ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年04月29日

ジェシ・エド・デイヴィス キープ・ミー・カミン

887.jpg
ジェシ・エド・デイヴィス/キープ・ミー・カミン
(ソニー・ミュージック)

はい、皆さんゴールデン・ウィークがやってきた訳なんですけれどもねぇ、どこへ行きますか?アタシはあくせく働いておりますので、今のところ何をして楽しむとかそういう予定はないんです。

「お、おぅ、毎日がゴールデン・ウィーク(休日とは言ってない)」

という、摩訶不思議な呪文を唱えて、今年も何とか乗り切ろうと思っております。

さて、ここのところ特集しております、ソニー・ミュージックの「ギター・レジェンド・シリーズ」の話を、アタシはしたいんでありまして、ゴールデン・ウィーク全然関係ない。

このシリーズは、ロックにブルースにジャズにと、ギターという楽器にスポットを当てながら、同時に素晴らしいアメリカン・ルーツ・ミュージックの楽しさや奥深さを味わえる、本当に素敵なアルバムが多いです。

その人個人が「アメリカン・ルーツ・ミュージックの体現者」として、その名を知られているレジェンドばかりなウホッ!なシリーズなんですが、本日ご紹介するジェシ・エド・デイヴィスこそは、そんなグレイト・アメリカン・ルーツ・ミュージックの体現者の最高峰にいるレジェンド・オブ・レジェンドと言っていいでしょう。

と、ここまで書いて

「え?だ、誰!?」

となった人は多いかも知れません。

そうなんです、ジェシ・エド・デイヴィスは、そのセンスとアメリカン・ロック・スピリッツの塊のような素晴らしいギター・プレイで、エリック・クラプトン、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、ロッド・スチュアート、レオン・ラッセル、ジョン・リー・フッカー、キース・ムーンなどの英米の大物ミュージシャン達のハートを掴み、それこそミュージシャンズ・ミュージシャンとして、知る人ぞ知る存在です。

特に我が国のロック・ファンには、ビートルズのソロ絡みなどの英国ロックの作品で知った人も多いと思うのですが、彼を知った人達が、たったの3枚しか出ていないジェシ・エド・デイヴィス名義のソロ・アルバムを聴くやいなや、アメリカン・ロックの濃厚な味わいにヤラレちゃう現象が、音楽好き界隈では起きておりまして、アタシはコレを

「ジェシ・エド・メロメロ現象」

と、今名付けたんですが、そんぐらい聴く人の心に訴える、土臭さと人肌の温かみに溢れた音楽を作っていた人なのであります。

その生い立ちからデビューを追えば、1944年(ミック・ジャガーと同い年)にアメリカ南部オクラホマに、両親共にネイティヴ・アメリカンの家庭に生まれ、少年時代はラジオで夢中になって聴いたブルースやロックンロールに魅了されてそのまま音楽の道へ進むことに。

で、最初に活動の拠点とする西海岸で出会って最初にバンドを組んだのが、後に”スワンプ・ロックの王様”と呼ばれ、アメリカを代表するシンガー・ソングライターの一人でありますレオン・ラッセル。

その後に、当時異色の黒人ブルース・ロック・シンガー&ギタリストとして、幅広い活動をしていたタジ・マハールにギターの腕が認められ、彼のバック・バンドのメンバーとなったのが1966年。この年にローリング・ストーンズ主催の一大イベント「ロックンロール・サーカス」に参加するためにタジと共に渡英しますが、この時ストーンズのメンバーやジョージ・ハリスン、そしてエリック・クラプトンらがこぞって彼のプレイを大絶賛

「すげぇよアイツ!何て美しいスライドだ!」

「いや、初めて見るヤツだけどカッコイイね」

「何か話してみたらめっちゃイイ奴だよ」

という風に、たった一度のコンサートで彼の株はミュージシャン仲間の間で急上昇し、その後このイベントで知り合った英国ミュージシャン達のレコーディングやセッションに呼ばれたり、ジェシはミュージシャン仲間内と、熱心なファンの間で「すげぇギタリスト」と密かにささやかれるようになっていきます。

で、元々がタジ・マハールのバックバンドの一員で、まぁとりあえず好きなギターが弾ければそれでいいと思ってたジェシは、まだソロ・プロジェクトとかそんなものは全く考えていなかったのですが、エリック・クラプトンから

「ジェシ、ソロ・アルバム作った方がいいよ。何ならオレが手伝うよ」

と、後押しされ、1970年ついにアトコ・レコーベルから1枚目の「ジェシ・デイヴィスの世界」を、翌年にはジョージ・ハリスン主催のバングラデシュ・コンサートに出演して、更にその翌72年にはセカンド・アルバム「ウルル」をリリースします。

いずれのアルバムも、クラプトンや盟友のレオン・ラッセル、ジョージ・ハリスンなど、気の合う仲間達が参加したり楽曲を提供したり、実にくつろいだ雰囲気の中、レイジーで幸福な時間が流れる極上のアメリカン・ロック・アルバムであります。


この、アトコからリリースされた2枚のアルバムは、いずれもワーナーから再発され、名盤としての評価も定着した感がありますが、1972年にレーベル移籍してリリースされた3枚目にして、ソロとしては最後の作品になってしまった「キープ・ミー・カミン」は再発もなかなかされず、待ち望んでいた方も多いアルバムです。




(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.ビッグ・ディッパー
2.シーズ・ア・ペイン
3.ホェア・アム・アイ・ナウ(ホェン・アイ・ニード・ミー)
4.ナチュラル・アンセム
5.フー・プルド・ザ・プラグ?
6.チン・チン・チャイナ・ボーイ
7.ベイコン・ファット
8.ノー・ディガ・マス
9.6:00ブーガルー
10.キープ・ミー・カミン


アタシも今までジェシ・エド・デイヴィスといえば、アトコからの2枚しか知らず、このアルバムは聴いたことなかったんですが、いや参った、素晴らしいです。

コノ人の素晴らしさは、アメリカの、それも南部のどこかルーズで気怠くて、でもしっかりとグルーヴしているバンド・サウンドに乗って、程よい手数と豊かな情感でもって歌うギターの、全く飾らない、気取らないカッコ良さにあるんですが、この3枚目は、割とキッチリ作ってある前2作に比べて、やってることは基本変わらない武骨なサザン・ロックなんですが、より肩肘張らないラフな作りが、ギターと歌(これが優しくて泣ける声なんですよ)のカッコ良さを更に引き立てていて、こりゃもうブルースやヴィンテージなアメリカン・ロックが好きなら一気に引き込まれてしまうことをお約束します。

1曲目からジャムセッション風のインストで、ブルース、バラード、カントリー・ロックと、実にリラックスした雰囲気の中、決してテクニカルではないけれど、暖かく深みのあるトーンで、歌うギター。

そう、この人のギターは、例えばデュアン・オールマンみたいに力強く根こそぎ持って行くわけでもないし、ライ・クーダーみたいに流麗なテクニックで何でもこなしますってタイプじゃないけど、とにかくく味や匂いがしそうな"いい音"で、曲の雰囲気や展開に一番しっくりくるフレーズを出してくる。一言で「たまらんギター」というのがコノ人の魅力なんですよね。きっと彼のプレイを目の当たりにした人達も

「一言、たまらん」

と、ベタ惚れしちゃったんでしょうね。

中盤からホーン・セクション加わってファンクやりだすんですが、これがまた黒人ファンクとはまた違うし、かといって薄味の洗練された感じには全然なってないし、やっぱり"たまらん"のですよ。

ジェシ・エド・デイヴィスは、ミュージシャンズ・ミュージシャンで、派手なスターになる気は多分なかった人ですが、かといって演奏はロック初心者や、知らない人を冷たく拒む人では決してありません。

この素晴らしいアルバムが\1080というプライスで出たことによって、たくさんの人に聴かれて、これまでの「知る人ぞ知るマニアックな名手」という評価が少し変わってくれればいいなと思います。




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月27日

リック・デリンジャー オール・アメリカン・ボーイ

5.jpg
リック・デリンジャー/オール・アメリカン・ボーイ
(ソニー・ミュージック)

さて、今日は「ロックンロール」というものについて、柄にもなく真面目に考えております。

ロックンロールとは?

言うまでもなくロックのルーツであり、そして言うまでもなくそれは、1950年代に隆盛を極めたエレクトリック・ブルースの”よりキャッチーで踊れる音楽”です。

はい、チャック・ベリーやリトル・リチャードらが、当初「リズム・アンド・ブルース」としてその新しいスタイルをレコード(ドーナツ盤)に吹き込みました。

それらは当時「レース・レコード」と呼ばれた黒人向けのレコードとして売られた訳ですが、これが何と刺激を求める白人の若者も手に取って次々購入するようになった。

これを受けて音楽業界側が

「黒人白人両方のマーケットにPRできる新しい名前を」

ということで付けた名前がロックンロール。

ほうほう

んで、そこから数年経て、ロックンロールはその中心であるチャック・ベリーや人気DJアラン・フリードの逮捕とか、エルヴィス・プレスリーが兵役へ行くことでシーンから一時消えたこととか、リトル・リチャードが牧師になるために大衆向けの音楽活動を停止したとか、バディ・ホリーが飛行機事故で亡くなったとか、とにかく様々な理由で一気に盛り上がったものが一気に下火になります。

そこからは再びアメリカの黒人と白人の若者は、また別れました。

しかし、一度ロックンロールで人種の垣根を越えた若者達は、それぞれを取り巻く社会問題や、それぞれのルーツと真剣に向き合うことに没入します。

これがソウル・ミュージックを生み、フォーク・リヴァイバルに火を付け、この流れが一旦イギリスへ渡って再びアメリカに帰ってくることによって「ロック」の大波となってゆくのです。

はい。で、ロックの時代になってロックンロールはどこへ行ったんだろう?

「ロックロックって言うけど、ロールはどうした?」

と言ったのは、かのキース・リチャーズでありますね。

そう、端的に言えばロックは60年代後半から70年代、そして80年代90年代と、どんどん先鋭的に進化して、ロックンロール独特のルーズなカッコ良さや、いわゆる”粘るグルーヴ”よりも、派手さや速さがサウンドにプラスされ、加速して炸裂する音楽になって行きました。

しかしまぁブルースの時代からの「クレイジーになれる音楽」というものを考えればこの進化は当然であります。

で「ロックンロールは死んだのか?消えてなくなってしまったのか?」といえば、実はそうじゃないんだよ、ということを今日は話したかった(長い!)。

はいすいません、ロックンロールですね。

実はアメリカでは、60年代も70年代も80年代も90年代も、ロックンロールというものはずーっとメインストリームで生きております。

アタシなんかがパッと思い浮かぶのは、やっぱりガンズ・アンド・ローゼスやモトリー・クルー、ニューヨーク・ドールズ、エアロスミスなんかは、ロックというよりも粘りのあるロックンロールです。

あと、アメリカではないけれどAC/DC!

これらはいずれも70年代以降のバンドです。

何が言いたいかというと、1970年代以降もロックンロールは多くの若者に愛され、そして演奏されてきたということなんですね。

で、ロックンロール・・・というよりも、1970年代以降の「新しいロックンロール」というものを語る時に、まずハズせない永遠の名盤を、今日はご紹介します。

はい!




(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ロックンロール・フーチー・クー
2.ジョイ・ライド
3.ティーンエイジ・クィーン
4.チーフ・テキーラ
5.アンコンプリケイテッド
6.ホールド
7.恋と涙のエアポート
8.ティーンエイジ・ラヴ・アフェア
9.イッツ・レイニング
10.タイム・ワープ
11.スライド・オン・オーヴァー・スリンキー
12.ジャンプ・ジャンプ・ジャンプ


いえぇぇ〜い、リック・デリンジャー!


リック・デリンジャーといえばジョニー・ウィンターの初期バンド「ジョニー・ウィンター・アンド」の中心メンバーで、あの狂熱の名盤「ライヴ」でバリバリに気合いの入ったセカンド・ギターを弾きまくっておりますが、ソロ・アーティストとしてはこれが実にキャッチーで芯の強いロックンロールを聴かせてくれる人なんです。

本人はジョニー・ウィンターや、その弟のエドガー・ウィンターと長く活動して、プロデュースもやっておる、やんちゃなギターとは裏腹に、実はマルチな人だったりもするんですよ。えぇ、ついでに言うとルックスも良かったので、若干アイドルみたいな感じで売り出そうという動きもあったとかなかったとかなんですが、本人そういうのも上手に利用して「かっこいいロックンロールってのはこういうヤツ!」と、見事その後へのお手本を示したアルバムを、デビュー作として作り上げました。

それが「オール・アメリカン・ボーイ」であります。

まずはこの、カラッとした、実にノリの良いサウンドの中に、キラ星の如く輝く活きのいいナンバーやバラードを、なーんにも考えずに聴いてくださいな。

ジョニー・ウィンターを始め、ロックの色んな人たちがカヴァーしている「ロックンロール・フーチー・クー」や、アコギで弾かれる切ない風情のスライドと、いかにもカントリー・ポップなノリのグルーヴ、切々とした高めの声とのマッチング感が最高な「チーフ・テキーラ」、大人な雰囲気満載の楽曲に、泣きのギターが炸裂するバラード超大作「ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ」など、とにかくこのアルバム、70年代めちゃくちゃ売れたとか、超有名な人の大名盤という訳では決してないんですが、聴いてすぐに「あ、コレはゴキゲンだね」と思えるし、今でも多くのロッカー達に愛されている「ロック・カヴァーソングのスタンダード」がいっぱい入ってるんです。つまり、時代やスタイルを超えて誰もが楽しめるゴキゲンな音楽。あ、それがロックンロール♪

でも、ポップでキャッチーでも、ギターは相当に鋭いんで、そこんとこヨロシク♪




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月21日

サニー・ランドレス サウス・オブ T-10

4.jpg
サニー・ランドレス/サウス・オブ T-10
(ソニー・ミュージック)

はい、先月からソニー・ミュージックが内容豊富&お値段手頃の、ギター好きのブルース、ロック、ジャズファンにはたまらない企画であります「ギター・レジェンド・シリーズ」を皆様にご紹介してる訳なんですが、ここへきて

「アンタがブログに書いてた、あのギターなんとかシリーズ欲しいな」とか「ブログ読んだら盛り上がってきちゃってついついポチッちゃった」とか、嬉しい声をちょこちょこ聞いております。えぇ、実にありがたいもんです。

これはアタシもそうなんですが、ブログやホームページで好きなアーティストや、よく知ってるバンドの記事が載ってると、つい嬉しくなって読みふけってしまいます。でも、知らないアーティストの事が思いも寄らぬ魅力を込められて書いてある記事を読むと、その倍興奮します。

”知らない音楽を知る喜び”ってのが、音楽にはあって、それは色んな喜びの中で、結構上の方の上等なヤツなんじゃないかと思うんです。えぇ。なので、アタシは何よりも「このアーティストを知らない方々にその魅力をちょっとでもお届けする」を信条にブログ書いてます。

拙い記事ですが読んでもらって

「お、これはなかなか面白そうだぞ、いっちょ聴いてみるか」

と、なって頂ければ一番嬉しいですね。

はい、与太はこれぐらいにして、本日のギター名盤をご紹介しましょうね。

この”ギター・レジェンド・シリーズ”ブルースマンや、ブルースに濃い影響を受けたロックの名盤が多いよ、というのは、ほぼ毎回言っておりまして、今日ご紹介するのもある意味でジャンルで言えば「ブルースロック」と呼ばれるシロモノなんじゃないかなぁと思います。

アメリカは南部ミシシッピで生まれ、ほどなくしてルイジアナに移り住み、そこで同地のブルースやR&B、カントリーにケイジャン、ザディコといった良質なアメリカン・ルーツ・ミュ−ジックにもみくちゃになって育ったスライドギターの達人、サニー・ランドレスなんです。

「スライド」といえば、これはもうここをお読みの皆さんは、真っ先にブルースを連想するんじゃないかと思います。

それは確かにその通りで、ランドレスのギターも、その影響の源はブルースでありますが、彼の場合は1951年生まれという、青春時代には既にロックンロールの波は過ぎ、新しいロックの波が訪れていた頃。

つまり彼がデビューする前には、既にオールマン・ブラザーズを筆頭に

「スライドギターでカッコ良くロックする」

というスタイルが確立されていた時代です。

なので、ランドレスのスライドには、ブルースもありカントリーもあり、それらが全く新しいロックの感覚で、バランス良く表現されてるんですね。


(ギター・レジェンド・シリーズ)


【収録曲】
1.シューティング・フォー・ザ・ムーン
2.クリオール・エンジェル
3.ネイティヴ・ステップサン
4.オーファンズ・オブ・ザ・マザーランド
5.コンゴ・スクエア
6.ターニング・ホイール
7.サウス・オブ・I-10
8.ケイジャン・ワルツ
9.モジョ・ブギー
10.セ・ショウ
11.グレート・ガルフ・ウィンド
12.グレート・ガルフ・ウィンド・リプリーズ
13.ブルース・アタック *

*=ボーナストラック



今日皆さんにご紹介するのは、1995年リリースの、オリジナル・アルバムとしては4作目の「サウス・オブT-10です。

そもそもソロ・デビュー自体が1981年、31歳の頃と遅く、デビュー後もランドレスは寡作でした。

と言うよりも、実力の割にレコードの製作や販売のプロモーションに恵まれなかったと言えるでしょう。

セッション・マンとして数々の現場を渡り歩き、アラン・トゥーサンやエリック・クラプトン、ゲイトマウス・ブラウン、クリフトン・シェニエといった先輩ミュージシャン達からはその腕とセンスを買われていたにも関わらず、なかなか一般的な知名度が上がらないランドレスの状況に業を煮やしたクラプトンが

「彼ほど過小評価されてるギタリストはいないよ、彼は僕のヒーローなんだ」

と言った話は有名です。

さてさて、アルバムに話を戻しますが、このアルバムは、彼の代表作と言われるだけあって、そのトレードマークであります超絶なキレで迫るスライドが大大大活躍!

もうね、1曲目から意表を突いたハードロックな曲調なんですが、これがカッコイイの(!) で、マーク・ノップラー(イギリス生まれの凄腕カントリー系ギタリストなの)とかフィーチャリングした、気合いの入ったカントリー・ロックとか、レゲエ調とか、アコースティックの粘っこいブルースとか、アラン・トゥーサン参加のニューオーリンズR&Bとか、アルバムはそれこそ「アメリカ南部の万華鏡」状態ですが、どれだけ楽曲の幅が広くても"今風"をやってても、どの曲でも筋の通ったバリバリに弾きまくるスライドギターが真剣に歌ってるから、軽い感じもとっ散らかった感じもしません。

少年のような、どこか爽やかな声もいいけど、やはりギターですよギター。

ランドレスは「ビハインド・ザ・スライド」という、実に画期的なギター奏法を生み出したと言われてるんですが、それは何かと言われれば、ザックリと

「スライド弾きながら、上手く他の指で押さえてる音を繋いで、スライドの味はそのままに、まるで指で普通に押さえて弾いているかのようなスムースなフレージングを聴かせる奏法」


なんです。

うん、なんのこっちゃー!ですが、そんなこまけぇことは知らずとも、このアルバムに納められている

「すんげぇスライド」

聴けば

「なんかわからんけどそーゆーことかー!!」

と、納得出来ると思います。

個人的には王道サザンロックのB(インスト)とシャッフルビートでガンガン盛り上がるIが最高です。





『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月18日

ジョニー・ウィンター Live

887.jpg

ジョニー・ウィンター/Live
(ソニー・ミュージック)


いやぁ皆さん暑いですね、という言葉を、これほどまで早く使うとは、今年は思ってもおりませんでした。

奄美なんかもう3日前ぐらいから急にムシムシしてきて、雨もダーダー降って、これもう梅雨ですよ。

アタシもここへきて頭痛したり何したりと、体調も急降下であうあう言っております。

さぁこうなったらお約束、CD屋としては

「梅雨のジメジメをふっ飛ばすような音楽聴こうぜぃ」

ということなんでありますが、あー、梅雨の鬱陶しい時期、夏のクソ暑い時期には向かい酒ならぬ”向かい音楽”で、アタシは大体対抗しておりますね。

そう、鬱陶しい雨の季節には、ゴリゴリのジャズとかドロドロのブルースとか、バリバリのロックンロールがよろしいです♪

で、このうちの「ドロドロのブルース」要素と「バリバリのロックンロール」の要素を併せ持つといえば、アメリカはテキサスの火の玉兄貴、ジョニー・ウィンターであります。

5.jpg

大体名前が「ウィンター(冬)」のくせに、何か北欧神話にでも出てきそうなルックスのくせに、この兄貴はとにかくガンガンゴリゴリに、ブルースの影響受けまくりーのロックンロールを、配慮なんて言葉全くない強引なギターで弾きまくる!そして含みなんて言葉知らんぜな、張り上げるだけ張り上げる声でがなりまくる。


まー、男臭い&暑苦しいことこの上ないんですが、それもここまで貫けば、一周回って清々しい!

特にライヴ盤を聴けば、爽快な汗が一緒にかけて、気持ちがスカーンと晴れます。特に車ん中なんかでいい感じのボリュームで聴くとたまらんのですよね〜♪





【収録曲】
1.グッド・モーニング・リトル・スクール・ガール
2.イッツ・マイ・オウン・フォールト
3.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
4.ロックン・ロール・メドレー:火の玉ロック〜ノッポのサリー〜 ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン
5.ミーン・タウン・ブルース
6.ジョニー・B・グッド
7.イッツ・マイ・オウン・フォールト
8.ローリン・アンド・タンブリン


このアルバムは、ジョニー・ウィンターがデビューして間もない頃(1971年)にリリースされた、ニューヨークのロックの聖地"フィルモア・イースト"での熱演を収録したライヴ。

とにかくロックで「ライヴ名盤」といえば、コレと1976年の「狂乱のライヴ」が、ジョニー・ウィンターの代表作として挙げられます。いやもう実際凄いんです。

原題は「Johnny Winter And / Live」です。

"And"ってのはバンド名で、まぁ彼っぽく直訳すれば

「ジョニー・ウィンターとその他の野郎共」

ですねぇ。

メンバーは、この"And"の中心人物で、セカンド・アルバムからジョニーと共同プロデュースなどをしているギタリスト、リック・デリンジャー、ベースのランディ・ジョー・ホブス、ドラムがボビー・コールドウェル。4人編成の、れっきとしたバンド編成であります。

ジョニー・ウィンターって人は、本当にもう悪ガキの、しかもガキ大将がそのまんま大人になってミュージシャンになったような人で、ギター弾かせたら特に「オレがオレが」がヒートアップする人だったらしく、それは確かにアルバム聴いて、その大暴れするギタープレイ聴けば分かります。

ジョニーの実弟、エドガー・ウィンターも

「兄貴は我が強すぎてタチ悪いんだよ。てかあのバンド名見た?"ジョニー・ウィンター・アンド"だぜ?何だよ"アンド"って」

と、半ば呆れながら言ったといいますが、いやいや、ジョニーはそれだからこそ生涯スタイルを変えることなく、最高にカッコいいブルースロッカーとして輝いておったんです。

さて、アルバムを聴いてみましょう。

楽曲のほとんどは、ジョニーが完全に「オレの好み」でセレクトしたとおぼしき、古いブルースやロックンロール・スタンダード。

兄貴はオーディエンスとの小賢しい駆け引きなんざ一切致しません。ドカーンとおっぱじめて「前半は大体ブルース、真ん中ロックンロールで盛り上げて、シメにブルースどーじゃー!」と、実に分かりやすいライヴで、例の如く弾きまくり、がなりまくってテンション最高潮のまま、感動と興奮・・・じゃなかった、興奮と熱狂と握りこぶしの時間はあっという間なんです。

「この1曲!」と言われても「んなもん全部に決まってんだろー!」と、がなりたくもなりますが、強いて言えば、ストーンズの「ジャンピンジャック・フラッシュ」からの怒涛のロックンロール・メドレーに興奮しねぇヤツぁ、と、ソフトに言っておきましょう♪

そして特筆すべきはバンドサウンド。

ジョニーがその強烈なキャラクターゆえにやっぱり真ん中で暴れまくってはいますが"アンド"の野郎共は、単なるジョニーの引き立て役じゃありません。

全体のサウンドが、実にタイトで不良で、おまけに土臭いんですよね。特にリック・デリンジャーのギター、弾きまくるジョニーのギターに負けない狼藉ぶりで、ガンガンにソロぶっこんできて、こら名前の通りアブナいし、ジョニーもリックも、どっちかがソロ弾いてる時のバッキングが、本当に自由というかお互い

「あ?てめーがソロ弾いてる時はオレがバッキングで目立ってやんよ!」

みたいな闘志剥き出しで、凄い緊張感醸してるんです。

うんうん「ギター・レジェンド・シリーズ」ですので、こういう「ソロvsバッキング」のバトルにスポットを当ててこのアルバムセレクトしたんですよねソニーさん、わかります。





ファースト

”ジョニー・ウィンター”関連記事

『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月12日

サンタナ Santana

5.jpg
サンタナ/SANTANA
(ソニー・ミュージック)

ソニー・ミュージックの税み¥1080「ギター・レジェンド・シリーズ」から、ブルースやロックの素晴らしい名盤を皆様にご紹介しております。

で、本日はサンタナ!

サンタナといえば、アタシはまず最初に、個人的に大好きな「サンタナ3」をどうしても紹介したくて、真っ先にレビューしましたが、レビュー書くために久々に引っ張り出して聴いたファースト・アルバム「サンタナ」と、セカンドの「天の守護神」も、それぞれカラーは違えど、いやいやなかなかどうしてこれは「3」に勝るとも劣らない傑作なんじゃないか、アタシは今までどの耳でファーストとセカンドを聴いてきたんだ、反省しろ。

と、なりました。

で、反省しましたねぇ。

という訳でサンタナ、ファーストから順を追ってご紹介しましょう。

まず「サンタナ」というのは、あのギターのヒゲのおじちゃんのソロ・プロジェクトの名前ではなく、れっきとしたバンド名であります。

もちろんあのギターのおじちゃん、つまりカルロス・サンタナが演奏の中心であり、特に3枚目以降は彼が完全に主役としてバンドのサウンドをリードしている訳ではあるんですが、今でも「サンタナ」はバンドです。

サンタナの結成はデビューから4年前の1965年に遡ります。

この時代というのは、ロックンロールの終演で一時期下火になっていた「ブルースをルーツに持つロック・ミュージック」が、ビートルズやローリング・ストーンズらの英国ロック勢、そしてちょい後のジミ・ヘンドリックスの英国デビューとブレイクが決定打となり、アメリカの若者の間でも「ブルースやR&B寄りのロックはカッコイイぞ!」という認識が沸騰しだした頃で、あちこちでブルースロックのバンドが出てき時代でありました。

サンタナの前進である「サンタナ・ブルース・バンド」は、メキシコ生まれのカルロスが「ブルースバンドやろうぜ!」と、サンフランシスコの仲間達に声をかけて生まれたバンドです。

最初の頃はそれこそストレートなブルース・ロックをやっていたようですが、メンバー達はあることに気付きます。

それは

「フツーにブルースロックやるよりは、もっとラテン音楽の要素取り入れてロックと融合させた方が面白いんじゃね?」

というものでした。




(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ウェイティング
2.イヴィル・ウェイズ
3.シェイズ・オブ・タイム
4.セイヴァー
5.ジンゴー
6.パースエイジョン
7.トリート
8.ユー・ジャスト・ドント・ケア
9.ソウル・サクリファイス
10.セイヴァー (ライヴ)
11.ソウル・サクリファイス (ライヴ)
12.フライド・ネックボーンズ (ライヴ)


そんなサンタナのデビュー・アルバムは、まず一発目からいわゆるカギカッコ付きの「ロックバンド」の音とはまるで違います。

ポンポンパカポコとパーカッションが実にカラフルで土臭いリズムを打ち鳴らす中、太く粘るビートをうならせるベース、そして情感に溢れたギター、プログレッシブなオルガンが入り乱れ、凄まじい勢いで即興を軸にしたソロの応報を繰り広げます。

1曲目なんかラテンというより、アフロファンクだし、そこからガガーンと音楽性が堰を切ったかのようにキューバ音楽や或いはジャズロックの芳醇な香りをムンムンに撒き散らしながら炸裂して、その高いテンションが失速せず最後まで一気に聴かせてくれるんです。

この頃のサンタナは、よく「まだサンタナのギターの個性が出しきれてない」と言う人もいますが、すべての楽器が主役として激しくも自由に絡む演奏の中でしっかりとソロにバッキングに存在感を出しています(とくにオルガンとのスリリングな長尺ソロのやりとりは手に汗握ります)。

後年の伸びやかなサウンドとどこまでも抜けてゆくサスティンこそ聴かれませんが、恐らくはレスポールとマーシャル直結の、豪快でささくれ立ったトーンには、他で聴けないならではの魅力が確かに、いや、確か過ぎるほどにあります。

サイケデリックな味わいも強く、総じてかなり中毒性の高いアルバムです。



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする