
キング・カーティス ライヴ・アット・フィルモア・ウエスト
(Atlantic/ワーナー)
70年代ソウル・ジャズ、インストゥルメンタル・ファンクのライヴとして、もはや「聖典」として語り継がれている感すらある、もう名盤中の名盤、キング・カーティスの1971年フィルモア・ライヴでございます。
アタシはキング・カーティスといえば、それこそ二十代前半の頃、夢中で聴いていた、ジャンプ・ブルースやいわゆる「ホンカー」「タフ・テナー」(要はテナーをひたすらブリブリと豪快に鳴らす人達)の流れで、初期の音源を聴いて「うわぁ〜、何て男らしいテナーを吹く人なんだ〜!!」と、惚れて以来のファンなんですね。
つまりカーティスを「ブリブリのブルース系の人」だとずっと思っておった。
それが70年代に、こんなゴキゲンかつ最強にグルーヴィーなアルバムを出しておるとは知らなかった。
働いてたレコード屋の先輩に「え?高良君、キング・カーティス好きなのにフィルモア知らないの?」と、呆れられたことがあります。つまりこのアルバムは、キング・カーティス好きとかブルースとかジャズとかそんなに詳しくない人でも知っているぐらいの有名盤だったんですね。と、後から気付いた(汗)
さてさて、このアルバムなんですが、もう「理屈はいい!とにかく聴け!!」の類でありまして、あー、そんなこと言っちゃったら、紹介する意味なんてなくなるからアレなんですが、もう、何か考えながら聴いても、この素晴らしく腰に来る見事に”かっさらうグルーヴ”にやられて、何も書ききれんごとなってしまいます。
とりあえずメンバーは、キング・カーティスにコーネル・デュプリー(g)、ビリー・プレストン(org)、バーナード・パーディ(ds)他、この時代のソウル〜ジャズ〜ブルースと、又にかけてセッションできる一流どころのメンバーが勢揃いであります。
楽曲も、プロコル・ハルムの大ヒット曲「青い影」レッド・ツェッペリン「胸いっぱいの愛を」スティーヴィー・ワンダー「涙をとどけて」などの、当時の超有名ヒット曲のアツくほとばしるファンク汁100%カヴァーがもう凄まじく(最初はツェッペリンで「やべー、すげー、こんなファンキーになるんだー!!」と狂喜してましたが、「青い影」じわじわきます。ホントコレ名演)、んで、ちゃっかりと入ってる俺達のバディ・マイルス「チェンジズ」とか、ポピュラー・ファンにも、コッテコテのブラック・ミュージック・ファンにも、コレは間違いなくウケるでしょうというか、もうバーナード・パーディが中心になって繰り出すブ厚いグルーヴと、カーティスの「バスーン!」と抜けるテナーの音を聴くだけで、鳥肌が電流のごとく走ります。
あちゃ、やっぱり聴きながら、興奮値MAXで書いているから全然説明的な文章が書けない・・・。
まぁその、ここまで読んで「アツいな」と感じた方は、これはもう是非入手して聴いてみてください。中身は極めて高純度なソウル・ジャズ、つまりは良質なブラック・ミュージックそのものですが、このアツさはどんなジャンルの音楽が好きな人にもきっと伝わるアツさだと思いますので、はいィ。。。
【収録曲】
1.メンフィス・ソウル・シチュー
2.青い影
3.胸いっぱいの愛を
4.アイ・スタンド・アキューズド
5.チェンジズ
6.ビリー・ジョーの歌
7.ミスター・ボージャングル
8.涙をとどけて
9.ソウル・セレナーデ
ちなみにこのコンサート、同じ日に行われたアレサ・フランクリンのライヴの「ついで」に行われた演奏らしいです(彼らはアレサのバック・バンドだったのです)。
いや、この濃密さ「ついで」どころじゃないでしょう・・・・。
『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』
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