2018年02月04日

フランク・ザッパ ワカ/ジャワカ

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Frank Zappa:Waka/jawaka
(Univ)

さて今日もアタシは元気に「ミクスチャーとは何か」という事を考えております。

音楽を夢中で聴いていた時代、つまり1980年代末から90年代前半にかけて、この言葉を目にするようになった訳なんですが、アタシが最初にこの言葉を知ったのは、スラッシュメタルのアンスラックスと、ヒップホップ・グループであるボディ・カウントとの記事を読んだことがきっかけだったと記憶しておりますが、それからレッチリやビースティ・ボーイズとかも有名になって

「ミクスチャーというのは、当時最先端のロックと、当時最先端のラップをミックスさせた音楽なんだよ」

という認識が、ほぼもう世間の常識みたいになって、それで90年代後半のジャパコアブームで、それらに影響されたバンドもいっぱい出てきて活躍したというのが”ミクスチャー”というものに対する最も鮮烈な印象。

ところが・・・!

ところがなんです皆さん、アタシのこういった捉え方、考え方というのを、一発で粉々に粉砕する強烈な、もうキョーレツなアルバムと、アタシはある日で出会ってしまったんです。

そのアルバムというのは、フランク・ザッパの『ワカ・ジャワカ』であります。

う〜ん、フランク・ザッパ。

この人はですねぇ、もうほんとアタシは若い頃からヤバイヤバイって散々聞かされてた人です。

いっちゃん古い記憶でいえばスティーヴ・ヴァイが超絶バカテクギタリストとしてブレイクした頃に

「スティーヴ・ヴァイの師匠でフランク・ザッパという人がいて、この人がヤバイんだ。何がヤバイかってバカテク過ぎて何やってっかわかんねーからヤバイ」

という話です。

ね、スティーヴ・ヴァイの師匠だったら、そりゃもうハードロックの早弾きバリバリの、タッピングとかすげーキメて・・・とか、そんな人だと思うじゃないですか。

でも、それは違ったんです。

何だったか忘れましたけど、MTVか何かの番組でフランク・ザッパのライヴを収録したのがあって、それをボヘーっと観てたんですが、まーその時はさっぱり何が何なのか分かりませんでした。

「メタルでもハードロックでもないし、ギターも確かに何やってるか分からないフレーズ弾いてるんだけどわからん。何これ?凄いの??」

ぐらいに、アタシの中での”ファースト・フランク・ザッパ”は、脳内に”?”ばかりを残して余りにもあっという間にスーッと去って行ってしまったんですね。

ザッパとの再会は、それから5年後ぐらい。アタシが東京のレコード屋さんで下働きをするようになってから。

まぁその頃というのはフランク・ザッパ、いわゆるオフィシャル・ブートというのが鬼のようにリリースされていて、ロックコーナーの一角のかなりのスペースを「ザッパ大魔神○○!!」というセンセーショナルなタイトルが印刷されたセンセーショナルな黄色い帯のCDがザーーーーッと並び、それがまた結構な頻度でよく売れて行くという不可解な現象を目の当たりにし

「フ、フランク・ザッパってそんなに凄いんですか・・・」

と、恐る恐る先輩に質問したら

「お前それ、ザッパフリークの前で絶対言うんじゃねぇぞ」

と。

ザッパフリークとは何ですと?と訊けば、ジャズファンよりもプログレファンよりもある意味コアなマニアで、とにかくフランク・ザッパのアホみたいにリリースされている作品を全て買い揃えることは当たり前、のみならず中古だろうが何だろうが、ちょっとでも仕様が違えば即ゲットするオソロシイ人達なんだと先輩は説明してくれました。

はぁあ凄いですねぇ、世の中には大変な人達ってのがいるもんでございますねぇと感心と共におののいておりましたら、そもそもフランク・ザッパという人が、時期によってやってる音楽もエラい違ったりするし、ジャンルとか関係なく何でも呑み込んで自分の表現にしてしまう、そんなブラックホールみたいな人でヤバイから、ファンがああなるのも無理はなかろうと。

はい、正直アタシがフランク・ザッパという人に興味を初めて持ったのは、音楽に衝撃を受けたというよりも、そういう話を聞いたからなんです。

「ザッパ、ヤバイんですね!」

「おお、ヤバイぞ!」

「何聴いたらいいっすかね!?」

「コレだ!」

と、オススメされたのは、初期のサイケデリック・ロックをやっている『フリーク・アウト』と、ジャズロックやってるという『ワカ・ジャワカ』です。




【収録曲】
1.Big Swifty
2.Your Mouth
3.It Just Might Be A One-Shot Deal
4.Waka/Jawaka


アタシも順番に聴けば良かったんですが、いきなり『ワカ・ジャワカ』を聴いてしまいまして、もうコレにぶっ飛ばされた訳です。

オープニングからギター、ドラム、そしてホーン・セクションがめくるめく展開する様々なリズムのリフを容赦なくブチ込んでくるこの開始僅か1分そこら(!)

普通ロックって、イントロがあって、印象的なリフがあって、リズムがひとつのビートを刻んで、で、AメロとかBメロとかサビとかで、リズムを変えて・・・っていうパターンがあるじゃないですか。これがのっけからガン無視されて、開始から1分そこらでワシャワシャワシャーーーー!!!!!とリズムが違うパターン違うパターンで展開されて、で、普通のいわゆる”Aメロ”に当たる部分では、暗く不気味な感じで、ギターとかトランペットのアドリブが展開されて行く。

え?いやお前らオープニングであれだけハジケてガンガンやってたのに何だこれ?凄いぞ!!てか、これはジャズ?ロック?意味がわからん!ザッパヤバい!!!!

コレが人生初めての”キョーレツなザッパ体験”でした。

実際このアルバムは、ザッパが「ジャズとロックを軸に、ありとあらゆる音楽をやってやろう」と燃えていた時期の1972年、え?ちょっと待って、1972年っていえば、まだジャズと他の音楽が掛け合わされた最初の時期でフュージョンという言葉すらも生まれてなかった時期ですよ。

そんな時期に、この全編インストで、ジャズだかロックだか何だかよーわからん、ジャンル混合の究極みたいな音楽ですか。変態だろ!

と、当たり前に思った訳ですが、やっぱりこのアルバムは色んな意味で「変態ザッパの極み」として、名盤扱いされている訳で、で、何でザッパがそんなジャンルごった煮のぶっ飛んだアルバムを作ろうと思ったのかといえば、ステージで暴漢に襲われて大怪我をして車椅子生活になっちゃったんだと。

「あ?車椅子?う〜ん、ステージで暴れらんねーからスタジオで暴れちゃうもんね〜」

と、嬉々としてスタジオに引き籠って

「よし、じゃあオーケストラでジャズロック・アルバム作るよー」


と、椅子に座ってフィーバーした結果がコレなんだと。

あかん、やっぱりこの人ヤバいわ・・・。「だからザッパこそが早すぎたミクスチャーのオリジネイター」とかいう話をクソ真面目にしようと思ったんですが、音楽だけでなく精神がミクスチャーでしたね、こういう人にはもう敵いません。。。


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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posted by サウンズパル at 12:07| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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