2015年07月05日

ザ・ハーダー・ゼイ・カム〜オリジナル・サウンドトラック〜

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ジミー・クリフ ザ・ハーダー・ゼイ・カム〜オリジナル・サウンドトラック〜
(Island/ユニバーサル)

アタシが「レゲエ」という音楽を知ったのは、もちろんロック・サイドからのリスペクト、なかんづくジョー・ストラマー先輩があちこちで「レゲエはカッコイイぞ!あれこそ反骨の音楽だ」と言っておられたのを読んでという、まぁ王道といえば王道のパターンでした。

とりあえず「レゲエ」といえば、みんなが「カッコイイ」と言ってるボブ・マーリィーと、ボブ・マーリィーと・・・、えっと、あと何聴けばいいんだっけ?

と思った時、親父に「えっと、レゲエちボブ・マーリィー以外誰がおるわけぇ?」と相談したら即答で

「そらぁジミー・クリフよ、ボブ・マーリィーもいいがジミー・クリフを聴かんでレゲエは語れん!」

と、断言が飛んで来ました。

それから・・・と畳み掛けるように

「ジミー・クリフの”ハーダー・ゼイ・カムちゅう映画を観ればレゲエっちゅうもんがどんな音楽か分かる!」

と。

ほぉお、そこまでアンタ断言しますか。ならばジミー・クリフを聴いてみますか・・・。

と、購入したのが、その「ハーダー・ゼイ・カム」のサウンドトラック盤でありました。

当時アタシは高校1年、唯一持っていたレゲエのアルバムは、ボブ・マーリィーの「トーキン・ブルース」だけでして、まだあのレゲエ独特のゆったりした横ノリの快楽を全然しらなかったんで「う〜ん、レゲエち全部一緒にしか聞こえん・・・」としか思ってなかったんですね。

そこへいくとジミー・クリフはボブ・マーリィーよりもポップで、ロックやパンクに慣れた耳にも実に分かり易いポップさがありました。

その後カリスマになって夭折し、今や「神様」ぐらいに超リスペクトされまくっているボブ・マーリィは、確かに最初こそ分からなかったものの、一度「キたーーー!!」という体験をしてから(あるんですよ「ボブ・マーリィ体験」ってのは)、一時期もう凄いハマッたし、ライヴ映像なんかを見ても「あぁ、やっぱコノ人すげぇオーラ出まくってるわ・・・」と思うのですが、一方のジミー・クリフは、唄いっぷりもステージでのパフォーマンスも「街のあんちゃん」って感じで、違う意味での好感度がすっごい高いんです♪

で、ジミーの「ハーダー・ゼイ・カム」は、彼自身が主演する、半ばドキュメンタリーみたいな映画なんですけどね、コレはもう必見。

あらすじはイギリスの植民地から独立したけど、政治も経済も治安も最悪のジャマイカで、更に海千山千のイカガワシい音楽の世界で一発当ててスターを目指すジミーのストーリーなんですけど、コレ見ると、親父の言う通り「レゲエという音楽がどのようにして生まれていったか」がリアルに分かります。





【アーティスト/収録曲】
1.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
2.スコッティ/ドロウ・ユア・ブレイクス
3.メロディアンズ/バビロン川のほとりで
4.ジミー・クリフ/遥かなる河
5.メイタルズ/スウィート・アンド・ダンディ
6.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム
7.ザ・スリッカーズ/ジョニー・トゥ・バッド
8.デズモンド・デッカー/シャンティ・タウン
9.メイタルズ/プレッシャー・ドロップ
10.ジミー・クリフ/シッティング・イン・リンボ
11.ジミー・クリフ/ユー・キャン・ゲット・イット
12.ジミー・クリフ/ザ・ハーダー・ゼイ・カム

本作はそのサウンドトラックで、まだジャマイカの音楽が”ロックステディ”と呼ばれていた頃、アメリカから流れてくるR&Bやソウルをジャマイカン達が独自の解釈で唄い踊ってた音楽から”レゲエ”が如何にして生まれていったのかを、かなり突っ込んで知ることが出来ますし、そんな難しいことはよくわからんでも、心地良いルーツ・レゲエ・サウンドに、ただなーんも考えずにゆったりと浸ることも出来るんです。

モータウン系ソウルからの影響が色濃いレゲエ黎明期の典型的なスタイルの@正統派ロック・ステディならではのゆったりもっさりしたリズムのB、今でもイベントでかかれば大合唱になるレゲエの聖歌「Many Rivers To Cross」のCとか、楽曲も未だに世界中でカヴァーされている名曲も多いし、何より参加してるジミー・クリフやその仲間のミュージシャン達の、ハツラツとした人間臭さ最高の唄いっぷりが素敵です。

アルバム発売からもう40年以上経ちますけど、ぜんっぜん色あせない。例え、コレに入ってる曲が、最新のダンスホール・サウンドの途中でスッと入ってきてもぜんっぜんアリだし気持ち良く踊れます。つまり永遠のマスターピースです。いつまでもゴキゲンなアルバムなんです。


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2014年12月20日

リー・ペリー Super Ape & Return Of The Super Ape

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リー・ペリー Super Ape & Return Of The Super Ape
(Sanctuary UK)

(Disc-1)
1.Zion’s Blood –The Heptones
2.Croaking Lizard – Prince Jazzbo
3.Black Vest – The Upsetters
4.Underground (Root) – The Full Experience
5.Curly Dub – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
6.Dread Lion – Lee ‘Scratch’ Perry & The Heptones
7.Three In One –The Heptones
8.Patience Dub – The Upsetters
9.Dub Along – The Full Experience
10.Super Ape –The Heptones

(Disc-2)
1.Dyon
2.Return Of The Super Ape – The Upsetters
3.Tell Me Something Good – Lee ‘Scratch’ Perry & The Full Experience
4.Bird In Hand – Sam Carty & The Upsetters
5.Crab Years – The Upsetters
6.Jah Jah A Natty Dread – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
7.Psyche And Trim – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
8.The Lion – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
9.Huzza A Hana – Lee ‘Scratch’ Perry & The Upsetters
10.High Ranking Sammy – Lee ‘Scratch’ Perry

最初に聴いた時は、「何これ?全部ユルユル」と思っていたんですが、じっくりと時間をかけて聴けば聴くほど、一見ユルくってハッピーな音の下に、凄まじいまでの狂気を感じさせるのがリー・ペリーの音楽だと思います。

リー・ペリーは、レゲエ界の中でも一際異色の存在です。

「ダブ」と呼ばれる「元曲の改造」・・・今で言うところのリミックスみたいなものを、開発しながら独自の世界観を築き上げ、その過激なサウンドコラージュ、明らかに不自然なエコー、幻覚そのものであるかのように「これでもか!」と重ねられるディレイなど、従来の「レゲエ=生音で楽しむ」という概念をブチ壊したイノベイターといえるでしょう。

今はレゲエといえば、ガンガンに激しいダンスホールが主流で、アツさと純粋な「音圧の威力」でいえばそっちが圧倒的なんですけど、消費されることを拒むかのように、いつまでも斬新に「ボヨヨンヨンヨン・・」と鳴り響くリー・ペリーのダブは、昔お客さんで強烈なレゲエ好きの人が言ってた「レゲエってさ、中毒音楽なんだよね」という言葉を物凄いリアリティでもって裏付けるものであります。

今でも野外フェスで、ガ○○ャキメッキメでヘロ〜ってなりながら、その場の空気をダウナー一色に染め上げているペリー先生の音の「ユルい凶暴さ」は健在でありますが、まずは「ダブって何なのよ?」と思う人は、ペリー先生の代表作として、1976年当時、全音楽シーンを震撼させた「スーパー・エイプ」と、よりサイケ/アシッド感を増量した「やりすぎ感」満載の1978年作「リターン・オブ・スーパー・エイプ」の、お得な2in1盤であるところの本作をオススメします。

コレを聴いて脳ミソが溶けて耳から流れてきても、当方は一切責任を負いません(笑)。






Lee Perry - Return Of The Super Ape
(コレは頭オカシイ、絶対にオカシイ!)


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2014年10月23日

リントン・クウェシ・ジョンソン ベース・カルチャー

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リントン・クウェシ・ジョンソン ベース・カルチャー
(Island)

【収録曲】
1.ベース・カルチャー
2.ストリート66
3.レゲエ・フィ・ピーチ
4.ディ・ブラック・ペッティ・ブーシュワ
5.イングラン・イズ・ア・ビッチ
6.ロレイン
7.レゲエ・サウンズ
8.トゥ・サイズ・オブ・サイレンス

私がレゲエを聴くようになったのは、もちろんジョー・ストラマー先輩の影響です。

雑誌のインタビューなどで、ジョー・ストラマー先輩が、ボブ・マーリィーと並んでアツくリスペクトしてて「あの人は本当に凄い、天才詩人であり、ホンモノの闘士だ」と、アツく語って激オシしてたのが、リントン・クウェシ・ジョンソンでした。

「詩人」「闘士」というワードにグッと来た、頭の悪い中学生だったアタシ。

とりあえず「タイトルとジャケットがイカす」というだけの理由で「ベース・カルチャー」を入手したんですね。

最初はそのまったりしたレゲエビートの上で、ただダラダラ語ってるだけのようなそのスタイルと、音数の異様な少なさと、ひたすら重くて暗いベースラインに面食らって「あ、俺、レゲエだめだ」と思いました。

「ダブ」という言葉も「ポエトリー・リーディング」という言葉も知らないガキでした。

イギリス在住のジャマイカ移民である彼が、ロンドンの荒んだジャマイカン・コミュニティで、肩身の狭い思いをしながら暮らしている同胞の鬱屈した想い、その静かな怒りを強烈なメッセージにして表現しているということも、あの「暗く鬱屈した、やたら耳に重たく残るベースライン」も、そんなUKジャマイカン達の生活の空気を表現したものであるということも、後になって気付きました。

これもちょっと後になって知ったことなんですが、「ダブ」というのは、当時革新的だったレゲエの「音造り方法」のことで、演奏にエコーやリヴァーブ、ディレイなどのエフェクトを施したり、余分な音をカットしまくって、ベースを物凄く強調させたもののことなんですね。

このアルバム、プロデューサーは「ダブの鬼才」といわれるデニス・ボーヴェルです。

彼はレゲエ・ミュージシャンでありながら、ジミ・ヘンドリックスのエフェクト使いに多大な影響を受け、その後のダブの発展に多大な影響を与えています(後に坂本龍一のアルバム「B-2ユニット」のエンジニアも務めたりしてます)。

デニス・ボーヴェルについて語るとまた長くなりますのでやめときますが、とにかくこのアルバムは、ダブ・カルチャーの象徴である「ベース(低音)」と、UKジャマイカン・コミュニティの「ベース・カルチャー」(底辺文化)のダブル・ミーニングで、タイトルからもう凄い強烈なメッセージを放っておるのです。

ボブ・マーリィーの「解放」「自由」そして「熱狂」とは、好対照にあるリントン・クウェシ・ジョンソンの詩とサウンド(特にクールなベース・パート)は、やはり「ルーツ・レゲエ」というものを語る時に絶対にハズせないものだと思います。

特にレゲエが好きで彼の存在を知らなかった人、ロック・プレイやーでレゲエのベースラインというものに興味のある方は必携、必聴の名盤です。聴きましょう。

しばらく廃盤になっていたようですが、何と¥1000ちょいの嬉しい値段で12月に再発されますね♪


ご予約はコチラから↓



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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』


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2014年08月24日

松永孝義 QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜



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『松永孝義/QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜』

【パーソネル】
松永孝義(b)
井ノ浦英雄(ds,perc)
ANNSAN(perc)
エマーソン北村(key,chorus)
桜井芳樹(g)
矢口博康(sax,cl)
増井朗人(tb)
福島ピート幹夫(sax)
松永希(vo,chorus)
ayako_HaLo(chorus)
田村玄一(pedal Steel,chorus onD)
今村忍(g onD)
松竹谷清(g onL)

【収録曲】
1.Momma Mo Akoma Ntutu22.Jazzy
3.Caminando Despasio
4.Two-Step
5.Pua Lililehua
6.Malaika
7.DALI NGIYAKUTHANDA BATI HA-HA-HA
8.よろしく
9.Walk Slowly
10.メンバー紹介
11.Africa
12.Hip Hug Her
13.Two-Step
14.La Cumparsita
15.Momma Mo Akoma Ntutu

松永孝義さんの演奏を初めて生で聴いたのは、ハシケンさんがミニ・アルバム「WAIDO!」をリリースしたそのレコ発ツアーの時だったから、確か2001年の5月だったと思う。

名瀬公民館で、物販の準備をしてたら、バンドメンバーの人達が、次々と慌ただしく会場入りしている時、一人市役所の方向から「ただ者ではないオーラ」を満全に放ちながらゆっくり歩いて来て、私の目の前をスーッと通過して会場に入って行ったのが、松永さんだった。

その雰囲気に圧倒され、挨拶どころではなかったが、直後やはり父が

「ただ者じゃない感じだったが、あの人誰よ?」

と訊いてきたので

「多分ベースの松永孝義さんだ。元MUTE BEATの…」

と、絶句しながら説明した記憶が鮮明にある。

その時のハシケン・フルバンドの演奏は凄まじかった。

特に期待していた松永さんのベースがホールどころか公民館全体の屋根から窓ガラスからをビリビリ震わせていて、築40年ぐらいの建物がたやすく崩壊してしまうんじゃないかと本気で心配したほどだ。

演奏内容に関しては、翌日の(だったと思うが、記憶が前後してたらすいません)「ASIVI」のステージで改めて「これは凄い!」ということを思い知らされた。

松永さんのベースの物理的な音量は、全体のバランスを壊さない程度のものだったが、多分「鳴り」がとてつもなく大きくて、バンド全体を包み込んでリードしていたのだ。

音量はアンプのツマミを上げればいくらでも得ることが出来るが、「鳴り」というのは、技術的なものはもちろん、イメージ力とか踏んできた場数とか、そういう数値化出来ない部分が突き抜けたミュージシャンじゃないと、これはとても習得できるものじゃない。そして「鳴り」は、どんなに大きくても、ライヴ後の聴衆の耳に疲れや違和感を一切与えないのだ。

「鳴り」の大きなミュージシャンの演奏は、結構耳にしていて、その鑑賞のツボもそれなりに心得ていたつもりではあったが、松永さんのベースは、それまで経験したことのない心地よさを感じさせてくれるものだった。

エレキベースであんなに気持ち良い「鳴り」を聴かせてくれる人は、日本には他にいないんじゃないか?とすら思ったが、その時の思いを裏付けするかのように、それ以後私はアレを越える「鳴り」には出会っていない。

ライヴ以来「松永さんカッコイイなぁ〜」というのが、我が家では何かの合言葉みたいになっていた。

松永さん名義のアルバムをすぐに探したが、ソロ・アルバムは出ておらず、2004年になってようやく満を持しての初リーダー作「The Main Man」がリリースされたので、早速購入した。

オーセンティックなスカ/レゲエの軸に、ジャズ、ラテン、カリプソ、ハワイアンなどのエッセンスが小気味よく絡んで、聴く人の心を暖かく解きほぐしてくれる、それは極上のリスニング・ミュージックだった。

「このクオリティでコンスタントにソロ・アルバム出してくれないかね〜」などと、のほほんと願っていたが、松永さんは2012年に亡くなった。

もう松永さんの作品を楽しみにすることも叶わないのかと、失意に暮れていた2014年「松永さんのライヴ・アルバムが出る!」という情報を目にした時は本当に嬉しかった。

そして、小学生が夏休みを待つような気持ちで心待ちにしていた「QUARTER NOTE 〜The Main Man Special Band Live 2004-2011〜」。

内容は「The Main Man」のリリース・ツアーから厳選トラックを収めたもので、メンバーも楽曲もほぼ一緒。「The Main Man」が、もう本当にお気に入りで、事あるごとに聴いてゴキゲンになっていたので、その素晴らしい内容がライヴでとなると、期待は嫌が上にも高まる。

で、演奏とサウンドの素晴らしさは、私の期待なんぞ遥かに上回る素晴らしいものだった。

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相変わらず肩肘張らない自然体の心地良いグルーヴ、洗練された選曲に、心も体も”横ノリ”で踊る。

しかもライヴだ。あの”鳴り”がCDの中で、生に限りなく近い質感で収録されてる。

これはもう、聴いてみないと分からない。

幸いにも奄美には、レゲエやスカが好きな人、ジャズやソウルが好きな人が、老若男女問わず結構いるので、色んな人に「松永孝義さんのアルバム、めちゃくちゃカッコイイっすよ!!」と無節操にオススメしている。

ジャンルを問わず「グルーヴ」に何かしら反応できる人なら、このサウンドは絶対に受け容れることが出来るだろうし、横ノリで躍ることも出来るだろうという、絶対的な自信があるからだ。





(「Walk Slowly」福島ピート幹夫さんのサックスもイイのよ!)





posted by サウンズパル at 14:16| Comment(0) | レゲエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする