ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年05月04日

スティーヴィー・レイ・ヴォーン ライヴ・アライヴ

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スティーヴィー・レイ・ヴォーン/ライヴ・アライヴ
(ソニー・ミュージック)

さて、中学の頃に「アトランティック・ブルース・ギター」というオムニバスを購入して、アタマが悪いなりにブルースについてはいっぱしに分かった気になっておったアタシ。

大好きだったのは、やはり前半に収録されていた弾き語り系のディープなブルースマン達の音源だったんですが、高校に入ってエレキギターというものを買って自分でいじくるようになってまいりますと、この耳が若干変わってきます。

エレキギターというものには、独特の快楽がありますね。

それまでイトコの兄ちゃんから貰ったアコギでじゃんじゃかやっているうちは分からなかったんですが、あの、単音で「キュイーン」とやる、そうそれです、チョーキング。コレが実に気持ちのいいもんだと、実際にエレキギター(グレコのレスポールカスタム黒)を買って、アンプに突っ込んで弾いてみて初めて分かった。

もちろんその頃は超の付く初心者で、ソロなんかとても弾けたもんじゃあございません。なので見よう見まねのハッタリで「キュイーン、キュイーン」とだけやっておりました。

その時にふと思ったんですよ。

「これはもしかしてブルースいけるんじゃ?」

そこで・・・そん時はパンクやメタルに夢中になっておったんですが「そういや家にあったぜぇブルースのCD♪」と、思い出して「アトランティック・ブルース・ギター」を聴いてみたんです。

で、とりあえずB.B.キングとか、名前は知ってるけど、最初に聴いた時は良いとも悪いともピンとこなかったモダン・ブルースマンの人達の演奏をじっくり聴いてみることにしました。

そしたらそれまで全く意識してなかったレジェンド達の”泣きのギター”がグッときて

・・・・とはなりませんでした。

まぁその、高校生とはいえ、まだまだアタシはアタマの悪い十代であることに変わりはなかったんです。まだまだ激しさだったり速さだったり、そういう刺激の強い音楽が最高だと、どこかで思っておったんでしょう。B.B.もT・ボーンも「何か渋いな」とは思っても、そのギター・テクニックを手前のモノにしようなんてまだまだ思えず、というか「こういう風に弾けたらカッコイイとは思うんだけど、はて、何をどうすればいいのかよく分からない」というのが正直なところ。てれ〜っと適当に流しながらしばらく途方に暮れていたんです。

が、トラックが進んでいよいよコレが最後という20曲目、ここに収録されていたスティーヴィー・レイ・ヴォーンの「テキサス・フラッド」のライヴ・テイク。

コレが、最初に感動した「モダン・ブルースのギター・プレイ」でありました。

何がどうとか言われると、未だに返答に困ってしまいますが、ライヴ録音というリアリティ溢れる録音環境とか、その中でほとんどソロん時はアドリブでガンガンに盛り上がってゆく熱を帯びた演奏、そして何よりダイレクトにガツーンとクる、ギターの音そのものの強さ、そんなものに一気に「うわー!凄い、こんなにカッコ良かったんだ!!!」と、コロッと。もうコロッといってしまいました。

で、この演奏が入ってるスティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴ・アルバムが欲しくて、親父に訊いたら

「おー、レイ・ヴォーンだったらライヴは確か1枚だけ出しとるなー」

と、探して取り寄せてくれたのがコチラ。




(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.セイ・ホワット
2.エイント・ゴナ・ギヴ・アップ・オン・ラヴ
3.プライド・アンド・ジョイ
4.メアリー・ハド・ア・リトル・ラム
5.迷信
6.アイム・リーヴィング・ユー
7.コールド・ショット
8.ウィリー・ザ・ウィンプ
9.ルック・アット・リトル・シスター
10.テキサス・フラッド
11.ヴードゥー・チャイル
12.ラヴ・ストラック・ベイビー
13.チェンジ・イット


はい、今でこそスティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴ音源は色々出揃って、動画もたくさん観ることが出来るようになりましたが、生前に彼が残した唯一のライヴ・アルバムといえばもうコレ。

中身は85年7月16日のモントルー・ジャズ・フェスティヴァルと、86年7月17日/18日のテキサス州オースティンのオペラ・ハウスに7月19日の同じくダラスのスターフェストでの演奏を収録したものであります。

レイ・ヴォーンって人は、とにかく現場での盛り上がりを大事にする人で、自身もノッてくるとギターソロなんかアドリブでガンガンぶっ飛ばす人なんです。

だからライヴでは、スタジオアルバム収録の曲は必然的に長くなりますので、このアルバムも収録時間長いです(LPの頃は2枚組だった!)。

「スティーヴィー・レイ・ヴォーンのライヴはアレ、アドリブでソロ弾いとるからね」

この親父の一言が、アタマの悪い高校生だったアタシの興奮に火を点けて、もう夢中にさせてくれました。

だってほれ、ロックの曲つったらイントロがあってー、歌があってー、決められたギターソロがあってー、歌があってー、エンディングでー、と、流れ完全に決まってるもんだーってアタシ思ってましたから。

それがアドリブで、その場でひらめいたフレーズ弾いてるってんだから、もうギター弾き出しのぺーぺーの小僧には、あぁ、これはスティーヴィー・レイ・ヴォーンって人は神か天才か何かだ、って思いますよね。

で、1曲目はインストだし、2曲目のスロー・ブルースも、歌までに長めのソロがあるから「こ、これがアドリブかー!」と大興奮して、ちょいと話は飛びますが、翌月にレイ・ヴォーンのデビュー・アルバム「テキサス・フラッド〜ブルースの洪水」を買って収録曲を聴き比べてみたら本当にソロも曲の長さも違って

「お、お、おー、すげー!」

と。

もうアホですねぇ・・・

でも、そんなパンクとメタルと歌謡曲しか知らないような、1年生なギター小僧にとって、レイ・ヴォーンは初めての「ギターヒーロー」として、ギターのカッコ良さ、その基本と究極を、本当にたくさん教えてくれました。

実はこのライヴ、オーバーダビングの部分が多かったり、レイ・ヴォーン自身が「あの時は体調悪くてね・・・」とインタビューで言ってちゃったことが必要以上にネガティブに解釈されて今に至る感があるんですが、そんなこたぁしゃらくせぇことです。

ギターのキレ、特に「Pride And Joy」「Texas Flood」ジミヘンのカヴァー「Voodoo Chile」からの「Love Struck Baby」の、アドリブonアドリブの畳み掛ける凄まじい展開に、ブルースやギターが好きな人で興奮しない人はおらんでしょう。

死後にレイ・ヴォーンのライヴ作品や映像が次々リリースされても、このアルバムの価値は変わりません。みんなで聴こう♪


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2017年05月03日

ベスト・オブ・ブルース・ギター(アトランティック・ブルース・ギター)

スティーヴィー・レイ・ヴォーンのことを書いていたら、ふとこのアルバムについて思い出しました。




その昔「アトランティック・ブルース・ギター」というタイトルで出ておりましたブルースのオムニバス盤です。

まだブルースのことなんかよくわからない、頭の悪い中学生の時に、親父に薦められるままに購入したんですが、このオムニバスに入っていたミシシッピ・フレッド・マクドウェルの凄まじさにまずヤラれ、それからブラインド・ウィリー・マクテルジョン・リー・フッカーTボーン・ウォーカーB.B.キングアルバート・キングギター・スリムなどなど、ブルースの有名どころの名前のほとんどは、最初にこのアルバムで覚えました。

アタシにとっては(今も)素晴らしい教科書のような一枚です。

で、このアルバムの最後に入っていたのがスティーヴィー・レイ・ヴォーン。

ブルースの、そりゃもう神様みたいに凄い人達のプレイの中にあって、コノ人のプレイはヒーローでした。

はい、そんな感じのことを思い出しながらレイ・ヴォーンのことを書き進めております。

あ、この「アトランティック・ブルース・ギター」は、再発の時に「ベスト・オブ・ブルース・ギター」というタイトルになったみたいです。

今は中古しか出回ってませんが、ブルースに興味のある方はもちろん、結構レアな音源(ライヴだったり)も多いので「いや、ほとんど持ってるよ」という方もぜひ見つけたらゲットして聴いてみてくださいな♪
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2017年04月25日

バディ・ガイ アイ・ガット・ザ・ブルース

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バディ・ガイ/アイ・ガット・ザ・ブルース

さて、只今アップアップしながらですがご紹介しております”ギター・レジェンド・シリーズ”皆さんどうですかね? ブルースもロックも、このシリーズのラインナップはアタシがそれこそ10代とか20代の頃、それこそ夢中でギター弾いてて、ギターに関するものなら何でも聴きたい!と鼻息を荒くしていた頃に出会った、「こんな人もいたんだー!」「すげー、このギターどうやって弾いてんだ!」と、何度も何度も感動と衝撃で胸をブチ抜いてくれたアルバムばかりです。

特に今ギターに夢中になっている若い人なんかが聴いてくれたらいいなと思っているんですが、もちろんギターのことなんか全然知らない人が聴いても「うぉ!このギターいいね」と思えるような、音楽的に素晴らしく質の高いものばかりなんで、ちょっとでも心動いた方は、お近くのCDショップ、または本文中に貼ってあるリンクからポチッとしてくださったらと思います。

さて本日は「今を生きるギター・レジェンド」として、最も後輩からのリズペクトを集めているといえばコノ人、バディ・ガイです。

バディ・ガイは1930年代生まれのブルースマンで、戦後になってブルースをエレキ化したマディ・ウォーターズの流れを汲みつつも、B.B.キング、アルバート・キングらが世に広めた「スクィーズ(のけぞり)ギター」の奏法を独自に発展させた、モダン・ブルース第一世代の巨人といえるでしょう。

同年代としてはマジック・サム、オーティス・ラッシュらとシノギを削り、60年代以降のシカゴ・ブルースを大いに盛り上げ、彼の”下の世代”に当たるロバート・クレイやエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジョニー・ウィンター、スティーヴィー・レイ・ヴォーンといったギタリスト達からは「良き兄貴分」として慕われ、ライヴにも呼ばれ、また、バディがアルバムを出すとなれば、この弟分達は喜んで駆けつけると言いますから、プレイのみならず人間的にも素晴らしい人なんでしょう。


第四玉手箱の備忘録「ジャージとタンクトップとストラトキャスター」
(参考動画🎵)








(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.アイ・ガット・ザ・ブルース
2.オレは何から何までツイてない
3.ファイヴ・ロング・イヤーズ
4.ムスタング・サリー
5.隠し事
6.早朝の憂鬱
7.まるで地獄
8.ブラック・ナイト
9.ラヴ・ユー・ベイビー
10.スティーヴィーへの追憶
11.ドゥーイン・ホワット・アイ・ライク・ベスト
12.トラブル・ドント・ラスト

そんな"兄貴"バディ・ガイ、60年代に気勢を上げて、70年代にはソロも、相棒のジュニア・ウェルズと組んだ"バディ・ガイ&ジュニア・ウェルズ"も絶好調で、ライヴにレコーディングにと快進撃を続けておりましたが、80年代はそれまでの勢いが嘘だったかの如く、一気に不遇の時期を迎えます。

80年代というのは、ディスコやニューウェーブなど、とにかく「派手でポップで最新機器を使った音楽」がもてはやされた時代。

ベテランのブルースマンやロック・ミュージシャン達は軒並み苦戦を強いられていたんですね。で、バディも80年代にリリースしたアルバムはたったの2枚。

ちゃんとした仕事も貰えず、悶々としていたバディでしたが、1989年ついに

「むがー!演奏する場所ないんなら自分で作ればいいんじゃー!!」

と開き直り、地元シカゴにブルースの生演奏が聴けるクラブ「バディ・ガイズ・レジェンド」を開店。

自ら経営を切り盛りしながらステージに立つばかりでなく、同じように不遇を囲ってたブルースの仲間達や若手のアーティスト達にも、人種関係なく「ブルースやるならオーケーだぜ」と声を掛け、いつの間にかその店は、ブルースの街シカゴのホットなスポットとなっておりました。

最初は

「バディ・ガイの店だって?へー、あの人まだブルースやってたんだー」

と、冷やかしで入ってくる客にも、ガッツリ手抜きナシの狂暴なブルースを聴かせ、帰る頃には

「やっべぇよ、現役どころかパワーアップしてやがった・・・」

と、圧倒的なパフォーマンスで訪れた人々のド肝を抜き、その噂は当然レコード会社にも届きます。

そして1991年、バディはシルヴァー・トーン・レーベルと契約。

以来このレーベルからバンバン作品をリリースして
、今第二の全盛期なんですが、この「アイ・ガット・ザ・ブルース」は、何と言っても復活の第一段で気合いが違います。

「お、バディ復活かぁー。どれどれ、うん!いいサウンドだ。若い時は勢いだけで突っ走ってたバディもベテランになって落ち着いて・・・

いなーい!何だこの相変わらずの金切りシャウトにバキバキのギターは、若い頃のテンションとちっとも変わんないじゃない。サイコーだなおい!!」

と、いうのが、当時リアルタイムで本作を聴いたほとんどの人の感想です。

タメの効いたねっとりしたファンク・ブルースのA、王道シカゴらしさがジワジワとクるスロー・ブルースのB、ワルツのリズムに乗ってしっかりとアクの強いギターソロでねじ伏せるE、そしてこのアルバムリリースの前に飛行機事故で亡くなった後輩のスティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧げられた魂のスロー・ブルース・インストのIなど、楽曲はオリジナルに、彼の敬愛する先輩ブルースマン、50年代60年代のソウル/R&Bのヒット曲など、グッと幅広くなっておりますが、どの曲でもヒステリックと言えるほどの、情念の炸裂しまくったギターが暴れていて、細かい云々よりも、その暴れっぷりこそがバディだと、多分初めて聴く人にも、戦慄と共に思わせる、激しくてブ厚い説得力に溢れたアルバムです。

ゲストには、彼の華々しい復活に花を添えるべく駆けつけたエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、マーク・ノップラーらの"ギター舎弟衆"が集まって
、やはり素晴らしいプレイでバディを引き立て、盛り上げてます。

しかし、聴けば聴くほど素晴らしいのは、終始重く粘るビートを提供しているリッチー・ヘイワード(リトル・フィート)のドラムです。

この素晴らしいドラムの支えあればこそのバディの大暴れですぞ皆さん。





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2017年03月18日

ジェイムス・コットン 100%コットン

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ジェイムス・コットン/100%コットン
(BUDDAH/Pヴァイン)


モダン・ブルースといえば、ドス黒いサウンドを効かせたバンドの中で時にパワフルに、時にファンキーに響くブルース・ハープがオツなものであります。

昨日は、色んな思い出を巡らせながらジェイムス・コットンの「100%コットン」を聴いておりました。

言うまでもなくブルースハープの最高にカッコイイ名盤のひとつであり、70年代、ファンクに最も接近し、そして最も劇的な音楽的成功を納めた一枚。

ジェイムス・コットンを初めて聴いたのは中1の時です。

当時THE BOOMが大好きだった私は、とりあえず宮沢和史みたいになりたいからという理由でハーモニカ、KeyAの10穴ブルースハープを楽器屋で買ってきて「星のラブレター」を練習していました。


そん時親父が「ほれ、ハープ吹きたいんならこういうやつ聴けばいいよ」と、カセットテープをホイッと渡ししたんです。

ラベルには「ハープアタック!」とぶっとい字(親父直筆)で書いてありました。

このアルバムは、1970年代からのブルースを語る上ではハズせない気合いの入ったレーベル”アリゲーター”からリリースされた、ジェイムス・コットン、ジュニア・ウェルズ、キャリー・ベル、ビリー・ブランチという凄い顔ぶれによるブルースハープ夢のジャムセッション盤です。

もちろん当時そんなこと知らず「へぇ」ぐらいに思ってました。

中1のクソガキにブルースなんていきなりグッとは来なかったし、ハープも何をどうやって吹いてるのか分からなかった。

というのが正直なところでしょう。

ただ「ブルースを聴いてる」という、ちょっとだけ大人の優越感に浸るために、ちょこちょこ聴いて悦に入ってはいました。

自分でもあんまピンと来とらんくせに、友達に「おぅ、コレがブルースじゃあ」とか言って、今もう穴があったら入りたいぐらいの赤面モノなのですが、まぁそんなもんです。

それからジェイムス・コットンを好きになるまでに、宮沢和史を通り ボブ・ディランを通り、ポール・バターフィールド、ジュニア・ウェルズ、リトル・ウォルターと、かなり遠回りして「ジャケがカッコイイ」というだけの理由で「100%コットンライヴ」というCDを買いました。

これは燃えました。

シビレて、吹いて、踊りました。

ブルース、特に戦後のモダン・ブルースといえば、ヘヴィでダウナーな雰囲気の中、とにかくタメの効いた辛口な味わいだとばかり思っていたのですが、ここでのジェイムス・コットンのプレイは「ブルース」というよりノリノリでイケイケのファンクであり、その爆発的なノリは、それまで戦後のブルースに勝手に抱いていた重く暗いイメージを、パワフルにぶっ飛ばすものでありました。

ちなみにこの時期のコットンのブルースは「ファンク・ブルース」或いは「ブルースファンク」と呼ばれてたようですが、コレは本人が意識してこう呼べといったのではなく、レコードを聴いた人らがそれぞれそう命名して、このノリの良さを語り継いでいったものだそうです。だってファンクなんだもん。

その時初めてジェイムス・コットンを、知りもしないのに聴いてから8年後。私は19になっておりました。

そんでもってジェイムス・コットンをもっと深く知ろうと、それまでのファンク路線からルーツ回帰へと舵を切った90年代以降の作品や、彼が参加していた頃のマディ・ウォーターズ・バンドの作品も聴き漁りました。

アンプリファイドバリバリで、いかにもワルなリトル・ウォルターや、音色の中にドロドロした狂気が渦巻いている感じのジュニア・ウェルズのハープとはまた違う、生音を大切に紡ぎながら、はっちゃける時もどこか純朴さや、自然な泥臭さを感じさせるコットンのプレイには、とことん人情が滲んでおりました。

それでいて古臭いとは少しも感じません。



【収録曲】
1.Boogie Thing
2.One More Mile
3.All Walks Of Life
4.Creeper Creeps Again
5.Rockett 88
6.How Long Can A Fool Go Wrong
7.I Don't Know
8.Burner
9.Fatuation
10.Fever

3月16日の夜

「さぁ、明日も仕事はハードだ。気合い入れるためになんつーかこう、ファンキーで芯のある音楽、車で流さないとね」

とか、割と軽い気持ちで、コットンの「100%コットン」を選んでカバンに入れたんです。

午前中

「ほらみろブラザー、やっぱりジェイムス・コットンにして良かったぜぇ。のっけからギラギラしたモダン・ブギでノリノリだろーが。そして間髪入れずに恐ろしくタメの聴いたミドル・ファンクの"One More Mile"だ。俺はもうこの2曲だけで天国行ける自信あるが、ところがブラザー、ジェイムスはそっから畳み掛けやがるんだ。わかるかい、アーハー?ちょいと小手調べの正調ブルースの"All Walks Life"から怒濤のインスト"Creeper Creepers Again"と来て、名刺代わりの最高にゴキゲンなナンバーの"Rockett88"だ。それからそれから最後までアツく聴かせてラストは何だと思う?オリジナル・ソウル・ブラザーNo1、リトル・ウィリー・ジョンの"Fever"だぜ。しかもヤワじゃねぇ、しっかりブルースしてるし、何よりジェイムスの声が野太くて切ない、そんじょの小僧にゃこんな風には出来ない、って当たり前だろ?ジェイムス・コットンだぜ」

と、心の中で一気に呟いて車を走らせ、駐車場でちょいとニュースをチェックしたとき真っ先に飛び込んできた訃報...


頭が真っ白になりましたが「もうこれははなむけに1日中聴き狂うしかないな」と思って、アタシはコットン好きになるきっかけになった「100%コットン」と「100%コットンライヴ」、それと彼の初期の素晴らしいプレイが聴けるマディ・ウォーターズの「トラブル・ノー・モア 〜シングルス1955-1959」を、ひたすら聴き狂っておりました。

コットンは70年代に最先端のファンクを演奏に取り込んでも、ハーモニカの音色そのものを電気増幅することを潔しとせず、ナチュラルな音色で実にモダンで味わいの深いプレイを貫いておりました。スタイルよりも何よりも、アタシがコットンを特別カッコイイなと思うところはそこです。








ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



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2017年03月16日

ミシシッピ・ジョン・ハート アヴァロン・ブルース

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ミシシッピ・ジョン・ハート/アヴァロン・ブルース
(ソニー・ミュージック)

ミシシッピ・ジョン・ハートといえば、戦前にレコーディングを残し、いわゆる戦後に”再発見”されたブルースマンの中で最も人気があったと言われる人です。

その、流麗なアルペジオ奏法によるギターと、何ともほのぼのとしたハートウォームの声は「ブルース」と聴いて連想する、ガラガラで泥臭いイメージとはまるで対極に位置するものであり、長年ブルースファンというよりはフォークを愛好する人達によって愛され、多くの楽曲がカヴァーされてきた人でもあります。

その人となり、ミュージシャンとしての半生につきましては以前にココに書いてありますので、余りクドクドは申しませんが、とにかくそのフォーキーなスタイル(ブルース以前の音楽、つまりブルースから枝分かれしたカントリーの原型をそこに見るような感じ、といえばいいでしょうか)を、何の知識もなしに耳にした時は

「うぉ?コノ人はブルースの人なのにまんまフォークだぞ?どうしたんだ??」

と思ったんですが、実は話が逆で、1960年代以降にたくさん生み出されたフォークソング(実際のフォークソングは単純に”民謡”という意味ですので”フォーク・リヴァイヴバルの時のアコースティック音楽と思えばよろしい)のほとんどは、コノ人のスタイルから直接/間接を問わず大きな影響を受けている訳で、ザックリと、本当にザックリといえば

「戦後のフォークのスタイルは、そのかなりの部分がミシシッピ・ジョン・ハートが作ったもので出来ている」

と言っても、ちょっとしか言い過ぎでないのであります。

そして、ギターを弾く人には、さっきまで散々フォークフォークと言ってたくせにと矛盾を感じるかも知れませんが、ミシシッピ・ジョン・ハートのギターには、フィンガー・ピッキングでアコースティックなブルースを弾くには欠かせない基本テクニックの宝庫なんですね。

アタシが本格的にブルース・ギターを弾いてみたいと思った10代の頃の話です。

「戦前ブルースを弾けるようになりたい!」

と思ったものの、当時はネットもない時代、何をどう弾いていいのか分からず、とにかく必死になって耳コピをしておりました。

そんな時に楽器屋さんで、ステファン・グロスマンという人の、戦前ブルース教則ビデオを見付けたんですね。




はい、ステファン・グロスマンといえば、フォーク・リヴァイバル時の人気グループ「イーヴン・ダズン・ジャグ・バンド」のメンバーであり、シンガー/ギタリストとしての作品やジョン・レンボーンをはじめ、様々なミュージシャンとのコラボでも知られる人ですが、この人はハウ・トゥ・ギターの世界(?)ではとにかく有名な人で、なかんづくアコースティックなブルースの教本やビデオは物凄い量出しています。

戦前ブルースの、特にあの「ギターが2本同時に鳴っているように聞こえる奏法」をとにかく会得したいと思っていたアタシは、グロスマン氏の教則ビデオに飛びつきました。

教則ビデオは最初から最後まで通して観ても、何をどうやってるのかさっぱり分かりません。

しかし、最初にグロスマン氏が

「まずはこの曲をやってみよう、とっても簡単だからね」

と1曲目に持ってきていたのが「マイ・クリオ・ベル」。

これがミシシッピ・ジョン・ハートの曲でした。

最初は

「うぉう、オレはブルースが弾きてぇんだよ、こんなフォークみたいな曲やってられるかよ!」

と、突っ張ってみたのですが、それをすっ飛ばしてブルース曲をしようとしても全く歯が立たず。

悔しいのと情けないので、結構本気でイライラしましたが、ここは素直にグロスマン先生に従おうと、2週間ぐらい真面目に「マイ・クリオ・ベル」を練習してたんです。

そしたら、何となく、親指を「ボン、バン、ボン、バン♪」とやりながら、残りの指でそれっぽいオブリガードを入れることが出来るようになったんです(!)

それを皮切りに、他のブルース曲に挑戦してみたら、何と!完璧ではないけれど「何をどうすればいいの・・・?」という最初の頃のやや絶望感を伴った疑問もなく、分かる!・・・ような気がする!!

で、アタシのブルースギター人生はスタートしました。

ミシシッピ・ジョン・ハートの、アルペジオと親指のベース音弾きギターは、本当にフィンガー・ピッキングの基本も基本。この奏法をマスターしたら、後はシンコペーション(アクセントの置き方)で、ラグタイムやブルースのフィンガー・ピッキングが応用で弾けるようになるんです。


なのでこのブログをお読みの方で「うぉう、オレは戦前ブルースのギター弾けるようになりたいぜぇ!でも、何をどうやったらいいのかさっぱり分からないぜぇ♪」という方がいらしたら、ぜひともミシシッピ・ジョン・ハートの耳コピから始めてください。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


【収録曲】
1.フランキー
2.ノーバディズ・ダーティ・ビジネス
3.エイント・ノー・テリン
4.ルイス・コリンズ
5.アヴァロン・ブルース
6.ビッグ・レッグ・ブルース
7.スタック・オーリー
8.キャンディマン・ブルース
9.ガット・ザ・ブルース
10.ブレスド・ビー・ザ・ネーム
11.プレイング・オン・ザ・オールド・キャンプ・グラウンド
12.ブルー・ハーヴェスト・ブルース
13.スパイクド・ライヴァー・ブルース


さて、アルバムを聴いてみましょう!

ジョン・ハートは戦後60年代に再発見されて大人気となり、ライヴ盤も含めると物凄い量の音源があります。

で、基本的に芸風の変わらない人ですので、どれもオススメではあるんですが、やっぱり聴きたいのは、彼の原点となり、実にその後35年の時を経て、多くの若者の心を掴んだ戦前録音を聴きたいものです。

彼の戦前録音は、この「アヴァロン・ブルース」に残された13曲が全て。過去にはPヴァインが「キング・オブ・ザ・ブルース4」というタイトルで、他のアーティストの楽曲をカップリングしてリリースしたり、戦前モノではジャケットの素晴らしさも含めて定評のあるYAZOOからリリースされたこともありますので、多少話がややこしいですが、どれも内容はほぼ一緒。強いていえば本盤がデジタルリマスタリングのお陰で音質がクリアになっているといったところでしょうか。

どこまでも優しく、鼻歌なんじゃないかと思えるぐらい軽やかな唄い方と、若い分だけハリのあるギターの美しいサウンドによる、芸術的なリズムとオブリガードの”一人掛け合い”これはもう至宝です。

ちなみに1曲目「フランキー」は、ボブ・ディランが90年代にリリースした弾き語り名盤「グッド・アズ・アイ・ビーン・トゥ・ユー」で素晴らしいカヴァーを披露しておりますので、興味のある人はぜひ聴き比べてみてください。


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