ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年05月23日

サンタナ キャラバン・サライ


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サンタナ/キャラバン・サライ
(ソニー・ミュージック)


サンタナの4作目のアルバム「キャラバン・サライ」。

うん、個人的に”好きなアルバム”といえば、それは真っ先にこの前作の「3」であり、荒削りな音も含めて純粋にラテン・ロックをあひゃあひゃ言いながら楽しめるといえば、ファーストになるのでありましょうが、このアルバムに収録されている深い瞑想性に溢れた音を聴けば、いや、もう「キャラバン・サライ」というタイトルだけを聴いても、自然と気持ちが幽玄に誘われ、高揚でもあり陶酔でもある特別な感情に、心の中がいっぱいになってしまうのです。

ロック繚乱の60年代末にデビューし”ラテン・ロック”という新風をシーンに流し込んだサンタナでありましたが、彼らの創造性はそれだけに終わりません。

中心メンバーであるギターのカルロス・サンタナは、デビュー前からジャズ、特にジョン・コルトレーンの実験的でスピリチュアルな音世界に傾倒し、同じぐらいリアルタイムでリリースされたマイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」等のエレクトリック・ジャズに大いに興味を示し、マイルス・デイヴィスと積極的に交流をしておりました。

また、その頃の白人/黒人を問わず多くの芸術的完成を持つ若者を魅了していたインド哲学にも相当のめり込み、アメリカを拠点に多くの著名人の弟子を抱えていたヨーギ・シュリ・チンモイに弟子入り。そしてラヴィ・シャンカールにシタールの手ほどきを受けるなど、その没入ぶりは本格的なものでした。

ジャズとインド哲学からの影響が、サンタナの音楽を一気に深化させました。

前作「3」から本作に至るまでの「ロックとラテンの融合」という意味においては、基本的な路線は変わっておりません。

けれども、アルバム1枚がまるでひとつの壮大なスケールの組曲であるかのような音楽性、そして何よりもそれまでの「内にあるものをエモーショナルに放出する」という表現手法は、ここへ来て内面へ収束するエネルギーの反動を受けて放出、という、あいやすいません、哲学的に言うと何だか難しくなってしまいますが、とにかく内へ内へと精神的な世界の深い部分にまで入り込む思念的なサウンドと、やっぱり爽快でどこまでもよく伸びるギターの響きと、より洗練されて、ひとつの確固たる世界を確立しているバックとが絶妙なバランスで溶け合って、唯一にして無二な音楽を、ここで奏でておるのです。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


【収録曲】
1.復活した永遠なるキャラバン
2.躍動
3.宇宙への仰視
4.栄光の夜明け
5.風は歌う
6.宇宙への歓喜
7.フューチュア・プリミティヴ(融合)
8.ストーン・フラワー
9.リズムの架け橋
10.果てしなき道


CDを再生してしばらく「リーン、リーン」と鳴り響く虫の声(何と2分以上も鳴ってる!)に引き続き、かなりよじれた感じのサックスの音が、揺れ系エフェクトをかけたエレピがリズムを導くオープニング・ナンバー「復活した永遠のキャラバン」が荘厳にアルバムの始まりを告げ、ギターが本格的に雄大なソロを奏でるのはA「躍動」から。

そして「宇宙への仰視」ではスピリチュアル・ファンク、ヴォーカル入りで一番ロックっぽい「栄光の夜明け」前半のハイライトである「風は歌う」へと、演奏は様々なジャンルを横断しつつも、一貫して共通した荘厳なムードを保持しながら流れて行きます。

後半は、愛と平和のメッセージを込めた、サン・ラーばりのコズミック・ソウル「宇宙への歓喜」(この曲は原題の「All The Love Of The Universe」と呼びたいです、ハイ)、静寂を敷き詰めたシンセのゆわんとした浮遊からパーカッションがその静寂に浮遊する「フューチャー・プリミティヴ」、そのままでの流れからカルロスのギターとラテンのゴキゲンなリズム、ささやくようなヴォーカルとがまた素晴らしい融合の「ストーン・フラワー」更にテンポアップしてアルバム中最高の盛り上がりで聴かせる「リズムの架け橋」そして最後は一曲丸々壮大なエンディングのようなアレンジの上で目一杯の情念と余韻を響かせて飛翔するギターが最高にエモーショナルな「果てしなき道」。

はい、細かく一曲一曲解説しましたが、特に後半かなり激しく盛り上がっているはずなのに、聴いた後に不思議な静寂が心の内にゆわーんと漂う、本当に本当に不思議な感触を、壮大な感動と共に残すアルバムです。

収録曲はほとんどインスト、聴きようによってはジャズでもありますが、この強烈なオリジナリティ、やはりサンタナであります。本当に素晴らしい。



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2017年05月15日

ジョニー・ウィンター 狂乱のライヴ


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ジョニー・ウィンター/狂乱のライヴ


「暑い夏に冷たい飲み物をガブガブ飲むのは、逆に内臓に負担をかけて夏バテを起こしやすい、飲むならば暖かいほうじ茶がいい」

って、皆さん知ってました?

アタシはもちろん知ってました。えぇと美味しんぼという漫画に書いてありました。この前読んだのですよ、フォッフォッフォ・・・。

という訳で、暑い夏の107倍ぐらい熱いジョニー・ウィンターです。

今回ソニー・ミュージックの渾身の企画「ギター・レジェンド・シリーズ」では、ファーストと1971年の「ライヴ」と、もうひとつジョニー・ウィンターを聴くんなら絶対に避けて通れないアルバムがありまして、それが本日ご紹介する「狂乱のライヴ」です。

「狂乱」って凄いですね、タダのライヴじゃなくて狂って乱れておるんですよ、え?「ライヴ」だってそんぐらいヤバかっただろう、今更アタマに狂乱って付けんでも、それがジョニー・ウィンターのライヴだろ、という声も聞こえますが、えぇ、はい、その通りです。黙っててもステージの上では狂って乱れて弾きまくる男、いや”漢”それがジョニー・ウィンター。

分かってはおります、アタシもジョニー・ウィンター・ファンのはしくれですので、その一気にギアが入って狂い弾くオッソロシさは分かっておるつもりです。でも、いくら頭で理解して、聴いて理解しても、聴く度にそんな理屈を吹っ飛ばしてしまうのがこの「狂乱のライヴ」。

えぇ、狂っておるんです、乱れておるんです。前作の「ライヴ」が、ブルースもロックンロールもあって、それこそノリにノッたり、スロー・ブルースに「うぐぉ〜、たまらんっ!」となりながら、興奮しながらも楽しく聴けるライヴ・アルバムだとしたら、コレは一体何て言えばいいんでしょう、とにかく最初から最後まで一貫して”高い”を通り越してやぶれかぶれなテンションで、しかもほとんどの曲がノリノリのロックンロールで、聴く人を感慨に浸ったり、冷静に論じさせてさえくれない、えぇ本気でさいっしょかから最後まで「狂乱」であり「凶暴」なアルバムです。

ジョニーは本質的に「ロックンロールの人」であります。

ロックンロールの人だからこそブルースが骨まで染み込み、彼の表現上のコアになったというのはひとまず置いといて、ズバリ

「やかましくて騒がしい音楽」を、なーんも考えないでひたすら弾き倒してがなりたてる演奏こそが、本当の意味で彼の本質でしょう。





(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.マカロニ・ボニー
2.ロール・ウィズ・ミー
3.ロックンロール・ピープル
4.イッツ・オール・オーヴァー・ナウ
5.追憶のハイウェイ61
6.スウィート・パパ・ジョン



録音は1976年。

メジャー・レーベルのCBSと破格の契約を果たして、それまで麻薬中毒による一時休養もありながらも、順調に
作品をリリースしていたこの時期、例の”オレがオレが”の性格が炸裂して

「何か前のアルバムはよォ、アレ、メジャーデビューしてすぐの頃だったし、正直好きに作らせてくれなかったんだよね。だから今度のは悪いけど最初から最後まで好きにやらせてもらうわ」

と言い出してリリースされたものであると、まことしやかにささやかれておりまして、内容を聴く限り多分そうでしょう。

編成は「ライヴ」と同じ、ギター×2、ベース、ドラムスでありますが、ここではギタリストがリック・デリンジャーからハードロック畑出身のフロイド・ラドフォードに代わっております。

おお、じゃあ今度はバッキングに徹したサイドギターを従えて、ジョニーが縦横無尽にソロを弾きまくるんだな!?

・・・いいえ、そうではありません。

ジョニーが縦横無尽に弾きまくるまでは合ってるのですが、リック・デリンジャーに引き続きコイツもジョニーのギターに合わせるでもなく引き立てるでもなく、何かもう勝手に弾いております。しかも、トータルなセンスがあり、挑みかかる時もある程度の駆け引きが出来ていたリック・デリンジャーに比べ、フロイド・ラドフォードは何もかも荒削りで「おぉぉ、来た来た!おぉぉ、やったれ!」感が強く、このライヴ全体のやぶれかぶれなテンションに勝手に貢献しておるのです。

いや、こんな「リーダーが好きに弾いてるのにバックも好きに弾く」を、他のバンドがやったらそれこそブーイングものなんでしょうが、そこはジョニー・ウィンターなんですよ、このギター2本の乱暴狼藉に近いどつき合いが、まったくタフでラフでワイルドなアメリカンロックのサイコーなとこなんだよなぁ・・・と、何故か納得させてしまうから不思議なんです。いや、聴く方も強引にねじ伏せる力技の究極が多分コレ。

はい「狂乱のライヴ」最初からハイ・テンションで、スローブルースなんて最後の「スウィート・パパ・ジョン」しか入っとらんのですが、コレがまたそれまでのノリノリギンギンなロックンロールナンバー以上にキレてブッ飛んでるので、しっとりとかじっくりとか、とても聴いちゃおれんです。

間違いなく70年代のリアル・ロックンロール最狂のライヴ・アルバムということで。

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2017年05月10日

サンタナ 天の守護神

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サンタナ/天の守護神

うっかりしているうちに夏ですよ。

あのね、奄美26℃うへぇ・・・。とか言ってたら、暑いのはこっちばかりでなく、本土の方でも夏日だよねとかいう声が聞こえたんですが、コレもアレですかね、温暖化というヤツでしょうか?

とにかく最近の気候やらを見ておりますと、本土が亜熱帯化しているという感じではございます。

あの、魚や海洋生物の分布が、この数年で明らかに北上しているようなんですね。

それはさておきサンタナです。

ソニー・ミュージックからの、財布のやさしいココロに嬉しい税込み¥1080のギター・レジェンド・シリーズから、本日はサンタナであります。

サンタナに関しては、これまでこのシリーズの特集の中でファーストサードについてはガッツリ書きました。

これは単純に、アタシが好きでよく聴くアルバムからレビューしようと思ってたというだけで、特に深い意味はございません。

シリーズには、これからご紹介しますセカンド・アルバムの「天の守護神」と、カルロス・サンタナが完全に主導権を握り、音楽性をグッとジャズ/フュージョン寄りのものにした名作4枚目「キャラバン・サライ」がありまして、ハッキリ言いまして初期のこの4枚はいずれ劣らぬ名作でございます。

ここだけの話ベスト盤で安く済まそうと思うよりも、¥4000ちょい出してこの4枚を揃えた方がサンタナの音楽を、飽きることなく濃厚に楽しめますので、これをお読みになっておられる皆様は、ぜひそうなさってください。

はい、じゃあ今日は前置き短めで早速アルバムの紹介に入らせて頂きますね。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.風は歌い、野獣は叫ぶ
2.ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシー・クイーン
3.僕のリズムを聞いとくれ
4.ネシャブールのできごと
5.全ては終りぬ
6.マザーズ・ドーター
7.君に捧げるサンバ
8.ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター
9.エル・ニコヤ
10.全ては終りぬ (ライヴ)
11.祭典 (ライヴ)
12.ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシー・クイーン (ライヴ)

セカンド・アルバムの「天の守護神」は、1970年、サンタナがデビューしたその翌年にリリースされました。

69年のウッドストック・フェスティバルで好評を得た余波に乗って、そのウッドストックで演奏して話題になった「ブラック・マジック・ウーマン」(フリートウッド・マックのカヴァー)のシングルが大いに売れましたが、ファーストには入っておらず、ファンが心待ちにしていたところに「ブラック・マジック・ウーマン」収録のフル・アルバム。これを喜ばないファンはおりませんということで、セカンドにして早くもこのアルバムはヒット・チャート1位に輝きます。

そこでサンタナがやった粋なことがあって、実はこのアルバムに収録されているヴァージョンは、シングルとは違うヴァージョンで、2曲のメドレーになっております。

実はその”メドレーのもう一曲”の「ジプシー・クイーン」が、カルロス・サンタナが心から敬愛する天才孤高の無国籍ジャズギタリスト、ガボール・ザボの楽曲で、カルロスはこの素晴らしいギタリストの曲を、ミーハー気分で自分達の事を知った人にも聴いて欲しかったんじゃないかと思えば、何かこう胸にグッとアツいものが込み上げてきます。

実際「ジプシー・クイーン」は、ややまったりした「ブラック・マジック・ウーマン」から一気に加速するラテン・ビートで、繋ぎや展開も、もちろんギターのインプロの出来も最高だし、この後4曲目以降のアルバムの流れをビシッと決めていて、全体の雰囲気も見事に引き締めてそして盛り上げておるんですね。

で、多くの人が「このセカンドこそ初期サンタナの最高傑作」と語っております。

確かにファーストでの、ややジャムセッション風なサイケ風味と、サードで聴かれる完成度を上げた楽曲とカルロスのギターの自由奔放なインプロヴィゼーションが織り成すめくるめくカラフルな展開の丁度中間を縫うような、楽曲の美しさとアドリブのスリルとが、まだまだアナーキーで不穏な空気を残す演奏の中で繰り広げられるその熱気は、本作独特のものであります。

「ブラック・マジック・ウーマン」の話題で語られがちではありますが、ラテンの大物ティト・プエンテのカヴァーであります「僕のリズムを聞いとくれ」での、パカポコ命のラテン魂グルーヴが滾るのや、その後のムーディー路線の嚆矢となった”泣き”のギターが優しく唄う「君に捧げるサンバ」等の、その他のシングル曲もすごくいいです。

何より本作から、サンタナのトレードマークともいえる、あの「ぐいいいーーん」と伸びてゆくギターの長いサスティンが、まだ未完成とはいえ、ハッキリと分かる形で聴けるというのが、彼のギターが好きな人(はぁいアタシです)にとっては嬉しいところ。

そしてアルバムの構成も「どこまでもアツく盛り上がるラテン・パーカッションvsギター、オルガンのハードバトル大会」と「美しく余韻を残す哀愁ナンバー」が、ほぼ交互に絶妙なバランスで収録されていて、大ヒット級シングル曲が目白押しといえども、やっぱりアルバムとして聴きたい、そんな豊かなストーリー性にも溢れております。

2枚目までの「ガッツリバンドサウンド」の質感は、ツボにハマると結構やみつきになりますもんね♪


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2017年05月09日

スティーヴ・モーズ ストレス・フェスト

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スティーヴ・モーズ/ストレス・フェスト
(ソニー・ミュージック)

で、本日は一気に時代は飛んで、スティーヴ・モーズです。

や、このブログをご覧の読者さんの反応はきっと

「スティーヴ・モーズ?」



「あぁ、リッチー・ブラックモアの後釜でディープ・パープルに入った人ね」

の2種類かと思います。

もしかしたら

「お、復活後のカンサスでギター弾いてた職人じゃないの」

と、嬉しい反応をしてくれる人が・・・。ん、100人中7人ぐらいはいるかも知れません(汗)

そう、スティーヴ・モーズは、知る人ぞ知るギター職人。いつでも安定したテクニック、そしてハードロックからプログレ、ジャズ・ロック、カントリーまで、どんなスタイルでも完璧に弾きこなせた上で、独自のテクニカルな味付けが出来る、一言でいえば

「本当にギターの巧い人」

です。

トレードマークのメカニカルな速弾き、表現力豊かなハーモニクス奏法や、ギターシンセを駆使したギター・オーケストレーションの分野においても”代表格のひとり”と言ってもいいでしょう。

問題は、そんな器用な人だから、器用貧乏なイメージがあって、熱心にテクニックを追究しているギター弾き以外の知名度が決定的に低いこと(あー)。

でも、アタシは思います。

「それでいい、スティーヴ・モーズはギター弾きにだけ人気があればそれでいい。ギターが上手くなりたい人だけが彼のプレイを聴けばいい。そういう人はきっと彼の演奏から何かを得ることが出来るだろうから」

と。

そもそも今紹介しているこのシリーズは”ギター・レジェンド・シリーズ”なのです。

出来ればギターを弾かない人にも、広くフツーに興味を持って頂きたいところではありますが、そういうのは、ガチのブルースの人達や、70年代ロックの名盤達がきっと担ってくれるだろう。そんなことよりも”ギター弾きによるギター弾きのためのギターの事しか考えてないようなアルバム”が、シリーズの中に一枚ぐらいあってもいいじゃないか。それがアナタ、スティーヴ・モーズの「ストレス・フェスト」だよ。と。

はい、ちょいと強気に出てしまっておりますが、実際”テクニカルな90年代以降のテイストに溢れたギター”というものにとことん特化したこういうアルバムが、シリーズの中にちょこんとあると、何だかアタシ、嬉しくなってきてるんです。

スティーヴ・モーズは1954年アメリカのオハイオ州生まれ。十代の頃にテレビで見たビートルズに感動してギターを始め、ロックンロールやカントリー、ロカビリーなどをコピーしまくります。

15歳で自分のバンドを組み、高校時代にクラシックギター奏者のフォアン・メルカダルという人の演奏を聴いて感動し(何か感動してばっかりだなオイ)「オレ、本格的に音楽勉強するよ」と、マイアミ音楽大学に進学しますが、この時の同級生に、ジャコ・パストリアス、パット・メセニー、ブルース・ボーンスビーといった天才達がおり、彼らとツルみながら、モーズ少年はよりキチガイじみたバカテクにオリジナリティを見出す道を模索することに没頭し、卒業後高校時代に組んでいたバンド”ディキシー・グリッドの名を改めた”ディキシー・ドレッグス”を結成します。

このバンドは、プログレッシヴ・ジャズ・ロックを愛好する人達を中心に今でも評価が高いインスト主体のバンドであります。

このディキシー・ドレッグスは、独特のユルさと緊張感を併せ持つサウンドで、ダラダラ聴きつつもハマると結構クセになりますので、気になる方はCDも出てますし、動画も結構ありますんで、ぜひ聴いてみてください。

おっと、スティーヴ・モーズの話に戻ります。

その後演奏活動の限界を感じたモーズは、1984年にディキシー・ドレッグスの活動を休止。”スティーヴ・モーズ・バンド”を結成して、独特のフュージョン・テイストのハードロックというスタイルを開花させ、好きに弾きまくります。

でも「ねぇ、お前が好きに気持ちよく弾いてるだけのインスト・アスバムは売れないよ」とでも言われたのか、85年のセカンドではヴォーカリストも迎えた大人のアメリカン・カントリー・ハードロックとでも言うべきアルバムを出しますが、こういうのが気に入らなかったのか、同時期に加入していたカンサス(人気のプログレバンド)との掛け持ちでの、「レコーディング→ツアー→レコーディング」という生活に嫌気が差したのか、あっさり音楽を止めて、何と航空便のパイロットに転職します。

パイロットって・・・。

でも、やっぱりギターが好きな彼は、収入の良いパイロットを1年ちょいであっさり辞めて、今度はソロ・アーティストとして復帰。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ストレス・フェスト
2.ライジング・パワー
3.アイズ・オブ・ア・チャイルド
4.ナイトウォーク
5.ブレイヴ・ニュー・ワールド
6.4・ミニッツ・トゥ・リヴ
7.ジ・イージー・ウェイ
8.グラッド・トゥ・ビー
9.デリケイト・バランス
10.リヴ・トゥ・ライド
11.ピード・キング


でも、一部のギターファンから彼は熱狂的に迎えられ、80年代後半から90年代と、活動は非常に充実しておりました。

ソロとして好きなスタイルで演奏する一方で、かつての仲間達に声を掛け、ディキシー・ドレッグスを復活。更に1994年にはリッチー・ブラックモアがプイッと辞めてしまったディープ・パープルに、リッチーの後任として加入。

ディープ・パープルは、特に「第五期」と呼ばれる90年代の再結成後のパープルは、良くも悪くもリッチーのカリスマと存在感とオラオラで成り立っていたバンドでしたが(や、トミー・ボーリン時代のパープルもなかなかいいんだよ、と言えばまた違う話になってしまうのでまたいつか・・・)、ここでリッチーの後釜として

「上手い、センスいい、性格もいい」

の3拍子揃えた彼のプレイは、当初の予想以上に素晴らしいものでした。

で、モーズは今もディープ・パープルに所属しながら、世界中のファンに「ギターの素晴らしさ」を伝え続けています。

このアルバム「ストレス・フェスト」は、それこそパープルに加入して革新的名盤と呼ばれる「紫の証」のリリースと丁度同じ時期にリリースされた、トリオ編成のインスト作品。

パープルで綿密かつ大胆なアレンジに相当神経を使っていた時に、シンプルな編成でとことん好きなプレイを楽しんでいるモーズのリラックスした、でもソロとなると恐ろしい程に正確かつ高速なフレーズがぶっ飛ぶ、これもまた”本気”の作品。

演奏はディストーションをガッツリかけたハードロックなトーンでもって、フュージョン風のスタイルを貫いておりますて、ギターは”弾きまくり”と”大人の余裕”がめまぐるしく交錯します。うん、一言気持ちいい♪

ずっといい味を出しているデイヴ・ラルーの「全然重低音じゃないファンクベース」の、うっすい音でパキパキ言うチョッパーがまたいいんですよね。

ちょっと滅茶苦茶な喩えかも知れませんが、このアルバム


「リラックスして気合いを入れてギターを聴きたい」

人にはとにかくオススメです、うん、聴けばその意味も分かります。


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2017年05月06日

ザ・ジェフ・ヒーリー・バンド ヘル・トゥ・ペイ

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ザ・ジェフ・ヒーリー・バンド/ヘル・トゥ・ペイ
(ソニー・ミュージック)


只今せっせと書いております、ソニーから出た税込み¥1080のイカした企画「ギター・レジェンド・シリーズ」お楽しみ頂けてますでしょうか。

このシリーズで再発されているものは、アタシ個人的にはもちろん、ブルースや70年代のロックにハマるきっかけとなったアルバムや、ギターにのめり込むきっかけとなったギタリストのアルバムが多く、もうきゃっきゃしながら記事を書いておりますが、もちろんそれは単なる思い出補正だけでなく、改めて聴き返しても、そのアーティストや作品の持つ魅力というものが何にも勝っているからだろうと思いますので、今正にギターを弾いている方がもしこのブログを読まれておられますならば「何かギターのカッコイイやつ聴きたいな〜」と思った時の参考になさってください。

さて、本日ここで紹介致しますのは、このシリーズの中でも最も異色のギタリストと言っていいでしょうカナダが生んだ盲目の天才、ジェフ・ヒーリーであります。

はい、最初で大風呂敷を広げて申し訳ないのですが、彼の演奏自体は実に正統派。ブルースに影響を受けたロックの王道そのものなんでございますが、異色というのはこの弾き方です↓

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ギターを膝に置いて弾くこのスタイル

「おっ、スライドギターか!?」

と、思わせて、コレで速弾きからコード・カッティングまで、何でもこなすからぶっ飛びです。

ジェフがこの独特のスタイルになったのは、やはり盲目であるが故。

1歳の頃に癌を患い、視力を失ってしまった彼は、その後ギターを手にした時、全て耳コピの独学で覚えたといいます。

左手の親指まで広く使ったフィンガリングは、自然と自由度の高い独特の奏法を生み出し、地元カナダでバンド活動を始めてからは「ギターを膝に置いて物凄いテクニックで弾くヤツがいる!」と話題になり、22歳でデビュー。

このデビュー作がまた、適度に泥臭いブルース・ロックで最高なんですが、デビュー翌年の89年に、当時大人気だったパトリック・スウェイジ主演の映画(「ロードハウス肩〜孤独の街」)に「主人公の仲間で盲目のギタリスト」というまんまな役で出演したら、コレが結構な話題となって、アメリカで知られることとなりました。

でもって、その人気の余波を受けて1990年にリリースされたセカンド・アルバム「ヘル・トゥ・ペイ」を、本日はご紹介します。





(ギター・レジェンド・シリーズ)
【収録曲】
1.フル・サークル
2.アイ・ラブ・ユー・トゥー・マッチ
3.アイ・キャント・ゲット・マイ・ハンズ・オン・ユー
4.ハウ・ロング・キャン・ア・マン・ビー・ストロング
5.レット・イット・オール・ゴー
6.ヘル・トゥ・ペイ
7.ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
8.サムシング・トゥ・ホールド・オン・トゥ
9.ハウ・マッチ
10.ハイウェイ・オブ・ドリームス
11.ライフ・ビヨンド・ザ・スカイ


はい、デビュー・アルバムでは自身のルーツであるブルースやサザンロック・テイストのサウンドの中で、その縦横無尽なギターの醍醐味を楽しませてくれたジェフ・ヒーリー。

本作ではよりポップで音楽的な幅を拡げた彼の、セカンドにして激しさと、成熟すら感じさせる懐の深い曲と歌とギターの持ち味が花開いておりますね。


2曲目「アイ・ラヴ・ユー・トゥー・マッチ」では、この人が参加すること自体がもうギタリストとしての保証書みたいなもん、のマーク・ノップラーが、ビートルズのカヴァーであるところの7曲目「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」には何とジョージ・ハリスンが参加しており、それぞれ粋なギターに絡む粋なギターで華を添えております。

楽曲はブルース・スプリングスティーンっぽい、弾けたスタイルのアメリカン・ロックに、ブルース/カントリーの哀愁溢れるバラードです。

本人の声の渋さもあって、もうアルバム5枚ぐらい出した中堅ロックスターみたいな貫禄ですが、聴いて一発ですぐにそれと分かるアタック強めでどこまでも伸びてゆくやんちゃなギター故に、タダのポップなアルバムでは終わらせてくれません。

聞くところによるとジェフ・ヒーリーは、この時期のライヴではフェンダー・ジャパンの入門モデル"スクワイヤ"のギターに、アンプもマーシャルの、練習スタジオにあるJC、エフェクターに至っては、マルチエフェクター全盛のご時世(1990年)に、安物のコンパクト・エフェクターをポンポンと繋げただけのセッティングで、凄まじい音出してたんだとか・・・。

そうなんです、この人のプレイ聴いてると、ロックだからとかブルースだからとか、曲がポップだとかそんなことはどうでもよくて、どんな曲でもどんなアレンジでも、鋭くて芯のあるギターが「ギュイーン!」と鳴り響く快楽に、耳を奪われるって最高だなー!ってなるのです。



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