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2017年06月13日

憂歌団 Complete Best 1974-1997+LIVE アナログ

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憂歌団/Complete Best 1974-1997+LIVE アナログ
(フォーライフ)


ブルースが好きです。

いや、ブルースのない人生は考えられない。音楽だけでなくても、日常生活の中で何かしら切なくてホロ苦いブルースなものやブルースなことと不意に出会ったら、何故でしょう切なくてホロ苦いのにどこか心が不思議と安らいで、何だか今日も頑張って生きていこうとそんな風に思ってしまう。

こういうのおかしいですか?うん、おかしな話だとアタシも思います。でも、音楽を好きになる気持ちが深まって、音楽を愛してしまってたまんないという風になるというのは、もしかしたらこういうことなのかも知れません。

で、ブルースです。

ブルースという音楽は、アタシが言うまでもなく、アメリカの黒人さんが生み出した音楽なんですが、日常の中での世知辛かったりしょっぱかったりする出来事を感じて嘆いたり悲しんだり、でもソイツを何とか明るく陽気に笑い飛ばしたりしようぜって心はアタシら庶民の中には万国共通でございます。

ね、元はブルーでどうしようもない気分とか因果とか、そういったヤツでもゴキゲンな音楽に乗せりゃあハッピーになれる、聴いた人もハッピーになる。

そういった”心意気としてのブルース”を、日本で演奏してきたバンドがおりまして、このバンドは憂歌団というんですが、そうそう妖怪人間みたいな顔のぺちゃっとした関西弁のおっちゃんが、キュートなダミ声で唄ってね、グラサンかけたギターの人がソロ弾くんだけどピッキングもスライドもめちゃくちゃ上手くて味があって、ベースとドラムもずんちゃかずんちゃか、こらもう聴いてるだけでウキウキしてくるようなスカーンとしたリズム刻んで・・・というあのバンドでございます。

あ、はい、ここまで読んで「誰だそいつら?」と思った人もいいから憂歌団ってのはそういう人達なんだーって一旦思っといてくださいね。

大体アレですよ、ブルースバンドってのは、何だか渋い曲をエレキギターをキュイーンと泣かせてやってるもんみたいなイメージがあるでしょうが、憂歌団はちゃいま(←エセ関西弁)。アコースティックな、戦前スタイルのズンチャカで軽快なバンドなんです。

戦前スタイルとは何ぞや?というご質問には、細かく答えておりますとヒジョーに長くなりますので、そこらへんは当ブログの「ブルース」のカテゴリをヒマな時呼んでくださいますようお願いしますとして、そんなヒマねぇよという方に、あぁそうですかいと乱暴に説明すれば、エレキギターキュイーンでオーイェになる前のブルースは、明るく疾走したり、みんなでワイワイ歌えるような曲がいっぱいあったんです。

実はアタシが本格的に洋楽なるものを聴いて、ブルースも親父に聴かされて「ほほぅ、何かわからんけどいいね」と思ったアタマの悪い中学1年生の時、奄美で生まれて初めて行ったブルースのライヴ。これが憂歌団のライヴだったんですよ。

ある日いきなり親父が

「オゥ、今度の土曜日は名瀬公民館に憂歌団観に行くからお前空けとけぇ」

と言うので

「ゆうかだん?何それ?」

と思いながらも、まぁ何かコンサートだろうと思って、本当に何もわからんまま行ったんですが、その時のライヴがまー初めて体験した「ホンモノ」いやもうホントすごかった。

酒をガンガン飲みながら曲の合間合間にガラガラの関西弁で喋ってる、これ絶対ミュージシャンじゃなきゃその辺の盛り場で朝潰れてるよーなおっさんなんだけど「ほないこか」と言って唄いはじめた時の木村充揮のその凄まじい声の威力と引力ときたら・・・。

そいでもってギターはサングラスかけて正直見た目怖い人っぽいけど、もうギター小僧志望のクソガキのアタシが見ても「あぁ、このギターはやべぇ、並じゃねぇ。いや、プロなんだからんなもん当たり前なんだけど、その中でもかなりハンパねぇ部類の人だ」と分かるぐらいの凄腕の内田勘太郎。

そしてクールにビシャっとリズムを刻む、こっちは見た目も出す音も実に渋い花岡献治のベースと島田和夫のドラムスの完璧なコンビネーション!

いや、バンドのことなんか、ブルースのことなんか全然わからなかったですよ。でも分からない子供のアタシでも、気が付いたら席を立って、手を叩きながら足で一緒にリズム取ってたんですよ。

ライヴ終わった帰りに、車の中で親父に質問攻めでした。あのヴォーカルの人はすごい声だったけど、どうやったらあんな声になるのか、ギターの人は何か指にビンみたいなのはめて弾いてたけど(ボトルネックね)、アレはなんなんだ、そもそもあんなジャンルの音楽はテレビとかで聴いたことないけどアレは一体何ていう音楽だ。と。

そしたら親父、ライヴの興奮冷めやらぬような感じのデカい声で

「アレがブルースよ!」

と、もうザックリ答えてくれました。


まぁブルースですね。色々考えてアタシが誰かに同じ質問されてもそうとしか答えられません。


【収録曲】
(Disc-1)
1.嫌んなった
2.キィ・トゥ・ザ・ハイウェイ
3.おそうじオバチャン
4.はんか街のはんぱ女
5.サマータイム
6.イフ・アイ・ディドゥント・ラブ・ユー
7.10$の恋
8.パチンコ~ランラン・ブルース
9.当れ!宝くじ
10.ALL OF ME
11.スティーリン
12.渚のボード・ウォーク
13.嘘は罪
14.Boy,My Boy
15.ザ・エン歌
16.ア・イ・シ・テ・ル
17.Midnight Drinker
18.シカゴ バウンド

(Disc-2)
1.大阪ビッグ・リバー・ブルース (Album Mix)
2.胸が痛い
3.かぞえきれない雨
4.心はいつも上天気
5.Good time’s rollin’, bad time’s rollin’
6.キスに願いを
7.You are my Angel
8.夢
9.SLOW BOAT TO CHINA
10.オンリー・ロンリー・ジャマイカ
11.君といつまでも(ステイ・ウィズ・ユー・フォーエバー)
12.家に帰ろう
13.ちっちゃなダイヤモンド
14.ファンキー・モンキー・ベイビー
15.WOO CHILD
16.あれからゾンビ
17.風のうわさに

(Disc-3/DVD)
1.Midnight Drinker
2.ドロボー
3.おそうじオバチャン
4.シカゴ バウンド
5.大阪ビッグ・リバー・ブルース
6.胸が痛い
7.嫌んなった
8.パチンコ
9.Stealin’
10.キスに願いを
11.君といつまでも(ステイ・ウィズ・ユー・フォーエバー)



もちろん憂歌団は音楽的にもちゃんとしたブルースです。

大体日本人でブルースっつったら妙に黒人っぽさを出そうとかそういう意識が働きがちですが、憂歌団はあくまで音楽的なブルースを演奏の基礎に置きながら、スピリッツの部分はどこまでも日本人、つうかとことん"大阪のおっちゃん"を極めようというベクトルがあって、それがサウンド、演奏スタイル、そして歌詞とでピタッと合致して他にはない味になってる。

彼らの有名な曲で「おそうじオバチャン」とか「パチンコ」とか、いうすこぶるゴキゲンなナンバーがあるんですが、歌詞凄いんですよ。

「私はおそうじオバチャン」と軽快なリズムに乗ってあぁおばちゃんが楽しく掃除してるんだなぁと思ったら

「1日働いてたったの¥2000!」

と、ズバッと悲哀を投げつけるし、「パチンコ」もあぁパチンコ楽しいんだなと思ったら、いや待てこれはアカンぞ、ギャンブル中毒者の歌だぞと「パチンコパチンコ!」とパンキッシュな絶叫の繰り返しの奥にじっとり潜む狂気をぶん投げてくる。

でも、憂歌団はそういう悲哀とか狂気とかを歌の表面に塗りたくったりはしません。明るく楽しく、そして難しくないシンプルな言葉で、大袈裟にいえば本質を歌い上げるんです。これがブルースでなくて一体何でしょう。

もちろんそういう歌以外にも、音楽的な幅は意外と広くて「胸が痛い」や「数えきれない雨」みたいな擦り切れるようなエモーショナルなバラードは、後になってRCサクセションやブルーハーツなんかに受け継がれるスタイルの原型のようでありますし、日本語でカヴァーされている古いブルースも、今そこの飲み屋で出来た曲みたいな親近感がありますな。

ご紹介したアルバムは、とりあえずで聴いてみたい方へ、間違いなく「とりあえず」以上の愛聴盤になること請け合いの2枚組フルボリュームのベストです。限定盤には初期の貴重な映像がたっぷり入ったDVDも付いててコレが凄いんだ。









『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本のロック・ポップス・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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