナのサウンドは、他にない個性と称賛され、セカンド・アルバム「天の守護神」以降は特にメキシコ出身のカルロスの、哀愁溢れるギターソロをグッと全面に出した音作りでその個性に磨きをかけていくのですが、本日ご紹介するのは、そんなサンタナの大飛躍の一歩目となった記念すべき名盤「サンタナ3」であります。
このアルバムでサンタナは、ギターを前に出したサウンドをより効果的にす仕上げるために、バンドにもう一人のギタリスト、しかもリズムを刻むサイドギターではなく、自分のソロにガンガン斬り込んでくる若手のリードギタリストを招き入れます。
その若手ギタリストというのが、何と17歳のニール・ショーン。
はい、詳しい方にはピンとくるでしょうが、彼は後にサンタナのオルガン奏者、グレッグ・ローリーと共に、アメリカン・プログレッシブロックの代表ともいえるスーパー・バンド「ジャーニー」を結成するあのニール・ショーンです。
このカルロスの試みは大成功でした。まーこのショーン君のギター、カルロスに負けず劣らず弾きまくる弾きまくる(!)
個人的にこのアルバムは、初めて買ったサンタナのアルバムだったので、メンバーのこととかまだよく分からなかったということもあり
「当たり前だけどギターめちゃくちゃ弾きまくってるな、まるで音色とかフレーズがそっくりなギタリスト2人がソロバトルしてるみてぇじゃないか、おい」
と、思ってましたが「おい」じゃなくて実際このアルバムでバトルに聴こえてたのは、正真正銘のバトルだったんですね。
(ギター・レジェンド・シリーズ)
1.バトゥーカ
2.孤独のリズム
3.タブー(禁断の恋)
4.祭典
5.新しい世界
6.グアヒーラ
7.ジャングル・ストラット
8.愛がすべてを
9.情熱のルンバ
10.バトゥーカ (ライヴ)
11.ジャングル・ストラット (ライヴ)
12.ガンボ (ライヴ)
アルバムは祝祭の雰囲気を盛り上げるパーカッションの音から始まります。
更にビシッと斬り込んでくるシンプルなギターリフからのいきなりワウも絶妙にかましたチョーキング大炸裂のソロが大いに盛り上がったところでカクンとテンポを落としたAへ。
一応唄モノですが、リードヴォーカルを置かずにコーラスが主旋律を唄うパートがあって、そこから怒涛のギターソロ、これは燃えます。
前半のハイライトBとCも素晴らしく、妖艶なバラードでのむせび泣くギターを目一杯聴かせて一気にハイテンションのラテン・ロック!やり合うギターを挟んでの、グレッグ・ローリーのオルガンソロもキレキレであります。この展開、たまらんですね。ワシ何度こぶしを握ったか分かりません。
続くD以降はレコードでいえばB面ですが、こっからは更に曲のバラエティに富んでおります。
いきなりのブ厚いホーンとソウルフルなパンチの効いたヴォーカルを炸裂させるのは、西海岸ファンクの雄、タワー・オブ・パワーの面々。
Eは一転ルンバのリズムで、ルーツのひとつであるキューバ音楽にかなり接近した曲。正直アタシはこの曲でラテン・ミュージックそのものにかなり惹かれるようになり、大分後に「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」聴いて
「これこれ、サンタナがやってたやつこんな感じの曲!」
と、もう泣きたくなるぐらい嬉しかったです。
Fは更に一転、今度はツインギターのアツい絡みと、それをグイグイ引っ張るベースがカッコイイですね。
そして再びラテンの「お祭り」を思わせる、パーカッションが賑やかに鳴り響くGでアルバムは一応完結なんですが、CD化に際してこの年のフィルモア・ウエストで行われたかなりアツいライヴが3曲オマケで付いております。
『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/