ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年03月01日

V.A./スライドギター

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V.A./スライドギター
(ソニー・ミュージック)

皆様お久しぶりでございます。

ちょっと体調を崩しているうちに、まぁ世の中というのは凄まじいスピードで動いておりますようで、ボーっとした重たい頭を抱えつつ、ツイッターなぞ見ながら養生しておった訳ですが、その中で看過できないある情報を目撃して「うぉう!!」となりました。

えぇと、ソニーがですね「ギター・レジェンド・シリーズ」と題しまして、ロックからジャズ、ブルースの、特にギターがカッコイイ名盤を、税込みで¥1080という狂った価格で一挙に50枚リリースしますよと。

ほうほうと思ってカタログを見てたら、流石にロックやジャズでは、これはもう誰にでもオススメできるヨダレものの超名盤(サンタナとかスティーヴィー・レイ・ヴォーンとかジョニー・ウィンターとかチャーリー・クリスチャンとかフリードウッド・マックとか)から「うん分かる!」と、ツウを唸らせる渋いところまでを流石に一流レーベルらしく綺麗に網羅していて感動したんですが、問題・・・いや、これはもう事件と言っていいのが「ブルース」のとこです。

何と、タイトル全部の5分の1にあたる10タイトルが戦前ブルースの復刻。しかも!そのほとんどが90年代前半にリリースされたっきりひっそりとカタログから消えてしまっていた幻の名盤なんですよ。

ロバート・ジョンソンはもちろん、ロニー・ジョンソンの「ステッピン・オン・ザ・ブルース」とかサン・ハウスの「ファーザー・オブ・ザ・デルタ・ブルース」とかブッカ・ホワイトの「パーチマン・ファーム」とか・・・あぁ全部書くとキリがありませんが、とにかく厳選10枚のタイトルのことごとくが、当時ブルースのガイドブックにはスペースをデカデカと取って「とにかく必聴」とかそういう言葉と共に掲載されていたものばかりで、90年代戦前ブルースの泥沼に足を突っ込み始めたアタシは、そらもう片っ端から少しづつ買い集めていたアルバムばかり。

もちろんこれらのタイトルは「これからブルースを聴いてみたい」という方や「今ブルースにハマッてやべぇ」となっておられます若い音楽好きギター弾きの皆さんにも、内容&値段の素晴らしさと共に、ホントにオススメしておきたいブツですので、えぇ、アタシさっきからちっとも冷静じゃありませんが、勢いでこれから気力の続く限りこの素晴らしいシリーズから、戦前ブルースの名盤をできるだけ詳しくわかりやすく皆さんにご紹介していきたいと思います。

一発目の本日は「そんなこと言ってもじゃあ最初に何聴けばいいんだよ」と、お思いの方に、とりあえずでもいいから耳を通して欲しいオムニバスです。




(ギター・レジェンド・シリーズ)



【アーティスト/収録曲】
1.Weaver & Beasley/Bottleneck Blues (Album Version)
2.Barbecue Bob/Untitled (Album Version)
3.Blind Willie Johnson/God Don't Never Change (78rpm Version)
4.Blind Willie Johnson/Dark Was The Night, Cold Was The Ground (78rpm Version)
5.Weaver & Beasley/St. Louis Blues (Album Version)
6.Ruth Willis & Blind Willie McTell/Experience Blues (Album Version)
7.Sylvester Weaver/Guitar Rag (Album Version)
8.Tampa Red&Georgia TomYou Can't Get That Stuff No More
9.Charlie Patton/High Sheriff Blues (Album Version)
10.Blind Boy Fuller/Homesick & Lonesome Blues (Album Version)
11.Leadbelly/Packin' Trunk Blues
12.Casey Bill Weldon/I Believe I'll Make a Change
13.Buddy Woods/Don't Sell It (Don't Give It Away) (Album Version)
14.Buddy Woods/Muscat Hill Blues
15.Robert Johnson/Traveling Riverside Blues (Album Version)
16.Bukka White/Bukka's Jitterbug Swing (Album Version)
17.Bukka White/Special Stream Line (Album Version)


じゃじゃじゃん!

スライドギターですよ皆さん、ブルースと言えばのスライドギターですよ。

しかもこれ、ロバート・ジョンソン、チャーリー・パットン、ブッカ・ホワイトら、元祖ボトルネックのミシシッピ・デルタ勢からナイフ・スライドのテキサス・ブルース、ジャズとのオーバーラップ感も楽しい戦前シティ・ブルースの名手達から、アトランタの12弦使い、バーベキュー・ボブやブラインド・ウィリー・マクテル、更にはレッドベリー、盲目の説教師で戦前ゴスペル(ギター弾き語り部門)最強のスライドマスター、ブラインド・ウィリー・ジョンソンまで、本当に広く深く、戦前ブルースを地域やスタイル別に厳選して選曲/収録してあって、何度も言いますがスライドギターや、戦前ブルースの入門には最適。

名前を挙げた有名どころの演奏は、もう言うに及ばず聴きまくってください。重要なのは恐らくほとんどの人が「誰?」となるであろうシティ・ブルースのスライド名手達の隠れた名演。

冒頭の"Weaver & Beasley"は、戦前に南部と北部を結ぶ中継都市で、ブルースの都と言われたセントルイスで人気だったシルベスター・ウィーヴァーとウォルター・ビーズリーのゴキゲンなギター・デュオ。

軽快なリズムで唄うような小粋なウィーヴァーのギターに、絶妙にメロディーで絡むビーズリーによる「こんな風に弾けたらきっと楽しいだろうなぁ」と思うスライドギター×スライドギターの贅沢なインストであります。

Gのタンパ・レッドは戦前シカゴで"スライドの魔術師"と呼ばれたテクニシャン。敢えて太いビブラートを使わず、精密なフレットさばきとやや甘口の繊細な音色が実に都会的で、そのメロディアスな単弦フレーズとモダンな響きのコードを巧みに掛け合わせた技は、なるほど戦後のマディ・ウォーターズからエルモア・ジェイムスからB.B.キングにまで深い影響を与えただけのことはありますわいと納得です。

そして、スタイル云々はまず置いて素直な気持ちで聴いて頂きたいのが、スライドギターの音を世界で初めてレコードに刻んだだけでなく、弾き語り男性ブルース・シンガー&ギタリスト第一号として、後進に計り知れないデカい道を切り開いたシルヴェスター・ウィーヴァーのF。

奇をてらわない、むしろ素朴な味わいの軽妙な演奏の、噛めば噛むほど色々染みる味わいの豊かさはどうでしょう(!)

スライドギターだらけの贅沢な全17曲、コレ一枚あればあなたのブルースライフ、きっと深まりますよ♪



ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年02月24日

B.B.キング ザ・ジャングル

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B.B.キング/ザ・ジャングル
(KENT/Pヴァイン)

誰もが認める”キング・オブ・ブルース”B.B.キングです。

ブルースが好きとか興味があるとか以前に「洋楽が好き」とか「ギター弾く」とかいうレベルの人なら、実際音は聴いたことなくても名前ぐらいは知っているほどの凄い巨人であります。

ほうほう、じゃあB.B.って何がどう凄いの?

と、お思いの方にはコレです。数あるスタジオ盤の中でも多くのファンが「これこそ最高傑作」と愛して止まない「ザ・ジャングル」です。



【収録曲】
1.THE JUNGLE
2.5 LONG YEARS
3.EYESIGHT TO THE BLIND
4.BLUE SHADOWS
5.THE WORST THING IN MY LIFE
6.BEAUTICIAN BLUES
7.AIN'T NOBODY'S BUSINESS
8.BLUES STAY AWAY
9.I STAY IN THE MOOD
10.I CAN HEAR MY NAME
11.GOT 'EM BAD
12.IT'S A MEAN WORLD


B.B.の人気が、黒人コミュニティのみならず、ロックを通じて全世界に「アレは凄い」と沸騰し始めた1967年のリリースで、当時30代半ばの脂の乗り切ったB.B.の、力強い声とギターにはち切れんばかりのブルース衝動が乗っかった、勢いと熱気の塊のようなアルバムです。

この頃にほぼ完成したB.B.のスタイルといえば、タメの効いたスロー・ブルースでの『泣きのイントロ→堰を切ったように出てくるフルヴォリュームのヴォーカル→そこに思いっきり被せてくる入魂のギターソロ』であります。

このパターン、今ではもうすっかりブルースの”お約束”みたいになっておりますし、実にシンプルなんですが、問題はそのシンプルな構造の中にどれだけの情感をブチ込むことが出来るかということなんですね。理屈抜きでイントロの「キュイーン」が鳴れば、聴いてる側の魂がもう全身総毛立つような感覚が、どの曲のどの演奏を聴いてもリアルに沸いてきてもう大変なことになってしまう。

もちろんB.B.のアルバムは年代毎にそれぞれ素晴らしい味わいがあるし、聴き込めばそれぞれのアルバムならではの「ここ、たまらんよ」が出てくるんですが、これほど理屈や知識的なもんをぶっ飛ばしてダイレクトに「ガガガ!」ってクるアルバムはないでしょう。アタシの場合はアルバムとして最初にちゃんと聴いたのが「ライヴ・アット・ザ・リーガル」で、「あぁ、いきなりこんな凄いライヴ聴いたらスタジオ盤なんか退屈だろうなぁ」とすら思ってましたがとんでもない、ライヴの熱気とはまた違う、中心にギュッと集まった音がスピーカーからダイレクトに飛んでくる凄いスタジオ盤、ここにありました。

はい、確かに多くの人が「最高!」と言う通り、このアルバムには特別な「何か」があります。

実はレーベル移籍のドタバタのさ中に作ったアルバムで、音源は1961年と62年の、主にカヴァー曲を集めたもので、詳しいレコーディングの日にちとかの詳細が不明だとか、オーバーダビングしたホーンのキメのタイミングが1曲目から大胆にズレてたり、スタジオ盤の理屈では色々と”完璧”とは言えないアルバムではあるんです。

しかし、そういった”ちゃんとした部分”でのマイナスを全部帳消しにして余りあるB.B.の凄まじいヴォーカルと、艶のある力強いトーンで響くギター(ルシール)の圧倒的パフォーマンスゆえ、多くの人に愛される名盤中の名盤として、今日まで聴き継がれてきているんだと激しく実感します。




ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



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2017年01月31日

ライトニン・ホプキンス ニュー・ヨーク・ブギ~シッティン・イン・ウィズ/ジャックス・レコーディングス 1951-1952

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ライトニン・ホプキンス ニュー・ヨーク・ブギ~シッティン・イン・ウィズ/ジャックス・レコーディングス 1951-1952
(Pヴァイン)


1月30日はライトニン・ホプキンスの命日!

ということで、このどうしようもなくディープでダーティでデロデロでブギウギでドロドロの”永遠の不良ブルース親父”はたまた”ブルースの権化”なライトニン・ホプキンスのCDを今日は1日中カーステにぶっこんで、そのどうしようもなく(略)なブルースに心地良く浸っておりました。

うぅ〜ん、ライトニン♪

やっぱり何をどこからどう聴いても、およそ「ブルース」って言葉に何か特別なものを感じる人間にとって、この人は格別なんですよ。

普通、ブルースマンといえば、その卓越したギター・テクニックや声の存在感とか個性とか、そういったもので後続に影響を与え、その影響力の強さがそのブルースマンの評価に、そのまんま繋がるのです。

たとえばエレキギターによるソロのスタイルを確立したTボーン・ウォーカー、ブリティッシュ・ロック勢に多大な影響を与えたマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、ボ・ディドリーらのシカゴ・バンド・ブルース・サウンド、B.B.キング、アルバート・キング、フレディ・キングらの”泣きのチョーキング・ギター”とか、ロバート・ジョンソンやサン・ハウスのスライド・・・といった風に、偉大であればあるほど、それぞれの”必殺技”のようなブルースのプレイスタイルがサウンドと歴史の中でクッキリと浮かび上がってくる。

ところがライトニン・ホプキンスは、そのギター・プレイが誰かに物凄く影響を与えたとか、彼のスタイルに憧れた誰かが一大流派を築いたとか、そんな話は聞きません。

でも、ブルースを好きな人は「ライトニン・ホプキンス」といえば、ほとんどの人が「いいね」と返し、そしてライトニンが苦手だとか、ましてや嫌いだという人に、アタシは会ったことがありません。ついでに言うとたくさんあるライトニンのアルバムの中で「これはちょっと違う・・・」という作品に出会ったこともありません。

とらいえライトニンは、決して完璧なミュージシャンではありません。むしろ調子や機嫌の悪さがモロに歌や演奏に出ていたり、チューニングが微妙にズレていることだって結構あります。

カッコイイところはそこなんです。

どんなレコーディング・セッションやライヴだろうが、手前の気分や調子がどうだろうが、その時の"全部"を隠したり誤魔化したり一切せず、好き勝手、本能の赴くままにブルースする。そしてソイツが、もうアホみたいに様になってしまう唯一の超ブルースな存在、それがライトニン・ホプキンスというブルースマンなんですよ。

だからライトニンの歌やギターのスタイルは、誰にも真似が出来ません。やったとしてもライトニンの真似にしかなりませんし、大体コノ人はやってることは非常にシンプルなんだ。当たり前過ぎるぐらいのことでも、コノ人が目一杯の「オレ節」をまぶさしてやっちゃうだけで、とてつもなくディープなブルースになっちゃう。



【収録曲】
1.Hello Central (aka Give Me Central 209)
2.Coffee Blues
3.Long Way From Texas
4.Gotta Move
5.New Short Haired Woman
6.Tell Me Boogie (aka Mad As I Can Be)
7.Prayin’ Ground Blues
8.New York Boogie
9.My Heart To Weep (aka You Caused My Heart To Weep)
10.Tap Dance Boogie
11.I Wonder Why
12.Buck Dance Boogie (aka Papa Bones Boogie)
13.Home In The Woods (aka No Good Woman)
14.Lightnin’s Gone Again
15.Dirty House Blues
16.Bald Headed Woman
17.Everything Happens To Me
18.Freight Train (aka When I Started Hoboing)
19.I’ve Been A Bad Man (aka Mad Blues/Back Home Boogie)
20.New Worried Life Blues
21.Broken Hearted Blues
22.One Kind Of Favor
23.Down To The River
24.I’m Begging You
25.Contrary Mary (aka Crazy Mary)
26.Everybody’s Down On Me
27.You Do Too (aka I’ll Never Forget The Day)


例えば1951年から52年にかけて録音(前半8曲はニューヨーク録音らしい)のこのアルバム、実はライトニンが、何とジョン・リー・フッカー(この人もまたどうしようもなく個性の塊な人)を意識して、ジョン・リー・スタイルのブギーやったり、「Fright Train」という曲は、まんまジョン・リーのオハコのスロー・ブルースである「Hobo Blues」だったりするんですが、曲調もアレンジ(ライトニンのギターとベースのみのほぼ弾き語り)も"まんま"なのにライトニンが昔からの持ち唄を披露しているようにしか聴こえません。

そしてライトニンのギター。

このアルバムでは、アンプにブッ込んだアコースティックギターで、スローブルースとブギをほとんど交互に弾いとる訳ですが、特にブギでは、そんなにツマミ上げないセッティングで、右手のアタックだけで「グシャッ!」とキョーレツな歪みを繰り出すのを聴いて「あ、ギターの"いい音"って理屈じゃないな」と思うのです。

ちなみにこのアルバムのレコーディングは1951年。

この年代のブルースについて書く時ゃ毎回言いますが、アンプにゲインツマミが付いてない時代の音でコレです。。。






(入魂の「ニューヨーク・ブギ」手癖全開それがどうした!!)



”ライトニン・ホプキンス”関連記事


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2017年01月19日

ジョニー・ギター・ワトソン ザ・クラシック・レコーディングス 1959-1966

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ジョニー・ギター・ワトソン/ザ・クラシック・レコーディングス 1959-1966
(ACE/Pヴァイン)


え〜、こんばんは。2月3日生まれの水瓶座です。

まぁアレですね、血液型や星座占いで性格がどうだこうだというのなんか、若い頃は

「そんなもので性格が決まったら、血液型と誕生日一緒の人間は全部おんなじ性格になってしまうだろうが。そんなバカな話がありますか」

とか何とかムキになっておりましたが、最近では

「ほっほ、そうかそうか、まーそんなこともあるかもわからんね」

と、全部が全部信じないまでも、笑ってうんうん言えるぐらいにはなってきました。

というのもアレですよ、あるブルースマン・・・つうか、一応ブルースマンとしてデビューしたけれど、そっからR&B、ソウルファンクと無節操に音楽の幅を拡げ、とことんゴーイングマイウェイ、他人が何と言おうがオレの道を、ヘラヘラ笑いながら勝手に進化しつつ気持ち良さそうに歩いてきて、最後はオレ道を極めたかのようにステージで倒れ、そのまま帰らぬ人となった偉大な、でもかなり変わり者なアーティストと自分の誕生日が一緒だったことから

「あ、水瓶座って何か分かるわぁ・・・」

と、手前と照らし合わせて妙に納得したことがきっかけで、アタシは星座占いを前向きな気持ちで何となく否定できなくなっちゃったんです。

その偉大なアーティストの名はジョニー・ギター・ワトソン!

ギタリスト豊穣の地テキサスに生まれ、当然のことながら地元が生んだブルース・ギター・ヒーローであったTボーン・ウォーカーに憧れ、クラレンス"ゲイトマウス"ブラウンやアルバート・コリンズのギター・スマイルを学びますが、デビューして程なくブルースじゃなくてR&Bの、しかもかなりポップな方にフラフラ〜と行って、それから60年代にはメロウでアーバンなソウル路線、70年代にはでっかいグラサンにピッチリした衣装(ピンクとか紫とか)をまとって、イケイケのファンクにコロッと転向。

で、インタビューで

「あなたは何のプレイヤーなんですか?」

と、問われれば

「あ〜、俺?そうだね"プログレッシブ・ブルース・プレイヤー"だね」

と、金歯を輝かせながらニヤニヤ答える。まるで掴み所のない、アメーバみたいな人であります。


「ブルース弾くにゃアタックを強くするため相当に硬いゲージの弦を使うべし!」が、ほとんど常識の風潮の中で、使っているギターに貼る弦は、ナイロンみたいにペラッペラの柔らかいやつだったり、この界隈では誰もが忌み嫌うテクノロジーもきゃっきゃ言いながら何でも導入して、というより「面白いから」とりあえず使ってみて、挙げ句一人多重録音で全部の楽器を演奏しちゃうアルバムなんかも作ってみたり・・・とにかく人と同じ事は一切やらない人です。

でも、この人の音楽聴いてたり、インタビューなんか読んでいると、頑固だったりひねくれから我が道を行ってる訳では決してなく、自分がやりたいこと、たまたま興味を持ったことを突き詰めたら、誰もやらないような事に、何か至ってしまった。

ということのようです。

そもそもが他人のやることになんかハナッから興味がない本当の変人ですね。

そんな彼のやることなすことに大きく影響を受けたのが、ロック界の孤高のアレであるフランク・ザッパ。


・・・どう見ても変人です本当にありがとうございます。

しかし、この変じ・・・いや違う、素晴らしいワン&オンリーの個性を持つジョニー・ギター・ワトソンの音楽は、どの時期の音源も本当に自由でワクワクするような楽しさに溢れていて、何よりブルースとしてホンモノです。

彼の先輩であるゲイトマウスさんも、ブルースのフィーリングを生涯失うことなく、ジャンルの壁をブチ壊す事に余念がなかったパンクな偉人でありましたが、ジョニー・ギター・ワトソンもそういう意味で、方向性は違えどパンクな気骨を物凄く感じさせてくれるのです。





【収録曲】
1.THE BEAR aka THE PREACHER AND THE BEAR
2.ONE MORE KISS
3.UNTOUCHABLE
4.THE EAGLE IS BACK
5.LOOKING BACK
6.JOHNNY GUITAR
7.POSIN’
8.EMBRACEABLE YOU
9.BROKE AND LONELY
10.I JUST WANTS ME SOME LOVE
11.COLD,COLD HEART
12.THE NEARNESS OF YOU
13.SWEET LOVIN’ MAMA
14.CUTTIN’ IN
15.WHAT YOU DO TO ME
16.THAT’S THE CHANCE YOU’VE GOT TO TAKE
17.GANGSTER OF LOVE
18.YOU BETTER LOVE ME
19.IN THE EVENIN’
20.I SAY I LOVE YOU
21.THOSE LONELY,LONELY NIGHTS
22.BABY DON’T LEAVE
23.AIN’T GONNA MOVE
24.WAIT A MINUTE,BABY
25.OH SO FINE
26.BIG BAD WOLF
27.YOU CAN STAY (BUT THE NOISE MUST GO)


ジョニー・ギター・ワトソンは、1953年に"ヤング・ジョニー"の名前でブルースの世界に派手に登場しました。

テキサス流儀の派手なギター弾き倒し、実にチンピラ臭い、軽めの声を吐き捨てるような唄い方は多くの若者の心を掴み、そのまんまこのスタイルで行っても大成したかに思えますが、1954年にたまたま映画館で見た「ジョニー・ギター(邦題は「大砂塵」という西部劇の、女にモテてカッコいいヒーローに感銘を受けて、芸名をそのまんま"ジョニー・ギター・ワトソン"にした辺りから、破天荒に拍車がかかってきます。

このCDに収録された1959年から66年というのは正に「我が道を行きだしたジョニー・ギター・ワトソン」が聴ける最高の変則ブルース/リズム・アンド・ブルース集なんでこざいますよ。

のっけから当時流行のニューオーリンズスタイルの「おい、ギターはどこ行ったのよ」な、陽気な唄モノで始まって、かと思えばリトル・ウイリー・ジョンばりの都会的なA、銃声(マシンガン)の効果音がド派手に炸裂する、まるで40年後のギャングスタ・ヒップホップの先駆けのようなBと続き、ようやく渋いギターを披露するC、ソロもザラついたリフも素敵なD、かと思えばストリングス入りのしっとりとした正統ソウルなGなんか出て来て、前半からその余りの全ブラック・ミュージック丸呑みぶりにクラクラメロメロになってしまいます。

タイトルからして自己紹介曲のEなんかも、ケロッとした唄いっぷりとノーテンキなコーラスが逆に凄味を出しているというカオスぶりです。

より洗練と訳の分からない凄味が充満した後半は、ギターもガンガン弾きます。

バラードでもかなりドスの効いたI、ジャリジャリしたイントロから、ファンキーな曲展開におろっとなるけど、唄もギターもどこか明るい狂気を感じさせるLなんか、もうこの人にしか出せない味ですね〜。


書いてるうちに、はて俺は今、ブルースを聴いているのか、それともR&Bのオムニバスを聴いてるのか?と不思議な気持ちになることこの上ありませんが、「軽くてワルい」という筋が一本ピシャッと通っていて、ジョニー・ギター・ワトソンってハマッてしまうんです。


ブルースが好きだけど、何かワンパターンじゃないやつ聴きたいなと思ってる人で、ジョニー・ギター・ワトソンまだ聴いたことない人はぜひこの辺りのアルバムから聴いてみてください。

この人らしい吹っ切れたオカシさがあるのはやっぱり一人多重録音からヴォーコーダー、インチキ日本語まで飛び出す70年代以降のがイカレてて最高ではあるんですが、そっちは底無し沼だから今度ゆっくりね。。。







(いきなりこのウキウキな感じですからね、他の曲も推して知るべし!)



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2017年01月14日

テキサス・ナイフスライド・ギター・ブルース

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ランブリン・トーマス、オスカー・ウッズ/テキサス・ナイフスライド・ギター・ブルース
(Pヴァイン)

ブルースギターの尽きせぬ魅力のひとつがスライドギターでありますね。

今はほとんどが指にボトルネックをはめたスタイルが主流になっておりますが、その原型を辿ると、ギターを膝の上に置いて、ナイフを滑らせる「ナイフ・スライド」というスタイルに行き着きます。

ナイフ・スライドがどれぐらい古いのか?誰が最初に始めたのか?というのは今もってブルースの歴史の藪の中でありますが、少なくとも弾き語りブルースマンのレコードとしては一番古いシルヴェスター・ウィーヴァーという人が、1923年には「ギター・ブルース」のタイトルでレコーディングした曲で、その頃には既に奏法として定着してたと言えるでしょう。

さてさて、このナイフ・スライド、最初の頃どこで拡がったのか?といえば、これはテキサスです。

「え?スライドといえばミシシッピ・デルタでしょ?テキサスって意外だなぁ」

と、思われる方も多いかも知れませんが、どうやらスライドギターは、テキサスにほど近いルイジアナ州のシューヴリポートという街で盛んになり、そこから西へ行ってテキサスで一気に拡がり、東へ行ってミシシッピのデルタ地域で進化したという見方が出来そうです。

今日ご紹介するのは、そんなルイジアナ州シューヴリポートで流行り、テキサスに広まったその当時の空気を感じさせるナイフ・スライドの名手二人のコンパイル盤。

スタイルとしては至極シンプルで、やや陰影の濃い味のあるブルースを聴かせるランブリン・トーマスと、ブルースからラグタイム、ジャズバンドとの共演まで多彩な芸を持つオスカー・ウッズ。

特にランブリン・トーマスに関しては、残された全録音ということもあり、歴史的にも貴重な音源なんですが、それだけでなくやはり戦前ブルースの"ナイフ・スライド"という独自のスタイルの楽しさがギッシリ詰まった素晴らしいアルバムなんですよ。




【収録曲】
(ランブリン・トーマス)
1.So Lonesome
2.Hard To Rule Woman Blues
3.Rock And Key Blues
4.Sawmill Moan
5.No Baby Blues
6.Ramblin'Mind Blues
7.No Job Blues
8.Back Gnawing Blues
9.Jig Head Blues
10.Hard Dallas Blues
11.Ramblin'Man
12.Poor Boy Blues
13.Good Time Blues
14.New Way Of Living Blues
15.Ground Hog Blues
16.Shake It Gal
(オスカー”バディ”ウッズ)
17.Red Nightgown Blues
18.Davis's Salty Dog Blues
19.Evil Hearted Woman Blues
20.Lone Wolf Blues
21.Don't Sell It-Don't Give It Away Blues
22.Baton Rouge Blues
23.Jam Session Blues
24.Low Life Blues
25.Token Blues
26.Come On Over To My House Baby Blues


まずは前半16曲収録のランブリン・トーマス。

戦後90年代まで活躍した、ジェシー・トーマスというブルースマンがおりますが、そのお兄さんです。

1902年(頃)にルイジアナ州ロンガスポートという街に生まれ、ほどなくシューヴリポートに行き、こことテキサス州のダラスとを行き来しているうちに、ブラインド・レモン・ジェフアソンやテキサス・アレクサンダーら、同地のブルースマンらと交流を深め、1928年から32年にかけて散発的にレコーディングを残しております。

その短い生涯(1940年代に旅先のメンフィスで病没)のほとんどを放浪の旅に費やした彼のブルースは、芸名通り"旅"にちなんだ苦悩や悲哀を朴訥な唄い口と、ヴォーカルに静かに寄り添う内省的なギターに、じんわりくる個性を感じさせます。

「職を求めてぶらぶらしてたら放浪罪で捕まった」

など、生活者ならではのブルーなテーマを扱った歌詞を、語りかけるように唄えば、ギターがそのメロディを追いかけるように、シンプルなコール&レスポンスの繰り返しが、この人の唯一ともいえるスタイルです。

しかも唄っている間は派手なバッシングは鳴らさず、場合によってはギター弾かないことすらありますので、かなり原初的といえば原初的、聴きようなやよっては相当にヘヴィ。バンドブルースに鳴れた耳には、いきなり喉元に錆びたナタでも突き付けられたような戦慄を覚えるのではないでしょうか。

一方、後半の10曲で、打って変わって派手で華麗なナイフさばき(?)で楽しませてくれるのが、オスカー"バディ"ウッズ。

この人は1900年頃、シューヴリポート生まれとされておりますが、正式な事は判っておりません。

しかし、1930年に白人ヒルビリー歌手、ジミー・デイヴィスのバック・ギタリストとしてレコード・デビューしてから、自己名義での録音の合間にグループでの録音もちょこちょこ残していることなどから、戦前のテキサス〜ルイジアナ近辺では、かなり名の売れたギタリストであり、放浪生活で何とか食っていたランブリン・トーマスとは対照的に、そこそこ羽振りの良い生活をしていたんじゃないかと思われますが、1940年に民俗学者のアラン・ロマックスに発見され、インタビューを受けた時には

「街角やジューク・ジョイントで演奏して生計を立ててるヨ。景気?良くないね、こんな生活をもう15年は続けてるなァ・・・」

と、語っていたようで、実際のところはよく判りません。

しかし、軽やかでどこか都会的な洗練と華やかさを持つ、例えば同じ30年代に活躍した、大都会シカゴのタンパ・レッドなんかにも通じそうな音楽性と、カラッとした明るい唄いっぷりは、なかなかどうして景気の良い感じがします。

ジミー・デイヴィス名義の「ミッドナイト・ガウン・ブルース」なんかもう、軽快なラグタイムですし、曲の展開に合わせて速度を上げて演奏をリードするところなんか、なかなか斬新ですし、管楽器(コルネット)も入るジャジーな後半もかなりセンスよく、この人の尋常でない芸の広さと懐の深さを感じさせます。


しかし、ランブリン・トーマスとオスカー・ウッズ、ほぼ同じ時代の同じ地域を中心に活躍した人ですが、こんなにも正反対&ほとんどスタイルに共通点が見られないというところがまた戦前ブルースの"ひとり1ジャンルぶり"ですね。本当に素晴らしいです。










(内へ内へ沈み込んでゆくランブリン・トーマスと)



(明るく豪快な味わいのオスカー・ウッズ♪)




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