ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2016年12月28日

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ ワン・ホット・ミニット

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レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/ワン・ホット・ミニット
(Wea/ワーナー・ミュージック)

は〜い年末ですね〜。皆さん仕事納めとかで、今日はホッと一息付いている方も多いかと思いますが、アタシは31日までガッツリ仕事ですよ〜。でも、その間ブログはきっちり更新しますので、見てやってくださいねー(切実)!!

今日は年末のアタフタに触発されて、急激にロック魂が目覚めましたのでレッチリです。

懐かしいな〜と思って聴いていたのが「ワン・ホット・ミニット」。

これが発売されたのは、確か1995年。

「ブラッド・シュガー・セックス・マジック」で、ドカーンと人気が出た、あのレッド・ホット・チリ・ペッパーズの4年ぶりの新作ということで、大々的に宣伝されて物凄く売れたアルバムだったんですが、聴いた人からの反応は賛否両論。

アタシの周りでもどちらかといえば「否」の方が多かったんですね。

え?何で?確かに音は昔のレッチリに比べてポップになったけど、より厚みが出て曲もしっかり作りこまれたものになって、これはこれでなかなかカッコイイじゃん?どして?

と、訊いたら

「う〜ん、やっぱりジョン・フルシアンテのギターじゃなきゃなぁ〜・・・」

というものでした。

はい「ブラッド・シュガー〜」の大ヒットの後、レッチリのサウンドの要だったギタリスト、ジョン・フルシアンテが、実は脱退してたんですね。

そん時にギタリストのオーディションを色々と行ったんだけど、いいヤツがいなくて、結局当時ジェーンズ・アディクションを解散して体が空いていたジョン・フルシアンテが後釜として加入したという経緯が、このアルバム誕生の裏にはあります。

ジェーンズ・アディクションといえば、ややそのサウンドはハードロック寄りではあったんですが、レッチリやR.E.M.なんかと大体同時期に出てきて、オルタナティヴ・ロックの元祖とか呼ばれていて、音楽的な傾向も、うん、なかなか合うんじゃない?問題はナヴァロがどれだけファンクとかそういう路線に対応できるかなんだけど・・・いや出来てんじゃん!フルシアンテとはまたアプローチ違うけど、これ全然いけるじゃん!

と、アタシは普通に嬉しかったんですが、やっぱりデビュー当時から知るファンにとっては、初期ギタリストのヒレル・スロバクとジャック・シャーマンが「とっちらかったハチャメチャ感が楽しいレッチリ・サウンド」を作り上げ、それをフルシアンテが「母乳」で”ファンク、ジャズ、ヒップホップの要素を軸にハードなサウンドを整理した作風”という風に纏め上げたというのがおっきかったんでしょうね。で、その頃付いたファンにとっては「ブラッド・シュガーで親しんだ音が変わることに抵抗がある」という考えの人は多かったでしょう。

加えて後年になって(つまりフルシアンテが復帰してから)メンバー達がインタビューで「ワン・ホット・ミニットは正直しんどかった」とかいうネガティヴ発言をしたことなどが、このアルバム不人気のおっきな要因として考えられます。

でも、それらはすべて、今となってはどうでもいいことであります。

その当時、そういったネガティヴな情報など何も知らんで聴いた正直な感想としては

「何か、ギターがちょいとヘヴィになって、ポップな曲はこれまで以上にポップでファンキーなんだけど、アンダーグラウンド臭に関しては”ブラッド・シュガー”以上だし、何よりもすごく丁寧に練り込まれた感があるぞ!」

というものでした。



【収録曲】

1.レッチリの電撃ワープ
2.エアロプレイン
3.ディープ・キック
4.マイ・フレンズ
5.コーヒー・ショップ
6.ピー
7.ワン・ビッグ・モブ
8.ウォークアバウト
9.ティアージャーカー
10.ワン・ホット・ミニット
11.フォーリン・イントゥ・グレース
12.教祖たちのゲーム
13.トランセンディング~リヴァーに捧ぐ~


実際に、アルバムをレコーディングするに当たって、ナヴァロはとても気合いが入っていて、メンバー達と入念に曲作りからアレンジに至るまで作り込んだみたいです。

だからレコーディングは、レッチリとナヴァロの激しい我のぶつかり合いだったことは想像できます(実際このアルバムのリリース直後、ナヴァロは脱退しておりますし)。でも、両者の緊張感が極限まで達して見事にピタッと合った曲が、ヒットした「電撃ワープ」とか「エアロプレイン」とか「ディープキック」等のノリノリイケイケな前半の曲であり、ナヴァロの攻めるギターに思いっきり当てに行って、結果これまでの作品の中で最もグルーヴィー、バキバキに弾きまくってるフリーのベースだと思うのです。

ナヴァロのギターとフリーのベース(ボリュームでかめ)とが、トラック上で強引に響き合うところなんか、今でも鳥肌立つぐらいカッコイイし、このアルバムでしか聴けない特別な展開だと思います。

加えて後半の、ややダウナーで沈鬱な展開。

これは多分、レッチリ側とナヴァロ側の意見があまり合わないままレコーディングされた(とはいってもお互い一流のミュージシャン同士、妥協は感じられません)とおぼしき曲でありますが、ジトジトと不気味に高まってゆくテンションの中に、バンドとしてのとてつもないヤバい存在感を感じさせてくれて、何よりも飽きが来ません。

アタシは最近後半がとても好きなんですよね〜♪

今や「カリフォルニケイションでレッチリ知った」という人がファンの大半で、”2000年以降”のレッチリのサウンドや曲作りの原点がある作品として、このアルバムが再び評価されているのは嬉しいことです。




(「エアロプレイン」ライヴ。この頃は頭に電球被ったりコートのフード被ったり、色々と忙しかった)


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2016年12月06日

ローリング・ストーンズ ブルー&ロンサム

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ローリング・ストーンズ/ブルー&ロンサム
(Polydor/ユニバーサル)

「ローリング・ストーンズ、11年ぶりのアルバムをリリース!今回は何と全曲ブルースのカヴァー・アルバム!!」

という宣伝の記事をちょいと前に見て

「おぉ〜、ストーンズが遂にブルースのアルバム出すんか〜、ふぅ〜ん♪」

と、嬉しい気持ちにはなりました。

そりゃあストーンズといえば”ブルース”だし、彼らの音楽はもちろんブルースを抜きには語れませんし、ブルースといえば、彼らが受けた影響と同じぐらい、与えた影響のデカさについても、何かにつけてアタシは目にしてますし読んでますし、実際に戦後のシカゴで電気化というブルースの大革命をもたらして一時代を築きつつも、ロックンロールの台頭によって職を失い欠けていたレジェンド達へのリスペクト、そしてブルースという音楽のカッコ良さをあらゆるところで公言し、実際に人気絶頂だった自分達のコンサートに招いたりして、アメリカ本国で消えかけていたブルースの火を、イギリスからの強力な援護射撃で再び燃え上がらせた・・・。

んんにゃ、リアルタイムでブルースを聴かずに育った世界中の若者に、ブルースを広め、教えて紹介した一番の功労者は、他ならぬローリング・ストーンズであると断言出来ましょう。

そして、ストーンズが過去にカヴァーしたブルースの名曲「ユー・ガッタ・ムーヴ」「ラヴ・イン・ヴェイン」等の、背筋がゾクゾクするほどにカッコ良く、得体の知れないディープな”ヤバいフィーリング”も、アタシはもちろん知っております。皆さんも多分、この記事読んでおられる方はそんなこととっくにご存知でしょう。

「ストーンズがブルースをやる、そりゃあ悪かろうはずがない」

とは思ってはいたんですが・・・。

先に言っときます

ここまでカッコイイとは思ってもいなかった!


や、カッコイイとは思っていたんです、繰り返しますがそりゃあ悪いわけがなかろうと。

それでもどこか心の中で

「もうオレらもトシだし、そろそろ懐かしいブルースでも気楽にやろうかね」

「あぁそりゃいいね、そうだ、せっかくだからクラプトンも呼ぼうか」

てな感じの、すっかり落ち着いたじいさん達が、何かこう和気藹々でリラックスしてセッションしている音みたいなのを、心の片隅で想像してたんですね。

言ってもストーンズももう70過ぎのじいさんですよ、いくら昔ヤンチャしまくって、ライヴでは相変わらずミック・ジャガーがピョンピョン飛び跳ねてるとは言ってもですよ、さすがに少しぐらい落ち着いとらんとおかしかろうと。ほぼ同い年のウチの親父なんか見てると「あぁ、若い頃どんなに無茶な人間だったヤツでも老齢になるとそれなりの渋みが出てくるんだな〜」とかしみじみ思っとるリアルタイムのアタシには、ぶっちゃけますとそこまでの想像力しかなかったんです。


えぇと、アルバムが出ました。そんで何かプロモも出てますと・・・・。はい、わかりました。じゃあちょっくらストーンズの渋いブルースでも聴いてみましょうか・・・。



何ですかコレは!!!!!!

ギラギラエッジの効きまくった、やさぐれじゃないですか!!

全然落ち着いてなんかないし、枯れてもない。いや、渋いけど、じゅーぶんに渋いけど、なんつうんだろう、上手く言えないけどこの音は間違いなくブルースという音楽が、現在進行形でヤバいクレイジーな音楽だった頃の空気をギラギラ放っていて、聴く人の気持ちを確実に刺激して、何やらイカガワシイ衝動を呼び起こしてしまう音です。

気合いの入ったロックファンの方々には「何を今さら、それがストーンズだろ?」と言われそうですが、はい、そうですその通りです。でもこの滅茶苦茶"本気"が詰まったストーンズ渾身のブルース・アルバムの素晴らしさは、それだけじゃない。







【収録曲】*カッコ内はオリジナル曲収録アルバム
1.ジャスト・ユア・フール (リトル・ウォルター「コンフェッシン・ザ・ブルース」)
2.コミット・ア・クライム (ハウリン・ウルフ「ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ」)
3.ブルー・アンド・ロンサム (リトル・ウォルター「ヘイト・トゥー・シー・ユー・ゴー」)
4.オール・オブ・ユア・ラヴ (マジック・サム「ウエスト・サイド・ソウル」
5.アイ・ガッタ・ゴー (リトル・ウォルター「コンフェッシン・ザ・ブルース」)
6.エヴリバディ・ノウズ・アバウト・マイ・グッド・シング (リトル・ジョニー・テイラー「エヴリバディ・ノウズ・アバウト・マイ・グッド・シング」)
7.ライド・エム・オン・ダウン (エディ・テイラー「イン・セッション・ダイヤリー・オブ・ザ・シカゴ・ブルースマン1953-57)
8.ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー (リトル・ウォルター「ヘイト・トゥー・シー・ユー・ゴー」)
9.フー・ドゥー・ブルース (ライトニン・スリム「ハイ・アンド・ロウダウン」
10.リトル・レイン (ジミー・リード「アイム・ジミー・リード」)
11.ジャスト・ライク・アイ・トリート・ユー (ハウリン・ウルフ「チェンジ・マイ・ウェイ」)
12.アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー (オーティス・ラッシュ「ザ・コブラ・セッションズ」)


スタジオに入り、ほぼ一発録りで、たった3日で作り上げたこのアルバムは、選曲の妙(ただブルースの有名曲を集めただけじゃない)もさることながら、鳴っている音の質感が、もうなんか50年代60年代のレコーディングを聴いているみたいな質感があります。

特に原曲アーティストの唄い方と、リトル・ウォルターのハープの音を、ゾッとするほどの再現度でブチ込んでくるミック・ジャガーと、ついこの間サニーボーイ・ウィリアムスンの記事で「チェス・レコードの録音はドラムの録り方が本当に素晴らしい」とのたまったばかりですが、"それ"のニュアンスを信じられない生々しさで聴かせてくれるチャーリー・ワッツのドラムにはもう溜息しか出ません。

ミック、歌上手いじゃん・・・。


それと、ストーンズの、特に最近のアルバムは「うわー、カッコイイ!」な曲と「オッサン、やる気はあるのか」な曲が絶妙なバランスで混在してて、それが結果的に「えへへ、やる気がないのもストーンズだよね♪」になっていて、大変に微笑ましかったんですが、このアルバムに関しては、全12曲、バカみたいに気合いが入っていて、もうギラギラしたまんま最後まで聴かせます。

凄いです、アタシはローリング・ストーンズを知ったのが1990年頃でしたが、その時点から「新作」として出たストーンズのアルバムから、これほどの本気とやる気を感じたことはありません。


色々と興奮気味で書いてます、あいすいません。もうちょいとじっくり聴いて色々と冷静になったら、ブルース目線から見た詳細なレビューも書けるかもですが、多分アタシはそれしないと思います。

願わくばこのアルバムを聴いて「ブルースっていいなオイ!」と思った人が、一人でも多くブルースの底無し沼にハマりますことを。。。


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2016年11月27日

11月27日、ジミ・ヘンドリックス生誕祭


1480243677972-139373148.jpgはい、本日は11月27日ジミ・ヘンドリックスの誕生日でございますね。

「アニバーサリーな日には、そのアーティストの作品を聴く」ということをささやかな楽しみにしているアタシとしては、今日はこれもうジミヘンを聴かねばなりません。

「どれにしようかなー?」

とはなりませんでした。

アタシにとってジミヘンの特別なアルバムといえば、1992年、彼の生誕50周年記念の年にリリースされたこのベスト・アルバム。

とある日、学校帰りに友達の家に遊びに行ったら、部屋にポンとこのCDがケースごと立てて置いてあったのを見て

「おぉ、ジミヘンかぁ〜、渋いなぁ。このアルバムいいわけ?」

「おぉ、お前それいいぞ」

「じゃあ俺も後で買ってくわー」

と、軽〜いノリで買ったんですけどね、これが最高のベスト・アルバムでした。

しかしその頃はジミヘン「なんかすごい!」とは思いつつも「でもよーわからん、うん、よーわからんがすごいんだ。うん」といった感じでしょうか。まーそんなもんです。

でも、それからジミヘンが影響を受けたブルースやソウル、R&Bなんかをたくさん知って、その都度このアルバムを引っ張り出して聴くと「何か分かってきたー!!」という感動が波のように来ることがあって、それがイコール私の音楽体験、つまり「音楽的な拡がり」みたいなのと深くかかわってるんです。

ジミヘンのオリジナル・アルバムやライヴなんかもちょこちょこ集めて、彼の全体像から細かいところまで、今はすっかり分かったつもりになってきてますが、このアルバムはいつまでもアタシを”ジミヘン初心者”のウブな気持ちに引っ張り戻してくれるから手放せません。

いや、手放そうなんて思ったこと一度もありませんけどね♪






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2016年11月26日

スキッド・ロウ SKID ROW


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スキッド・ロウ/SKID ROW
(Atlantic)

ここへきて「昔聴いていたロックのアルバムを聴き返す」というのが流行っています。

単純に「あの時のアレ、どんなだったかなー?」と、感動と興奮を思い出す作業をやらないかと思って始めたことではあったんですが、今聴いてみるとまた新たな発見があったり、当時気付かなかった音楽的な深い部分などに気付いて、これがなかなか楽しい♪

で、スキッド・ロウです

スキッド・ロウは、その昔洋のハードロック/ヘヴィメタルを聴く人達の間ではそりゃもう人気があった。割と本気でメタルやってるギタ小僧にもバンドマンにも、洋楽ミーハーな女子達にも、不思議と安定した支持があったことを記憶してます。

アタシがハマッたきっかけも、達の家で彼らのセカンド「スレイヴ・トゥ・ザ・グラウンド」を聴いたことでしたね。ガッシリとしたヘヴィうねるサウンド、刺激的なリフやギターソロ、そしてクリアだけど芯があるめちゃくちゃ上手いヴォーカルが一体となった凄まじいクオリティのサウンドに、ヘヴィメタルの究極的な何かを勝手に感じてしまいました。

これが1992年頃の話だったんですが、翌年にはニルヴァーナの大ブレイクをきっかけにして空前のオルタナティヴブームが沸き起こり、それまで隆盛を極めていたメタルブームがあっという間に過ぎ去ったことを考えると、確かにスキッド・ロウのサウンドは、それまでヘヴィメタルという音楽が、80年代に作り上げてきたことの総決算のようなものだったのかも知れないなと、今も思っています。




【収録曲】
1.Big Guns
2.Sweet Little Sister
3.Can't Stand The Heartache
4.Piece Of Me
5.18 And Life
6.Rattlesnake Shake
7.Youth Gone Wild
8.Here I Am
9.Makin' A Mess
10.I Remember You
11.Midnight/Tornado


「スレイヴ・トゥ・ザ・グラインド」から遡るように買って聴いたのが、1989年リリースのファースト・アルバム「SKID ROW」。

はい、コレが実はその頃のアタシはあまりお気に召さなかった(笑)。

「ロックバンドのファーストは、その後のアルバムよりも荒削りで未完成な部分もあるが、不足してる面をすべて初期衝動でやり込めているものだ」

という、やや原理主義的な思想(?)を持っていたアタシは、ハードな曲もバラードも完璧な、このすこぶる完成度の高いアルバムの良さが、今ひとつピンとこなかったのです。

バラードで大ヒットした「I Remember You」「18 And Life」そしてアメリカン・ハードロックの王道のようなキャッチーなノリの「Youth Gone Wild」なんかには目もくれず「あー、この曲とかこの曲だけはいいなー」と「Big Guns」「Makin' A Mess」を聴き狂ってましたねぇ。。。

しかし、それから月日が経って、すっかりオルタナやモダン・ヘヴィネスに夢中になってたある日、ふと有線か何かで耳にした「I Remember You」が、何だろう?メタル云々はとりあえず置いといて、ロックのバラードとしてすごくカッコ良かった、つまり全然古臭く聞こえなかったことに「えぇ!?」と思い、そんなに聴くこともなくCD棚の一番奥の方にしまっておいたCDを引っ張り出して改めて聴き直してみました。

そしたらこれが、もちろんヘヴィでありハードであり、そしてバラードは特に洗練と"拡がり"を感じさせる、非常に「先端」な何かを感じさせるものに変わりはないんですが、再び聴いて感じたのは

「これはとても質の高いアメリカン・ロックンロール」

ということでした。

サウンドキャラクターは全然違うかもですが、スキッド・ロウの、特にヘヴィにうねるミディアム・テンポのナンバーからは、ニューヨーク・ドールズのアプローチに似通ったものを感じます。つまり派手でルーズで不良で粋な、ロックンロール特有のあの感じです。

80年代の末にリリースされて、90年代の頭に大流行したスキッド・ロウなのに、何となく「あ〜、流行ったね〜」で終わらせたくない硬派な魅力を感じます。

懐メロじゃなくてカッコイイ「クラシックス」でしょう。




(ピストルズのカヴァーではじまる1989モスクワライヴ)



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2016年11月21日

スザンヌ・ヴェガ 孤独

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スザンヌ・ヴェガ/孤独
(A&M/ユニバーサル)


今にして思えば1980年代という時代は、あらゆるものがキラキラしていて、まるで魔法がかかったように見えていたような気がします。

たとえば音楽だと、ディスコやニューウェーブ、またはフュージョンであり、またはそれらの影響を強く受けたポップスのほとんどは、まるで過去と決別するかのような爽やかさと軽やかさを、競って放出していたように思います。ありったけのエネルギーを、キラキラすることに費やしながら。

そんな時代の中にあって、スザンヌ・ヴェガの歌声は、常に異質でした。

90年頃でしたかね?テレビのCMで、それはとても静かな、ちょっとオーバーに言えば「無音より静けさを感じさせる歌声」が、流れるようになりました。

これは誰?

と、親父に訊けば

「あぁ、スザンヌ・ヴェガだな、この人はちょっと前にデビューして、結構いいシンガーだと思ったけど、暗いからかなかなか売れなかったなー。でも今CMで人気が出てる」

と。

その時は「へ〜」と思って、それだけだったのですが、あの"アカペラの歌"それから妙なタイミングで、ふとしたはずみで脳内再生されることがままあって、アルバムを聴きました。"アカペラ"を耳にして、5年ぐらいは経っていたでしょうか。





【収録曲】
1.トムズ・ダイナー
2.ルカ
3.鉄の街
4.瞳
5.夜の影
6.孤独
7.カリプソ
8.ことば
9.ジプシー
10.木の馬
11.トムズ・ダイナー (リプリーズ)


探していた"アカペラ"は「トムズ・タイナー」という曲で、1987年にリリースされたという「孤独」という、スザンヌ・ヴェガのセカンド・アルバムの1曲目に収録されていました。


CM曲というのは、なかなか厄介なもので、耳にしたその時いいなと思っても、実際アルバムを買うとその曲だけしか聴けるものがなかったり、もっと酷いのはCMで流されているその部分だけしか良くなかったり、ということも往々にしてあったのですが、スザンヌ・ヴェガに関しては、何故かそんな不安はなかったですね。

何というか、曲やアレンジがどうであっても、あの薄絹のような、透明で儚くて、どこか切ない声の魅力は多分変わらない。そんな確信を持ちながらアルバムのジャケットを手にしたら、ジャケットもタイトルもいい。

実際に歌詞カードをじっくり読みながら、聴き込みました。

「トムズ・タイナー」は、期待通り全編美しいアカペラで、歌詞を読むと、とても詩的練度の高い、心情と風景の巧みな描写が美しい曲です。(歌詞で一番衝撃だったのは、虐待を受けている子供の視点で書かれた、2曲目の「ルカ」でしたが)。

さて、「ルカ」含む2曲目以降は、確かにアレンジは軽やかで爽やかな、いかにも80年代のポップスでしたが、彼女の内へ内へと緩やかに沈み込んでゆくような、ささやきとため息の中間みたいな声ゆえに、少しもキラキラした感じがなく、気持ちを乗せて深い世界に誘われる心地よさに、時間とか生活とか、自分を俗な所に縛っている感覚がヒリヒリと溶けていきました。

80年代という、何もかもがキラキラ狂っていた時代には異質だったかも知れません。では世界中が暗く混沌として、どこか重苦しい2010年代では?と訊かれたら、やはりここでも彼女の声と独特の寂寥感で充たされた唄世界は異質かも知れません。しかし、この"異質"は、どこまでも切なく美しいですね。






『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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