ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年04月04日

マイク・ブルームフィールド&アル・クーパー フィルモアの奇蹟

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マイク・ブルームフィールド&アル・クーパー/フィルモアの奇蹟
(ソニー・ミュージック)


音楽を心から愛する読者の皆さんこんばんは。

いや、新年度ですね。忙しいですね。純粋にCD屋一本でやってた頃は「新年度の"度"って何だよ」とか、タワケた事を思ってましたが、正業するようになってから、新年度の"度"がひしひしと染みるようになりました。

まぁそんな訳で忙しくしております。

しかし、今月はソニー渾身の無鉄砲企画「ギター・レジェンド・シリーズ」が、いよいよ発売になるので(注・2017年4月現在)、ヒーヒーばかり言ってはおれません、全世界の音楽好きギター好きの方々のために、や、絶対そんなたくさんの人は見てはないとは思いますが、気合いを入れてレビューしないといかんのです。

という訳で、今日はアメリカの60年代ロックの名盤、とりわけライヴ盤としてはその歴史に燦然と輝く究極にして至高の一枚、マイク・ブルームフィールドとアル・クーパーのいい仕事「フィルモアの奇蹟」をご紹介します。


あのですね、名盤だとか言っていきなり話の腰を折るようで申し訳ないんですけど、マイク・ブルームフィールドとアル・クーパーって、そんな物凄い有名な人達じゃありません。

そりゃあもちろんオールドロック好きの間、なかんづくブルースロック好きの間ではマイク・ブルームフィールドといえばリスペクト通り越して崇拝の対象ぐらい凄いギタリストですし(エリック・クラプトンが彼のエモーショナルなギターを聴いて物凄く嫉妬したという話は有名)、アル・クーパーといえば、ボブ・ディランの名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」での、あの印象的なオルガンだよといえば「あぁなるほど、あのオルガンは最高だ!」と、ほとんどの人には納得なぐらいの隠れ認知度のある実力派ですが、どちらかというと2人共に生粋の音楽職人。

派手で華やかなスター達を横目に、上質なプレイで、ルーツに深く根差した良質な音楽を黙々と作り上げて来た人達なんです。

マイク・ブルームフィールドは、シカゴの本格的なブルース・ロック・バンド"ポール・バターフィールド・ブルース・バンド"のメンバーとして、アル・クーパーは、元々ピアノからギターからマルチに楽器をこなす作曲家として、そのキャリアをスタートさせ、それから紆余曲折を経てそれぞれバンドを離れてソロ活動への道を模索していた1967年、ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」のレコーディングの現場で運命の出会いを果たします。

その時バックを思いっきりエレキ化したボブ・ディランのバンドに、マイク・ブルームフィールドは、その「電気化」の中心人物としてギターを弾いていました。

たまたまスタジオに見学しに来たアル・クーパーは、そのプレイを「カッコイイなぁ」と思いながら聴いてたところ、ディランから

「アル、この曲はオルガン入れてみようと思うんだけど、君弾けるだろ?ちょっと弾いてみてくれよ」

と、誘われ「あぁ...うん」と、実はそれまでオルガンなんか触ったこともなかったのに、ちょっといじっただけでコツを掴んであの名演を繰り広げたという訳なんですが、このプレイに惚れたのがマイク・ブルームフィールド。

「お前いいなぁ」

「お前こそ」

と言い合っているうちにすっかり意気投合。じゃあ一緒に何かやろうぜと話をしているうちに、アルバムでも作ろうじゃないかとすっかり話がまとまって、翌1968年、スタジオで「スーパーセッション」というアルバムを録音します。

この時実はブルームフィールドはレコーディング中に体調が悪くなって、途中からクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングでおなじみのスティーヴン・スティルスが代役で参加して、これがまた素晴らしいブルース・ロック名盤となるのですが

「やっぱライヴやりたいよね〜」

という話になって、サンフランシスコにあった人気のライヴハウス「フィルモア・オーディトリアム(後のフィルモア・ウエスト)」で、何と3日間連続のライヴをやって、それをレコーディングするという話があれよあれよとまとまってしまいます。




(ギター・レジェンド・シリーズ)


(Disc-1)
1.マイク・ブルームフィールドのオープニング・スピーチ
2.59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)
3.アイ・ワンダー・フー
4.神聖にして犯すべからず
5.ウエイト
6.メリー・アン
7.愛の終る日まで
8.ザッツ・オール・ライト
9.グリーン・オニオン

(Disc-2)
1.アル・クーパーのオープニング・スピーチ
2.サニー・ボーイ・ウィリアムスン
3.ノー・モア・ロンリー・ナイツ (寂しい夜はいらない)
4.ディア・ミスター・ファンタジー
5.激しい恋はもうたくさん
6.終曲 (フィナーレ)/逃亡者


演奏家としては言うまでもなく最高にセンスの塊な二人な訳ですが、それ以前に凄まじい音楽好きです。

この時のライヴでは、オリジナルもやりますが、レイ・チャールズ「アイ・ワンダー・フー」、エルヴィス・プレスリー(が、カヴァーしたアーサー"ビッグボーイ"クルータップの「ザッツ・オールライト」、アルバート・キング「激しい恋はもうたくさん」、ブッカーT&ザMG'sの「グリーン・オニオン」などの、有名ブルース/R&Bナンバーから、サニーボーイ・ウィリアムスン(T)の「ノーモア・ロンリー・ナイツ」まだそこまで有名じゃなかった頃のサイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌」など、ちょいと珍しい曲までやってるんですが、こぉれがもう凄い!

基本的にステージに立ってかつ自分が主役となれば演奏がすべて、人気?客ウケ?知らんわい!とばかりに内なる世界に没入してエモーショナルに弾きまくる、弾きまくる、そりゃもう弾きまくる!1曲に目一杯ソロパートを織り込んで、ソロともなれば即興演奏に突入して更に弾きまくに弾きまくります。

彼らの演奏は、もちろんブルースを基調にしています。

でも、それがこのライヴでは黒人の物真似になっておらず、かといってオリジナリティを狙ったあざとさなんかカケラもなくて、ひたすら濃厚に濃密に流れる時間と、一曲の中で何度も押し寄せる衝動と炸裂のカタルシスに、聴いてる側は身も心もクラクラになること猛烈に請け合いです。

キャッチーで速いテンポの曲が一曲も入っていないにも関わらず、です。

ちなみにそんな気合いの入りまくったステージを3日もぶっ続けでやっておりますと、人間流石に消耗します。

マイク・ブルームフィールドは、ここでもやはり燃え尽きてしまって、3日目のステージには出演出来ず、代役として急遽ポール・バターフィールド・バンドの後輩ギタリストのエルヴィン・ビショップ(「ノーモア・ロンリー・ナイツ」で参加)と、まだ全くの無名ギタリストだったカルロス・サンタナ(「サニーボーイ・ウィリアムスン」で参加。ちなみにこの曲はカヴァーしたサニーボーイTのことではなく、別人のサニーボーイ・ウィリアムスンUのことを唄ってるっぽい)が参加。

この2人のプレイもかなりアツいです。エルヴィン・ビショップは、気合いが空回りしてる部分はありますが、兄貴分のブルームフィールドに迫る気迫でキョーレツなチョーキングぶちかましておりますし、サンタナに関しては何とこのライヴが初のレコーディング。

コチラも後年のラテン野郎ぶりこそ出ておりませんが、気持ち良く震えながら伸びてゆくギターソロはやっぱりサンタナです。ファンならずとも心して聴きましょう。

さて、長々書きましたが、職人堅気のギターとオルガンの名手2人による、最高にガチンコな、衝動と情感の激しいせめぎあい、2枚組でその凄まじさは尚更ガチンコです。ブルースロックの名盤、ロックにおけるライヴ名盤、色んな形容と共に語り継がれておりますが、一言で言えば素晴らしくリアルな"生"の音楽にどこまでも浸れる名盤です。

ブルームフィールドのギターはレスポールで、エフェクター一切使わず、フェンダーのツインリバーブ直結なんですよ。これだけでギター弾いてる人なら何か感じるものがあるでしょ、ね♪








