ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年05月29日

ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド

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ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド
(CAPRICON/ユニバーサル)


我が家の家訓に「音楽聴くならブルース、ロックならサザンロック」というのがあります。

半分は冗談ですが、半分はホントです。

というのも、ギターをいじるようになった十代の頃、親父に「何を聴いたらギターが上手くなる?」と、訊いたら、親父は少しも迷わず

「それはお前、サザンロックだ。特にオールマン・ブラザーズを死ぬほど聴け」

と即答しました。

今でこそオールマンとかサザンロックとか言われたら「あぁそうか」と、ピンと来ますが、その頃といえば流行りの邦楽と、洋楽はパンクとメタルをほんの少しかじってるぐらいだったんです。

そこでまず”サザンロック”とは何ぞや?という話になってくるのですが、アメリカでロックンロールが生まれ、それが海を越えて、ブルースやR&Bなどと共にイギリスに渡って「ロック」の原型が生まれます。

60年代に、ビートルズやローリング・ストーンズ、そしてクリームらがブレイクして、そのルーツにはブルースやR&Bがあることを感じたアメリカの白人の若者達が、再び足元を見て分らの国のブラック・ミュージックの価値を再認識することから、新しい”ロック”が生まれます。

”ロック”がしっかりとその形を成したのは、主にサンフランシスコやLAといった、西海岸の都市部です。これに東海岸の大都会ニューヨークに根を張っていたビートニク(という文学運動)らが呼応して、アメリカにも一大市場としてのロック・シーンなるものが出来上がった。

えぇと、この話はかなりはしょっておりますが、細かいところをちゃんと書こうとすると大変な文字数になってオールマンのことが書けなくなっちゃいますのでこの辺で勘弁してくださいな。

で、アメリカの都市部はこの新しい音楽が堰を切ったように溢れて、で、様々な社会運動なんかと密接にリンクしながら世界中に波及していきました。

これが60年代後半から70年代のおはなし。

で、アメリカの都会のヤツらはそうやって流行を作り上げて、刺激的な音楽をどんどん発信していったけど、都会じゃない所に住んでるヤツらはどうだったんだ?何もしていなかったのか?

という話になります。当然「や、実はそうじゃないんだよ」というところで出てくるのがサザン・ロックです。

実はアメリカには、都市部よりも南部にそれぞれの人種の音楽の”根っこ”となる・・・たとえばブルース、カントリー、テックス・メックス、それと忘れてはならないニューオーリンズのR&Bなどなど独自の文化がしっかりとありまして、ジョニー・ウィンターのファーストをレビューした時にもちょこっと書きましたが、彼らは都会の流行をチラ見しながらも、自然と染み付いたブルースやカントリーのフィーリングに忠実に「おぉ、オレらァこれでいくぜぇい」と、ある意味で泥臭い音楽を、泥臭いまんまやっておった。

そして60年代は、メンフィスやアラバマに独自のソウル・ミュージックを発信するレーベルがあって、腕とフィーリングのあるミュージシャンなら、白人黒人を問わずスタジオバンドに加わることも可能な環境もあり、南部に住む若者達のブラックミュージック化は、まだまだ人種間の軋轢はあったとはいえ、かなり盛んになっておりました。

で、オールマン・ブラザーズです。

言うまでもなくオールマン・ブラザーズ・バンドは、アメリカ南部フロリダ州に住む、デュアン・オールマン(兄・ギター)とグレッグ・オールマン(弟・ヴォーカル&オルガン)の兄弟が中心になって結成されました。

実は早い段階(1963年)に才能を開花させた二人は”オールマン・ジョイス”というバンドを結成するんですが、下の写真を見て分かるように、まんまビートルズを意識した、UK風のポップなガレージバンドだったんです。

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(両サイドの右がグレッグ、左がデュアン)

残された音源を聴いても、ポップな曲の中で暴れるデュアンのギターはなかなかのやさぐれっぷりで(この頃からスライドも弾いてるんだって!)悪くないバンドだったんですが、この路線が合わないと思った二人はバンドを解散。

デュアンは田舎に帰り、グレッグは単身LAに行ってしまいますが、この間田舎であらゆるセッションに顔を出して腕を磨いていたデュアンは、アラバマのマスル・ショールズにあったソウルの牙城”フェイム・スタジオ”のセッション・ギタリストとして、同地でレコーディングするアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケットといったソウルの大物達に、そのフィーリング豊かなギターの腕を買われております。

このウィルソン・ピケットのレコーディングの時にデュアンが

「親方、ビートルズの”ヘイ・ジュード”って曲やらんですか?いや、やりましょうよ」

と、ピケットに提案したのは有名な話。そしてその音源を聴いたエリック・クラプトンが「凄いギターだがコイツは誰だ!?」と驚愕したというのも有名な話。

そんなこんなでソウル/R&Bの世界で既に名を上げて、あちこちのスタジオやライヴハウスでセッションにセッションを重ねていたデュアンが、ディッキー・ベッツ(ギター)、ベリー・オークリー(ベース)、ジェイモー(ドラム)、ブッチ・トラックス(ドラム)というメンバー達と出会い、彼らの生み出すグルーヴとセンスの良さに惚れて「よし!バンド組むべ!!ちょっと待ってろ、弟を呼び寄せる。アイツは最高のヴォーカリストでキーボーディストなんだ」と、LAにいたグレッグを呼び寄せ、1969年「オールマン・ブラザーズ・バンド」は結成。

既にデュアンとその仲間達の名は一帯に轟いておりましたので、彼らのデビューには地元レーベルの”カプリコーン”がすぐに飛び付いて、その年のうちにデビュー・アルバムの「ザ・オールマン・ブラザーズ」はリリース。






【収録曲】
1.ドント・ウォント・ユー・ノー・モア
2.ノット・マイ・クロス
3.腹黒い女
4.トラブル・ノー・モア
5.ハングリー・ウーマン
6.夢
7.ウィッピング・ポスト


まず、ここで聴けるのは、アメリカ南部に深く根を張るブルースやカントリー、そしてR&B(サザンソウル)の濃厚なフィーリングを、楽曲やサウンドの隅々まで充満させた、密度の濃い”新しいロックサウンド”であります。

左右のチャンネルに分かれた2本のギターは、”空駆けるスライド”と評されたデュアンと、そのスライドにギンギンのフレーズで絡んでくる”もう一人のリード・ギター”ディッキー・ベッツ。

そしてこのバンドのもうひとつの目玉であるツイン・ドラムが繰り出すパワーと間合いの調整が完璧な横ノリグルーヴ、その真ん中にドンと構えて、ズ太いビートを送り込むベース。

まずもってハタチそこらの若者バンドのデビュー作とは思えない熟練の演奏テクニックなんです。そしてライヴ盤以上のライヴ感に溢れながら、全体をじっくりしっかり聴かせる熟成されたサウンドなんです。

で、ここで開花したのが、ヴォーカル&キーボードのグレッグ・オールマンの色んな才能であります。

まずはソングライターとして、このアルバムはスペンサー・ディヴィスの@、マディ・ウォーターズのカヴァーC(コレが最高なんだ)を除いて全てオリジナルなんですが、楽曲を書いたのは全部グレッグ。

先ほど「ブルースとカントリーとR&Bの濃厚なフィーリングを充満させた新しいロック」と書きましたが、グレッグの書く曲こそが、正に骨太で聴かせる”ツボ”と、いかにもアメリカン・ロックなやさぐれた優しさ(わかるべか)が、ノリノリのナンバーだろうがバラードだろうが一本筋が貫かれてる。

これもまたハタチそこらの若者とは到底思えない、人生の悲哀を含んでザラッと吐き出すかのようなやるせない声、そして声にピッタリと合った優しくてワイルドなオルガンの音もまたたまらんのです。

最初の頃はアタシも

「どうやったらこんなスライド弾けるんだろう」

と、ギターにのみ集中して聴いてたんですが、聴き込むにつれて、そしてロック以外の色んな音楽を知るにつれて、つくづくこの独自の土臭い横ノリと、やるせないグレッグの声の魅力にめろんめろんになってしまいます。サウンドもグルーヴも、とにかく歌ってるんですよね。本当に理屈じゃない部分で感動させてくれる最高にイカシたバンドのイカシたアルバムです。

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2017年05月23日

サンタナ キャラバン・サライ


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サンタナ/キャラバン・サライ
(ソニー・ミュージック)


サンタナの4作目のアルバム「キャラバン・サライ」。

うん、個人的に”好きなアルバム”といえば、それは真っ先にこの前作の「3」であり、荒削りな音も含めて純粋にラテン・ロックをあひゃあひゃ言いながら楽しめるといえば、ファーストになるのでありましょうが、このアルバムに収録されている深い瞑想性に溢れた音を聴けば、いや、もう「キャラバン・サライ」というタイトルだけを聴いても、自然と気持ちが幽玄に誘われ、高揚でもあり陶酔でもある特別な感情に、心の中がいっぱいになってしまうのです。

ロック繚乱の60年代末にデビューし”ラテン・ロック”という新風をシーンに流し込んだサンタナでありましたが、彼らの創造性はそれだけに終わりません。

中心メンバーであるギターのカルロス・サンタナは、デビュー前からジャズ、特にジョン・コルトレーンの実験的でスピリチュアルな音世界に傾倒し、同じぐらいリアルタイムでリリースされたマイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」等のエレクトリック・ジャズに大いに興味を示し、マイルス・デイヴィスと積極的に交流をしておりました。

また、その頃の白人/黒人を問わず多くの芸術的完成を持つ若者を魅了していたインド哲学にも相当のめり込み、アメリカを拠点に多くの著名人の弟子を抱えていたヨーギ・シュリ・チンモイに弟子入り。そしてラヴィ・シャンカールにシタールの手ほどきを受けるなど、その没入ぶりは本格的なものでした。

ジャズとインド哲学からの影響が、サンタナの音楽を一気に深化させました。

前作「3」から本作に至るまでの「ロックとラテンの融合」という意味においては、基本的な路線は変わっておりません。

けれども、アルバム1枚がまるでひとつの壮大なスケールの組曲であるかのような音楽性、そして何よりもそれまでの「内にあるものをエモーショナルに放出する」という表現手法は、ここへ来て内面へ収束するエネルギーの反動を受けて放出、という、あいやすいません、哲学的に言うと何だか難しくなってしまいますが、とにかく内へ内へと精神的な世界の深い部分にまで入り込む思念的なサウンドと、やっぱり爽快でどこまでもよく伸びるギターの響きと、より洗練されて、ひとつの確固たる世界を確立しているバックとが絶妙なバランスで溶け合って、唯一にして無二な音楽を、ここで奏でておるのです。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


【収録曲】
1.復活した永遠なるキャラバン
2.躍動
3.宇宙への仰視
4.栄光の夜明け
5.風は歌う
6.宇宙への歓喜
7.フューチュア・プリミティヴ(融合)
8.ストーン・フラワー
9.リズムの架け橋
10.果てしなき道


CDを再生してしばらく「リーン、リーン」と鳴り響く虫の声(何と2分以上も鳴ってる!)に引き続き、かなりよじれた感じのサックスの音が、揺れ系エフェクトをかけたエレピがリズムを導くオープニング・ナンバー「復活した永遠のキャラバン」が荘厳にアルバムの始まりを告げ、ギターが本格的に雄大なソロを奏でるのはA「躍動」から。

そして「宇宙への仰視」ではスピリチュアル・ファンク、ヴォーカル入りで一番ロックっぽい「栄光の夜明け」前半のハイライトである「風は歌う」へと、演奏は様々なジャンルを横断しつつも、一貫して共通した荘厳なムードを保持しながら流れて行きます。

後半は、愛と平和のメッセージを込めた、サン・ラーばりのコズミック・ソウル「宇宙への歓喜」(この曲は原題の「All The Love Of The Universe」と呼びたいです、ハイ)、静寂を敷き詰めたシンセのゆわんとした浮遊からパーカッションがその静寂に浮遊する「フューチャー・プリミティヴ」、そのままでの流れからカルロスのギターとラテンのゴキゲンなリズム、ささやくようなヴォーカルとがまた素晴らしい融合の「ストーン・フラワー」更にテンポアップしてアルバム中最高の盛り上がりで聴かせる「リズムの架け橋」そして最後は一曲丸々壮大なエンディングのようなアレンジの上で目一杯の情念と余韻を響かせて飛翔するギターが最高にエモーショナルな「果てしなき道」。

はい、細かく一曲一曲解説しましたが、特に後半かなり激しく盛り上がっているはずなのに、聴いた後に不思議な静寂が心の内にゆわーんと漂う、本当に本当に不思議な感触を、壮大な感動と共に残すアルバムです。

収録曲はほとんどインスト、聴きようによってはジャズでもありますが、この強烈なオリジナリティ、やはりサンタナであります。本当に素晴らしい。



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2017年05月15日

ジョニー・ウィンター 狂乱のライヴ


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ジョニー・ウィンター/狂乱のライヴ


「暑い夏に冷たい飲み物をガブガブ飲むのは、逆に内臓に負担をかけて夏バテを起こしやすい、飲むならば暖かいほうじ茶がいい」

って、皆さん知ってました?

アタシはもちろん知ってました。えぇと美味しんぼという漫画に書いてありました。この前読んだのですよ、フォッフォッフォ・・・。

という訳で、暑い夏の107倍ぐらい熱いジョニー・ウィンターです。

今回ソニー・ミュージックの渾身の企画「ギター・レジェンド・シリーズ」では、ファーストと1971年の「ライヴ」と、もうひとつジョニー・ウィンターを聴くんなら絶対に避けて通れないアルバムがありまして、それが本日ご紹介する「狂乱のライヴ」です。

「狂乱」って凄いですね、タダのライヴじゃなくて狂って乱れておるんですよ、え?「ライヴ」だってそんぐらいヤバかっただろう、今更アタマに狂乱って付けんでも、それがジョニー・ウィンターのライヴだろ、という声も聞こえますが、えぇ、はい、その通りです。黙っててもステージの上では狂って乱れて弾きまくる男、いや”漢”それがジョニー・ウィンター。

分かってはおります、アタシもジョニー・ウィンター・ファンのはしくれですので、その一気にギアが入って狂い弾くオッソロシさは分かっておるつもりです。でも、いくら頭で理解して、聴いて理解しても、聴く度にそんな理屈を吹っ飛ばしてしまうのがこの「狂乱のライヴ」。

えぇ、狂っておるんです、乱れておるんです。前作の「ライヴ」が、ブルースもロックンロールもあって、それこそノリにノッたり、スロー・ブルースに「うぐぉ〜、たまらんっ!」となりながら、興奮しながらも楽しく聴けるライヴ・アルバムだとしたら、コレは一体何て言えばいいんでしょう、とにかく最初から最後まで一貫して”高い”を通り越してやぶれかぶれなテンションで、しかもほとんどの曲がノリノリのロックンロールで、聴く人を感慨に浸ったり、冷静に論じさせてさえくれない、えぇ本気でさいっしょかから最後まで「狂乱」であり「凶暴」なアルバムです。

ジョニーは本質的に「ロックンロールの人」であります。

ロックンロールの人だからこそブルースが骨まで染み込み、彼の表現上のコアになったというのはひとまず置いといて、ズバリ

「やかましくて騒がしい音楽」を、なーんも考えないでひたすら弾き倒してがなりたてる演奏こそが、本当の意味で彼の本質でしょう。





(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.マカロニ・ボニー
2.ロール・ウィズ・ミー
3.ロックンロール・ピープル
4.イッツ・オール・オーヴァー・ナウ
5.追憶のハイウェイ61
6.スウィート・パパ・ジョン



録音は1976年。

メジャー・レーベルのCBSと破格の契約を果たして、それまで麻薬中毒による一時休養もありながらも、順調に
作品をリリースしていたこの時期、例の”オレがオレが”の性格が炸裂して

「何か前のアルバムはよォ、アレ、メジャーデビューしてすぐの頃だったし、正直好きに作らせてくれなかったんだよね。だから今度のは悪いけど最初から最後まで好きにやらせてもらうわ」

と言い出してリリースされたものであると、まことしやかにささやかれておりまして、内容を聴く限り多分そうでしょう。

編成は「ライヴ」と同じ、ギター×2、ベース、ドラムスでありますが、ここではギタリストがリック・デリンジャーからハードロック畑出身のフロイド・ラドフォードに代わっております。

おお、じゃあ今度はバッキングに徹したサイドギターを従えて、ジョニーが縦横無尽にソロを弾きまくるんだな!?

・・・いいえ、そうではありません。

ジョニーが縦横無尽に弾きまくるまでは合ってるのですが、リック・デリンジャーに引き続きコイツもジョニーのギターに合わせるでもなく引き立てるでもなく、何かもう勝手に弾いております。しかも、トータルなセンスがあり、挑みかかる時もある程度の駆け引きが出来ていたリック・デリンジャーに比べ、フロイド・ラドフォードは何もかも荒削りで「おぉぉ、来た来た!おぉぉ、やったれ!」感が強く、このライヴ全体のやぶれかぶれなテンションに勝手に貢献しておるのです。

いや、こんな「リーダーが好きに弾いてるのにバックも好きに弾く」を、他のバンドがやったらそれこそブーイングものなんでしょうが、そこはジョニー・ウィンターなんですよ、このギター2本の乱暴狼藉に近いどつき合いが、まったくタフでラフでワイルドなアメリカンロックのサイコーなとこなんだよなぁ・・・と、何故か納得させてしまうから不思議なんです。いや、聴く方も強引にねじ伏せる力技の究極が多分コレ。

はい「狂乱のライヴ」最初からハイ・テンションで、スローブルースなんて最後の「スウィート・パパ・ジョン」しか入っとらんのですが、コレがまたそれまでのノリノリギンギンなロックンロールナンバー以上にキレてブッ飛んでるので、しっとりとかじっくりとか、とても聴いちゃおれんです。

間違いなく70年代のリアル・ロックンロール最狂のライヴ・アルバムということで。

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2017年05月10日

サンタナ 天の守護神

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サンタナ/天の守護神

うっかりしているうちに夏ですよ。

あのね、奄美26℃うへぇ・・・。とか言ってたら、暑いのはこっちばかりでなく、本土の方でも夏日だよねとかいう声が聞こえたんですが、コレもアレですかね、温暖化というヤツでしょうか?

とにかく最近の気候やらを見ておりますと、本土が亜熱帯化しているという感じではございます。

あの、魚や海洋生物の分布が、この数年で明らかに北上しているようなんですね。

それはさておきサンタナです。

ソニー・ミュージックからの、財布のやさしいココロに嬉しい税込み¥1080のギター・レジェンド・シリーズから、本日はサンタナであります。

サンタナに関しては、これまでこのシリーズの特集の中でファーストサードについてはガッツリ書きました。

これは単純に、アタシが好きでよく聴くアルバムからレビューしようと思ってたというだけで、特に深い意味はございません。

シリーズには、これからご紹介しますセカンド・アルバムの「天の守護神」と、カルロス・サンタナが完全に主導権を握り、音楽性をグッとジャズ/フュージョン寄りのものにした名作4枚目「キャラバン・サライ」がありまして、ハッキリ言いまして初期のこの4枚はいずれ劣らぬ名作でございます。

ここだけの話ベスト盤で安く済まそうと思うよりも、¥4000ちょい出してこの4枚を揃えた方がサンタナの音楽を、飽きることなく濃厚に楽しめますので、これをお読みになっておられる皆様は、ぜひそうなさってください。

はい、じゃあ今日は前置き短めで早速アルバムの紹介に入らせて頂きますね。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.風は歌い、野獣は叫ぶ
2.ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシー・クイーン
3.僕のリズムを聞いとくれ
4.ネシャブールのできごと
5.全ては終りぬ
6.マザーズ・ドーター
7.君に捧げるサンバ
8.ホープ・ユー・アー・フィーリング・ベター
9.エル・ニコヤ
10.全ては終りぬ (ライヴ)
11.祭典 (ライヴ)
12.ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシー・クイーン (ライヴ)

セカンド・アルバムの「天の守護神」は、1970年、サンタナがデビューしたその翌年にリリースされました。

69年のウッドストック・フェスティバルで好評を得た余波に乗って、そのウッドストックで演奏して話題になった「ブラック・マジック・ウーマン」(フリートウッド・マックのカヴァー)のシングルが大いに売れましたが、ファーストには入っておらず、ファンが心待ちにしていたところに「ブラック・マジック・ウーマン」収録のフル・アルバム。これを喜ばないファンはおりませんということで、セカンドにして早くもこのアルバムはヒット・チャート1位に輝きます。

そこでサンタナがやった粋なことがあって、実はこのアルバムに収録されているヴァージョンは、シングルとは違うヴァージョンで、2曲のメドレーになっております。

実はその”メドレーのもう一曲”の「ジプシー・クイーン」が、カルロス・サンタナが心から敬愛する天才孤高の無国籍ジャズギタリスト、ガボール・ザボの楽曲で、カルロスはこの素晴らしいギタリストの曲を、ミーハー気分で自分達の事を知った人にも聴いて欲しかったんじゃないかと思えば、何かこう胸にグッとアツいものが込み上げてきます。

実際「ジプシー・クイーン」は、ややまったりした「ブラック・マジック・ウーマン」から一気に加速するラテン・ビートで、繋ぎや展開も、もちろんギターのインプロの出来も最高だし、この後4曲目以降のアルバムの流れをビシッと決めていて、全体の雰囲気も見事に引き締めてそして盛り上げておるんですね。

で、多くの人が「このセカンドこそ初期サンタナの最高傑作」と語っております。

確かにファーストでの、ややジャムセッション風なサイケ風味と、サードで聴かれる完成度を上げた楽曲とカルロスのギターの自由奔放なインプロヴィゼーションが織り成すめくるめくカラフルな展開の丁度中間を縫うような、楽曲の美しさとアドリブのスリルとが、まだまだアナーキーで不穏な空気を残す演奏の中で繰り広げられるその熱気は、本作独特のものであります。

「ブラック・マジック・ウーマン」の話題で語られがちではありますが、ラテンの大物ティト・プエンテのカヴァーであります「僕のリズムを聞いとくれ」での、パカポコ命のラテン魂グルーヴが滾るのや、その後のムーディー路線の嚆矢となった”泣き”のギターが優しく唄う「君に捧げるサンバ」等の、その他のシングル曲もすごくいいです。

何より本作から、サンタナのトレードマークともいえる、あの「ぐいいいーーん」と伸びてゆくギターの長いサスティンが、まだ未完成とはいえ、ハッキリと分かる形で聴けるというのが、彼のギターが好きな人(はぁいアタシです)にとっては嬉しいところ。

そしてアルバムの構成も「どこまでもアツく盛り上がるラテン・パーカッションvsギター、オルガンのハードバトル大会」と「美しく余韻を残す哀愁ナンバー」が、ほぼ交互に絶妙なバランスで収録されていて、大ヒット級シングル曲が目白押しといえども、やっぱりアルバムとして聴きたい、そんな豊かなストーリー性にも溢れております。

2枚目までの「ガッツリバンドサウンド」の質感は、ツボにハマると結構やみつきになりますもんね♪


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2017年05月09日

スティーヴ・モーズ ストレス・フェスト

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スティーヴ・モーズ/ストレス・フェスト
(ソニー・ミュージック)

で、本日は一気に時代は飛んで、スティーヴ・モーズです。

や、このブログをご覧の読者さんの反応はきっと

「スティーヴ・モーズ?」



「あぁ、リッチー・ブラックモアの後釜でディープ・パープルに入った人ね」

の2種類かと思います。

もしかしたら

「お、復活後のカンサスでギター弾いてた職人じゃないの」

と、嬉しい反応をしてくれる人が・・・。ん、100人中7人ぐらいはいるかも知れません(汗)

そう、スティーヴ・モーズは、知る人ぞ知るギター職人。いつでも安定したテクニック、そしてハードロックからプログレ、ジャズ・ロック、カントリーまで、どんなスタイルでも完璧に弾きこなせた上で、独自のテクニカルな味付けが出来る、一言でいえば

「本当にギターの巧い人」

です。

トレードマークのメカニカルな速弾き、表現力豊かなハーモニクス奏法や、ギターシンセを駆使したギター・オーケストレーションの分野においても”代表格のひとり”と言ってもいいでしょう。

問題は、そんな器用な人だから、器用貧乏なイメージがあって、熱心にテクニックを追究しているギター弾き以外の知名度が決定的に低いこと(あー)。

でも、アタシは思います。

「それでいい、スティーヴ・モーズはギター弾きにだけ人気があればそれでいい。ギターが上手くなりたい人だけが彼のプレイを聴けばいい。そういう人はきっと彼の演奏から何かを得ることが出来るだろうから」

と。

そもそも今紹介しているこのシリーズは”ギター・レジェンド・シリーズ”なのです。

出来ればギターを弾かない人にも、広くフツーに興味を持って頂きたいところではありますが、そういうのは、ガチのブルースの人達や、70年代ロックの名盤達がきっと担ってくれるだろう。そんなことよりも”ギター弾きによるギター弾きのためのギターの事しか考えてないようなアルバム”が、シリーズの中に一枚ぐらいあってもいいじゃないか。それがアナタ、スティーヴ・モーズの「ストレス・フェスト」だよ。と。

はい、ちょいと強気に出てしまっておりますが、実際”テクニカルな90年代以降のテイストに溢れたギター”というものにとことん特化したこういうアルバムが、シリーズの中にちょこんとあると、何だかアタシ、嬉しくなってきてるんです。

スティーヴ・モーズは1954年アメリカのオハイオ州生まれ。十代の頃にテレビで見たビートルズに感動してギターを始め、ロックンロールやカントリー、ロカビリーなどをコピーしまくります。

15歳で自分のバンドを組み、高校時代にクラシックギター奏者のフォアン・メルカダルという人の演奏を聴いて感動し(何か感動してばっかりだなオイ)「オレ、本格的に音楽勉強するよ」と、マイアミ音楽大学に進学しますが、この時の同級生に、ジャコ・パストリアス、パット・メセニー、ブルース・ボーンスビーといった天才達がおり、彼らとツルみながら、モーズ少年はよりキチガイじみたバカテクにオリジナリティを見出す道を模索することに没頭し、卒業後高校時代に組んでいたバンド”ディキシー・グリッドの名を改めた”ディキシー・ドレッグス”を結成します。

このバンドは、プログレッシヴ・ジャズ・ロックを愛好する人達を中心に今でも評価が高いインスト主体のバンドであります。

このディキシー・ドレッグスは、独特のユルさと緊張感を併せ持つサウンドで、ダラダラ聴きつつもハマると結構クセになりますので、気になる方はCDも出てますし、動画も結構ありますんで、ぜひ聴いてみてください。

おっと、スティーヴ・モーズの話に戻ります。

その後演奏活動の限界を感じたモーズは、1984年にディキシー・ドレッグスの活動を休止。”スティーヴ・モーズ・バンド”を結成して、独特のフュージョン・テイストのハードロックというスタイルを開花させ、好きに弾きまくります。

でも「ねぇ、お前が好きに気持ちよく弾いてるだけのインスト・アスバムは売れないよ」とでも言われたのか、85年のセカンドではヴォーカリストも迎えた大人のアメリカン・カントリー・ハードロックとでも言うべきアルバムを出しますが、こういうのが気に入らなかったのか、同時期に加入していたカンサス(人気のプログレバンド)との掛け持ちでの、「レコーディング→ツアー→レコーディング」という生活に嫌気が差したのか、あっさり音楽を止めて、何と航空便のパイロットに転職します。

パイロットって・・・。

でも、やっぱりギターが好きな彼は、収入の良いパイロットを1年ちょいであっさり辞めて、今度はソロ・アーティストとして復帰。



(ギター・レジェンド・シリーズ)

【収録曲】
1.ストレス・フェスト
2.ライジング・パワー
3.アイズ・オブ・ア・チャイルド
4.ナイトウォーク
5.ブレイヴ・ニュー・ワールド
6.4・ミニッツ・トゥ・リヴ
7.ジ・イージー・ウェイ
8.グラッド・トゥ・ビー
9.デリケイト・バランス
10.リヴ・トゥ・ライド
11.ピード・キング


でも、一部のギターファンから彼は熱狂的に迎えられ、80年代後半から90年代と、活動は非常に充実しておりました。

ソロとして好きなスタイルで演奏する一方で、かつての仲間達に声を掛け、ディキシー・ドレッグスを復活。更に1994年にはリッチー・ブラックモアがプイッと辞めてしまったディープ・パープルに、リッチーの後任として加入。

ディープ・パープルは、特に「第五期」と呼ばれる90年代の再結成後のパープルは、良くも悪くもリッチーのカリスマと存在感とオラオラで成り立っていたバンドでしたが(や、トミー・ボーリン時代のパープルもなかなかいいんだよ、と言えばまた違う話になってしまうのでまたいつか・・・)、ここでリッチーの後釜として

「上手い、センスいい、性格もいい」

の3拍子揃えた彼のプレイは、当初の予想以上に素晴らしいものでした。

で、モーズは今もディープ・パープルに所属しながら、世界中のファンに「ギターの素晴らしさ」を伝え続けています。

このアルバム「ストレス・フェスト」は、それこそパープルに加入して革新的名盤と呼ばれる「紫の証」のリリースと丁度同じ時期にリリースされた、トリオ編成のインスト作品。

パープルで綿密かつ大胆なアレンジに相当神経を使っていた時に、シンプルな編成でとことん好きなプレイを楽しんでいるモーズのリラックスした、でもソロとなると恐ろしい程に正確かつ高速なフレーズがぶっ飛ぶ、これもまた”本気”の作品。

演奏はディストーションをガッツリかけたハードロックなトーンでもって、フュージョン風のスタイルを貫いておりますて、ギターは”弾きまくり”と”大人の余裕”がめまぐるしく交錯します。うん、一言気持ちいい♪

ずっといい味を出しているデイヴ・ラルーの「全然重低音じゃないファンクベース」の、うっすい音でパキパキ言うチョッパーがまたいいんですよね。

ちょっと滅茶苦茶な喩えかも知れませんが、このアルバム


「リラックスして気合いを入れてギターを聴きたい」

人にはとにかくオススメです、うん、聴けばその意味も分かります。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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