ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年02月07日

ライオネル・ハンプトン スターダスト

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ライオネル・ハンプトン/スターダスト
(Decca/ユニバーサル)


ジャズが好きです。

何でジャズがこんなに好きになったのか、それは色々あり過ぎて一言では説明できないのですが、とにかく好きです。

まぁちょっとお聞きくださいな。

音楽っていうのは不思議なもんです。

「こういう気持ちになりたい!」

と思いながら聴く時はもちろん多いのですが、じっくり聴く音楽となると、それとはちょっと違って

「自分の中のこんな感情」

というやつを引き出してくれるものであったりします。

ちょいと大袈裟な言い方かも知れませんが、人生って感情の積み重ねなんですね。

嬉しいこと楽しいこと、辛いこと悲しいこと・・・。

そういうのが生きてると必ず付いて回るんですけど、多くは日常を生きているうちにだんだん薄まっていったり、別の感情に取って変わったりする。

特に悲しかったり、切なかったりする感情は心の引き出しが、表に出ないように、しっかりと鍵をかけて保管してくれますね。

えぇと、何の話だったか。そうジャズ。

「あぁ、ジャズって本当にいいな・・・」

と思ったことのひとつに、そういった心の引き出しにしまってた感情を、心の奥底からスーッと引っ張り出してくれるというところがあります。

切なかったり苦しかったり、自分にとってはどちらかというとネガティヴな感情のはずなのに、耳から心にジャズが入って引き出すそれは、ヒリヒリじんわりと、痛みを伴いながらも心地良いもんなんです。

ジャズが好きです。

特にオールド・ジャズ、アーリー・ジャズと呼ばれる古い時代のジャズには、その作用が高い割合で含まれているようで、その何ともまろやかな音色と、ノスタルジックな音質に心を漂白させながら、よく物思いにふける時があります。





【パーソネル】
ライオネル・ハンプトン(vib)
チャーリー・シェイヴァース(tp)
ウィリー・スミス(as)
コーキー・コーコラン(ts)
トミー・トッド(p)
バーニー・ケッセル(g)
スラム・スチュワート(b)
リー・ヤング(ds)
ジャッキー・ミルズ(ds)

【収録曲】
1.スターダスト
2.ワン・オ・クロック・ジャンプ
3.ザ・マン・アイ・ラヴ
4.オー、レディ・ビー・グッド



その代表的な1枚と言ってもいいのが、ジャズ・ヴィブラフォンの名手、ライオネル・ハンプトンの「スターダスト」


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1947年にレコーディングされたライヴ・アルバムで、あらゆる意味での「ジャズってこうなんだよ、くーっ!」というものが目一杯詰まった名盤として、多くのジャズ好きの心のふるさととして今なお聴かれ続けております。

まずは何も言わずに、タイトル曲の「スターダスト」を聴いてみてください。

出だしからまろやかでまろやかで、伸びのあるメロディアスなアルト・サックス、くすんだ音色で溜息のようなトランペット、フレーズから蒸気と共にやるせない煙草の煙が立っていそうな、ウォームなテナー・サックス。

それらがソロを取っている間、星屑のように、或いは儚いシャボンのように、キラキラと輝きながら余韻を残して消えてゆくヴィブラフォン。ハミングと共に奏でられる、切ない切ないベースソロ。それに続くピアノだってベースだって、雑味のない音色でキュンキュンくるよ〜。

で、満を持して「カツン!」と強めのアタックから入ってくるライオネル・ハンプトンのヴィブラフォンのソロがまたたまんない。徐々にテンポを上げながら「イェ〜」「アァ〜♪」と本人の声も入ってるんですが、これが最高に音楽。

そしてゆったりした時間の中で、それぞれの楽器がソロの最高の盛り上がりの時に、自然と客席から起こる歓声と拍手。

あぁ、いいなぁ、これを聴いている間は、最高の音楽と心の内から剥がれて落ちる、哀愁とか郷愁とか、そういうのでクシャクシャになった心のカケラが浄化されてゆく感覚にずっと浸っていられる・・・。


2曲目以降も極上のスウィング・ジャズで、ライオネル・ハンプトンについても、このアルバムに参加している名手中の名手といわれるメンバー達についても、もっといっぱい語りたいことはありますが、とりあえずそういうお勉強的なことは後でいいから、皆さんは「スターダスト」を聴いて、それぞれの心の内にあるヒリヒリしたものを、この最高の音楽にそっと浸してみてください。

ジャズが好きです。

うん、それ以上に音楽って特別なものなんです。すごくすごく特別で、いいものなんです。



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2017年01月29日

ホレス・シルヴァー ソング・フォー・マイ・ファーザー

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ホレス・シルヴァー/ソング・フォー・マイ・ファーザー
(Bluenote/EMIミュージック)

「ミルト・ジャクソン・クァルテット」を聴いていましたら、ホレス・シルヴァーを聴きたくなってきました。

ホレス・シルヴァーといえば、多分ジャズを好きになった人、でもって最初に何を聴くべきか迷って、名門BLUENOTEレーベルのアルバムに手を出した人にとっては、恐らく最初に「おっ」と気を引くアーティストだと思います。

そうでなくても

「オシャレでファンキーなジャズ」

を、追い求めている人は、大体最初付近に出会って、そのカッコ良さにヤラレる人であると思います。

かく言うアタシもそうでした。

フリー・ジャズからモダン・ジャズへと、ジャズの好みの幅が段々と拡がってきた最初の頃に出会ったのが、ホレス・シルヴァーのファンキーな名曲「ソング・フォー・マイ・ファーザー」(確かクラブジャズ系のオムニバスに入ってた)を聴いて

「うぉお!何このオシャレでカッコイイ曲は!?これもジャズか、これもジャズでええのんか!?」

と、びっくらこいたものです。



【パーソネル】
ホレス・シルヴァー(p)
カーメル・ジョーンズ(tp,@ACD)
ブルー・ミッチェル(tp,B)
ジョー・ヘンダーソン(ts,@ACD)
ジュニア・クック(ts,B)
テディ・スミス(b,@ACD)
ジーン・テイラー(b,BE)
ロジャー・ハンフリーズ(ds,@ACD)
ロイ・ブルックス(ds,BE)

【収録曲】
1.ソング・フォー・マイ・ファーザー
2.ザ・ネイティヴス・アー・レストレス・トゥナイト
3.カルカッタ・キューティ
4.ケ・パサ
5.ザ・キッカー
6.ロンリー・ウーマン

ジャズの世界で「ファンキー」といえば、元々はいわゆるファンクやソウル系のあの感じではなく("ファンキー"という言葉がちらほら聞けるようになった50年代半ばはソウルもファンクもまだ生まれてなかったから当然といえば当然ですが)、ゴスペル音楽から導入したコール&レスポンスの繰り返しで沸き上がる、いわゆる"黒っぽさ"のことをそう言っておりました。

その"ファンキー"のジャズにおける元祖は、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ。

色々あって途中仲違いしてしまいましたが、シルヴァーはそのオリジナル・メンバーで、初期のジャズ・メッセンジャーズではブレイキーのドラムにピッタリと息を合わせたグルーヴィーなピアノで"ファンキー"を次々生み出しておりました。

袂を分かつた後、ブレイキーはよりゴスペルに根ざした"ジャズのファンキー"を追究し、シルヴァーは60年代に入ると自らのバンドを率いて、ゴスペルやR&Bの感覚にラテンなどのエッセンスも積極的に演奏に取り入れ、独自の"ファンキー"を極めておりました。

このアルバムは1964年、絶好調のシルヴァーが、自分自身の「ファンキージャズ」を高らかに宣言しただけでなく、この時代のブルーノートというレーベルのカラーを決定付けた、素晴らしいインパクトと存在感に満ちたアルバムです。

まず、シルヴァーは、ピアニストとしてはもちろん凄腕ですが、そのテクニックを演奏面で弾きまくって炸裂させるタイプではなく、練り込まれたバンド・サウンドの中で、曲やアレンジのカッコ良さを引き立てる、センスの良いプレイをすることに専念しているような、非常に効果的で"ツカミ"に溢れた演奏を聴かせます。

特にこのアルバムでは、ジャケットに写っているホレスのおとーちゃんに捧げたアルバムで、ポルトガル系の血を引くおとーちゃんを意識して、ラテン風味のアレンジが、洗練されたモダン・ジャズ・サウンドと自然に融合して、それがそれまでのストレートなハード・バップにはないオシャレ感の肝になってるんですね。

「ジャジーな曲にラテンを絡める」という手法は、90年代以降のクラブジャズやハウスのミックスものなんかではもう当たり前だったりしますが、このアルバムとチック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエヴァー」がなかったら、果たしてその手法はすんなり成り立っていたかなと思います。

バンド・サウンドも実に引き締まってて無駄がなくカッコいいですね。個人的にこのアルバムはジョー・ヘンダーソンの、ファンキーだけれどもどこかナイーブで掴み所のない"やや変"なテナーを楽しみつつ、シルヴァーのセンスの良さにグッとくるアルバムだとも思います。

1964年といえば、あのビートルズがデビューした年でもありますね。同じ年にロックとジャズ、それぞれのフィールドから究極にポップでセンスと洗練の塊のようなバンドと作品がリリースされたことに、何か時代の大きなうねりも感じますね。




(定番のFUNKYチューンです。元祖レアグルーヴ名曲♪)

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2017年01月27日

ミルト・ジャクソン・クァルテット

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ミルト・ジャクソン・クァルテット
(Prestige/ユニバーサル)


冬は大体体調がよろしいのですが、昨日まで不覚にも風邪を引いておりました。

先週末から何か咳がでるなぁと思っておりましたら、一昨日ついに頭痛と悪寒が酷くなり、節々も痛くなって「これは風邪だ」と。

風邪というのはアレですね、こういう風にこじらせてしまったら、もう何をしてもお手上げです。ひたすら水分を補給して、体を暖めに暖めて、内側の免疫力様の後方支援に回るしかない。

幸いにして昨日の朝、汗をどっさりかいて峠は何とか越えました。

さぁ、体調も回復したしドカッと景気の良い音楽なんか聴いて〜♪

と、思ってたのですが、いざ車でCDをセットしてみましたが、どうにも体が付いていかない。

いつもなら好んでガンガン聴いているはずのタイトなドラムとか、攻撃的なリズムとか、ギンギンのエレキギターとか、濃いぃヴォーカルのシャウトとか、大好きなんですよ。大好きなんですが今日は違う。

あれこれ考えて、MJQ(モダン・ジャズ・クァルテット)を聴こうと思ったんです。

あれいいですよね、けたたましいホーンが入ってないし、リズムは軽快だし、何より曲がクラシック調ですごく耳に優しい。

よいしょっ、とCD棚から取り出したはずのMJQ・・・



【パーソネル】
ミルト・ジャクソン(vib)
ホレス・シルヴァー(p)
パーシー・ヒース(b)
コニー・ケイ(ds)

【収録曲】
1.ワンダー・ホワイ
2.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
3.ムーンレイ
4.ニアネス・オブ・ユー
5.ストーンウォール
6.アイ・シュッド・ケア


違う!

これは『モダン・ジャズ・クァルテット』じゃなくて『ミルト・ジャクソン・クァルテット』の方のMJQ!!

よほど風邪で体力と思考力が衰えてたんですな。。。

でも、今日のアタシには、このアルバムが一番フィットしました。

『ミルト・ジャクソン・クァルテット』は、モダン・ジャズ・クァルテットと同じ編成です。

メンバーもジョン・ルイスの代わりにホレス・シルヴァーがピアノ弾いてるということ以外は全く一緒です。

ですが、"たった一人のメンバーが違う"ということだけで、決定的な"違い"が生まれたりするのが、ジャズの面白いところ。はい、このアルバムは、いわゆるMJQの、クラシック風味溢れる典雅なそれとはサウンドの質感、全く違います。

最初アタシはこう思ってました

「ブルージーなミルト・ジャクソンとファンキー大先生のホレス・シルヴァーだったら、これはもうノリノリのファンキー大会だろうな〜♪」

と。

これも違いました。


一言でいえば「しっとりとした大人のアルバム」です。

1曲目こそちょっとノリのいいミディアム・テンポですが、これ以降はミルトのヴィブラフォンはじわっと奥底に秘めたブルース・フィーシングを滲ませながら、ホレス・シルヴァーのピアノは、ひたすら美しく儚げに絶妙な絡みでゆったり心地良く酔わせてくれます。

「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」での、ヴィブラフォンのコーンと澄み切った響きとか、「ムーン・レイ」での、どうしようもなく影を引きずったブルーな世界とか、もうたまらんですね。

ミルトのアルバムの中でも、このアルバム、実はかなり地味な方だと思います。派手に吹くホーン奏者はいないし、MJQと同じ編成/ほぼ同じメンバーながら、華やかで強いインパクトを持った曲が入ってない。

でも、ちょっと心身に元気がない時とか、特に「これを聴く!」と強く思わない時に聴くと素晴らしく染みるアルバムです。そして長く付き合える良い音楽です。












(3曲目「ムーンレイ」このダークな雰囲気がたまらんですね〜)

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2017年01月21日

ジミー・スミス Root Down!

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ジミー・スミス/ルート・ダウン!
(Verve)

いぇ〜い、大寒だぜ〜、寒いぜ〜!!

寒くなると皆さんアレですよね、オルガン・ジャズのファンキーでアッツいやつであったまりたくなりますよね?

や、曲がファンキーでアーシーで、アツいぜ!というのはもちろんあるんですが、ハモンド・オルガン、特に昔のジャズの人達が使ってるハモンドB3オルガンの音って、とってもあったかい。

オ〜ライ?

オ〜イェ〜?

というわけで、本日はオルガンです。

いくら奄美とはいえ、ここ数日北風ゴンゴンでハンパなく寒いので、こらもうコッテコテのやつを紹介しますね〜!

はぁい、ジミー・スミスです。


【パーソネル】
ジミー・スミス(org)
スティーヴ・ウィリアムス(harmonica,B)
アーサー・アダムス(g)
ウィルトン・フェルダー(el-b)
ポール・ハンフリー(ds)
バック・クラーク(conga,perc)

【収録曲】
1.Sagg Shootin' His Arrow
2.For Everyone Under The Sun
3.After Hours
4.Root Down (And Get It)
5.Let's Stay Together
6.Slow Down Sagg
7.Root Down And Get It (Alternate Take)


「ジャズでオルガン」

といえば、これはもうジミー・スミス。

何てったって、それまで地味な楽器に過ぎなかったオルガン、どころかジャズの演奏で使うと

「え?何で教会で使う楽器を、わざわざジャズのステージに持ってきてんの?」

と、不思議がられてすらいたというオルガンを

「んなこたぁねぇぜ、オルガンだって立派にスウィングできるんだぜぇ♪」

と、見事モダン・ジャズの楽器に仕立て上げ、60年代には後継者が続々と登場。

で、そこにソウルとかファンクのムーブメントと濃厚に繋がったジャズが生まれ、その中でオルガンはなくてはならない楽器になって行くんですが、ジミー・スミスのアルバムといえば、プレイ自体はファンキーだったりアーシーだったりするんですが、内容は意外と真面目(?)な4ビートでスウィングするアルバムが多いので、コテコテにファンキーで、いわゆるソウル・ジャズとかジャズ・ファンクなノリを求められる方には

「ん?ジミー・スミスってこんなだったっけ〜?」

と、言う方も多いです。

はい、そんな「ファンキーでアーシーでイェ〜イ」な方々のご要望をイェ〜イと満たすアルバムがこの「ルート・ダウン」。

これは凄いんです、ジミー・スミス史上、いや、ジャズ・オルガン史上すこぶるアツい。何てったってライヴですよ、しかも16ビート、更にブルース(!)でガンガンゴンゴン攻めまくる。

1972年、ジミー・スミスは長年契約していたBLUENOTEからVerveという、ジャズでは大手名門のレーベルを経て、レコード会社からの独立と自身のライヴハウス経営に向けて動いておりました。

で、長年住んでいたニューヨークから、西海岸のロサンゼルスに拠点も移して頑張るぞー!と燃えていた丁度その時のロサンゼルスでのライヴですね。

メンバーは、ドラムのポール・ハンフリー以外はほとんど無名の若手ばかり、なおかつギターのアーサー・アダムスに至っては、B.B.キングに影響を受けたブルースマン。

これが結果的に素晴らしくジャンルレス、というか「ジャズ」の「」を見事に取っ払って、ジャズにソウルにブルースにファンク、この時代に至るまでのヒップなブラックミュージックがアツアツに混ざりあって沸騰する、ズバリな熱演を生んだ訳です。

@の16ビートからクライマックスで4ビートでの疾走とか、Bのブルースハープ入りのどストレートなモダン・ブルースとか、ビースティ・ボーイズがサンプリングしたCとか、もう「ファンキー!」と叫ばずにおれない名演てんこ盛り。ジミー・スミスの傑作、アツいジャズファンク名盤であることは間違いなくて、更に70年代のクラブの濃厚な空気もそのままの温度で体験させてくれますよ。これ聴いてあったまろう!








(イェェェェェェェェエス!!!!)


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2017年01月18日

ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット

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ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット
(Prestige/ユニバーサル)

はい、本日も”ジョン・コルトレーンと並ぶ”といわれるモダン・ジャズ・テナー・サックス界の雄、ソニー・ロリンズです。

大体アタシは夏になると「大コルトレーン祭」をやっております。そん時はもう朝から晩まで見事なコルトレーン漬けになりますので、必然的にロリンズを聴くのは「コルトレーンの季節」が終わった、秋から冬にかけてが多い。

あ、はい。「何じゃそりゃ?意味わからん」と思ってる方も多いと思いますが、ごめんなさいね。あんまり深い意味はないんで「あぁ、コイツにとってはそんなもんなんだろーな」ぐらいに思っててくだされば幸いです。


幸いついでに、サクサクと本日のロリンズオススメ盤を紹介しましょうね♪

「ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット」という少々長いタイトルの、1枚の作品があります。

アタシもロリンズを知ってすぐの頃は「長いタイトルだなぁ」としか思ってなかった。

しかし!

これが、その後50年、いや60年以上も「モダン・ジャズ・テナーの巨人」として頂点に君臨する(2017年の時点でまだ現役。えぇぇえ!?)ソニー・ロリンズの、記念すべき初リーダー・セッションも含む、非常に重要かつ中身もすこぶつカッコイイ名盤であるんです。

はい、サクサクいきますよ〜。

まず@〜Cが、1953年10月7日の「ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット」のセッション。

ミルト・ジャクソン、ジョン・ルイス、パーシー・ヒース、ケニー・クラークの4人が組んだバンドが「モダン・ジャズ・クァルテット(通称MJQ)」で、これもまたモダン・ジャズでは知らない人はいないぐらい人気のグループなんですが、結成したばかりのそのMJQと、デビューしたばかりのロリンズを組み合わせた、元祖夢の企画なんです。

そしてD〜K、コチラはケニー・ドリュー、パーシー・ヒース、アート・ブレイキーと、当代きっての名手をガッツリバックに揃えた(ヒースは何とMJQ結成前)、ロリンズの記念すべき本格的な初リーダー作。オマケのように入ってるLは、同じくモダン・ジャズ黎明期の名人ドラマー、ロイ・ヘインズに、何とピアノでマイルス・デイヴィスが参加した、正真正銘の初セッション録音(リーダーという訳ではなかったみたい)です。

後半2つのセッションはいずれも1951年。

51年といえば40年代後半から一部のヒップな若いジャズマン達のものだったビ・バップが全体に浸透し、いよいよジャズが「モダン・ジャズ」と呼ばれて盛り上がっていた丁度その時。

ロリンズは何とこの時19歳です。



【パーソネル】
(@〜C)
ソニー・ロリンズ(ts)
ミルト・ジャクソン(vib)
ジョン・ルイス(p)
パーシー・ヒース(b)
ケニー・クラーク(ds)
(D〜K)
ソニー・ロリンズ(ts)
ケニー・ドリュー(p)
パーシー・ヒース(p)
アート・ブレイキー(ds)
(L)
ソニー・ロリンズ(ts)
マイルス・デイヴィス(p)
パーシー・ヒース(b)
ロイ・ヘインズ(ds)

【収録曲】
1.ザ・ストッパー
2.オール・モスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ
3.ノー・モウ
4.イン・ア・センチメンタル・ムード
5.スクープス
6.ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート
7.ニュークス・フェイド・アウェイ
8.タイム・オン・マイ・ハンズ
9.ディス・ラヴ・オブ・マイン
10.シャドラック
11.スローボート・トゥ・チャイナ
12.マンボ・バウンス
13.アイ・ノウ

はい、ここまで書いて

「モダン・ジャズって何よ?ロリンズ19歳でデビューしたとか言ってるけど何がそんなに凄かったのよ?」

と、お思いの方、多くいらっしゃることでしょう。サックリとご説明しましょうね。

まず、ビ・バップとかモダン・ジャズとか言っておりますが、これは物凄く乱暴にまとめてしまえば「ジャムセッションでの意地悪」がそもそもの始まりであります。

1920年代後半から30年代にかけて、実はジャズという音楽は、基本の形が早々と整っていたんです。

音楽というのは、大体がリズムと和音(コード)とメロディーで出来ておりますね。

ジャズの場合は、西洋起源の「長調(メジャー)と短調(マイナー)」のポピュラー音楽に、ちょっとだけ濁った響きの音(最初セブンス、後にナインスなど独特のコードをプラス)を加えて、拍子のカウントをずらした、いわゆるシンコペーションという、これまた独特の取り方でリズムを刻む。

つまり

「メジャーとマイナーを濁った響きで崩し、シンコペーションでリズムを刻んで、ソロイストがその上をアドリブでメロディー展開していけばジャズ」

という、今なお「ジャズ」という音楽を簡単に説明する時に使って全然OKな公式が、戦前にもう出来ておった。

作曲家や演奏家は「その上で独自の工夫を凝らす」ことで、ジャズは洗練と熟成への道を10年ぐらいかけてゆんわり歩いてたんですね。

ここに第二次世界大戦という出来事が起きて、若いミュージシャン達も兵隊に行ったりして、よほどの人気バンドであってもビッグバンドを維持するのが難しくなってきた。

だからミュージシャン達は小さな編成でやらざるを得なくなって「アドリブの個人技」と「ビッグバンドの迫力に対抗できるスピード感」に興味と感心を払うようになったんです。

で「なんか新しいことやろうぜ」と、思い立った連中の中で、とりわけ楽器が上手くてセンスのある連中が、わざと展開を難しくしたり、テンポを鬼のように早くしたり、不協和音ギリギリの難しいコードをの中にぶっこんだりして、ジャムセッションを繰り広げていました。

この、難しかったり早かったりする新しいジャズが「ビ・バップ」です。

楽器が上手くてセンスのある連中は、他の連中をやっつけるためにこの技法を編み出したと言われています。

さてさて、この「新しいジャズ」の演奏で、最も人々の度肝を抜いたのが、アルト・サックスのチャーリー・パーカーという人なんです。

彼の登場によって、それ以降のサックス吹きがみんなパーカーみたいになっちゃったと言われる程影響力があり、そのフレーズは鮮烈なものでしたが、パーカーが編み出したその奏法を、テナー・サックスでほぼ完璧に吹きこなし、かつそれだけじゃない、何かこう、テナーの新しくてカッコイイ表現をやってくれそうな予感を、聴く人にビンビン感じさせていたのがこの時期の、ハタチそこらの若いロリンズです。


ふー・・・。

さっくり行くつもりが、分かりやすく説明しようとするとどうしても回りくどくなってしまうのは、アタシの筆力不足もありますが、この時代のジャズはそんぐらいめまぐるしく進化していて、ミュージシャンの層も厚かったと思っていただければ幸いです。

演奏を聴いてみましょう。

どのセッションでもこの時代一流の凄いメンツをバックに、ロリンズは堂々たる吹きっぷりで、なおかつ音もズ太く、淀みなくスラスラ出てくるアドリブに圧倒されます。

そしてこのアルバムの真の聴き所、そしてロリンズを心底「凄い」と思わせる秘密兵器は、皆さん、バラードですよ。

アタシはこのアルバムに入ってる「イン・ア・センチメンタル・ムード」という曲が大好きなんです。

きっかけは、作曲者のデューク・エリントンが、何とジョン・コルトレーンと一緒に演奏しているヴァージョンを聴いて、泣くほど感動したからなんですが、このロリンズの「イン・ア・センチメンタル・ムード」には、ひたすら繊細でキュンとくるコルトレーンのそれとはまた違う、オリジナルのエリントンのヴァージョンで、ジョニー・ホッジスのアルトが紡ぐ、優雅で幻想的なそれとも違う、実に男らしい優しさと憂いと色気に満ち溢れた、このアルバムでのロリンズの演奏を耳にして男泣きしました。

これは"渋い"どころじゃない、いや、こんなふくよかでドラマチックなバラードは、熟練の名手でもそうは吹けんじゃないか。もちろん若造は言うに及ばず何ですが


・・・本当にハタチそこらの新人が吹いてんのか!?そこまで思います。今でも思います。

えぇ、ロリンズのアルバムの中でも、デビュー作ではありますが、聴けば聴くほどに深まる味わいはびっくりするほどふんだんに散りばめられていると思います。






(「イン・ア・センチメンタル・ムード」何というスケールの大きな素晴らしいバラードでしょう)



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