ディープなコラム こちらにも書いてます♪

2017年01月20日

ストラングラーズ グレイテスト・ヒッツ1977-1990

セックス・プストルズ、クラッシュ、ダムドときてストラングラーズ・・・。

いわゆる「オリジナル・パンク四天王」というやつですね。

ロックに目覚めてからはとにかくパンクだと、この4つのバンドは聴きまくりました。

でもその中で一番よくわからなかったのがストラングラーズ。

はい、何というかストラングラーズの曲って、一曲一曲がとてもよく作り込まれてて、勢いに任せて疾走する曲というのがあんまりなかったんですよ。

だから最初の頃、というか十代の頃はストラングラーズの良さが今いちピンとこなかった。

ただ、彼らの思想だとか姿勢だとか、ベースのジャン・ジャック・バーネルが武士道大好きで極真カラテやってるとか、そういう精神面での”パンク”だと思って聴いていました。



それがちょっと変わってきて「ストラングラーズってフツーにカッコイイじゃん!」と思え出したのがハタチ過ぎた頃、パンクより前の時代のロックとかブルースとかソウルとかジャズとか、それなりに聴き漁って、一周回ってパンクを改めて聴いた時でした。

何がどうって、ストラングラーズの音が純粋に力強くてズバッ!ときたんです。

ぐいぐい前に出てくるベース、厚みのあるオルガン、粘りのある独特のグルーヴ、メロディのまっすぐな美しさとか、はっきりと分かるようになりました。

長年の付き合いになる「グレイテスト・ヒッツ1977-1990」これすごくいいです。

彼らの音楽性は結構めまぐるしく進化してて、アルバムも作品としての完成度とかコンセプトとか、そういうのが高いんで、ベストアルバムはどうかなと最初思ってたんですが、結局何だかんだ愛聴してます♪



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2017年01月19日

ジョニー・ギター・ワトソン ザ・クラシック・レコーディングス 1959-1966

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ジョニー・ギター・ワトソン/ザ・クラシック・レコーディングス 1959-1966
(ACE/Pヴァイン)


え〜、こんばんは。2月3日生まれの水瓶座です。

まぁアレですね、血液型や星座占いで性格がどうだこうだというのなんか、若い頃は

「そんなもので性格が決まったら、血液型と誕生日一緒の人間は全部おんなじ性格になってしまうだろうが。そんなバカな話がありますか」

とか何とかムキになっておりましたが、最近では

「ほっほ、そうかそうか、まーそんなこともあるかもわからんね」

と、全部が全部信じないまでも、笑ってうんうん言えるぐらいにはなってきました。

というのもアレですよ、あるブルースマン・・・つうか、一応ブルースマンとしてデビューしたけれど、そっからR&B、ソウルファンクと無節操に音楽の幅を拡げ、とことんゴーイングマイウェイ、他人が何と言おうがオレの道を、ヘラヘラ笑いながら勝手に進化しつつ気持ち良さそうに歩いてきて、最後はオレ道を極めたかのようにステージで倒れ、そのまま帰らぬ人となった偉大な、でもかなり変わり者なアーティストと自分の誕生日が一緒だったことから

「あ、水瓶座って何か分かるわぁ・・・」

と、手前と照らし合わせて妙に納得したことがきっかけで、アタシは星座占いを前向きな気持ちで何となく否定できなくなっちゃったんです。

その偉大なアーティストの名はジョニー・ギター・ワトソン!

ギタリスト豊穣の地テキサスに生まれ、当然のことながら地元が生んだブルース・ギター・ヒーローであったTボーン・ウォーカーに憧れ、クラレンス"ゲイトマウス"ブラウンやアルバート・コリンズのギター・スマイルを学びますが、デビューして程なくブルースじゃなくてR&Bの、しかもかなりポップな方にフラフラ〜と行って、それから60年代にはメロウでアーバンなソウル路線、70年代にはでっかいグラサンにピッチリした衣装(ピンクとか紫とか)をまとって、イケイケのファンクにコロッと転向。

で、インタビューで

「あなたは何のプレイヤーなんですか?」

と、問われれば

「あ〜、俺?そうだね"プログレッシブ・ブルース・プレイヤー"だね」

と、金歯を輝かせながらニヤニヤ答える。まるで掴み所のない、アメーバみたいな人であります。


「ブルース弾くにゃアタックを強くするため相当に硬いゲージの弦を使うべし!」が、ほとんど常識の風潮の中で、使っているギターに貼る弦は、ナイロンみたいにペラッペラの柔らかいやつだったり、この界隈では誰もが忌み嫌うテクノロジーもきゃっきゃ言いながら何でも導入して、というより「面白いから」とりあえず使ってみて、挙げ句一人多重録音で全部の楽器を演奏しちゃうアルバムなんかも作ってみたり・・・とにかく人と同じ事は一切やらない人です。

でも、この人の音楽聴いてたり、インタビューなんか読んでいると、頑固だったりひねくれから我が道を行ってる訳では決してなく、自分がやりたいこと、たまたま興味を持ったことを突き詰めたら、誰もやらないような事に、何か至ってしまった。

ということのようです。

そもそもが他人のやることになんかハナッから興味がない本当の変人ですね。

そんな彼のやることなすことに大きく影響を受けたのが、ロック界の孤高のアレであるフランク・ザッパ。


・・・どう見ても変人です本当にありがとうございます。

しかし、この変じ・・・いや違う、素晴らしいワン&オンリーの個性を持つジョニー・ギター・ワトソンの音楽は、どの時期の音源も本当に自由でワクワクするような楽しさに溢れていて、何よりブルースとしてホンモノです。

彼の先輩であるゲイトマウスさんも、ブルースのフィーリングを生涯失うことなく、ジャンルの壁をブチ壊す事に余念がなかったパンクな偉人でありましたが、ジョニー・ギター・ワトソンもそういう意味で、方向性は違えどパンクな気骨を物凄く感じさせてくれるのです。





【収録曲】
1.THE BEAR aka THE PREACHER AND THE BEAR
2.ONE MORE KISS
3.UNTOUCHABLE
4.THE EAGLE IS BACK
5.LOOKING BACK
6.JOHNNY GUITAR
7.POSIN’
8.EMBRACEABLE YOU
9.BROKE AND LONELY
10.I JUST WANTS ME SOME LOVE
11.COLD,COLD HEART
12.THE NEARNESS OF YOU
13.SWEET LOVIN’ MAMA
14.CUTTIN’ IN
15.WHAT YOU DO TO ME
16.THAT’S THE CHANCE YOU’VE GOT TO TAKE
17.GANGSTER OF LOVE
18.YOU BETTER LOVE ME
19.IN THE EVENIN’
20.I SAY I LOVE YOU
21.THOSE LONELY,LONELY NIGHTS
22.BABY DON’T LEAVE
23.AIN’T GONNA MOVE
24.WAIT A MINUTE,BABY
25.OH SO FINE
26.BIG BAD WOLF
27.YOU CAN STAY (BUT THE NOISE MUST GO)


ジョニー・ギター・ワトソンは、1953年に"ヤング・ジョニー"の名前でブルースの世界に派手に登場しました。

テキサス流儀の派手なギター弾き倒し、実にチンピラ臭い、軽めの声を吐き捨てるような唄い方は多くの若者の心を掴み、そのまんまこのスタイルで行っても大成したかに思えますが、1954年にたまたま映画館で見た「ジョニー・ギター(邦題は「大砂塵」という西部劇の、女にモテてカッコいいヒーローに感銘を受けて、芸名をそのまんま"ジョニー・ギター・ワトソン"にした辺りから、破天荒に拍車がかかってきます。

このCDに収録された1959年から66年というのは正に「我が道を行きだしたジョニー・ギター・ワトソン」が聴ける最高の変則ブルース/リズム・アンド・ブルース集なんでこざいますよ。

のっけから当時流行のニューオーリンズスタイルの「おい、ギターはどこ行ったのよ」な、陽気な唄モノで始まって、かと思えばリトル・ウイリー・ジョンばりの都会的なA、銃声(マシンガン)の効果音がド派手に炸裂する、まるで40年後のギャングスタ・ヒップホップの先駆けのようなBと続き、ようやく渋いギターを披露するC、ソロもザラついたリフも素敵なD、かと思えばストリングス入りのしっとりとした正統ソウルなGなんか出て来て、前半からその余りの全ブラック・ミュージック丸呑みぶりにクラクラメロメロになってしまいます。

タイトルからして自己紹介曲のEなんかも、ケロッとした唄いっぷりとノーテンキなコーラスが逆に凄味を出しているというカオスぶりです。

より洗練と訳の分からない凄味が充満した後半は、ギターもガンガン弾きます。

バラードでもかなりドスの効いたI、ジャリジャリしたイントロから、ファンキーな曲展開におろっとなるけど、唄もギターもどこか明るい狂気を感じさせるLなんか、もうこの人にしか出せない味ですね〜。


書いてるうちに、はて俺は今、ブルースを聴いているのか、それともR&Bのオムニバスを聴いてるのか?と不思議な気持ちになることこの上ありませんが、「軽くてワルい」という筋が一本ピシャッと通っていて、ジョニー・ギター・ワトソンってハマッてしまうんです。


ブルースが好きだけど、何かワンパターンじゃないやつ聴きたいなと思ってる人で、ジョニー・ギター・ワトソンまだ聴いたことない人はぜひこの辺りのアルバムから聴いてみてください。

この人らしい吹っ切れたオカシさがあるのはやっぱり一人多重録音からヴォーコーダー、インチキ日本語まで飛び出す70年代以降のがイカレてて最高ではあるんですが、そっちは底無し沼だから今度ゆっくりね。。。







(いきなりこのウキウキな感じですからね、他の曲も推して知るべし!)



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2017年01月18日

ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット

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ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット
(Prestige/ユニバーサル)

はい、本日も”ジョン・コルトレーンと並ぶ”といわれるモダン・ジャズ・テナー・サックス界の雄、ソニー・ロリンズです。

大体アタシは夏になると「大コルトレーン祭」をやっております。そん時はもう朝から晩まで見事なコルトレーン漬けになりますので、必然的にロリンズを聴くのは「コルトレーンの季節」が終わった、秋から冬にかけてが多い。

あ、はい。「何じゃそりゃ?意味わからん」と思ってる方も多いと思いますが、ごめんなさいね。あんまり深い意味はないんで「あぁ、コイツにとってはそんなもんなんだろーな」ぐらいに思っててくだされば幸いです。


幸いついでに、サクサクと本日のロリンズオススメ盤を紹介しましょうね♪

「ソニー・ロリンズ・ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット」という少々長いタイトルの、1枚の作品があります。

アタシもロリンズを知ってすぐの頃は「長いタイトルだなぁ」としか思ってなかった。

しかし!

これが、その後50年、いや60年以上も「モダン・ジャズ・テナーの巨人」として頂点に君臨する(2017年の時点でまだ現役。えぇぇえ!?)ソニー・ロリンズの、記念すべき初リーダー・セッションも含む、非常に重要かつ中身もすこぶつカッコイイ名盤であるんです。

はい、サクサクいきますよ〜。

まず@〜Cが、1953年10月7日の「ウィズ・ザ・モダン・ジャズ・クァルテット」のセッション。

ミルト・ジャクソン、ジョン・ルイス、パーシー・ヒース、ケニー・クラークの4人が組んだバンドが「モダン・ジャズ・クァルテット(通称MJQ)」で、これもまたモダン・ジャズでは知らない人はいないぐらい人気のグループなんですが、結成したばかりのそのMJQと、デビューしたばかりのロリンズを組み合わせた、元祖夢の企画なんです。

そしてD〜K、コチラはケニー・ドリュー、パーシー・ヒース、アート・ブレイキーと、当代きっての名手をガッツリバックに揃えた(ヒースは何とMJQ結成前)、ロリンズの記念すべき本格的な初リーダー作。オマケのように入ってるLは、同じくモダン・ジャズ黎明期の名人ドラマー、ロイ・ヘインズに、何とピアノでマイルス・デイヴィスが参加した、正真正銘の初セッション録音(リーダーという訳ではなかったみたい)です。

後半2つのセッションはいずれも1951年。

51年といえば40年代後半から一部のヒップな若いジャズマン達のものだったビ・バップが全体に浸透し、いよいよジャズが「モダン・ジャズ」と呼ばれて盛り上がっていた丁度その時。

ロリンズは何とこの時19歳です。



【パーソネル】
(@〜C)
ソニー・ロリンズ(ts)
ミルト・ジャクソン(vib)
ジョン・ルイス(p)
パーシー・ヒース(b)
ケニー・クラーク(ds)
(D〜K)
ソニー・ロリンズ(ts)
ケニー・ドリュー(p)
パーシー・ヒース(p)
アート・ブレイキー(ds)
(L)
ソニー・ロリンズ(ts)
マイルス・デイヴィス(p)
パーシー・ヒース(b)
ロイ・ヘインズ(ds)

【収録曲】
1.ザ・ストッパー
2.オール・モスト・ライク・ビーイング・イン・ラヴ
3.ノー・モウ
4.イン・ア・センチメンタル・ムード
5.スクープス
6.ウィズ・ア・ソング・イン・マイ・ハート
7.ニュークス・フェイド・アウェイ
8.タイム・オン・マイ・ハンズ
9.ディス・ラヴ・オブ・マイン
10.シャドラック
11.スローボート・トゥ・チャイナ
12.マンボ・バウンス
13.アイ・ノウ

はい、ここまで書いて

「モダン・ジャズって何よ?ロリンズ19歳でデビューしたとか言ってるけど何がそんなに凄かったのよ?」

と、お思いの方、多くいらっしゃることでしょう。サックリとご説明しましょうね。

まず、ビ・バップとかモダン・ジャズとか言っておりますが、これは物凄く乱暴にまとめてしまえば「ジャムセッションでの意地悪」がそもそもの始まりであります。

1920年代後半から30年代にかけて、実はジャズという音楽は、基本の形が早々と整っていたんです。

音楽というのは、大体がリズムと和音(コード)とメロディーで出来ておりますね。

ジャズの場合は、西洋起源の「長調(メジャー)と短調(マイナー)」のポピュラー音楽に、ちょっとだけ濁った響きの音(最初セブンス、後にナインスなど独特のコードをプラス)を加えて、拍子のカウントをずらした、いわゆるシンコペーションという、これまた独特の取り方でリズムを刻む。

つまり

「メジャーとマイナーを濁った響きで崩し、シンコペーションでリズムを刻んで、ソロイストがその上をアドリブでメロディー展開していけばジャズ」

という、今なお「ジャズ」という音楽を簡単に説明する時に使って全然OKな公式が、戦前にもう出来ておった。

作曲家や演奏家は「その上で独自の工夫を凝らす」ことで、ジャズは洗練と熟成への道を10年ぐらいかけてゆんわり歩いてたんですね。

ここに第二次世界大戦という出来事が起きて、若いミュージシャン達も兵隊に行ったりして、よほどの人気バンドであってもビッグバンドを維持するのが難しくなってきた。

だからミュージシャン達は小さな編成でやらざるを得なくなって「アドリブの個人技」と「ビッグバンドの迫力に対抗できるスピード感」に興味と感心を払うようになったんです。

で「なんか新しいことやろうぜ」と、思い立った連中の中で、とりわけ楽器が上手くてセンスのある連中が、わざと展開を難しくしたり、テンポを鬼のように早くしたり、不協和音ギリギリの難しいコードをの中にぶっこんだりして、ジャムセッションを繰り広げていました。

この、難しかったり早かったりする新しいジャズが「ビ・バップ」です。

楽器が上手くてセンスのある連中は、他の連中をやっつけるためにこの技法を編み出したと言われています。

さてさて、この「新しいジャズ」の演奏で、最も人々の度肝を抜いたのが、アルト・サックスのチャーリー・パーカーという人なんです。

彼の登場によって、それ以降のサックス吹きがみんなパーカーみたいになっちゃったと言われる程影響力があり、そのフレーズは鮮烈なものでしたが、パーカーが編み出したその奏法を、テナー・サックスでほぼ完璧に吹きこなし、かつそれだけじゃない、何かこう、テナーの新しくてカッコイイ表現をやってくれそうな予感を、聴く人にビンビン感じさせていたのがこの時期の、ハタチそこらの若いロリンズです。


ふー・・・。

さっくり行くつもりが、分かりやすく説明しようとするとどうしても回りくどくなってしまうのは、アタシの筆力不足もありますが、この時代のジャズはそんぐらいめまぐるしく進化していて、ミュージシャンの層も厚かったと思っていただければ幸いです。

演奏を聴いてみましょう。

どのセッションでもこの時代一流の凄いメンツをバックに、ロリンズは堂々たる吹きっぷりで、なおかつ音もズ太く、淀みなくスラスラ出てくるアドリブに圧倒されます。

そしてこのアルバムの真の聴き所、そしてロリンズを心底「凄い」と思わせる秘密兵器は、皆さん、バラードですよ。

アタシはこのアルバムに入ってる「イン・ア・センチメンタル・ムード」という曲が大好きなんです。

きっかけは、作曲者のデューク・エリントンが、何とジョン・コルトレーンと一緒に演奏しているヴァージョンを聴いて、泣くほど感動したからなんですが、このロリンズの「イン・ア・センチメンタル・ムード」には、ひたすら繊細でキュンとくるコルトレーンのそれとはまた違う、オリジナルのエリントンのヴァージョンで、ジョニー・ホッジスのアルトが紡ぐ、優雅で幻想的なそれとも違う、実に男らしい優しさと憂いと色気に満ち溢れた、このアルバムでのロリンズの演奏を耳にして男泣きしました。

これは"渋い"どころじゃない、いや、こんなふくよかでドラマチックなバラードは、熟練の名手でもそうは吹けんじゃないか。もちろん若造は言うに及ばず何ですが


・・・本当にハタチそこらの新人が吹いてんのか!?そこまで思います。今でも思います。

えぇ、ロリンズのアルバムの中でも、デビュー作ではありますが、聴けば聴くほどに深まる味わいはびっくりするほどふんだんに散りばめられていると思います。






(「イン・ア・センチメンタル・ムード」何というスケールの大きな素晴らしいバラードでしょう)



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2017年01月17日

ジャニス・ジョプリン パール

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ジャニス・ジョプリン/パール
(ソニー・ミュージック)

1970年10月4日、ロサンゼルス、ハリウッドのホテルにて、アルバムレコーディングのため滞在していたジャニス・ジョプリンは、ヘロインのオーバードーズにより、27年の短い生涯を不意に終えました。

彼女が何度か入れ替えたバンドの中でもお気に入りの”フル・ティルト・ブギー・バンド”と共に行ったレコーディング・セッションは好調で、残るは「生きながらブルースに葬られて」という曲の歌入れと、アカペラのヴォーカルを仮録音した「メルセデス・ベンツ」のアレンジを決めるのみだったと云われております。

1968年に本格的にデビューして、世界情勢と熱くリンクして盛り上がるロック・ブームやヒッピー・ムーヴメントも追い風となり、彼女は一躍”時代の歌姫”のようなスターダムな存在になりました。

小柄な体で、全身全霊を振り絞ってソウルフルにシャウトするその規格外のヴォーカルと、音楽性の奥底にしっかりと根付くブルースの強固な存在感で、その声を耳にしてそのパフォーマンスを見た人は、ほとんど彼女のとりことなって行く中、ジャニス本人はどんどん変わってゆく周囲の環境の中にどう自分自身を置けばいいのか悩み、またそれを打ち消すように激しいパフォーマンスと酒とドラッグに、追われるようにのめり込んでいったと、伝記は物語っております。






【収録曲】
1.ジャニスの祈り
2.クライ・ベイビー
3.寂しく待つ私
4.ハーフ・ムーン
5.生きながらブルースに葬られ
6.マイ・ベイビー
7.ミー・アンド・ボビー・マギー
8.ベンツが欲しい
9.トラスト・ミー
10.愛は生きているうちに


ジャニスの1970年代の幕開けを告げるはずだったアルバム「パール」が発売されたのは、死の翌年の1971年1月のことでした。

前のバンド(コズミック・ブルース・バンド)は、ホーン・セクションも入ってソウル/R&B色を強めた編成でしたが、このバンドではホーンは使わず、その代わり2台のキーボードを加えたロック〜カントリーテイストがやや強くなったサウンドに乗ったヴォーカルのエモーションは、デビュー当時から一切変わりません。

このアルバムの看板曲である1曲目「ジャニスの祈り(Move Over)」は、激しくも美しい名曲。アルバム買った当初はこればっかリピートして聴いていましたが、徐々に「寂しく待つ私」「ミー・アンド・ボギー・マギー」など、ジャニスの優しい声が聴ける曲がたまらなく好きになりました。

ジャニスが遺したスタジオアルバムはどれも最高なんですが、とりわけこの「パール」はじっくり聴かせるアルバムです。オルガン2台の暖かい響きもまた染みますね。











(「Move Over」イントロからグッと持ってかれます)




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2017年01月16日

アート・テイタム〜ベン・ウェブスター・クァルテット

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アート・テイタム〜ベン・ウェブスター・クァルテット
(Pablo/ユニバーサル)

鍵盤に指がタッチした瞬間に「ふわぁっ」と拡がる、上質なフィーリング。

その可憐でいて力強いソロが終わると同時に「ス・・・ススス・・・」と、たっぷりの吐息の中に目一杯の男の哀愁を詰め込んで鳴らされる、優しい優しいテナー・サックス。

あぁ・・・いいなぁ・・・、こんなのが聴きたかったんだ・・・。

もう何百回針を落として聴いているはずなのに、聴く度に泣かされる。そして、聴いた後はまるで恋の病にでもかかったかのように、ポーっとして言葉が何も出てこなくなる。

これですよ。

「ジャズってなぁに?」

って訊かれたら、色んな答え方、色んなたとえがそれこそ出てはくるのですが

「ジャズを聴いた時、すごくいいなぁと思うんだけど、どこか切なくなって胸が苦しくなる。そんなのが聴きたい。ある?」

って訊かれたら、アタシはもう何も言わずにこのアルバムを聴いてもらいます。

ピアノのアート・テイタムと、テナー・サックスのベン・ウェブスター。

それぞれ戦前のスウィング・ジャズが華やかだった頃から活躍し、どちらも素晴らしいテクニックと、独特のサウンドの”強さ”で、イケイケの名手の名を欲しいままにした、いわばその時代のスーパーヒーローです。

そんな2人が、晩年ともいえる1956年に、スタジオで再会し、繰り広げたこのセッションは、人生の酸いも甘いも知り尽くした男たちによる、静かで深い音楽がゆったりした時空を漂うバラード・アルバム。

アタシは普段から、これはモダン・ジャズだのビ・バップだの、フリーだのフュージョンだの何だの言いますが、コレに関してはそんな細かくてしちめんどくさいカテゴライズなど一切不要です。

ただもう上質な音と空気に酔いしれて、聴く人すべてが言葉を失えばいい。遠い目をした先に淡く浮かぶジャズの切なさ、秘めた狂おしさの幻影を、名手達が奏でる音のその向こうに見ればいい。そう思います。





【パーソネル】
アート・テイタム(p)
ベン・ウェブスター(ts)
レッド・カレンダー(b)
ビル・ダグラス(ds)

【収録曲】
1.風と共に去りぬ
2.オール・ザ・シングス・ユー・アー
3.ジョーンズ嬢に会ったかい?
4.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
5.ナイト・アンド・デイ
6.マイ・アイデアル
7.ホエア・オア・ホエン
8.風と共に去りぬ(別テイク1)
9.風と共に去りぬ(別テイク2)
10.ジョーンズ嬢に会ったかい?(別テイク)


ひとつだけ、テイタムのピアノについて述べさせてください。

このアルバムは、ほぼミディアムスロウのバラードアルバムなんですが、テイタムのピアノは、”美しい”とは言っても、決して綺麗なメロディや上辺の情緒に流れていません。

むしろガンガンに速いフレーズを繰り出して弾きまくっているんですが、何がどうなってそうなっているのか、演奏全体がとても優雅で気品に満ちた空気で覆われています。これは本当に何がどうなっているのか解りません。戦前のスイング時代を生きてきた人にしか出せない香気です。

あと、レッド・カレンダーのベースとビル・ダグラスのドラムスの、絶対に目立とうとしないけど、実はものすごくしっかり演奏の屋台骨を支えているリズムも見事です。こういうサポートは、技術があるから出来るといった類いのことではありません。





(いつ聴いても涙腺にクる「オール・ザ・シングス・ユー・アー」です。この音色、この”間”この雰囲気、もう何も言うことありません)



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