2019年11月02日

モーターヘッド No Sleep 'til Hammersmith

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Motörhead/No Sleep 'til Hammersmith
(Sanctuary)

『モーターヘッド、ロック殿堂入り』という嬉しいニュースがつい最近飛び込んで来ましたが、考えてみればモーターヘッドの”顔”であり「ワイルドはちゃめちゃ破天荒なロックスター」のアイコンそのものであったフロントマンのレミー・キルミスターが亡くなって、もう4年も経つんだなぁ。。。と思うと何だか複雑に淋しい気分になってしまいます。

モーターヘッドはイギリスで1975年に結成され、1979年にメジャーデビュー。いわゆる「元祖ハードロック」と呼ばれるバンドの中でも最も重要なバンドのひとつでありますが、同時期のどのバンドよりもラウドで荒々しいサウンド、酒で潰したようなレミーの野太いヴォーカル、そして革ジャンやジーンズでワイルドにキメたバイカー・ファッションでもってサウンドとビジュアルの両方のインパクトは、誰もが想像する「ロック」そのもので、1980年代においてワイルドでラウドなバンドをやりやいキッズ達のお手本として、その憧れを一身に集めておったスーパーバンドなんです。

実際にアタシも、洋楽に目覚めた1980年代後半から90年代の頭の時期に、ガンズやメタリカ、パンテラにスキッド・ロウといった、リアルタイムで夢中になって聴いていたバンドのメンバー達が口を揃えて「モーターヘッドはクールだぜ」というインタビュー記事を読み、それをまんま受け入れてモーターヘッド聴いたクチであります。





そんでもってワクワクでサウンズパルに行き、親父に名盤『エース・オブ・スペーズ』を勧めてもらい、ソイツを爆音でやべーやべー言いながら聴いてました。

そのサウンドは正に「ゴリゴリ」という言葉ばハマりすぎるぐらいにぴったりハマるバコンと強いハードロック・サウンド。90年代以降、特にパンテラ以降のハイとローをめちゃくちゃに上げた音圧と鋭さの強い、いわゆる”ドンシャリ”のサウンドを聴き狂っていたアタシは、最初

「まー、言うても80年代のハードロックだから、今のに比べたら音は悪いんだろうなー」

と、正直ナメておりましたが、ドンシャリとは真逆の、音圧が真ん中にギュッと集まって、ソイツがスピーカーから出る時にやかましく拡散されて「ドカッ!!」と全身に正面からぶつかってくる迫力。いやもうこれは機材どうのとかテクニックどうのとかじゃねーわ、この人達に気合いだわ。ほんとやべーほんとやべーわと、激しくボコボコにされて以来、それ以後どんな音楽にハマッている時でも何かムシャクシャした時や、特別に気合いが必要な時は、モーターヘッドのラウドな破れハードロック・サウンドを浴びるように聴いております。




No Sleep 'til Hammersmith

【収録曲】
1.Ace of Spades
2.Stay Clean
3.Metropolis
4.The Hammer
5.Iron Horse
6.No Class
7.Overkill
8.(We Are) the Road Crew
9.Capricorn
10.Bomber
11.Mot Rhead
12.Over the Top
13.Capricorn (Alternate Version)
14.Train Kept-A-Rollin


モーターヘッドというバンドは、レミー以外のメンバーというのが結構入れ替わっております。

で、時期によってサウンドも微妙に変わってたりしておりまして、それぞれの時期にそれぞれの良さがありますが(何つっても基本ポリシーである「3ピースのシンプルにラウドな音」というのは一切変わりませんから)、全盛期というか「この時期の荒々しさが最高!」という時期というのがありまして、それが『エイス・オブ・スペーズ』を生んだ1980年代前半、メンバーが

レミー・キルミスター(vo,b)
”ファスト”エディ・クラーク(g)
フィルシー”アニマル”テイラー(ds)

だった時期であります。


結成後、メンバーがなかなか安定しなかったモーターヘッドでありますが、この2人が加入してからサウンドのベクトルが一気に定まって、「攻撃的なリフ、煽りまくるヘヴィなリズム、鋭角なスピード感」という3拍子が揃い、モーターヘッドは強固なオリジナリティを得るに至りました。

実際レミー自身も回想で「エディとフィルが加わってからだな、アイツらが入ってくれたお蔭でモーターヘッドは特別なバンドになったんだ」と語っております。

フィルの天性の”煽り”の才能が爆発した、ガンガン前に出て攻めまくる、ほいでもそのリズムは常にバンド・サウンドの中心にあって強烈なグルーヴを維持している、ロック・ドラムの理想形のようなドラミングについては言わずもがな。アタシも最初にモーターヘッド聴いた時は、それまでドラムなんて全然意識したことなかったのに、何よりも強烈に惹き付けられ、生まれて初めて「ドラムって凄いんだ」と思わされたぐらいの凄まじさであります。

エディ・クラークは、その通り名の”ファスト”が示すように、速弾きのギタリスト。といっても世間一般で言うギターソロを物凄い高速で弾きまくる速弾きではなくて、ロックンロールの要であるギターリフをハードロックの高速仕様に耐え得るスピードに魔改造した偉大な功労者。ほれ、たとえばアタシみたいなクソガキがエレキギター買ってすぐの時、色んなバンドのリフを「これ弾きたい!」と思って、まだロクにコードも覚えてないくせに、それだけ一生懸命覚えて弾くでしょ?そしたら友達に「お前すげーなー」と言われてエヘヘとなるでしょ、そういうリフの大本を作った人なんですよ。凄いんです。


まぁそんな凄い人材を「あらよっと」で従えて自分もガンガン飛ばせるレミーがやっぱり一番凄い訳なんですけれども、今日のオススメはその”エディとフィルがいた頃のモータヘッドのヤバさ”が、これまで書いたアタシの能書き全部吹っ飛ばして体現できる素晴らしいライヴ・アルバム『No Sleep 'til Hammersmith』です。その昔国内盤のタイトルで『極悪ライヴ』っつう最高に頭の悪い邦題が付いてた、ほんとそのまんまのアルバムです。


ハッキリ言ってモーターヘッドそんなに興味ない人は、コレだけ聴いてりゃいいぐらいのアルバムだと思います(分かりますか?アタシは今かなーり優しい口調で語っております)。

のっけから音圧ぶっちぎりそうなギターがゴワーンと炸裂してドラムがバシャバシャドスドス畳み掛けて、ベースがゴリゴリ鳴り響いて、レミーの声が喉も潰れろとばかりに絶叫する。や、最初はそうなんだろうけど中盤とかダレるんじゃないの?後半にバラードとか入って聴かせる展開もあるんでしょ?とか思ってたら、最後まで一気に同じテンション。どころか一番ダレそうな中盤に、一番極悪な、フィルのドラムがそれこそいきなり2バスで暴れまくるという驚異のハイテンション曲『オーヴァーキル』が入ってて、聴いてるこっちの血圧が治まる暇がありません。

で、やっぱり1981年録音のライヴ盤だから、音は微妙にゴモゴモしてて粗いです。でも、その”ゴモゴモ”から突き抜けてくる演奏の、何と堅実でしっかりしていることか。モーターヘッドの魅力は何と言ってもラフで粗削りなその演奏スタイルにあるんですが、こういう演奏こそしっかりとしたテクニックとバンド全体のグルーヴのしっかりとしたまとまりがないと絶対に出来ません。

若い頃はただひたすら「すげーやべー」と聴いてましたが、大人になって改めて聴くと、モーターヘッドというバンドが如何にラウドで粗削りでも、演奏の根底にあるテクニックというのがズバ抜けていたんだと、別の意味での脅威をひしひしと感じます。











『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 23:02| Comment(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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