2018年01月09日

永井ホトケ隆のブルースパワー・ラジオ・アワー

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永井ホトケ隆のブルースパワー・ラジオ・アワー
(Pヴァイン)

このブログは”奄美のCD屋”が、有名無名古今東西に関係なく良い音楽を紹介しようと、割とイキリ立って実際耳にして「これは本当にいいぞ!」と感じたものを紹介しているブログです。

その音楽を知っている人はもちろん、その音楽を知らない人にこそ、出会って衝撃を受けたりジワッと深く感動して欲しい。そして願わくば、このブログを読んで新たな音楽に出会う皆さんが、それぞれの人生をもっと豊かなものにするために、音楽というものをじゃんじゃん活用して欲しい。そういうささやかな願いを込めて書いております。

というわけで、アタシの大切な音楽として”ブルース”という音楽があります。

ブルースは今のロックやR&B、ポップスなど、アメリカやイギリス原産のポピュラー・ミュージックの最も大きなルーツのひとつとして、音楽を語る時絶対にハズせないという、音楽史的観点から言うところの重要度や影響の大きさもさることながら、やっぱりあらゆる音楽の、精製前のネタといいますか素と言いますか、そういったものであると思うんです。

ルーツだから崇めなさいとか、そんなことを言う人には耳を貸さなくてもいいと思います。やっぱり大事なのは音楽としてどうなんだ、感動出来るのか、ということなんですが、イエス、ブルースという音楽は、古き良き時代の空気を濃厚に纏いながらも、その実その音楽から醸し出される深いコクや味わい、人間の感情のコアの部分にうごめくもののリアルな息遣いのようなものを、誕生から100年以上経った今の時代にも余計な装飾ナシでキッチリと聴く人の耳と心に届けてくれる素晴らしい”今の音楽”です。

ブルースを聴いて、そのカッコ良さにシビレて、そして自分自身もブルースという音楽を必死で聴き狂い、挙げ句歌ったり演奏してしまうような人がいて(はぁいアタシです♪)、そういったのめり込み方を”ブルースに憑りつかれる”とか言いますが、今日ご紹介するCDは、我が国日本において”ブルースに憑りつかれた男”が何とブルースを紹介するラジオ番組を、そのまんまパッケージングしたという正気の沙汰とは思えない素晴らしい企画のコンピレーションなのであります。

日本に”ブルース”というものが入ってきたのは、実は戦前なんですが、B.B.キングやマディ・ウォーターズなど、いわゆるブルースマンと呼ばれる人達が本格的に紹介され、レコードもお店に並ぶようになったのは大分後で、1970年代が始まるか始まらないかぐらいの頃だったと思います。

丁度ビートルズ旋風が吹き荒れて、そこから若者が大量にロックに目覚めた時期ですね。

そんな60年代末から70年代初頭に

『ロックバンドをやっていた時聴いたブルースにシビレるぐらいの衝撃を受け』

た人達が、我が国におけるブルース第一世代としてシーンを牽引し、今も最前線で大活躍していて、この世代の方々が素晴らしいと思うのは、自分で演奏して楽しむだけじゃなく、ブルースという音楽を知って欲しい!楽しんで欲しい!と、書籍や雑誌での執筆やメディアでのブルースの紹介を、凄く分かり易く丁寧にしてくれているというところにあります。

本日ご紹介する永井ホトケ隆さんも、そんな日本を代表するブルースマンであり、積極的にブルースの魅力を世に紹介している偉大なブルース伝道師の一人です。

元々大学時代にロックバンドをやっていましたが、在学中に耳にしたブルースに衝撃を受け「コレだ!」と思って翌年の1972年、自身のバンド”ウエストロード・ブルース・バンド”を結成。ブルースの拠点として盛り上がっていた大阪で、憂歌団や上田正樹、山岸潤史らと関西のブルース・シーンを築きつつ、東京で活躍する妹尾隆一郎、吾妻光良、小出斉らとも親交を深め、様々なセッションやライヴイベントの主催をするだけでなく、ギター教則本の執筆にも力を注ぎ、日本でブルース人口を広めることに大きく貢献します。

この人の功績は本当に書ききれないほどいっぱいあるんですが、今現在、演奏活動以外で最も注目を浴びているのが、ラジオのパーソナリティであります。

青森県弘前市のFMアップルウェーブにて『BLUES POWER』というラジオ番組を、2008年から開始。

この番組は永井ホトケさんが、毎回解説と共にブルースを流し、その魅力や実際に体験した貴重なエピソードを語る番組として放送を開始して以来、ジワジワと人気が盛り上がり、今は青森や東北だけでなく、全国のコミュニティFMなどから聴けるようになりましたが、何と、アタシが住んでいるあまみエフエム”ディ”でも日曜日の夜10時からの番組として放送されてるんですね〜♪

番組タイトルは、ホトケさんが最初に結成したバンド、ウエストロード・ブルース・バンドのファースト・アルバムのタイトルからで「聴けばブルースが好きになる」のコンセプト通り、主に一人のブルースマンやブルースウーマンにスポットを当てて、そのアーティストの素晴らしさ、音楽のカッコ良さ、人間的な魅力、そして自らミュージシャンであるホトケさんは、演奏スタイルなどについても、非常に丁寧に、愛のある関西訛りの喋りで、かなり掘り下げて解説してくれます。

しかもその解説が、全然マニアックじゃないんですね。「とにかく聴いてもらおう、知ってもらおう」と、物凄く考えておられて、ブルースマンの面白いエピソード(ホント人としてぶっ飛んでる人達ばかりなので、最高なエピソードばっかなんですよブルースマンは)を中心に、知らない人が聞いても楽しく夢中に聞かせてくれるんです。

もちろん選曲も最高で、代表曲と言われるような有名曲から「そんなにヒットした曲じゃないけどこれは凄い演奏なんですよ」というレアなものまで、番組の中で1曲丸々しっかりとかけてくれる。


【収録】
1.ザ・ブルース・パワー/I BELIEVE
2.DJ Talk about “Mojo Hand”
3.ライトニン・ホプキンス/MOJO HAND
4.DJ Talk about “Riding In The Moonlight”
5.ハウリン・ウルフ/RIDING IN THE MOONLIGHT
6.DJ Talk about “Roll ‘N’ Roll”
7.ジョン・リー・フッカー/ROLL ‘N’ ROLL
8.DJ Talk about “Keep On Drinkin’”
9.リトル・ブラザー・モンゴメリー/KEEP ON DRINKIN’
10.DJ Talk about “Swingin’ The Boogie”
11.ジェームス”ピート”ジョンソン/SWINGIN’ THE BOOGIE(SUNSET ROMP)
12.DJ Talk about “Hey Hey Baby”
13.Tボーン・ウォーカー/HEY HEY BABY
14.DJ Talk about “Blue Shadows”
15.B.B.キング/BLUE SHADOWS
16.DJ Talk about “Talkin’ Woman
17.ローウェル・フルスン/TALKIN’ WOMAN
18.DJ Talk about “Match Box Blues”
19.ブラインド・レモン・ジェファーソン/MATCH BOX BLUES
20.DJ Talk about “The Sky Is Crying”
21.エルモア・ジェイムス/THE SKY IS CRYING
22.DJ Talk about “Little By Little”
23.ジュニア・ウェルズ/LITTLE BY LITTLE
24.DJ Talk about “Easy Baby”
25.マジック・サム/EASY BABY
26.DJ Talk about “I Can’t Quit You Baby”
27.オーティス・ラッシュ/I CAN’T QUIT YOU BABY
28.DJ Talk about “I Feel So Good”
29.J.B.ルノアー/I FEEL SO GOOD
30.DJ Talk about “Kansas City”
31.ウィルバート・ハリソン/KANSAS CITY
32.ブルース・ザ・ブッチャー/VOODOO MUSIC



ただ、ひとつだけ不満があるとすれば、30分番組なので、楽しく深いトークとゴキゲン極まりない選曲で、気持ちが最高にノッてきているうちに、あっという間に番組が終わってしまう。

ブルースが好きで、或いはホトケさんのこの番組でブルースのカッコ良さに目覚めた人は、きっと次の回まで淋しい気持ちで過ごすんじゃないかと思います(はぁいアタシです)。

だもんでこの番組をもっと楽しみたい!ブルースをもっと好きになりたい!という人、はたまた番組を聴いてみたいけど、夜は大体家にいないという人のために、何と『ブルースパワー』番組そのまんまの内容を忠実に再現して、しかも収録時間もたっぷり長いCDが、2015年に番組放送7周年記念盤としてリリースされました!

これはもう細かい事は言いません、聴きましょう。

収録されているのは、ブルースといえばこの人のこの曲!ぐらいの有名曲がたっぷりと、興味はあっても"最初の1枚"としてはなかなか手が伸ばし辛い戦前ブルースが3曲(特に戦前ピアノのリトルブラザー・モンゴメリーと、ジャズにも大きな影響を与えたジェームス・ジョンソンのブギウギ・ピアノの2つを入れたのはホント素晴らしい!)、そしてホトケさんの「この人絶対カッコイイから聴いて!」という愛を強く感じるシカゴの個性派&社会派シンガー、JBルノアーや、実はマルチ楽器奏者のR&Bシンガー、ウィルバート・ハリソンなど、渋いところも解説付きで聴けるのも有難いところです。

収録曲は番組同様全て丸々1曲がキッチリ手抜きなく入っておりますので、このCDは全くブルースのCDを持っていない人のための、これ以上ない入門用コンピレーションとしてオススメです。

また、ブルースをある程度聴き込んだ、またはこれに入ってる曲は大体持ってるよという人にとっては、ホトケさんの解説を聴くだけでもお釣りがくるほどの価値があります。

実際数々の現場でブルースマンのぶっ飛び行動や、人としての暖かさや奥深さにたくさん触れてきたホトケさんが語るエピソードの数々は、ブ厚いディスクガイドや本と同様かそれ以上の価値があり、既に知っている(持っている)ブルースのCDやレコードを、今の100倍深く楽しませてくれるでしょう。これはアタシが保証します。

あんまりホトケさんのトークの中身を書くとネタバレになりますので書きませんがひとつだけ、ブルースマンというのは、若い人がブルースを歌ったり演奏することを、自分の事のように喜んでくれる人達
なんです。

日本人だからとか白人だからとか、そんな事は関係ない、みんな心にブルースを持っている。だから俺達は魂込めてブルースをやってきたし、それを若いヤツらが受け継いでくれるのは嬉しいよ。

というような、ホトケさんが本当に嬉しそうに語るブルースの巨人達の暖かいエピソードを聞いて、アタシはブルースが好きで本当に良かったし、ブルースという音楽がますます好きになりました。

ブルースマン、自分の事なんかより、ブルースを聴いてもらう、知ってもらう、そして好きになってもらう事の方が大事なんですよ。

そしてそんな巨人達のスピリッツを引き受けるかのように、全国をツアーしながらブルースの魅力を伝えることに全てを惜しまない永井ホトケ隆さん、最高にカッコいいブルースマンです。




↓そして『永井ホトケ隆のブルースパワー』大好評につき、2018年1月25日に第2段がリリースされます!これも聴くぞー!!みんな聴いてー!!





”ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜”



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:33| Comment(0) | ブルース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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