ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年06月06日

ジャニス・ジョプリン イン・コンサート

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ジャニス・ジョプリン/イン・コンサート
(ソニー・ミュージック)

ロックやブルースといった音楽が、何故魅力的なのか?もとい音楽に目覚めて、夢中になって聴きまくるようになってから、何故アタシはロックやブルースという音楽に、抗し難い魅力を感じてしまうようになったのか?

ということを、柄にもなく真剣に考えております。

まず、ロックやブルースという音楽には、独自の粗さがあります。

綺麗で整っているものとは対極にある粗さは、それは歌い手とか演奏するミュージシャン達の内側のエモーションを力強く放出し、綺麗で整っているものを聴いては味わえない、独自の味わいとか感動とか興奮とか、そういったものとイコールなのかなと思います。

アタシがそんなことを強く考えるのが、ジャニス・ジョプリンを聴いている時です。

ガラガラでザラザラのジャニスの歌声は、決して透き通った綺麗なものではありません。

でも、ジャニスの声は他のどのシンガーにもない力強さと情感の深さに裏付けられた美しさがあるとアタシは思います。

ジャニスはロック・シンガーです。

そしてブルースが大好きでした。

自分の曲を作る前から、古いブルースを"ハスキー"というには余りにも激しい声を張り上げて、唄っており、やがて"ビッグブラザー&ザ・ホールディングカンパニー"というバンドをバックに従えるようになり、ガンガンに歪んだ、ラウドなロック・サウンドに乗せて、それに負けないぐらいのエモーショナルな声を響かせ、大好きなブルースやR&Bのスピリッツが炸裂するパワフルなロックに生命を吹き込みます。

本格的なデビューからたった2年ほどで、文字通り命を壮絶に削り尽くしてあの世に旅立ったことを、後の時代のアタシ達は知っています。

彼女の残された作品にはどれも、ロックとしてのはちきれんばかりの衝動の凄まじさと、彼女自身の人生の波乱万丈のすべてが込められたそのヴォーカルに”ブルース”という言葉の意味を、理屈ではない深いところで教えてくれるような底なしの説得力が迫ってくるのです。

さて、その昔、ある日突然アタシはジャニスのとりこになりました。

高校時代に買った2枚組のアルバム「ジャニス」これが全ての始まりだったんですが、本格的に彼女の歌声にガツンとヤラレたのは20代になってからのこと。

それから熱病にうかされるように彼女のオリジナル・アルバムを買い集め、レコード2枚組の素晴らしいライヴ・アルバムに出会ったのは、ある暑い夏の日。





(Disc-1)
1.ダウン・オン・ミー
2.バイ・バイ・ベイビー
3.オール・イズ・ロンリネス
4.心のカケラ
5.通行止め
6.フラワー・イン・ザ・サン
7.サマータイム
8.エゴ・ロック

(Disc-2)
1.ハーフ・ムーン
2.コズミック・ブルース
3.ジャニスの祈り
4.トライ
5.愛は生きているうちに
6.ボールとチェーン


もちろんジャニスはどれも最高で、優劣なんかとても付けられないのですが、彼女の激しくも優しく暖かい音楽表現の核心は究極的に言えばライヴにあります。

そのヴォーカルのスタイルそのまんまに、リアルな”瞬間”に全てを炸裂させる彼女のライヴ音源に、よろしくないものなどありません。

この「イン・コンサート」は、ジャニスの突然過ぎる死の直後に出された、前半が初期のビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニーをバックに付けた演奏。後半が最後のバンド、フル・ティルト・ブギー・バンドをバックに付けた演奏で、曲目を見ればお分かりのように、彼女の代表曲、有名曲ばかりをセレクトした好選曲で、とにかくジャニスを聴いたことのない人にぜひとも聴いて欲しい内容です。

演奏内容について、これはもうアタシがどれだけ言葉を尽くしても、きっと皆さんが聴いた瞬間の感動の方が何億倍も説得力があると思いますので、細かくは書きません。前半が荒削りでジャニスが活き活きと唄っていて、後半はしっかり整ったバンド・サウンドに安心して身を任せて、シャウトする時とグッと感情を抑える時のコントロールが素晴らしかったりするのですが、それは些細なこと。とにかく全曲通して最高のロックでありブルース、これだけはハッキリと断言できます。

前半の最後に「エゴ・ロック」というブルース・ナンバーが入っていて、アタシこれが大好きなんですね。何てことないスローテンポの典型的なブルースなんですが、ジャニスのドバーーー!と吐き出すような声と、優しく包容力のあるビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのギター、サム・アンドリューの声との掛け合いが本当に素晴らしいので、特にブルース好きの方はこの曲にも注目(注耳?)してくださるとアタシは嬉しい。




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2017年06月02日

オーネット・コールマン ヴァージン・ビューティー

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オーネット・コールマン/ヴァージン・ビューティー
(Portrait/ソニー・ミュージック)

人間誰しもが「バカになりたい」と思うことがある生き物です。

特に何となく忙しない今の世の中に生きていると

「もー、何をー、ふんがふんが♪」

となるストレスっていっぱいありますね。

優れた音楽家というのは、その「ふんがふんが♪」に絶え間なく挑み、人々を息苦しいストレスから解放してくれる人々のことなんだと、アタシは確信しております。

ジャズの世界には、オーネット・コールマンという人がおりまして、この人はフリージャズの大将とか、ジャズの常識を覆したとか、色々言われてるんですが、そういう難しいことを全部脇にでも置いて考えると、この人ほど自由に好き勝手、ストレスと一番遠い地平にある音楽を作った人はいなかった。

もちろん、いろんな”約束事”の多いジャズにおいて

「コードもメロディも関係ないよ、音が鳴ってる空間の中で、自分にとって一番”コレは気持ちいい!”という音を出すことが大事なんだよね。これ、ハーモロディックね」

と、独自の謎理論を持ち出して、そのお約束のことごとく逆を行く斬新な表現方法が変えたものは多いでしょう。何より同業のミュージシャン達から

「あの人は凄い、ああいう風に自由にやるのは、実際なかなか勇気がいることだ」

と、批判と同じぐらいのリスペクトも集めておりましたが、実は本人にとっては

「ん?自分にとって一番気持ちいい音楽やってりゃそれでOKなんじゃないの?」

という気持ちだけが、彼を創造に向かって後押ししてたものだったんじゃないかと思います。

特に1970年代以降、フリーキーなジャズをやるだけでは飽き足らず、バンドを電気化して、ファンクとか民族音楽とか、ロックとか、そういう”その辺にある音全部”を演奏の中に取り入れてドンチャカやっていた時期の彼の音楽は、ジャズとかどうでもよくて、ミクスチャーとかそういったことはさらにどうでもよくて、売れるとか売れないとか、そんなことは究極にどうでもいい、ただ、オーネット・コールマンによるオーネット・コールマンのための”快楽温泉ぬるま湯地獄ミュージック”であるような趣がヒジョーに強いのであります。

ぶっちゃけて言えばフリージャズとか前衛音楽とか言われて何かと賛否両論のセンセーションを巻き起こして、つうか周りが勝手に沸き上がってその渦中にいたオーネットが開き直って

「んもー、おじちゃんバカになっちゃうぞー」

と、とちキレた結果の音楽として、たくさんのエレキギターがそれぞれ勝手にぎゅよ〜ん、ずんちゃかずんちゃか♪ 2台のドラムがこれもそれぞれ勝手にずんどこどこどこずんどこどん♪ と、どこの国のかもよーわからんが、とにかく底抜けにハッピーでじゃんじゃかな祭囃子ビートを叩き出している上で、やたらすっとんきょうでヨジレまくりながらも、訳のわからない凄みに満ちたアルトサックスを「のへー、のへー」と吹きまくってしまっている。つまり同じバカなら躍らにゃ損々♪ とばかりに音盤に刻んだもの。それが”プライムタイム”と呼ばれた電気オーネット・バンドのサウンドなのであります。

さぁ皆さん聴きましょう♪ これを聴けばたちどころにー!ストレスから解放される、たちどころにー!明るくノーテンキな人間になれる、たちまちのうちにー!些細なことなんてどーでもよくなれる。

・・・と、まではいかんかも知れませんが、この底抜けに明るくて、気持ちいいんだか悪いんだかよく分からないぐねぐねうねうねしたビートと、明後日の方向にばかりすっ飛んでゆく、すこぶるピーヒャラなサックスが織り成す独自のポジティヴ・マジックに身を浸すのは、まず間違いなく楽しいと言っておきましょう。




【パーソネル】
オーネット・コールマン(as,vln)
ジェリー・ガルシア(g,@EF)
バーン・ニックス(g)
チャールズ・エレビー(g)
アル・マクドウェル(b)
クリス・ウォーカー(b)
デナード・コールマン(ds,key,perc)
カルヴィン・ウェストン(ds)

【収録曲】
1.3ウィッシーズ
2.ブルジョワ・ブギ
3.ハッピー・アワー
4.ヴァージン・ビューティー
5.ヒーリング・ザ・フィーリング
6.シンギング・イン・ザ・シャワー
7.デザート・プレイヤーズ
8.ハネムーナーズ
9.チャンティング
10.スペリング・ジ・アルファベット
11.アンノウン・アーティスト


電気化オーネットの名盤としては、以前にもレビューした「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」という70年代のウンニャラな名盤がありますが、それをよりポップで分かりやすい(のか?)ノリでまとめたのが、1988年録音の「ヴァージン・ビューティ」。

オシャレな感じにこの音楽を言ってしまえば

「アンダーグラウンドほにょほにょコンテンポラリー・ジャズ・ファンク」

なんですが、別にオシャレなんてどうでもいいよという人は、このアルバムに収録された音楽が、スコーンと突き抜けた”ほにょほにょ”であることだけをとりあえず頭に入れてください。

二台以上のエレキギターとツインドラムによる脈絡は全くない軽快なビートに、ベニョベニョな無脊椎動物フレーズをタレ流す2本のエレキベースのアクが加わって、コレだけでも全然美味しい(のか?)んですが、そこに、やっぱり勝手に入ってきて勝手にブルースとファンクとあと何かよーわからんものをネチャネチャさせながら吹き散らかしては去ってゆくオーネットのアルト・サックスと、混沌の具合でいえばサックスよりもっと「おぅ?」なトランペットとヴァイオリンが、もう聴いてる人の脳味噌を優しくかき混ぜてくれます。

ノリとバックの質感は、80年代っぽいややチャラめのファンクではあるんですが、繋がりや協調性の全くないフレーズやバッキングを、たったひとつのメインリフ(なのか?)を絡めながら何度も何度も繰り返すやり方は、後のトランスミュージックとかミニマルテクノのそれに近く、実に摩訶不思議。

そんなオーネットのコンセプトに非常に共感したのが、グレイトフル・デッドという、ユルユル即興ロックの大将で、このアルバムには@EFの3曲で参加してます。

ジャズの大御所とロックの共演とか言うと、これまた刺激的な異種格闘技戦かと思いきや、ガルシアさんのギター、気持ちいい音でバンドに負けないラリラリなフレーズをべよーんと弾いて馴染んでいて、実に自然。


「バカになりたい」

と思った時は聴きましょう。とは言いませんが、コレさえ聴けばアナタも一段格上のバカに・・・いや、違う、ラグジュアリーな・・・これも違う。えぇと、よくわからんくなってきたのでよくわからんまま終わります。うん、これでいいのだ。




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2017年05月31日

ルー・ドナルドソン ヒア・ティス

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Lou Donaldson/Here `Tis
(Bluenote)


「いやいやそうじゃなくて、オレはいつでも安心して聴ける、でもいつ聴いてもこうグッとくるようなジャズが聴きたいんだ」

と、ざっくり言うとこんな要望を受けることがあります。

つまり音楽好きなら誰だってジャズを楽しみたいという純粋な欲求がある、でも、いざ聴こうとすれば、神だの帝王だの天才だの、やたら”凄い人なんだぞ、聴け!”というような、どうもこう門外漢にはキツい圧力みたいのがある。いやいや、そうじゃないんだ、オレらは単純に、ロックやブルースとか聴くような感覚で、ジャズだってシンプルに「あぁカッコイイね〜」「コレはイカすね〜」と楽しみたいんだ。

という話です。

どうもジャズという音楽には「ツウにならないとダメ」みたいな空気があって・・・という方、はい、これはどうしてもいらっしゃいます。

アタシなんかは「いやいやそんなことないっすよ、だってアタシなんかもジャズは相当好きなんですがね、元々がタダのパンクとかブルース好きで・・・、えぇ、そりゃもうチンケな野郎でして・・・」と言い続けて20年強なんですが、アタシがこう言うのには、そらぁある程度のちゃんとした理由があるんです。

や、ホントですよ。大体ジャズなんてもんは、王侯貴族の宮殿で生まれた音楽でもないし、上流階級のエレガントなご趣味の音楽でもない。どっちかってぇとその逆で、元々はやっすい酒場で多少ガラの悪いにーちゃんやねーちゃん達を喜ばせるための音楽だったんです。誰が何を勘違いしちゃったのか、金持ちがジャズ聴いて、あぁそれは結構なご趣味でざますね、ところでこのワインはどこそこの何年もので・・・なんて一部で言われてますけどね、んなこたぁしゃらくさいってもんなんです。

ジャズなんてお前家でビールかっくらって、から揚げに喰らい付きながら聴いてごらんなさいと。

えぇ、そうでございますねぇ。丁度今時分は奄美も東京もすっかりムシ暑い真夏日が続いてるようなんで、今日はひとつ、”ビールとから揚げが美味いジャズ”でもご紹介しましょうかねぇってんでルー・ドナルドソンです。”ルー・ドナルドソン”なんてフルネームで呼んじゃったら、また何か堅くなっちゃいそうでいけませんので、記事の中では親しみを込めて”ルーさん”と呼ばせていただきます。

ルーさんはサックス吹きです。

若い頃は「チャーリー・パーカー(っていうバリバリに吹きまくってた凄い人)スタイルの実力派」なんて呼ばれて、ビ・バップとかいう、何か速くてカッコイイ正統派なジャズの人だったんですが、60年代ぐらいになってから

「いや、オレ実は単純にゴキゲンなブルースを吹きたいだけなんだよネ♪」

と、スタイルをユルく一転、ギターにオルガンなんか入れて、力まないファンキーなスタイルでプリプリとしたゴキゲンなアルト・サックスを聴かせる人になりました。

んで、若い頃のジョージ・ベンソン(という70年代〜80年代に凄く人気者になったフュージョンギターと歌がめちゃくちゃ上手い人)なんかをバックに入れちゃって、当時のソウルとか好きな若者向けに、ユルめのファンクっぽい曲をやった「アリゲーター・ブーガルー」とかいうオシャレ〜なジャケットのアルバムが売れて、それが90年代になってDJとかやったり、クラブに遊びに行くような若い人達にも

「かっこいー、超かっこいいー!」

とウケにウケて、今やソウル・ジャズとかクラブ・ジャズの巨人とか言われておるんです。

あ、ルーさん、そうですよね?

「オレ?あぁ、そうだけどみんなが踊ってくれたら何でもいいヨ♪」


というルーさんは、何と90才で2017年の現在も存命。2014年は御歳88で来日して”世界一ファンキーな80代ぶり”を見せつけてくれました。

イイネ!最高だぜぃ♪




【パーソネル】
ルー・ドナルドソン(as)
グラント・グリーン(g)
ベイビーフェイス・ウィレット(org)
デイヴ・ベイリー(ds)

【収録曲】
1.A Foggy Day
2.Here 'Tis
3.Cool Blues
4.Watusi Jump
5.Walk Wid Me

ほいでもって本日のオススメ盤は、そんな”ビールとから揚げジャズ”のゴキゲンなアルバムをいっぱい出しているルーさんが、レコーディングで初めてビールとから揚げ、違った、オルガンを入れて「オレは肩肘張らずにいきたいんだよネ」宣言をした「ヒア・ティス」。

ミディアム・テンポの4ビートのジャズ・ナンバーとブルースが、ほぼ交互に入った、これはとってもとってもオーイェーな、聴きやすくて味わいがぷぉんと濃いアルバムなんですが、最高なのはその楽器編成です。

もちっとした粘り気のあるルーさんのアルト・サックスに、”ジャズ界きってのブルース弾き兄貴”のグラント・グリーン、このアルバムがミュージシャン・デビューになった、若手のオルガン弾き、ベイビーフェイス・ウィレットに、ルーズなノリもビシッと決める職人ドラマー、デイヴ・ベイリー。

たったの4人で音もいい感じにスカスカ、その隙間にほどよく後を引くグルーヴが漂って、あぁこりゃあゴキゲンに違いない、なノリですねぇ。

注目したいのが、ベイビーフェイス・ウィレットですよ旦那。ジャズでオルガンといえば、まずジミー・スミスが大将ですが、ユルいノリからファンキーなノリ、そしてスイッチ入れたらハードな展開でも全然いけるジミー・スミスは、アタシも大好きで、ホントにすげぇなと思います。

で、そんなジミー・スミスの影響を受けたベイビーフェイス・ウィレットなんですが、コノ人は良い意味でジミー・スミスをもっと不器用にして、ブルースに特化したようなタイプで、このアルバムでもテクニカルなことはほとんどしないんです。で、これが最高なんです。オーイェーです、もう音を聴いただけで真夜中のクラブにいるような気分にさせてくれる、イナセなオルガン野郎、それがベイビーフェイス・ウィレットです。

今日はあんまり細かい解説はしませんでしたが、こういうアルバムはもう聴いて酒飲んで楽しめば、それで極楽なんで、あんまりとクドクドと野暮なこたぁ申しません。いいですか皆さん、これ、ビールとから揚げですよ、ぜひ試してみてくださいな、ビールとから揚げ。




”ルー・ドナルドソン”関連記事



『音のソムリエ 高良俊礼の音楽コラム』

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2017年05月30日

パンクの逆襲

今日はコレを読んでおりました。

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音楽専科社から1991年に、パンク誕生15周年を記念して発売になった『パンクの逆襲』。

内容はとにかくパンク!

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パンク!

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パンク!

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記事もグラビアもとにかくパンク!

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特に記事の内容が「あの頃を懐かしんで」とかじゃないんです。

何と、総力を挙げて集めた1970年代から80年代頭のコラムにレビューにインタビューがほとんど(!)

つまりピストルズとかクラッシュとかが、バリバリ現役の頃、センセーションを巻き起こしていた、リアルタイムの生々しい発言が、彼らのみならずザ・ジャム、バズコックス、スティッフ・リトル・フィンガーズ、ジェネレーションX、スージー&ザ・バンシーズなどなど、オリジナル・パンクの凄いメンツのインタビューがまとめて読めます。

貴重なことはもちろんですが、ライターやインタビュアーも含めて、あの時代の、懸命に音楽をやって、ポリシーを追究していた、生のアツい言葉にはやはりグッときますよ。アタシも初心を忘れそうになった時は開いて読みます。


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2017年05月29日

ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド

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ザ・オールマン・ブラザーズ・バンド
(CAPRICON/ユニバーサル)


我が家の家訓に「音楽聴くならブルース、ロックならサザンロック」というのがあります。

半分は冗談ですが、半分はホントです。

というのも、ギターをいじるようになった十代の頃、親父に「何を聴いたらギターが上手くなる?」と、訊いたら、親父は少しも迷わず

「それはお前、サザンロックだ。特にオールマン・ブラザーズを死ぬほど聴け」

と即答しました。

今でこそオールマンとかサザンロックとか言われたら「あぁそうか」と、ピンと来ますが、その頃といえば流行りの邦楽と、洋楽はパンクとメタルをほんの少しかじってるぐらいだったんです。

そこでまず”サザンロック”とは何ぞや?という話になってくるのですが、アメリカでロックンロールが生まれ、それが海を越えて、ブルースやR&Bなどと共にイギリスに渡って「ロック」の原型が生まれます。

60年代に、ビートルズやローリング・ストーンズ、そしてクリームらがブレイクして、そのルーツにはブルースやR&Bがあることを感じたアメリカの白人の若者達が、再び足元を見て分らの国のブラック・ミュージックの価値を再認識することから、新しい”ロック”が生まれます。

”ロック”がしっかりとその形を成したのは、主にサンフランシスコやLAといった、西海岸の都市部です。これに東海岸の大都会ニューヨークに根を張っていたビートニク(という文学運動)らが呼応して、アメリカにも一大市場としてのロック・シーンなるものが出来上がった。

えぇと、この話はかなりはしょっておりますが、細かいところをちゃんと書こうとすると大変な文字数になってオールマンのことが書けなくなっちゃいますのでこの辺で勘弁してくださいな。

で、アメリカの都市部はこの新しい音楽が堰を切ったように溢れて、で、様々な社会運動なんかと密接にリンクしながら世界中に波及していきました。

これが60年代後半から70年代のおはなし。

で、アメリカの都会のヤツらはそうやって流行を作り上げて、刺激的な音楽をどんどん発信していったけど、都会じゃない所に住んでるヤツらはどうだったんだ?何もしていなかったのか?

という話になります。当然「や、実はそうじゃないんだよ」というところで出てくるのがサザン・ロックです。

実はアメリカには、都市部よりも南部にそれぞれの人種の音楽の”根っこ”となる・・・たとえばブルース、カントリー、テックス・メックス、それと忘れてはならないニューオーリンズのR&Bなどなど独自の文化がしっかりとありまして、ジョニー・ウィンターのファーストをレビューした時にもちょこっと書きましたが、彼らは都会の流行をチラ見しながらも、自然と染み付いたブルースやカントリーのフィーリングに忠実に「おぉ、オレらァこれでいくぜぇい」と、ある意味で泥臭い音楽を、泥臭いまんまやっておった。

そして60年代は、メンフィスやアラバマに独自のソウル・ミュージックを発信するレーベルがあって、腕とフィーリングのあるミュージシャンなら、白人黒人を問わずスタジオバンドに加わることも可能な環境もあり、南部に住む若者達のブラックミュージック化は、まだまだ人種間の軋轢はあったとはいえ、かなり盛んになっておりました。

で、オールマン・ブラザーズです。

言うまでもなくオールマン・ブラザーズ・バンドは、アメリカ南部フロリダ州に住む、デュアン・オールマン(兄・ギター)とグレッグ・オールマン(弟・ヴォーカル&オルガン)の兄弟が中心になって結成されました。

実は早い段階(1963年)に才能を開花させた二人は”オールマン・ジョイス”というバンドを結成するんですが、下の写真を見て分かるように、まんまビートルズを意識した、UK風のポップなガレージバンドだったんです。

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(両サイドの右がグレッグ、左がデュアン)

残された音源を聴いても、ポップな曲の中で暴れるデュアンのギターはなかなかのやさぐれっぷりで(この頃からスライドも弾いてるんだって!)悪くないバンドだったんですが、この路線が合わないと思った二人はバンドを解散。

デュアンは田舎に帰り、グレッグは単身LAに行ってしまいますが、この間田舎であらゆるセッションに顔を出して腕を磨いていたデュアンは、アラバマのマスル・ショールズにあったソウルの牙城”フェイム・スタジオ”のセッション・ギタリストとして、同地でレコーディングするアレサ・フランクリンやウィルソン・ピケットといったソウルの大物達に、そのフィーリング豊かなギターの腕を買われております。

このウィルソン・ピケットのレコーディングの時にデュアンが

「親方、ビートルズの”ヘイ・ジュード”って曲やらんですか?いや、やりましょうよ」

と、ピケットに提案したのは有名な話。そしてその音源を聴いたエリック・クラプトンが「凄いギターだがコイツは誰だ!?」と驚愕したというのも有名な話。

そんなこんなでソウル/R&Bの世界で既に名を上げて、あちこちのスタジオやライヴハウスでセッションにセッションを重ねていたデュアンが、ディッキー・ベッツ(ギター)、ベリー・オークリー(ベース)、ジェイモー(ドラム)、ブッチ・トラックス(ドラム)というメンバー達と出会い、彼らの生み出すグルーヴとセンスの良さに惚れて「よし!バンド組むべ!!ちょっと待ってろ、弟を呼び寄せる。アイツは最高のヴォーカリストでキーボーディストなんだ」と、LAにいたグレッグを呼び寄せ、1969年「オールマン・ブラザーズ・バンド」は結成。

既にデュアンとその仲間達の名は一帯に轟いておりましたので、彼らのデビューには地元レーベルの”カプリコーン”がすぐに飛び付いて、その年のうちにデビュー・アルバムの「ザ・オールマン・ブラザーズ」はリリース。






【収録曲】
1.ドント・ウォント・ユー・ノー・モア
2.ノット・マイ・クロス
3.腹黒い女
4.トラブル・ノー・モア
5.ハングリー・ウーマン
6.夢
7.ウィッピング・ポスト


まず、ここで聴けるのは、アメリカ南部に深く根を張るブルースやカントリー、そしてR&B(サザンソウル)の濃厚なフィーリングを、楽曲やサウンドの隅々まで充満させた、密度の濃い”新しいロックサウンド”であります。

左右のチャンネルに分かれた2本のギターは、”空駆けるスライド”と評されたデュアンと、そのスライドにギンギンのフレーズで絡んでくる”もう一人のリード・ギター”ディッキー・ベッツ。

そしてこのバンドのもうひとつの目玉であるツイン・ドラムが繰り出すパワーと間合いの調整が完璧な横ノリグルーヴ、その真ん中にドンと構えて、ズ太いビートを送り込むベース。

まずもってハタチそこらの若者バンドのデビュー作とは思えない熟練の演奏テクニックなんです。そしてライヴ盤以上のライヴ感に溢れながら、全体をじっくりしっかり聴かせる熟成されたサウンドなんです。

で、ここで開花したのが、ヴォーカル&キーボードのグレッグ・オールマンの色んな才能であります。

まずはソングライターとして、このアルバムはスペンサー・ディヴィスの@、マディ・ウォーターズのカヴァーC(コレが最高なんだ)を除いて全てオリジナルなんですが、楽曲を書いたのは全部グレッグ。

先ほど「ブルースとカントリーとR&Bの濃厚なフィーリングを充満させた新しいロック」と書きましたが、グレッグの書く曲こそが、正に骨太で聴かせる”ツボ”と、いかにもアメリカン・ロックなやさぐれた優しさ(わかるべか)が、ノリノリのナンバーだろうがバラードだろうが一本筋が貫かれてる。

これもまたハタチそこらの若者とは到底思えない、人生の悲哀を含んでザラッと吐き出すかのようなやるせない声、そして声にピッタリと合った優しくてワイルドなオルガンの音もまたたまらんのです。

最初の頃はアタシも

「どうやったらこんなスライド弾けるんだろう」

と、ギターにのみ集中して聴いてたんですが、聴き込むにつれて、そしてロック以外の色んな音楽を知るにつれて、つくづくこの独自の土臭い横ノリと、やるせないグレッグの声の魅力にめろんめろんになってしまいます。サウンドもグルーヴも、とにかく歌ってるんですよね。本当に理屈じゃない部分で感動させてくれる最高にイカシたバンドのイカシたアルバムです。

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