2017年10月30日

ジミ・ヘンドリックス エレクトリック・レディランド

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ジミ・ヘンドリックス/エレクトリック・レディランド

(MCA/SMJミュージック)

音楽好き、なかんづくロック好きにとって、そしてギターを弾く人にとっては、ジミ・ヘンドリックスといえばそりゃもう神様で、もしかしたらビートルズやストーンズ以上に、必ずどこかでブチ当たる人で・・・と、アタシが今更ここであーだこーだゴチャゴチャ言わなくても凄い人だということは、これはもう世間の常識として定着しておりますし、アタシもここへきて”エクスペリエンス時代のジミヘン”のことを書きながら痛感しております。

このブログのポリシーは

「採り上げたアーティストのことを知らない人に、どれだけ興味を持ってもらえるようなレビューを書くか」

でございます。

だからいくら有名で、洋楽ロックにそこまで興味のない人でも名前ぐらいは聞いたことあるというジミ・ヘンドリックスという人のことも、なるだけ分かり易く興味を持ってもらえるようにその音楽の素晴らしさを書いて行きたいと思うのですが、いざじっくりとジミヘンを集中して聴いてみると、頭で考えていたことが綺麗にすっ飛んで「すげぇ!」「やっぱ天才!」という、そのものズバリではあるんですが、どうも主観的な言葉しか出て来ないので困っております。

そうなんです、端的に言ってしまえば、ジミヘンという人のカッコ良さっていうのは

「他の誰とも似ていない、どれかひとつのジャンルに納めようとしても、必ずどこかからはみ出してしまうその音楽性の広さ」

というのに尽きるんです。

だからよく「ロックギターの神様」と言われ、なるほどそうだと思っても、そのギター演奏の中にはブルースもあり、ジャズっぽいところもあり、ロックともブルースともジャズとも言えないような突拍子もないアイディアがどこかで必ず出てくるので、その最高のほめ言葉ですら、彼を形容するには何とまぁ陳腐なんだろうと、後で必ず思ってしまいます。

だもんで、ジミ・ヘンドリックスという人は、「このようにカッコイイのだ」と、簡単な一言で断言してしまえるアーティストではなく、聴いた端々で「あ、これカッコイイ!」という瞬間がいくつもいくつも出てくるアーティストだと思います。

あぁ、こういう話をするとキリがありませんね〜。

最初にジミヘンを知って25年の間、ずーっと「この凄さの正体は何なんだ?」と思って聴いておりますが、未だに正体が掴めない。でもその”掴めないこと”がアタシの想像力をいつまでも刺激してくれる。素敵ですね。

さて、今日もそんなカッコいいジミヘンのアルバムをご紹介しましょうね。


【収録曲】
1.恋の神々
2.エレクトリック・レディランド
3.クロスタウン・トラフィック
4.ヴードゥー・チャイル
5.リトル・ミス・ストレンジ
6.長く暑い夏の夜
7.カム・オン(レット・ザ・グッド・タイムス・ロール)
8.ジプシー・アイズ
9.真夜中のランプ
10.雨の日に夢去りぬ
11.1983
12.月夜の潮路
13.静かな雨、静かな夢
14.焼け落ちた家
15.ウォッチタワー
16.ヴードゥー・チャイルド(スライト・リターン)


ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの3枚目のスタジオ・アルバムにして、ジミヘンが生前にリリースしたスタジオ・アルバムとしては最後の作品になってしまった「エレクトリック・レディランド」です。

人によってはこのアルバムこそジミヘンの最高傑作、ロックでブルースでサイケデリックな世界観と、宇宙レベルの超絶なギター・プレイが奇跡の調和を見せながら最大限の威力で炸裂したジミ・ヘンドリックス芸術の集大成と言う人もおります。

オープニングのワウを聴くだけでほとんどの人が「あ、これジミヘン!」と反応する「ヴードゥー・チャイルド(スライト・リターン)」やボブ・ディランのカヴァー「ウォッチ・タワー」、サイケデリックなジミヘンといえばコレの「ジプシー・アイズ」など、ベスト盤やライヴ盤に入っていてもハイライトとなるような、名刺代わりの強烈な曲ばかり収録されておりますし、確かにセルフ・プロデュースでやりたかったことを自由に表現出来ているような解放感に満ちたギター・プレイ、曲によって必要なサウンドを提供し、演奏の厚みをグッと増す豪華ゲスト陣の参加などなど、このアルバムならではの魅力みたいなものが、彼の作品中では最高潮でありましょう。

アルバムがレコーディングされたのは、例によって前作「アクシス・ボールド・アズ・ラヴ」のレコーディングが終わった直後です。

この頃既にデビューしたイギリスを凌ぐ人気をアメリカで獲得していたエクスペリエンスは、大都市から中小都市まで、アメリカ全土をくまなく回る、かなりハードなコンサート・ツアーを行っておりましたが、そのツアーの合間を縫って、レコーディングは行われました。

で、この頃のジミヘンは、元々の「スタジオに引き籠るのが好き」という性格に更に拍車がかかり、ツアーの合間を見てはスタジオに色んなジャンルのミュージシャンを呼んでジャムセッションを行い、それを新曲のアイディアとして、片っ端からテープに録音しており、それはそのままエクスペリエンスという3ピースバンドの限界も徐々に形にするようになってしまいます。

ジャンルやセッション相手のスタイルに囚われることなく、斬新なサウンド・アプローチで音楽のあらゆる壁を軽々と乗り越えてゆくジミのプレイは、メンバー2人に「ちょっと待て、オレらもうついていけないかも・・・」という不安を抱かせました。

もちろんノエル・レディングもミッチ・ミッチェルも、ジャンルというものに左右されない、素晴らしい適応力を持ったミュージシャンです。

しかし、1968年の時点で、そんな彼らをもってしても、ジミの自由なプレイスタイル、それを具現化するためにスタジオにやってくるあらゆる出自のミュージシャン達とのセッションは大変なものでした。

それはデビューからずっとプロデューサーとして彼らを見てきたチャド・チャンドラーにしても同じことで、急激に注目を集めるジミと彼を取り巻く状況や目まぐるしく移ろう人間関係に嫌気をさしてしまい「エレクトリック・レディランド」制作中にチャドはプロデューサーの座を降りてしまいました。

現に「エレクトリック・レディランド」にゲスト参加しているミュージシャンの顔ぶれだけを見ても、スティーヴ・ウィンウッド、アル・クーパー、ジャック・キャサディ、デイヴ・メイスン、バディ・マイルス、フレディ・スミス、クリス・ウッド、スウィート・インスピレーションズ、ブライアン・ジョーンズ(ギターではなくパーカッションで参加)と、英国ロックからソウル/ファンク近辺までの多彩な顔ぶれです。

「エレクトリック・レディランド」は、ジミの斬新なアイディアに満ちたギターと、ゲスト陣を交えた自由なジャム・セッション風の曲展開、そして崩壊寸前のエクスペリエンスとの、テンションのギリギリの緊張感が「これ以上どこかにバランスが偏ると音楽的に崩壊してしまう一歩手前」のスリルが全編にみなぎっており、それがまたジミの最大の魅力

「何だかわかんないけど凄くカッコイイ!」

というあの感じを無限増殖させるんですね。

さて、ジミヘン初期の”エクスペリエンス時代”の3枚のオリジナル・アルバムを長々と紹介してきました。で、この際だからとこの数日、手持ちのジミヘン関連の全アルバムを聴きまくっておりますが、アタシの場合は「どれが好き?」と言われたら、やっぱり粘り気のあるファンクロックなカラーが強い「バンド・オブ・ジプシーズ」ではありますが「どれが凄い?」と聴かれたら、エクスペリエンス時代の3枚をオススメすると思います。

エクスペリエンス時代のアルバムはどう凄い?と言われたら

「何が凄いのかわからんけど凄いって思えるところが凄いんですよ」

と、やっぱり答えるでしょう。いやもうそう答えるしかないもの。



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/

posted by サウンズパル at 19:12| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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