『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年03月30日

奉安殿 龍郷町秋名

仕事中はセンサーを危機回避のチャンネルに合わせて使っております。まぁその、去年車で転がったりとかしてますんで。

しかし今日は突如センサーがピピピと言って300m前方の何かをキャッチ。何だろうと思って近付いたら、何の変哲もない建設資材置場みたいな空間の一番奥にこれ。

「何だこりゃ?」と思うでしょうが、これ奉安殿です。

戦前はどこの学校にもあったやつです。奄美では大和村の今里、瀬戸内町の古仁屋と節子、それと加計呂麻島の薩川、須子茂、木慈、請島の池地と、南部に集中的に残ってるもんだー、とは聞いておりましたが、まさか北部龍郷にあるとは知りませんでした。

ちなみに秋名小学校がずっと今の場所にあったんじゃなくて、昔は別の所にあったことも今日初めて知りました。

まだまだ知らないことだらけですな。
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2017年03月28日

サンタナ3

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サンタナ/サンタナ3

(ソニー・ミュージック)



せっかく「ギター・レジェンド・シリーズ \1080」色々なジャンル出てるし、せっかく「ブラック・マジック・ウーマン」のオリジナルの生みの親でありますフリートウッド・マックを紹介したので、今日はサンタナを紹介してしまいましょう。

サンタナは「ラテン・ロック」という音楽をアメリカで作り出した、そのジャンルの開拓者的バンドであります。

よく、ギター弾いてるカルロス・サンタナ個人のことを"サンタナ"だと誤解されますがちゃいます。ギターのカルロス・サンタナを中心としたバンドの事が「サンタナ」です。

エディ・ヴァン・ヘイレンを中心としたバンドの事を「ヴァン・ヘイレン」というのと一緒ですね。

はいはい、そんな訳で今もロックの大御所として現役バリバリのサンタナでありますが、デビューは1969年と早く、その年のウッドストック・フェスティバルに出演したことで一気に話題となり、翌年には先も申し上げたように、フリートウッド・マックの「ブラック・マジック・ウーマン」のラテン・ロックなカヴァーが全米4位というヒットとなって、不動の人気を誇るようになります。

ロックにラテン音楽の要素を取り入れたサンタナのサウンドは、他にない個性と称賛され、セカンド・アルバム「天の守護神」以降は特にメキシコ出身のカルロスの、哀愁溢れるギターソロをグッと全面に出した音作りでその個性に磨きをかけていくのですが、本日ご紹介するのは、そんなサンタナの大飛躍の一歩目となった記念すべき名盤「サンタナ3」であります。

このアルバムでサンタナは、ギターを前に出したサウンドをより効果的にす仕上げるために、バンドにもう一人のギタリスト、しかもリズムを刻むサイドギターではなく、自分のソロにガンガン斬り込んでくる若手のリードギタリストを招き入れます。

その若手ギタリストというのが、何と17歳のニール・ショーン。

はい、詳しい方にはピンとくるでしょうが、彼は後にサンタナのオルガン奏者、グレッグ・ローリーと共に、アメリカン・プログレッシブロックの代表ともいえるスーパー・バンド「ジャーニー」を結成するあのニール・ショーンです。

このカルロスの試みは大成功でした。まーこのショーン君のギター、カルロスに負けず劣らず弾きまくる弾きまくる(!)

個人的にこのアルバムは、初めて買ったサンタナのアルバムだったので、メンバーのこととかまだよく分からなかったということもあり

「当たり前だけどギターめちゃくちゃ弾きまくってるな、まるで音色とかフレーズがそっくりなギタリスト2人がソロバトルしてるみてぇじゃないか、おい」

と、思ってましたが「おい」じゃなくて実際このアルバムでバトルに聴こえてたのは、正真正銘のバトルだったんですね。




1.バトゥーカ
2.孤独のリズム
3.タブー(禁断の恋)
4.祭典
5.新しい世界
6.グアヒーラ
7.ジャングル・ストラット
8.愛がすべてを
9.情熱のルンバ
10.バトゥーカ (ライヴ)
11.ジャングル・ストラット (ライヴ)
12.ガンボ (ライヴ)

アルバムは祝祭の雰囲気を盛り上げるパーカッションの音から始まります。

更にビシッと斬り込んでくるシンプルなギターリフからのいきなりワウも絶妙にかましたチョーキング大炸裂のソロが大いに盛り上がったところでカクンとテンポを落としたAへ。

一応唄モノですが、リードヴォーカルを置かずにコーラスが主旋律を唄うパートがあって、そこから怒涛のギターソロ、これは燃えます。

前半のハイライトBとCも素晴らしく、妖艶なバラードでのむせび泣くギターを目一杯聴かせて一気にハイテンションのラテン・ロック!やり合うギターを挟んでの、グレッグ・ローリーのオルガンソロもキレキレであります。この展開、たまらんですね。ワシ何度こぶしを握ったか分かりません。

続くD以降はレコードでいえばB面ですが、こっからは更に曲のバラエティに富んでおります。

いきなりのブ厚いホーンとソウルフルなパンチの効いたヴォーカルを炸裂させるのは、西海岸ファンクの雄、タワー・オブ・パワーの面々。

Eは一転ルンバのリズムで、ルーツのひとつであるキューバ音楽にかなり接近した曲。正直アタシはこの曲でラテン・ミュージックそのものにかなり惹かれるようになり、大分後に「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」聴いて

「これこれ、サンタナがやってたやつこんな感じの曲!」

と、もう泣きたくなるぐらい嬉しかったです。

Fは更に一転、今度はツインギターのアツい絡みと、それをグイグイ引っ張るベースがカッコイイですね。

そして再びラテンの「お祭り」を思わせる、パーカッションが賑やかに鳴り響くGでアルバムは一応完結なんですが、CD化に際してこの年のフィルモア・ウエストで行われたかなりアツいライヴが3曲オマケで付いております。








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2017年03月26日

フリートウッド・マック 英吉利の薔薇


ソニー・ミュージックが何かトチ狂って気合いを入れてリリース致します税込み¥1080の素晴らしい「ギター・レジェンド・シリーズ」。

せっかくドカンと出ますので、戦前ブルースばかりでもなく、ロックもレビューいたしましょう♪

このシリーズ、タイトルを見ると「ブルース」をキーワードに、ロックやブルースロックの名盤や「おぉ、こんなのもあるのか!」と思わずニンマリしてしまう渋い渋い隠れ名盤まで、これはきっと担当者が手前の独断と偏見だけで勝手にブルース好きや、これからブルースを聴いてみようと思う人達のために、精魂込めてセレクトしたに違いありませんから、そこらへんの気持ちもキチンと汲んで読者の皆様にちゃんと紹介するというのが、音楽稼業に生きる人間の筋というもの。

で、アタシが記念すべき「ギター・レジェンド・シリーズ、ロックこの一枚!」に、まず選んでみたのがコチラ

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フリートウッド・マック/英吉利の薔薇
(ソニー・ミュージック)


ドドーン!

これですよ、このジャケット!!

多分今、ここまで読んで

「あ、何かよーわからんけど、この写真はよく見るぞ!」

と思った方、多いと思います。

そうなんです、コレはですね

「ジャケの方が中身より何倍も有名盤」

として、かれこれ50年近くロック史に君臨しているキング・オブ・変顔ジャケ”でありますの♪

はい、でも中身はカッコイイよ。

終わり。





終われなーーーーーい!!!!


はい、ちゃんとしますね(汗)

このアルバムは、今も活躍しておりますイギリスの大御所ロック・バンド、フリートウッド・マックのセカンド・アルバムです。

はい、で、フリートウッド・マックとは何ぞ?

という話になるんですが、ここで重要なのは「ブルース」です。

アメリカのブルースが、1960年代になって、本国よりもイギリスで大いに人気を博したという話は、このブログでこれまで何度も書きました。

主にマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフといったシカゴ・ブルースを熱心に聴いており、自分達の表現の中にそのエッセンスを取り込んだロックで新たな息吹を与えたのが、ローリング・ストーンズであり、B.B.キング、フレディ・キング、オーティス・ラッシュといったスクィーズ(のけぞり)ギターの名手達のソロをお手本に、それぞれ発展させたのが、エリック・クラプトンやジェフ・ベックであり・・・といった感じで、英国の人気バンドや若いギター・ヒーロー達が、それはもう真剣にブルースというものを唄ったり演奏して、それが60年代の「ロック」の大スパークに直接繋がる訳なんですが。

そんな英国に、実は多くの人材を世に輩出する、シーンの台風の目のようなブルース・バンドがありました。

このバンドこそが”ジョン・メイオール&ザ・ブルース・ブレイカーズ”であります。

クリーム結成前のエリック・クラプトン、ジャック・ブルース、ストーンズでの活躍でおなじみのミック・テイラーなど、ギターもベースもドラムも、その後のUKロックを背負って立つ凄い面々が、それぞれ若い頃に出入りしていたバンドなんですが、このバンドから「天才」と呼ばれるギタリスト、ピーター・グリーンとドラマーのミック・フリードウッドが独立して結成したブルース・ロック・バンドがこの「フリートウッド・マック」。

そうなんです、このアルバム、ジャケットを見る限りは何かフザケてるのか、それともプログレか、はたまたハッピーで軽薄なロックンロールの作品みたいなんですが、中身は実に硬派なブルースロックの名盤なのであります。


【収録曲】
1.ストップ・メッシン・ラウンド
2.ジグソー・パズル・ブルース
3.ドクター・ブラウン
4.サムシング・インサイド・オブ・ミー
5.イヴニン・ブギー
6.ラヴ・ザット・バーンズ
7.ブラック・マジック・ウーマン
8.アイヴ・ロスト・マイ・ベイビー
9.ワン・サニー・デイ
10.ウィズアウト・ユー
11.カミング・ホーム
12.アルバトロス

このバンドは、ピーター・グリーンの、フレーズも音色もかなり本格的なブルース(特にマイナー・キーの曲での強烈な粘りが最高)なギターを中心であります。

しかし、ちょっとフツーじゃないのがその編成。

何とギタリストはグリーンだけじゃなく、ジェレミー・スペンサーと、当時18歳のダニー・カーワンも加わったトリプル・ギターという編成で、しかも3人が3人とも、完全にソロとか完全にサイドとかいう訳ではなく、アンサンブルの中で絶妙に前に出たりバッキングに回ったり、或いはソロの合間に斬り込んできたりと、実に”ギターを聴く醍醐味”に溢れた仕上がりになっておるのですよ♪


サンタナの大ヒット曲としても有名だけど、実はこの人達のがオリジナルな「ブラック・マジック・ウーマン」ドスッ、ドスッと重たいドラムに、カッティングとリフとリードの3本のギターが絡む重厚なブルース「ワン・サニー・デイ」そしてオープニングの強烈に泥臭いながらも、アレンジの中でのメリハリがキチッと聴く人を乗せてくれる「ストップ・メッシン・アラウンド」などなど、どれも強烈に「60年代の、ブルースにガッツリ影響を受けたブルースロック」です。

彼らのプレイはしっかりと泥臭く、そしてトリプルギターでの職人な絡みでしっかりとブルースしてロックしているので、それ以外のアレンジの中で余計なこともせず、実に自然な味わいです。

ジャケのイメージで、アタシも最初は「うぅ〜ん、どんなもんだろう」と思ってたりしたんですけどね、もう1曲目からその、良い意味でUKロックらしからぬ渋味とコクの豊かさに気持ち良くヤラレましたよ。

アルバム全編通して実に硬派なブルースロックですが、感動的なラストの「アルバトロス」、ギター好きでインスト好きならこれ聴いてください。一転切なく不思議な爽快感が余韻としてジワッと響くこれは名演です。





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2017年03月20日

キース・ジャレット 生と死の幻想

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「綺麗」と「美しい」の違いとは何か?

尋ねられるとつぶさには答えられないので、じっくりと考えてみました。

すると思うに「綺麗」というのは、主に視覚や聴覚に鮮やかに飛び込んでくる、その瞬間的な何かのことで「美しい」というのは、視覚や聴覚にありのまま飛び込んできた情報に止まらず、それによって何かしらの想像の力が働く、端的に言えばそこからストーリーが導き出されるものの事全般を指すのではないかと思います。

いやもっとシンプルに「美しい」というものは「綺麗では収まらない恍惚や陶酔を孕んだもの」ではないでしょうか。

例えばキース・ジャレット。

この人のピアノは「綺麗」の最たるものです。

ピンと背筋が伸びるような、濁りのないタッチ、繰り出すフレーズの端正さと透明度は、これがジャズであることを忘れさせてしまう、つまり恍惚と陶酔でもって「これは何」という根幹の部分にある心の壁を溶かしてしまうぐらいのものを持っている。

でも、ここまでなら単なる「綺麗」です。

キース・ジャレットの音楽は、そこから更に聴く人の心の深淵に、スッと入ってきて、色々と狂おしく掻き乱します。つまり美しい。

矛盾するかも知れませんが、何故彼の表現が美しいのか?それは「完璧じゃないから」だと思うんです。

綺麗なメロディーを弾いてるけれど、ギリギリのところで甘美に流れる事を断固拒否してるかのような、厳しい音の選び方や、演奏中の「イー、イー」という妙な唸り声。

正直これがなければキースは完璧。

と、思う要素は結構あるんですが、それらがなかったらキース・ジャレットというピアニスト、恐らく記憶にすら残らない存在で終わったことでしょう。

キースの言葉です。

私達はもっと花のように努めるべきである。
彼らにとっては毎日が生の体験であり、死の体験でもあるから。

−キース・ジャレット.



どうでしょう?花について語るとき、ほとんどの人はその美しさ、眩しいほどの生命の咲き誇る様を無条件で讃えがちですが、彼は慎重に言葉を選びながら

「花というのは生でもあるが死でもあるよ」

と言ってます。





【パーソネル】
キース・ジャレット(p,ss,fl,perc)
デューイ・レッドマン(ts,perc,@B)
チャーリー・ヘイデン(b)
ポール・モチアン(ds,@B)
ギレルミ・フランコ(perc,@B)

【収録曲】
1.生と死の幻想
2.祈り
3.グレイト・バード


この言葉が記されたライナノーツが入っているのは、アルバム「生と死の幻想」。

最初に知った時は、何だか70年代のハードロックのアルバムジャケットにしか見えず、もっと具体的には

「どこのシン・リジィだよ」

としか思えず、中身がまるで想像できなかったので、気にはなるけど(大好きなlmpulse!レーベルのだし)、聴くのは大分遅くなってしまっていたアルバムです。

キースといえば、今も籍を置いているドイツのECMレーベルでの、とにかく美しいピアノ・トリオやソロ・ピアノ、それかヨーロッパのミュージシャン達と、洗練と透明を極めた"ヨーロピアン・カルテット"だよな〜と思っていた所に、インパルスという、キースのイメージとはちょっと合わない、フリージャズやカルトでモンドなポップスに寄った個性派や、或いは30年代40年代に活躍したスウィング・ジャズの往年の名手達による渋くて硬派なイメージのレーベルから出された、しかもクレジットを見ると、ビル・エヴァンスと組んでいたポール・モチアンは分かるけど、デューイ・レッドマンやチャーリー・ヘイデンという、フリーの親玉オーネット・コールマン系のコワモテな方々。

うん、どんな音かますます想像できません。

購入までどれくらいかかったか、とにかく長い時間かかりましたが、ようやく聴いた時は、トリオやソロ・ピアノやヨーロピアン・カルテットとはまるで違うサウンドながら

「あ、美しい・・・」

と、絶句しました。

フルート(キースが吹いてる)とパーカッションが、どこか奥アジア辺りの民族音楽を思わせつつ、やはり端正さと切なく儚い美旋律を炸裂させるピアノが出て来てから、聴く人をためらいなく恍惚と陶酔の世界へ誘うタイトル曲「生と死の幻想」から、チャーリー・ヘイデンの生き物のように艶かしいベースとピアノの深い対話の「祈り」再び民族音楽調のパーカッションとサックスが炸裂する中、その土臭さに激しく対抗するかのようなメロディアスなピアノでぶつかってゆく「グレイト・バード」まで、音楽を聴きつつも、古代遺跡に刻まれた一大叙情詩の世界を浴びているような特別な感覚・・・。

これを「美しい」と言わずして何と言いましょう。

ライナーによると、この時期のキースは思うところあって、ジャズの表現からはどんどん逸脱して行きたかったんだとあります。その逸脱を音にしたものがこのインパルスの、アメリカン・カルテットの演奏であるよと。

確かに「ジャズ」を逸脱して、何というか上の次元の美しさをモノにしたような音楽であります。この底無しの幻想美にいつまでも酔いましょう。



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