2018年01月24日

ディジー・ガレスピー ソウル&サルヴェーション

1.jpg
ディジー・ガレスピー ソウル&サルヴェーション


(TRIBUTE/Pヴァイン)

はい、ここ数日このブログは「1970年代のジャズって楽しいんだよ」ということを世に訴えるブログと化しております。何故かと言いますと、この時代のジャズっていうのはやっぱり知られてないけどカッコイイものが多いんですよ。

様々なスタイルのジャズやジャズ以外の音楽の良いところもセンス良く取り込んだり、或いは前の時代に勃興した新しい方法論を更に煮詰めて鋭く特化したりしておる、この時代のジャズ独自の良さは、それこそ「音楽のジャンルなんか関係ないよ、カッコ良ければそれでいいじゃん」とお思いの、広くて深い耳を持った音楽好きの人達にこそ、強くプッシュしたいのです。

さて、前回までは、70年代にデビューした(当時の)活きのいい若手フリー・ジャズ系ミュージシャン達による、硬派な作品をご紹介してきましたが、本日はベテランのイカす作品を紹介します。

トランぺッターのディジー・ガレスピーといえば、1940年代にジャズの歴史を大きく変えたモダン・ジャズの革命であるところの”ビ・バップ”の生みの親の一人として知られます。

チャーリー・パーカーの相方として、それまで誰も経験した事のなかった未曾有の高速フレーズを難なく完璧に吹きこなす超絶技巧、単純にプレイヤーとしてだけでなく、ビッグ・バンドの優れたリーダーとしてアレンジ力にも優れ、お客さんを楽しませるためのおふざけもサマになる、歌って踊れるエンターティナー。眼鏡にベレー帽、そして山羊ひげという独自の奇抜なオシャレが、ニューヨークの若者の間で”ヒップ”と注目され、ファッションリーダーとしても時代を牽引した究極の粋人。

はたまたジャズとは戦前の昔から深く関わっていたラテン、とりわけニューヨークに近いキューバの音楽を本格的に取り込んだ”アフロ・キューバン”の立役者として、どの分野でも恐ろしい程に秀でたセンスと幅の広い視野を持つ、もうすんごいすんごい人なんですが、そんなディジーが何と、1960年代の末、御年50を越えた時に

「若い連中に人気のソウルとかファンクってのがあってだな、ナニ、そいつをひとつやってみたんだ」

と、軽く本気を出してみたらめちゃくちゃカッコイイのが出来た!という、最高にファンキーなソウルジャズの作品があるんです。




【パーソネル】
ディジー・ガレスピー(tp)
ジョー・ニューマン(tp)
ガーネット・ブラウン(tb)
ベニー・パウエル(tb)
ジェームス・ムーディ(fl,as,ts)
ジョー・ファレル(fl,ts)
エディ・パザント(as)
セルダン・パウエル(bs)
ジェローム・リチャードソン(as,bs)
アル・ウィリアムス(p)
アーニー・ヘインズ(p,org)
ビリー・バトラー(g)
コーネル・デュプリー(g)
カール・リンチ(g)
ウォーリー・リチャードソン(g)
ジミー・タイレル(el-b)
レイ・ルーカス(ds)
ジョージ・デヴェンス(perc)

【収録曲】
1.Stomped And Wasted
2.Pot Licka
3.Blue Cuchifrito
4.Turnip Tops
5.The Fly Fox
6.Chicken Giblets
7.Casbah Melon
8.Clabber Biscuits
9.Rutabaga Pie
10.Turkey Fan

(録音:1969年)


はいこれですよ〜みなさん。

バックにはジョー・ファレル、ジェイムス・ムーディー、セルダン・パウエル、コーネル・デュプリーといった、モダン・ジャズの超王道からR&B畑の連中まで幅広い人材を集め、演奏は最初から最後まで、完璧なソウル、ファンク、R&B、そしてゴスペルのやり方でファンキー極まりないジャズ、というよりもインストゥルメンタルソウル/インストゥルメンタル・ファンクをやっておるんです。

ディジーをちょっとでも知ってる人には

「あのディジーがバピッシュな早吹きを一切やらないで、コクとタメを効かせたラッパだけで死ぬほど聴かせてノセてくれるんすよ!!」

と、声を大にして言いたい。

ディジーを知らない人にはアタシはもうキャッキャして

「おゥ、こらもう最高よ」

だけで多分聴いてもらえたら全てのブラック・ミュージック好きが歓喜すると思う。そんぐらいに中身が濃い濃いもー濃い、そしてジューシー♪なヤツなんです。

いやもう、あれだけ4ビートのどんなフレーズでもビシバシ容赦なくキメることの出来る120%ジャズ野郎のディジーが、ソウルやファンクのフレーズを軽々と、しかも何の違和感もナシに吹いていることがもう涙が出るほどの粋を感じて止まないんですが、いやほんと「生まれてこの方コレしかやってこなかった生粋のR&Bブラザー」のプレイかと思わせるぐらいの半端ない説得力、軽くフレーズをひねっただけで、モワモワとしたナチュラルなブルース・フィーリングが空間いっぱいに溢れ出すほどの”黒ぶり”!

かと思えば女性コーラスも参加させてのメロウネスも完璧で、ディジー・ガレスピーという人の、トータルなアーティストとしての底知れぬセンスと実力の凄さだけじゃなく、この時代のブラック・ミュージックの全ての「わぁ、いいなぁ・・・」という部分をも感じてウキウキしたりウットリ出来る、そんなアルバムなんです。

とりあえずほとんど無名のマイナー・レーベルからポーンとリリースされ、売れたのか売れなかったのかすら不明ですが、色んなレーベルから中身はほぼそのまんまでタイトルやジャケット違いとして何度も再発されてきたことから、如何にこのアルバムの内容と、真のブラック・ミュージック好きへの人気というものも伺い知れようというものであります。

あぁいかん、聴きながら書いてると興奮してもう何が何だかさっぱりな文章になってしまいましたので、とりあえず”ソウル”とか”ファンク”とかいう言葉にちょっとでも腰が反応する人は買いましょう。

そして

『ミンミンミン、ミンミンミミミミン♪』

と、コーネル・デュプリーがイントロで刻む1曲目のギター・カッティングを聴いて、レッツ・ゲット・ファキー!!

あぅっ♪




”ディジー・ガレスピー”関連記事




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:09| Comment(0) | ジャズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。