ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年08月22日

ブラックフラッグ Damaged

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Black Flag/Damaged
(SST)


「気合いの入ったロックを教えてください」

お店に立ってた頃、若いお客さんからよくこういう問い合わせを受けておりました。

時は1990年代後半。

うん、アタシも若かったですが、お客さんはもっと若かった。

大体そういう問い合わせをしてくる人達は、当時空前のブームだったメロコアから洋楽に入って、もうちょっと激しいやつを聴いてみたいと思って、ハードコアとかモダンヘヴィネスとか、その辺を聴き漁りたいという素晴らしい意欲を持っている人達です。

「気合いの入ったロックを・・・」

の問いにアタシは大体即答はせず、とりあえず「そうねぇ、メロコアに飽きたら次はやっぱりハードコアっしょー」とか、言って反応を伺ってましたが、この”ハードコア”というワードに、まぁみんな反応すること反応すること。「うぉぉ、ハードコア!」「聞いたことあるっす、ヤバイっすよね!」と、その時点でお客さん達もアタシも理屈を脱ぎ捨てて本能のみで、内側からこみあげてくるアツい感情をストレートな単語や擬音にして、まずは盛り上がります。

今にして思えば、CDが売れるとかオススメを気に入ってもらえるとか、そんなことよりも、こうやってうわぁっ!って盛り上がる瞬間が一番楽しかったですね。

それで”で、ハードコアといえばこの人ですよ”と、色々と古今東西のパンク系の人達のライヴやクリップを録画したビデオに入ってる、ヘンリー・ロリンズのライヴ・パフォーマンスを観てもらう訳です。

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ガッツリ鍛え上げられた上半身をむき出しに、常にファイティング・ポーズのような、足を踏ん張った姿勢でビシッとまっすぐ前を向いてそして叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ!しかも激しく動いて激しく叫んでいるのに、体鍛えまくっているから姿勢が崩れたりよろめいたりしない。

「ほら、これがハードコア。これを気合いが入ったロックと言わずして何を気合いの入ったロックと言うの。フフフ」

という言葉がつい興奮して出そうになりますが、あえてそこは無言でニコニコと反応を伺います。

反応は伺うまでもなく「すげぇ・・・」「やべぇ・・・」の声が彼らの口からため息と共に漏れているのを、アタシはひたすらニヤニヤしながら聞いてました。もちろん、モニターの画面にくぎ付けになっている目が真ん丸になっているのも含めて。

曲が終わって「これ・・・何て人ですか」という言葉を聞いてようやく、アタシは説明に入ります。

この人はヘンリー・ロリンズといって、アメリカのハードコアの初期の頃に出てきた第一人者みたいな人で、デビューした頃からもうこんな感じで気合いの塊みたいな人なんだ。でもね、どっからどう見てもパンクな人なのに、実はめちゃくちゃ規則正しい生活をしていて、筋トレもしてるし、政治とか哲学とかの本も読みまくってるインテリ。俳優もやってて映画にも出てるんだけど、ほとんど名前のないちょい役とか、でも色んなのに出てるから「あ、またあの人出てる」って、映画ファンには根強い人気があったりする。

で「うぉぉ、何か知らんけどすげぇ、カッコイイ!」と、ロリンズ・バンドのCDを手にする人、結構いました。

で、更に「この人のこともっと知りたい!」という人には、アタシはロリンズが最初に在籍していた、ブラックフラッグのことをオススメしていました。






【収録曲】
1.Rise Above
2Spray Paint
3.Six Pack
4.What I See
5.TV Party
6.Thirsty and Miserable
7.Police Story
8.Gimmie Gimmie Gimmie
9.Depression
10.Room 13
11.Damaged II
12.No More
13.Padded Cell
14.Life of Pain
15.Damaged I


やっぱりパンクといえば、ハードコアといえば、このバンド抜きに語ることは出来ないんですね。

1976年、イギリスでピストルズやクラッシュなどのオリジナル・パンクがセンセーションを巻き起こしていた頃に結成されて、アメリカならではの、もっと泥臭く、もっと暴力的なサウンドを追い求め、更に商業的な成功に重きを置かない気骨のバンドを世に出すために、元祖インディーズ・レーベルの”SST”を設立して、その後のパンク/ハードコア、そして世界のロック・シーンに与えた影響はとてつもなくデカい。

そんなことより何よりまず、ヘンリー・ロリンズがヴォーカリストとして在籍していた時の、無軌道で荒削りなサウンドの、理屈も理性も見事にぶっ飛ばすその破壊力は、どんなに音楽が進化しても、機械的に激しく荒々しい音が出せるようになった現在でも、十分に刺激的な音として通用するんです。通用するどころか未だに”気合い”という一点で、ロリンズ先生の居た頃のブラックフラッグのサウンドを突破できるバンドっているのか?いやいない。とアタシ思います、はい。

さて、そんなブラックフラッグの、まずはオススメのアルバムが、実質的なファースト・アルバムであります「ダメージド」。

実はブラックフラッグは、結成してからメンバーの流動が激しく、1枚目のアルバムを出すまでに3人のヴォーカリストが入れ替わっておりますが、1981年にワシントンのハードコアバンド”ステイト・オブ・アラート”に居たヘンリー・ロリンズが加入してからバンドはパワーと安定感を増し、西海岸のマイナーバンドだったブラックフラッグはアメリカのアンダーグラウンド界隈で一気に中心的な存在となってゆくのです。

で「ダメージド」。サウンドの要であるリーダーのグレッグ・ギンが叩き付ける”割れたきったない音”のギターと、パンチの効きまくった、いや、もう拳しかないぐらいのロリンズ先生のストレート、ど根性、気合い大炸裂なヴォーカルとが、ひたすら暴力的に疾走します。

優れたロックバンドのファーストは、大体荒削りで初期衝動に溢れた名盤が多いというジンクスがありますが、その見本のような、どこから聴いてもどんな風に聴いても初期衝動しかない、そんなアルバムです。

ブラックフラッグはこの後86年の一旦解散まで、ヘヴィメタルからの影響も取り込みつつ、どんどん音をへヴィな方向に深化させていきます。

ハッキリ言ってブラック・フラッグやその後のロリンズ・バンドには駄作というものがありませんが、やっぱり無駄の一切ない、というより荒々しさしかないこのファーストは「気合いの入ったロック」をお求めならばまずは聴くべきでありましょう。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年07月12日

エルヴィス・プレスリー登場

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エルヴィス・プレスリー登場

(RCA)

エルヴィス・プレスリーといえば、言わずと知れた白人ロックンローラーの最初で、それまでポピュラーかカントリー歌手しかいなかったシーンにブルースやR&Bからの大きな影響を流し込み、つまりはこの人がいなければロックは生まれても若者達の間で今も聴き続けられるような音楽にはなっていなかっただろうと。

つまり凄い人です。

アタシもパンクロックから始まって、ブルース、ジャズ、その他もろもろのブラック・ミュージックと色々聴いてふとエルヴィスの巨大な功績を思い知ることがよくあります。


しかし!

しかしですよ皆さん。

エルヴィス・プレスリーって、今最も

「有名だけどちゃんと聴かれていないミュージシャン」

の筆頭だとアタシ思うんですね。

エルヴィス・プレスリーといえば、例のキラキラフリフリの衣装とモミアゲという70年代以降のスタイルが、色んなところでおもしろおかしくネタにされてきたというのと、スターになってからのムード歌謡的な歌と何だか石原裕次郎みたいな大御所芸能人みたいなイメージがどうも強くて、一番刺激的で一番カッコ良かった初期のロックンロール時代にはあんまりちゃんとスポットが当たっていない。

だから今日はちゃんと”ロックンロールのエルヴィス”にスポットを当てて、広く世間の人にそのカッコ良さを知ってもらいましょう。

といってもこんな辺境ブログを読んで「お、エルヴィス聴いてみようか」と思ってくれる人が何人いるかは甚だ不安ではありますが・・・。





【収録曲】
1.ブルー・スエード・シューズ
2.当てにしてるぜ
3.アイ・ガット・ア・ウーマン
4.ワン・サイデッド・ラヴ・アフェア
5.アイ・ラヴ・ユー・ビコーズ
6.ジャスト・ビコーズ
7.トゥッティ・フルッティ
8.トライング・トゥ・ゲット・トゥ・ユー
9.座って泣きたい
10.あなたを離さない
11.ブルー・ムーン*
12.マネー・ハニー*
13.ハートブレイク・ホテル*
14.アイ・ワズ・ザ・ワン*
15.ローディ・ミス・クローディ*
16.シェイク・ラトル・アンド・ロール*
17.マイ・ベイビー・レフト・ミー*
18.アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラヴ・ユー*


はい、1956年リリースのエルヴィス・プレスリー正真正銘のデビュー・アルバム「エルヴィス・プレスリー登場」であります。

これはですのぅ、もう本っ当のホンモノのロックンロール・アルバムですよ。最初に聴いた時にアタシはその余りにも挑発的かつワイルドでセクシーなサウンドに

「えぇ!?これマジでエルヴィス・プレスリー!?何てこった、こんなにカッコイイんならもうちょっと早く聴いとけば良かった」

と、感動と後悔がいきなりMAXになった一枚です。

エルヴィスの声の圧倒的な存在感はもちろんですが、派手に飾らないけれどもズガンと迫ってくるギターやベース(もちろんウッドベースだぜぃ)や、軽快にシャッフル・ビートを刻むドラム、グルーヴィーなブギウギを叩き出すピアノなど、何といいますかカントリー、ロックンロール、ロカビリー、R&B、ゴスペルなど、50年代のイカシた音楽の要素全てが、限りなくありのままの姿でここに凝縮されているような感じがするんですよね。

それはチャック・ベリーのファーストを聴いた時も思ったことなんですが、古典として偉い所に祭り上げられる類のそれではなくて、ボリューム上げればいつでもゴキゲンな、いつまでも若者のためにある音楽って感じが、音の生々しさと共に強烈にあるんです。

貧しい家庭に育ち、黒人居住区の教会に勝手にゴスペルを聴きに行ったり、ジューク・ジョイントを外から覗いて生のメンフィス・ブルースを吸収したり、彼の音楽の中心にはいつもブルースやゴスペルなどのブラック・ミュージックがあります。

とにかく「ロックンロール」という言葉に少しでもピンとくるものがあれば、エルヴィスのこのアルバムと、メジャー・デビュー前のサン・レコードでのセッションを集めたアルバムは聴いて損はありません。

「白人は白人らしく品行方正に歌え」

という世間に対して、どんな批判を受けてもあくまで敬愛する黒人シンガー達のような歌い方やパフォーマンス(その中にはあの”腰をくねらせて歌う”というのがありました)をすることを止めなかった、理由は「カッコイイから」。そんなエルヴィスの反骨のスピリッツをぜひとも聴いてください。



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2017年07月05日

ランシド ・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス

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ランシド/・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス
(Epithph/エピック)

丁度ニルヴァーナの大ブレイクで、それまで洋楽の激しいロックといえば、ヘヴィメタル一辺倒だった洋楽に、空前のオルタナティヴ・ロックという新しいムーヴメントが吹き荒れました。

アタシら世代(当時の高校生)のロック小僧やギター小僧達が、ヘヴィメタ雑誌を講読してキャッキャ言ってたのが、もうあっという間にロッキンオンとかロッキンfとかクロスビートとか、それまでは「なんでぇ、あんな軟弱な雑誌」と、どちらかというと馬鹿にしてたのが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとかレッド・ホット・チリ・ペッパーズとかの情報ほしさに最初はコッソリ、段々堂々と、最終的には結構得意気に読むようになって、口の悪いヤツは「メタルとかだっせぇ」とか、ほんの短期間、そう、ほんの数ヶ月ぐらいで言うようになって、あぁ、これが流行ってやつか・・・。と、その時初めて流行の移り変わりを実感として初めて体験した覚えがあります。

でも、当時ニルヴァーナが大ブレイクしたからと言って、出てくるバンドが全部ニルヴァーナみたいなものだったかと言われると、そうではなかったと思います。

「オルタナティヴ」のくくりに入れられてはいても、パンクっぽいもの、ヘヴィメタルの暗黒な要素を強く持つもの、よりカジュアルでポップなものなど、そのジャンルにはたくさんの個性や表現スタイルの違ったバンドがおりました。

そりゃそうでしょう、元々それまでの”ロック”に当てはまらない、何か新しい個性を持っている、カテゴライズが難しいものを「オルタナティヴ」の中に全部詰め込んで、メディアがそう読んでいた訳ですから。

そんなこんなで、90年代というのは、ロックという音楽が多様化を極めた最初の時代です。

常に”新しい何か”に向いていた若者の目は、多様化に背中を押される形で、ルーツにも向けられました。

それが70年代のパンクロックのシンプルかつストレートな音楽性とスピリッツでした。

元々アメリカのインディーズ・シーンは、メタルが流行ろうがオルタナが出てこようが、パンクが下支えしていた時代が長く続いていて、モトリー・クルー、ガンズから、メタリカやニルヴァーナ、レッチリといったメタル/オルタナのブレイクしたバンド達は、パンクロックへのリスペクトに言葉を惜しまず語っており、また「地元シーンでクールなのは・・・」と語る先輩や後輩のバンドには、正統派なパンクやハードコアのバンドも数多くいて、それぞれがそこそこ有名になって、徐々にパンクも復権していた頃、グリーン・デイが大ブレイクして、そこから日本でのお馴染みの、空前のネオパンク/メロコアブームが、オルタナやグランジと入れ替わるような形で吹き荒れます。

この時はポップで軽くて一緒に歌えるバンドが多かったですね。

でも、そんな中で80年代ハードコアのまんまな出で立ちと硬派でエッジの効いた音楽性を持っていたランシドは独特で、ブームを牽引しながらもブームとは毅然と並立しているようなカッコ良さがありました。

1993年にファースト・アルバム「ランシド」でデビューして、翌94年にはセカンド・アルバム「レッツ・ゴー」を出したランシドでしたが、サウンドの他を寄せ付けない強靭さはあれど、この時はまだまだ一部の相当にコアなパンク好きにしか知られていないバンドでしたが、95年にリリースした三枚目のアルバム「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」に収録のナンバー「タイム・ボム」がヒットして、一部のパンク好きから洋楽全般を好む若いファンにも広く受け容れられるようになり、90年代を代表するパンクロック・バンドとしての評価を不動のものとしていきます。





【収録曲】
1.マクスウェル・マーダー
2.ジ・イレヴンス・アワー
3.ルーツ・ラディカルズ
4.タイム・ボム
5.オリンピア WA.
6.ロック、ステップ・アンド・ゴーン
7.ジャンキー・マン
8.リステッド M.I.A.
9.ルビー・ソーホー
10.ダリー・シティ・トレイン
11.ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ジ・イースト・ベイ
12.シーズ・オートマティック
13.オールド・フレンド
14.ディスオーダー・アンド・ディスアレイ
15.ジ・ウォーズ・エンド
16.ユー・ドント・ケア・ナッシン
17.アズ・ウィキッド
18.アベニューズ・アンド・アレーウェイズ
19.ザ・ウェイ・アイ・フィール


1995年の、確かコレ、夏の終わりに出たんですよ。

アタシは夏休みで帰省してて、昼は実家で働いて、夕方からはビヤガーデンでバイトしてたんですけど、そん時丁度ブルース中毒の症状が出始めたのと、その前の年にやっぱり帰省してハマッたランシドの新しいアルバムがリリースされるのを、もうすごく楽しみにしてたんですね。

で、実家とビヤガーデンでバイトしたお金はブルースのCDとランシドでほとんど綺麗になくなったというどうしようもない話は置いといて、ファーストもセカンドも最高に荒削りで、やさぐれそのまんまの音が脳天にガンゴン飛んでくるあの感じが大好きだったんで、レコーディングとかどうやってんだろうと思ったら、ほとんどが一発録りで20曲ぐらいアルバムに入ってるくせにレコーディングには1週間もかけてないとか、そういう話読んで「おぉ、これぞパンクスピリッツ!」とか、アタシ喜んでたんです。

で「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」は、初めてちゃんとしたプロデューサー迎えて1ヶ月以上製作にかけたアルバムだと聞いて、ちょっと勢いとか削がれてたりすんじゃないのか?ポップになってたらどうしよう?とか、前からとても共通点を感じていたクラッシュみたいに、三枚目だからロンドン・コーリングみたいなジャンルレスなアルバム出すんじゃないのかな?とか、不安と期待は入り混じっておりましたが、そんなの関係ないとばかりに相変わらず硬派でストレートで、前作前々作からは上手に音のゴワゴワを抑えて変わりにより鋭く威力のあるものにしたサウンドが、一発目から頭に刺さりました。

ヒットした「タイム・ボム」からしてリズムがスカなんですよね、で、実はこのアルバムの中では音楽の幅を広げようとリズムやアレンジ(つってもギター2本に、曲によってせいぜいオルガンがちょこっと入っただけの男らしい編成)に相当な工夫をしてあって、で、歌詞と見事に連動した楽曲も、見事に一緒に歌えるようなものが多いのですが、ストレートに”響く”と”余計なものがない鋭さ”は、ランシドのアルバムの中でも際立っているような気がします。



一言でいえばものすごくパンクなんです。

「何がどうパンクなの?」

と言われれば

うん、そういう疑問を持ってる人が聴いて”やべ!カッコイイ!すごくパンク!!”と思えるアルバムだからなんだよ。と答えます。







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2017年06月18日

ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン

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ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン
(DREAM/ユニバーサル)


音楽を聴いて「いいなぁ」と思う理由は、もちろんそこで鳴っている音がカッコイイとか歌詞がいいとか、そういうのもありますが、もっと大事なのはその音楽を演奏している人達の音楽に対する深い愛を感じるから、というのがあります。

ロックという音楽は、1950年代のロックンロールに夢中になった白人青少年達が、更にそのルーツを掘り下げて、ブルースやR&B、カントリーにロカビリーなどから”ノレる要素”を取り出して作り出した新しい音楽。

そのロック誕生の背景には、イギリスの若きロッカー達の(本国アメリカの都会ではほとんど見向きもされなかった)ブルースに対する深い愛がありました。

2010年代の今でもローリング・ストーンズが最高にイカすブルース・アルバムをリリースしましたし、ジェフ・ベックもエリック・クラプトンも、これはもう”ブルース伝道師”といっていい活動を精力的にやっております。彼らを動かしているのはブルースへの限りない愛です。

何故、60年代のイギリスのロッカー達は、そこまでアメリカのブルースに惹かれたんでしょう。「いや、それは今まで彼らが聴いたこともないような刺激的な音楽だったからだよ」と言われればその通りそこまでの話なんですが、その他に実は、60年代にバンドやり始めた若者達にブルースのカッコ良さを広めた一人の重要人物がおります。

その人の名はジョン・メイオール、クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、それからストーンズの面々らの10歳ぐらい年上で、1950年代からブルースに傾倒してヴォーカリスト&ハーモニカ奏者として演奏を重ねながら、よき兄貴としてイギリスの若者にブルースという音楽の素晴らしさを広め続けてきた人です。

コノ人がホントすごいんですよ”ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ”といえば、ピーター・グリーン、ミック・テイラー、ジャック・ブルース、それからジョン・マクヴィーにミック・フリートウッド、エインズレー・ダンバー、そして言うまでもなくエリック・クラプトンなどなど、とにかくブリティッシュ・ロックの名立たるミュージシャンを次々と世に送り出したバンドのリーダーで、ロックの誕生には大きく関わっておるんですが、自分が育てたミュージシャン達が次々売れっ子になっても一切スタイルを変えることなく、謙虚にブルースを追究しつづけていて、何と83歳の現在も現役でブルースやっております。

ジョン・メイオールが、またはジョン・メイオールの影響を受けた教え子たちが、ブルースという素晴らしい音楽を世に広めるのにどれだけの愛情とリスペクトを注いだか、それはもうひとつの記事では語りきれません。

実際アタシがここでグダグダ言うよりも、60年代のロックが好き、もしくはロックが好きでブルースにも興味あるよという人は、ジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズのアルバムをぜひ聴いてみてください。どの作品も素晴らしく愛ですよ、愛。





【収録曲】
1.オール・ユア・ラヴ
2.ハイダウェイ
3.リトル・ガール
4.アナザー・マン
5.ダブル・クロッシン・タイム
6.ホワッド・アイ・セイ
7.愛の鍵
8.パーチマン・ファーム
9.ハヴ・ユー・ハード
10.さすらいの心
11.ステッピン・アウト
12.イット・エイント・ライト


はい、そんな訳で今日は「じゃあそのジョン・メイオールの何を聴けばいいの?」という真摯な方へオススメの、彼の初期代表作にして、60年代ブリティッシュ・ブルースロックの金字塔的名盤『ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』これですね。

まず、エリック・クラプトンが参加して、しかも最高に活き活きとしたブルース・ギターを聴かせてくれることでクラプトンの名盤にも数えられます。

先にクラプトンのことをお話すると、最初にブルースやR&Bを軸にしながらもアイドル的な人気が出てしまい、ポップ路線へと転向したヤードバーズに参加していたクラプトン「えぇえ?ポップな曲なんかオレやらねぇよ、オレはブルースが弾きたいんだぜ」と、このバンドを脱退して「どこかブルース弾かせてくれるバンドねぇかな」とさまよっているうちにジョン・メイオールが「ブルース弾いてくれや、むしろ弾きまくっちゃれ」と声を掛けて二つ返事で加入。

その頃のやんちゃ盛りだったクラプトンンは、当時イギリスで開発されて発売されたばかりの”マーシャル”というメーカーのアンプをレコーディングに使いました。

はい、皆さんご存知の今やロックを代表するブランドのマーシャルです。

このマーシャルのアンプというのがとっても画期的だったんですね。この時代ギターアンプといえば「エレキギターの音を出すもの、音量を稼ぐもの」という基本理念しかなかったのですが、ドラム教室と楽器屋を開きながら細々とアンプを作っていたジム・マーシャルおじさんの店に通っていたピート・タウンゼントとかリッチー・ブラックモアとかいう悪ガキが

「おじちゃん、もっとこうガコーンと歪むギターアンプ作ってくれや」

と無茶を言って、音をデカくするついでに、それなりの音量でも「割れて歪んだ音」が出せるアンプを作らせたのが全ての始まりでありますが、コレに「いひひ、オレが真っ先にコイツでレコーディングしたら目立つぜぇ」と、更にワルい魂胆でレコーディングスタジオにマーシャルアンプを真っ先に持ち込んだのがクラプトン。

さあ、そんなこんなで早速大出力のマーシャルアンプとパワフルに鳴るギブソンのレスポールをスタジオに持ち込んで

「オレはブルース弾くんだぜ、弾いて弾いて弾きまくるんだぜちくしょう!誰にも文句ぁ言わせねぇぜちくしょう!」

と、ヤル気に燃えていたクラプトンは、血気にはやった素晴らしいギターを聴かせてくれます。

のっけからオーティス・ラッシュの「オール・ユア・ラヴ」立て続けにクラプトンが最も敬愛するギター・ヒーロー、フレディ・キングの代表曲「ハイダウェウイ」で、ナチュラル・ディストーションの効いた、艶のある痛快な音で、遠慮なしに弾きまくっております。

「クラプトンのベスト・プレイは?」と訊かれると、年代ごとに素晴らしいプレイがありますのでひとつには絞れませんが、このアルバムでのプレイはその中でも間違いなく候補に挙がるものでありましょう。

と、クラプトンのことばかり書いてしまいましたが、それはしょうがないですね(汗)ジョン・メイオールが「コイツのプレイは凄いから聴いてくれ」とばかりにいい兄貴ぶりを発揮してフロントに置いて、わざわざアルバムのタイトルにまで「ウィズ・エリック・クラプトン」と書いてありますから、まずはクラプトンのギター目当てで聴いてもいいし、そういう期待には十分過ぎるほどに応えてくれるアルバムです。

ジョン・メイオールのヴォーカルとハープに関しては、これはもう燻し銀の魅力ですよね。

プレイに関してはハープと手拍子だけをバックに聴かせる「アナザー・マン」が、非常に深いブルース・フィーリングを醸しながらも、黒人のそれとは違う、どこかサラッと洗練されているフィーリングで実に聴きやすいし、オーティス・ラッシュ、フレディ・キング以外にも、レイ・チャールズ、ブッカ・ホワイトにロバート・ジョンソンなど、ブルースやR&Bの巨人達の、それぞれ異なった幅広いスタイルの楽曲を見事斬新なブルース・ロックに仕上げたそのセンス、特にギターを全面に出しながらもリズム隊に積極的に変拍子を繰り出させるその実験精神は流石としか言いようがありません。

とにもかくにも自分が目立つことよりも、みんなに聴いて欲しいブルースの曲と、イチオシの若いギタリストのプレイにスポットを当てて、でもアレンジに手抜きせずオリジナルな”俺たちの味”をギッシリ詰め込んだジョン・メイオールの心意気、これを感じて頂きたいと思います。





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2017年06月12日

チャック・ベリー チャック〜ロックンロールよ永遠に〜


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チャック・ベリー Chuck〜ロックンロールよ永遠に〜

(ユニバーサル)


ロックンローーーーーーール!!!!

あいすいません、冒頭からぶっとい字で叫んで何事かとお思いでしょうが、いやだってアナタ、コレが叫ばずにおれますか。チャック・ベリーですよ、今年(2017年)3月に90歳の大往生を遂げたロックンロール・レジェンドが、この世の全てのロック小僧に残した置き土産、何と1979年リリースの「ロック・イット」以来実に38年ぶりにレコーディングしたニューアルバムが、6月9日の”ロックの日”に発売されたっつうんだから、いやアナタ、コレが叫ばずにおられますか。

はい、ちょっと冷静になりますね。

アタシはもちろんチャック・ベリー、まだロックとか何とかよくわからんうちに、何だか周りのトッポいお兄さん達が聴いてる影響で、長い間知ったかぶりして聴いて、それからロック、ブルース、カントリー、R&Bとか、一丁前に聴いてそのカッコ良さをこれまた一丁前にわかるようになってきてからようやく

「うわぁぁああ、コノ人は本当に本当に凄い人だったんだ」

と驚愕して、ミーハーじゃなくて真剣にブルースとかその後のロックとの深いつながりを意識しながら聴いてみて、何とまぁ斬新でカッコイイことをやった人なんだと、頭悪いなりにようやくわかって以来、彼の50年代から60年代のアルバム、具体的にはファーストの「Afterschool Sessions」から6枚目の「St.Louis to Liverpoor」まではそれこそ夢中で聴きました。

えぇ、偉そうに理屈をこねておりますが、チャック・ベリー聴いてる時の気持ちは今も変わらんですね。何だかんだやっぱりミーハーな気持ちで聴いておるのかもです。だってどんだけ色んな音楽を聴いても、やたら知識ばかりが無駄に自分の中で積み重なっても、チャックの十八番ともいえるあの「ジョニー・B・グッド」とかの

チャララチャララララララララ♪

のイントロを聴けば、心の中で言葉じゃない「うわぁ!」が湧くんです。えぇ、湧くったら湧くんです。

で、自らロックンロールを1950年代におっぱじめ、以来60年近くそのロックンロールをやってきたチャック、ロックンロールからロールが取れてロックになっても、テクノロジーがどんだけ発達しても、ずーーーーっとロックンロールをやってきました。

その姿勢は頑固一徹とかそんなんじゃなくて、ブルースを核に、カントリー、ラテン、ジャンプ、ジャイヴ・・・と、アメリカのあらゆるポピュラー・ミュージックを自分のセンスと才能で全部ごちゃまぜにして”オイシイとこ”を上手い事抽出して、オレにしか作れない音楽を作ってきたんだぜ。というオリジナル・ロックンローラーとしての誇りであるとアタシ思います。

で、そんなチャック・ベリー。偉大なる大御所ミュージシャンらしくゆったり構えていたのかといえばそうではなくて、相変わらずギター1本だけ持ってあちこちでドサ回り。

バックバンドも相変わらず有名ミュージシャンは付けずに(多分)「お前らのギャラはコレでいいよな?な?」という半ば脅迫じみた提案に「いいっすよ」と言うヤツだけを雇って

「いいかお前ら、チャック・ベリー・ミュージックだ。リハーサル?セットリスト?馬鹿野郎オレが今からやるっつう曲をてめーらやればいいんだ」

と、恐らくはずっとやっていたんでしょう。

でもこれ、チャックが最初からやってたことなんで誰も気にしない。大体チャックの曲はみんなガキの頃からレコードで聴き込んでいるので気にしない。

特にアタシはYouTubeで2015年以降のチャックのライヴ映像を観るのが好きでした。

この頃から体調を崩したとかで、チャックはちゃんと歌えてないしギターもマトモに弾けてないんですよね。でもバックバンドが懸命に盛り上げて、チャックが歌えてない場所は、お客さんが大合唱でキチンと補ってる。だからライヴは全然悪くないし、むしろロックンロールとして最高にあるべきライヴの凄さがみなぎってる。

これ、衰えたチャックをフォローしてる訳じゃないんです。例え彼が弾けてなくても歌えてなくても、彼の音楽がバックバンドに火を付けてお客さんを盛り上げてる。世界中のロックファンから無条件に愛される曲を作り、それをずっと演りつづけてきたチャックだからこそ出来ることなんです。


ロックンロール







【収録曲】
1.ワンダフル・ウーマン
2.ビッグ・ボーイズ
3.ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド
4.3/4タイム
5.ダーリン
6.レディー・B.グッド
7.シー・スティル・ラヴズ・ユー
8.ジャマイカ・ムーン
9.ダッチマン
10.アイズ・オブ・マン


そんなチャック・ベリーのライヴの凄さにグッときて待ちに待っていたニューアルバム。

チャックは体調を崩してから「絶対にリリースしたい!」という執念で、長い製作期間をかけて作り込んできたんです。

残念ながらこの音盤がお店に並ぶのを見ることなくチャックは旅立った訳で、それに関しては色々と思うところもありますが、とにかくアタシが物心ついたて時から「新作が出る」と聞いたことのないチャック・ベリーが新作を出すんです。そして出したんです。結論からもう先に言っちゃえば、コレが最高にカッコ良かったんです。


アレンジはあれこれ余計な音を被せない、実にストレートなもので、チャックの声もギターも凄くメリハリ効いてパンチも効いてます。

曲も安定の"いつものチャック・ベリー・ミュージック"で、コチラも変に奇をてらったりしないで最初から最後まで小細工ナシで突き進んでて、何より音の質感が、今風に媚びてないのにエッジが効いて全然古くさくないし退屈しない。

まだまだ聴いたばかりなので上手く言葉が出てきませんが、これは間違いなくチャック・ベリーの集大成なアルバムです。

トム・モレロが参加していることが話題になってますが、彼のプレイは言われなきゃわからんぐらいの謙虚さで、メインで鳴り響いているノン・エフェクトのチャックのセミアコのあの音を、目一杯のリスペクトで引き立ててます。

チャックは絶対そんなことやらんだろうと思ってましたが、このアルバムはよくあるベテランのご祝儀的な、和やかで懐メロなだけのアルバムにはやはりなってません。

シンプルにギラついた、無駄がなくストレートな刺激がバンバン飛んできて、アタシらクソガキをアツくしてくれる最高のロックンロール・アルバムなのです。





ロックンロール!

チャック・ベリーよ永遠に!


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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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posted by サウンズパル at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする