2017年09月16日

ザ・フー マイ・ジェネレーション

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ザ・フー/マイ・ジェネレーション
(Polydor/USM)


イギリスの3大ロックバンドといえば、ビートルズとローリング・ストーンズ、そして今日ご紹介する"
ザ・フーThe Who"であります。

そして「イギリス3大ロックバンドの中で、どうもよく知らない」と言われるのがフーであります。

揺るぎない世界観と、ロックを通り越してポップスとしても秀逸なスタンダードの数々を生み出したビートルズと、ロックンロールのカッコ良くて分かり易いイメージがそのまんまバンドにんったかのようなストーンズは、確かにもう名前を聞いただけで、音楽にそんな興味のない人でも「あ、これ」とピンとくるものがある、確かにこの2つは別格の中の別格と言っていいほどのスーパーバンドでありましょう。

で、ザ・フーですが、実は3大バンドの中で、アタシはこのバンドほどロック”が”好きな人(ロック”は”好きとかロック”も”好き、ではない)にアツく支持されているバンドはないと思います。そして、このバンドほど様々な音楽の要素を取り入れ、それらのエッセンスを信じられない高みにまで持って行ってサウンド化したバンドはなかろうと思っております。

時期毎に、アルバム毎に彼らは飛躍的な進化を聴く人に叩き付けたザ・フー。

そして初期のアルバムは、パンクロックの誕生に決定的な刺激と影響を与え、キャリアを通じてその演奏の根底には、ひたすらアツく衝動的なロックンロールの魂がたぎっている。

音楽が、とりわけロックが好きな人達が惹かれ、そしてこよなく愛してしまうのが、彼らのそんなピュアな衝動の部分なんです。

アタシが最初にザ・フーを知ったのは、音楽雑誌で

『世界で初めてギターを投げ、ドラムをブチ壊すという破壊的なライヴ・パフォーマンス行った』

という衝撃の記事を目にしたことです。

パンクの登場前にそんなイカレたことをするバンド、いたんだ!

と、そりゃもうワクワクしたもんです。

そしてアルバムを聴く前に、深夜の音楽番組で観た彼らのライヴ・パフォーマンスは、ヴォーカルがマイクを鎖鎌みたいにブングル振り回し、ギターの鼻のでっかいおっさんが飛び跳ねたり腕を大回転させてギターを弾き、ドラムがセットを蹴飛ばして前に出てくるんじゃないかというぐらいの勢いでジタバタ叩いてまして、でも曲はやたらポップで楽しくて「あぁ、コイツらおっかしいなぁ、キてるなぁ・・・」というのが最初の印象でした。

そん時に観た映像は、確か80年代のライヴだったと思います。有名な「ぶっこわしパフォーマンス」こそ拝めませんでしたが、十代のアタシに「ザ・フーはイカレバンド」という美しいイメージを植え付けるのには、十分過ぎるほどぶっ飛んだ映像でありました。


【収録曲】
1.アウト・イン・ザ・ストリート
2.アイ・ドント・マインド
3.ザ・グッズ・ゴーン
4.ラ・ラ・ラ・ライズ
5.マッチ・トゥー・マッチ
6.マイ・ジェネレイション
7.キッズ・アー・オールライト
8.プリーズ・プリーズ・プリーズ
9.イッツ・ノット・トゥルー
10.アイム・ア・マン
11.ア・リーガル・マター
12.ジ・オックス


丁度その時夢中になっていたジュン・スカイ・ウォーカーズが「マイ・ジェネレーション」という曲を出していたので「え?つうことはフーはジュンスカに影響与えてんの?すげー」と、すっかりミーハー根性丸出しで聴いた『マイ・ジェネレーション』。

これですね、ザ・フーが1967年にリリースしたファースト・アルバムなんですが、これが本当にハタチそこらの若者の作ったバンドのデビュー・アルバムなんだろうか?と、思わせるぐらいに完成度が高いです。

パッと聴き、ビートルズをもっと走らせて不良っぽさをプラスしたようなやんちゃな雰囲気で、そこにところどころ、R&Bのテイストが入っており「ポップな曲」「ノリノリの曲」「R&Bテイストなバラード(AGのジェイムス・ブラウンのカヴァー)」のバランスが実に絶妙でした。

いかにも向こう気の強そうなロジャー・ダルトリーのハスキーなヴォーカル、当時のギターアンプの限界の歪で、ガシャガヤゴワゴワ弾きまくるピート・タウンゼントのギター、バシャバシャと耳に刺ささるキース・ムーンの攻撃的なドラム、そしてそして、ライヴでは全く動かず、ただ黙々とビートを刻んでるように思えたジョンエントウィッスルの、まるでリードギターのようにうにょうにょゴンゴン動きまくるハイテクなベース(!)

もちろんこれはアタマの悪い中学生が、聴いたその日に分かったことではありません。

それでも「曲はポップなのに、サウンドは全然大人しくない。そして楽器バカウマ!」ということは強烈に感じました。

イギリスのバンドといえば、大体がブルースやR&Bをカヴァーしまくって、そこに独自の色を徐々に付けて行って個性が花開くといったバンドが、60年代は多かったと思いますが、フ−に関しては元々「ブルースをやろう!」といった力みがそんなになくて、デビュー・アルバムでジェイムス・ブラウンのカヴァー2曲を除いて全部の曲がオリジナル。これがフーの強みであり、後に”音楽的な影響をブラック・ミュージックに依存しないパンクロック”を生んだきっかけになった、と言われたら確かにそうだと納得の出来るサウンドであります。

いやそれにしても、このアルバムの破壊衝動と見事な歌心が同居してる音楽のカッコ良さったら一体どういうことでしょう。ザ・フーに関しては掘り下げてお伝えしたいことは、まだまだ無限にありますが、まずは一切の先入観とか、何となく大物バンドとかいうイメージをかなぐり捨ててこのアルバムを聴いてみてください。やんちゃでカッコイイっす。



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2017年09月15日

ザ・ベスト・オブ・バディ・ホリー

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ザ・ベスト・オブ・バディ・ホリー
(ユニバーサル)

さて、イカしたロックンロール、その素となったロッキンなブルースをここんとこ紹介しています。

アタシは個人的に戦前から1950年代のアメリカの音楽、とっても好きなんですが、特に50年代の、いわゆるオールディーズと呼ばれている音楽に関しては、何がロックで何がロールかも全然分かってなかった(今でもそんなに分かっとらんです)中学時代に、周囲の先輩達が夢中になってるのを、それこそ見よう見まねで

「こういうのを聴いとけばカッコイイんだ」

と、ミーハー丸出しで聴きながらハマッたふりをしてました。

そのおかげで古いブルースとかボブ・ディランからフォーク、カントリーとかを抵抗なく聴けるようになったようなものなんで、思い入れは深いし、今この辺の時代の音楽聴いても、何かこう懐かしくて甘酸っぱいような、特別な感情がわらわらと湧いてきます。

中学の頃なんて、ない小遣いでCDなんか1枚買えればいい方でしたし、洋楽なんて何を聴けばいいのか当然分かりません。

で、サウンズパルに行って親父に相談するんですけど、これはまぁ無難に「ベスト・オブ・オールディーズ」みたいなもんを買えという訳です。

なるほどそうかと値段を見たら、当時の2枚組(平成の始め頃ですわ)だからとてもじゃないけど小遣いで買えた額じゃあない。

「親父ィ〜・・・」と思いましたが、アタシは強がって「いや、もっとこう通っぽいヤツ」と言って、映画『スタンド・バイ・ミー』のサウンドトラックを買ったんです。

音楽はよくわからんが、この映画はビデオを借りて友達の家でダベりながら観て大好きだったんで、これならまぁ分かるだろうと思って聴いたんですが、コレが素晴らしかったですね。ロカビリーもR&Bもドゥー・ワップも、ジャンル関係なく”オールディーズ”と呼ばれている音楽が詰め込まれていて、しかもキャッチ―で”歌える”曲が多くて、もちろん当時はこれがロカビリーでこれがドゥー・ワップとか、そんなことは全然分からなかったんですが、初めて”今の時代以外の音楽”の、扉を開いた、ちょいとばかりアタマの悪い中学生には、最高の入り口になったんです。

このサントラの1曲目に入っていたのが、バディ・ホリーの「エブリディ」。

映画の主題歌で、ベン・E・キングがパワフルに歌う「スタンド・バイ・ミー」とは真逆のテイストを持つ、ポップなメロディ、やけに耳に付いて離れない、少年のような甘い声がとにかく不思議で「この人は一体どんな人なんだろう・・・」と思いながら聴いたのが、アタシとバディ・ホリーとの出会いでした。

50年代を代表する、偉大なロックンロールの生みの親の一人、ギター、ベース、ドラムスという、ロックバンドの基本編成を最初に定着させた人、今やエレキギターの代名詞のひとつともいえる、フェンダーのストラトキャスターで最初にロックした人、ロックの世界で「メガネ」を最初にファッション・アイテムとして認知させた人・・・。

まぁとにかくこの人のことは知れば知るほど、上に挙げた以外にも次々と革新的な”初めての”がいっぱい出てきます。

特にアタシは、ワイルドな大人の不良をみんなが目指していた時代、ティーン・エイジャーとしてティーン・エイジャーのための音楽を、最初に作った人はバディ・ホリーなんじゃないかと思います。

もちろんそのちょっと前にチャック・ベリーが、歌詞の中に学校や休日のドライブなど「郊外のティーンエイジャーの日常」を織り込むという革命を起こしてはおりますが、バディはそのスタイルを更に突き詰めて、軽快なビートとシンプルな3コード、そして少年のような声とルックスでもって、音楽の中に

「唄ってバンドするティーン」

という姿を、世界で初めて具体的に作り上げた。その功績は計り知れないほどバカでかいし、彼のスタイルをそのまんま受け継いだのがビーチ・ボーイズであり、ビートルズでありストーンズであり、ラモーンズでありバズコックスであるといった具合に、後のロックからパンクロックの時代まで、自らが作り上げた音楽が、大幅な改造を加えられずにそのまんま後の時代まで生き続けている。そんな稀有な存在だと思うのです。

バディ・ホリーの音楽はとってもポップで、この時代の多くの白人ロックンローラー達がそうしたように、黒人のR&Bやゴスペルのエッセンスを大々的に取り入れてはおりますが、あまりにもサラッと洗練されていて、後味に苦味やアクを残さないそのスタイルは、てっきりニューヨークとかの大都会で培われた感性がそうさせたんだろうと思っておりましたが、出身地はテキサスというコテコテの南部。

音楽好きの両親の影響で、早いうちから楽器を持って歌うことを覚え、少年時代はカントリーのバンドで演奏し、コンテストで賞金を取って注目を集める存在だったといいます。

彼が親しんだカントリーがどんなものだったかは詳しい資料が今手元にありませんが、ヨーデル唱法の名人、ジミー・ロジャースや、ブルーグラスの生みの親、ビル・モンローなどの、軽妙で美しい高音のヴォーカルを中心に添えたスタイルのものだったんだろうということは、想像に難しくありません。

彼が19歳の時、ひとつ年上のエルヴィス・プレスリーとの出会いがありました。

既に南部が誇る大スターだったプレスリーは、カントリーだけでなく、ブルースやゴスペルなどの黒人音楽からの影響を強く押し出した音楽をやっていて、それに強烈な憧れを覚えたバディは、自分もエレキギターを持ったロックンロールをやろうと決意。

親友のジェリー・アリソンのドラム、ジョー・B・モウルディンのベース、ニッキー・サリヴァンのサイドギターという4人編成のバンド「ザ・クリケッツ」を結成します。

当時、バンドといえばギター、ベース、ドラムに、ピアノやホーンも加えた大々的なものをすることが、売れているバンドの絶対条件でしたが、当初「カネがないから」という理由でこの編成でずっとツアーをしてて(更にカネがなくてバディの歌とギター、ジェリーのドラムスだけでライヴするということもあった。ロックンロール!)、最初の方のレコーディングもこの編成で行っております。

結果としてコレが、ポップソングやカントリーとは違う、エレキギターを中心にした新しいサウンドとして、特に刺激を求めている若者に大いに支持されました。

たった1年ほどの活動で大人気になったバディはニューヨークに移り住み、活動もソロ・シンガーとしてのものが多くなって行きましたが、それでもバンド・サウンド、特にギター、ベース、ドラムスを中心としたアレンジを中心に持ってくることは忘れず、また、コーラス・パートには自分の声を重ね録りするなど、今のロックバンドに直接繋がる技法を次々と生み出していきます。

とにかくこの人は、そのメロウでソフトなサウンドとキャラクターからは想像も出来ないほど芯のあるオリジナリティの塊で、同時代のどのロックンローラーとも似ても似つかぬ孤高の道を行っておりました。繰り返しますが、楽曲は誰よりも親しみやすく、ポップなものであった”のに”です。




1.ザットル・ビー・ザ・デイ
2.オー・ボーイ!
3.ノット・フェイド・アウェイ
4.テル・ミー・ハウ
5.メイビー・ベイビー
6.エヴリデイ
7.ロック・アラウンド・ウィズ・オリー・ヴィー
8.イッツ・ソー・イージー
9.アイム・ルッキン・フォー・サムワン・トゥ・ラヴ
10.ペギー・スー
11.アイム・ゴナ・ラヴ・ユー・トゥー
12.ワーズ・オブ・ラヴ
13.レイヴ・オン
14.ウェル…オール・ライト
15.リッスン・トゥ・ミー
16.シンク・イット・オーヴァー
17.ハートビート
18.リミニシング
19.イット・ダズント・マター・エニモア
20.トゥルー・ラヴ・ウェイズ


この人ほど”その後”の活躍が気になる人はおりませんが、強烈な個性でもって時代を切り開いた人ほど、早くに天国に召されてしまうものであるようです。

1959年2月3日、ツアーのために移動中だったバディ・ホリーとリッチー・ヴァレンス、J.B.”ザ・ビッグポッパー・リチャードソンという3名のロックンロール・スターを乗せた小型飛行機がアイオワ州の農場に墜落、全員が死亡という痛ましい事故で、バディは22歳の短い人生を、そして僅か2年という一瞬のロックンローラー人生を儚く終えてしまいました。

この年、エルヴィス・プレスリーは兵役へ行き、チャック・ベリーは逮捕され、ロックンロールを世間に広めた最大の功績者だったラジオDJのアラン・フリードがペイオラ(ラジオで曲をかけてもらう見返りに貰う報酬)への関与で失脚。

そんな出来事が立て続けに重なって、ロックンロール人気はあっという間に失速して行きます。特にバディの死んだ日は、その前後の、ロックンロールにとって不幸な出来事と関連して「ロックンロールが死んだ日」と呼ばれております。

しかし、バディの残したものは、現在進行形で色んな所に生きておるんですね。

とにかく2年という活動期間の中で物凄い量のレコーディングを残し、存命中に出した3枚のオリジナル・アルバムもありますが、その量を遥かにしのぐレコーディングを行って、それがまとめられないまま彼は亡くなってしまったので(当時の若者向けのレコードはほとんどがシングル盤)、代表曲を手堅く抑えたベスト・アルバムから聴いてみるのが一番いいです。

このベスト・アルバムは、昔から「バディ・ホリーといえばコレ」と定番だったもので、デビュー直後のクリケッツとの音源からアレンジも幾分凝った曲まで、最適なボリュームと選曲で飽きることなく楽しめます。オールディーズ感満載のジャケットも良いです♪





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2017年09月06日

ブギー・ウィズ・キャンド・ヒート

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キャンド・ヒート/ブギー・ウィズ・キャンド・ヒート
(ユニバーサル)

前回に引き続き、アメリカが生んだゴキゲンなブルース・ロックの元祖、キャンド・ヒートをご紹介します。

えっと、ファースト・アルバムをやりましたんで、今日はアタシにしては珍しく(?)順序よく、セカンド・アルバムをご紹介しましょうね。

時は1967年、アメリカでは西海岸発のヒッピー文化の盛り上がりと呼吸を合わせるように、カジュアルでやかましくてフリーダムな若者の、若者による若者のための音楽、そう”ロック”が一大ムーブメントを巻き起こしておりました。

よく「ロックンロールとロックの違いって何なの?」という、実に良い質問を頂くことがありますが、細かく言えばいくらでも細かく答えられるこの究極の問いに

「うん、ロックンロールって50年代にカッコ良くスーツやジャケットを着こなしてやるバンド音楽で、ロックってのはTシャツにジーンズ着てやってもいいんだぜ!ってのを世界で初めて言ってみせたカジュアルなバンド音楽だったんだ」

と、割とサックリ答えるようにしてます。

そうなんです、Tシャツとジーンズってのは、言ってみれば肌着と作業着で、50年代までは「そんなもんで人前に出るんじゃない!」と言われた服装なんですよ。

でもロックは

「そういう常識を打ち破ろう!」

というところから出てきてるんですね。

で、最初はそういう反抗から来ている若者ファッションは”サイケデリック”というキーワードでもって、段々カラフルでオシャレなファッションになり、ここで”カジュアル”というオシャレの定義が完成してゆく訳です。

考えてみれば英国ではビートルズを筆頭に、軍服をモチーフにした衣装なんかでみんなビシッとキメているバンドが多かったのですが、アメリカの若者意識の中には「アレと正反対のことをやって、オレ達のオリジナルなカルチャーを作るぞー!」という考えもあったのかも知れません。

ロックのその初期のサウンドやスタイルを見聞きしていると

「イギリス→オシャレでまとまっている」

「アメリカ→ワイルドでやさぐれとる」

という図式があてはまるのも、こういった若者意識の違いなんですね、えぇ多分。

で、キャンド・ヒートは、そんな”Tシャツにジーンズ”の西海岸ヒッピー連中のカリスマでありました。

ライヴでは彼らのタフで荒削りなサウンドでハイになることを求めてやってくる、ヒゲぼーぼーなヤツ、頭から靴まで奇抜ファッションに身を固めたヤツとか、とにかく男女問わずぶっ飛んだヤツらがそのサウンドに敬意を表し

”キング・オブ・ブギー”

と、いつしか彼らのことを呼ぶようになりました。

大体ヒッピーになるような人達は、ええとこの坊ちゃんとかお嬢ちゃんが多くて、ブルースなんて聴いたことなかったんですね。そんなところにキャンドヒートの強烈に泥臭いブルースのカバーなんかにガツーンとヤラレた日にゃあでしょう。

西海岸近辺で人気者になったキャンド・ヒートは、そのままの勢いで、ウッドストックとモンタレー・ポップ・フェスティバルという2大フェスに出演し、そこでもワイルドなパフォーマンスで聴衆を圧倒。

どっちかというとこの2大フェスに出たことが、彼らの人気を決定的なものにして

「キャンドヒートって知ってる?」

「おぉ、アイツらやべぇ!オレこの前のモンタレー行ったんだよ!アイツらのやってる音楽、ブルースなんだってな」

「マジか?ブルースって黒人が昔やってた音楽じゃなかったのか?」

「そうなんだけど違うんだ。いや、オレらが知らなかっただけで、ブルースってヤバかったらしいぜ」

「どうヤバいんだよ」

「え?どうって、とにかくブギーだよ!バカになってノリまくって踊りまくる音楽だって話だ」

と、ブルースやブギーに対する正しい認識も、アメリカの”それまで健全だった若者”に広めてゆくことになります。



【収録曲】
1.イーヴル・ウーマン
2.マイ・クライム
3.オン・ザ・ロード・アゲイン
4.ワールド・イン・ザ・ジャグ
5.ターペンタイン・モーン
6.ウィスキー・ヘデッド・ウーマンNo.2
7.アンフェタミン・アニー
8.アン・アウル・ソング
9.マリー・レヴォー
10.フライド・ホッケー・ブギー


キャンドヒート人気がそんな感じで盛り上がっている頃に、ドカンとリリースされたのが、このセカンド・アルバムであります。

前作は愛とやさぐれが目一杯籠ったブルースのカヴァ―でありましたが、今回は渾身のエグ味溢れるオリジナル曲を書き上げております。

そしてファーストをリリース直後に早速メンバー・チェンジがあって、アドルフォ・デ・ラ・バラという実力派と呼ばれたドラマーが参加してるんですが、まぁこの人のドラムが実に安定感があって、粘り気のあるビートを繰り出してくるドラムで、単純に演奏の上手さで言えば、全く見違えるようにバンド・サウンドにまとまりが出ております。

しかし、中心メンバーであるフロントのボブ・ハイトのクセの強いヴォーカルとブルースハープ、そしてアル・ウィルソンのクセになるスライドギターの魅力は、例えバンドの音がキッチリとまとまったグルーヴを出すようになってもちっとも大人しくなりません。どころか安心して好きにできるリズムを得て、それぞれの持つ勢いとテクニックを存分に発揮しておりますね。

アルバムそのものは、ロック・テイストが強くなりつつ、楽曲自体は彼らのトレードマークである”ブギー”が主体です。つまりミディアムからちょい速いテンポに乗って、シンプルなリフでガツガツとノレるブルースロックです。

ドロドロとした呪文のようなヴォーカルと鋭いギターソロ、ねっとりとしたハープが絡む@から、マディ・ウォーターズ「フーチ・クーチ・マン」スタイルの楽曲として、アレンジもスライドギターのソロもかなりキてるA、アル・ウィルソンのほよほよ脱力したヴォーカルが泥臭いバックと不思議な溶け合いで中毒性の高いBから、フリー・セッションなラフさでグイグイのせてくるEIなどなど、パンチの効いたブルースとサイケデリックなロック・サウンドとのごく自然な(でも十分イカレた)融合な味わいがたまんなくイイです。

にしても相変わらず「綺麗にまとめてやろう」なんて気持ちが微塵もないところに、総じてアタマの悪い感じのタフでラフでワイルドな、アメリカンロックの真骨頂を見ますね〜。

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2017年09月04日

キャンド・ヒート(Canned Heat)

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キャンド・ヒート(Canned Heat)
(ユニバーサル)

60年代にイギリスの若者達が、アメリカのちょい昔のブルースやR&Bを「カッコイイ刺激的な音楽」として聴き狂い、バンドやってる連中はそれらのブラック・ミュージックのサウンドを競って自分達の演奏スタイルの中に取り込んで行きました。

こうやって誕生したのがブルースロックです。

ジョンメイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズを皮切りに、ヤードバーズ、そしてローリング・ストーンズといったイギリスのバンド達が、本国アメリカではとっくに昔の音楽となっていたブルースを、最先端の”ロック”として生まれ変わらせたんです。

一方ブルースを生んだ国、アメリカの若者達の中でも、ブルースは流行の音楽でこそなかったものの、南部のローカルバンド達にとっては重要なレパートリーであり、そして都市部の熱心なファンの間では、古いブルースのレコードは、熱心にコレクションしてじっくりと聴き込むための大切なツールでありました。

やがてイギリスでブレイクしたブルースロックが逆輸入される形でアメリカに上陸、ここで多くのミュージシャン志望の連中に刺激と衝撃を与え、アメリカでも「ブルースをロックでやるとカッコイイ」という価値観がジワジワと浸透してゆくのです。

元より、両国の白人青少年の間では、ブルースに対する認識には若干の違いがありました。

イギリスでは”オシャレでワルでクレイジーな音楽”という認識、アメリカではそれプラス”自分達のルーツのひとつとして見直されるべき音楽”という認識があったんですね。

ブルースを、特に戦前の古いブルースを熱心に愛好する都市部の若者達はそういった思いに突き動かされて、戦前に録音を残したブルースマン達を南部へ探しに行って”再発見”し、彼らをステージへと上げるように尽力しました。

そうやって”フォーク・ブルース・リヴァイバル”という空前のブームが起こり、一方でアメリカはアメリカの、フィーリングとスピリッツに溢れたブルースロックがそのまま”ロック”へと進化して・・・という、現在へと脈々と受け継がれる流れを生むのですが、本日はそんなアメリカのブルースロックの立役者、いやもうこの人達を抜きにしてはブルースロックもアメリカンロックも語れんでしょうというキャンド・ヒートというバンドをご紹介致します。

キャンド・ヒートは実は日本ではあんまり有名じゃありません。

ロックという意味ではジミヘンやジャニス・ジョプリン、ドアーズなど、強烈なカリスマと独自の音楽性を持った人達に存在として圧倒され、ブルースロックという意味では王道のシカゴ・ブルース・スタイルで多くのファン心を掴んだポール・バターフィールドに、それぞれ知名度は劣ります。

しかし、キャンド・ヒートの初期のアルバムには、このバンドならではの古いブルースへの深過ぎる愛と、洗練なんぞクソくらえなローファイ&やぶれかぶれなオリジナリティに満ち溢れた、たまらん味わいがあります。

喩えれば90年代以降にアタシ達にブルースのカッコ良さを、ロック・サイドから教えてくれたローファイでダーティなジョン・スペンサーやベック、G・ラヴ&ザ・スペシャルソースなんかの音楽性の元をたどって生けば、絶対にこの人達にブチ当たるんじゃないかと。そんぐらいやさぐれとりますし、何というか非常に好感の持てる、独特の”オタク臭”がするんですよ。




【収録曲】
1.ローリン・アンド・タンブリン
2.ブルフロッグ・ブルース
3.素敵な悪魔
4.ゴーイン・ダウン・スロー
5.ナマズのブルース
6.ダスト・マイ・ブルーム
7.ヘルプ・ミー
8.ビッグ・ロード・ブルース
9.ザ・ストーリー・オブ・マイ・ライフ
10.ザ・ロード・ソング
11.リッチ・ウーマン
12.オン・ザ・ロード・アゲイン (オルタネイト・テイク) (ボーナス・トラック)
13.ナイン・ビロウ・ゼロ (ボーナス・トラック)
14.TVママ (ボーナス・トラック)


1960年代中頃に、アメリカは西海岸の大都市ロサンゼルスで、熱心なブルース・レコードのコレクターであったボブ・ハイト(ヴォーカルとブルースハープ)とアル・ウィルソン(ヴォーカルとギター)が

「なぁ、ブルースやりたくね?」

「やりてぇ」

という気持ちだけで結成し、バンドの名前を戦前の”元祖クロスロード伝説”を持つブルースマン、トミー・ジョンソンの代表曲から取ったのがキャンド・ヒートです。

何が偉いってアナタ、この時代バンドやってる連中のブルースといえばやっぱりシカゴ・ブルースで、マディ、ウルフ、ボ・ディドリーにチャック・ベリー、はたまたB.B.キングだった時代に

「戦前のミシシッピ・デルタのブルースがよぉ」

と、(主に)アコースティック弾き語りのブルースマン達の音源を幅広く聴き込み、しかも単なるリスニングオタクにとどまらず、そのディープなフィーリングと演奏法を自然と出来るようになるまで楽器で覚え込み、更に単なるコピーじゃなくて、それをバンド・サウンドでやってみせたってのが、コノ人達の素晴らしいところなんですよ。

「ローリン・アンド・タンブリン」「ナマズのブルース(キャットフィッシュ・ブルース)」「ビッグ・ロード・ブルース」などなど、戦前から歌われている生粋のディープ・サウス・ブルースの名曲達が、野太いヴォーカルとハープ、絶妙な”間”とシンコペーションでギャインギャイン暴力的に鳴り響くスライド・ギター、まとめる気なんて何もないヤケクソな弾きっぷり/叩きっぷりなんだけど、実は粗削りでワイルドなウルーヴをしっかり生み出しているベースとドラムでリアルに蘇っている様を体験してください。

この後、どんどんオリジナル曲もやるようになって、演奏のクオリティもグッと上がるキャンド・ヒートでありますが、やっぱりローファイ&やさぐれた雰囲気上等のこのファーストは味わいの塊であります。スタイリッシュなブリティッシュ・ブルースロックとは真逆のアホッぽさ最高です。

ブルースが好きで、好き過ぎてついバンドまで組んでしまったこの愛すべきバカヤロウ達の魂を聴いてください。



”キャンド・ヒート”関連記事


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2017年08月22日

ブラックフラッグ Damaged

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Black Flag/Damaged
(SST)


「気合いの入ったロックを教えてください」

お店に立ってた頃、若いお客さんからよくこういう問い合わせを受けておりました。

時は1990年代後半。

うん、アタシも若かったですが、お客さんはもっと若かった。

大体そういう問い合わせをしてくる人達は、当時空前のブームだったメロコアから洋楽に入って、もうちょっと激しいやつを聴いてみたいと思って、ハードコアとかモダンヘヴィネスとか、その辺を聴き漁りたいという素晴らしい意欲を持っている人達です。

「気合いの入ったロックを・・・」

の問いにアタシは大体即答はせず、とりあえず「そうねぇ、メロコアに飽きたら次はやっぱりハードコアっしょー」とか、言って反応を伺ってましたが、この”ハードコア”というワードに、まぁみんな反応すること反応すること。「うぉぉ、ハードコア!」「聞いたことあるっす、ヤバイっすよね!」と、その時点でお客さん達もアタシも理屈を脱ぎ捨てて本能のみで、内側からこみあげてくるアツい感情をストレートな単語や擬音にして、まずは盛り上がります。

今にして思えば、CDが売れるとかオススメを気に入ってもらえるとか、そんなことよりも、こうやってうわぁっ!って盛り上がる瞬間が一番楽しかったですね。

それで”で、ハードコアといえばこの人ですよ”と、色々と古今東西のパンク系の人達のライヴやクリップを録画したビデオに入ってる、ヘンリー・ロリンズのライヴ・パフォーマンスを観てもらう訳です。

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ガッツリ鍛え上げられた上半身をむき出しに、常にファイティング・ポーズのような、足を踏ん張った姿勢でビシッとまっすぐ前を向いてそして叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ!しかも激しく動いて激しく叫んでいるのに、体鍛えまくっているから姿勢が崩れたりよろめいたりしない。

「ほら、これがハードコア。これを気合いが入ったロックと言わずして何を気合いの入ったロックと言うの。フフフ」

という言葉がつい興奮して出そうになりますが、あえてそこは無言でニコニコと反応を伺います。

反応は伺うまでもなく「すげぇ・・・」「やべぇ・・・」の声が彼らの口からため息と共に漏れているのを、アタシはひたすらニヤニヤしながら聞いてました。もちろん、モニターの画面にくぎ付けになっている目が真ん丸になっているのも含めて。

曲が終わって「これ・・・何て人ですか」という言葉を聞いてようやく、アタシは説明に入ります。

この人はヘンリー・ロリンズといって、アメリカのハードコアの初期の頃に出てきた第一人者みたいな人で、デビューした頃からもうこんな感じで気合いの塊みたいな人なんだ。でもね、どっからどう見てもパンクな人なのに、実はめちゃくちゃ規則正しい生活をしていて、筋トレもしてるし、政治とか哲学とかの本も読みまくってるインテリ。俳優もやってて映画にも出てるんだけど、ほとんど名前のないちょい役とか、でも色んなのに出てるから「あ、またあの人出てる」って、映画ファンには根強い人気があったりする。

で「うぉぉ、何か知らんけどすげぇ、カッコイイ!」と、ロリンズ・バンドのCDを手にする人、結構いました。

で、更に「この人のこともっと知りたい!」という人には、アタシはロリンズが最初に在籍していた、ブラックフラッグのことをオススメしていました。






【収録曲】
1.Rise Above
2Spray Paint
3.Six Pack
4.What I See
5.TV Party
6.Thirsty and Miserable
7.Police Story
8.Gimmie Gimmie Gimmie
9.Depression
10.Room 13
11.Damaged II
12.No More
13.Padded Cell
14.Life of Pain
15.Damaged I


やっぱりパンクといえば、ハードコアといえば、このバンド抜きに語ることは出来ないんですね。

1976年、イギリスでピストルズやクラッシュなどのオリジナル・パンクがセンセーションを巻き起こしていた頃に結成されて、アメリカならではの、もっと泥臭く、もっと暴力的なサウンドを追い求め、更に商業的な成功に重きを置かない気骨のバンドを世に出すために、元祖インディーズ・レーベルの”SST”を設立して、その後のパンク/ハードコア、そして世界のロック・シーンに与えた影響はとてつもなくデカい。

そんなことより何よりまず、ヘンリー・ロリンズがヴォーカリストとして在籍していた時の、無軌道で荒削りなサウンドの、理屈も理性も見事にぶっ飛ばすその破壊力は、どんなに音楽が進化しても、機械的に激しく荒々しい音が出せるようになった現在でも、十分に刺激的な音として通用するんです。通用するどころか未だに”気合い”という一点で、ロリンズ先生の居た頃のブラックフラッグのサウンドを突破できるバンドっているのか?いやいない。とアタシ思います、はい。

さて、そんなブラックフラッグの、まずはオススメのアルバムが、実質的なファースト・アルバムであります「ダメージド」。

実はブラックフラッグは、結成してからメンバーの流動が激しく、1枚目のアルバムを出すまでに3人のヴォーカリストが入れ替わっておりますが、1981年にワシントンのハードコアバンド”ステイト・オブ・アラート”に居たヘンリー・ロリンズが加入してからバンドはパワーと安定感を増し、西海岸のマイナーバンドだったブラックフラッグはアメリカのアンダーグラウンド界隈で一気に中心的な存在となってゆくのです。

で「ダメージド」。サウンドの要であるリーダーのグレッグ・ギンが叩き付ける”割れたきったない音”のギターと、パンチの効きまくった、いや、もう拳しかないぐらいのロリンズ先生のストレート、ど根性、気合い大炸裂なヴォーカルとが、ひたすら暴力的に疾走します。

優れたロックバンドのファーストは、大体荒削りで初期衝動に溢れた名盤が多いというジンクスがありますが、その見本のような、どこから聴いてもどんな風に聴いても初期衝動しかない、そんなアルバムです。

ブラックフラッグはこの後86年の一旦解散まで、ヘヴィメタルからの影響も取り込みつつ、どんどん音をへヴィな方向に深化させていきます。

ハッキリ言ってブラック・フラッグやその後のロリンズ・バンドには駄作というものがありませんが、やっぱり無駄の一切ない、というより荒々しさしかないこのファーストは「気合いの入ったロック」をお求めならばまずは聴くべきでありましょう。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年07月12日

エルヴィス・プレスリー登場

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エルヴィス・プレスリー登場

(RCA)

エルヴィス・プレスリーといえば、言わずと知れた白人ロックンローラーの最初で、それまでポピュラーかカントリー歌手しかいなかったシーンにブルースやR&Bからの大きな影響を流し込み、つまりはこの人がいなければロックは生まれても若者達の間で今も聴き続けられるような音楽にはなっていなかっただろうと。

つまり凄い人です。

アタシもパンクロックから始まって、ブルース、ジャズ、その他もろもろのブラック・ミュージックと色々聴いてふとエルヴィスの巨大な功績を思い知ることがよくあります。


しかし!

しかしですよ皆さん。

エルヴィス・プレスリーって、今最も

「有名だけどちゃんと聴かれていないミュージシャン」

の筆頭だとアタシ思うんですね。

エルヴィス・プレスリーといえば、例のキラキラフリフリの衣装とモミアゲという70年代以降のスタイルが、色んなところでおもしろおかしくネタにされてきたというのと、スターになってからのムード歌謡的な歌と何だか石原裕次郎みたいな大御所芸能人みたいなイメージがどうも強くて、一番刺激的で一番カッコ良かった初期のロックンロール時代にはあんまりちゃんとスポットが当たっていない。

だから今日はちゃんと”ロックンロールのエルヴィス”にスポットを当てて、広く世間の人にそのカッコ良さを知ってもらいましょう。

といってもこんな辺境ブログを読んで「お、エルヴィス聴いてみようか」と思ってくれる人が何人いるかは甚だ不安ではありますが・・・。





【収録曲】
1.ブルー・スエード・シューズ
2.当てにしてるぜ
3.アイ・ガット・ア・ウーマン
4.ワン・サイデッド・ラヴ・アフェア
5.アイ・ラヴ・ユー・ビコーズ
6.ジャスト・ビコーズ
7.トゥッティ・フルッティ
8.トライング・トゥ・ゲット・トゥ・ユー
9.座って泣きたい
10.あなたを離さない
11.ブルー・ムーン*
12.マネー・ハニー*
13.ハートブレイク・ホテル*
14.アイ・ワズ・ザ・ワン*
15.ローディ・ミス・クローディ*
16.シェイク・ラトル・アンド・ロール*
17.マイ・ベイビー・レフト・ミー*
18.アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラヴ・ユー*


はい、1956年リリースのエルヴィス・プレスリー正真正銘のデビュー・アルバム「エルヴィス・プレスリー登場」であります。

これはですのぅ、もう本っ当のホンモノのロックンロール・アルバムですよ。最初に聴いた時にアタシはその余りにも挑発的かつワイルドでセクシーなサウンドに

「えぇ!?これマジでエルヴィス・プレスリー!?何てこった、こんなにカッコイイんならもうちょっと早く聴いとけば良かった」

と、感動と後悔がいきなりMAXになった一枚です。

エルヴィスの声の圧倒的な存在感はもちろんですが、派手に飾らないけれどもズガンと迫ってくるギターやベース(もちろんウッドベースだぜぃ)や、軽快にシャッフル・ビートを刻むドラム、グルーヴィーなブギウギを叩き出すピアノなど、何といいますかカントリー、ロックンロール、ロカビリー、R&B、ゴスペルなど、50年代のイカシた音楽の要素全てが、限りなくありのままの姿でここに凝縮されているような感じがするんですよね。

それはチャック・ベリーのファーストを聴いた時も思ったことなんですが、古典として偉い所に祭り上げられる類のそれではなくて、ボリューム上げればいつでもゴキゲンな、いつまでも若者のためにある音楽って感じが、音の生々しさと共に強烈にあるんです。

貧しい家庭に育ち、黒人居住区の教会に勝手にゴスペルを聴きに行ったり、ジューク・ジョイントを外から覗いて生のメンフィス・ブルースを吸収したり、彼の音楽の中心にはいつもブルースやゴスペルなどのブラック・ミュージックがあります。

とにかく「ロックンロール」という言葉に少しでもピンとくるものがあれば、エルヴィスのこのアルバムと、メジャー・デビュー前のサン・レコードでのセッションを集めたアルバムは聴いて損はありません。

「白人は白人らしく品行方正に歌え」

という世間に対して、どんな批判を受けてもあくまで敬愛する黒人シンガー達のような歌い方やパフォーマンス(その中にはあの”腰をくねらせて歌う”というのがありました)をすることを止めなかった、理由は「カッコイイから」。そんなエルヴィスの反骨のスピリッツをぜひとも聴いてください。



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2017年07月05日

ランシド ・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス

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ランシド/・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス
(Epithph/エピック)

丁度ニルヴァーナの大ブレイクで、それまで洋楽の激しいロックといえば、ヘヴィメタル一辺倒だった洋楽に、空前のオルタナティヴ・ロックという新しいムーヴメントが吹き荒れました。

アタシら世代(当時の高校生)のロック小僧やギター小僧達が、ヘヴィメタ雑誌を講読してキャッキャ言ってたのが、もうあっという間にロッキンオンとかロッキンfとかクロスビートとか、それまでは「なんでぇ、あんな軟弱な雑誌」と、どちらかというと馬鹿にしてたのが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとかレッド・ホット・チリ・ペッパーズとかの情報ほしさに最初はコッソリ、段々堂々と、最終的には結構得意気に読むようになって、口の悪いヤツは「メタルとかだっせぇ」とか、ほんの短期間、そう、ほんの数ヶ月ぐらいで言うようになって、あぁ、これが流行ってやつか・・・。と、その時初めて流行の移り変わりを実感として初めて体験した覚えがあります。

でも、当時ニルヴァーナが大ブレイクしたからと言って、出てくるバンドが全部ニルヴァーナみたいなものだったかと言われると、そうではなかったと思います。

「オルタナティヴ」のくくりに入れられてはいても、パンクっぽいもの、ヘヴィメタルの暗黒な要素を強く持つもの、よりカジュアルでポップなものなど、そのジャンルにはたくさんの個性や表現スタイルの違ったバンドがおりました。

そりゃそうでしょう、元々それまでの”ロック”に当てはまらない、何か新しい個性を持っている、カテゴライズが難しいものを「オルタナティヴ」の中に全部詰め込んで、メディアがそう読んでいた訳ですから。

そんなこんなで、90年代というのは、ロックという音楽が多様化を極めた最初の時代です。

常に”新しい何か”に向いていた若者の目は、多様化に背中を押される形で、ルーツにも向けられました。

それが70年代のパンクロックのシンプルかつストレートな音楽性とスピリッツでした。

元々アメリカのインディーズ・シーンは、メタルが流行ろうがオルタナが出てこようが、パンクが下支えしていた時代が長く続いていて、モトリー・クルー、ガンズから、メタリカやニルヴァーナ、レッチリといったメタル/オルタナのブレイクしたバンド達は、パンクロックへのリスペクトに言葉を惜しまず語っており、また「地元シーンでクールなのは・・・」と語る先輩や後輩のバンドには、正統派なパンクやハードコアのバンドも数多くいて、それぞれがそこそこ有名になって、徐々にパンクも復権していた頃、グリーン・デイが大ブレイクして、そこから日本でのお馴染みの、空前のネオパンク/メロコアブームが、オルタナやグランジと入れ替わるような形で吹き荒れます。

この時はポップで軽くて一緒に歌えるバンドが多かったですね。

でも、そんな中で80年代ハードコアのまんまな出で立ちと硬派でエッジの効いた音楽性を持っていたランシドは独特で、ブームを牽引しながらもブームとは毅然と並立しているようなカッコ良さがありました。

1993年にファースト・アルバム「ランシド」でデビューして、翌94年にはセカンド・アルバム「レッツ・ゴー」を出したランシドでしたが、サウンドの他を寄せ付けない強靭さはあれど、この時はまだまだ一部の相当にコアなパンク好きにしか知られていないバンドでしたが、95年にリリースした三枚目のアルバム「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」に収録のナンバー「タイム・ボム」がヒットして、一部のパンク好きから洋楽全般を好む若いファンにも広く受け容れられるようになり、90年代を代表するパンクロック・バンドとしての評価を不動のものとしていきます。





【収録曲】
1.マクスウェル・マーダー
2.ジ・イレヴンス・アワー
3.ルーツ・ラディカルズ
4.タイム・ボム
5.オリンピア WA.
6.ロック、ステップ・アンド・ゴーン
7.ジャンキー・マン
8.リステッド M.I.A.
9.ルビー・ソーホー
10.ダリー・シティ・トレイン
11.ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ジ・イースト・ベイ
12.シーズ・オートマティック
13.オールド・フレンド
14.ディスオーダー・アンド・ディスアレイ
15.ジ・ウォーズ・エンド
16.ユー・ドント・ケア・ナッシン
17.アズ・ウィキッド
18.アベニューズ・アンド・アレーウェイズ
19.ザ・ウェイ・アイ・フィール


1995年の、確かコレ、夏の終わりに出たんですよ。

アタシは夏休みで帰省してて、昼は実家で働いて、夕方からはビヤガーデンでバイトしてたんですけど、そん時丁度ブルース中毒の症状が出始めたのと、その前の年にやっぱり帰省してハマッたランシドの新しいアルバムがリリースされるのを、もうすごく楽しみにしてたんですね。

で、実家とビヤガーデンでバイトしたお金はブルースのCDとランシドでほとんど綺麗になくなったというどうしようもない話は置いといて、ファーストもセカンドも最高に荒削りで、やさぐれそのまんまの音が脳天にガンゴン飛んでくるあの感じが大好きだったんで、レコーディングとかどうやってんだろうと思ったら、ほとんどが一発録りで20曲ぐらいアルバムに入ってるくせにレコーディングには1週間もかけてないとか、そういう話読んで「おぉ、これぞパンクスピリッツ!」とか、アタシ喜んでたんです。

で「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」は、初めてちゃんとしたプロデューサー迎えて1ヶ月以上製作にかけたアルバムだと聞いて、ちょっと勢いとか削がれてたりすんじゃないのか?ポップになってたらどうしよう?とか、前からとても共通点を感じていたクラッシュみたいに、三枚目だからロンドン・コーリングみたいなジャンルレスなアルバム出すんじゃないのかな?とか、不安と期待は入り混じっておりましたが、そんなの関係ないとばかりに相変わらず硬派でストレートで、前作前々作からは上手に音のゴワゴワを抑えて変わりにより鋭く威力のあるものにしたサウンドが、一発目から頭に刺さりました。

ヒットした「タイム・ボム」からしてリズムがスカなんですよね、で、実はこのアルバムの中では音楽の幅を広げようとリズムやアレンジ(つってもギター2本に、曲によってせいぜいオルガンがちょこっと入っただけの男らしい編成)に相当な工夫をしてあって、で、歌詞と見事に連動した楽曲も、見事に一緒に歌えるようなものが多いのですが、ストレートに”響く”と”余計なものがない鋭さ”は、ランシドのアルバムの中でも際立っているような気がします。



一言でいえばものすごくパンクなんです。

「何がどうパンクなの?」

と言われれば

うん、そういう疑問を持ってる人が聴いて”やべ!カッコイイ!すごくパンク!!”と思えるアルバムだからなんだよ。と答えます。







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2017年06月18日

ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン

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ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン
(DREAM/ユニバーサル)


音楽を聴いて「いいなぁ」と思う理由は、もちろんそこで鳴っている音がカッコイイとか歌詞がいいとか、そういうのもありますが、もっと大事なのはその音楽を演奏している人達の音楽に対する深い愛を感じるから、というのがあります。

ロックという音楽は、1950年代のロックンロールに夢中になった白人青少年達が、更にそのルーツを掘り下げて、ブルースやR&B、カントリーにロカビリーなどから”ノレる要素”を取り出して作り出した新しい音楽。

そのロック誕生の背景には、イギリスの若きロッカー達の(本国アメリカの都会ではほとんど見向きもされなかった)ブルースに対する深い愛がありました。

2010年代の今でもローリング・ストーンズが最高にイカすブルース・アルバムをリリースしましたし、ジェフ・ベックもエリック・クラプトンも、これはもう”ブルース伝道師”といっていい活動を精力的にやっております。彼らを動かしているのはブルースへの限りない愛です。

何故、60年代のイギリスのロッカー達は、そこまでアメリカのブルースに惹かれたんでしょう。「いや、それは今まで彼らが聴いたこともないような刺激的な音楽だったからだよ」と言われればその通りそこまでの話なんですが、その他に実は、60年代にバンドやり始めた若者達にブルースのカッコ良さを広めた一人の重要人物がおります。

その人の名はジョン・メイオール、クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、それからストーンズの面々らの10歳ぐらい年上で、1950年代からブルースに傾倒してヴォーカリスト&ハーモニカ奏者として演奏を重ねながら、よき兄貴としてイギリスの若者にブルースという音楽の素晴らしさを広め続けてきた人です。

コノ人がホントすごいんですよ”ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ”といえば、ピーター・グリーン、ミック・テイラー、ジャック・ブルース、それからジョン・マクヴィーにミック・フリートウッド、エインズレー・ダンバー、そして言うまでもなくエリック・クラプトンなどなど、とにかくブリティッシュ・ロックの名立たるミュージシャンを次々と世に送り出したバンドのリーダーで、ロックの誕生には大きく関わっておるんですが、自分が育てたミュージシャン達が次々売れっ子になっても一切スタイルを変えることなく、謙虚にブルースを追究しつづけていて、何と83歳の現在も現役でブルースやっております。

ジョン・メイオールが、またはジョン・メイオールの影響を受けた教え子たちが、ブルースという素晴らしい音楽を世に広めるのにどれだけの愛情とリスペクトを注いだか、それはもうひとつの記事では語りきれません。

実際アタシがここでグダグダ言うよりも、60年代のロックが好き、もしくはロックが好きでブルースにも興味あるよという人は、ジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズのアルバムをぜひ聴いてみてください。どの作品も素晴らしく愛ですよ、愛。





【収録曲】
1.オール・ユア・ラヴ
2.ハイダウェイ
3.リトル・ガール
4.アナザー・マン
5.ダブル・クロッシン・タイム
6.ホワッド・アイ・セイ
7.愛の鍵
8.パーチマン・ファーム
9.ハヴ・ユー・ハード
10.さすらいの心
11.ステッピン・アウト
12.イット・エイント・ライト


はい、そんな訳で今日は「じゃあそのジョン・メイオールの何を聴けばいいの?」という真摯な方へオススメの、彼の初期代表作にして、60年代ブリティッシュ・ブルースロックの金字塔的名盤『ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン』これですね。

まず、エリック・クラプトンが参加して、しかも最高に活き活きとしたブルース・ギターを聴かせてくれることでクラプトンの名盤にも数えられます。

先にクラプトンのことをお話すると、最初にブルースやR&Bを軸にしながらもアイドル的な人気が出てしまい、ポップ路線へと転向したヤードバーズに参加していたクラプトン「えぇえ?ポップな曲なんかオレやらねぇよ、オレはブルースが弾きたいんだぜ」と、このバンドを脱退して「どこかブルース弾かせてくれるバンドねぇかな」とさまよっているうちにジョン・メイオールが「ブルース弾いてくれや、むしろ弾きまくっちゃれ」と声を掛けて二つ返事で加入。

その頃のやんちゃ盛りだったクラプトンンは、当時イギリスで開発されて発売されたばかりの”マーシャル”というメーカーのアンプをレコーディングに使いました。

はい、皆さんご存知の今やロックを代表するブランドのマーシャルです。

このマーシャルのアンプというのがとっても画期的だったんですね。この時代ギターアンプといえば「エレキギターの音を出すもの、音量を稼ぐもの」という基本理念しかなかったのですが、ドラム教室と楽器屋を開きながら細々とアンプを作っていたジム・マーシャルおじさんの店に通っていたピート・タウンゼントとかリッチー・ブラックモアとかいう悪ガキが

「おじちゃん、もっとこうガコーンと歪むギターアンプ作ってくれや」

と無茶を言って、音をデカくするついでに、それなりの音量でも「割れて歪んだ音」が出せるアンプを作らせたのが全ての始まりでありますが、コレに「いひひ、オレが真っ先にコイツでレコーディングしたら目立つぜぇ」と、更にワルい魂胆でレコーディングスタジオにマーシャルアンプを真っ先に持ち込んだのがクラプトン。

さあ、そんなこんなで早速大出力のマーシャルアンプとパワフルに鳴るギブソンのレスポールをスタジオに持ち込んで

「オレはブルース弾くんだぜ、弾いて弾いて弾きまくるんだぜちくしょう!誰にも文句ぁ言わせねぇぜちくしょう!」

と、ヤル気に燃えていたクラプトンは、血気にはやった素晴らしいギターを聴かせてくれます。

のっけからオーティス・ラッシュの「オール・ユア・ラヴ」立て続けにクラプトンが最も敬愛するギター・ヒーロー、フレディ・キングの代表曲「ハイダウェウイ」で、ナチュラル・ディストーションの効いた、艶のある痛快な音で、遠慮なしに弾きまくっております。

「クラプトンのベスト・プレイは?」と訊かれると、年代ごとに素晴らしいプレイがありますのでひとつには絞れませんが、このアルバムでのプレイはその中でも間違いなく候補に挙がるものでありましょう。

と、クラプトンのことばかり書いてしまいましたが、それはしょうがないですね(汗)ジョン・メイオールが「コイツのプレイは凄いから聴いてくれ」とばかりにいい兄貴ぶりを発揮してフロントに置いて、わざわざアルバムのタイトルにまで「ウィズ・エリック・クラプトン」と書いてありますから、まずはクラプトンのギター目当てで聴いてもいいし、そういう期待には十分過ぎるほどに応えてくれるアルバムです。

ジョン・メイオールのヴォーカルとハープに関しては、これはもう燻し銀の魅力ですよね。

プレイに関してはハープと手拍子だけをバックに聴かせる「アナザー・マン」が、非常に深いブルース・フィーリングを醸しながらも、黒人のそれとは違う、どこかサラッと洗練されているフィーリングで実に聴きやすいし、オーティス・ラッシュ、フレディ・キング以外にも、レイ・チャールズ、ブッカ・ホワイトにロバート・ジョンソンなど、ブルースやR&Bの巨人達の、それぞれ異なった幅広いスタイルの楽曲を見事斬新なブルース・ロックに仕上げたそのセンス、特にギターを全面に出しながらもリズム隊に積極的に変拍子を繰り出させるその実験精神は流石としか言いようがありません。

とにもかくにも自分が目立つことよりも、みんなに聴いて欲しいブルースの曲と、イチオシの若いギタリストのプレイにスポットを当てて、でもアレンジに手抜きせずオリジナルな”俺たちの味”をギッシリ詰め込んだジョン・メイオールの心意気、これを感じて頂きたいと思います。





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2017年06月12日

チャック・ベリー チャック〜ロックンロールよ永遠に〜


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チャック・ベリー Chuck〜ロックンロールよ永遠に〜

(ユニバーサル)


ロックンローーーーーーール!!!!

あいすいません、冒頭からぶっとい字で叫んで何事かとお思いでしょうが、いやだってアナタ、コレが叫ばずにおれますか。チャック・ベリーですよ、今年(2017年)3月に90歳の大往生を遂げたロックンロール・レジェンドが、この世の全てのロック小僧に残した置き土産、何と1979年リリースの「ロック・イット」以来実に38年ぶりにレコーディングしたニューアルバムが、6月9日の”ロックの日”に発売されたっつうんだから、いやアナタ、コレが叫ばずにおられますか。

はい、ちょっと冷静になりますね。

アタシはもちろんチャック・ベリー、まだロックとか何とかよくわからんうちに、何だか周りのトッポいお兄さん達が聴いてる影響で、長い間知ったかぶりして聴いて、それからロック、ブルース、カントリー、R&Bとか、一丁前に聴いてそのカッコ良さをこれまた一丁前にわかるようになってきてからようやく

「うわぁぁああ、コノ人は本当に本当に凄い人だったんだ」

と驚愕して、ミーハーじゃなくて真剣にブルースとかその後のロックとの深いつながりを意識しながら聴いてみて、何とまぁ斬新でカッコイイことをやった人なんだと、頭悪いなりにようやくわかって以来、彼の50年代から60年代のアルバム、具体的にはファーストの「Afterschool Sessions」から6枚目の「St.Louis to Liverpoor」まではそれこそ夢中で聴きました。

えぇ、偉そうに理屈をこねておりますが、チャック・ベリー聴いてる時の気持ちは今も変わらんですね。何だかんだやっぱりミーハーな気持ちで聴いておるのかもです。だってどんだけ色んな音楽を聴いても、やたら知識ばかりが無駄に自分の中で積み重なっても、チャックの十八番ともいえるあの「ジョニー・B・グッド」とかの

チャララチャララララララララ♪

のイントロを聴けば、心の中で言葉じゃない「うわぁ!」が湧くんです。えぇ、湧くったら湧くんです。

で、自らロックンロールを1950年代におっぱじめ、以来60年近くそのロックンロールをやってきたチャック、ロックンロールからロールが取れてロックになっても、テクノロジーがどんだけ発達しても、ずーーーーっとロックンロールをやってきました。

その姿勢は頑固一徹とかそんなんじゃなくて、ブルースを核に、カントリー、ラテン、ジャンプ、ジャイヴ・・・と、アメリカのあらゆるポピュラー・ミュージックを自分のセンスと才能で全部ごちゃまぜにして”オイシイとこ”を上手い事抽出して、オレにしか作れない音楽を作ってきたんだぜ。というオリジナル・ロックンローラーとしての誇りであるとアタシ思います。

で、そんなチャック・ベリー。偉大なる大御所ミュージシャンらしくゆったり構えていたのかといえばそうではなくて、相変わらずギター1本だけ持ってあちこちでドサ回り。

バックバンドも相変わらず有名ミュージシャンは付けずに(多分)「お前らのギャラはコレでいいよな?な?」という半ば脅迫じみた提案に「いいっすよ」と言うヤツだけを雇って

「いいかお前ら、チャック・ベリー・ミュージックだ。リハーサル?セットリスト?馬鹿野郎オレが今からやるっつう曲をてめーらやればいいんだ」

と、恐らくはずっとやっていたんでしょう。

でもこれ、チャックが最初からやってたことなんで誰も気にしない。大体チャックの曲はみんなガキの頃からレコードで聴き込んでいるので気にしない。

特にアタシはYouTubeで2015年以降のチャックのライヴ映像を観るのが好きでした。

この頃から体調を崩したとかで、チャックはちゃんと歌えてないしギターもマトモに弾けてないんですよね。でもバックバンドが懸命に盛り上げて、チャックが歌えてない場所は、お客さんが大合唱でキチンと補ってる。だからライヴは全然悪くないし、むしろロックンロールとして最高にあるべきライヴの凄さがみなぎってる。

これ、衰えたチャックをフォローしてる訳じゃないんです。例え彼が弾けてなくても歌えてなくても、彼の音楽がバックバンドに火を付けてお客さんを盛り上げてる。世界中のロックファンから無条件に愛される曲を作り、それをずっと演りつづけてきたチャックだからこそ出来ることなんです。


ロックンロール







【収録曲】
1.ワンダフル・ウーマン
2.ビッグ・ボーイズ
3.ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド
4.3/4タイム
5.ダーリン
6.レディー・B.グッド
7.シー・スティル・ラヴズ・ユー
8.ジャマイカ・ムーン
9.ダッチマン
10.アイズ・オブ・マン


そんなチャック・ベリーのライヴの凄さにグッときて待ちに待っていたニューアルバム。

チャックは体調を崩してから「絶対にリリースしたい!」という執念で、長い製作期間をかけて作り込んできたんです。

残念ながらこの音盤がお店に並ぶのを見ることなくチャックは旅立った訳で、それに関しては色々と思うところもありますが、とにかくアタシが物心ついたて時から「新作が出る」と聞いたことのないチャック・ベリーが新作を出すんです。そして出したんです。結論からもう先に言っちゃえば、コレが最高にカッコ良かったんです。


アレンジはあれこれ余計な音を被せない、実にストレートなもので、チャックの声もギターも凄くメリハリ効いてパンチも効いてます。

曲も安定の"いつものチャック・ベリー・ミュージック"で、コチラも変に奇をてらったりしないで最初から最後まで小細工ナシで突き進んでて、何より音の質感が、今風に媚びてないのにエッジが効いて全然古くさくないし退屈しない。

まだまだ聴いたばかりなので上手く言葉が出てきませんが、これは間違いなくチャック・ベリーの集大成なアルバムです。

トム・モレロが参加していることが話題になってますが、彼のプレイは言われなきゃわからんぐらいの謙虚さで、メインで鳴り響いているノン・エフェクトのチャックのセミアコのあの音を、目一杯のリスペクトで引き立ててます。

チャックは絶対そんなことやらんだろうと思ってましたが、このアルバムはよくあるベテランのご祝儀的な、和やかで懐メロなだけのアルバムにはやはりなってません。

シンプルにギラついた、無駄がなくストレートな刺激がバンバン飛んできて、アタシらクソガキをアツくしてくれる最高のロックンロール・アルバムなのです。





ロックンロール!

チャック・ベリーよ永遠に!


”チャック・ベリー”関連記事



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2017年06月06日

ジャニス・ジョプリン イン・コンサート

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ジャニス・ジョプリン/イン・コンサート
(ソニー・ミュージック)

ロックやブルースといった音楽が、何故魅力的なのか?もとい音楽に目覚めて、夢中になって聴きまくるようになってから、何故アタシはロックやブルースという音楽に、抗し難い魅力を感じてしまうようになったのか?

ということを、柄にもなく真剣に考えております。

まず、ロックやブルースという音楽には、独自の粗さがあります。

綺麗で整っているものとは対極にある粗さは、それは歌い手とか演奏するミュージシャン達の内側のエモーションを力強く放出し、綺麗で整っているものを聴いては味わえない、独自の味わいとか感動とか興奮とか、そういったものとイコールなのかなと思います。

アタシがそんなことを強く考えるのが、ジャニス・ジョプリンを聴いている時です。

ガラガラでザラザラのジャニスの歌声は、決して透き通った綺麗なものではありません。

でも、ジャニスの声は他のどのシンガーにもない力強さと情感の深さに裏付けられた美しさがあるとアタシは思います。

ジャニスはロック・シンガーです。

そしてブルースが大好きでした。

自分の曲を作る前から、古いブルースを"ハスキー"というには余りにも激しい声を張り上げて、唄っており、やがて"ビッグブラザー&ザ・ホールディングカンパニー"というバンドをバックに従えるようになり、ガンガンに歪んだ、ラウドなロック・サウンドに乗せて、それに負けないぐらいのエモーショナルな声を響かせ、大好きなブルースやR&Bのスピリッツが炸裂するパワフルなロックに生命を吹き込みます。

本格的なデビューからたった2年ほどで、文字通り命を壮絶に削り尽くしてあの世に旅立ったことを、後の時代のアタシ達は知っています。

彼女の残された作品にはどれも、ロックとしてのはちきれんばかりの衝動の凄まじさと、彼女自身の人生の波乱万丈のすべてが込められたそのヴォーカルに”ブルース”という言葉の意味を、理屈ではない深いところで教えてくれるような底なしの説得力が迫ってくるのです。

さて、その昔、ある日突然アタシはジャニスのとりこになりました。

高校時代に買った2枚組のアルバム「ジャニス」これが全ての始まりだったんですが、本格的に彼女の歌声にガツンとヤラレたのは20代になってからのこと。

それから熱病にうかされるように彼女のオリジナル・アルバムを買い集め、レコード2枚組の素晴らしいライヴ・アルバムに出会ったのは、ある暑い夏の日。





(Disc-1)
1.ダウン・オン・ミー
2.バイ・バイ・ベイビー
3.オール・イズ・ロンリネス
4.心のカケラ
5.通行止め
6.フラワー・イン・ザ・サン
7.サマータイム
8.エゴ・ロック

(Disc-2)
1.ハーフ・ムーン
2.コズミック・ブルース
3.ジャニスの祈り
4.トライ
5.愛は生きているうちに
6.ボールとチェーン


もちろんジャニスはどれも最高で、優劣なんかとても付けられないのですが、彼女の激しくも優しく暖かい音楽表現の核心は究極的に言えばライヴにあります。

そのヴォーカルのスタイルそのまんまに、リアルな”瞬間”に全てを炸裂させる彼女のライヴ音源に、よろしくないものなどありません。

この「イン・コンサート」は、ジャニスの突然過ぎる死の直後に出された、前半が初期のビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニーをバックに付けた演奏。後半が最後のバンド、フル・ティルト・ブギー・バンドをバックに付けた演奏で、曲目を見ればお分かりのように、彼女の代表曲、有名曲ばかりをセレクトした好選曲で、とにかくジャニスを聴いたことのない人にぜひとも聴いて欲しい内容です。

演奏内容について、これはもうアタシがどれだけ言葉を尽くしても、きっと皆さんが聴いた瞬間の感動の方が何億倍も説得力があると思いますので、細かくは書きません。前半が荒削りでジャニスが活き活きと唄っていて、後半はしっかり整ったバンド・サウンドに安心して身を任せて、シャウトする時とグッと感情を抑える時のコントロールが素晴らしかったりするのですが、それは些細なこと。とにかく全曲通して最高のロックでありブルース、これだけはハッキリと断言できます。

前半の最後に「エゴ・ロック」というブルース・ナンバーが入っていて、アタシこれが大好きなんですね。何てことないスローテンポの典型的なブルースなんですが、ジャニスのドバーーー!と吐き出すような声と、優しく包容力のあるビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのギター、サム・アンドリューの声との掛け合いが本当に素晴らしいので、特にブルース好きの方はこの曲にも注目(注耳?)してくださるとアタシは嬉しい。




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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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posted by サウンズパル at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | ロック/ポップス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする