2020年07月17日

大コルトレーン祭2020はじまります(今年は50年代のコルトレーンから)

今年も7月17日、ジョン・コルトレーンの命日がやってきました。

ツイッターのハッシュタグ #大コルトレーン祭 で呟いていると

「何のキャンペーン?」とか「どこで特集してるの?」とか言われますが、これは元々サウンズパルが店舗のある地上のCD屋だった頃に始めたコルトレーン普及のための企画で、店頭にコルトレーンのCDを可能な限り揃えて、お店にある試聴機にもコルトレーンのアルバムをドカッと入れて、もちろん店内でもコルトレーンのアルバムをガンガン鳴らして、この素晴らしいミュージシャンを少しでも知ってもらおうという企画でありました。

ほんでもって、店舗を閉じて地下に潜っても「コルトレーンってやっぱり素晴らしいんだよね」という気持ちには変わりはないので、こうやってブログにコルトレーンに関する記事やアルバムレビューを書いてアップして、ツイッターでタグ付けて呟いておるという訳なんです。





51SFgNVViFL._AC_.jpg


今日は帰宅してすぐに一番好きな『ラッシュ・ライフ』を、そして一番面白いなと思っている『ダカール』を立て続けに聴きました。

いやぁ『ラッシュ・ライフ』は下のリンクにあるレビューにも書いてありますが、とにかく1曲目の最初のあのキュンとしたテナーの音でグググッと引き込まれる、というよりもアルバム全体はもちろん素晴らしいんですが、極端に言えばその最初のテナーの音だけでも延々と聴いてられます。

『ダカール』は、ブローイング・セッションを作るのが好きなPrestigeのアルバムらしく、2バリトンに1テナーという変わった編成で、コルトレーンの作品としてレコーディングされたものではありません。録音された1957年から何と6年も倉庫で放置され、コルトレーン人気が絶頂になった1963年に突如思い出したようにジャケットとタイトル付けられて、いかにも「コルトレーンの新作ですよ!」みたいな感じで売り出されたアルバムと、動機はほんとテキトーなんですが、コルトレーンとバリトンの2人(セシル・ペインとペッパー・アダムス)の個性溢れるプレイが本当に素晴らしく、決して駄作に仕上がっていない、何というかこの時代のジャズの凄さそのものも体現出来るアルバムなんです。















今年は初期50年代(というか2枚とも1957年だ!)のアルバムを聴く事から始まりましたコルトレーン強化月間。さて明日も深く楽しくコルトレーンを聴きましょうね。記事もどうぞお楽しみに♪














”ジョン・コルトレーン”関連記事


『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 23:19| Comment(0) | 大コルトレーン祭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月15日

高崎怪談会 東国百鬼譚

51SFgNVViFL._AC_.jpg

 高崎怪談会 東国百鬼譚
(竹書房怪談文庫)


いやもう奄美はいつもならとっくに明けているはずの梅雨が明けないんですね。とはいっても大体梅雨といっても当地はザーッと大粒の台風みたいな雨が降る日とギラッと晴れて容赦ない日差しが照り付ける日が3日、4日起きぐらいに交互にあって、その一週間のサイクルが「雨2、照5」ぐらいになって安定すると、さぁ梅雨明けして本格的な夏(!)って事になるんだと思うのですが、今年は「梅雨明けでいいんじゃない?」と思ったら前線が張り出して雨が降る日がずるずると続いて、まだ梅雨です。

こんなおかしな気候が続いておりますものですから、気温と湿度が変な感じに高くなって、気分的なものもおかしな感じになります。

こういう時ってのは、無理矢理元気を出そうと思っても元気が出ない自分にイライラするばかりでよろしくありません。が、音楽を聴いたり本を読んだりすると、いつもよりリアルな感覚でそれを楽しめるなんてこともあるんです。

夏といえば怪談ですが、何で夏に怪談なのかというのは、単純にゾッする感覚を涼として楽しもうとか、お盆が近いからとか、そういうのばかりでなく、アタシはどうしてもこの高温多湿で変になる感覚によって、いつもより話が生々しく思えるようになるからなんじゃないかと思うんですよね。

そんな訳でこのムシ暑い季節に楽しんでおりましたのは、怪談といえば素晴らしい文庫シリーズを多く出しております竹書房から発売されました『高崎怪談会・東国百鬼譚』であります。

実はですね、アタシには短歌の繋がりがきっかけでTwitterなんかで楽しく会話させてもらっている方がおりまして、その方が「今度こんな本に参加しますよー」という告知を流してたんですね。

文章とか言葉のセンスが最高な方ですので、あぁこらもう面白いのは間違いない。で、何の本だい?えぇ!怪談!!??とびっくりして、というのも、その方が呟く内容というのは割と多岐に及んでいるけど、怖い事は言わない方なんですね。だから余計に楽しみになってしまって、あぁこらもうこの高崎怪談、文庫本を注文して買うしかないと早速地元の本屋さんで注文してワクワクで舞っていたのです。


先にネタバレギリギリなしの感想から書いておきます。結論から言うと

すっごい面白かった!

「高崎」という地名があるので、これは群馬県高崎市の怪異の伝説とかそういうものに因んだ話を集めたものかなぁと、読む前は思ってたんです。ところがところが、お話の舞台はほぼ現代。しかも私達の身近な場所がモチーフで、作家さん達の文章はどれも自分がまるで話の当事者になったような気分にさせてくれる「身近な恐怖」を心底感じさせてくれるものでした。


ハッキリと霊が姿を現さず、魅入られた人間の様子だけで何やらただごとじゃない出来事が進行しているお話(「金木犀」など)や、人間が狂って行く/狂っていた系のお話(「ほうたいさん」「ユウマさんの絞首台」など)や、たまたま住んだ家に強烈なモノが住んでいて、逃げるように引っ越した後は因果関係の分からない恐怖が襲うお話(「酒乱の地縛霊」)、禁足地の因縁と共に襲い掛かる恐怖のお話(「太刀魚と刀)、言い伝えや怪談など何も関係ない場所の関係ない行為から異界の翻弄が始まるお話(「河畔林の異界」)などなど、内容はバラエティに富んでおりまして、かつどれも「あれは結局・・・」という後味の悪い(もちろん怪談に対しては褒め言葉です)恐怖が読了後も続きます。

最近は怖い話もネットに行けば、文字としても映像としても簡単に楽しめますが、やっぱり紙の本でこうやってキチンと編集されたものには、格別の怖さと共に、怪談そのものよりももっと深い人間の心理とか人間界を取り巻く因果因縁とか、そういったものにまで思いを巡らせる、そういう特別な引力があるように思えます。





【目次】
〜まえがき〜

春南 灯
「焼きまんじゅう」
「炎」
「金木犀」
「モニター」
「姿なき読経」
「遺影」
「ドライブ」
「棲家」
「だるま」
「コード」

夜馬裕
「ほうたいさん」
「死猫三景」

マリブル
「雛人形の首」
「赤城山の夜道」
「蛙の置物」
「Lサイズよりも大きな紙コップ」

籠 三蔵
「改竄」
「病棟」
「どうもすいません」
「ユウマさんの絞首台」
「哀しみの行方」

北城椿貴
「酒乱の地縛霊」

しのはら史絵
「着信音」
「三本の腕」
「水子になる前」
「太刀魚と刀」

戸神重明
「蚕よ、飛べ」
「河畔林の異界」
「新田義貞の呪い」
「高崎郊外の古寺」
「守られた男」
「高崎の四つ辻」


高崎怪談会ブログ


さて、この『高崎怪談会』は、群馬県高崎市在住の怪談作家、戸神重明さんが主宰するリアル怪談会の書籍版という側面もあります。本を読んで更に興味を持った方には、Youtubeチャンネルもありますので、そちらの方も併せてぜひご覧ください。この夏には執筆陣の作家さん達も怪談朗読に参加する放送を流すとのことで、アタシはとても楽しみにしております♪


(戸神重明の怪談標本箱vol.1『高崎郊外の古寺』)








『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
ラベル:恐怖 怪談
posted by サウンズパル at 22:09| Comment(0) | 音楽本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月30日

藤井風 HELP EVER HURT NEVE

51SFgNVViFL._AC_.jpg
藤井風/HELP EVER HURT NEVE
(ユニバーサル)

アタシは好きな音楽をとことん掘り下げて聴くのも好きですが、それぐらい大事にしたいのは「何の前知識ナシでふと耳にした音楽
感動すること」も大事にしたいなと思っております。

しかしまぁ最近はテレビでもほとんど音楽番組やらなくなってしまったし、音楽雑誌も立ち読み出来るほど出回らなくなった。だから自分の感覚というのがどんどん風化していってるんじゃないかと心配です。特に新しい国内の音楽に関しては不安ですね。流行に乗りたいとか、もうそういう事を考える歳でもないのですが、やっぱり「知らない新しいものと出会いたい!」という気持ちは常にあるのですよ。

だからこそ「知らない新しい日本のミュージシャン」のグッとくる曲や作品を見付けると嬉しくなる。

という訳で2020年デビューの「おっ!これはカッコイイ!!」と思った日本のシンガーを今日は紹介します。藤井風です。

ウチの奥さんがですね、家事をしながら何か良い感じのソウル聴いてると思ってよくよく耳を澄ませたらどうも音質が凄く新しい感じで

「おや、これは最近の人かい?カッコイイじゃないか」

と言ったら

「藤井風っていう人だよ、この人凄いんだよ」

と言っていたので、ちょいと興味が出て自宅で一緒にずっとCDとかネットにアップしてある音源とかを聴いておりましたが、いやぁこの人は深い。プロフィールを読むと小学生の頃から色んな歌をカヴァーして、それを演奏しながら歌ったやつをYoutubeにアップしていたとか。

楽器は多分色んなのが出来ると思うんですが、特にピアノ(鍵盤)が凄く上手いんですね。上手な人にありがちなタッチのカキンコキンがなくて、かつ音がべちゃっと潰れないナチュラルな響き。上手く言えないんですがあの〜、アレですよ。スティーヴィー・ワンダーとかがとてもファンキーな曲やってるんだけど、ピアノの音を聴くとどの音も凄く粒が揃ってて、かつ特有のぬくもちを有した響きがあって「いや、スティーヴィー・ワンダーのピアノってよく聴くとすげぇな・・・」ってなる”あの感じ”を持っているトーンなんです。

う〜ん、何だか抽象的でわかりづらくてすいませんねぇ。。。とにかくこの人の歌や演奏を聴いて感じたのは、小さい頃から英才教育受けてきて凄いとか天才とかそんなんじゃなくて

「ソウル・ミュージックが本当に心から好きで、好きな音楽を自分のサウンドを使って自分の表現で伸び伸びとやってる」

という、心からの音楽好きが歌ったり演奏したりする時にだけ出る”わかるヤツにはわかる匂い”に裏付けられたカッコ良さや切なさや音の暖かみだったんです。

それからほどなくして、都会的なR&Bテイストの楽曲と、岡山弁の歌詞という意表を突いた組み合わせのアルバム1曲目「何なんw」が大いに注目されて、メディアでもこの人の音楽を頻繁に聴くようになりましたが、この人の地に足が付いた音楽性と、ナチュラルな声の魅力の前には、アイディアとかは些細な事で、やはりアルバム全編を聴いて、その上質なソウル・フィーリングにずっと浸っていたい。そんな風に思います。


HELP EVER HURT NEVER(初回盤)(2CD)

【収録曲】
(Disc-1)
1.何なんw
2.もうええわ
3.優しさ
4.キリがないから
5.罪の香り
6.調子のっちゃって
7.特にない
8.死ぬのがいいわ
9.風よ
10.さよならべいべ
11.帰ろう

(Disc-2)
1.Close To You
2.Shape Of You
3.Back Stabbers
4.Alfie
5.Be Alright
6.Beat It
7.Don’t Let Me Be Misunderstood
8.My Eyes Adored You
9.Shake It Off
10.Stronger Than Me
11.Time After Time

普通アルバムといえばシングル・ヒットした曲の存在感が際立っていて、他の曲はまぁいい感じみたいなのがいくつかあって・・・というものもあると思っていたんですが、このアルバムはやっぱり何度聴いてもどの曲も軒並みクオリティが素晴らしいです。しかも全曲インパクトが凄いとか、テンションが落ちないとか、そういうのとは少し違って、何というかどの曲もポップスとしての完成度の高さを下支えしているのが、変わらない自然なテンションと、盛り上げ過ぎないグルーヴの心地良さ。

自然と体が動いて、曲が終わると当たり前に「今のカッコ良かったね〜」と心の声を引き出してくれます。アレンジも様々な楽器の音やエフェクトをこれでもかと詰め込む最近の音作りとは真逆の、至る所に心地良い隙間があって聴く方の耳を疲れさせません。

あと、初回盤には2枚目にカヴァー曲が入っていて、これが彼の声とピアノの良さを、本編とはまた違った形で楽しませてくれる素晴らしい内容です。収録曲は上にも書きましたが、オリジナルを歌ったアーティスト名も表記しておきますので、藤井風カッコイイなと思った方はこれら洋楽のアーティスト達もチェックしてもらえたらと思います。


1.Close To You(カーペンターズ)
2.Shape Of You(エド・シーラン)
3.Back Stabbers(オージェイズ)
4.Alfie(ヴァネッサ・ウィリアムス)
5.Be Alright(アリアナ・グランテ)
6.Beat It(マイケル・ジャクソン)
7.Don’t Let Me Be Misunderstood(アニマルズ)
8.My Eyes Adored You(フランキー・ヴァリ)
9.Shake It Off(テイラー・スウィフト)
10.Stronger Than Me(エイミー・ワインハウス)
11.Time After Time(チェット・ベイカー)*ジャズ・スタンダード


アレンジのシンプルなカッコ良さもあってか、アタシはてっきり昔のソウルやR&Bのカヴァーばかりだと思ったのですが、2000年代以降の曲が多かった事にびっくりしました。こうやって自分が知らない音楽の素晴らしさを教えてくれるアルバムに新しく出会えてとても嬉しく思います。







『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

サウンズパル店主高良俊礼の個人ブログ
http://ameblo.jp/soundspal/
posted by サウンズパル at 11:05| Comment(0) | 日本のロック・ポップス・その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする