2018年05月31日

リコ・ロドリゲス アンリリースド・アーリー・レコーディングス:シャッフル&ブギー 1960

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リコ・ロドリゲス・アンド・フレンズ/アンリリースド・アーリー・レコーディングス:シャッフル&ブギー 1960
(Federal Records)


このクソ梅雨時のジメジメした時期に素敵なイベントにおでかけして

「あぁ、思い出した思い出した、コレ好きなんだ!」

と、ジャマイカ・オーセンティック・スカの巨匠、リコ・ロドリゲスの代表作を紹介したら思わぬ反響がありました。

「いや〜、私も実はスカとか聴いてみたかったのですが、正直スカタライツぐらいしか知らなくて、他にどんなのを聴けばいいのかと悩んでましたー」

おぉ、おぉ、いいですね、素晴らしいですね。ありがとうございます。このブログはジャンルを問わず音楽の素晴らしさを、それもなるべく紹介したアーティストや作品を知らない人に聴いて頂くとすごく嬉しいブログです。こういう風に読んでくださった方が音楽との出会いに繋げてくださると、もう書いてる方も冥利に尽きるし、やる気も出るってもんです。

リコ・ロドリゲスの音楽は、その音楽的な仕組み云々はさておいて、音楽が醸し出す壮大な愛と平和のフィーリングみたいなもんが素晴らしい。

同じ事はボブ・マーリィにもオーガスタス・パブロにも言えることですが、さて、アタシが前回紹介した『マン・フロム・ワレイカ』




http://soundspal.seesaa.net/article/459661895.html

を聴いて、もしかしたら「これスカじゃないじゃーん、もっと泥臭いやつが聴きたーい」と思う方もいるかも知れません。いるかも知れませんので今日は

「リコ、それだけじゃないもん」

と言える初期の泥臭い音源を紹介します。


はい、リコ・ロドリゲスの出回っている音源というのは、実はイギリスに渡って、しかも売れないでくすぶっている時期から復活してのものが非常に多いのです。

長い雌伏の時代、彼が音楽的にも精神的にも鍛練を重ね、桃源郷とも言っていい素晴らしい音世界を作り上げたのは、これは紛れもない事実でありますが、オーセンティック・スカの観点から音源を探せば、やっぱり初期、それもジャマイカに居た頃に仲間達と試行錯誤でジャマイカに元々あったカリプソや、アメリカのジャズやR&Bなどから受けた影響を捏ね上げてスカという音楽を徐々に形作っていったその頃の演奏というものがどうしても聴きたくなってきます。

という訳で、最近発掘された貴重な貴重な初期音源がコレです。





【収録曲】
1.South Of The Border(Rico Rodriguez)
2.Monaco Boogie(Rico Rodriguez)
3.I've Got A Secret (Hortense Ellis)
4.Sirent (Rico Rodriguez)
5.Funny Thing To Say(Federal Singers)
6.You'd Better Marry Me (Federal Singers)
7.Sinclair Special(Rico Rodriguez & Herman Hersang)


1960年に録音された未発表音源集、ということは当然彼がジャマイカに居た頃で、まだソロ名義のLPとかも全然出していなかった頃の、これ本当に貴重な音源でありますね。

ディスコグラフィを見れば、リコのレコーディング・キャリアは1959年にスタートしたのを確認できますが、それはローランド・アルフォンソをフィーチャーした”マタドール・オールスターズ”での、つまりはサイドマンとしての録音で、その後ソロとしてリコの名前が出てくるのは「Moonlight Cha Cha」という曲が「多分1960年か61年なんだけど、リリースされてたかどうかよくわからない」というシロモノであり、えぇ、これには事情がありまして、つまりそのジャマイカという国では「カネのかかるLPよりとにかく7インチのシングル盤」という趣向があって、ここまでは5o年代のアメリカン・ミュージックとほぼ一緒なんですが、ジャマイカの場合はとにかく音源の管理とか記録とか、そういったものがほとんど省みられることはなかったんですよ。

いやほんと、その昔買取りにもちょろっと関わってたことあったんですが、ジャマイカ盤はほんとヒドかったですね。

ジャケットがないのはまぁ普通で、ラベル見て判断するんですけど、ラベルにはきったない字でアーティスト名を殴り書きしてあって曲名が書いてないとか、ドーナツ盤の穴がズレてる(!)とか、プレスミスでA面とB面の曲が一緒とか・・・まぁ分かりやすい範囲でそんなことはザラにありました。

これがもし国内盤や、アメリカ、イギリス、ヨーロッパのレコードだったらもう不良品として大問題になるところですが

「ジャマイカ盤だからいいんだ」

と、先輩達はみんな冷静でフツーに受け止めて値段付けてました。

まぁそんなお国柄ですから、アーティストの未発表音源は鬼のように埋もれてるはずであり、しかも埋もれていたとしてももうどこにあるか分からずそのまんま消えてるとか、倉庫のボロボロの段ボールの中に無造作に投げ込まれている(床とかに散らばってるかもしれん)「表記一切ナシ」のレコードの山から、恐らく泣きたくなるほどの苦労の末に、このリコの音源は世に出てきたんだと思います。

内容はリコ・ロドリゲス名義のものが3曲、リコがバックに付いたフェデラル・シンガーズの曲が2曲、そしてアルトン・エリスの妹(か姉)のホーテンス・エリスの曲と、ハーマン・ハースサングとのコラボ曲が1曲ずつの計8トラック収録されており、そのいずれもが、まだ形になる前の、R&Bの香りが色濃いヴィンテージ・スカ。

1曲目『South Of The Border』は1939年に公開されたアメリカ映画の主題歌です。原曲はカントリー・シンガーのジーン・オートリーが歌い、後にフランク・シナトラが軽妙なジャズジャズとしてカヴァーしてヒットしたことから、ジャズの演奏が多いのですが、ここではゆったりとしたルンバのリズムに乗って気持ち良〜く鳴り響くトロンボーンのまろやかな美しさに酔いしれます。

2曲目はオリジナル曲『Monaco Boogie』50年代アメリカで流行したシャッフル・ビートですね。このテのリズムが後のロックンロールに発展して行きます。短いソロを弾くギターもどことなくブルース風ですが、スチャスチャと裏を刻むギターのカッティングがスカ。この曲もインストで主役はリコのトロンボーンです。

ホーテンス・エリスがそのチャーミングな豊かさを持つ声で魅了する『I've Got A Secret』も、リズムはユルめの裏打ちシャッフルで、コード進行や曲の展開が完全にブルース。いや、聴いてみたらほとんどブルースでいいぐらいなんですが、この「もうちょっとでスカになりそうでならない感じ」

再びリコのソロ名義5曲目『Sirent』も、シャッフル・ビートのブギウギです。ほわーんとトロンボーンが勢い良くイントロを吹いてから、若干長めの間奏を挟んでのソロが、ジャズやブルースの影響を感じさせつつしっかりとしたオリジナリティがあって良いですね。


フェデラル・シンガーズの6曲目『Funny Thing To Say』と7曲目『You'd Better Marry Me』はグッとポップな初期ロックステディのそのまんまステディな雰囲気が良いですね。ちょっとおどけた声の男性シンガーが歌うEに、その男性シンガーと女性シンガーが「結婚するの?しないの?」のコミカルな掛け合いを聴かせるF、いずれもヴォーカルに千鳥足で絡む酔っ払いのような絶妙なトロンボーンです。

ラストの『Sinclair Special』は、リコのトロンボーンによるアドリブと、コクのあるブルージーなギターの絡みが良い感じにユルくアツいインスト・ロックステディの、これはもう名演ですね。こういうもっさりしたリズムの塊がスピーカーから「もわっ」と跳ねてくる感じがアーリー・スカ/ロックステディの醍醐味であります。ところで初期ジャマイカん・ポピュラー・ミュージックのカリスマとして「ハーマン・ハーシング&ザ・シティ・スリッカーズ」を率いていたハーマン・ハーシングはずっとオルガン奏者だと思ってましたが、もしかしてこのギター???


レコーディングに関しては相変わらず謎も多いのですが、ありそうでなかなかない、ジャマイカ時代のリコ・ロドリゲスがまとまって聴ける貴重なCDとして、また、スカになる前のスカがどんな感じだったか分かりやすく知ることが出来る一枚として、このアルバムはリコファンやスカファンにぜひ持ってて欲しいとは思いますが、単純にイカしたR&Bとして、ブラック・ミュージック好きがダラ〜っと聴いても全然楽しめると思います。




『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2018年05月29日

リコ マン・フロム・ワレイカ

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リコ/マン・フロム・ワレイカ
(Island/ユニバーサル)


日曜日はSUSU-MUCHOにて、開店12周年のライヴに行ってきました。

チエコビューティーさん、ワダマコトさん(カセットコンロス)TICOさん(リトルテンポ)の3人による”にゃーまんず”のライヴがありまして、楽しんできました。

思えばこの方達というのは、1990年代アタシがまだハタチそこらの小僧だった頃に、ダブやルーツレゲエの素晴らしい世界に誘ってくれた人達であります。

や、この方達だけではなく、90年代にルーツレゲエやスカのバンドで手堅い支持を集めていた人達は、好きな音楽や影響を受けた音楽について、色んなところでとても愛情たっぷりに語ってくださっておりました。


「レゲエという音楽は、ジャマイカの黒人が、ラジオから流れてきたアメリカのジャズやR&Bから影響を受けて生み出した音楽なんだ」

と理屈では知っておりましたが、実際に音を聴いたらスカは分かるけどレゲエはもうボブ・マーリィって人が偉大過ぎて、正直ソウルやR&Bとの繋がりまではよく見えなかった。

でも、この人達が雑誌なんかで全然しらなかった”ボブ・マーリィー以前のレゲエやスカやロックステディ”を紹介しているのを読んで「ほうほうなるほど」とアルバムを探し、実際に聴いてみて、色んなミュージシャンを知ることができました。

レゲエの前にスカがあったのは何となく知ってましたが、その間にロックステディという、ジャマイカ版のスウィートなR&Bなる音楽があることを知り、そこにアメリカ50年代のR&Bやジャンプ、ジャイヴの深い影響を感じることが出来て感動したことなんかを思い出して、今この記事を書いております。

えぇ、始まる前のDJタイムからピースで柔らかな自由に溢れた素敵な夕方から夜の時間でした。

そういえばジャマイカのオーセンティック・スカのアーティストで、アタシが好きだったやつ誰だっけ?とぼんやり考えたら、その頭の中のぼんやりの中から、良い具合の気温と湿度でほわわわんと鳴っているトロンボーンの音が聞こえてきました。

そうこれこれ、スカっていえばイギリスの2トーンスカの連中がやっていたシャキシャキしていたヤツもカッコイイし、どちらかといえばアタシの原体験(中学の頃のレピッシュから幼児期に観た”ホンダ・シティ”のCMでやってたマッドネスまで)はこっちの方だったんだけど、ジャマイカの古いスカの、あのボヘ〜ンとした感じといえばこれだよね、リコ・ロドリゲスのどこまでもユルくて優しい歌心に溢れたトロンボーンが最高だよね。

と、気候のうだりに任せ、ダラダラとやっておるのに最高な音楽が、グルーヴィーでちょっとユルいジャマイカの古い時代のスカであります。

さて、本日ご紹介するアーティストは、そんな訳でリコ・ロドリゲス。

えぇと、ジャマイカのスカのことを「オーセンティック・スカ」といいますが、この人はそのオーセンティック・スカの最初期から活躍する人で、2015年に亡くなるまで、第一線で活躍しつつ、色んな世代の人にスカやレゲエの楽しさを伝導しつづけてきた人であります。

ジャマイカ人の母親とキューバ人貿易商の父親の間に、1934年キューバの首都ハバナで生まれたリコは、幼い頃から暴れん坊で、カトリックの学校兼矯正施設に預けられ、この事が彼の一生を決定付けます。

この施設の方針は「問題児達が社会に出て、食うのに困って犯罪に走らないようにキチンと手に職を付けさせよう」というものでありましたが、ご存じのようにジャマイカという国は経済がとても貧しくて治安も悪く、正規の労働者として働いても結局は貧困にあえいでしまってギャングになってしまうということが普通にあったりして、じゃあ食うのに困らない職業は?となると、これはヒットを飛ばして成功したミュージシャンとか、とにかくデカく一発当てる芸能の仕事が良いから、施設の子達には音楽教育を受けさせて、ミュージシャンとして成功させよう!

という、ファンキーな理由で音楽教育に力を入れておりました。

リコは10歳ぐらいまで印刷の授業を受けておりましたが、やがて音楽を志すようになり、サックスにするかトロンボーンにするか迷いましたが、何となく吹いてみたトロンボーンが上手かったので、トロンボーンを選択し、スクールの中で頭角を現します。

学校は一応職業訓練の一環として、音楽だけじゃなくて職工や整備士の技能も教えており、リコもトロンボーンをやりつつ整備士見習いとして働いておりました。この時地元のプロ・オーケストラから声がかかって音楽家デビュー、タレント・オーディションにも受かって前途は洋々たるものでありました。

丁度時代は1950年代後半、植民地だったジャマイカが、イギリスからの自治を認められる西インド連邦に加入したことによって、独立の機運が一気に高まったその頃、1930年代に発生し、一度徹底的な弾圧によって勢力を潜めていた”ラスタファリズム運動”が、再び若者達によって支持を集めており、リコもラスタとなり、弾圧を逃れた山奥に住んでいたラスタ達のコミューンで生活するようになります。

コミューンの中でラスタの修行をしつつ、音楽の仲間達と出会いながらセッションを重ね、更に音楽性を豊かにしていったリコは積極的にレコーディングをして、1960年にはスカのシーンでジャマイカを代表するミュージシャンの一人とまで言われるようになります。

転機が訪れたのは1961年、ミュージシャンとして更なる挑戦をしたいと強く思うようになったリコは、英国へ旅立ちます。

もちろんラスタ・コミューンの仲間達は強く引き止めましたが、これを振り切って渡英すると、イギリスのジャマイカン・コミュニティで彼は大歓迎を受けてヒットを連発、そして当時イギリスで勢いのあったモッズ(オシャレで反抗的なイギリスの若者達)やスキンズ(ゴリゴリに硬派で反体制的なイギリスの若者達)から、スカやレゲエへの興味があり、リコはジャマイカ以上の人気を誇り、ミュージシャンとしての大成功を収めるに至りました。

しかし、良い事は長く続きません。

やがてイギリスでのレゲエの人気は下火になり、活躍していたレゲエやスカのミュージシャン達は徐々に生活が困窮して、リコですらその例に漏れず、塗装工や工場でのアルバイトなどをして、何とか食い繋ぐ日々を余儀なくされました。

リコの復活は、意外なところからもたらされることになります。

そう、低迷を続けるレゲエ界に救世主の如く現れたボブ・マーリィの世界的なブレイクが、それまで不遇をかこつていた世界中のレゲエやスカのアーティスト達に、再び仕事を与えました。

ボブの人気というものは、もちろんそれまでのジャマイカでの長い下積みに裏付けられたものではありますが、それ以上にアメリカやイギリスの超大物アーティスト達が彼の神かがりなパフォーマンスを讃え、その歌詞やラスタファリズムの思想にも深く共鳴したことに依る所が大きく、故に彼の人気は決して一過性のブームに終わるものではなかった。

長くジャマイカとイギリスの現場で活動してきたリコにも、ボブの人気が”本物”であることは身に染みて分かっておりました。


彼はこのチャンスに何とかスカやレゲエといったジャマイカのオーセンティックな音楽を、再び世界に認識させようというミュージシャンとしての本能と、ジャマイカ人の思想の根幹であるラスタファリズムをもっと世界の人々に知ってもらおうというラスタの信仰心から、積極的に行動を起こします。

盟友トゥーツ・アンド・ザ・メイタルズと共にアルバムを制作し、そのバンドをほぼそのまま引き連れてレコーディングした渾身のアルバムが、1975年リリースの『マン・フロム・ワレイカ』です。







【収録曲】
1.ディス・デイ
2.ランブル
3.ルムンバ
4.アフリカ
5.マン・フロム・ワレイカ
6.ラスタ
7.オーヴァー・ザ・マウンテン
8.ガンガ・ディン
9.ダイアル・アフリカ



ワレイカとは、リコが住んでいたジャマイカのラスタ・コミューンのことであります。

『70年代のスカ名盤』『インスト・レゲエの傑作』と評されるこのアルバムは、リコが自身のルーツであるオーセンティックなスカの手法に、70年代型のレゲエのビートからの影響、つまりゆったりした幅の広い”揺れ”が醸す何とも豊かなグルーヴ、そして彼自身の根幹であるラスタファリズムの思想に彩られております。


とにかくメインとなるトロンボーンの音が美しく、かつしっかりとしたコクがあって、聴くだけで心穏やかになれるような雰囲気に満ち溢れており、また、ギター、オルガン、ベース、ドラムが中心となるシンプルだけど曲によって細かくリズムのアプローチを自在に変えているバックがまた見事なんです。

バンドの演奏で、しかもインストだったら、どれだけ派手に盛り上げるかが競われたりしますが、リコを中心としたバンド・サウンドは、あくまで楽曲のメッセージを言葉なしで聴く人に伝えるためというコンセプトがしっかりとあり、そのため派手な演出は一切ありません。ただ、しっかりとした意志を持つ美しいメロディーが、リズムに合わせてどこまでも自然に腰が動くバッキングに乗って、最初から最後まで穏やかに響くが故に、飽きさせずじっくりと聴かせる、そんな特別さがあります。

個人的にはジャズをガーッと聴いて、名人や達人たちの至高のソロ芸を堪能しまくった後に聴くと、この全く逆のベクトルを持つアプローチがすこぶるクールで、別の意味で高度な音楽に聞こえてきて5倍ぐらい良い思いをします。

そして、彼の静かにアツい演奏に込められた深いメッセージ。

これはラスタファリズムという思想がどういうものかよく分からなくても、とことん穏やかで他の音楽にはない独特のピースフルな雰囲気からタップリと伝わってきます。そう、平和です。表現の中に込められた意味は細かく色々ありましょうが、それらは突き詰めるとやはり「平和は尊い」ということになる。

かといってただ戦争反対な平和メッセージではなく、リコの思想にはジャマイカやアフリカでの、未だに続く欧米資本からの搾取や差別に苦しむ人達の悲しみも反映しております。

「アフリカ」という曲が入っていて、このスピリチュアル・ジャズにも通じるおおらかな音の拡がりがアタシは大好きなんですが、この曲は、1960年に暗殺によって殺害されたコンゴ独立の英雄である政治家、パトリス・ルムンバの死を悼むナンバーです。

パトリス・ルムンバについて詳しく解説したいところですが、これ書くとアフリカの鉱物資源を巡るヨーロッパのドス黒い利権の搾取という深いテーマで延々と長くなりますのでコチラでは省略しますが、これは皆さんぜひ検索して考えてみて欲しい問題です。

アタシはリコ・ロドリゲスという人の生きざまや考え方、そしてそれが何の暴力性も持たず、穏やかに反映されている音楽、最高にカッコイイと思います。

これから夏になってくると、やっぱりレゲエが聴きたくなって手を伸ばす人も多く出てくるでしょう。その時はこのアルバムもユルく加えてピースな気持ちになってもらいたいですね。平和が一番です。








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2017年07月14日

トゥーツ&ザ・メイタルズ Funky Kingston

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Toots & The Maytals / Funky Kingston


(Island)


いやぁ夏ですねぇ

とか何とか言っておりますが、もうね、毎日暑くて「夏ですねぇ」ぐらいしか言うことがないのですよ。


気合いを入れて何かガッツリしたレビューを書かねばと、もう毎日毎日思っておりますが、いかんせん暑さで頭が回りません。こんな時はルーツ・レゲエと呼ばれる初期レゲエなんかをぼへ〜っと過ごすのが一番です。

レゲエといえば陽気で明るいジャマイカの音楽として、日本でも何度かブームが起こり、その都度多くのファン、特に刺激を求める若い人たちを虜にしてきました。

特に1990年代後半から2000年代といえば、握りこぶしみたいなガッコンガッコンなビートに激しく煽るヴォーカルがメインのダンスホール・レゲエが大流行しました。

そう、レゲエというのは楽しい時もそうでない時も、ジャマイカの人達の心を何となくウキウキさせて自然と腰を降らせ、体を揺さぶって踊らせる音楽でありました。

そういう意味でレゲエはアメリカのソウルやファンク、更にそこから進化して生まれたヒップホップと常にリンクしながら、ちょいと海を越えた所で”同じ先祖を持つ音楽”として共に刺激し合ってどんどん発展していったと言えるでしょう。

ジャマイカという国は、地図でいえばアメリカの右下にあるカリブ海に浮かぶ島国です。

色々と歴史があって、この国はアメリカが独立した後もイギリスの植民地。そして、住民のほとんどは、アフリカから奴隷として連れて来られた黒人の子孫でありました。

つまりアメリカの黒人とジャマイカの人達は、元々同じご先祖様を持ついわば同胞です。

カリブ海の島国には、こういった国がいくつもありますが、共に英語を公用語とする国同士、ジャマイカの人々はアメリカの文化には非常に感心を持っておりましたし、距離的に近いことから、アメリカで放送されていたラジオ番組が、何となくジャマイカで聴けちゃったりしたんですね。

40年代から50年代には、ジャズやジャンプ・ミュージックを聴いてた人達が「よし、じゃあ俺らも」と、サックスや管楽器を手にしてスカが生まれました。

同様にR&Bやソウルを聴いて、歌モノの音楽を作ろうぜと張り切っていた人達が、ロックステディというジャマイカの元祖ポップスを、その影響から生み出しました。

いずれも今のレゲエの大切なルーツになっている音楽です。

で、70年代には皆さんご存知のボブ・マーリィーが、ジャマイカの土着宗教(というか思想)であるラスタファリズムの色を強く押し出して(ドレッドヘアとかマリファナとか、あと政治的/宗教的な色合いの濃い歌詞とかですね)、その神がかりなパフォーマンスで世界中の、特にアメリカやイギリスのロック・ミュージシャン達に「うぉぉすげえ!ジャマイカのアレ何ていうの!?レゲエ??グレイトだぜ!」と大きな衝撃を与え、以後レゲエは単なるジャマイカの1ローカル音楽ではなくて、世界のポピュラー音楽になってゆくのでありますが、はい、皆さんここで思うでしょう

「じゃあボブ・マーリィーが出てくる前のレゲエはどんなだったの?」

と。

はい、そうなんですそうなんです、そうなんですよ。

レゲエという音楽は、確かにボブ・マーリィーという天才が世に広く知らしめましたが、ボブだって元々はウェイラーズというR&Bやソウルの影響モロなロックステディのヴォーカル・グループのシンガーとしてデビューしておりますし、ボブに影響を与えた偉大なレゲエ・ミュージシャンは世界が知らないだけでジャマイカにはたくさんおったわけです。

その中の一人が、トゥーツ・ヒバート率いる3人組”トゥーツ&ザ・メイタルズ”。1960年代のスカ/ロック・ステディの時代から活躍し、サム・クックやオーティス・レディング、そして俺達のジェイムス・ブラウンといったアメリカン・ソウルのエッセンスをロックステディに多く取り込みながら「独自の踊れるジャマイカンビート」にそのスピリッツを込めて”レゲエ”という音楽の基礎を作り上げた一人であります。



【収録曲】
1.Sit Right Down
2.Pomp and Pride
3.Louie, Louie
4.I Can't Believe
5.Redemption Song
6.Daddy's Home
7.Funky Kingston
8.It Was Written Down (


アタシもレゲエといえばボブ・マーリィーやその他ダブ系アーティスト、それからブジュ・バントンぐらいしか知らなかった時大先輩から

「これはいいよ、ジャマイカのジェイムス・ブラウンだよ」

とオススメされて知った人です。

ジャマイカ独自のダンスビートといえば、ん、ちゃ♪ ん、ちゃ♪ のゆったりした裏打ちビートです。

ギター、ドラム、ベース、そして天国のようなオルガンが大きくうねる心地良いグルーヴを回し、トゥーツの、まるでアメリカのソウル・シンガーのようなパワフルで不思議な慈愛に満ちた、まるでJBというよりオーティス・レディングのような、魂のシャウトがひたすら染みます。

1976年のアルバムですから、弟分のようなボブ・マーリィーも既にブレイクしてて、世間でも「あぁ、レゲエってこんな感じよね」というイメージが固まりつつあったこの時代に

「うん、そうだけどオレはこういうのが好きなんだよね♪」

と、初期レゲエの、あのソウルやR&Bを聴きまくってそのニュアンスをそのまんまレコードに刻んでいた人達独特の、もうレゲエとかジャマイカとかそういうもの通り越してひたすらに親しみ易い音楽愛に溢れているこのアルバムを聴くと、夏の暑いのとかそういうのどーでもよくなりますね。

タイトル曲の「ファンキー・キングストン」なんてもうモロJBのセックス・マシーンで、ソウル好きとしてもニヤニヤしちまいますよ♪







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2016年06月19日

オーガスタス・パブロ イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル

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オーガスタス・パブロ/イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル

メロディカ、つまり鍵盤ハーモニカ。

要はアタシらも小学校の頃に吹いてたあのピアニカとかいう楽器ですね。

18だか19の頃に、ふと雑誌をパラパラとめくっておると、この楽器を吹いているレゲエのミュージシャンの写真が目に留まりました。

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レゲエといえばボブ・マーリィーとジミー・クリフとリントン・クウェシ・ジョンソンぐらいしか知らなかったアタシにとってこれは衝撃でした。

何と言っても、あの小学生が吹くよーな鍵盤ハーモニカをレゲエの人がかなり真剣なまなざしで構えている。

まったくもってどんな音を出すのか?この人が奏でる音楽がどのようなものか?当時のアタシには想像すら出来ませんでした。

それからしばらくして、このオーガスタス・パブロなる人が「ダブ」と呼ばれるレゲエの中のジャンルの、インスト部門(?)の凄い人であることとか、彼が作る楽曲は、レゲエ・ミュージックの根幹にある”ラスタファリズム思想”というものを表現しているということを知りました。

おぉ、ラスタファリズム。

ボブ・マーリィーの伝記やインタビューの中でもちょくちょく出てきた、このジャマイカならではの宗教的社会思想に興味がものすごくあったアタシは、パブロに関しての資料をかき集め、手当たり次第読んでみました。

簡単に言えば「ラスタファリズム」というのは、旧約聖書に基づいた独自の世界観や生き方を追求する思想です。

例えばレゲエの人らはドレッドヘアでありますが、アレなんかは正に聖書にある「彼の髪に刃物を当ててはならない」とか、そういう契約(神様との約束事)を実践している髪型であり、単なるファッションではないんですね。

あと「俺たち黒人は今は虐げられているけれど、ジャー(神=主のこと)が黒人としてアフリカに現れてみんなを救済してくださる」とか「物質文明の悪しき影響を遠ざけるために山奥で隠遁生活を送り、ガンジャを吸って瞑想に明け暮れる」とか「人の手によって人工的に調理されたものを食さず、また肉も食わず、自然の食物を素材そのままで食べる」とか、色々と戒律があって、「ラスタファ」と呼ばれる人達は、この戒律を今も厳しく守っているようです。

ジャマイカでこのような宗教的思想運動が始まったのには、色々と理由がありました。

その中で最も大きな理由が、1962年のイギリスからの独立です。

支配階級である白人からの解放は、かつて奴隷としてこの島に強制的に連れてこられた黒人達にとっては悲願でもあったことでした。

が、植民地支配から解放された後のジャマイカは、政治的にも経済的にも混乱を極め、また、昔から相次いだ自然災害によって民衆の生活や心は荒みきっており、特に都市部では貧困、犯罪、暴力、そして麻薬などによって多くの人々が塗炭の苦しみを味わっておりました。

「こんなんじゃいかん!」という民衆の鬱屈とした思いと、植民地時代から信仰されていたキリスト教の経典の中の救済思想、とりわけ旧約聖書の中の「エチオピアより王は現れ、神に向かって手を差し伸べる」という言葉を信じ、丁度良いタイミングで1930年に初めてエチオピアで即位した”黒人の皇帝”、ハイレ・セラシエを”ジャーの化身、或いは救世主”として信仰の対象とすることで、ラスタファリズムは徐々に社会的な思想運動になっていった訳であります。

さて、オーガスタス・パブロであります。






【収録曲】
1.Chant To King Selassie I
2.Natural Way
3.Nature Dub
4.Upfull Living
5.Unfinished Melody
6.Jah Light
7.Memories Of The Ghetto
8.Africa (1983)
9.East Of The River Nile
10.Sounds From Levi
11.Chapter 2
12.Addis-A-Baba
13.East Africa
14.East Of The River Nile (Original)
15.Memories Of The Ghetto (Dub)
16.Jah Light (Version)
17.Islington Rock
18.Meditation Dub

パブロ自身、来日時に八百屋に並べてある大根をじーっと眺めて「ラスタファーライ」と言うやそのまんま生でボリボリ食べだしたぐらいの、バリバリのラスタファです。

なので、彼の穏やかな、まるで悠久の大河の流れのような極上のインスト・レゲエ・ミュージックを聴くには、特にラスタファリズムの思想、なかんづくジャマイカの人達が「約束の地」として胸に描いていた希望の大地「ザイオン」のことなんかを思い浮かべながら聴くのがよいでしょう。

この「イースト・オブ・ザ・リヴァー・ナイル」は、パブロの初期傑作で、今でも「レゲエ聴くならコレはハズせない」と評価の高いアルバム。

ダブの特徴であるエコーやディレイは極力抑え目で、シンプルな編成の中でゆるやかに”うた”を紡ぐメロディカの純粋な音色の美しさに癒されます。

深く優しい瞑想の音楽であります。



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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BASEショップもありますよ(ここでしか買えない商品アリ)http://soundspal.thebase.in/
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2016年06月18日

ボブ・マーリィ反骨のうた

160618_173933.jpg現在廃盤になって久しいのですが、ボブ・マーリィの「トーキン・ブルース」は、これはレゲエ好きのみならず、全音楽が好きな人必聴と言って良い名盤です。
内容は1973年、初めてのツアーで訪れたアメリカのカリフォルニア州サウサリートにあるスタジオで行ったスタジオ・セッションとインタビューを丸々収録したもので、ほぼベストな楽曲と、気迫がみなぎってある種の狂気すら感じられるパフォーマンス、それにジャマイカの現状や音楽、思想がボブ自身の肉声で聴ける、至れり尽くせりなアルバムなのです。

詳しいレビューは再発したらソッコーで書きます。

ボブ・マーリィは歌詞をこそ読むべしです。ゆったりまったりしたピースなグルーヴに溢れた楽曲の歌詞を読むと、あぁこの人は素晴らしい表現者である以上に心底反骨の詩人なんだなぁと思います。





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2015年07月05日

ザ・ハーダー・ゼイ・カム〜オリジナル・サウンドトラック〜

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ジミー・クリフ ザ・ハーダー・ゼイ・カム〜オリジナル・サウンドトラック〜
(Island/ユニバーサル)

アタシが「レゲエ」という音楽を知ったのは、もちろんロック・サイドからのリスペクト、なかんづくジョー・ストラマー先輩があちこちで「レゲエはカッコイイぞ!あれこそ反骨の音楽だ」と言っておられたのを読んでという、まぁ王道といえば王道のパターンでした。

とりあえず「レゲエ」といえば、みんなが「カッコイイ」と言ってるボブ・マーリィーと、ボブ・マーリィーと・・・、えっと、あと何聴けばいいんだっけ?

と思った時、親父に「えっと、レゲエちボブ・マーリィー以外誰がおるわけぇ?」と相談したら即答で

「そらぁジミー・クリフよ、ボブ・マーリィーもいいがジミー・クリフを聴かんでレゲエは語れん!」

と、断言が飛んで来ました。

それから・・・と畳み掛けるように

「ジミー・クリフの”ハーダー・ゼイ・カムちゅう映画を観ればレゲエっちゅうもんがどんな音楽か分かる!」

と。

ほぉお、そこまでアンタ断言しますか。ならばジミー・クリフを聴いてみますか・・・。

と、購入したのが、その「ハーダー・ゼイ・カム」のサウンドトラック盤でありました。

当時アタシは高校1年、唯一持っていたレゲエのアルバムは、ボブ・マーリィーの「トーキン・ブルース」だけでして、まだあのレゲエ独特のゆったりした横ノリの快楽を全然しらなかったんで「う〜ん、レゲエち全部一緒にしか聞こえん・・・」としか思ってなかったんですね。

そこへいくとジミー・クリフはボブ・マーリィーよりもポップで、ロックやパンクに慣れた耳にも実に分かり易いポップさがありました。

その後カリスマになって夭折し、今や「神様」ぐらいに超リスペクトされまくっているボブ・マーリィは、確かに最初こそ分からなかったものの、一度「キたーーー!!」という体験をしてから(あるんですよ「ボブ・マーリィ体験」ってのは)、一時期もう凄いハマッたし、ライヴ映像なんかを見ても「あぁ、やっぱコノ人すげぇオーラ出まくってるわ・・・」と思うのですが、一方のジミー・クリフは、唄いっぷりもステージでのパフォーマンスも「街のあんちゃん」って感じで、違う意味での好感度がすっごい高いんです♪

で、ジミーの「ハーダー・ゼイ・カム」は、彼自身が主演する、半ばドキュメンタリーみたいな映画なんですけどね、コレはもう必見。

あらすじはイギリスの植民地から独立したけど、政治も経済も治安も最悪のジャマイカで、更に海千山千のイカガワシい音楽の世界で一発当ててスターを目指すジミーのストーリーなんですけど、コレ見ると、親父の言う通り「レゲエという音楽がどのようにして生まれていったか」がリアルに分かります。





【アーティスト/収録曲】
1.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
2.スコッティ/ドロウ・ユア・ブレイクス
3.メロディアンズ/バビロン川のほとりで
4.ジミー・クリフ/遥かなる河
5.メイタルズ/スウィート・アンド・ダンディ
6.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム
7.ザ・スリッカーズ/ジョニー・トゥ・バッド
8.デズモンド・デッカー/シャンティ・タウン
9.メイタルズ/プレッシャー・ドロップ
10.ジミー・クリフ/シッティング・イン・リンボ
11.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
12.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム

本作はそのサウンドトラックで、まだジャマイカの音楽が”ロックステディ”と呼ばれていた頃、アメリカから流れてくるR&Bやソウルをジャマイカン達が独自の解釈で唄い踊ってた音楽から”レゲエ”が如何にして生まれていったのかを、かなり突っ込んで知ることが出来ますし、そんな難しいことはよくわからんでも、心地良いルーツ・レゲエ・サウンドに、ただなーんも考えずにゆったりと浸ることも出来るんです。

モータウン系ソウルからの影響が色濃いレゲエ黎明期の典型的なスタイルの@正統派ロック・ステディならではのゆったりもっさりしたリズムのB、今でもイベントでかかれば大合唱になるレゲエの聖歌「Many Rivers To Cross」のCとか、楽曲も未だに世界中でカヴァーされている名曲も多いし、何より参加してるジミー・クリフやその仲間のミュージシャン達の、ハツラツとした人間臭さ最高の唄いっぷりが素敵です。

アルバム発売からもう40年以上経ちますけど、ぜんっぜん色あせない。例え、コレに入ってる曲が、最新のダンスホール・サウンドの途中でスッと入ってきてもぜんっぜんアリだし気持ち良く踊れます。つまり永遠のマスターピースです。いつまでもゴキゲンなアルバムなんです。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2014年12月20日

リー・ペリー Super Ape & Return Of The Super Ape

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リー・ペリー Super Ape & Return Of The Super Ape
(Sanctuary UK)

(Disc-1)
1.Zion’s Blood –The Heptones
2.Croaking Lizard – Prince Jazzbo
3.Black Vest – The Upsetters
4.Underground (Root) – The Full Experience
5.Curly Dub – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
6.Dread Lion – Lee ‘Scratch’ Perry & The Heptones
7.Three In One –The Heptones
8.Patience Dub – The Upsetters
9.Dub Along – The Full Experience
10.Super Ape –The Heptones

(Disc-2)
1.Dyon
2.Return Of The Super Ape – The Upsetters
3.Tell Me Something Good – Lee ‘Scratch’ Perry & The Full Experience
4.Bird In Hand – Sam Carty & The Upsetters
5.Crab Years – The Upsetters
6.Jah Jah A Natty Dread – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
7.Psyche And Trim – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
8.The Lion – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
9.Huzza A Hana – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
10.High Ranking Sammy – Lee ‘Scratch’ Perry

最初に聴いた時は、「何これ?全部ユルユル」と思っていたんですが、じっくりと時間をかけて聴けば聴くほど、一見ユルくってハッピーな音の下に、凄まじいまでの狂気を感じさせるのがリー・ペリーの音楽だと思います。

リー・ペリーは、レゲエ界の中でも一際異色の存在です。

「ダブ」と呼ばれる「元曲の改造」・・・今で言うところのリミックスみたいなものを、開発しながら独自の世界観を築き上げ、その過激なサウンドコラージュ、明らかに不自然なエコー、幻覚そのものであるかのように「これでもか!」と重ねられるディレイなど、従来の「レゲエ=生音で楽しむ」という概念をブチ壊したイノベイターといえるでしょう。

今はレゲエといえば、ガンガンに激しいダンスホールが主流で、アツさと純粋な「音圧の威力」でいえばそっちが圧倒的なんですけど、消費されることを拒むかのように、いつまでも斬新に「ボヨヨンヨンヨン・・」と鳴り響くリー・ペリーのダブは、昔お客さんで強烈なレゲエ好きの人が言ってた「レゲエってさ、中毒音楽なんだよね」という言葉を物凄いリアリティでもって裏付けるものであります。

今でも野外フェスで、ガ○○ャキメッキメでヘロ〜ってなりながら、その場の空気をダウナー一色に染め上げているペリー先生の音の「ユルい凶暴さ」は健在でありますが、まずは「ダブって何なのよ?」と思う人は、ペリー先生の代表作として、1976年当時、全音楽シーンを震撼させた「スーパー・エイプ」と、よりサイケ/アシッド感を増量した「やりすぎ感」満載の1978年作「リターン・オブ・スーパー・エイプ」の、お得な2in1盤であるところの本作をオススメします。

コレを聴いて脳ミソが溶けて耳から流れてきても、当方は一切責任を負いません(笑)。






Lee Perry - Return Of The Super Ape
(コレは頭オカシイ、絶対にオカシイ!)


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2014年10月23日

リントン・クウェシ・ジョンソン ベース・カルチャー

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リントン・クウェシ・ジョンソン ベース・カルチャー
(Island)

【収録曲】
1.ベース・カルチャー
2.ストリート66
3.レゲエ・フィ・ピーチ
4.ディ・ブラック・ペッティ・ブーシュワ
5.イングラン・イズ・ア・ビッチ
6.ロレイン
7.レゲエ・サウンズ
8.トゥ・サイズ・オブ・サイレンス

私がレゲエを聴くようになったのは、もちろんジョー・ストラマー先輩の影響です。

雑誌のインタビューなどで、ジョー・ストラマー先輩が、ボブ・マーリィーと並んでアツくリスペクトしてて「あの人は本当に凄い、天才詩人であり、ホンモノの闘士だ」と、アツく語って激オシしてたのが、リントン・クウェシ・ジョンソンでした。

「詩人」「闘士」というワードにグッと来た、頭の悪い中学生だったアタシ。

とりあえず「タイトルとジャケットがイカす」というだけの理由で「ベース・カルチャー」を入手したんですね。

最初はそのまったりしたレゲエビートの上で、ただダラダラ語ってるだけのようなそのスタイルと、音数の異様な少なさと、ひたすら重くて暗いベースラインに面食らって「あ、俺、レゲエだめだ」と思いました。

「ダブ」という言葉も「ポエトリー・リーディング」という言葉も知らないガキでした。

イギリス在住のジャマイカ移民である彼が、ロンドンの荒んだジャマイカン・コミュニティで、肩身の狭い思いをしながら暮らしている同胞の鬱屈した想い、その静かな怒りを強烈なメッセージにして表現しているということも、あの「暗く鬱屈した、やたら耳に重たく残るベースライン」も、そんなUKジャマイカン達の生活の空気を表現したものであるということも、後になって気付きました。

これもちょっと後になって知ったことなんですが、「ダブ」というのは、当時革新的だったレゲエの「音造り方法」のことで、演奏にエコーやリヴァーブ、ディレイなどのエフェクトを施したり、余分な音をカットしまくって、ベースを物凄く強調させたもののことなんですね。

このアルバム、プロデューサーは「ダブの鬼才」といわれるデニス・ボーヴェルです。

彼はレゲエ・ミュージシャンでありながら、ジミ・ヘンドリックスのエフェクト使いに多大な影響を受け、その後のダブの発展に多大な影響を与えています(後に坂本龍一のアルバム「B-2ユニット」のエンジニアも務めたりしてます)。

デニス・ボーヴェルについて語るとまた長くなりますのでやめときますが、とにかくこのアルバムは、ダブ・カルチャーの象徴である「ベース(低音)」と、UKジャマイカン・コミュニティの「ベース・カルチャー」(底辺文化)のダブル・ミーニングで、タイトルからもう凄い強烈なメッセージを放っておるのです。

ボブ・マーリィーの「解放」「自由」そして「熱狂」とは、好対照にあるリントン・クウェシ・ジョンソンの詩とサウンド(特にクールなベース・パート)は、やはり「ルーツ・レゲエ」というものを語る時に絶対にハズせないものだと思います。

特にレゲエが好きで彼の存在を知らなかった人、ロック・プレイやーでレゲエのベースラインというものに興味のある方は必携、必聴の名盤です。聴きましょう。

しばらく廃盤になっていたようですが、何と¥1000ちょいの嬉しい値段で12月に再発されますね♪


ご予約はコチラから↓



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


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2014年08月24日

松永孝義 QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜



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『松永孝義/QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜』

【パーソネル】
松永孝義(b)
井ノ浦英雄(ds,perc)
ANNSAN(perc)
エマーソン北村(key,chorus)
桜井芳樹(g)
矢口博康(sax,cl)
増井朗人(tb)
福島ピート幹夫(sax)
松永希(vo,chorus)
ayako_HaLo(chorus)
田村玄一(pedal Steel,chorus onD)
今村忍(g onD)
松竹谷清(g onL)

【収録曲】
1.Momma Mo Akoma Ntutu22.Jazzy
3.Caminando Despasio
4.Two-Step
5.Pua Lililehua
6.Malaika
7.DALI NGIYAKUTHANDA BATI HA-HA-HA
8.よろしく
9.Walk Slowly
10.メンバー紹介
11.Africa
12.Hip Hug Her
13.Two-Step
14.La Cumparsita
15.Momma Mo Akoma Ntutu

松永孝義さんの演奏を初めて生で聴いたのは、ハシケンさんがミニ・アルバム「WAIDO!」をリリースしたそのレコ発ツアーの時だったから、確か2001年の5月だったと思う。

名瀬公民館で、物販の準備をしてたら、バンドメンバーの人達が、次々と慌ただしく会場入りしている時、一人市役所の方向から「ただ者ではないオーラ」を満全に放ちながらゆっくり歩いて来て、私の目の前をスーッと通過して会場に入って行ったのが、松永さんだった。

その雰囲気に圧倒され、挨拶どころではなかったが、直後やはり父が

「ただ者じゃない感じだったが、あの人誰よ?」

と訊いてきたので

「多分ベースの松永孝義さんだ。元MUTE BEATの…」

と、絶句しながら説明した記憶が鮮明にある。

その時のハシケン・フルバンドの演奏は凄まじかった。

特に期待していた松永さんのベースがホールどころか公民館全体の屋根から窓ガラスからをビリビリ震わせていて、築40年ぐらいの建物がたやすく崩壊してしまうんじゃないかと本気で心配したほどだ。

演奏内容に関しては、翌日の(だったと思うが、記憶が前後してたらすいません)「ASIVI」のステージで改めて「これは凄い!」ということを思い知らされた。

松永さんのベースの物理的な音量は、全体のバランスを壊さない程度のものだったが、多分「鳴り」がとてつもなく大きくて、バンド全体を包み込んでリードしていたのだ。

音量はアンプのツマミを上げればいくらでも得ることが出来るが、「鳴り」というのは、技術的なものはもちろん、イメージ力とか踏んできた場数とか、そういう数値化出来ない部分が突き抜けたミュージシャンじゃないと、これはとても習得できるものじゃない。そして「鳴り」は、どんなに大きくても、ライヴ後の聴衆の耳に疲れや違和感を一切与えないのだ。

「鳴り」の大きなミュージシャンの演奏は、結構耳にしていて、その鑑賞のツボもそれなりに心得ていたつもりではあったが、松永さんのベースは、それまで経験したことのない心地よさを感じさせてくれるものだった。

エレキベースであんなに気持ち良い「鳴り」を聴かせてくれる人は、日本には他にいないんじゃないか?とすら思ったが、その時の思いを裏付けするかのように、それ以後私はアレを越える「鳴り」には出会っていない。

ライヴ以来「松永さんカッコイイなぁ〜」というのが、我が家では何かの合言葉みたいになっていた。

松永さん名義のアルバムをすぐに探したが、ソロ・アルバムは出ておらず、2004年になってようやく満を持しての初リーダー作「The Main Man」がリリースされたので、早速購入した。

オーセンティックなスカ/レゲエの軸に、ジャズ、ラテン、カリプソ、ハワイアンなどのエッセンスが小気味よく絡んで、聴く人の心を暖かく解きほぐしてくれる、それは極上のリスニング・ミュージックだった。

「このクオリティでコンスタントにソロ・アルバム出してくれないかね〜」などと、のほほんと願っていたが、松永さんは2012年に亡くなった。

もう松永さんの作品を楽しみにすることも叶わないのかと、失意に暮れていた2014年「松永さんのライヴ・アルバムが出る!」という情報を目にした時は本当に嬉しかった。

そして、小学生が夏休みを待つような気持ちで心待ちにしていた「QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜」。

内容は「The Main Man」のリリース・ツアーから厳選トラックを収めたもので、メンバーも楽曲もほぼ一緒。「The Main Man」が、もう本当にお気に入りで、事あるごとに聴いてゴキゲンになっていたので、その素晴らしい内容がライヴでとなると、期待は嫌が上にも高まる。

で、演奏とサウンドの素晴らしさは、私の期待なんぞ遥かに上回る素晴らしいものだった。

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相変わらず肩肘張らない自然体の心地良いグルーヴ、洗練された選曲に、心も体も”横ノリ”で踊る。

しかもライヴだ。あの”鳴り”がCDの中で、生に限りなく近い質感で収録されてる。

これはもう、聴いてみないと分からない。

幸いにも奄美には、レゲエやスカが好きな人、ジャズやソウルが好きな人が、老若男女問わず結構いるので、色んな人に「松永孝義さんのアルバム、めちゃくちゃカッコイイっすよ!!」と無節操にオススメしている。

ジャンルを問わず「グルーヴ」に何かしら反応できる人なら、このサウンドは絶対に受け容れることが出来るだろうし、横ノリで躍ることも出来るだろうという、絶対的な自信があるからだ。





(「Walk Slowly」福島ピート幹夫さんのサックスもイイのよ!)





posted by サウンズパル at 14:16| Comment(0) | レゲエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする