2019年07月31日

エクスプレッション〜コルトレーン最後のスタジオアルバムを想う

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コルトレーン最後のスタジオアルバム『エクスプレッション』。

これはですね、いつも「今日のコルトレーンのシメ」にいつも聴いてたんですよ。後期の激しい演奏をガーッと浴びるように聴いた後にエクスプレッション、そして初期の粋なジャズ・アルバムをたくさん聴いた後に聴くエクスプレッション。

特にこれといってキャッチーな曲も入ってないし、超人的なスーパープレイがあるわけでもない。

でも、このフリーフォームが溶解したような、沼のような静けさを持つ演奏が刻まれたレコードが薄明かりの中でターンテーブルの上をグルグル回っているのを眺めながらぼーっとしていると、心が不思議と安らぐんです。

そう、コルトレーンにハマッた時「これは一番最後の方の時期のレコード(ということは凄まじいフリージャズだろう)」と買ったレコードなのに、何故か衝撃の輪郭はおぼろで「あのアルバムは・・・」と、具体的に語る事が出来なかったアルバムです。

今も具体的に語る事はとても難しいので、今日はちょろっとさわり程度に書いておきますが、その代わり心への浸透度が、最初からハンパなかった。

うん、ちょいと頭の中を色んな言葉がグルグルしていますので、まとめてからレビューしましょうね。




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2019年07月29日

トミー・フラナガン ザ・キャッツ

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トミー・フラナガン/ザ・キャッツ
(Prestige/OJC)

皆さま改めましてこんばんは。

いやぁ暑いですね、コチラも連日猛暑と呼ばれる気温で日中は強烈な日差しが肌に刺さって痛いぐらいですが、皆さんがお住まいの地域はどうでしょうか?熱中症対策にはこまめな水分補給と言いますが、濡らしたタオルを定期的に首筋に当てるのも、なかなかに大事ですのでぜひ試してみてくださいね。

アタシは本日もこのクソ暑いのに、ある意味で暑苦しさが倍になりそうな(失礼!)コルトレーンを聴いております。

気温の重苦しさよりも更に荘厳な重苦しさで忘れさせてくれる後期のやつをガーッと浴びるように聴いてそして初期、オリジナルのスタイルを必死で模索しながらもビシッとカッコ良く吹きまくっているコルトレーンを聴く。

するとどうでしょう、世間では「暗い」「重い」「暑苦しい」と、マイナスな言葉で語られる事もあるコルトレーンのテナー・サックスの硬質なサウンドが、まるで水の中を泳ぐ魚のように、爽やかで気品溢れる印象で耳に心地良くスイスイと入ってくるではありませんか。

そうなんです、考えてみればコルトレーンの才能が特別である事を最初に確信してメンバーにしたマイルス・デイヴィス。この人は「それまでにないスマートな音楽性」を目指しておりました。

コルトレーンのフレーズっていうのは、確かに同時代の他のテナー奏者達に比べると、何だかたどたどしくて、低音の豊かな響きや情感を現すヴィブラートなんかは希薄です。でも、フレーズをじっくり聴いてみると、確かにその音色とフレーズは、余計なものがないスマートな質感であったりするんです。

いつの時代も「まったく新しいもの」を生み出す人間の評価というのは、遅れてやってくるもんですね。

今聴くとその当時「ヘタクソ」と揶揄されてたコルトレーンの演奏、全然下手じゃありません。むしろ流麗なマイルスの引き立て役として、アンサンブルの中でキッチリと役割をこなしつつ、しっかりと自分の主張も通せております。

マイルスは最初、既に人気者だったソニー・ロリンズをテナー奏者として考えていたようですが、仮に雄弁でパワフルなスタイルを既に完成させていたロリンズがマイルスのバンドに入っていたとしたら、マイルスの小粋とロリンズの粋で、丁々発止のアツいやりとりは凄いことになっていたでしょうが、果たしてマイルスの求めていたスマートな音楽性が、アンサンブルとしての響きを得る事が出来たかどうか、それには果てしなく疑問符が付くと思います。

1957年、コルトレーンはマイルスのバンドをドラッグ問題でクビになってしまいましたが、それでも腐る事無く、いや、むしろそれまで以上に「新しい音楽」の探究に燃えました。

もちろん常習していたドラッグの悪癖から脱するために、恐ろしく苦しい断薬治療をせねばなりませんでしたが、バンドをクビになって時間があったという事と、セロニアス・モンクという素晴らしい師に巡り合った事が、コルトレーンの更生の後押しになった事は言うまでもありません。

モンクのバンドに加入して、本格的なレコーディング作業に入るまでの間に、コルトレーンはプレスティジのスタジオに頻繁に呼ばれ、多くのセッションに参加しまして、先日ご紹介したマル・ウォルドロンの『マル2』もその中の1枚なんですが、実はマルのレコーディングに入る前の日に、すんばらしいセッションがありまして、本日はコチラをご紹介。



Cats


【パーソネル】
トミー・フラナガン(p)
アイドリース・シュリーマン(tp,@B〜D)
ジョン・コルトレーン(ts,@B〜D)
ケニー・バレル(g,@B〜D)
ダグ・ワトキンス(b)
ルイス・ヘイズ(ds)

【収録曲】
1.マイナー・ミスハップ
2.ハウ・ロング・ハズ・ディス・ビーン・ゴーイング・オン?
3.エクリプソ
4.ソラシウム
5.トミーズ・タイム

(録音:1957年4月18日)


プレスティジはニューヨークにあったレーベルです。ニューヨークには、全国各地から腕利きの連中がいっぱい集まってくる土地で、そこにやや離れたデトロイトから集まった連中もいたんですね。

デトロイトという街は、自動車産業で有名ですね。そこには戦前から工場での仕事を求めて南部から黒人労働者が多く集まっていた街です。

そんな環境ですから音楽も盛んで、特に50年代は活きの良いR&Bが大流行りして、そういったバックバンドのメンバーとして鍛えられた人も多くいたでしょう。とにかくこの地からニューヨークに出て来てジャズやってる人達というのは、もちろん個人としての確かな技量や華もあるんですが、それ以上にバンドの中で的確に他のメンバーをサポートしつつ個性を輝かせるいぶし銀の魅力を持つ人が多いです。

『ザ・キャッツ』は、そんなデトロイト人脈(?)のジャズマンが終結した中に、非デトロイト人脈のコルトレーンとトランペットのアイドリース・シュリーマンがホーン隊として参加したセッション・アルバムです。

フロントの2人は次なるマル・ウォルドロンのセッションでも参加しておりますが、クセの強いメンバー達との独特な緊張感が溢れるアチラのセッションとは違い、コチラは終始リラックスした中で、それぞれの個性とか味とかが存分に発揮されております。

まず、アタシはジャケットのかわいいかわいい猫ちゃんに惹かれて「お、コルトレーンの名前が載ってるなぁ。内容はどんなだろう?まぁいいか」と、割と軽い気持ちで買ったんです。

ほんで、快調なコルトレーン、キリッとした強さが味わいのシュリーマン、端正でそこはかとないブルース・フィーリングが滲むフラナガン、いぶし銀の見事な職人ギターのバレル、太く豊かな音を響かせるダグ・ワトキンス、とにかくハズレのない堅実なルイス・ヘイズの純正ハード・バップ・ドラムスに「ふんふん、心地いいね♪」と聴いているうちにリズム隊の人達が持つ、隠し味的な深い味わいの魅力にぞっこんになってしまい、すっかりハマッて聴くようになってしまいました。

プレスティジのセッションものといえば、とりあえず人数集めてスタンダード中心の選曲でざっくりと好きにやらせるというのが基本で、レコーディングの日にちもバラバラ、ラフで大味な所は魅力といえば魅力なんですが、作品としてはやや”投げっぱなし”になるものも多いんです。それがこのセッションは主にトミー・フラナガンにオリジナル曲を作らせて、セッションも1日でキッチリ終わり。アルバムとしての完成度はやたら高く、気品すら溢れるハード・バップの旨味が凝縮されてようなアルバムになってるんですよ。

何と言っても後に「名盤請負人」とまで言われる程、この人がサポートした大物ミュージシャンの作品はことごとく名盤になっているトミー・フラナガンのプレイが、実に微に入り細に入り、気配りが行き届いております。

冒頭の『マイナー・ミスハップ』や、明るいラテンナンバーの『エクリプソ』なんかでは、しっかりとバッキングするピアノのリズムに乗って、前で心地良く吹きまくるコルトレーンやシュリーマンのプレイが、まるで何年も一緒にやってるメンバーとのプレイであるかのように、活き活き伸び伸びと輝いております。

グイグイに押しまくるんじゃなくて、絶妙な”引き”も心得た、ダグ・ワトキンスのベースと、ルイス・ヘイズのドラムも凄いんですよ。派手さは計算して押さえてるし、フロントを全然邪魔してないのにしっかりと存在感のあるリズム隊ってすごくカッコイイですよね。この2人のプレイは正にそれ。

で、ソロ弾いてもバックでコード弾いても、てろ〜んと奏でるちょっとしたフレーズから夜の香りが漂っているのがケニー・バレルのギターです。コルトレーンとシュリーマンにフラナガンのトリオだけでも、このアルバムは十分名盤になったかも知れませんが、バレルの醸す上質なブルースムードが、全体の味わいをグッと深いものにしております。あぁたまらん。

「オリジナルな表現を厳しく追究することを一瞬忘れるほど、肩の力を抜いて大好きなジャズを吹く事に夢中になっているコルトレーン」が聴けるのは、もしかしたらこのアルバムだけかも知れません。もちろんコルトレーンは気を抜いている訳でなく、ハードバップ・サウンドにしっかりと溶け込みながら突き抜ける、最高のプレイをしております。あとしつこいですが猫ちゃんがかわいいんです、猫ちゃんが。














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2019年07月27日

マル・ウォルドロン マル2

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Mal Waldron/MAL2
(Prestige/OJC)

みなさんこんばんは。

コルトレーンについては色々と「この時期はこんな感じよ」という体で語っておりますが「50年代はジャズとしてカッコイイのが多く、60年代以降のは激しく重厚なコルトレーン・ミュージックってな感じだよ」というのは、何となくお分かり頂けましたでしょうかね。

で、今日は1957年、コルトレーンにとってみればこれは初期の初期という事になりますべか。

コルトレーンは1950年代のはじめ頃から、ディジー・ガレスピーやジョニー・ホッジス、アール・ボスティックといったジャズやR&Bの大物のバックバンドのメンバーからそのキャリアをスタートして、1955年になってようやくマイルス・デイヴィスから

「お前なかなか面白いな、オレのバンドでテナー吹いてくれや」

と声がかかり、ここでようやくソロをちゃんと吹かせてもらえるミュージシャンになって、実質的にシーンの表舞台に出る事になります。

それまでのビ・バップでの”吹きまくり”とは一線を画す、音数を選んだファンキーさがそのまんま演奏クオリティの高さに繋がったマイルス・バンドのサウンドと、クールに研ぎ澄まされたトランペット・プレイでジャズの世界に新風を吹き込んだマイルス自身のトランペットの横で、懸命に”それまでにないテナー・サックスのフレーズ”を模索するコルトレーンのプレイは、一部から「へたくそ」とか酷評されておりましたが、単純な男らしさの情感のみに流されない硬派な吹きっぷりはこの時代において間違いなく個性的で、次第に世間からも

「あのコルトレーンってやつのテナーはぶっきらぼうに聞こえるかもわからんが、ああ見えて実に考えた演奏してるなぁ」

と評価されるようになってきました。

何にせよ1950年代半ば、世界で最も先を言くカッコ良さを追究してたバンドの、しかもリーダーと同じフロントマンという最高にスポットの当たるポジションにコルトレーンはいたのです。

ところがコルトレーン、この時期は悪いことに麻薬(ヘロイン)にハマッておりました。

カネがあったらとにかく買って打って、演奏中にボーッとしたり、ウトウトしたりしているのを、怖〜いリーダーのマイルスに「ふざけんなコラ!」と怒られ、でもそんなことを言われたからと言って、この恐ろしい悪癖は、止めようと思って止められるようなものではありません。言い伝えによると演奏中に眠ってしまったコルトレーンが、楽屋でマイルスにぶん殴られて・・・とかいうことになっておりますが、とにかく1957年の4月にコルトレーンはマイルスからクビを宣告されてしまったのでありました。

そんなコルトレーンを見て

「まぁ酷いなぁ。どうだい、ウチに来ないか?」

と、声をかけてくれたのが、ジャズ界随一の鬼才と呼ばれていた、ピアニストのセロニアス・モンク。

実はセロニアス・モンクって人は、その余りにも個性的な演奏スタイルから、当時メジャーな人気はそこそこだったものの、ミュージシャン達からは「いや、あの人はすげぇ。理論もテクニックも完璧だぜ」と、ものすごーく尊敬されてた人でもありました。

当然コルトレーンもモンクをとても尊敬していたんです。特に「全く新しいテクニックを身に付けたい!」と切実に願っていたコルトレーンにとって、チャンスがあれば一緒にセッションして技を磨こう、あわよくば直接理論的な事をあれこれ教えてもらおうと、接触を試みていたような人であったんです。


そんな憧れの人から声をかけられて嬉しくなったコルトレーン「クスリも酒も止めます」と宣言して、更にオフの日もモンクの家に通って色々教えてもらうつもりで、マンハッタンにあるモンクの家のすぐ近くに引っ越しました。

この「1957年の出来事」が、コルトレーンを飛躍的に成長させることになるんです。

とりあえずモンクのバンドで”修行”をし、朝から晩までモンクの家に入り浸っていたコルトレーンは、音楽理論や演奏に対するアプローチ的な事柄についてモンクにしつこく質問し、モンクもそれを嫌がることなく丁寧に教えてくれたために、コルトレーンは50年代末ぐらいにはもう独自の超絶テクニックと個性に磨きがかかった無二の音楽性を持つ、その時代のトップ・アーティストの一人にまでなることが出来ました。

コルトレーンの「マイルスバンドからモンクのところへ」という騒動があったその時は、一応プレステイジの専属ミュージシャンの一人でした。そして、プレステイジにはお抱えのハウス・ピアニスト(スタジオミュージシャン)としてマル・ウォルドロンという人がおりました。

マル・ウォルドロンという人は『レフト・アローン』というヒット曲があり、特に日本では人気のあるピアニストです。この人のプレイスタイルは、常にどこか「陰」のあるダークな哀愁が漂い、そしてこの人もまたセロニアス・モンクを深く敬愛しており、針が飛んだレコードのように循環しながらスケールアウトしてゆくアドリブや、鍵盤をガッコンガッコン叩き付ける打楽器みたいな奏法に、モンクからの影響が滲んでおります。

はっきり言って個性の塊のような人が、何故バックでの堅実なサポートを求められるハウス・ピアニストであったのか、ともかく謎ですが、もう一人のハウス・ピアニストが、堅実で華やかなレッド・ガーランドなので、もしかしたら真逆の個性を持ったピアニストをセッション毎に使い分けようというプレステイジ側の思惑もあったかも知れませんね。






MAL 2


【パーソネル】
マル・ウォルドロン(p)
アイドリース・シュリーマン(tp,@BC)
ビル・ハードマン(tp,ADE)
サヒブ・シハブ(as,@BC)
ジャッキー・マクリーン(as,ADE)
ジョンコルトレーン(ts)
ジュリアン・ユーエル(b)
エド・シグペン(ds,@BC)
アート・テイラー(ds,ADE)


【収録曲】
1.Potpourri
2.J.M.'s Dream Doll
3.Don't Explain
4.Blue Calypso
5.Falling In Love With Love
6.The Way You Look Tonight


(録音:ADE,1957年4月19日、@BC,1957年5月17日)

コルトレーンがマイルスのバンドをクビになってモンクに拾われた丁度その時、プレステイジは専属ピアニストであったマルのまとまったセッションを録音して、アルバムとして売り出そうと画策します。

マルは実は演奏家としての個性だけでなく、大勢でのセッションになった時のアレンジ能力にも長けた人であり、その能力は特にフロントに立つ管楽器奏者が個性的であればあるほど発揮されるようで、今日ご紹介するアルバム『マル2』も、アルト、テナーの両サックスにトランペットを加えた3管編成のアレンジでその能力が遺憾なく発揮されております。

テナーのコルトレーンは全曲参加で、他の管楽器は@BCがサヒブ・シハブ(アルト)アイドリース・シュリーマン(トランペット)ADEがジャッキー・マクリーン(アルト)ビル・ハードマン(トランペット)まぁいずれもクセの強い面々です。

特に上手さと”ちょいと妙な味わい”でブイブイに吹きまくるサヒブ・シハブと、やや掠れた、聴けば一発で個性派と分かる音色でグイグイ押しまくるジャッキー・マクリーンのアルト勢の最初プレイが、このアルバム実は最大の聴きものなんです。このアルト2人の圧巻な吹きまくりとコルトレーンの、最初ややぎこちなくもアドリブ後半で一気に加速するアドリブがマルのアレンジの中で響き合う、すっげぇ気持ちいいです。

この時期のコルトレーン、まだモンクのバンドでの”修行”を開始したばかりで、高速吹きまくりの”シーツ・オブ・サウンド奏法”はいかにも未完成といった感じでありますが、アドリブそのものは十分にアツいです。

そしてやはり何と言っても曲によって明暗のコントラストを自在に操るマルのアレンジ、これが良いですね。「明」の方では『ブルー・カリプソ』『ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト』などで、粋でノリノリのハード・バップを聴かせて「暗」の方は『J.M.ズ・ドリーム・ドール』『ドント・エクスプレイン』で、引きずって引きずって引きずり込むブラックホールのような暗黒世界で酔わせてくれます。

それにしても、モンクと一緒に活動を始めたばかりのコルトレーンと、モンクを敬愛し、そのスタイルを多分初めて消化吸収して自分の個性を磨いたピアニストのマル・ウォルドロンが、絶妙な時期で共演してアルバムを製作したというのは奇縁ですね。そしてその後、マルはエリック・ドルフィーと出会い、そのバンドメンバーとなる事にも、何か巡り合わせのようなものを感じます。













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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


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2019年07月24日

ジョン・コルトレーン バイーア

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John Coltrane/Bahia
(Prestige/OJC)

はい、しばらく60年代のコルトレーンについて書いてきましたが、今日は50年代後半のコルトレーンのお話をしましょうねー!

と、テンション高くなってしまいましたが、実はですね、ついこの間「ブログを読んでたらコルトレーン聴きたくなったっす」という嬉しいお言葉を読者の方より頂きました。

ここまではいい。

「でもー、よくブログで50年代のコルトレーンとか60年代のとか書いてあるじゃないですかー。アレがいまいちよくわかんなくて。あの、50年代のコルトレーンと60年代のコルトレーンどっちがいいですか?」

う〜ん、う〜ん、そぉかぁ、確かにコルトレーン全然聴いたことない人にとっては、50年代とか60年代とか、初期とか後期とか言われてもよくわかんないですよねー。こういう違いって、コルトレーンを聴き込んでいくうちになんとなーくわかってきて、で、それが分かり出してくるとすごーく楽しくなってくるもんなんですが、あぁでもそれはコルトレーンを一発で気に入らないとちょっと難しいですよねぇ。

う〜ん、う〜ん、ごめんなさい。全然聴いたことない人にコルトレーンの魅力を知ってもらうためのブログに少しばかり親切心が足りませんでした大いに反省・・・。

ではそこんとこ、ちょっとザックリ解説します。「コルトレーン全く聴いたことないよ、でも聴きたいよ」という方のために、細かいところはサックリ省きます。まずは「時期によってどんなサウンドなんだろう?」って疑問にお答えすることが先決ですので、細かいとこ省かないバージョンの解説は、また別記事にして書きましょう。




【初期コルトレーン=1950年代】

まだ自分のバンド持ってない頃、プレステイジ・レコードの専属としてレコーディングを行ってました。リーダー作も色々ありますが、特定のリーダーを決めずに行った、いわゆる”セッションもの”や、誰かのアルバムにサイドマンとして参加したものもあります。サウンドはモダン・ジャズ。つまり粋な雰囲気のストレートなジャズです。


【中期コルトレーン=1950年代末〜60年】

プレステイジからメジャー・レーベルのアトランティックに移籍して、いわゆるハード・バップと呼ばれるストレートなモダン・ジャズから、次の次元目指して色々と意欲的な試みをやっていた時期。コルトレーンは色々あって”モード”と呼ばれるクールでスタイリッシュなジャズ理論を、独自に編み出した高速吹きまくりフレージングでモノにしております。『マイ・フェイバリット・シングス』とかはこの時期。

【後期コルトレーン=1961年〜1965年】

亡くなるまで契約が続くことになるインパルス・レコードに移籍。アトランティック時代の最後にようやく結成することが出来た自分のバンドを使ってようやく「コルトレーンの音楽」ともいうべき激しくて荘厳なイメージの音楽性がこの時代に確立されます。アフリカ音楽や東洋哲学、世界のあらゆる宗教から受けた影響も出て来ております。

【晩年コルトレーン=1966年〜1967年】
「ジャズ」という表現からもっと自分自身の極限に挑みたくなったコルトレーンは、定型を崩したフリー・フォームな演奏へと飛び込みます。ついていけなくなったバンドからはメンバーが脱退。代わりに入って来たメンバー達の型破りなプレイに応じて叫びまくったり、精神の重たいコアの部分に沈み込んでゆくかのような、相当にヘヴィな演奏です。



とまぁ本当にザックリですが「それぞれの時期のコルトレーン」って、大体こんな感じです。

「どの時期がいいのか?」というご質問には、これはまぁ好みで、ストレートなジャズがいいなーって人は初期から中期のコルトレーンを、音楽で強烈な体験がしたいという方は後期から晩年のコルトレーンをお楽しみください。

アタシのようなコルトレーン信者になってきますと、好み通り越してその日の気分で時期をセレクトしております。

今日はですね、何か昼間は天気もスカーンと晴れておりますので、夜は初期の粋なジャズでかっ飛ばすコルトレーンです。



Bahia


【パーソネル】
ジョン・コルトレーン(ts)
フレディ・ハバード(tp,@AD)
ウィルバー・ハーデン(flh,BC)
レッド・ガーランド(p,@B〜D)
ポール・チェンバース(b)
アート・テイラー(ds,@AD)
ジミー・コブ(ds,BC)

【収録曲】
1.バイーア
2ゴールズ・ボロ・エクスプレス
3.マイ・アイディアル
4.アイム・ア・ドリーマー
5.サムシング・アイ・ドリーム・ラスト・ナイト

(録音:BC1958年7月11日、@AD1958年12月26日)


このアルバムは、コルトレーン初期の方の最後付近のアルバムになりますね。

1958年に行われた、プレステイジ最後のセッションの音源から5曲収録の、まーコルトレーンファンにとっては大きなターニングポイントでありますとっても貴重なセッションのはずなんですが、どういう訳かプレステイジはリアルタイムではリリースせず、ずっとお蔵入りにしてたんですよ。

ほいでもってようやっとアルバムとして発売されたのが、何とレコーディングから7年経った1965年(!)

その頃人気絶頂にあったコルトレーン人気に目を付けたプレステイジが、わざわざスプラノサックスを吹いている写真を使って(58年の段階でコルトレーンはまだソプラノサックス吹いてません)、あたかもコレがコルトレーンの最新作であるかのように装って発売したんです。

えぇぇプレステイジ酷い!なんですが、内容がこれ「ジャズなコルトレーン」として本当に素晴らしい、ハイテンションとミディアム、そして美しいバラードとが互いに響き合う素敵な演奏と選曲のアルバムなんですよ。

えぇぇプレステイジ酷い!何でそんな良い作品をお蔵入りさせてたんだよー!と、やっぱり思いますよね。でもまぁプレステイジのそういういかにもアメリカのインディーズらしいとこ、嫌いじゃないです。

で、内容。BCが58年の7月で、フリューゲル・ホルンでウィルバー・ハーディン、ドラムがアート・テイラー。@ADがトランペットのフレディ・ハバードとドラムのジミー・コブとなっております。

バックの印象は実に堅実で間違いない感じですね。コルトレーンとはデビューの頃から勝手知ったる仲のレッド・ガーランドとポール・チェンバースは、コルトレーンがどんなプレイで吹こうが落ち着いたサポートで、見事に上質な”ジャズ”として全体を聴かせます。んで、ウィルバー・ハーディンとフレディ・ハバードは、コルトレーンと同じフロントの管楽器ですが、どちらかというと張り合って吹きまくるというよりは、優しく支えている感じの、ちょいと引いたプレイにとても好感が持てます。

そんなサウンドなので、おっかなびっくりで「コルトレーンってどんなだろー」って思ってる人も安心して聴けます。

全曲本当に粋な、もうジャズとしては最高にカッコイイ仕上がりですが、聴きものはやっぱり冒頭の『バイーア』と2曲目の『ゴールズボロ・エクルプレス』です。

まずは『バイーア』これはブラジルのサンバ曲です。ブラジル音楽っていうのは、1960年代にスタン・ゲッツがジョアン・ジルベルトと共演した『ゲッツ・ジルベルト』が大ヒットして、アメリカでの人気に火が点く訳なんですが、そのちょっと前に「よし、ブラジルの曲でいいのがあるんだよ」と持ってきたコルトレーンの感性は凄いし、アレンジがまたボサノヴァやサンバそのまんまじゃなくて、ややマイナー調のラテン風のオープニングから、アドリブに入ってキリッと締まった4ビートになるところなんか最高にカッコイイですよ。

で、『ゴールズボロ・エクスプレス』は、ピアノのレッド・ガーランドが抜けた、テナー、ベース、ドラムのトリオ編成。これはどういうことかというと、コルトレーン「さぁ、物凄いスピードで吹きまくるぞ」ということなんです。

実際演奏は「エクスプレス(特急)」のタイトル通り、とにかく速いテンポで息継ぎはいつやってるんだ!とばかりに吹きまくるコルトレーンのアドリブにただもう圧倒!卒倒の1曲であります。コルトレーンはこの時期”シーツ・オブ・サウンド”という独自の空間に音敷き詰めまくりの技を会得してて、ぜひともその威力を最大限にぶちまけたかったんでしょう。いや、突き抜けております。

この時期の演奏は「一人だけ違う次元に片足突っ込んでるコルトレーンとそれをひたすらサポートする他のメンバー」という図式が完全に成り立っていて、コルトレーンの凄さとジャズという音楽のカッコ良さをいいとこどりで楽しめるんですね。やっぱり捨てがたい独自の魅力です。



















”ジョン・コルトレーン”関連記事








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2019年07月23日

ジョン・コルトレーン インプレッションズ

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ジョン・コルトレーン/インプレッションズ
(Impulse!/ユニバーサル)


東京のアパートで一人暮らしをしていた頃、コルトレーンを夢中で集めては夜遅くまで聴きまくっておりました。

今から大体20年前というと、もちろんスマホもありませんし、自宅にパソコンなんて当然ありません。そもそもあの頃はインターネットというのが普及し始めたばかりで、接続したらダイヤル回線の「ピー、ゴロゴロゴロ・・・」という音が鳴ってたような時代でしたかね?ホームページとかいうものも、そんなになかったように思います。

それでも仕事終わって帰宅して、家事の他にもやることが多すぎて、気が付けば深夜って日が毎日だったような気がします。

音楽聴いて本読んで、音楽聴いて楽器触って・・・まぁそれぐらいしかやってなかったように思うのですが、それで時間はあっという間。うん、今もそう大して変わってないような・・・。

で、コルトレーンなんですが、他のジャズと比べてもある種独特の”重さ”のあるコルトレーンが、ヘロヘロに疲れた心身に、まるでアルコール度数の高い酒のようにジワ〜っと効いた。

重たくて、時に激しくて、疲れてる時にこういう音楽なんて受け付けないのかと思っていたら、実に疲れた心と体に刺さったり覆いかぶさってくれて、その刺さった部分や乗っかった部分をジワジワともみほぐしながら温めてくれるような感覚なんですね。表面だけじゃない、奥底までをしっかりと掴まえて揺さぶりながら良い刺激や深い感動を与えてくれるのがコルトレーンの音楽なんです。

特に最初の頃、コルトレーンっていいな、カッコイイなと思いながら夢中で聴いていたアルバムは、やっぱり60年代以降のインパルス時代のアルバムでした。

一番最初に『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード・アゲイン』に心を撃ち抜かれてからは、それこそ「コルトレーンのアルバムで”Impulse!”っていう所から出てるやつは全部買え、見たら買え」と、自分自身の義務としてましたのでアルバムはみるみるうちに集まりました。

その中のひとつに『インプレッションズ』というアルバムがあって、このアルバムに入ってる『インディア』という曲が、本当にインド音楽みたいですげーカッコイイなぁと思うと同時に

「あ、アタシがコルトレーンに求めてたのは、こういうハードさと民俗音楽みたいなトランス感だったんだ!」

と、気付かされた特別な曲でした。

はい、そうです。『インディア』は、先日ご紹介した『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』に入っていた曲です。

そいでもって、このアルバムに入ってるヴァージョンも、ヴィレッジ・ヴァンガードでの同じライヴ・ヴァージョン。


ところがコルトレーンの生前にリリースされたオリジナルの『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』には収録されてなかったんですね。





資料を見ると、このインディアという曲は、コルトレーンがヴィレッジ・ヴァンガードのライヴの目玉として、5日間講演のうちの何日かではウードやバスーンといった楽器も加えた特別編成でも演奏しております。

これが何故オリジナルのアルバムには収録されてなかったのかというと、やはりバランスと収録時間でしょう。後年リリースされた追加収録盤や完全盤を聴くと、どのテイクも15分とかの非常に長い演奏ですから

「これはアルバムに入れたいんだ」

「う〜ん、ちょっとこの曲凄くいいんだけどノリと曲調が独特過ぎて演奏も長いからバランスがなぁ・・・」

「入れたいんだ」

「わかった。じゃあこの曲を収録したアルバムはちゃんとした形で出すから次回という事にしてくれ」

「えぇぇそれは・・・」

「作品としてのバランスを考えてみたら、この曲を一発目にダーンと持ってきたアルバムを絶対出すからさぁ」

「う、うん。それなら・・・」

というやりとりが、コルトレーンとプロデューサーのボブ・シールとの間であったのかも知れません。




インプレッションズ


【パーソネル】
ジョン・コルトレーン(ts,ss)
エリック・ドルフィー(b-cl,@B)
マッコイ・タイナー(p,@BC)
レジー・ワークマン(b,@)
ジミー・ギャリソン(b)
エルヴィン・ジョーンズ(ds,@〜B)
ロイ・ヘインズ(ds,C)

【収録曲】
1.インディア
2.アイ・ゲインスト・ザ・ウォール
3.インプレッションズ
4.アフター・ザ・レイン

(録音:@B 1961年11月3日、A1962年9月18日、B1963年4月29日)


収録曲の録音年月日を見れば分かると思うのですが、上の「1961年11月3日」というのが、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴで、他の日付の2曲がスタジオでレコーディングされたものです。


これはですのぅ、つまりライヴとスタジオ録音のハイブリッド盤。でも、聴いた感じの質感は、上質なスタジオ録音のそれです。

とにかくライヴの曲がスタジオ録音と一緒に入ってるくせに「作品」としての完成度がすこぶる高い。

あのですね、先に行っちゃいますがこのアルバム、長い曲と短い曲の配分が最高なんですよ。

長いのがライヴで、短いのがスタジオ。しかも、ライヴがどれも14曲強の怒涛の演奏で、その間に3分ちょっとと4分ちょっとのスタジオ録音の曲がそっと添えられている。

『インディア』が、インド音楽のラーガみたいな、民族調モードジャズの名曲で、その次に来る『アイ・ゲインスト・ザ・ウォール』はミドルテンポのブルース、その次に来る『インプレッションズ』が、これまた激しい、余りにも激しすぎてマッコイ・タイナーのピアノは最後の方にちょろっと出て来るだけで、ほとんどコルトーンのテナーとエルヴィン・ジョーンズのドラムスとの一騎打ちみたいになっております。

そして、ラストがバラードの『アフター・ザ・レイン』これが染みますね。音楽的に熟成したこの時代のコルトレーンのバラードは、恋愛の甘さとかそういう次元ではなくて、もっと深い祈りのようなものを感じます。

ここではドラムがエルヴィンからロイ・ヘインズに交代してて、ささやくような繊細なブラッシュワークでサポートしております。

この曲がエンディングを迎えて、余韻がスーっと消えて行くその瞬間が、壮大なスケールの映画か何か観た後みたいな恍惚で、えぇ、ライヴ感がありながら実に良く作りが出来ていて、本当に素晴らしいアルバムだと思います。

特に『インディア』と『インプレッションズ』の2曲に関しては、今じゃヴィレッジ・ヴァンガードの完全盤で違う日の演奏まで楽しめますが、それでもなお、このアルバムの作品としての衝撃度が薄れる事は一切ございません。













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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


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posted by サウンズパル at 09:20| Comment(0) | 大コルトレーン祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする