ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年10月22日

オリジナル・ナゲッツ

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V.A/オリジナル・ナゲッツ
(ワーナー)


生きていると色々あって、大好きな音楽もちょっとキツい時があります。

でも、そんなクソッタレな気分の時もアタシは

「かっこいい音楽はパンク!」

という信念を持ちつづけ、音楽を愛してきました。

「パンク」という言葉を、アタシは1970年代に出てきたパンクロックだけを指すのではなく、ひとつの思想や姿勢の現れを示す言葉として使っております。

「カッコイイ!!」と思ったらブルースもパンクだし、ジャズもパンクだし、ソウル、レゲエ、ハウス、民俗音楽、ポップスだってクラシックだってみーんなパンクです。

じゃあ”パンク”って何なの?

はい、パンクというのは

「今あるものをぶっこわす」

「概念とか方法とか、そういう既存のものからはみ出す力」

のよーなもんだと、アタシ思っています。

「こうかな?」「これはこうだろう」

と、思っているユルい気持ちをスカーンとぶっこわしてくれる音楽、知らないものに触れた時のピュアな興奮や感動、いいですね。そういうものをこのブログで皆さんに今後もじゃんじゃん紹介していきたいと思っております。

というわけで、今日はガレージ・ロックであります。

ガレージ・ロックは、パンクロック誕生のおよそ10年前にアメリカで誕生した、まぁいってみればパンクのご先祖さんみたいな音楽なんですが、この時代たまたま”パンク”という言葉がなかっただけで、これはもう立派なパンクロックと言っていいでしょうね。

ロックンロールが衰退した1960年代、イギリスで50年代のロックンロールやブルース、R&Bに影響を受けた若者達がロックというものを色々と試行錯誤しながら生み出していったことは、皆さんご存知の通り。

その中からビートルズやローリング・ストーンズ、クリームなんかが人気バンドとして頭角を現しました。

これを聴いたアメリカの若者達が

「やべぇ、クールだ!オレらもこんなことやろうぜ!!」

と、あちこちで触発されることによって、アメリカにも独自のロック・シーンが誕生することになるんですが、このシーンが最初に産声を上げたのが、青少年達の自宅ガレージの中だったんです。

何でかっつうと、そこはほれ、エレキギターとかドラムとかをジャンジャカドンドコやると騒音が出るでしょう。

アメリカって国の住宅は、ほとんどが都市部から離れた郊外にありまして、で、やたら土地は広い訳ですから、自宅ガレージで大音量をやかましく鳴らしても、さほど問題にはならなかったんですね。

で、ヤツらはやっちゃうんです。

ガレージなのをいいことに、ギターアンプのツマミをじゃーっと最大にして、アホみたいな音量にするわけです。

大体ロックなんてのは、若者にとっては「やかましい音で、どんだけ騒げるか」という音楽であり、そこはビートルズもストーンズもアメリカの若者達の心理と全く変わらなかった訳です。

でも、やっぱりちゃんとした会場で演奏したり、レコードをキッチリ作るとなると、それなりにバランスってものが必要になってくるでしょう。だからメジャーなイギリスのバンド達は、やかましくやるけれども、曲や歌がちゃんと聞こえるように、そこは調整していた。

でもアメリカ人はそうじゃなかった。

アイツらアタマおかしいから若さとエネルギーに満ち溢れた彼らは、外で演奏する時も自宅ガレージで作ったサウンドをちゃーんとフルに出して、で、客もアタマおかしいからオーディエンスもその熱意に応えてキッチリ盛り上がっていた。もちろん演奏する店の主は頭を抱え、時につまみ出し、大人達は困惑し、学校は「ロック禁止」の通達を何度も出した。でも、そんなことぐらいで一度火が点いたスピリッツが消える訳がない。

演奏がそれなりに評判を呼び、そこそこの小遣い銭を手にしてもしなくても、ガレージバンドの連中は「もっとイカレた音」に手を出します。

すなわち開発されたばかりの歪み系エフェクター”ファズ”や、アナログエコー等の機器であります。

この頃のエフェクターには正しい使い方なんてない。ひたすらひとつかふたつぐらいしか付いてないツマミでもって「元音とかけ離れた音」を出すのみ、という実にアナクロな使い方をそれぞれ勝手に極め、ゴワゴワに歪んでボヨボヨにエコーかかって、キンキンにフィードバックするという、ギターの”更にやかましい音”というのが生まれました。

で、ガレージバンドってのは面白いなぁと思うのは、曲はビートルズやストーンズなどのUKサウンドに影響を受けたポップなやつなのに、サウンドがところどころおかしい、いや、モノによっては明らかにぶっ飛んでいて、50年前の音楽のくせに、いちいち聴く側の常識とかそういうもんに、助走付きで揺さぶりをかけてくる。

古いとか新しいとかじゃあないんですね、このはみ出し感、破れかぶれ感に「あぁパンクだなぁ、どうしようもねぇなぁ」という”粋”を感じてしまうんです。

ガレージバンドというのは、そんな感じの、価値観が根本から何かおかしい、アメリカンロックの偉大なるアマチュアリズムの集大成なんです。

というのも、このすぐ後にアメリカでも”ロック”というものがちゃんと形になってきて、クオリティの高いものがどんどん出てきてそれらがシーンの潮流を決定付けてゆく訳で、ガレージはあくまで「ロックの連中の下積みの頃やってた音楽」みたいになって徐々に消えてゆくんですね。或いはアンダーグラウンドなサイケシーンの底流に潜伏して、パンクロックの登場まで息を潜めていた。

だもんで”ガレージロックのバンド”と言っても、ロックの表舞台で派手に活躍したバンドはほとんどおりません。超絶無名な、ほとんど一発屋みたいなバンドの、まー気持ちいいぐらいのオンパレードです。

後にイギリスや日本のコレクターが「アメリカのガレージは面白い」と注目して、7インチレコードの値段がすごいプレミアになったりとか、そういう売れ方をしたんですがちょっと待って、そんなマニアックなところだけにこの素晴らしくパンクで実に分かり易くノれる音楽を仕舞い込んでいていいのだろうか?と、アタシはいつも思うんですね。





【収録曲/アーティスト】
1.I Had Too Much To Dream (Last Night)/The Electric Prunes
2.Dirty Water/The Standells
3.Night Time/The Strangeloves
4.Lies/The Knickerbockers
5.Respect/The Vagrants
6.A Public Execution/Mouse
7.No Time Like The Right Time/The Blues Project
8.Oh Yeah/The Shadows Of Knight
9.Pushin'Too Hard/The Seeds
10.Moulty/The Barbarians
11.Don't Look Back/The Remains
12.An Invitation To Cry/The Magicians
13.Liar,Liar/The Castaways
14.You've Gonna Miss Me/The Thirteenth Floor Elevators
15.Psychotic Reaction/Count Five
16.Hey Joe/The Leaves
17.Romeo&Juliet/Michael&The Messengers
18.Sugar And Spice/The Cryan Shames
19.Baby Please Don't Go/The Amboy Dukes
20.Tobacco Road/Blues Magoos
21.Let's Talk About Girls/Chocolate Watch Band
22.Sit Down,I Think I Love You/The Mojo Men
23.Run,Run,Run/The Third Rail
24.My World Fell Down/Sagittarius
25.Open My Eyes/Nazz
26.Farmer John/The Premiers
27.It's-A-Happening/The Magic Mushrooms


だもんで皆さん、ロックが好き、エレキギターのジャーン!が理屈抜きで好きなら、その源流にしていっちばん濃いのがいっぱい詰まっているガレージを聴きましょう。

1972年に編集され、世に出された「ガレージコンピのパラダイス」ともいえる”ナゲッツ”!

これはもう、これ聴けばガレージのオイシイところは大体聴けるっつう最高なコンピなんですよ。

パティ・スミスのバックでギターを弾いていたレニー・ケイという、ロックを心から愛しているいい男が、好きなバンドを集めたオリジナル・カセットを元にして、エレクトラ・レコードというメジャーな会社から、気合いの入ったLP2枚組で出したけど、実はあんまり売れなくて、1976年にふたたびジャケットやら何やらリニューアルして出したけど、これもあんま売れなくて、めげずに96年だったかな?CD4枚組のボックスにしたら、当時日本ではギターウルフとかミッシェルガン・エレファントとかのおかげでサイケやガレージなんかのルーツ・ロックに興味を持つ若い人(はぁいアタシです♪)が結構飛びついて、やっとこさ「これはヤバイ!」と正当な評価を得るに至り、その後のロック系コンピや、インディーパンクのプロモーションなんかにも、実は多大な影響を与えたという、素敵すぎるアルバムの、オリジナル仕様での復刻盤です。

ここに収録されてるのは、どのバンドも見事に60年代の一瞬を若さと勢いだけで突っ走り、消えていったバンド達。でも、そういったバンドならではの、全然作為とかのないピュアな音楽が聴けます。



(お試しでThe leavesの”Hey joe”。ザ・バーズ、ジミ・ヘンドリックスでおなじみのロック・クラシックスですが、もうね、この何も考えてない感が最高なんです)


The Shadows Of Knightの「Oh Yeah」とか、The Amboy Dukesの「Baby Please Don't Go」この辺はブルース・クラシックなんですが、全然深く渋くやろうとしていないドッカーンな感じがたまらんです。The Amboy Dukesはアメリカン・ハードロックの大物、テッド・ニュージェントが地元デトロイトで結成した最初のバンドなんですが、のっけからハウリングがコーーーーン!と言ってる捨て鉢な音で、もうアレですね、野人ですね。テッドは今も変わらんですね。

大体が「曲はポップで音はイカレて」という、実に気持ち良いぐらいのネジの飛び具合なんですが、演奏力の高い実力派として、Blues Magoosの「Tobacco Road」こっちは歪んだギターとサイケなオルガンに不思議な安定感があって、途中から変拍子でガンガン攻める、実に渋いアレンジとかあったりします。

色んな意味ではみ出して破れた、そんな青春の古傷みたいなガレージ・バンドの音楽。テクノロジーが進化した今現在の音と見事に対極なんですが、単なるアンティークじゃあないですね。いつまでもアツくてイカレてる、本当にパンクな音楽です。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年10月14日

ジンジャー・ベイカーズ・エア・フォース

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ジンジャー・ベイカーズ・エア・フォース/Ginger Baker's Air Force
(Lemon)

1960年代後半から70年代初頭という時代の音楽というのは、本当に面白くて、何が面白いかって、この時代は全盛を極めていたロックが「もっと誰もやってないことを!」と、ジャズやファンクなど、ちょっと違うジャンルの音楽を取り込んで、個性的なバンドや面白いアプローチをするミュージシャンの百花繚乱状態だったんです。

で、更に面白いのは、そういうロックサイドの動きに敏感に反応したジャズやソウル界隈のミュージシャン達が「何だよ、オレらにも出来るんだぜぇ」と、次々と電気楽器を導入した大胆な”脱ジャズ”のスタイルでライヴをかましたり、作品をリリースしたことによって、互いに刺激し合う環境が整い、更に刺激に溢れたカッコイイ音楽、意表を突くジャンルレスな音楽が次々に生み出された。このフリーダムに尽きます。

特にロックとジャズを掛け合わせた「ジャズロック」というのが、この時期ぼちぼち出てくるんです。

今日はそんなジャズ・ロックの名作アルバムを紹介しますね。はい、ジンジャー・ベイカーが1969年に結成した大所帯バンド”ジンジャー・ベイカーズ・エア・フォース”のデビュー作にして、凄まじい熱気に満ちた最高にかっこいいライヴ・アルバムです。

さて皆さん、ジンジャー・ベイカーといえばほとんどの人が「クリームのドラマーだよね」と答えるかも知れません。や、かも知れませんじゃなくて、音楽好きの人なら、十割方九割はそう答えるでしょう。はい、クリームのジンジャー・ベイカーであります。

クリーム時代はジンジャー・ベイカー(ベース、ヴォーカル)、エリック・クラプトン(ギター)と組んだ力強いトリオ・サウンドを「バシッ!」「ダカドコドコ!」と、パワフルに打ち鳴らされる硬派なドラミングで支えておりましたジンジャー・ベイカー。

そのワイルドなドラム・スタイルと直結で結びつく毒舌&偏屈なキャラクターも何というか実に正直で憎めない人であります。そう、ジンジャー・ベイカーの愛すべきところは、ドラムも人格も、全て動物的直観で成り立ってるかのような、その野人ぶりでありましょう。

そんなジンジャーの野人ぶりは、クリーム解散後に、実は遺憾なく発揮されます。

我の強いメンバーで結成されたクリームは、元より結成前から険悪だったジンジャーとジャック・ブルースの間で度々トラブルが起きておりました。

結局終始行動を共にする中でジンジャーとジャックの不仲の溝は埋まるどころか修復不能な状態になってクリームは解散。ジャックが出て行く形でジンジャーとクラプトンは、かねてより親交のあったスティーヴ・ウィンウッド(トラフィック、元スペンサー・デイヴィス・グループ)、リック・グレッチ(ファミリー)らとブルース・ロック・バンド”ブラインド・フェイス”を結成しましたが、このバンドは多くのファンにとっては「クリームの後継ブルースロック・バンド」としか捉えてもらえず、また、オリジナル曲も少なかったので、ライヴでは求められるままにクリームやトラフィックのナンバーをやっていたといいます。

結局クラプトンが、クリーム時代の残滓を背負うのに疲れ、このスーパーユニットはたった半年で終わってしまうのです。

でも、ここで終わらかなかったのがジンジャーなんです。

「ジンジャーどうしよう。エリックがやめるってさ」

「何かもう疲れたとか言ってたんだよな、アイツ大丈夫かな・・・」

「あぁ、エリックはしょうがねぇよ。クリームん時からジャックのワガママで相当参ってたからな(←注:お前が言うな)。あぁしょうがねぇ。じゃあ俺たちでやるしかねぇんじゃねぇか?俺は正直お前らとはもっと演奏したいからどうだ、もうこの際だから新しいバンド組んでよぉ・・・。あ、ちょっと待て、実は俺ァ前からあっためてきたアイディアがあったんだ。いいか、これからはありきたりのブルースやってても、客に飽きられるだけだし、まぁオレらやお前らのトラフィックなんかに影響受けただけの大したことねぇヤツらばっかりだが、ブルースロックのバンドなんか履いて捨てるほどいやがる。だからな、ヒッヒッ、時代はジャズだよ」

「ジャズだって!?いいねぇ」

「やりたかったんだよ、エリックの家でも何度かセッションしたぜぇ」

「よーし、そうなりゃ話は早い。バンド名は”ジンジャー・ベイカーズ・エア・フォース・ワン”で決定な。それと、お前らだけじゃ心細いと思うから、俺がジャズにも対応できる新しいメンバーを連れてきてやる」

と、待ってましたとばかりにイニシアチブを握りまくってゴキゲンなジンジャーによって、1969年「ロックのヤツらがジャズをやるイカしたバンド」が結成されました。

奇しくもマイルス・デイヴィスが問題作とされたエレクトリック・ジャズの名盤「ビッチェズ・ブリュー」を世に出したのと同じ年の出来事であります。




【収録曲】
1.Man
2.Early in the Morning
3.Don't Care
4.Toad
5.Aiko Biaye
6.Man of Constant Sorrow
7.Do What You Like
8.Doin' It

さあ、ジンジャー・ベイカーが気合いを入れて前からずーーーーっとやりたかった自分が好き放題できるバンドでジャズをコンセプトに結成したバンドのファースト・アルバム!総勢10名でサックス、パーカッションも入ったちょっとしたオーケストラ編成であります。

ジンジャーはワイルドだから、スタジオでちまちまなんかやりません。何とこれ、ライヴアルバムなんですよ。

ザッとメンバーを書いてみますと


ジンジャー・ベイカー(ds)
スティーヴ・ウィンウッド(vo,key)


この2人は言うまでもなくブラインド・フェイスからそのまんまの残留組で、ムーディー・ブルースから

デニー・レイン(g,vo)

が加入。

ブルース・ロック界隈の重鎮であるリック・グレッチ(b,vln)に


ホーン隊は

グラハム・ボンド・オーガニゼイションのグラハム・ボンド(as)、トラフィックからクリス・ウッド(ts,fl)ドノヴァンやブロッサム・ディアリーなどのバックも務め、後にオーネット・コールマンなどと共演を果たすジャズ・ミュージシャンのハロルド・マクネア(ts,fl)です。


ヴォーカルには”ドクター・ジョン”の紅一点で、リック・グレッチの奥さんになるジネット・ジェイコブス(vo)更にジンジャーの師匠であり、イギリスジャズ界ではベテランとして尊敬されていたフィル・シーメン(ds)、そして何気にこのアルバムで大きな存在なのがナイジェリア人のパーカッショニスト、レミ・カバカ
であります。

ザッと名前を並べても、純粋に”ジャズ”のフィールドと言えるのは、ハロルド・マクネアとフィル・シーメンで、どんなジャズ・サウンドなんだろうと、嫌が上にも想像が膨らみます。

で、やはりそのサウンドは、ジンジャーの縦の構えからズバッ!ズドン!とタイトに決まるドラミングを中心とした、ロック色の極めて濃いサウンドに仕上がっており、ありきたりの4ビートでお茶を濁した音にはなっておりません。

ホーン・セクションもアンサンブルを奏でるというよりは、長い楽曲の中でそれぞれが自由に即興演奏を楽しんでいるという感じ。ヴォーカルもメインで歌モノをするのではなしに、絶妙なコーラス・ワークで全体の流れの中に良い意味でアクセントになっており、つまりは「ロックのノリを大事にしつつ、その幅をグッと拡げるために即興度の高い楽曲と、ジャズやファンクのエッセンスをちりばめた」と言うべきか、ジャズの人達がロックの要素を取り入れた”ジャズ・ロック”ともまた一味違った、ザックリしたノリとグルーヴを、構えることなく自由に楽しめるという意味において、熱気とユルさのバランスが実に素晴らしく混ざり合っております。

で、後半にモロなアフロ・ポップなノリでグイグイテンションを挙げるレミ・カバカの素敵な煽りに満ちたナイジェリア語のヴォーカルとパーカッション(!)ジンジャーは実はナイジェリアの大物、フェラ・クティと親交があって、共演作も出すんですが、アフロ・グルーヴの中であくまで縦のへヴィなビートを繰り出すジンジャーのドラム、これが見事にアルバムのハイライトになっております。

いわゆるジャズの人達が演奏する”ジャズロック”の粘ったノリとはまた違う、ロック的混沌に溢れ返ったゴッタ煮の楽しさ、それはつまりこの1960年代末から70年代の音楽そのものの”誰が何をしでかすかわからないワクワク”をそのまんま荒削りに詰め込んだものでもあります。





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2017年10月06日

エイフェックス・ツイン ドラッグス

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エイフェックス・ツイン/ドラッグス
(Warp)

今日はテクノについて語ろうと思います。

テクノという音楽は、読んで字の如く、”最先端”をイメージさせる音楽です。

人によって細かい手法は違いますが、この音楽は打ち込みのビートにシンセサイザーや様々な機器を駆使して作ったフレーズを掛け合わせてゆく音楽といえます。

古くは70年代にクラフトワークら、ドイツのいわゆる”クラウトロック”と呼ばれる人達がその原型を作りましたが、これが世界中に波及して、特にクラブシーンで独自の発展を見せて、パーティーに集まった人達を踊らせるハウス・ミュージックや、或いは日本でいえばYMOなど、ポップスとして歌モノの楽曲を打ち込みやシンセサイザーなどのアレンジで装飾したテクノポップと呼ばれるもの、更には電子音楽で作るアンビエント・ミュージックや、バンド・サウンドと融合したエレクトロニカ、近年では元々”ノイズ・ギター・ポップ”というオルタナティヴ・ロックのひとつの形態と呼ばれていたシューゲイザーなんかもテクノとの関わり抜きに語ることは出来なくなりつつあります。

細かいことはさておきで、80年代90年代、そして2000年代から現在に至るまで、テクノ・ミュージックは技術の進化と共に様々な形で世に送り出されてきました。

そして、それらのほとんどが、めまぐるしく発展する録音/再生技術の中で次々と懐メロになってゆくのを感じます。

何年か前にダフトパンクが流行って、アレが最先端のテクノではなく、80年代のオマージュ的なサウンドだったことには「あぁ、もうこの分野も過去のスタイルをネタとして使うようになるまでになったんだ」と、ある意味凄い衝撃でしたが、テクノという呼び方も、もしかしたらあと少しすれば「あぁ懐かしいね」というものになってしまうのかも知れません。

で、そんな中「懐メロにならないテクノ」を、四半世紀以上黙々と作り続けている人がおります。

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”エイフェックス・ツイン”こと、リチャード・D・ジェイムスです。

90年代にドラムンベースというスタイルが流行って、その時この人も世界的な人気アーティストになりました。

黙っていれば結構カッコイイ顔してるのに、ニヤッと不気味に笑った江頭2:50みたいな顔写真やイラストをジャケットに使ったり、水着美女とか子供とか、色んな被写体にコラージュして張り付けたり、正直「うわ、何じゃこりゃ!?」という感じで、なかなかに正体の掴めない、不気味な存在であったと記憶していますが、そこんとこどうなんだよと、この分野に詳しい友人に訊いたところ

「いや、彼はいいんだ。そうやって自分自身を記号化することで、今のテクノブームから距離を取るスタンスを保っているわけだから」

と、何やら禅問答のような答えを貰い、頭の中に「??」がいっぱいになったところでアタシは彼に興味を持ちました。

こんなことを言うと怒られるかも知れませんが、アタシは90年代のテクノブームの時に、どうも今イチその音楽的な良さみたいなものを掴みかねておったんです。重低音とシャキシャキしたプレセンス(超高音)を強調したサウンド、忙しなくてどうノればいいのか分からない均一的なビート、何かメロディーがあってそれが展開して行く訳でもなく、ただ時間を刻むみたいにバーッと鳴らされるだけの効果音的なフレーズの繰り返しだと思ってて、事実その繰り返しを楽しむのがテクノだと言われて、ますます訳がわかんなくなったんです。

「そんなのおもしろくねぇよ」

と生意気にも言えば

「面白いとか面白くないとかじゃねーよ、こういうのを爆音で流してバカになって踊り狂うのがいいんだ!」

と百倍キレられて、あぁやっぱりオレにはクラブとかレイヴとかそーゆーのは遠い世界だわいと嘆いていたところにエイフェックス・ツインは踊らせるための刹那的レイヴ・ミュージックに背を向けた、アーティスト性の高いテクノミュージックを作ってどうのとか、フジロックフェスで犬小屋に閉じこもってDJやってたとか、という記事の数々を断片的に読み

「う〜ん、テクノってわかんないけど、どうもコイツだけは俺が好きそうな頭のおかしなヤツの臭いがするなぁ」

と、何となく好意的に思ってはおりました。


そん時たまたま聴いたのが、2001年リリースの「ドラッグス」というアルバムです。



(Disc-1)
1.ジウェセック
2.ヴォードホスブン
3.クラードフブクブング・ミッシュク
4.オミーガ・スウィッチ7
5.ストローザ・タイン
6.グウェーリー・マーナンズ
7.ビディオンコード
8.コック / ヴァー10
9.アヴリル 14th
10.モン・サン・ミッシェル+セイント・マイケルズ・マウント
11.グワレック2
12.オーバン・エック・トラックス4
13.オソワス
14.ヒ・ア・スクリアス・リフ・ア・ダグロウ
15.ケッソン・ダレフ

(Disc-2)
1.54カイムル・ビーツ
2.ボトム・ルマーダ
3.ローナデレック
4.Qkthr
5.メルトフェイス6
6.ビット4
7.プレップ・グワレック3b
8.ファーザー
9.テイキング・コントロール
10.ペティアティル・シックス・フトドゥイ
11.ルグレン・ホロン
12.エイフェックス237 V7
13.ジゴマティック 17
14.ベスク3epnm
15.ナノウ2


まず一曲目からビートなしの静かな曲に、美しいピアノ。そこから出てくる鋭いけれどもどこか儚い打ち込みのビート。

これで「あ、これは俺でも聴ける」と思い、2枚組を一気に聴いて聴き終わる頃には「本当に不思議だけど、テクノってこんなに心地良い音楽だったんだ・・・」と、今まで味わったことのない、ポワ〜っとした不思議な感情が心を埋め尽くしておりました。

世間の評判を聞けば「あれはテクノじゃない」とか「新しいことはやってないよね」とか、主に彼の作品をずっと追いかけていたファンの人達から、否定的な声も大きかったみたいです。

確かに、何が新しくて何が古いのかよーわからんけれども、この分野に疎いアタシのような人間が聴いても、普通に「音楽」としてカッコ良く聴けた。途中途中で美しいピアノや生音の弦楽器などをフィーチャーした曲が流れては来ますが、基本はやっぱり「ダッダカダッダダ!ダカスッコンコン!」のあのドラムンベースのビートがミニマルな展開で鳴り響く、古典的ともいえるテクノ・アルバムだと思います。

でもこの、無機質で一貫して冷たい質感の楽曲の中にじんわり沁みている優しさは一体何だろう?考えてみりゃあアタシは音楽的なジャンルでどうとか、刺激を求めてとかそういうことではなく、このアルバムを作ったエイフェックス・ツイン、もといリチャード・D・ジェイムスという人が、もう本当に音楽が好きで、自分を心から豊かにさせた音楽、つまりハウスやテクノはもちろん、ジャズやクラシックやロック、そして民族音楽に至るまでの全部への愛を、この2枚組の大作に目一杯詰め込んだんじゃなかろうかと思いながらこのアルバムを聴く度に胸にギューンと来て、何か切ない気持ちにさせてくれる優しさに浸る幸せを噛み締めております。

そして今「ドラッグス」を聴いても、不思議なことに全く懐メロになっておりません。それはきっと、このアルバムを作っていた時に音楽に捧げたこの人の情熱や愛情といったものの温度が、きっと最高に普遍的なものだったからに違いありません。うん、テクノのことは相変わらず全然分からないが、きっとそうなのだ。

このアルバムを最後に、13年にも及ぶ長い沈黙に入り、つい最近復活したということを考えると、今度は今の時点で話題になっている最新作を聴きたくなりますね。





『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年09月26日

ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ L.A.M.F.

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ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ/L.A.M.F.

この前からロックンロール、ロックンロールと、このブログは結構やかましく言っております。

ロックンロールというのは、1950年代に生まれた音楽で、ブルースやR&Bをベースに、更なる楽曲の速さやノリの良さを追究した、非常に踊れる&分かり易い音楽であり、当然社会現象となるほどに若者を熱狂させた音楽です。

そしてこの素晴らしい音楽は、黒人と白人のミュージシャン同士が、同じ目的(つまりキッズ達を踊らせて騒がせるという行為)のためにガッツリ手を取り合って、ひとつのジャンルを築き上げた、史上初の音楽なのです。

えぇと、厳密にはジャズもそうなんですが、またちょっと違った話になりますのでここでは省略しますね。

で、その50年代を席捲したロックンロールが50年代の終焉と共に一気に衰退して、しばらくのインターバルを経て登場したのがロックというのは、皆さんもうご存知でありましょう。

で、ロックンロールは死んだのか?全部ロックに取って代わられてしまったのか?といえば、答えは当然「No」で、70年代にも80年代にも90年代にも、もちろん2000年代を経た今現在も「ロックンロールバンド」と呼ばれるバンドは無数に存在し、文字通りリズムをロックさせ、ロールさせたりしております。

んで、重要なのがこっち。彼らは「ロックンロール」と呼ばれますが、彼らの大半がやっているそのロックンロールは、1950年代のロックンロールそのまんまではなく、実は1970年代に新しく生まれ変わって復活を遂げた、新しい方のロックンロールなんです。

ん、この言い回しが適切かどうかは分かりません。が、ロックンロールは60年代の訪れと共に確かに一度直系と呼べる音楽的な継承が途絶えて、70年代にそのスピリッツを受け継ぐ若者達によって、ジーンズや皮ジャン、そして激しく打ち鳴らされる8ビートと、大出力のアンプで歪ませたギター・サウンドと共に見事な復活を遂げた音楽なのです。

「何の話や?さっぱり訳がわからん」

と、お思いの方もいらっしゃることでしょうから、話をこのまんま続けます。

ロックがアメリカやイギリスで、めまぐるしい進化を遂げていたのを見て、そのロックの生みの親の一人であるはずの男がこう言いました。


「ロックはいいが、ロールはどうした?どこに行っちまったんだロックンロールは?」


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そう、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズです。

キースはローリング・ストーンズの中で、シンプルな3コード、単音でパラパラ弾きまくらないソロで、ロックバンドの中で「ロックンロール・ギターのカッコ良さ」というものを体現したようなギターをずっと弾いておりました。

後を引くリフ、独特のルーズな間から生まれ出る引きずるような、転がるようなグルーヴ。

言葉にすればたったこれだけのギターから醸し出される、何ともダーティーな不良のカッコ良さ。

そう、キースは70年代になってもロックに目覚めた不良な若者達の憧れであり、そんなキースを、ストーンズのロックンロール・サウンドを慕うアメリカの若者達の中で、そのサウンドやライフスタイルの継承者的存在として、ニューヨーク・ドールズというバンドが出てきました。

このバンドには、ロックから難しく面倒臭いところをほぼ省いた、8ビートに3コードという演奏スタイルで出てくる音を、とにかくやかましく、そしてグラマラスに演奏すること”だけ”に全てを捧げたような、ストレートで、ちょっとキケンなカッコ良さがあり、非常にセンセーショナルな存在として話題になったんですね。化粧もしているし。

はい、このニューヨーク・ドールズは”パンクロックの元祖”とかも言われております。その理由はまたちょっと音楽的なこととは違うあれこれが入ってくるので、ここでは省略しますが、50年代ロックンロールへの、単純な原点回帰でもない、かといって小難しくもない、独特のラフなグルーヴとやかましいギターの轟音で酔わせてくれる、新しいロックンロールを、ハッキリとした形でドンと世間に見せつけたのがニューヨーク・ドールズです。

もっといえば、このニューヨーク・ドールズのギタリストとして、そんなロックンロール・サウンドをギャンギャン演奏していて、いつの間にか存在そのものがロックンロールと呼ばれるようになったのが、ジョニー・サンダースであります。

アタシがまだ十代の頃、とある先輩に

「ロックンロールって何ですかね?」

と訊いたら

「バカヤロウ、お前ジョニー・サンダース聴け!」

と言われました。

更に別の人に同じ質問したところ

「それはジョニー・サンダースだ」

と、ほぼ同じ意味の答えが返ってきました。

二度目に質問した人は、ちょっと優しい人だったので

「チャック・ベリーとかエルヴィスとか・・・」

と、モゴモゴアタシが言うと

「うん、彼らは50年代のオリジナル・ロックンローラーだけど、清志郎とかチャボとか、とにかく今ロックンロールやってるヤツらは、みんなジョニー・サンダースから影響受けてるし、ジョニー・サンダース大好きなんだよ」

と、優しく説明してくれました。

実際その後も「ロックンロールが好きだ」という人とはたくさん会って、色々話をしましたが、やっぱりジョニー・サンダースという言葉を口にした瞬間に、少年のようにキラキラした目になったり、エンジンかかったようにアツく語ったり「あぁ・・・ジョニー・サンダースはもう絶対だよね・・・」と、憧れの目一杯入った口調で遠い目をして答える人・・・とにかくみんなにとってジョニー・サンダースという人は特別な存在なのだということを、アタシは心底痛感するに至ったのです。




1.BORN TO LOSE
2.BABY TALK
3.ALL BY MYSELF
4.I WANNA BE LOVED
5.IT’S NOT ENOUGH
6.CHINESE ROCKS
7.GET OFF THE PHONE
8.PIRATE LOVE
9.ONE TRACK MIND
10.I LOVE YOU
11.GOING STEADY
12.LET GO


数々のカリスマ的エピソードとか、やっぱりそういう人らしく、結構早くで亡くなったとか、そういう話もありますが、コレを聴くと全てがぶっ飛びます。

ジョニー・サンダースがニューヨーク・ドールズを辞めて最初に組んだロックンロール・バンド「ジョニー・サンダース&ザ・ハートブレイカーズ」のデビュー・アルバム「L.A.M.F.」。

どこにも何にも細工なんてない、ただ荒く、ポップで、そしてやかましい3コードのロックンロール!

最初聴いた時は「いや、これはもうパンクでしょ」と思ったし、正直に「セックス・ピストルズをもっと泥臭くして、どこか切ない感じをふんだんにまぶした音だ」とも思いました。

ジョニー・サンダースは、この頃ライヴで使ってたマーシャルの3段アンプをレコーディング・スタジオに持ち込んで、そのままギターを繋げてガーンと鳴らしてたそうです。

当時の常識では、3段アンプはライヴで音量を稼ぐのと、見た目で派手なインパクト狙いということで、レコーディングではもっと音が聞き取り易い普通の箱型アンプを使うものだというのがあったそうですが、ジョニーはそんなこと気にしません。

「ライヴでいい音出るアンプなんだから、レコーディングでも使うの当然だろ?」

とすらも、多分言ってません。そう、ロックンロール、理屈じゃないんです。

音楽的なあれこれは元より、このアルバムに入ってるのは、熱くてカッコよくて、切なくて興奮する、そういう音楽の”本質”ですよね。本質だけがむせるような質量で「これでもか!」と入ってる。1977年の作品ですが、こういうのに古いも新しいもないんです、ただカッコイイんです。ロックンロール。



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年09月23日

ザ・フー ライヴ・アット・リーズ

6.jpg
ザ・フ/ライヴ・アット・リーズ
(ユニバーサル)

「ライヴバンド」という言葉を最近よく聞きます。

読んで字の如く「スタジオ音源もいいけど、ライヴだと更に信じられないぐらいカッコイイ!もう死ぬ!」というバンドのことです。

いやぁ、世の中には実にカッコいいライヴバンドはいっぱいいるし、素晴らしいライヴ盤、それこそたんまりあります。

え〜・・・

で、今から全くミもフタもないことを言います。

それはですね

「ロックバンドは、大体ライヴ・アルバムがカッコイイ」

ということです。

だってほれ、ロックはやっぱりライヴですよ。

ビートルズだってストーンズだって、今どんなに大御所になって、スタジオで超大作を作ってるバンドやミュージシャンでも、レコードデビューする前は、ライヴハウスで一生懸命演奏して、そこから人気が出て段々ビッグネームになっていったんです。

だから「ライヴアルバムがよくない」ってこたぁないじゃないですか。みーんな最初はライヴバンドだったんです。

その中で

「じゃあ最強のライヴバンドは?」

と訊かれたら、最強かどうかはわからんけれども、とにかくスタジオ盤のファーストを聴いてカッコイイと思った時以上の衝撃をライヴ盤で聴かせてくれたザ・フーを皆さんにはオススメいたしましょう。






1.ヘヴン・アンド・ヘル*
2.アイ・キャント・エクスプレイン*
3.フォーチュン・テラー*
4.いれずみ*
5.ヤング・マン・ブルース
6.恋のピンチ・ヒッター
7.ハッピー・ジャック*
8.アイム・ア・ボーイ*
9.クィック・ワン*
10.すてきな旅行|スパークス*
11.サマータイム・ブルース
12.シェイキン・オール・オーヴァー
13.マイ・ジェネレイション
14.マジック・バス

*ボーナストラック


何てったってキャリアも長いし、作品毎に凄まじく進化していったザ・フーです。

しかし、つい最近になっても積極的にライヴ・パフォーマンスを行って、ライヴアルバムやライヴの映像作品なんかをガンガン出しているザ・フー。そう、どんなに進化しようが、どんだけ大御所だベテランだと世間からもてはやされようが、コノ人達の軸足は「気合い一発でみんなを沸かせるライヴ」そこにずーーーっとあって、その信念がブレたことは、今まで一度たりともありません。

そんなフーの、最初にリリースされたライヴ・アルバムが「ライヴ・アット・リーズ」。1970年に行われた大学でのステージであります。

常日頃フーの魅力というのは

「ポップな曲にド汚いサウンド」

だと思っておりますが、このアルバムはもー凄い!

スタジオでも爆音セッティングのピート・タウンゼントのギターは何の遠慮もなく派手に歪ませて、いかにもアンプ直フルテンの、ギャンギャンゴワゴワのファズ・サウンドだし、元から単なるリズムキープじゃなくてギターのコード弾きの裏でブイブイにリードを弾いているジョン・エントウィッスルのベースもギターに負けない音量で動き回ってるし、キース・ムーンのドラムに至ってはほとんど暴走のレベルでバカボコバカボコ景気よくやっております。

で、ロジャー・ダルトリーのヴォーカルも「え?ツェッペリンのロバート・プラントなんじゃない??」と思わせる高音振り絞り系のシャウトをガンガン炸裂させ、ファーストで感じていた「音のやんちゃな正統ブリティッシュバンド」という最初にイメージは、またしてもここで気持ち良く覆されました。

この時期のフーといえば、スタジオ盤ではアレンジの凝った大作の「ロックオペラ・トミー」なんかも作って、アルバム・アーティスト集団として急成長していた時期なんです。すなわち耳の肥えた音楽好きの鑑賞にも十分耐えられるような深い作品を作ってやろうと、そういう時期に

「はーいみんなー、ギターをアンプにつなげたぞー。おまえらどっかーん!!」

な演奏を、ライヴでは相変わらずやってたってのがもうね、カッコ良い。カッコ良すぎるんです。。。

もちろんこのアルバムにも、彼らの”進化”はしっかりと見て取れます。

それはつまり「それまでのロックンロール路線から、新しいハードロック路線を宣言した」とか、そういうことで、実際このアルバム聴いてると、当時彗星の如く表れて爆風を巻き起こしていたレッド・ツェッペリンのサウンドと似通ってるんですが、そういうことすら、何かもうこの爆音一発なサウンドと、ひたすらアツいパフォーマンスの前ではどーでもよくなってきます。

あと、このアルバムのジャケット、これ凄くカッコイイよなぁと思っていたら

「当時よく出回ってるブート盤の真似をしただけ」

という話をある日聞いて、フーのことますます好きになりました。











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