ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2016年12月06日

ローリング・ストーンズ ブルー&ロンサム

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ローリング・ストーンズ/ブルー&ロンサム
(Polydor/ユニバーサル)

「ローリング・ストーンズ、11年ぶりのアルバムをリリース!今回は何と全曲ブルースのカヴァー・アルバム!!」

という宣伝の記事をちょいと前に見て

「おぉ〜、ストーンズが遂にブルースのアルバム出すんか〜、ふぅ〜ん♪」

と、嬉しい気持ちにはなりました。

そりゃあストーンズといえば”ブルース”だし、彼らの音楽はもちろんブルースを抜きには語れませんし、ブルースといえば、彼らが受けた影響と同じぐらい、与えた影響のデカさについても、何かにつけてアタシは目にしてますし読んでますし、実際に戦後のシカゴで電気化というブルースの大革命をもたらして一時代を築きつつも、ロックンロールの台頭によって職を失い欠けていたレジェンド達へのリスペクト、そしてブルースという音楽のカッコ良さをあらゆるところで公言し、実際に人気絶頂だった自分達のコンサートに招いたりして、アメリカ本国で消えかけていたブルースの火を、イギリスからの強力な援護射撃で再び燃え上がらせた・・・。

んんにゃ、リアルタイムでブルースを聴かずに育った世界中の若者に、ブルースを広め、教えて紹介した一番の功労者は、他ならぬローリング・ストーンズであると断言出来ましょう。

そして、ストーンズが過去にカヴァーしたブルースの名曲「ユー・ガッタ・ムーヴ」「ラヴ・イン・ヴェイン」等の、背筋がゾクゾクするほどにカッコ良く、得体の知れないディープな”ヤバいフィーリング”も、アタシはもちろん知っております。皆さんも多分、この記事読んでおられる方はそんなこととっくにご存知でしょう。

「ストーンズがブルースをやる、そりゃあ悪かろうはずがない」

とは思ってはいたんですが・・・。

先に言っときます

ここまでカッコイイとは思ってもいなかった!


や、カッコイイとは思っていたんです、繰り返しますがそりゃあ悪いわけがなかろうと。

それでもどこか心の中で

「もうオレらもトシだし、そろそろ懐かしいブルースでも気楽にやろうかね」

「あぁそりゃいいね、そうだ、せっかくだからクラプトンも呼ぼうか」

てな感じの、すっかり落ち着いたじいさん達が、何かこう和気藹々でリラックスしてセッションしている音みたいなのを、心の片隅で想像してたんですね。

言ってもストーンズももう70過ぎのじいさんですよ、いくら昔ヤンチャしまくって、ライヴでは相変わらずミック・ジャガーがピョンピョン飛び跳ねてるとは言ってもですよ、さすがに少しぐらい落ち着いとらんとおかしかろうと。ほぼ同い年のウチの親父なんか見てると「あぁ、若い頃どんなに無茶な人間だったヤツでも老齢になるとそれなりの渋みが出てくるんだな〜」とかしみじみ思っとるリアルタイムのアタシには、ぶっちゃけますとそこまでの想像力しかなかったんです。


えぇと、アルバムが出ました。そんで何かプロモも出てますと・・・・。はい、わかりました。じゃあちょっくらストーンズの渋いブルースでも聴いてみましょうか・・・。



何ですかコレは!!!!!!

ギラギラエッジの効きまくった、やさぐれじゃないですか!!

全然落ち着いてなんかないし、枯れてもない。いや、渋いけど、じゅーぶんに渋いけど、なんつうんだろう、上手く言えないけどこの音は間違いなくブルースという音楽が、現在進行形でヤバいクレイジーな音楽だった頃の空気をギラギラ放っていて、聴く人の気持ちを確実に刺激して、何やらイカガワシイ衝動を呼び起こしてしまう音です。

気合いの入ったロックファンの方々には「何を今さら、それがストーンズだろ?」と言われそうですが、はい、そうですその通りです。でもこの滅茶苦茶"本気"が詰まったストーンズ渾身のブルース・アルバムの素晴らしさは、それだけじゃない。







【収録曲】*カッコ内はオリジナル曲収録アルバム
1.ジャスト・ユア・フール (リトル・ウォルター「コンフェッシン・ザ・ブルース」)
2.コミット・ア・クライム (ハウリン・ウルフ「ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ」)
3.ブルー・アンド・ロンサム (リトル・ウォルター「ヘイト・トゥー・シー・ユー・ゴー」)
4.オール・オブ・ユア・ラヴ (マジック・サム「ウエスト・サイド・ソウル」
5.アイ・ガッタ・ゴー (リトル・ウォルター「コンフェッシン・ザ・ブルース」)
6.エヴリバディ・ノウズ・アバウト・マイ・グッド・シング (リトル・ジョニー・テイラー「エヴリバディ・ノウズ・アバウト・マイ・グッド・シング」)
7.ライド・エム・オン・ダウン (エディ・テイラー「イン・セッション・ダイヤリー・オブ・ザ・シカゴ・ブルースマン1953-57)
8.ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー (リトル・ウォルター「ヘイト・トゥー・シー・ユー・ゴー」)
9.フー・ドゥー・ブルース (ライトニン・スリム「ハイ・アンド・ロウダウン」
10.リトル・レイン (ジミー・リード「アイム・ジミー・リード」)
11.ジャスト・ライク・アイ・トリート・ユー (ハウリン・ウルフ「チェンジ・マイ・ウェイ」)
12.アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー (オーティス・ラッシュ「ザ・コブラ・セッションズ」)


スタジオに入り、ほぼ一発録りで、たった3日で作り上げたこのアルバムは、選曲の妙(ただブルースの有名曲を集めただけじゃない)もさることながら、鳴っている音の質感が、もうなんか50年代60年代のレコーディングを聴いているみたいな質感があります。

特に原曲アーティストの唄い方と、リトル・ウォルターのハープの音を、ゾッとするほどの再現度でブチ込んでくるミック・ジャガーと、ついこの間サニーボーイ・ウィリアムスンの記事で「チェス・レコードの録音はドラムの録り方が本当に素晴らしい」とのたまったばかりですが、"それ"のニュアンスを信じられない生々しさで聴かせてくれるチャーリー・ワッツのドラムにはもう溜息しか出ません。

ミック、歌上手いじゃん・・・。


それと、ストーンズの、特に最近のアルバムは「うわー、カッコイイ!」な曲と「オッサン、やる気はあるのか」な曲が絶妙なバランスで混在してて、それが結果的に「えへへ、やる気がないのもストーンズだよね♪」になっていて、大変に微笑ましかったんですが、このアルバムに関しては、全12曲、バカみたいに気合いが入っていて、もうギラギラしたまんま最後まで聴かせます。

凄いです、アタシはローリング・ストーンズを知ったのが1990年頃でしたが、その時点から「新作」として出たストーンズのアルバムから、これほどの本気とやる気を感じたことはありません。


色々と興奮気味で書いてます、あいすいません。もうちょいとじっくり聴いて色々と冷静になったら、ブルース目線から見た詳細なレビューも書けるかもですが、多分アタシはそれしないと思います。

願わくばこのアルバムを聴いて「ブルースっていいなオイ!」と思った人が、一人でも多くブルースの底無し沼にハマりますことを。。。


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ブルース入門編 〜初心者のための優しいブルース講座〜



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2016年11月27日

11月27日、ジミ・ヘンドリックス生誕祭


1480243677972-139373148.jpgはい、本日は11月27日ジミ・ヘンドリックスの誕生日でございますね。

「アニバーサリーな日には、そのアーティストの作品を聴く」ということをささやかな楽しみにしているアタシとしては、今日はこれもうジミヘンを聴かねばなりません。

「どれにしようかなー?」

とはなりませんでした。

アタシにとってジミヘンの特別なアルバムといえば、1992年、彼の生誕50周年記念の年にリリースされたこのベスト・アルバム。

とある日、学校帰りに友達の家に遊びに行ったら、部屋にポンとこのCDがケースごと立てて置いてあったのを見て

「おぉ、ジミヘンかぁ〜、渋いなぁ。このアルバムいいわけ?」

「おぉ、お前それいいぞ」

「じゃあ俺も後で買ってくわー」

と、軽〜いノリで買ったんですけどね、これが最高のベスト・アルバムでした。

しかしその頃はジミヘン「なんかすごい!」とは思いつつも「でもよーわからん、うん、よーわからんがすごいんだ。うん」といった感じでしょうか。まーそんなもんです。

でも、それからジミヘンが影響を受けたブルースやソウル、R&Bなんかをたくさん知って、その都度このアルバムを引っ張り出して聴くと「何か分かってきたー!!」という感動が波のように来ることがあって、それがイコール私の音楽体験、つまり「音楽的な拡がり」みたいなのと深くかかわってるんです。

ジミヘンのオリジナル・アルバムやライヴなんかもちょこちょこ集めて、彼の全体像から細かいところまで、今はすっかり分かったつもりになってきてますが、このアルバムはいつまでもアタシを”ジミヘン初心者”のウブな気持ちに引っ張り戻してくれるから手放せません。

いや、手放そうなんて思ったこと一度もありませんけどね♪






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2016年11月26日

スキッド・ロウ SKID ROW


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スキッド・ロウ/SKID ROW
(Atlantic)

ここへきて「昔聴いていたロックのアルバムを聴き返す」というのが流行っています。

単純に「あの時のアレ、どんなだったかなー?」と、感動と興奮を思い出す作業をやらないかと思って始めたことではあったんですが、今聴いてみるとまた新たな発見があったり、当時気付かなかった音楽的な深い部分などに気付いて、これがなかなか楽しい♪

で、スキッド・ロウです

スキッド・ロウは、その昔洋のハードロック/ヘヴィメタルを聴く人達の間ではそりゃもう人気があった。割と本気でメタルやってるギタ小僧にもバンドマンにも、洋楽ミーハーな女子達にも、不思議と安定した支持があったことを記憶してます。

アタシがハマッたきっかけも、達の家で彼らのセカンド「スレイヴ・トゥ・ザ・グラウンド」を聴いたことでしたね。ガッシリとしたヘヴィうねるサウンド、刺激的なリフやギターソロ、そしてクリアだけど芯があるめちゃくちゃ上手いヴォーカルが一体となった凄まじいクオリティのサウンドに、ヘヴィメタルの究極的な何かを勝手に感じてしまいました。

これが1992年頃の話だったんですが、翌年にはニルヴァーナの大ブレイクをきっかけにして空前のオルタナティヴブームが沸き起こり、それまで隆盛を極めていたメタルブームがあっという間に過ぎ去ったことを考えると、確かにスキッド・ロウのサウンドは、それまでヘヴィメタルという音楽が、80年代に作り上げてきたことの総決算のようなものだったのかも知れないなと、今も思っています。




【収録曲】
1.Big Guns
2.Sweet Little Sister
3.Can't Stand The Heartache
4.Piece Of Me
5.18 And Life
6.Rattlesnake Shake
7.Youth Gone Wild
8.Here I Am
9.Makin' A Mess
10.I Remember You
11.Midnight/Tornado


「スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド」から遡るように買って聴いたのが、1989年リリースのファースト・アルバム「SKID ROW」。

はい、コレが実はその頃のアタシはあまりお気に召さなかった(笑)。

「ロックバンドのファーストは、その後のアルバムよりも荒削りで未完成な部分もあるが、不足してる面をすべて初期衝動でやり込めているものだ」

という、やや原理主義的な思想(?)を持っていたアタシは、ハードな曲もバラードも完璧な、このすこぶる完成度の高いアルバムの良さが、今ひとつピンとこなかったのです。

バラードで大ヒットした「I Remember You」「18 And Life」そしてアメリカン・ハードロックの王道のようなキャッチーなノリの「Youth Gone Wild」なんかには目もくれず「あー、この曲とかこの曲だけはいいなー」と「Big Guns」「Makin' A Mess」を聴き狂ってましたねぇ。。。

しかし、それから月日が経って、すっかりオルタナやモダン・ヘヴィネスに夢中になってたある日、ふと有線か何かで耳にした「I Remember You」が、何だろう?メタル云々はとりあえず置いといて、ロックのバラードとしてすごくカッコ良かった、つまり全然古臭く聞こえなかったことに「えぇ!?」と思い、そんなに聴くこともなくCD棚の一番奥の方にしまっておいたCDを引っ張り出して改めて聴き直してみました。

そしたらこれが、もちろんヘヴィでありハードであり、そしてバラードは特に洗練と"拡がり"を感じさせる、非常に「先端」な何かを感じさせるものに変わりはないんですが、再び聴いて感じたのは

「これはとても質の高いアメリカン・ロックンロール」

ということでした。

サウンドキャラクターは全然違うかもですが、スキッド・ロウの、特にヘヴィにうねるミディアム・テンポのナンバーからは、ニューヨーク・ドールズのアプローチに似通ったものを感じます。つまり派手でルーズで不良で粋な、ロックンロール特有のあの感じです。

80年代の末にリリースされて、90年代の頭に大流行したスキッド・ロウなのに、何となく「あ〜、流行ったね〜」で終わらせたくない硬派な魅力を感じます。

懐メロじゃなくてカッコイイ「クラシックス」でしょう。




(ピストルズのカヴァーではじまる1989モスクワライヴ)



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2016年11月21日

スザンヌ・ヴェガ 孤独

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スザンヌ・ヴェガ/孤独
(A&M/ユニバーサル)


今にして思えば1980年代という時代は、あらゆるものがキラキラしていて、まるで魔法がかかったように見えていたような気がします。

たとえば音楽だと、ディスコやニューウェーブ、またはフュージョンであり、またはそれらの影響を強く受けたポップスのほとんどは、まるで過去と決別するかのような爽やかさと軽やかさを、競って放出していたように思います。ありったけのエネルギーを、キラキラすることに費やしながら。

そんな時代の中にあって、スザンヌ・ヴェガの歌声は、常に異質でした。

90年頃でしたかね?テレビのCMで、それはとても静かな、ちょっとオーバーに言えば「無音より静けさを感じさせる歌声」が、流れるようになりました。

これは誰?

と、親父に訊けば

「あぁ、スザンヌ・ヴェガだな、この人はちょっと前にデビューして、結構いいシンガーだと思ったけど、暗いからかなかなか売れなかったなー。でも今CMで人気が出てる」

と。

その時は「へ〜」と思って、それだけだったのですが、あの"アカペラの歌"それから妙なタイミングで、ふとしたはずみで脳内再生されることがままあって、アルバムを聴きました。"アカペラ"を耳にして、5年ぐらいは経っていたでしょうか。





【収録曲】
1.トムズ・ダイナー
2.ルカ
3.鉄の街
4.瞳
5.夜の影
6.孤独
7.カリプソ
8.ことば
9.ジプシー
10.木の馬
11.トムズ・ダイナー (リプリーズ)


探していた"アカペラ"は「トムズ・タイナー」という曲で、1987年にリリースされたという「孤独」という、スザンヌ・ヴェガのセカンド・アルバムの1曲目に収録されていました。


CM曲というのは、なかなか厄介なもので、耳にしたその時いいなと思っても、実際アルバムを買うとその曲だけしか聴けるものがなかったり、もっと酷いのはCMで流されているその部分だけしか良くなかったり、ということも往々にしてあったのですが、スザンヌ・ヴェガに関しては、何故かそんな不安はなかったですね。

何というか、曲やアレンジがどうであっても、あの薄絹のような、透明で儚くて、どこか切ない声の魅力は多分変わらない。そんな確信を持ちながらアルバムのジャケットを手にしたら、ジャケットもタイトルもいい。

実際に歌詞カードをじっくり読みながら、聴き込みました。

「トムズ・タイナー」は、期待通り全編美しいアカペラで、歌詞を読むと、とても詩的練度の高い、心情と風景の巧みな描写が美しい曲です。(歌詞で一番衝撃だったのは、虐待を受けている子供の視点で書かれた、2曲目の「ルカ」でしたが)。

さて、「ルカ」含む2曲目以降は、確かにアレンジは軽やかで爽やかな、いかにも80年代のポップスでしたが、彼女の内へ内へと緩やかに沈み込んでゆくような、ささやきとため息の中間みたいな声ゆえに、少しもキラキラした感じがなく、気持ちを乗せて深い世界に誘われる心地よさに、時間とか生活とか、自分を俗な所に縛っている感覚がヒリヒリと溶けていきました。

80年代という、何もかもがキラキラ狂っていた時代には異質だったかも知れません。では世界中が暗く混沌として、どこか重苦しい2010年代では?と訊かれたら、やはりここでも彼女の声と独特の寂寥感で充たされた唄世界は異質かも知れません。しかし、この"異質"は、どこまでも切なく美しいですね。






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2016年11月17日

ブラック・サバス 黒い安息日

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ブラック・サバス/黒い安息日
(Vertigo/Hostess Entertainmen)

今も元気で「キング・オブ・ヘヴィ・ロック」をやってるオジー・オズボーンが、世に出るきっかけとなったのがブラック・サバスであり、そのブラック・サバスの記念すべきデビュー・アルバムこそが、この「黒い安息日(Black Sabath)」なのですよえっへん♪

と、言ったところで今ドキの若い人には「そんなの知ってるよバカヤロー」な話でありましょう。

何てったって今やオジーは、ロック界の大御所として、または今この時点でシーンを賑わせているヘヴィ・ロックのバンド達みんなが尊敬するカリスマであり、はたまた世界中のフェスでなくてはならないライヴの神的存在であり、お茶の間では「ロッカーなんだけど家族をとても大切にする優しくてカッコイイヒーロー」としても、世界的な人気を誇るほどの存在です。

思えば1990年代初頭、アタシら頭の悪いロック小僧にとっては、あのランディ・ローズ、ジェイク・E・リー、ザック・ワイルドなどなど、それまで無名だった若き天才ギタリストを次々と発掘しては素晴らしいアルバムを作る凄い人なんだけど、世間一般には「何か・・・コウモリとか食べる人でしょ?やだこわい・・・」と、ひたすら敬遠されておったことなどを思い出すと、あぁ時代って変わるんだな・・・と、遁世の感があります。

とにもかくにも一時期”悪のカリスマ”ぐらいだったあのオジーが、世間一般でこれほどまでにメジャーになって、しかも知ってる人のほとんどに好意的に見られているというのは、長年のファンとしては嬉しい限り。

さてさて、オジーのことを知っていて、しかも悪しからず思ってくださっている全国のロックファンの皆様には「ブラック・サバスなんて今更」でありましょうが、本日も少しばかりアタマの少々弱いおっさんの与太にお付き合い頂ければ幸いです。

で、もし、万が一「オジーは知ってるけどブラック・サバスって何?つおいの?」と思っていらっしゃる方が折られるならば、今から書く記事をそれなりにちょいと気を向けて読んで頂ければと思います、ハイ。

このバンドが結成されたのは、1969年のイギリスはバーミンガムです。

バーミンガムという所は鉄鋼業の街で、サバスやジューダス・プリーストなどを排出したことから「ヘヴィ・メタルの聖地」とも呼ばれております。

60年代イギリスを席捲していたのが、ビートルズを頂点とする、明るくポップな”リバプール・サウンド”だったのですが、バーミンガムの連中はそれとはちょっと違う、へヴィでドロドロしたブルース・ロックを主に演奏しておったようで、街全体が何かこう不穏でガラが悪く、当然そういう所からは”新しい音楽”が生まれる気配がビンビンありました。

オジー・オズボーン、トニー・アイオミ、ギーザー・バトラー、ビル・ワードという、この街の「女風呂を覗くためにツルんでた」よーな悪ガキ達が、新バンドを結成するべく集まったのは、1960年代末の頃であります。

「んで、オレらはバンド組むために集まったんだけど・・・」

「何かいいアイディアあるか?何つうかこう・・・世間をあっと言わせたいべ」

「あぁ?んなもんやかましくて気合いの入った曲やればいいだけよぉ!」

「いや・・・ちょっと待て、オレよぉ、昔映画館行ったんだわ。そん時えーと、ブラック・サバスっつうホラー映画やっててよォ、何だそりゃ?って思ってたんだけど、あん時行列出来てたんだよなー」

「フザケんな、それとロックと何のカンケーがあるんだよ!?」

「フザケてねーべ、ホラー映画って人気あんだろ?だから・・・人間は怖いものが好きなんだよ。オレらもただロックやるんじゃなくてよォ、怖い要素とか入れてみんべ。歌詞を黒魔術っぽくしたりとか、ホラー映画の音楽みたいなことをロックでやったりしたらけっこーウケんべ?」

「マジかよ!?お前アタマいいな!!それやるべ!」

「う、売れたらモテるべ」

「じゃあバンド名は”ブラック・サバス”でよくね?”黒い安息日”とか渋いべ?」


・・・と、割と軽いノリでバンドはその名前と方向性を決めました。

これが1969年のことなんですが、この時バーミンガムの4人の不良の軽い発想が、この後世界中のメタルとかの連中の一種のアイコンになる

「黒魔術、悪魔崇拝、反キリスト、見た目も黒で毒々しい」

とか、そういう流れの源流になったとか、胸がアツくなりますよね。




【収録曲】
1.黒い安息日 (Black Sabbath)
2.魔法使い (The Wizard)
3.眠りのとばりの後に (Behind The Wall Of Sleep)
4.N.I.B.
5.魔女よ、誘惑するなかれ (Evil Woman)
6.眠れる村 (Sleeping Village)
7.警告 (The Warning)
8.悪魔の世界 (Wicked World)

で、オジーを筆頭に、メンバー達は結構涙ぐましい努力をして(不良は夢のためには一生懸命頑張るのです)、ライヴをしながらあちこちにデモテープを送り、地元バーミンガムを中心に徐々に有名になって行くのですが、この時新興のロック・レーベル”ヴァーティゴ”という会社が「お前らのシングル出してもいいぞー。まずシングル出すからついでにアルバムもレコーディングしたらー?」と、連絡をしてきました。

喜び勇んでレコーディングに臨んだサバスの面々でしたが、アルバム製作のために与えられた時間はたったの二日。

「コレどうすんだよ!?」

「ざけんなよ、ダボォ!」

とか何とか悪態をついたり、スタジオの中で酒瓶を投げたりしてたんでしょうが、コイツらは不良なので頑張って気合いと根性で、ブルースのカヴァー2曲を入れつつ、全8曲。何とかアルバム1枚分のレコーディングを終わらせてしまいます。

多分レーベルも「予算ないし、コイツら何かチンピラ臭いから、シングルだけ録音させてみるか。まー多分そんなに売れんだろうが売れたらラッキー」ぐらいに思ってたんでしょう。しかし、アルバム1枚分の曲が入ったマスターテープをレーベルに渡したメンバー達は

「オイ、てめえこの野郎、オレらやってやったぜ。やってやったからよォ、このアルバムを13日の金曜日に発売しろや!」

と、突きつけたかどうかは分かりませんが、話として面白いのでそう夢想しましょう。

そして出来上がったオドロオドロしいジャケットに包まれて、本当に「13日の金曜日」に発売されたのが、この名盤です。

低音弦のハモり(今で言うパワーコード)を効果的に使ったへヴィなギターリフ、呪術的なオジーの声、そして悪魔的キーワードをふんだんに盛り込んだ歌詞によって、このアルバムは若者の間では凄くウケました。もちろん評論家には「テクニックがない」とか酷評されましたが、ともすれば色んなものに凝って、結果やや難しくなってしまったり、理屈っぽくなってしまったりするバンドが多かった当時のイギリスで、サバスの存在は、そのセンセーショナルなキャラクターとサウンド面での分かりやすさ、親しみ易さの絶妙なバランスでもって革命を巻き起こしたのかも知れません。

実はこのアルバム、テーマやイメージは、後のヘヴィメタルの元祖そのものですけど、サウンドの方は当時のイギリスでのスタンダードな流行だったブルースロックのテイストがとても残っていて「フツーにかっこいいロック」としても十分に聴けます。

簡単に言えば「ドロドロにヘヴィなブルースロック」といった感じでしょうか。とにかくこの粘りに粘るサウンドと、ややオカルトチックな雰囲気の不思議な一体感は、サバスのアルバムの中でも何かこうクセになる味わいがたまらんのです。

最後にややマニアックな事を言わせてもらえば、2曲目の「魔法使い」でオジーがブルース・ハープ吹いてるんですよ(!)もちろんそんなオジー他では聴けませんし、これがまたなかなかいいプレイなんですよ。





”ブラック・サバス”関連記事





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