2017年10月25日

ジミ・ヘンドリックス アー・ユー・エクスペリエンスト?

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ジミ・ヘンドリックス/アー・ユー・エクスペリエンスト?

(MCA/SMJミュージック)

音楽好き、なかんづくロック好きにとって、そしてギターを弾く人にとっては、ジミ・ヘンドリックスといえばそりゃもう神様で、もしかしたらビートルズやストーンズ以上に、必ずどこかでブチ当たる人で・・・と、アタシが今更ここであーだこーだゴチャゴチャ言わなくても凄い人だということは、これはもう世間の常識として定着しております。

うん、ジミヘンはそりゃ凄い、カッコイイ、アタシだってジミヘン聴いて何度「うっひゃー、ありえん!」と叫んだことか、そんな体験をストックするほどのスペースが、心の中にはもうほとんどないぐらい衝撃を受けました。

でもね皆さん、ここでアタシからお願いです。

「ジミ・ヘンドリックスは天才だ!」「エレキギターの偉大な革命家だ」とかいう世間の声は、まだジミヘンを良く知らない、聴いたけどそんなに?って方は、この際思い切って無視して頂きたいのです。

はい、やっぱりジミヘンだろうがジョン・レノンだろうが、やっぱり音楽なんですよ。

何よりも最初に「この音楽いいな〜」ってのが先に来て、次にアーティストにスポットが当たって、天才とか偉大とかグレイトとかそういうのが来て欲しいんですね。単純に音楽が好きな人間としては。

アタシの場合は、ジミ・ヘンドリックスと出会ったのは16の時で、そんとき今も親友してますが、同じ学校でギター弾く男と意気投合して、ヴァン・ヘイレンがどうのスティーヴ・ヴァイがどうの、イジー・ストラドリンがどうのマーシーがどうのと、ギター話に毎日のように明け暮れてたんです。

で、当然ギター話をしてるから、ジミヘンの話にもなります。

でも聴いたことないから

「ジミヘンってヤバいよなぁ、ギター燃やす人だろ?」

ぐらいの知識で盛り上がるしかなかったんですね。

その時、ソイツの家でジャケットに惚れて買ったのが「ジ・アルティメイト・エクスペリエンス」っていうベスト・アルバムで(その時の話はコチラ)、それを聴いた最初の感想は

「正直よくわからん、よくわからんけど何か凄い!」

でした。

何が凄かったのか?乏しい音楽知識と、まだ初心者も初心者なギターの腕前ではそれすらも分からなかったけど、あえて言うなら

「何をどうやって弾いてるのかも、どうやったらこういう音が出るのかもさっぱりわからん!」

だったんです。

よくジミヘンを聴いていきなり雷に打たれたような衝撃を受けたとかいう話を聞きますが、それはもしかしたらアタシなんかよりずっとずっと年上で、ジミヘンの時代とほとんど変わらないギター環境(アンプとかエフェクターとか、そういう技術面での話)の音楽と、キチンと聴き比べることが出来たからなんじゃないかと思うんですね。

少なくとも1990年代以降の音楽機材は、ハイゲインのアンプや物凄いぶっ飛んだ効果音とか出せるエフェクターとかは普通にあったし、録音技術も向上してて、オーバーダビングも、音を派手にするためのイコライジングもほぼ自在でした。

だからむしろその頃高校生のアタシにとっては、ファズのゴワゴワした音とか、アナログディレイのモコモコした音とか、ハイ・トーンでもデス声でもない歌声とか、超高速でもないリズムとか、むしろ「あぁ、昔の音楽だな」としか思えなかったんです。

ちょっと読んでいる皆さんを混乱させてしまうかも知れないけど、ちょっと後からジワジワきたのが

「そんな昔の音だから何か凄い!」

という、何だか不思議な衝撃です。

さて、

さてさてさて・・・。


ここまで読んでいい具合に頭が混乱したそこのアナタ、ジミ・ヘンドリックスを聴いてみませんか?


えぇと、最初で言えば良かったのですが、何でかっつうとジミヘンの魅力って、やっぱり何と言っても「そのわけのわかんなさ」であると、ズバリ思うんですよ。この人のギターを使っての表現の突拍子のなさ、やりたくてしょうがなかったのは分かるけど、何でそうなった感というものは、何十年付き合ってもやはり強烈で、その強烈さというのは紋切型の「天才」とか「革命児」とかそういう言葉の何倍も生々しい説得力があるんです、はい。






【収録曲】
1.フォクシー・レディ
2.マニック・デプレッション
3.レッド・ハウス
4.キャン・ユー・シー・ミー
5.ラヴ・オア・コンフュージョン
6.アイ・ドント・リヴ・トゥディ
7.メイ・ディス・ビー・ラヴ
8.ファイア
9.サード・ストーン・フロム・ザ・サン
10.リメンバー
11.アー・ユー・エクスペリエンスト?
12.ヘイ・ジョー
13.ストーン・フリー
14.パープル・ヘイズ
15.フィフティ・ファースト・アニヴァーサリ
16.ジ・ウィンド・クライズ・メアリー
17.ハイウェイ・チャイル

で、1967年発表の、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのデビュー・アルバム「アー・ユー・エクスペリエンスト?」です。

ジミヘンはアメリカ北部の都市、シアトルで生まれた黒人でありますが、実はお母さんはチェロキー族の血を濃く引くネイティヴ・アメリカンで、その絡みから母方の祖母の住むインディアン居留地で過ごすことが多かったようです。

それゆえに、幼少の頃からブルースやゴスペルにドップリだったというような、同世代かちょい上のブルースマンやソウル・シンガーにあるような、ブラック・ミュージックの強烈なバックボーンは持っておりません。

その代り、彼は少年時代からブルースやR&B、ロックンロールのレコードを熱心に聴き込んでおりました。

後に

「ブルースの基礎をすごく持っているのに、何をやってもはみ出してしまう奇妙なスケール感」

と評される彼のスタイルは、自室でブラック・ミュージックを中心にあらゆるジャンルの音楽を聴きまくり、それを覚えたてのギターでことごとく耳コピしていたからなんだろうなと思います。

10代でアマチュア・バンドを組み、徴兵で行った空軍でもバンド活動をして(この空軍バンドには、後に最後のバンド”バンド・オブ・ジプシーズ”のメンバーとなるベーシストのビリー・コックスがおりました)から除隊。

本格的に音楽の道に進みたかった彼はオーディションを受けまくって、アイク&ティナ・ターナー、リトル・リチャード、アイズレー・ブラザーズなど、当時の人気R&Bミュージシャン達のバックで経験を積みます。

ギターは上手かったのですが、それ以上に派手なアクションでギターを弾くパフォーマンスは聴衆からそれなりに注目を浴び、バンド・リーダーからは「あんまり目立つな」と注意されるといった「何かわからんが面白いヤツ」という彼のスタンスは、既にこの頃には出来上がっておりました。

もちろんジミは自分のバンドもバックミュージシャンの仕事と並行してやってましたが、こっちはどうもパッとしなかったようです。

そんな時に当時人気ロックバンドだったアニマルズのベーシスト、チャス・チャンドラーが「ユーいいね、イギリス行ってロックやらない?」と、声をかけたことが、一大転機になりました。

それまでR&Bの世界の住人だったジミにしてみれば

「ロック?・・・て何ですか、ロックンロールじゃないの?」

「イギリスって・・・行ったことないし、自分黒人っすよ?イギリスで演奏しても受け入れられるんスか?」

ぐらいの不思議な話でしたが、チャドに「まぁまぁ」と一方的に説得されて渡英して、そこで「まあまあ」と行われた「ジミ・ヘンドリックスのバンドのオーディション」を通ってメンバーになったのが、ベースのノエル・レディングとドラムのミッチ・ミッチェルという白人青年2人。

ミッチ・ミッチェルに関しては、そのパワフルでキレの良いドラミングは早くから注目され、セッション・ミュージシャンとして活躍している時にザ・フーの結成時にドラマー候補として名前が挙がったほど。

で、ベースのノエル・レディングですが、彼は元々ギタリストとして、何と17歳の頃からプロとして活躍しちた凄腕で、実はジミヘンのオーディションをアニマルズのギタリスト・オーディションだと思って参加したところ、いきなりベースを持たされて、しかしそれでも完璧なプレイでジミとチャドのド肝を抜いたと云われております。

R&Bで鍛え上げたジミと、直前まで凄腕ギタリストだったベーシスト、そしてロックの正統実力派ドラマーという、全くバックグラウンドの違う3人が(ジミにって)異国であるイギリスで結成した、このバンドが”ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”なんですが、この異色の3ピースが放つサウンドは、最初から同時代のどのバンドとも全く違っておりました。

何がどう違うのか?これはぜひ皆さんに聴いて頂いて、できれば同時代の他のバンドと聴き比べてください。

ジミのギターのサウンドや奏法など、専門的に聴けばそれこそ一冊の本に出来るぐらい色々と出てきますが、これだけは強調しておきたいのが、歌、ギター、ベース、ドラムの4つの音が、セオリー通りの

「歌が真ん中、ギターが横、ベースとドラムが後ろでリズム」

という形ではないんです。

全部の音が同じ場所で、同じ質量で溶け合って譜面のない楽曲を同時に即興演奏しているような自由度の高い演奏でいて、楽曲が

・タテノリの疾走する曲

・ブラック・ミュージックの影響色濃いファンキーな曲

・美しいバラード

と、それぞれ綺麗に際立っておるんです。

しかもそれが、デビュー作の時点でもうほぼ完成された形でアルバムに収まっているという所が、この”ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス”というバンドの、恐ろしいほどのカッコ良さなんです。

タテノリの分かり易い曲”だけ”は入っておりませんので、もしかしたらいきなり聴いて分かる人は少数派かもしれませんが、ジミヘンの音楽って、少し置いて最初に「凄い!ヤバい!」がいきなり来て、それから何年か置きに別の角度からの「凄い!ヤバい!」が、何度も何度も飛んでくる音楽ですので、聴く人は一生刺激をもらえることは間違いないです。

アタシももう25年の付き合いになりますが「まぁジミヘンってこんなだよね」とかいうナメた気持ちになったことは一回もないです。てか、そうさせてくれません。なので一生かけてとことんまで付き合うつもりです。








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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 18:50| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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