ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年07月12日

エルヴィス・プレスリー登場

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エルヴィス・プレスリー登場

(RCA)

エルヴィス・プレスリーといえば、言わずと知れた白人ロックンローラーの最初で、それまでポピュラーかカントリー歌手しかいなかったシーンにブルースやR&Bからの大きな影響を流し込み、つまりはこの人がいなければロックは生まれても若者達の間で今も聴き続けられるような音楽にはなっていなかっただろうと。

つまり凄い人です。

アタシもパンクロックから始まって、ブルース、ジャズ、その他もろもろのブラック・ミュージックと色々聴いてふとエルヴィスの巨大な功績を思い知ることがよくあります。


しかし!

しかしですよ皆さん。

エルヴィス・プレスリーって、今最も

「有名だけどちゃんと聴かれていないミュージシャン」

の筆頭だとアタシ思うんですね。

エルヴィス・プレスリーといえば、例のキラキラフリフリの衣装とモミアゲという70年代以降のスタイルが、色んなところでおもしろおかしくネタにされてきたというのと、スターになってからのムード歌謡的な歌と何だか石原裕次郎みたいな大御所芸能人みたいなイメージがどうも強くて、一番刺激的で一番カッコ良かった初期のロックンロール時代にはあんまりちゃんとスポットが当たっていない。

だから今日はちゃんと”ロックンロールのエルヴィス”にスポットを当てて、広く世間の人にそのカッコ良さを知ってもらいましょう。

といってもこんな辺境ブログを読んで「お、エルヴィス聴いてみようか」と思ってくれる人が何人いるかは甚だ不安ではありますが・・・。





【収録曲】
1.ブルー・スエード・シューズ
2.当てにしてるぜ
3.アイ・ガット・ア・ウーマン
4.ワン・サイデッド・ラヴ・アフェア
5.アイ・ラヴ・ユー・ビコーズ
6.ジャスト・ビコーズ
7.トゥッティ・フルッティ
8.トライング・トゥ・ゲット・トゥ・ユー
9.座って泣きたい
10.あなたを離さない
11.ブルー・ムーン*
12.マネー・ハニー*
13.ハートブレイク・ホテル*
14.アイ・ワズ・ザ・ワン*
15.ローディ・ミス・クローディ*
16.シェイク・ラトル・アンド・ロール*
17.マイ・ベイビー・レフト・ミー*
18.アイ・ウォント・ユー、アイ・ニード・ユー、アイ・ラヴ・ユー*


はい、1956年リリースのエルヴィス・プレスリー正真正銘のデビュー・アルバム「エルヴィス・プレスリー登場」であります。

これはですのぅ、もう本っ当のホンモノのロックンロール・アルバムですよ。最初に聴いた時にアタシはその余りにも挑発的かつワイルドでセクシーなサウンドに

「えぇ!?これマジでエルヴィス・プレスリー!?何てこった、こんなにカッコイイんならもうちょっと早く聴いとけば良かった」

と、感動と後悔がいきなりMAXになった一枚です。

エルヴィスの声の圧倒的な存在感はもちろんですが、派手に飾らないけれどもズガンと迫ってくるギターやベース(もちろんウッドベースだぜぃ)や、軽快にシャッフル・ビートを刻むドラム、グルーヴィーなブギウギを叩き出すピアノなど、何といいますかカントリー、ロックンロール、ロカビリー、R&B、ゴスペルなど、50年代のイカシた音楽の要素全てが、限りなくありのままの姿でここに凝縮されているような感じがするんですよね。

それはチャック・ベリーのファーストを聴いた時も思ったことなんですが、古典として偉い所に祭り上げられる類のそれではなくて、ボリューム上げればいつでもゴキゲンな、いつまでも若者のためにある音楽って感じが、音の生々しさと共に強烈にあるんです。

貧しい家庭に育ち、黒人居住区の教会に勝手にゴスペルを聴きに行ったり、ジューク・ジョイントを外から覗いて生のメンフィス・ブルースを吸収したり、彼の音楽の中心にはいつもブルースやゴスペルなどのブラック・ミュージックがあります。

とにかく「ロックンロール」という言葉に少しでもピンとくるものがあれば、エルヴィスのこのアルバムと、メジャー・デビュー前のサン・レコードでのセッションを集めたアルバムは聴いて損はありません。

「白人は白人らしく品行方正に歌え」

という世間に対して、どんな批判を受けてもあくまで敬愛する黒人シンガー達のような歌い方やパフォーマンス(その中にはあの”腰をくねらせて歌う”というのがありました)をすることを止めなかった、理由は「カッコイイから」。そんなエルヴィスの反骨のスピリッツをぜひとも聴いてください。



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2017年07月10日

ビッグ・ジェイ・マクニーリー ライヴ・アット・シスコズ

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ビッグ・ジェイ・マクニーリー/ライヴ・アット・シスコズ

(Atlantic/ワーナー)


さぁみなさん、お待たせしました!今日は皆さんの大好きなホンカーの大将、ビッグ・ジェイ・マクニーリーですよー!!!!

えーーー!誰それ?

とか言うなかれ!

いや、知らなくてもいいし言ってもいいんですねどね、あーたホンカーを知らずして人生は楽しめないという古いことわざがアメリカにありますように、これはもうさいっこうに楽しい音楽なんです。

えぇ、そんなことわざなんか例によってないんですけれどもね。でも、1940年代にアメリカ南部のテキサスから”テキサス文化圏”ともいえる西海岸で流行ったのが、ブルースもジャズもR&Bも、そして後にはロックンロールもすべてブチ込んだ、ジャンプ・ミュージックというゴキゲンな音楽です。

ジャンプ・ミュージックのバンドっていえば大体がビッグバンドで、カッコいいスーツに身を包んで、ホーン隊が演奏中に立ち上がって踊ったりするのね。

「何だ、そんなのジャズじゃないか」


と思うなかれ、ジャズの場合はそういうエンターテイメント性がありつつもやっぱり「聴かせる」方に何だかんだ行く訳ですが、ジャンプの場合はそのベクトルが全く逆。ちょいとウケたらところん「踊らせる」方向に演奏は行っちゃうってぇ寸法なんです。 


「盛り上がれば何でもOK」ってことでエレキギターなんかもガンガンフィーチャーして、歪んだ音で弾かせてるし、場がノッてきたら曲の途中から全部手拍子と合唱でも全然構わない。そういう音楽の中身も客席とステージも厳密に区別しない、いかにもアメリカ南部の豪快でおおらかなノリのものが多いんですね。

そんなジャンプ・バンドの花形といえば、テナー・サックスでありました。

音響機器もまだまだ未発達の時代に、生音のソロでいかにデカい音を出していかに客を沸かせるかを真剣に考えて色々と「わぎゃー!」という叫び声のような音を出したり、吹きながら客席になだれ込んだりステージの上でのたうち回るアクションをしたり、とにかくもうソロタイムになると音と派手なアクションで、まるで怪獣のごとく現れては常識外れな音とアクションで大暴れして演奏を興奮のるつぼに巻き込むテナーサックスを持った生き物、そいつらが「ホンカー」と呼ばれ、当時はそんじょのジャズマンよりも現場人気を博していたんです。

有名なジャズマンでもホンカー出身はいっぱいおります。

多いのはやっぱりテキサスで、テキサス・テナーのアーネット・コブとかブッカー・アーヴィン、アレサ・フランクリンやサム・クックのバックでも有名なキング・カーティスなんかはそうですね。それから意外にも若い頃のコルトレーン、この人は反対側のニューヨークですが、食うためにR&Bのバンドでテナーを吹いて、バーのカウンターを練り歩きながらぶおーぶおーと吹いておった。そういうホンカーの真似事なんかをしておったみたいです。

1950年代ぐらいまでは、レコードはまだまだ一部の金持ちの道楽で、ほとんどの一般大衆はラジオやジュークボックスに小銭を入れて音楽を楽しんでおりました。

ジュークボックスが置いてあるのは、酒場とか遊技場とかそういった、とにかく人が集まってワイワイしてるところですよね。だからそういう場で好まれるのは、自然とみんなで盛り上がれる曲で、つまりそういう場では芸術性の高いものよりも、ポップでノリが良くて親しみやすいジャンプやR&Bだったんですね。

そしてアメリカのヒットを支えていたのが、このジュークボックスでリクエストされる音楽でした。

ジュークボックスにコインを入れるのは、主に労働者や若者層であります。

当時のビッグ・ジェイらジャンプのスター達がどれぐらい人気だったかといえば有名なこの写真

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熱狂の余りステージに寝っ転がって吹きまくるビッグ・ジェイを見る白人若者のこの顔(!!)

ヤラセではありません、ビッグ・ジェイのステージは実際にこんなもんではなく


『ビッグ・ジェイが物凄い音でソロを吹くと会場からコールの大合唱が起きる。んで、彼は客席を練り歩きながら吹きまくるんだが、その熱狂の凄まじさの中でいつの間にかいなくなってる。おかしなことになったと思ってもバンドも客も止められないぐらいにヒートアップしてそのまんま盛り上がってた。しばらくしてクラブに警察から電話がかかってきて、バンドのヤツを出してくれと言うから何だろうと思ったバンマスが電話を替わると”道の真ん中でおかしなヤツが地面をのたうちまわりながらサックスで雄たけびみたいな騒音を出している、危ないし迷惑だから迎えに来い”と』

何か前に紹介したギタースリムの話と似てますが、まぁ50年代のイカレたブルースマン達のノリといえば普通にこんなもんだったでしょう。

とにかくビッグ・ジェイの吹き倒すテナーといえば、小細工やテクニカルな技を披露すること微塵もナシ、ず太くまるでファズかディストーションが効いたような割れた音(これはですのぅ、グロウトーンといってサックス吹く時に”ウー”っていう声を混ぜると出せるんですが、普通にここまでの音は出らんです)でブオーとかギャー!!とかひたすら破壊力のある一音をぶっ放つ。

曲はブルースというよりもほとんどロックンロールに近い8ビートシャッフルで単純明快、バラードとかもやるけど、そしてそれはそれで実に味があって素晴らしいんだけれども、アップテンポでのテナーの「ボギャギャギャーーー!!」で情緒とか感慨とかセンチとかいったものが全部吹っ飛んでしまう。

雑誌には「元祖ヘヴィメタ」って書いてあり、アタシはそれを見て「昔のしかもリズム・アンド・ブルースでどれほどのものか」と、若干ナメてたんですが、もうその「ぼぎゃーー!」で完全に土下座です。「アンプとかエフェクターなしでよくぞここまでやってくれまました本当にすいませんでした」です。




【収録曲】
1.ビッグ・ジェイズ・シャッフル
2.ペルディード
3.ユー・ドント・ハフ・トゥ・ゴー
4.ビッグ・ボーイ
5.ビッグ・ジェイズ・カウント
6.シスコズ
7.サンセット
8.ディーコンズ・ホップ
9.ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード
10.シェク・イット、シェイク・イット、ベイビー
11.ザ・パーティーズ・オーヴァー

で、そんなビッグ・ジェイは、やはりというか何というか、日本ではジャズファンとかよりも、どっちかというとロカビリーとかロックンロールとか好きな人に人気が高い。そりゃそうですよね、ムードは完全に50'sのそれで、随所に唄(ほとんどサビの掛け声)もあるしブライアン・セッツァー・オーケストラなんか好きな人が聴けばもう一発撃沈みたいなグレイトなサウンドですもんね。

アルバムはもうほんと「出てるものは全部いいから全部買え」と言いたいぐらいに、どれも見事な狂乱のクオリティを維持してます。でも、ようやくこうやって1963年という旬な時期のライヴ盤がようやく国内盤でしかもかなりハッピーな価格で出てくれたんでこれを聴きましょう。

最後に、ビッグ・ジェイはただめちゃくちゃにサックス吹いてる・・・んですが、決してデタラメをやってるんじゃなくて、音楽の基礎をちゃんと真面目に習って習得した人なんです。

クラシックを教える音楽学校で割と真面目な生徒だったみたいなんですが、真面目〜にクラシックばかりをやっていたら、自分のサックスの音がだんだん綺麗で優しいものになってきたから「これはいかん」と音楽学校を辞めて夜の世界へ飛び込んだんだと。うん、やっぱり頭オカシイ。ちなみに御年90を超えて今も現役で、流石にステージでは座ってることが多くなったけど、そのサックスからは相変わらずな「ボギャー!」がマイク要らんのじゃないかこれ?って音で出てくるんだと。


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2017年07月08日

ジミー・リード アイム・ジミー・リード

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ジミー・リード/アイム・ジミー・リード
(VeeJay)

みんな、うだるような暑さと湿気が絶好調な夏に聴きたいものといえばやっぱりレイジーでダウナーなブルースだよね♪

・・・ん、かなりの数の「いや、それは違う」という声も聞こえたような気もしますが、気にしない、気のせいです。話をつづけましょう。

今日みなさんにご紹介するのは、ぜひとも扇風機の前でビールでもやりながらシャツのボタンを5つほど外してダラダラ聴いて頂きたいブルースの代表格、ジミー・リードであります。

音楽の歴史に大きな足跡を残し、今なお世界中からリスペクトされている”ブルースの巨人”たとえばマディ・ウォーターズ、B.B.キング、ハウリン・ウルフ、ジョン・リー・フッカー、ロバート・ジョンソンなどなどなど・・・そういう名前が挙がる人達に比べたら若干知名度は劣るかも知れませんが、実はコノ人、楽曲のカヴァーされ具合、究極的に影響を受けたローリング・ストーンズ経由で、その後の音楽に与えた影響度という意味で、そんな巨人達を凌ぐほどのものなのであります。

実際にジミー・リードは、ブルースの歴史上屈指のヒットメイカーです。

覚えやすいメロディに単純明快な歌詞、そして”ダウンホーム・スタイル”と呼ばれる泥臭さを感じさせるレイジーな曲調、あんまり声を張り上げず、ゆったりまったりの語り口調のようなヴォーカル。

何よりも曲のほとんどがですね、例のブルースといえばの「ズッズジャッジャ、ズッズジャッジャ」のウォーキング・ビート”だけ”で成り立っていて、曲の違いといえば、コレがユルいか遅いかぐらいなんですね。

コノ人の辞書には「速い」とか「魂絞る」とか「頑張る」とかいう文字はないのでありまして、大体がコノおっさんは「酒が飲めりゃなんでもいい」ぐらいの筋金入りのドランカーなんですね。

まぁブルースマンなんて大体そんな人間ばかりなんですが、演奏に支障をきたすぐらいのレベルを常にキープしていた(エンディングや間奏のタイミングを決めないでずっとダラダラやってるからメンバーが勝手に決めてたとか、ライヴ中歌詞が出てこないぐらい当たり前なので、ちゃんと奥さんが横に立ってて、歌が止まったら耳元でその都度ささやいたとか、まぁザラです)のは、コノ人とテキサスのスモーキー・ホグぐらいだと伝説になってるぐらいのへべれけです。

だからその性格と性質上、気合いを入れて激しく演奏するなんてコノおっさんは出来なかったし、そもそもやる気がなかった。でも、人間というのは何が成功に繋がるか分からないというのは、この人の書く曲が、1950年代から60年代、それこそロックンロールの波に押されてブルースが軒並み勢いを失いかけていた頃に、ロックンロールを聴く若者から

「オーイェー、ジミー・リードの曲はロックンロールみたいなブルースだよな♪」

と、若者に大いにウケて、出す曲出す曲どれもヒットしていたこと。

ミシシッピからシカゴに出てきて、とりあえず食うためにカタギの仕事を転々としていたジミーなんですが、若い頃から大酒飲みで、田舎にいた頃からハーモニカとギターに多少の心得があるもんですから

「なんかこー夜は毎日呑んで昼の仕事したくねぇな、そうだ、ブルース唄ってメシが食えればいいんじゃね?」

と、実に適当なことを思い付いて

「今シカゴで一番売れる可能性のあるレーベルってどこ?あ?チェス?マディ・ウォーターズとかハウリン・ウルフとかリトル・ウォルターとかいんの?オレ、3人ともカッコイイなぁ、憧れるなぁって思ってたんだよ、じゃあそこに売り込みに行こう」

と、これまた実に適当に思い付いてチェスに行くのですが

「あー、ごめんね。ウチはマディとウルフとリトル・ウォルターでいっぱいいっぱいなんだ」

と、あっけなく追い返されます。

ここでガックリ来たジミーでしたが、ライヴで一緒に演奏するメンバーで、ドラムを叩いていたアルバート・キングというでっかい男が

「えぇと、今から出来るみたいなんだけどヴィー・ジェイってとこがあるんだと。そこに行けばいいんじゃね?」

と、新興のインディーズレーベルのVeeJayレコードを紹介し、ジミーはそこへ。で、まんまとレコーディング・アーティスト第一号となって、更に「まさかそんなに売れるとは思ってなかった」ヴィージェイのドル箱の看板ブルースマンとして快進撃を続けることになります。

えぇ、このVeeJay、後にジョン・リー・フッカーとか、ジャズのウィントン・ケリー、リー・モーガンとか凄いアーティスト達が60年代に結構な量の作品をレコーディングするんですが、その資金を稼いだのはほとんどジミー・リードだと言っても過言ではありません。ウィントン・ケリーの名盤「枯葉」や「ケリー・グレイト」をいいねと思って聴いているジャズファンの方、いらっしゃいましたらジミー・リードに感謝してください。

さて、皆さん気になることがあるでしょう。

そうです「ジミーにVeeJayを紹介したアルバート・キングというドラマー」なんですが、はい、あのアルバート・キングです。

アルバートはその頃ジョン・プリムという人のバンドにいて、彼がギタリストなもんだから、とりあえずまぁ叩けはするドラムをやってたんですね。で、ジミー・リードと知り合って

「オレのバックで叩いてくれよ」

「うん、いいけどオレ、本業はギターだからドラムはシャッフルぐれーしか叩けねーよ」

「あぁ、オレはそういう曲しかやらねぇからいいんだよ」

と、アッサリ決まったんだそうです。

後に

「ジミーはアイツぁ仕事中なのに酒ばっか呑んでライヴもレコーディングも全然真面目にやんないから辞めた」

と、怒ってバンドを脱退してます。あぁブルース・・・。




【収録曲】
1.Honest I Do
2.Go On to School
3.My First Plea
4.Boogie in the Dark
5.You Got Me Crying
6.Ain't That Lovin' You Baby
7.You Got Me Dizzy
8.Little Rain
9.Can't Stand to See You Go
10.Roll and Rhumba
11.You're Something Else
12.You Don't Have to Go


ジミー・リードの話をしてたら、もうそんなのばっかダラダラ出てきてしょうがないので、アルバムを紹介します。

ジミーは1958年からVeeJayが倒産する1966年までの間に実に10枚のアルバムをリリースしてますが、大体どれも一緒です。「ズッズジャッジャ、ズッズジャッジャ」のシャッフルに「ほぇぇ〜、ほえぇ〜ん」とヴォーカルが入り、ややへにゃったギターに首からホルダーでぶら下げたハープが良い感じにイナタく鳴り響くと。

ワンパターンもいいところで、最初聴いた時は「何これ飽きるんじゃないか!?」と思ったけど、不思議と何十年聴いてても飽きません。ローリング・ストーンズはこの人のダル〜なビート感覚とひなびたサウンドの何ともいえない持ち味を徹底して研究して、キッチリカッチリしたのが身上の英国ロックに大きな風穴を開け、ミック・ジャガーに至ってはヴォーカルのヨレ具合まで完全にモノにしている感がありますが、じゃあお前はローリング・ストーンズのメンバーぐらいジミー・スミスを好きなのかと言われたらちょっと自信がありません。

何故ならコノ人の音楽は聴き手に「オレのブルースを聴けぇえ!」と強烈に迫ってくることもなければ、聴き手を一発でノックアウトしてやろうとかそういう野心めいた、いや、悪魔めいたところが実に希薄で「うん、聴きたきゃ聴けばいいよね〜」と、淡々と飄々としている”だけ”なんですよ。でも聴いちゃう、気が付けば何か聴いちゃってる。

困ったなぁ、音楽的なことを真面目に解説しようとすればするほど、この人のユル〜いブルースは、そういう知識や言葉をうにゃうにゃとすり抜けてしまう。そういう人なんで皆さんどうかひとつよろしく。






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2017年07月05日

ランシド ・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス

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ランシド/・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス
(Epithph/エピック)

丁度ニルヴァーナの大ブレイクで、それまで洋楽の激しいロックといえば、ヘヴィメタル一辺倒だった洋楽に、空前のオルタナティヴ・ロックという新しいムーヴメントが吹き荒れました。

アタシら世代(当時の高校生)のロック小僧やギター小僧達が、ヘヴィメタ雑誌を講読してキャッキャ言ってたのが、もうあっという間にロッキンオンとかロッキンfとかクロスビートとか、それまでは「なんでぇ、あんな軟弱な雑誌」と、どちらかというと馬鹿にしてたのが、ニルヴァーナとかソニック・ユースとかレッド・ホット・チリ・ペッパーズとかの情報ほしさに最初はコッソリ、段々堂々と、最終的には結構得意気に読むようになって、口の悪いヤツは「メタルとかだっせぇ」とか、ほんの短期間、そう、ほんの数ヶ月ぐらいで言うようになって、あぁ、これが流行ってやつか・・・。と、その時初めて流行の移り変わりを実感として初めて体験した覚えがあります。

でも、当時ニルヴァーナが大ブレイクしたからと言って、出てくるバンドが全部ニルヴァーナみたいなものだったかと言われると、そうではなかったと思います。

「オルタナティヴ」のくくりに入れられてはいても、パンクっぽいもの、ヘヴィメタルの暗黒な要素を強く持つもの、よりカジュアルでポップなものなど、そのジャンルにはたくさんの個性や表現スタイルの違ったバンドがおりました。

そりゃそうでしょう、元々それまでの”ロック”に当てはまらない、何か新しい個性を持っている、カテゴライズが難しいものを「オルタナティヴ」の中に全部詰め込んで、メディアがそう読んでいた訳ですから。

そんなこんなで、90年代というのは、ロックという音楽が多様化を極めた最初の時代です。

常に”新しい何か”に向いていた若者の目は、多様化に背中を押される形で、ルーツにも向けられました。

それが70年代のパンクロックのシンプルかつストレートな音楽性とスピリッツでした。

元々アメリカのインディーズ・シーンは、メタルが流行ろうがオルタナが出てこようが、パンクが下支えしていた時代が長く続いていて、モトリー・クルー、ガンズから、メタリカやニルヴァーナ、レッチリといったメタル/オルタナのブレイクしたバンド達は、パンクロックへのリスペクトに言葉を惜しまず語っており、また「地元シーンでクールなのは・・・」と語る先輩や後輩のバンドには、正統派なパンクやハードコアのバンドも数多くいて、それぞれがそこそこ有名になって、徐々にパンクも復権していた頃、グリーン・デイが大ブレイクして、そこから日本でのお馴染みの、空前のネオパンク/メロコアブームが、オルタナやグランジと入れ替わるような形で吹き荒れます。

この時はポップで軽くて一緒に歌えるバンドが多かったですね。

でも、そんな中で80年代ハードコアのまんまな出で立ちと硬派でエッジの効いた音楽性を持っていたランシドは独特で、ブームを牽引しながらもブームとは毅然と並立しているようなカッコ良さがありました。

1993年にファースト・アルバム「ランシド」でデビューして、翌94年にはセカンド・アルバム「レッツ・ゴー」を出したランシドでしたが、サウンドの他を寄せ付けない強靭さはあれど、この時はまだまだ一部の相当にコアなパンク好きにしか知られていないバンドでしたが、95年にリリースした三枚目のアルバム「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」に収録のナンバー「タイム・ボム」がヒットして、一部のパンク好きから洋楽全般を好む若いファンにも広く受け容れられるようになり、90年代を代表するパンクロック・バンドとしての評価を不動のものとしていきます。





【収録曲】
1.マクスウェル・マーダー
2.ジ・イレヴンス・アワー
3.ルーツ・ラディカルズ
4.タイム・ボム
5.オリンピア WA.
6.ロック、ステップ・アンド・ゴーン
7.ジャンキー・マン
8.リステッド M.I.A.
9.ルビー・ソーホー
10.ダリー・シティ・トレイン
11.ジャーニー・トゥ・ジ・エンド・オブ・ジ・イースト・ベイ
12.シーズ・オートマティック
13.オールド・フレンド
14.ディスオーダー・アンド・ディスアレイ
15.ジ・ウォーズ・エンド
16.ユー・ドント・ケア・ナッシン
17.アズ・ウィキッド
18.アベニューズ・アンド・アレーウェイズ
19.ザ・ウェイ・アイ・フィール


1995年の、確かコレ、夏の終わりに出たんですよ。

アタシは夏休みで帰省してて、昼は実家で働いて、夕方からはビヤガーデンでバイトしてたんですけど、そん時丁度ブルース中毒の症状が出始めたのと、その前の年にやっぱり帰省してハマッたランシドの新しいアルバムがリリースされるのを、もうすごく楽しみにしてたんですね。

で、実家とビヤガーデンでバイトしたお金はブルースのCDとランシドでほとんど綺麗になくなったというどうしようもない話は置いといて、ファーストもセカンドも最高に荒削りで、やさぐれそのまんまの音が脳天にガンゴン飛んでくるあの感じが大好きだったんで、レコーディングとかどうやってんだろうと思ったら、ほとんどが一発録りで20曲ぐらいアルバムに入ってるくせにレコーディングには1週間もかけてないとか、そういう話読んで「おぉ、これぞパンクスピリッツ!」とか、アタシ喜んでたんです。

で「・・・アンド・アウト・カム・ジ・ウルヴス」は、初めてちゃんとしたプロデューサー迎えて1ヶ月以上製作にかけたアルバムだと聞いて、ちょっと勢いとか削がれてたりすんじゃないのか?ポップになってたらどうしよう?とか、前からとても共通点を感じていたクラッシュみたいに、三枚目だからロンドン・コーリングみたいなジャンルレスなアルバム出すんじゃないのかな?とか、不安と期待は入り混じっておりましたが、そんなの関係ないとばかりに相変わらず硬派でストレートで、前作前々作からは上手に音のゴワゴワを抑えて変わりにより鋭く威力のあるものにしたサウンドが、一発目から頭に刺さりました。

ヒットした「タイム・ボム」からしてリズムがスカなんですよね、で、実はこのアルバムの中では音楽の幅を広げようとリズムやアレンジ(つってもギター2本に、曲によってせいぜいオルガンがちょこっと入っただけの男らしい編成)に相当な工夫をしてあって、で、歌詞と見事に連動した楽曲も、見事に一緒に歌えるようなものが多いのですが、ストレートに”響く”と”余計なものがない鋭さ”は、ランシドのアルバムの中でも際立っているような気がします。



一言でいえばものすごくパンクなんです。

「何がどうパンクなの?」

と言われれば

うん、そういう疑問を持ってる人が聴いて”やべ!カッコイイ!すごくパンク!!”と思えるアルバムだからなんだよ。と答えます。







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2017年07月03日

レニー・トリスターノ ニュー・トリスターノ

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レニー・トリスターノ/ニュー・トリスターノ

「毒を食らわば皿まで」

という言葉が好きなので、今日もしつこくレニー・トリスターノをご紹介致します。

トリスターノという人は、その音楽同様にとてもストイックな人で、自分にも他人にも妥協をいうものを一切許さない性格でした。

そんな人ですので、多くの弟子を育てつつも、音楽以外のことでツルんだりフザケたことをやったりする、いわゆる”お友達”のクルーは持ちません。

むしろ高潔な人ですから、酒や麻薬やギャンブルに溺れるミュージシャン達の集団には「お前たちは何故音楽に集中しないのか」と、イライラしながら見ていたんだろうと思います。

トリスターノはだからレコード会社との関係性も、より高潔なものを求めました

一人の芸術家として扱うこと、レコードの中身に関しては完全なる主導権を自分に取らせること。

メジャーレーベルのアトランティックと契約する時も、トリスターノの契約条件はレコード会社にかなり厳しめの注文が並んでいたといいます。

ところが言うまでもなくレコード会社というのは「売れるもんを作ってなんぼ」であります。

売れることなど一切考慮に入れず、ただひたすらに厳しく己の世界を追究するトリスターノに

「いや、先生。もっとこういう風にした方がリスナーも喜ぶかと・・・」

と、ちょくちょく言ってくるレコード会社に

「いや、私はもっとこう表現の高みを感じられるものを作りたい」

と譲らないトリスターノ。

更にトリスターノが

「レコーディングしたい」

と言っても

「いやぁ、あまり売れないからなんとかかんとか」

と、何かと理由を付けてそれを先延ばしにするレコード会社。

結局メジャー契約をしてもなかなか売り出すチャンスを掴めないアトランティック側の苛立ちと、満足行くリリースをさせてもらえないトリスターノの不信感は募るばかりで、遂にはトリスターノの方が

「お前らなんぞもう知らんわい!」

と、1960年代以降は自主レーベルを作ってそこから作品を出すことを決めて、以後彼は亡くなるまで特定の商業レーベルからのリリースはほとんど行いませんでした。


で、今日なんですが、ご紹介するのはそんなトリスターノ先生が、大手アトランティックから出した貴重な二枚のアルバムのうち、昨日ご紹介した「鬼才トリスターノ」とは対になって語られる「ニュー・トリスターノ
」であります。






【パーソネル】
レニー・トリスターノ(p)

【収録曲】
1.ビカミング
2.C マイナー・コンプレックス
3.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ
4.デリバレイション
5.シーン・アンド・ヴァリエイションズ
6.ラヴ・ラインズ
7.G マイナー・コンプレックス


1962年、トリスターノがレーベルに「怒りの起き土産」として最後に残した作品は、あの鋭い切れ味と容赦ないほど硬質で透明で重厚な美学の結晶といえる「鬼才トリスターノ」よりも更に容赦ないトリスターノの完全ソロ・ピアノ作であります(!)

先に結論から言っておきますと、ジャズという音楽に・・・・、いや、音楽に打ちのめされたい!

と、思う方はもう有無を言わさずお聴きなさい。

冷徹にすら思える崩れないリズム、鍵盤に打ち下ろされる凍ったハンマーのような打撃力の強い音塊、バッハ、シェーンベルクからと思われるクラシカルな(雰囲気で酔える”柔らかクラシック”ではないっす)ハーモニーなのに、ズンズンと直角な渦を描きながらいつのまにか奇妙に歪んで横に横に伸びてゆくメロディーとリズム。

ここにはトリスターノの全てが詰まってます。

一言でいえば「空前絶後」いや、相当に古い音源なんですが、古さは一切なくて、かといって派手な新しさもなくて、ただもう音楽の核。それも太陽から遠く離れた冷たい惑星の限りなく絶対零度に近い氷の核、そのカッコ良さと圧倒的な質量だけがここにあります。

たとえば左手が4分音符で綺麗なベースラインを弾く上に、わざと強引に8分とか16とかの拍の違う右手を重ねて、それが寸分の狂いもなく流れていく。そこから生まれるグルーヴは、前にも言いましたが決して「ノレる、踊れる」グルーヴではないのですが、大きく空間を歪めて揺さぶって、聴く人の神経に直接作用する危険極まりないものなんです。

で、右手のフレーズも、通常だったらメジャーかマイナーの音階で、どこかで「パタン」とオチを付けて途切れるところを、オチを持って来ずに敢えて繋がりをうにょうにょと融解させて、息継ぎナシで延々と繋げてゆく。この”ブレスなし”のどこへ連れていかれるか分かんないフレーズが生む、これまた特異なグルーウも大変にヤバイんです。

このヤバさを体験しないでここまで読んでしまった人は、もう半分ぐらい中毒なんで、トリスターノを何でもいいから今聴いておくべきです。











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『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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