2017年05月09日

スティーヴ・モーズ ストレス・フェスト

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スティーヴ・モーズ/ストレス・フェスト
(ソニー・ミュージック)

で、本日は一気に時代は飛んで、スティーヴ・モーズです。

や、このブログをご覧の読者さんの反応はきっと

「スティーヴ・モーズ?」



「あぁ、リッチー・ブラックモアの後釜でディープ・パープルに入った人ね」

の2種類かと思います。

もしかしたら

「お、復活後のカンサスでギター弾いてた職人じゃないの」

と、嬉しい反応をしてくれる人が・・・。ん、100人中7人ぐらいはいるかも知れません(汗)

そう、スティーヴ・モーズは、知る人ぞ知るギター職人。いつでも安定したテクニック、そしてハードロックからプログレ、ジャズ・ロック、カントリーまで、どんなスタイルでも完璧に弾きこなせた上で、独自のテクニカルな味付けが出来る、一言でいえば

「本当にギターの巧い人」

です。

トレードマークのメカニカルな速弾き、表現力豊かなハーモニクス奏法や、ギターシンセを駆使したギター・オーケストレーションの分野においても”代表格のひとり”と言ってもいいでしょう。

問題は、そんな器用な人だから、器用貧乏なイメージがあって、熱心にテクニックを追究しているギター弾き以外の知名度が決定的に低いこと(あー)。

でも、アタシは思います。

「それでいい、スティーヴ・モーズはギター弾きにだけ人気があればそれでいい。ギターが上手くなりたい人だけが彼のプレイを聴けばいい。そういう人はきっと彼の演奏から何かを得ることが出来るだろうから」

と。

そもそも今紹介しているこのシリーズは”ギター・レジェンド・シリーズ”なのです。

出来ればギターを弾かない人にも、広くフツーに興味を持って頂きたいところではありますが、そういうのは、ガチのブルースの人達や、70年代ロックの名盤達がきっと担ってくれるだろう。そんなことよりも”ギター弾きによるギター弾きのためのギターの事しか考えてないようなアルバム”が、シリーズの中に一枚ぐらいあってもいいじゃないか。それがアナタ、スティーヴ・モーズの「ストレス・フェスト」だよ。と。

はい、ちょいと強気に出てしまっておりますが、実際”テクニカルな90年代以降のテイストに溢れたギター”というものにとことん特化したこういうアルバムが、シリーズの中にちょこんとあると、何だかアタシ、嬉しくなってきてるんです。

スティーヴ・モーズは1954年アメリカのオハイオ州生まれ。十代の頃にテレビで見たビートルズに感動してギターを始め、ロックンロールやカントリー、ロカビリーなどをコピーしまくります。

15歳で自分のバンドを組み、高校時代にクラシックギター奏者のフォアン・メルカダルという人の演奏を聴いて感動し(何か感動してばっかりだなオイ)「オレ、本格的に音楽勉強するよ」と、マイアミ音楽大学に進学しますが、この時の同級生に、ジャコ・パストリアス、パット・メセニー、ブルース・ボーンスビーといった天才達がおり、彼らとツルみながら、モーズ少年はよりキチガイじみたバカテクにオリジナリティを見出す道を模索することに没頭し、卒業後高校時代に組んでいたバンド”ディキシー・グリッドの名を改めた”ディキシー・ドレッグス”を結成します。

このバンドは、プログレッシヴ・ジャズ・ロックを愛好する人達を中心に今でも評価が高いインスト主体のバンドであります。

このディキシー・ドレッグスは、独特のユルさと緊張感を併せ持つサウンドで、ダラダラ聴きつつもハマると結構クセになりますので、気になる方はCDも出てますし、動画も結構ありますんで、ぜひ聴いてみてください。

おっと、スティーヴ・モーズの話に戻ります。

その後演奏活動の限界を感じたモーズは、1984年にディキシー・ドレッグスの活動を休止。”スティーヴ・モーズ・バンド”を結成して、独特のフュージョン・テイストのハードロックというスタイルを開花させ、好きに弾きまくります。

でも「ねぇ、お前が好きに気持ちよく弾いてるだけのインスト・アスバムは売れないよ」とでも言われたのか、85年のセカンドではヴォーカリストも迎えた大人のアメリカン・カントリー・ハードロックとでも言うべきアルバムを出しますが、こういうのが気に入らなかったのか、同時期に加入していたカンサス(人気のプログレバンド)との掛け持ちでの、「レコーディング→ツアー→レコーディング」という生活に嫌気が差したのか、あっさり音楽を止めて、何と航空便のパイロットに転職します。

パイロットって・・・。

でも、やっぱりギターが好きな彼は、収入の良いパイロットを1年ちょいであっさり辞めて、今度はソロ・アーティストとして復帰。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ストレス・フェスト
2.ライジング・パワー
3.アイズ・オブ・ア・チャイルド
4.ナイトウォーク
5.ブレイヴ・ニュー・ワールド
6.4・ミニッツ・トゥ・リヴ
7.ジ・イージー・ウェイ
8.グラッド・トゥ・ビー
9.デリケイト・バランス
10.リヴ・トゥ・ライド
11.ピード・キング


でも、一部のギターファンから彼は熱狂的に迎えられ、80年代後半から90年代と、活動は非常に充実しておりました。

ソロとして好きなスタイルで演奏する一方で、かつての仲間達に声を掛け、ディキシー・ドレッグスを復活。更に1994年にはリッチー・ブラックモアがプイッと辞めてしまったディープ・パープルに、リッチーの後任として加入。

ディープ・パープルは、特に「第五期」と呼ばれる90年代の再結成後のパープルは、良くも悪くもリッチーのカリスマと存在感とオラオラで成り立っていたバンドでしたが(や、トミー・ボーリン時代のパープルもなかなかいいんだよ、と言えばまた違う話になってしまうのでまたいつか・・・)、ここでリッチーの後釜として

「上手い、センスいい、性格もいい」

の3拍子揃えた彼のプレイは、当初の予想以上に素晴らしいものでした。

で、モーズは今もディープ・パープルに所属しながら、世界中のファンに「ギターの素晴らしさ」を伝え続けています。

このアルバム「ストレス・フェスト」は、それこそパープルに加入して革新的名盤と呼ばれる「紫の証」のリリースと丁度同じ時期にリリースされた、トリオ編成のインスト作品。

パープルで綿密かつ大胆なアレンジに相当神経を使っていた時に、シンプルな編成でとことん好きなプレイを楽しんでいるモーズのリラックスした、でもソロとなると恐ろしい程に正確かつ高速なフレーズがぶっ飛ぶ、これもまた”本気”の作品。

演奏はディストーションをガッツリかけたハードロックなトーンでもって、フュージョン風のスタイルを貫いておりますて、ギターは”弾きまくり”と”大人の余裕”がめまぐるしく交錯します。うん、一言気持ちいい♪

ずっといい味を出しているデイヴ・ラルーの「全然重低音じゃないファンクベース」の、うっすい音でパキパキ言うチョッパーがまたいいんですよね。

ちょっと滅茶苦茶な喩えかも知れませんが、このアルバム


「リラックスして気合いを入れてギターを聴きたい」

人にはとにかくオススメです、うん、聴けばその意味も分かります。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
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2017年05月06日

ザ・ジェフ・ヒーリー・バンド ヘル・トゥ・ペイ

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ザ・ジェフ・ヒーリー・バンド/ヘル・トゥ・ペイ
(ソニー・ミュージック)


只今せっせと書いております、ソニーから出た税込み¥1080のイカした企画「ギター・レジェンド・シリーズ」お楽しみ頂けてますでしょうか。

このシリーズで再発されているものは、アタシ個人的にはもちろん、ブルースや70年代のロックにハマるきっかけとなったアルバムや、ギターにのめり込むきっかけとなったギタリストのアルバムが多く、もうきゃっきゃしながら記事を書いておりますが、もちろんそれは単なる思い出補正だけでなく、改めて聴き返しても、そのアーティストや作品の持つ魅力というものが何にも勝っているからだろうと思いますので、今正にギターを弾いている方がもしこのブログを読まれておられますならば「何かギターのカッコイイやつ聴きたいな〜」と思った時の参考になさってください。

さて、本日ここで紹介致しますのは、このシリーズの中でも最も異色のギタリストと言っていいでしょうカナダが生んだ盲目の天才、ジェフ・ヒーリーであります。

はい、最初で大風呂敷を広げて申し訳ないのですが、彼の演奏自体は実に正統派。ブルースに影響を受けたロックの王道そのものなんでございますが、異色というのはこの弾き方です↓

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ギターを膝に置いて弾くこのスタイル

「おっ、スライドギターか!?」

と、思わせて、コレで速弾きからコード・カッティングまで、何でもこなすからぶっ飛びです。

ジェフがこの独特のスタイルになったのは、やはり盲目であるが故。

1歳の頃に癌を患い、視力を失ってしまった彼は、その後ギターを手にした時、全て耳コピの独学で覚えたといいます。

左手の親指まで広く使ったフィンガリングは、自然と自由度の高い独特の奏法を生み出し、地元カナダでバンド活動を始めてからは「ギターを膝に置いて物凄いテクニックで弾くヤツがいる!」と話題になり、22歳でデビュー。

このデビュー作がまた、適度に泥臭いブルース・ロックで最高なんですが、デビュー翌年の89年に、当時大人気だったパトリック・スウェイジ主演の映画(「ロードハウス肩〜孤独の街」)に「主人公の仲間で盲目のギタリスト」というまんまな役で出演したら、コレが結構な話題となって、アメリカで知られることとなりました。

でもって、その人気の余波を受けて1990年にリリースされたセカンド・アルバム「ヘル・トゥ・ペイ」を、本日はご紹介します。





(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.フル・サークル
2.アイ・ラブ・ユー・トゥー・マッチ
3.アイ・キャント・ゲット・マイ・ハンズ・オン・ユー
4.ハウ・ロング・キャン・ア・マン・ビー・ストロング
5.レット・イット・オール・ゴー
6.ヘル・トゥ・ペイ
7.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
8.サムシング・トゥ・ホールド・オン・トゥ
9.ハウ・マッチ
10.ハイウェイ・オブ・ドリームス
11.ライフ・ビヨンド・ザ・スカイ


はい、デビュー・アルバムでは自身のルーツであるブルースやサザンロック・テイストのサウンドの中で、その縦横無尽なギターの醍醐味を楽しませてくれたジェフ・ヒーリー。

本作ではよりポップで音楽的な幅を拡げた彼の、セカンドにして激しさと、成熟すら感じさせる懐の深い曲と歌とギターの持ち味が花開いておりますね。


2曲目「アイ・ラヴ・ユー・トゥー・マッチ」では、この人が参加すること自体がもうギタリストとしての保証書みたいなもん、のマーク・ノップラーが、ビートルズのカヴァーであるところの7曲目「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」には何とジョージ・ハリスンが参加しており、それぞれ粋なギターに絡む粋なギターで華を添えております。

楽曲はブルース・スプリングスティーンっぽい、弾けたスタイルのアメリカン・ロックに、ブルース/カントリーの哀愁溢れるバラードです。

本人の声の渋さもあって、もうアルバム5枚ぐらい出した中堅ロックスターみたいな貫禄ですが、聴いて一発ですぐにそれと分かるアタック強めでどこまでも伸びてゆくやんちゃなギター故に、タダのポップなアルバムでは終わらせてくれません。

聞くところによるとジェフ・ヒーリーは、この時期のライヴではフェンダー・ジャパンの入門モデル"スクワイヤ"のギターに、アンプもマーシャルの、練習スタジオにあるJC、エフェクターに至っては、マルチエフェクター全盛のご時世(1990年)に、安物のコンパクト・エフェクターをポンポンと繋げただけのセッティングで、凄まじい音出してたんだとか・・・。

そうなんです、この人のプレイ聴いてると、ロックだからとかブルースだからとか、曲がポップだとかそんなことはどうでもよくて、どんな曲でもどんなアレンジでも、鋭くて芯のあるギターが「ギュイーン!」と鳴り響く快楽に、耳を奪われるって最高だなー!ってなるのです。



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年04月29日

ジェシ・エド・デイヴィス キープ・ミー・カミン

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ジェシ・エド・デイヴィス/キープ・ミー・カミン
(ソニー・ミュージック)

はい、皆さんゴールデン・ウィークがやってきた訳なんですけれどもねぇ、どこへ行きますか?アタシはあくせく働いておりますので、今のところ何をして楽しむとかそういう予定はないんです。

「お、おぅ、毎日がゴールデン・ウィーク(休日とは言ってない)」

という、摩訶不思議な呪文を唱えて、今年も何とか乗り切ろうと思っております。

さて、ここのところ特集しております、ソニー・ミュージックの「ギター・レジェンド・シリーズ」の話を、アタシはしたいんでありまして、ゴールデン・ウィーク全然関係ない。

このシリーズは、ロックにブルースにジャズにと、ギターという楽器にスポットを当てながら、同時に素晴らしいアメリカン・ルーツ・ミュージックの楽しさや奥深さを味わえる、本当に素敵なアルバムが多いです。

その人個人が「アメリカン・ルーツ・ミュージックの体現者」として、その名を知られているレジェンドばかりなウホッ!なシリーズなんですが、本日ご紹介するジェシ・エド・デイヴィスこそは、そんなグレイト・アメリカン・ルーツ・ミュージックの体現者の最高峰にいるレジェンド・オブ・レジェンドと言っていいでしょう。

と、ここまで書いて

「え?だ、誰!?」

となった人は多いかも知れません。

そうなんです、ジェシ・エド・デイヴィスは、そのセンスとアメリカン・ロック・スピリッツの塊のような素晴らしいギター・プレイで、エリック・クラプトン、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、ロッド・スチュアート、レオン・ラッセル、ジョン・リー・フッカー、キース・ムーンなどの英米の大物ミュージシャン達のハートを掴み、それこそミュージシャンズ・ミュージシャンとして、知る人ぞ知る存在です。

特に我が国のロック・ファンには、ビートルズのソロ絡みなどの英国ロックの作品で知った人も多いと思うのですが、彼を知った人達が、たったの3枚しか出ていないジェシ・エド・デイヴィス名義のソロ・アルバムを聴くやいなや、アメリカン・ロックの濃厚な味わいにヤラレちゃう現象が、音楽好き界隈では起きておりまして、アタシはコレを

「ジェシ・エド・メロメロ現象」

と、今名付けたんですが、そんぐらい聴く人の心に訴える、土臭さと人肌の温かみに溢れた音楽を作っていた人なのであります。

その生い立ちからデビューを追えば、1944年(ミック・ジャガーと同い年)にアメリカ南部オクラホマに、両親共にネイティヴ・アメリカンの家庭に生まれ、少年時代はラジオで夢中になって聴いたブルースやロックンロールに魅了されてそのまま音楽の道へ進むことに。

で、最初に活動の拠点とする西海岸で出会って最初にバンドを組んだのが、後に”スワンプ・ロックの王様”と呼ばれ、アメリカを代表するシンガー・ソングライターの一人でありますレオン・ラッセル。

その後に、当時異色の黒人ブルース・ロック・シンガー&ギタリストとして、幅広い活動をしていたタジ・マハールにギターの腕が認められ、彼のバック・バンドのメンバーとなったのが1966年。この年にローリング・ストーンズ主催の一大イベント「ロックンロール・サーカス」に参加するためにタジと共に渡英しますが、この時ストーンズのメンバーやジョージ・ハリスン、そしてエリック・クラプトンらがこぞって彼のプレイを大絶賛

「すげぇよアイツ!何て美しいスライドだ!」

「いや、初めて見るヤツだけどカッコイイね」

「何か話してみたらめっちゃイイ奴だよ」

という風に、たった一度のコンサートで彼の株はミュージシャン仲間の間で急上昇し、その後このイベントで知り合った英国ミュージシャン達のレコーディングやセッションに呼ばれたり、ジェシはミュージシャン仲間内と、熱心なファンの間で「すげぇギタリスト」と密かにささやかれるようになっていきます。

で、元々がタジ・マハールのバックバンドの一員で、まぁとりあえず好きなギターが弾ければそれでいいと思ってたジェシは、まだソロ・プロジェクトとかそんなものは全く考えていなかったのですが、エリック・クラプトンから

「ジェシ、ソロ・アルバム作った方がいいよ。何ならオレが手伝うよ」

と、後押しされ、1970年ついにアトコ・レコーベルから1枚目の「ジェシ・デイヴィスの世界」を、翌年にはジョージ・ハリスン主催のバングラデシュ・コンサートに出演して、更にその翌72年にはセカンド・アルバム「ウルル」をリリースします。

いずれのアルバムも、クラプトンや盟友のレオン・ラッセル、ジョージ・ハリスンなど、気の合う仲間達が参加したり楽曲を提供したり、実にくつろいだ雰囲気の中、レイジーで幸福な時間が流れる極上のアメリカン・ロック・アルバムであります。


この、アトコからリリースされた2枚のアルバムは、いずれもワーナーから再発され、名盤としての評価も定着した感がありますが、1972年にレーベル移籍してリリースされた3枚目にして、ソロとしては最後の作品になってしまった「キープ・ミー・カミン」は再発もなかなかされず、待ち望んでいた方も多いアルバムです。




(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.ビッグ・ディッパー
2.シーズ・ア・ペイン
3.ホェア・アム・アイ・ナウ(ホェン・アイ・ニード・ミー)
4.ナチュラル・アンセム
5.フー・プルド・ザ・プラグ?
6.チン・チン・チャイナ・ボーイ
7.ベイコン・ファット
8.ノー・ディガ・マス
9.6:00ブーガルー
10.キープ・ミー・カミン


アタシも今までジェシ・エド・デイヴィスといえば、アトコからの2枚しか知らず、このアルバムは聴いたことなかったんですが、いや参った、素晴らしいです。

コノ人の素晴らしさは、アメリカの、それも南部のどこかルーズで気怠くて、でもしっかりとグルーヴしているバンド・サウンドに乗って、程よい手数と豊かな情感でもって歌うギターの、全く飾らない、気取らないカッコ良さにあるんですが、この3枚目は、割とキッチリ作ってある前2作に比べて、やってることは基本変わらない武骨なサザン・ロックなんですが、より肩肘張らないラフな作りが、ギターと歌(これが優しくて泣ける声なんですよ)のカッコ良さを更に引き立てていて、こりゃもうブルースやヴィンテージなアメリカン・ロックが好きなら一気に引き込まれてしまうことをお約束します。

1曲目からジャムセッション風のインストで、ブルース、バラード、カントリー・ロックと、実にリラックスした雰囲気の中、決してテクニカルではないけれど、暖かく深みのあるトーンで、歌うギター。

そう、この人のギターは、例えばデュアン・オールマンみたいに力強く根こそぎ持って行くわけでもないし、ライ・クーダーみたいに流麗なテクニックで何でもこなしますってタイプじゃないけど、とにかくく味や匂いがしそうな"いい音"で、曲の雰囲気や展開に一番しっくりくるフレーズを出してくる。一言で「たまらんギター」というのがコノ人の魅力なんですよね。きっと彼のプレイを目の当たりにした人達も

「一言、たまらん」

と、ベタ惚れしちゃったんでしょうね。

中盤からホーン・セクション加わってファンクやりだすんですが、これがまた黒人ファンクとはまた違うし、かといって薄味の洗練された感じには全然なってないし、やっぱり"たまらん"のですよ。

ジェシ・エド・デイヴィスは、ミュージシャンズ・ミュージシャンで、派手なスターになる気は多分なかった人ですが、かといって演奏はロック初心者や、知らない人を冷たく拒む人では決してありません。

この素晴らしいアルバムが\1080というプライスで出たことによって、たくさんの人に聴かれて、これまでの「知る人ぞ知るマニアックな名手」という評価が少し変わってくれればいいなと思います。




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年04月27日

リック・デリンジャー オール・アメリカン・ボーイ

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リック・デリンジャー/オール・アメリカン・ボーイ
(ソニー・ミュージック)

さて、今日は「ロックンロール」というものについて、柄にもなく真面目に考えております。

ロックンロールとは?

言うまでもなくロックのルーツであり、そして言うまでもなくそれは、1950年代に隆盛を極めたエレクトリック・ブルースの”よりキャッチーで踊れる音楽”です。

はい、チャック・ベリーやリトル・リチャードらが、当初「リズム・アンド・ブルース」としてその新しいスタイルをレコード(ドーナツ盤)に吹き込みました。

それらは当時「レース・レコード」と呼ばれた黒人向けのレコードとして売られた訳ですが、これが何と刺激を求める白人の若者も手に取って次々購入するようになった。

これを受けて音楽業界側が

「黒人白人両方のマーケットにPRできる新しい名前を」

ということで付けた名前がロックンロール。

ほうほう

んで、そこから数年経て、ロックンロールはその中心であるチャック・ベリーや人気DJアラン・フリードの逮捕とか、エルヴィス・プレスリーが兵役へ行くことでシーンから一時消えたこととか、リトル・リチャードが牧師になるために大衆向けの音楽活動を停止したとか、バディ・ホリーが飛行機事故で亡くなったとか、とにかく様々な理由で一気に盛り上がったものが一気に下火になります。

そこからは再びアメリカの黒人と白人の若者は、また別れました。

しかし、一度ロックンロールで人種の垣根を越えた若者達は、それぞれを取り巻く社会問題や、それぞれのルーツと真剣に向き合うことに没入します。

これがソウル・ミュージックを生み、フォーク・リヴァイバルに火を付け、この流れが一旦イギリスへ渡って再びアメリカに帰ってくることによって「ロック」の大波となってゆくのです。

はい。で、ロックの時代になってロックンロールはどこへ行ったんだろう?

「ロックロックって言うけど、ロールはどうした?」

と言ったのは、かのキース・リチャーズでありますね。

そう、端的に言えばロックは60年代後半から70年代、そして80年代90年代と、どんどん先鋭的に進化して、ロックンロール独特のルーズなカッコ良さや、いわゆる”粘るグルーヴ”よりも、派手さや速さがサウンドにプラスされ、加速して炸裂する音楽になって行きました。

しかしまぁブルースの時代からの「クレイジーになれる音楽」というものを考えればこの進化は当然であります。

で「ロックンロールは死んだのか?消えてなくなってしまったのか?」といえば、実はそうじゃないんだよ、ということを今日は話したかった(長い!)。

はいすいません、ロックンロールですね。

実はアメリカでは、60年代も70年代も80年代も90年代も、ロックンロールというものはずーっとメインストリームで生きております。

アタシなんかがパッと思い浮かぶのは、やっぱりガンズ・アンド・ローゼスやモトリー・クルー、ニューヨーク・ドールズ、エアロスミスなんかは、ロックというよりも粘りのあるロックンロールです。

あと、アメリカではないけれどAC/DC!

これらはいずれも70年代以降のバンドです。

何が言いたいかというと、1970年代以降もロックンロールは多くの若者に愛され、そして演奏されてきたということなんですね。

で、ロックンロール・・・というよりも、1970年代以降の「新しいロックンロール」というものを語る時に、まずハズせない永遠の名盤を、今日はご紹介します。

はい!




(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ロックンロール・フーチー・クー
2.ジョイ・ライド
3.ティーンエイジ・クィーン
4.チーフ・テキーラ
5.アンコンプリケイテッド
6.ホールド
7.恋と涙のエアポート
8.ティーンエイジ・ラヴ・アフェア
9.イッツ・レイニング
10.タイム・ワープ
11.スライド・オン・オーヴァー・スリンキー
12.ジャンプ・ジャンプ・ジャンプ


いえぇぇ〜い、リック・デリンジャー!


リック・デリンジャーといえばジョニー・ウィンターの初期バンド「ジョニー・ウィンター・アンド」の中心メンバーで、あの狂熱の名盤「ライヴ」でバリバリに気合いの入ったセカンド・ギターを弾きまくっておりますが、ソロ・アーティストとしてはこれが実にキャッチーで芯の強いロックンロールを聴かせてくれる人なんです。

本人はジョニー・ウィンターや、その弟のエドガー・ウィンターと長く活動して、プロデュースもやっておる、やんちゃなギターとは裏腹に、実はマルチな人だったりもするんですよ。えぇ、ついでに言うとルックスも良かったので、若干アイドルみたいな感じで売り出そうという動きもあったとかなかったとかなんですが、本人そういうのも上手に利用して「かっこいいロックンロールってのはこういうヤツ!」と、見事その後へのお手本を示したアルバムを、デビュー作として作り上げました。

それが「オール・アメリカン・ボーイ」であります。

まずはこの、カラッとした、実にノリの良いサウンドの中に、キラ星の如く輝く活きのいいナンバーやバラードを、なーんにも考えずに聴いてくださいな。

ジョニー・ウィンターを始め、ロックの色んな人たちがカヴァーしている「ロックンロール・フーチー・クー」や、アコギで弾かれる切ない風情のスライドと、いかにもカントリー・ポップなノリのグルーヴ、切々とした高めの声とのマッチング感が最高な「チーフ・テキーラ」、大人な雰囲気満載の楽曲に、泣きのギターが炸裂するバラード超大作「ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ」など、とにかくこのアルバム、70年代めちゃくちゃ売れたとか、超有名な人の大名盤という訳では決してないんですが、聴いてすぐに「あ、コレはゴキゲンだね」と思えるし、今でも多くのロッカー達に愛されている「ロック・カヴァーソングのスタンダード」がいっぱい入ってるんです。つまり、時代やスタイルを超えて誰もが楽しめるゴキゲンな音楽。あ、それがロックンロール♪

でも、ポップでキャッチーでも、ギターは相当に鋭いんで、そこんとこヨロシク♪




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年04月21日

サニー・ランドレス サウス・オブ T-10

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サニー・ランドレス/サウス・オブ T-10
(ソニー・ミュージック)

はい、先月からソニー・ミュージックが内容豊富&お値段手頃の、ギター好きのブルース、ロック、ジャズファンにはたまらない企画であります「ギター・レジェンド・シリーズ」を皆様にご紹介してる訳なんですが、ここへきて

「アンタがブログに書いてた、あのギターなんとかシリーズ欲しいな」とか「ブログ読んだら盛り上がってきちゃってついついポチッちゃった」とか、嬉しい声をちょこちょこ聞いております。えぇ、実にありがたいもんです。

これはアタシもそうなんですが、ブログやホームページで好きなアーティストや、よく知ってるバンドの記事が載ってると、つい嬉しくなって読みふけってしまいます。でも、知らないアーティストの事が思いも寄らぬ魅力を込められて書いてある記事を読むと、その倍興奮します。

”知らない音楽を知る喜び”ってのが、音楽にはあって、それは色んな喜びの中で、結構上の方の上等なヤツなんじゃないかと思うんです。えぇ。なので、アタシは何よりも「このアーティストを知らない方々にその魅力をちょっとでもお届けする」を信条にブログ書いてます。

拙い記事ですが読んでもらって

「お、これはなかなか面白そうだぞ、いっちょ聴いてみるか」

と、なって頂ければ一番嬉しいですね。

はい、与太はこれぐらいにして、本日のギター名盤をご紹介しましょうね。

この”ギター・レジェンド・シリーズ”ブルースマンや、ブルースに濃い影響を受けたロックの名盤が多いよ、というのは、ほぼ毎回言っておりまして、今日ご紹介するのもある意味でジャンルで言えば「ブルースロック」と呼ばれるシロモノなんじゃないかなぁと思います。

アメリカは南部ミシシッピで生まれ、ほどなくしてルイジアナに移り住み、そこで同地のブルースやR&B、カントリーにケイジャン、ザディコといった良質なアメリカン・ルーツ・ミュ−ジックにもみくちゃになって育ったスライドギターの達人、サニー・ランドレスなんです。

「スライド」といえば、これはもうここをお読みの皆さんは、真っ先にブルースを連想するんじゃないかと思います。

それは確かにその通りで、ランドレスのギターも、その影響の源はブルースでありますが、彼の場合は1951年生まれという、青春時代には既にロックンロールの波は過ぎ、新しいロックの波が訪れていた頃。

つまり彼がデビューする前には、既にオールマン・ブラザーズを筆頭に

「スライドギターでカッコ良くロックする」

というスタイルが確立されていた時代です。

なので、ランドレスのスライドには、ブルースもありカントリーもあり、それらが全く新しいロックの感覚で、バランス良く表現されてるんですね。


(ギター・レジェンド・シリーズ)


【収録曲】
1.シューティング・フォー・ザ・ムーン
2.クリオール・エンジェル
3.ネイティヴ・ステップサン
4.オーファンズ・オブ・ザ・マザーランド
5.コンゴ・スクエア
6.ターニング・ホイール
7.サウス・オブ・I-10
8.ケイジャン・ワルツ
9.モジョ・ブギー
10.セ・ショウ
11.グレート・ガルフ・ウィンド
12.グレート・ガルフ・ウィンド・リプリーズ
13.ブルース・アタック *

*=ボーナストラック



今日皆さんにご紹介するのは、1995年リリースの、オリジナル・アルバムとしては4作目の「サウス・オブT-10です。

そもそもソロ・デビュー自体が1981年、31歳の頃と遅く、デビュー後もランドレスは寡作でした。

と言うよりも、実力の割にレコードの製作や販売のプロモーションに恵まれなかったと言えるでしょう。

セッション・マンとして数々の現場を渡り歩き、アラン・トゥーサンやエリック・クラプトン、ゲイトマウス・ブラウン、クリフトン・シェニエといった先輩ミュージシャン達からはその腕とセンスを買われていたにも関わらず、なかなか一般的な知名度が上がらないランドレスの状況に業を煮やしたクラプトンが

「彼ほど過小評価されてるギタリストはいないよ、彼は僕のヒーローなんだ」

と言った話は有名です。

さてさて、アルバムに話を戻しますが、このアルバムは、彼の代表作と言われるだけあって、そのトレードマークであります超絶なキレで迫るスライドが大大大活躍!

もうね、1曲目から意表を突いたハードロックな曲調なんですが、これがカッコイイの(!) で、マーク・ノップラー(イギリス生まれの凄腕カントリー系ギタリストなの)とかフィーチャリングした、気合いの入ったカントリー・ロックとか、レゲエ調とか、アコースティックの粘っこいブルースとか、アラン・トゥーサン参加のニューオーリンズR&Bとか、アルバムはそれこそ「アメリカ南部の万華鏡」状態ですが、どれだけ楽曲の幅が広くても"今風"をやってても、どの曲でも筋の通ったバリバリに弾きまくるスライドギターが真剣に歌ってるから、軽い感じもとっ散らかった感じもしません。

少年のような、どこか爽やかな声もいいけど、やはりギターですよギター。

ランドレスは「ビハインド・ザ・スライド」という、実に画期的なギター奏法を生み出したと言われてるんですが、それは何かと言われれば、ザックリと

「スライド弾きながら、上手く他の指で押さえてる音を繋いで、スライドの味はそのままに、まるで指で普通に押さえて弾いているかのようなスムースなフレージングを聴かせる奏法」


なんです。

うん、なんのこっちゃー!ですが、そんなこまけぇことは知らずとも、このアルバムに納められている

「すんげぇスライド」

聴けば

「なんかわからんけどそーゆーことかー!!」

と、納得出来ると思います。

個人的には王道サザンロックのB(インスト)とシャッフルビートでガンガン盛り上がるIが最高です。





『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年04月18日

ジョニー・ウィンター Live

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ジョニー・ウィンター/Live
(ソニー・ミュージック)


いやぁ皆さん暑いですね、という言葉を、これほどまで早く使うとは、今年は思ってもおりませんでした。

奄美なんかもう3日前ぐらいから急にムシムシしてきて、雨もダーダー降って、これもう梅雨ですよ。

アタシもここへきて頭痛したり何したりと、体調も急降下であうあう言っております。

さぁこうなったらお約束、CD屋としては

「梅雨のジメジメをふっ飛ばすような音楽聴こうぜぃ」

ということなんでありますが、あー、梅雨の鬱陶しい時期、夏のクソ暑い時期には向かい酒ならぬ”向かい音楽”で、アタシは大体対抗しておりますね。

そう、鬱陶しい雨の季節には、ゴリゴリのジャズとかドロドロのブルースとか、バリバリのロックンロールがよろしいです♪

で、このうちの「ドロドロのブルース」要素と「バリバリのロックンロール」の要素を併せ持つといえば、アメリカはテキサスの火の玉兄貴、ジョニー・ウィンターであります。

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大体名前が「ウィンター(冬)」のくせに、何か北欧神話にでも出てきそうなルックスのくせに、この兄貴はとにかくガンガンゴリゴリに、ブルースの影響受けまくりーのロックンロールを、配慮なんて言葉全くない強引なギターで弾きまくる!そして含みなんて言葉知らんぜな、張り上げるだけ張り上げる声でがなりまくる。


まー、男臭い&暑苦しいことこの上ないんですが、それもここまで貫けば、一周回って清々しい!

特にライヴ盤を聴けば、爽快な汗が一緒にかけて、気持ちがスカーンと晴れます。特に車ん中なんかでいい感じのボリュームで聴くとたまらんのですよね〜♪



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.グッド・モーニング・リトル・スクール・ガール
2.イッツ・マイ・オウン・フォールト
3.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
4.ロックン・ロール・メドレー:火の玉ロック〜ノッポのサリー〜 ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン
5.ミーン・タウン・ブルース
6.ジョニー・B・グッド
7.イッツ・マイ・オウン・フォールト
8.ローリン・アンド・タンブリン


このアルバムは、ジョニー・ウィンターがデビューして間もない頃(1971年)にリリースされた、ニューヨークのロックの聖地"フィルモア・イースト"での熱演を収録したライヴ。

とにかくロックで「ライヴ名盤」といえば、コレと1976年の「狂乱のライヴ」が、ジョニー・ウィンターの代表作として挙げられます。いやもう実際凄いんです。

原題は「Johnny Winter And / Live」です。

"And"ってのはバンド名で、まぁ彼っぽく直訳すれば

「ジョニー・ウィンターとその他の野郎共」

ですねぇ。

メンバーは、この"And"の中心人物で、セカンド・アルバムからジョニーと共同プロデュースなどをしているギタリスト、リック・デリンジャー、ベースのランディ・ジョー・ホブス、ドラムがボビー・コールドウェル。4人編成の、れっきとしたバンド編成であります。

ジョニー・ウィンターって人は、本当にもう悪ガキの、しかもガキ大将がそのまんま大人になってミュージシャンになったような人で、ギター弾かせたら特に「オレがオレが」がヒートアップする人だったらしく、それは確かにアルバム聴いて、その大暴れするギタープレイ聴けば分かります。

ジョニーの実弟、エドガー・ウィンターも

「兄貴は我が強すぎてタチ悪いんだよ。てかあのバンド名見た?"ジョニー・ウィンター・アンド"だぜ?何だよ"アンド"って」

と、半ば呆れながら言ったといいますが、いやいや、ジョニーはそれだからこそ生涯スタイルを変えることなく、最高にカッコいいブルースロッカーとして輝いておったんです。

さて、アルバムを聴いてみましょう。

楽曲のほとんどは、ジョニーが完全に「オレの好み」でセレクトしたとおぼしき、古いブルースやロックンロール・スタンダード。

兄貴はオーディエンスとの小賢しい駆け引きなんざ一切致しません。ドカーンとおっぱじめて「前半は大体ブルース、真ん中ロックンロールで盛り上げて、シメにブルースどーじゃー!」と、実に分かりやすいライヴで、例の如く弾きまくり、がなりまくってテンション最高潮のまま、感動と興奮・・・じゃなかった、興奮と熱狂と握りこぶしの時間はあっという間なんです。

「この1曲!」と言われても「んなもん全部に決まってんだろー!」と、がなりたくもなりますが、強いて言えば、ストーンズの「ジャンピンジャック・フラッシュ」からの怒涛のロックンロール・メドレーに興奮しねぇヤツぁ、と、ソフトに言っておきましょう♪

そして特筆すべきはバンドサウンド。

ジョニーがその強烈なキャラクターゆえにやっぱり真ん中で暴れまくってはいますが"アンド"の野郎共は、単なるジョニーの引き立て役じゃありません。

全体のサウンドが、実にタイトで不良で、おまけに土臭いんですよね。特にリック・デリンジャーのギター、弾きまくるジョニーのギターに負けない狼藉ぶりで、ガンガンにソロぶっこんできて、こら名前の通りアブナいし、ジョニーもリックも、どっちかがソロ弾いてる時のバッキングが、本当に自由というかお互い

「あ?てめーがソロ弾いてる時はオレがバッキングで目立ってやんよ!」

みたいな闘志剥き出しで、凄い緊張感醸してるんです。

うんうん「ギター・レジェンド・シリーズ」ですので、こういう「ソロvsバッキング」のバトルにスポットを当ててこのアルバムセレクトしたんですよねソニーさん、わかります。


”ジョニー・ウィンター”関連記事

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2017年04月12日

サンタナ Santana

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サンタナ/SANTANA
(ソニー・ミュージック)

ソニー・ミュージックの税み¥1080「ギター・レジェンド・シリーズ」から、ブルースやロックの素晴らしい名盤を皆様にご紹介しております。

で、本日はサンタナ!

サンタナといえば、アタシはまず最初に、個人的に大好きな「サンタナ3」をどうしても紹介したくて、真っ先にレビューしましたが、レビュー書くために久々に引っ張り出して聴いたファースト・アルバム「サンタナ」と、セカンドの「天の守護神」も、それぞれカラーは違えど、いやいやなかなかどうしてこれは「3」に勝るとも劣らない傑作なんじゃないか、アタシは今までどの耳でファーストとセカンドを聴いてきたんだ、反省しろ。

と、なりました。

で、反省しましたねぇ。

という訳でサンタナ、ファーストから順を追ってご紹介しましょう。

まず「サンタナ」というのは、あのギターのヒゲのおじちゃんのソロ・プロジェクトの名前ではなく、れっきとしたバンド名であります。

もちろんあのギターのおじちゃん、つまりカルロス・サンタナが演奏の中心であり、特に3枚目以降は彼が完全に主役としてバンドのサウンドをリードしている訳ではあるんですが、今でも「サンタナ」はバンドです。

サンタナの結成はデビューから4年前の1965年に遡ります。

この時代というのは、ロックンロールの終演で一時期下火になっていた「ブルースをルーツに持つロック・ミュージック」が、ビートルズやローリング・ストーンズらの英国ロック勢、そしてちょい後のジミ・ヘンドリックスの英国デビューとブレイクが決定打となり、アメリカの若者の間でも「ブルースやR&B寄りのロックはカッコイイぞ!」という認識が沸騰しだした頃で、あちこちでブルースロックのバンドが出てき時代でありました。

サンタナの前進である「サンタナ・ブルース・バンド」は、メキシコ生まれのカルロスが「ブルースバンドやろうぜ!」と、サンフランシスコの仲間達に声をかけて生まれたバンドです。

最初の頃はそれこそストレートなブルース・ロックをやっていたようですが、メンバー達はあることに気付きます。

それは

「フツーにブルースロックやるよりは、もっとラテン音楽の要素取り入れてロックと融合させた方が面白いんじゃね?」

というものでした。




(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ウェイティング
2.イヴィル・ウェイズ
3.シェイズ・オブ・タイム
4.セイヴァー
5.ジンゴー
6.パースエイジョン
7.トリート
8.ユー・ジャスト・ドント・ケア
9.ソウル・サクリファイス
10.セイヴァー (ライヴ)
11.ソウル・サクリファイス (ライヴ)
12.フライド・ネックボーンズ (ライヴ)


そんなサンタナのデビュー・アルバムは、まず一発目からいわゆるカギカッコ付きの「ロックバンド」の音とはまるで違います。

ポンポンパカポコとパーカッションが実にカラフルで土臭いリズムを打ち鳴らす中、太く粘るビートをうならせるベース、そして情感に溢れたギター、プログレッシブなオルガンが入り乱れ、凄まじい勢いで即興を軸にしたソロの応報を繰り広げます。

1曲目なんかラテンというより、アフロファンクだし、そこからガガーンと音楽性が堰を切ったかのようにキューバ音楽や或いはジャズロックの芳醇な香りをムンムンに撒き散らしながら炸裂して、その高いテンションが失速せず最後まで一気に聴かせてくれるんです。

この頃のサンタナは、よく「まだサンタナのギターの個性が出しきれてない」と言う人もいますが、すべての楽器が主役として激しくも自由に絡む演奏の中でしっかりとソロにバッキングに存在感を出しています(とくにオルガンとのスリリングな長尺ソロのやりとりは手に汗握ります)。

後年の伸びやかなサウンドとどこまでも抜けてゆくサスティンこそ聴かれませんが、恐らくはレスポールとマーシャル直結の、豪快でささくれ立ったトーンには、他で聴けないならではの魅力が確かに、いや、確か過ぎるほどにあります。

サイケデリックな味わいも強く、総じてかなり中毒性の高いアルバムです。



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2017年04月04日

マイク・ブルームフィールド&アル・クーパー フィルモアの奇蹟

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マイク・ブルームフィールド&アル・クーパー/フィルモアの奇蹟
(ソニー・ミュージック)


音楽を心から愛する読者の皆さんこんばんは。

いや、新年度ですね。忙しいですね。純粋にCD屋一本でやってた頃は「新年度の"度"って何だよ」とか、タワケた事を思ってましたが、正業するようになってから、新年度の"度"がひしひしと染みるようになりました。

まぁそんな訳で忙しくしております。

しかし、今月はソニー渾身の無鉄砲企画「ギター・レジェンド・シリーズ」が、いよいよ発売になるので(注・2017年4月現在)、ヒーヒーばかり言ってはおれません、全世界の音楽好きギター好きの方々のために、や、絶対そんなたくさんの人は見てはないとは思いますが、気合いを入れてレビューしないといかんのです。

という訳で、今日はアメリカの60年代ロックの名盤、とりわけライヴ盤としてはその歴史に燦然と輝く究極にして至高の一枚、マイク・ブルームフィールドとアル・クーパーのいい仕事「フィルモアの奇蹟」をご紹介します。


あのですね、名盤だとか言っていきなり話の腰を折るようで申し訳ないんですけど、マイク・ブルームフィールドとアル・クーパーって、そんな物凄い有名な人達じゃありません。

そりゃあもちろんオールドロック好きの間、なかんづくブルースロック好きの間ではマイク・ブルームフィールドといえばリスペクト通り越して崇拝の対象ぐらい凄いギタリストですし(エリック・クラプトンが彼のエモーショナルなギターを聴いて物凄く嫉妬したという話は有名)、アル・クーパーといえば、ボブ・ディランの名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」での、あの印象的なオルガンだよといえば「あぁなるほど、あのオルガンは最高だ!」と、ほとんどの人には納得なぐらいの隠れ認知度のある実力派ですが、どちらかというと2人共に生粋の音楽職人。

派手で華やかなスター達を横目に、上質なプレイで、ルーツに深く根差した良質な音楽を黙々と作り上げて来た人達なんです。

マイク・ブルームフィールドは、シカゴの本格的なブルース・ロック・バンド"ポール・バターフィールド・ブルース・バンド"のメンバーとして、アル・クーパーは、元々ピアノからギターからマルチに楽器をこなす作曲家として、そのキャリアをスタートさせ、それから紆余曲折を経てそれぞれバンドを離れてソロ活動への道を模索していた1967年、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」のレコーディングの現場で運命の出会いを果たします。

その時バックを思いっきりエレキ化したボブ・ディランのバンドに、マイク・ブルームフィールドは、その「電気化」の中心人物としてギターを弾いていました。

たまたまスタジオに見学しに来たアル・クーパーは、そのプレイを「カッコイイなぁ」と思いながら聴いてたところ、ディランから

「アル、この曲はオルガン入れてみようと思うんだけど、君弾けるだろ?ちょっと弾いてみてくれよ」

と、誘われ「あぁ...うん」と、実はそれまでオルガンなんか触ったこともなかったのに、ちょっといじっただけでコツを掴んであの名演を繰り広げたという訳なんですが、このプレイに惚れたのがマイク・ブルームフィールド。

「お前いいなぁ」

「お前こそ」

と言い合っているうちにすっかり意気投合。じゃあ一緒に何かやろうぜと話をしているうちに、アルバムでも作ろうじゃないかとすっかり話がまとまって、翌1968年、スタジオで「スーパーセッション」というアルバムを録音します。

この時実はブルームフィールドはレコーディング中に体調が悪くなって、途中からクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングでおなじみのスティーヴン・スティルスが代役で参加して、これがまた素晴らしいブルース・ロック名盤となるのですが

「やっぱライヴやりたいよね〜」

という話になって、サンフランシスコにあった人気のライヴハウス「フィルモア・オーディトリアム(後のフィルモア・ウエスト)」で、何と3日間連続のライヴをやって、それをレコーディングするという話があれよあれよとまとまってしまいます。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


(Disc-1)
1.マイク・ブルームフィールドのオープニング・スピーチ
2.59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)
3.アイ・ワンダー・フー
4.神聖にして犯すべからず
5.ウエイト
6.メリー・アン
7.愛の終る日まで
8.ザッツ・オール・ライト
9.グリーン・オニオン

(Disc-2)
1.アル・クーパーのオープニング・スピーチ
2.サニー・ボーイ・ウィリアムスン
3.ノー・モア・ロンリー・ナイツ (寂しい夜はいらない)
4.ディア・ミスター・ファンタジー
5.激しい恋はもうたくさん
6.終曲 (フィナーレ)/逃亡者


演奏家としては言うまでもなく最高にセンスの塊な二人な訳ですが、それ以前に凄まじい音楽好きです。

この時のライヴでは、オリジナルもやりますが、レイ・チャールズ「アイ・ワンダー・フー」、エルヴィス・プレスリー(が、カヴァーしたアーサー"ビッグボーイ"クルータップの「ザッツ・オールライト」、アルバート・キング「激しい恋はもうたくさん」、ブッカーT&ザMG'sの「グリーン・オニオン」などの、有名ブルース/R&Bナンバーから、サニーボーイ・ウィリアムスン(T)の「ノーモア・ロンリー・ナイツ」まだそこまで有名じゃなかった頃のサイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌」など、ちょいと珍しい曲までやってるんですが、こぉれがもう凄い!

基本的にステージに立ってかつ自分が主役となれば演奏がすべて、人気?客ウケ?知らんわい!とばかりに内なる世界に没入してエモーショナルに弾きまくる、弾きまくる、そりゃもう弾きまくる!1曲に目一杯ソロパートを織り込んで、ソロともなれば即興演奏に突入して更に弾きまくに弾きまくります。

彼らの演奏は、もちろんブルースを基調にしています。

でも、それがこのライヴでは黒人の物真似になっておらず、かといってオリジナリティを狙ったあざとさなんかカケラもなくて、ひたすら濃厚に濃密に流れる時間と、一曲の中で何度も押し寄せる衝動と炸裂のカタルシスに、聴いてる側は身も心もクラクラになること猛烈に請け合いです。

キャッチーで速いテンポの曲が一曲も入っていないにも関わらず、です。

ちなみにそんな気合いの入りまくったステージを3日もぶっ続けでやっておりますと、人間流石に消耗します。

マイク・ブルームフィールドは、ここでもやはり燃え尽きてしまって、3日目のステージには出演出来ず、代役として急遽ポール・バターフィールド・バンドの後輩ギタリストのエルヴィン・ビショップ(「ノーモア・ロンリー・ナイツ」で参加)と、まだ全くの無名ギタリストだったカルロス・サンタナ(「サニーボーイ・ウィリアムスン」で参加。ちなみにこの曲はカヴァーしたサニーボーイTのことではなく、別人のサニーボーイ・ウィリアムスンUのことを唄ってるっぽい)が参加。

この2人のプレイもかなりアツいです。エルヴィン・ビショップは、気合いが空回りしてる部分はありますが、兄貴分のブルームフィールドに迫る気迫でキョーレツなチョーキングぶちかましておりますし、サンタナに関しては何とこのライヴが初のレコーディング。

コチラも後年のラテン野郎ぶりこそ出ておりませんが、気持ち良く震えながら伸びてゆくギターソロはやっぱりサンタナです。ファンならずとも心して聴きましょう。

さて、長々書きましたが、職人堅気のギターとオルガンの名手2人による、最高にガチンコな、衝動と情感の激しいせめぎあい、2枚組でその凄まじさは尚更ガチンコです。ブルースロックの名盤、ロックにおけるライヴ名盤、色んな形容と共に語り継がれておりますが、一言で言えば素晴らしくリアルな"生"の音楽にどこまでも浸れる名盤です。

ブルームフィールドのギターはレスポールで、エフェクター一切使わず、フェンダーのツインリバーブ直結なんですよ。これだけでギター弾いてる人なら何か感じるものがあるでしょ、ね♪








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2017年03月28日

サンタナ3

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サンタナ/サンタナ3

(ソニー・ミュージック)



せっかく「ギター・レジェンド・シリーズ \1080」色々なジャンル出てるし、せっかく「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルの生みの親でありますフリートウッド・マックを紹介したので、今日はサンタナを紹介してしまいましょう。

サンタナは「ラテン・ロック」という音楽をアメリカで作り出した、そのジャンルの開拓者的バンドであります。

よく、ギター弾いてるカルロス・サンタナ個人のことを"サンタナ"だと誤解されますがちゃいます。ギターのカルロス・サンタナを中心としたバンドの事が「サンタナ」です。

エディ・ヴァン・ヘイレンを中心としたバンドの事を「ヴァン・ヘイレン」というのと一緒ですね。

はいはい、そんな訳で今もロックの大御所として現役バリバリのサンタナでありますが、デビューは1969年と早く、その年のウッドストック・フェスティバルに出演したことで一気に話題となり、翌年には先も申し上げたように、フリートウッド・マックの「ブラック・マジック・ウーマン」のラテン・ロックなカヴァーが全米4位というヒットとなって、不動の人気を誇るようになります。

ロックにラテン音楽の要素を取り入れたサンタナのサウンドは、他にない個性と称賛され、セカンド・アルバム「天の守護神」以降は特にメキシコ出身のカルロスの、哀愁溢れるギターソロをグッと全面に出した音作りでその個性に磨きをかけていくのですが、本日ご紹介するのは、そんなサンタナの大飛躍の一歩目となった記念すべき名盤「サンタナ3」であります。

このアルバムでサンタナは、ギターを前に出したサウンドをより効果的にす仕上げるために、バンドにもう一人のギタリスト、しかもリズムを刻むサイドギターではなく、自分のソロにガンガン斬り込んでくる若手のリードギタリストを招き入れます。

その若手ギタリストというのが、何と17歳のニール・ショーン。

はい、詳しい方にはピンとくるでしょうが、彼は後にサンタナのオルガン奏者、グレッグ・ローリーと共に、アメリカン・プログレッシブロックの代表ともいえるスーパー・バンド「ジャーニー」を結成するあのニール・ショーンです。

このカルロスの試みは大成功でした。まーこのショーン君のギター、カルロスに負けず劣らず弾きまくる弾きまくる(!)

個人的にこのアルバムは、初めて買ったサンタナのアルバムだったので、メンバーのこととかまだよく分からなかったということもあり

「当たり前だけどギターめちゃくちゃ弾きまくってるな、まるで音色とかフレーズがそっくりなギタリスト2人がソロバトルしてるみてぇじゃないか、おい」

と、思ってましたが「おい」じゃなくて実際このアルバムでバトルに聴こえてたのは、正真正銘のバトルだったんですね。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


1.バトゥーカ
2.孤独のリズム
3.タブー(禁断の恋)
4.祭典
5.新しい世界
6.グアヒーラ
7.ジャングル・ストラット
8.愛がすべてを
9.情熱のルンバ
10.バトゥーカ (ライヴ)
11.ジャングル・ストラット (ライヴ)
12.ガンボ (ライヴ)

アルバムは祝祭の雰囲気を盛り上げるパーカッションの音から始まります。

更にビシッと斬り込んでくるシンプルなギターリフからのいきなりワウも絶妙にかましたチョーキング大炸裂のソロが大いに盛り上がったところでカクンとテンポを落としたAへ。

一応唄モノですが、リードヴォーカルを置かずにコーラスが主旋律を唄うパートがあって、そこから怒涛のギターソロ、これは燃えます。

前半のハイライトBとCも素晴らしく、妖艶なバラードでのむせび泣くギターを目一杯聴かせて一気にハイテンションのラテン・ロック!やり合うギターを挟んでの、グレッグ・ローリーのオルガンソロもキレキレであります。この展開、たまらんですね。ワシ何度こぶしを握ったか分かりません。

続くD以降はレコードでいえばB面ですが、こっからは更に曲のバラエティに富んでおります。

いきなりのブ厚いホーンとソウルフルなパンチの効いたヴォーカルを炸裂させるのは、西海岸ファンクの雄、タワー・オブ・パワーの面々。

Eは一転ルンバのリズムで、ルーツのひとつであるキューバ音楽にかなり接近した曲。正直アタシはこの曲でラテン・ミュージックそのものにかなり惹かれるようになり、大分後に「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」聴いて

「これこれ、サンタナがやってたやつこんな感じの曲!」

と、もう泣きたくなるぐらい嬉しかったです。

Fは更に一転、今度はツインギターのアツい絡みと、それをグイグイ引っ張るベースがカッコイイですね。

そして再びラテンの「お祭り」を思わせる、パーカッションが賑やかに鳴り響くGでアルバムは一応完結なんですが、CD化に際してこの年のフィルモア・ウエストで行われたかなりアツいライヴが3曲オマケで付いております。








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2017年03月26日

フリートウッド・マック 英吉利の薔薇


ソニー・ミュージックが何かトチ狂って気合いを入れてリリース致します税込み¥1080の素晴らしい「ギター・レジェンド・シリーズ」。

せっかくドカンと出ますので、戦前ブルースばかりでもなく、ロックもレビューいたしましょう♪

このシリーズ、タイトルを見ると「ブルース」をキーワードに、ロックやブルースロックの名盤や「おぉ、こんなのもあるのか!」と思わずニンマリしてしまう渋い渋い隠れ名盤まで、これはきっと担当者が手前の独断と偏見だけで勝手にブルース好きや、これからブルースを聴いてみようと思う人達のために、精魂込めてセレクトしたに違いありませんから、そこらへんの気持ちもキチンと汲んで読者の皆様にちゃんと紹介するというのが、音楽稼業に生きる人間の筋というもの。

で、アタシが記念すべき「ギター・レジェンド・シリーズ、ロックこの一枚!」に、まず選んでみたのがコチラ

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フリートウッド・マック/英吉利の薔薇
(ソニー・ミュージック)


ドドーン!

これですよ、このジャケット!!

多分今、ここまで読んで

「あ、何かよーわからんけど、この写真はよく見るぞ!」

と思った方、多いと思います。

そうなんです、コレはですね

「ジャケの方が中身より何倍も有名盤」

として、かれこれ50年近くロック史に君臨しているキング・オブ・変顔ジャケ”でありますの♪

はい、でも中身はカッコイイよ。

終わり。





終われなーーーーーい!!!!


はい、ちゃんとしますね(汗)

このアルバムは、今も活躍しておりますイギリスの大御所ロック・バンド、フリートウッド・マックのセカンド・アルバムです。

はい、で、フリートウッド・マックとは何ぞ?

という話になるんですが、ここで重要なのは「ブルース」です。

アメリカのブルースが、1960年代になって、本国よりもイギリスで大いに人気を博したという話は、このブログでこれまで何度も書きました。

主にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフといったシカゴ・ブルースを熱心に聴いており、自分達の表現の中にそのエッセンスを取り込んだロックで新たな息吹を与えたのが、ローリング・ストーンズであり、B.B.キング、フレディ・キング、オーティス・ラッシュといったスクィーズ(のけぞり)ギターの名手達のソロをお手本に、それぞれ発展させたのが、エリック・クラプトンやジェフ・ベックであり・・・といった感じで、英国の人気バンドや若いギター・ヒーロー達が、それはもう真剣にブルースというものを唄ったり演奏して、それが60年代の「ロック」の大スパークに直接繋がる訳なんですが。

そんな英国に、実は多くの人材を世に輩出する、シーンの台風の目のようなブルース・バンドがありました。

このバンドこそが”ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ”であります。

クリーム結成前のエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ストーンズでの活躍でおなじみのミック・テイラーなど、ギターもベースもドラムも、その後のUKロックを背負って立つ凄い面々が、それぞれ若い頃に出入りしていたバンドなんですが、このバンドから「天才」と呼ばれるギタリスト、ピーター・グリーンとドラマーのミック・フリードウッドが独立して結成したブルース・ロック・バンドがこの「フリートウッド・マック」。

そうなんです、このアルバム、ジャケットを見る限りは何かフザケてるのか、それともプログレか、はたまたハッピーで軽薄なロックンロールの作品みたいなんですが、中身は実に硬派なブルースロックの名盤なのであります。


【収録曲】
1.ストップ・メッシン・ラウンド
2.ジグソー・パズル・ブルース
3.ドクター・ブラウン
4.サムシング・インサイド・オブ・ミー
5.イヴニン・ブギー
6.ラヴ・ザット・バーンズ
7.ブラック・マジック・ウーマン
8.アイヴ・ロスト・マイ・ベイビー
9.ワン・サニー・デイ
10.ウィズアウト・ユー
11.カミング・ホーム
12.アルバトロス

このバンドは、ピーター・グリーンの、フレーズも音色もかなり本格的なブルース(特にマイナー・キーの曲での強烈な粘りが最高)なギターを中心であります。

しかし、ちょっとフツーじゃないのがその編成。

何とギタリストはグリーンだけじゃなく、ジェレミー・スペンサーと、当時18歳のダニー・カーワンも加わったトリプル・ギターという編成で、しかも3人が3人とも、完全にソロとか完全にサイドとかいう訳ではなく、アンサンブルの中で絶妙に前に出たりバッキングに回ったり、或いはソロの合間に斬り込んできたりと、実に”ギターを聴く醍醐味”に溢れた仕上がりになっておるのですよ♪


サンタナの大ヒット曲としても有名だけど、実はこの人達のがオリジナルな「ブラック・マジック・ウーマン」ドスッ、ドスッと重たいドラムに、カッティングとリフとリードの3本のギターが絡む重厚なブルース「ワン・サニー・デイ」そしてオープニングの強烈に泥臭いながらも、アレンジの中でのメリハリがキチッと聴く人を乗せてくれる「ストップ・メッシン・アラウンド」などなど、どれも強烈に「60年代の、ブルースにガッツリ影響を受けたブルースロック」です。

彼らのプレイはしっかりと泥臭く、そしてトリプルギターでの職人な絡みでしっかりとブルースしてロックしているので、それ以外のアレンジの中で余計なこともせず、実に自然な味わいです。

ジャケのイメージで、アタシも最初は「うぅ〜ん、どんなもんだろう」と思ってたりしたんですけどね、もう1曲目からその、良い意味でUKロックらしからぬ渋味とコクの豊かさに気持ち良くヤラレましたよ。

アルバム全編通して実に硬派なブルースロックですが、感動的なラストの「アルバトロス」、ギター好きでインスト好きならこれ聴いてください。一転切なく不思議な爽快感が余韻としてジワッと響くこれは名演です。





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